2012年11月28日水曜日

ジゴキシン:心房細動に於ける死亡リスク増加をもたらす!

“ジゴキシン”は、ほんとうは“ヂゴキシン”が正しい訳か・・・ それと、ジゴキシンは、周期的に悪者になるなぁ わたしが医者になって3周期眼くらいでは?

ジゴキシンは、心房細動の“心拍コントロール”治療として用いられているが、心房細動患者での死亡率を増加するという報告。

全死亡率で41%増加と関連するという報告


ジゴキシン自体が死亡率増加に関与するか、合併症故に死亡率が高い状況でのより重症例処方だからか不明で、心房細動患者のジゴキシンと死亡率の関連検討目的が必要であったと序文。

Increased mortality among patients taking digoxin-analysis from the AFFIRM studyEur Heart J (2012) doi: 10.1093/eurheartj/ehs348 First published online: November 27, 2012

ジゴキシンと死亡率の相関をAF Follow-Up Investigation of Rhythm Management (AFFIRM) trial登録患者で、多変量Cox比例ハザードモデル評価。

検討は、全患者と、心不全(HF)の有無(駆出率<40 br="br">
ジゴキシンは全原因死亡率増加と相関 [estimated hazard ratio (EHR) 1.41, 95% 信頼区間 (CI) 1.19–1.67, P < 0.001]、同様に、心血管死亡率増加と相関  (EHR 1.35, 95% CI 1.06–1.71, P = 0.016)、不整脈による死亡率増加とも相関(EHR 1.61, 95% CI 1.12–2.30, P = 0.009)

全死亡率は、心不全の有無にかかわらず、ジゴキシンにより増加 (心不全無し EHR 1.37, 95% CI 1.05–1.79, P = 0.019 、 心不全有りEHR 1.41, 95% CI 1.09–1.84, P = 0.010)

全死亡、心血管死亡に関しジゴキシン-年齢有意相関なし (P = 0.70、P = 0.95)


血中濃度評価での検討となるランダム化トライアル( DIG study [N Engl J Med 1997; 336: 525–533],)では、negative effenct認めてない。
上記報告との整合性に関して、まだ議論が必要だろう。

神経ホルモン・inotropicな異常はジゴキシンで改善する部分はあるだろうが、それ以上に、安全閾値が狭いことで、心室性不整脈・重度徐脈性不整脈をもたらす危険性があると筆者らは述べている。
未検討共役要素による過剰推定の可能性もある。 感度分析でも一定程度以上の大きな影響が見られたため、やはり、重く受け止めるべきであろうとのこと。


虚血証拠のない心原因死亡は最終受診日のジゴキシン使用の56%と多い  (37% versus ジゴキシン無し27% , P=0.007)。がん、肺、非心原性原因死に関してはジゴキシン使用とは関連せず。


標準臨床ケア、正確なジゴキシン利用アドヒアランス期間がルーチンに記録されてない研究のため正確なメカニズム推定困難。

あくまでも可能性であるが、ジゴキシン濃度の厳格な検査が必要。

参考:http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Arrhythmias/36135

“ジゴキシンは最小量にしてるので血中濃度測定を怠り気味”の場合は、あらためて注意が必要だろう。公的医療保険監視側にも、この情報は重要だろう。悪徳査定は患者にリスクを与える。

左室駆出率温存型心不全:RAS拮抗治療の根拠は不充分

駆出率温存型心不全(Heart failure with preserved ejection fraction (HFPEF))
駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction (HFREF))



駆出率がさほど落ちてない心不全に対する治療戦略はまだ確定的ではない


以下の報告の結論は、心不全(駆出率温存型)の治療検討において、ACE阻害剤、ARB(RAS拮抗剤)の3つのランダム化トライアルの検討によれば、いづれも、プライマリエンドポイントに達せず、選択バイアスがあり、検知パワー不足と判断された。

 Association Between Use of Renin-Angiotensin System Antagonists and Mortality in Patients With Heart Failure and Preserved Ejection Fraction
Lars H. Lund, et. al.
JAMA. 2012;308(20):2108-2117. doi:10.1001/jama.2012.14785.
2000-2011年のSwedish Heart Failure Registry(64病院・84外来クリニック 41 791 登録患者)の前向き検討

HFPEF 16216名(駆出率 40%以上、平均[SD]年齢 75[11]歳、女性 46%)のうち、RAS拮抗剤治療(n=12,543)、非治療(3,573)

RAS拮抗剤使用Propensity scoreは43変数を導びいた。

RAS拮抗剤と全死亡率の相関を、1:1の年齢・propensity scoreマッチ化コホートと、連続共変数としてのpropensity scoreで補正した全体コホートで評価

一致性評価のため、HFPEF患者をRAS拮抗剤投与量に従い、年齢・propensity scoreマッチ化解析し、HFREF(EF<40 br="br">
主要アウトカムは、全死亡率


マッチ化HFPEFコホートで、1年生存率は、治療群 77%(95%CI、75-78%)、 非治療群 72%(95%CI 70-73%)
ハザード比  0.91 (95% CI, 0.85-0.98; P = .008)

全HFPEFコホートでは、1年間粗生存率は、治療群 86% (95% CI, 86%-87%)、 非治療群  69% (95% CI, 68%-71%)
propensity score–補正 HR  0.90 (95% CI, 0.85-0.96; P = .001)


HFPEF投与量解析
目標投与量50%以上の場合の、対無治療比較HRは、 0.85 (95% CI, 0.78-0.83) (P < .001)
目標投与量50%未満の場合の、対無治療比較HRは、 0.94 (95% CI, 0.87-1.02) (P = .14)

年齢・propensity scoreマッチ化HFREF解析で、HRは 0.80 (95% CI, 0.74-0.86; P < .001)

アルドステロン拮抗剤:拍出量低下心不全患者への退院時処方は必ずしも死亡率低下せず 

退院時アルドステロン拮抗剤処方の適応は慎重に
とくに、駆出率低下心不全高齢者は良い適応だが、退院後カリウム値チェックを!

・・・ということか!

時にみられる、退院時30日処方どころか、60日処方というぶったげた退院処方は、一般論としても批難されるべきだろう!


以下の論文の結論は・・・

アルドステロン拮抗剤退院時開始は、死亡率・心血管疾患原因再入院改善効果と関連せず。 だが、心不全・駆出率低下高齢者においては心不全再入院改善効果を示す。 高カリウム血症による再入院リスク増加が有意である。”

駆出率正常型では無く、低下した心不全患者へのアルドステロン拮抗剤の臨床的エビデンスの問題


Associations Between Aldosterone Antagonist Therapy and Risks of Mortality and Readmission Among Patients With Heart Failure and Reduced Ejection Fraction
Adrian F. Hernandez, et. al.
JAMA. 2012;308(20):2097-2107. doi:10.1001/jama.2012.14795.

登録クライテリア合致5887名で、平均年齢 77.6歳、退院時アルドステロン拮抗剤使用者は18.2%、1070名

累積発生頻度 3年後
死亡 治療群 49.95 vs 51.2% (P=.62)
心血管再入院 63.8% vs 63.9% (P=.65)
心不全再入院 38.7% vs 44.9% (P< .001)

30日時点高カリウム血症再入院 2.9% vs 1.2%(P<.001)
1年内再入院  8.9% vs 6.3% (P = .002)

治療確率の逆加重法後、死亡率は有意差認めず (hazard ratio [HR], 1.04; 95% CI, 0.96-1.14; P = .32)、同様に、心血管再入院 (HR, 1.00; 95% CI, 0.91-1.09; P = .94)にも有意差認めず


心不全再入院は、3年後治療患者において低率 (HR, 0.87; 95% CI, 0.77-0.98; P = .02)
高カリウム血症関連再入院は、アルドステロン拮抗剤により、30日後 (HR, 2.54; 95% CI, 1.51-4.29; P < .001)、1年後 (HR, 1.50; 95% CI, 1.23-1.84; P< .001)と高率



"inverse weighting"とは、IDW(Inverse Distance Weighting):逆距離加重法のことだろうか?



スピロノラクトンだけじゃなく、“ACE阻害薬・ARB投与で、血中AII濃度は抑制できていても、血中アルドステロン濃度が減少しないというエスケープ現象が知られているが、エプレレノンの併用でこの問題が回避できる可能性がある”ということでセララが宣伝されているがやはり注意が必要だろう。

現に、ベネフィットリスクバランスがとれているか、今一つ、臨床で、吟味が必要と思う。

2012年11月27日火曜日

アメリカ小児科学会:10代緊急避妊に関する推奨報告


AAP Recommends Emergency Contraception Be Available to Teens
11/26/2012 For Release: November 26, 2012
http://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/Pages/AAP-Recommends-Emergency-Contraception-Be-Available-to-Teens.aspx


 多くの10代で無防備な性行が行われ、避妊の失敗などがある。さらに10%程度まで性的暴行の被害がある。
 無防備・低防備性行後120時間内に、Plan B、Next Choiceなどを服用し緊急避妊がなされる。
 AAPは、妊娠防御のための緊急避妊必要性が有る場合、小児科医は、カウンセリング、処方上重要な役割をもつ。
 緊急に人はSTD防止には役立たない、STD検査の重要性を説く必要もある。
 保険カバー、緊急避妊のアクセスについてアドボケートするよう、小児科医に推奨している。




17歳以上は処方箋無しに入手可能、17歳未満は処方箋が必要

PlanB One-Step
http://www.planbonestep.com/

Next Choice
http://www.mynextchoice.com/


日本では・・・

ノルレボ錠0.75mg
http://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/norlevo/index.html
(適正使用に関するあすか医療用医薬品情報サイト)
効能又は効果/用法及び用量
緊急避妊  
効能又は効果に関連する使用上の注意 1. 本剤投与により完全に妊娠を阻止することはできない(【臨床成績】の項参照).2. 本剤は,避妊措置に失敗した又は避妊措置を講じなかった性交後に緊急的に用いるものであり,通常の経口避妊薬のように計画的に妊娠を回避するものではない(「重要な基本的注意」の項参照).  
用法及び用量
性交後72時間以内にレボノルゲストレルとして1.5mgを1回経口投与する


関係学会というと、日本では、産婦人科学会だろうか?

 緊急避妊法の適正使用に関する指針 平成23年2月
日本産科婦人科学会編
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/guiding-principle.pdf

この指針見ると、やっぱり産婦人科以外、手出ししにくいと思う

交通環境汚染(NO2、PM)は自閉症増加と関連 ・・・ 車を追い出せば自閉症半減?


ひょっとしたら、交通公害による二酸化窒素(NO2)や微小粒子(PM)が自閉症と関連するかもしれないという報告。

車を住居地から追い出せば、自閉症半減?

Car Emissions May Hike Autism Risk
http://www.medpagetoday.com/Pediatrics/Autism/36111
 


胎生期中の交通関連大気汚染暴露最大4分位において、最小比較で補正オッズ比 1.98;95%信頼区間:CI 1.20-3.31)
さらに、生後1年の暴露では、3.10;95%CI 1.76-5.57

NO2と2.5μm-10μm直径未満の粒子と胎生期暴露の関連が示された。


Traffic-Related Air Pollution, Particulate Matter, and Autism
Heather E. Volk, et. al.
Arch Gen Psychiatry. 2012;():1-7. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.266.

住民ベースの症例対照研究で、カリフォルニアの Childhood Autism Risks from Genetics and the Environment study登録者における、自閉症データ、及び、対照データ比較。
出生届から母の住所を、住居歴から住所を求め、トリメスター毎、子供1歳までの暴露を推定。
line-source air-quality dipersion model    で、各ロケーションでの大気汚染推定。

自閉症の子供は、対照と比較し
胎生期交通関連汚染度最高4分位が多い (AOR, 1.98 [95% CI, 1.20-3.31])
生後1年間でも同様 (AOR, 3.10 [95% CI, 1.76-5.57])

NO2地域暴露、PM2.5、PM10未満地域暴露も共に、
胎生期暴露と自閉症相関 (NO2暴露: AOR, 1.81 [95% CI, 1.37-3.09]; PM2.5暴露: AOR, 2.08 [95% CI, 1.93-2.25]; PM10暴露: AOR, 2.17 [95% CI, 1.49-3.16)
生後1年間でも同様 (NO2暴露: AOR, 2.06 [95% CI, 1.37-3.09]; PM2.5暴露: AOR, 2.12 [95% CI, 1.45-3.10]; PM10暴露: AOR, 2.14 [95% CI, 1.46-3.12])

すべての地域汚染推定値は、全妊娠期間推定値分布の標準偏差の2倍にスケール化した。


自閉症と喫煙の関係 ・・・ 病型毎影響差あり? 2012/05/01

代謝性グルタミン酸受容体(mGluR5)NAM GRN-529 :自閉症ラットモデルで効果証明 2012/04/26

遺伝子異常と自閉症リスク 2008年 01月 10日

高齢の父親はその子孫に遺伝子変異を伝えやすい。 たとえば、自閉症、統合失調症など 2012/8/25

自閉症:ペット入手が向社会的行為改善をもたらす 2012/08/02

脳しんとう:FA高値は神経可塑性を示し、その後の予後改善と関連する



単一施設の症例対照研究


MRI上の “high-resolution diffusion tensor imaging” (超高分解能拡散テンソル画像による皮質下白質トラクトグラフィー:TDI)による分析

軽度頭部外傷(TBI)において、Fractional anisotropy(FA)で予後判定できるか?


Rosenbaum SB, et al "Abnormally high ansiotropy predicts health related quality of life and post-concussive symptoms at one year post mild TBI" RSNA 2012.
http://www.rsna.org/Attendees.aspx

参考:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/RSNA/36108


頭部外傷後1年、脳振盪後症状評価アンケート (via the Rivermead PCS Questionnaire [RPQ]) とHRQOL(via the Sickness Impact Profile [SIP])施行

包括すると、全患者でFA異常高値領域検知し、その値に高低がある。しかし、FA異常高値患者は、脳振盪後症状少なく、HRQOL良好。

高値は、脳しんとう症状改善予測として有意(p=0.01)で、QOLアウトカムも良好(P=0.024)、心理的機能も良好(p=0.007)

このことは、脳は脳卒中後補正しようと働き、それがFA高値ということになり、神経可塑性の現れということになると筆者らは述べている。



サッカー:脳しんとう未満微小打撃繰り返しの脳影響 ・・・ 画像化(TDI)  2012/11/14

住民ベース:心房細動発症にて心室頻拍発症促進?

住民ベース研究

心房細動発症は、心室頻拍などによる心臓突然死や冠動脈疾患発生と関連する


 Atrial Fibrillation and the Risk of Sudden Cardiac DeathThe Atherosclerosis Risk in Communities Study and Cardiovascular Health Study ONLINE FIRST
Lin Y. Chen, et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-7. doi:10.1001/2013.jamainternmed.744.

背景  心房細動(AF)は心臓突然死(SCD: sudden cardiac death)リスク増加と関連するか一般住民レベルでは不明であった。この関連性を2つの住民ベースコホートで検討。

研究方法  Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Studyにおいて、ベースライン(1987-1989年)から2001年12月31日までの15439名の登録者(ベースライン年齢 45-64歳; 女性 44.2%; 黒人 26.6%)解析
Cardiovascular Health Study (CHS)では、5479名の登録者(第1コホート 1989-1990;第2コホート 1992-1993)(ベースライン年齢 65歳以上; 女性 58.2%; 黒人 15.4%) 2006年12月31日まで
プライマリアウトカムは、医師補正SCD(定義 突然の、心室性頻拍によると想定される無拍動)
セカンダリアウトカムは、非-SCD、すなわち、SCDクライテリアに合致しない冠動脈疾患
Cox比例ハザードモデルでAFとSCD/NSCDの関連性を評価、その際は住民統計指標や心血管リスク要素を補正

結果  ARIC研究において、フォローアップ期間中(中央値 13.1年間)AF 894、 SCD 269、 NSCD 233
SCD発症粗頻度は、1千人年あたり AFあり 2.89、 AFなし 1.30
AFありの多変量ハザード比(HRs)(95%CIs)は、SCD 3.26(2.17-4.91)、 NSCD 2.43(1.6-3.71)

CHSコホートでは、フォローアップ期間中(中央値 13.1年間)AF1458、SCD 292、NSCD 581
SCD発症粗頻度は、1千人年あたり AFあり 12.0、 AFなし 3.82
AFありの多変量ハザード比(95%CIs)は、SCD 2.14(1.60-2.87)、 NSCD 3.10(2.58-3.72)

AFありのメタアナリシスHRs(95%CIs)は、SCD 2.47(1.95-3.13)、NSCD 2.98(2.52-3.53)

結論  一般住民においては、AF発症は、SCDとNSCDのリスク増加と関連する
AF患者のSCD予測因子についてさらなる研究が必要



ARIC研究では、両群の年齢、人種、性別、心血管リスク因子、および心房細動発症診断までの期間補正後も相関性維持。NSCDのリスク増加に関して、β遮断剤、ジゴキシン、抗不整脈などの使用補正後にのみ相関性有意。  

心房細動と心臓突然死、両病態のリスク要素が関連しているために生じた相関性とのみは説明出来ないと筆者ら。

心房細動発症そのものが、心室性頻拍を促進するのだという考えに基づいている。

CHSコホートでは、左室駆出率補正でわずかしか相関性補正されなかったが、 ARICコホートの左室駆出率測定サブグループで、左室駆出率低下を補正した場合、心臓突然死14倍にリスク相関増強し、心房細動発症とHSCDリスクは11倍に増強された。
両コホートとも、男性で同様のリスク増加を示し、リスクはARICコホートのサブグループ被験者男性で強く、CHSでは観察されなかった。

この研究の限界は無症状例、外来ベースマネージメントを対象として拾えてない。入院が発生しない限り心房細動やイベントを収集できてないということ。

noteへ実験的移行

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