2014年2月5日水曜日

CATISトライアル:虚血性卒中は急性期降圧効果必要とせず

今、思うと懐かしい時代だが、アダラート舌下と卒中の関連性が、一時、司法を巻き込んで話題になったことがある。脳卒中治療に関して専門性が重要視されない時代が続いたが、今は、超急性期治療の重要性もあり、我々専門外が治療管理に関わることは少なくなった。以前、看護師たちが血圧に関してしつこく管理を求め、結果的に、アダラート舌下席巻時代があった。卒中急性期に関して、舌下うんぬんに関わらず、降圧治療急ぐことはないというエビデンス。



卒中一次予防・二次予防のための降圧ベネフィットは確立しているが、急性虚血性卒中に関しては不明

臨床の世界でも中国のトライアル報告目立つようになったが、同じ、アジア人種としての知見だから、ありがたい部分もある。


以下の治験結論としては、急性虚血性卒中に関し、降圧剤による血圧降下治療は、無治療対照に比べ、第14日めあるいは退院時の死亡・障害複合リスクを減少せず


降圧治療せず・・・という日本では、困難な状況を対照にしているところが、ありがたい。

4072名、発症48時間内の非血栓性虚血性卒中で、収縮期血圧増加患者対象China Antihypertensive Trial in Acute Ischemic Stroke (単盲験、エンドポイント盲目化ランダム化臨床研究)

介入は、
ランダム化後24時間内に、収縮期血圧20%〜25%降圧し、7日内に血圧到達目標140/90未満、その後入院中この値を維持(n=2038)
全ての降圧剤中止(対照: n=2033)
主要アウトカムは、14日目・あるいは退院時、死亡・重大障害(修正 Rankin Scaleスコア 3以上)

Effects of Immediate Blood Pressure Reduction on Death and Major Disability in Patients With Acute Ischemic StrokeThe CATIS Randomized Clinical Trial
Jiang He, et. al.
JAMA. 2014;311(5):479-489. doi:10.1001/jama.2013.282543.

平均収縮期血圧、ランダム化後24時間内 
介入群 166.7 mm Hg → 144.7 mm Hg ( - 12.7%)
対照群 165.6 mm Hg → 152.9 mm Hg (−7.2%)  (difference, −5.5% [95% CI, −4.9 to −6.1%]; absolute difference, −9.1 mm Hg [95% CI, −10.2 to −8.1];  P < .001).

平均収縮期血圧ランダム化後7日目
介入群 137.3 mm Hg
対照群 146.5 mm Hg (difference, −9.3 mm Hg [95% CI, −10.1 to −8.4]; P < .001).


プライマリアウトカムに、14日目・退院時 群間差なし
(683 イベント数 [降圧治療群] vs 681 イベント数 [対照]; odds ratio, 1.00 [95% CI, 0.88 to 1.14]; P = .98)

治療後3ヶ月目セカンダリ複合アウトカム(死亡・重大障害)でも、群間差無し (500 イベント数 [降圧治療群] vs 502 events [対照群]; odds ratio, 0.99 [95% CI, 0.86 to 1.15]; P = .93)





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