2013年3月19日火曜日

パーキンソン病治療:Tozadenant(アデノシン2α受容体拮抗剤) off-time減少効果

American Academy of Neurology's annual meetingでの2題
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAN/37935

アデノシン2α受容体拮抗剤 tozadenantは、ジスキネジアを併発せず、off-timeを減少する
Olanow C, et al "A phase 2, placebo-controlled, randomized, double-blind trial of tozadenant (SYN-115) in patients with Parkinson's disease with wearing-off fluctuations on levodopa" AAN 2013; Abstract 005.
 ドパミン作動性刺激薬剤にて投与間隔の間に症状コントロール不全状態となる、off timeは比較的作用時間が未時間薬剤による投与量やその回数により生じるもので、利益的効果もwear offさせることとなる。
(追加注記. Wearing off:LDopa奏功時間短縮、服薬後数時間経過すると効果ゲンジャクする現象、No-on/Delayed on:Lドーパでも効果発現見られない現象、 On-off: Lドーパの服薬時間と関係なく良くなったり(on)悪くなったり(off)する
http://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson.html)


Tozadenant は経口選択的アデノシン2α受容体拮抗剤であり、線条体に濃縮し、ドパミン受容体のリガンド反応性を調整する薬剤。受容体遮断で、内在性ドパミンからのドパミン作動活動性をboostし、metabotropic グルタミン酸作動性受容体の活動性阻害するものと考えられている。pIIで、420名の患者に対し、プラセボと1−4種類の投与量12週間Ldopa追加投与にて、修正ITT解析にて、二つの中間量(120 mg×2:1.1時間、180mg ×2:1.2時間、いずれもp = 0.004)で、プラシーボ比較のベースラインからの平均off timeの減少効果を有意に認めた。60mg、240mg×2では有意差認めず


ジスキネジアにより妨げられた "On time" (症状良好コントロール到達)指数化では、ベースラインとの差は認めない
Tozadenantの中間投与量は、Unified Parkinson's Disease Rating Scale (UPDRS) part IIIスコア値の改善と相関し、全投与量はpart Iスコア改善をもたらした。

副作用(治療直結とは必ずしも言えない)ものとしては、ジスキネジア、吐気、dizziness、便秘、パーキンソン病症状悪化、不眠、転倒



ノルエピネフリン・プロドラッグである、droxidopa(Northera)は、lightheadedness、dizzinessの短期改善、起立性低血圧改善を一過性に示したという報告。
Isaacson S, et al "Droxidopa treatment impact on orthostatic symptoms and standing systolic blood pressure in patients with Parkinson's disease (PD) and symptomatic neurogenic orthostatic hypotension (NOH)" AAN 2013; Abstract 010.
神経原性起立性低血圧への薬剤として開発、ノルエピネフリン欠如によるメカニズムへの作用。

197名(225名登録から)をランダム化、プラシーボ、100−600mg×3回、8週間投与

第1週では、lightheadedness、dizzinessの平均スコア改善(p = 0.008)
ところが第8週では、その差は減弱し、傾向のみ(p  = 0.077)

平均収縮期血圧も同様な傾向で、第1週では+6.8 mmHg(P=0.014)だが、8週では+2.2 mmHg P=0.414
転倒率はdroxidopmaで著明に減少(平均 0.38/w vs 1.73/w)統計学的有意差に至らず

頭痛、dizziness、高血圧、吐気、疲労感が治療と関連

NICU看護師スタッフ不足は院内感染増加と関連

 米国のNICUでのガイドライン比較での看護師スタッフの不足の問題
このスタッフ不足が、極低体重児の院内感染オッズ比と関連するとのこと

Nurse Staffing and NICU Infection Rates
Jeannette A. Rogowski, et. al.
JAMA Pediatr. 2013;():1-7.

病院understaffの程度は、ガイドライン比較で、NICU乳児に対しては32%、high-qcuity乳児に対しては92%
平均的staffingガイドライン最低限合致のためには、 乳児あたり 0.11、high-azuity乳児に対しては0.39の追加が必要。

極低体重児感染比率は2008年16.5%、2009年 13.9%

understaffing 標準偏差1増加毎、補正オッズ比は、2008年 1.39(95% CI, 1.19-1.62; P < .001)、2009年 1.39 (95% CI, 1.18-1.63; P < .001)


抗生剤長期乱用は医師のせい

下の論文の趣旨は表題の通りだと思うが、そのままだと、誤解が蔓延すると思う。
あくまでも、老人保健施設のような長期収容施設での話
抗生剤長期使用を7日間超としているが、例えば、軽症・中等症COPD感染増悪に関しては5日間投与で十分という報告はある(Thorax 2008;63:415-422 )が、重症例では抗生剤治療期間の十分なエビデンスはない。そもそも急性増悪2度目以降は、14日超のステロイド・抗生剤使用が推奨されている(ERJ June 1, 2003 vol. 21 no. 41 suppl 46s-53s)

調査対象を軽度・中等症だけの感染症に限定すべきだったと思う。


Prolonged Antibiotic Treatment in Long-term Care
Role of the Prescriber ONLINE FIRST
Nick Daneman, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-10. 
doi:10.1001/jamainternmed.2013.3029.
Published online March 18, 2013
重要性  多くの細菌感染は、7日以下の抗生剤使用で、標準抗生剤使用期間減少化することで、長期ケアでの抗生剤過剰投与を節約

目的  施設入所・処方箋受領者と処方医師間での長期医療での抗生剤治療期間のばらつきと、このばらつきが処方者の好みによるものであるかどうか

デザイン・セッティング  地域的後顧的解析・オンタリオ市・カナダ、2010年の長期ケア施設

被験者 オンタリオの長期医療施設居住中の、66歳以上抗生剤全身投与治療

主要アウトカム測定  居住者・処方医師横断的な抗生剤投与期間
 7日間超過医師治療期間比率を、短期、平均的、長期処方に分類

結果 630長期医療施設66,901名のうち、50,061(77.8% )で抗生剤治療臨床経過(51 540抗生剤治療臨床経過)
 最も多い選択的治療経過は7日間(21,136[41.0%])、7日超過は23,124(44.9%)

20回以上の治療経過を有する、699名の医師 では、治療経過7日超過比率は43.5%(26.9%-62.9%)(range, 0%-97.1%)

処方者の21%で、7日閾値超過処方箋予測比率が高い

患者特性は、短期、平均、長期処方者で同等

mixed logistic modelにて、治療期間の決定因子は医師であり (P < .001)、 75、25パーセンタイル処方箋オッズ比比較で3.84

結論・新知見  長期医療施設での抗生剤治療経過は長期となりやすい。患者特性より処方箋者により影響を受ける。
さらなるトライアルで、抗生剤過剰投与による合併症、コスト、耐性減少のための、抗生剤stewardship intervention(財務管理介入)評価すべき

2013年3月18日月曜日

ドナー肝体外生存24時間可能へ

イギリス Oxford大学開発のデバイスで、ドナー肝臓を24時間体外生存下保存可能となった。現在はアイスボックス冷却で、14時間までしか機能温存できない。
ヒトの体内を再現し、体温保持、酸素化された血液で満たしポンピングされている状況。 糖を燃やし、胆汁産生し続けている状況担っているとのこと。

http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324392804578362574039198146.html

http://www.reuters.com/article/2013/03/15/us-liver-device-transplant-idUSBRE92E0SI20130315

OrganOxと呼ばれる会社での、Oxford大学のspin-offカンパニー

http://www.organox.com/products/

QT/QTc間隔延長薬剤:投与前・投与後心電図検査

薬剤と、QT/QTc延長は定期的に問題となる。心電図判定のタイミングと、その具体的指標について自分なりに調べてみた。
米国FDA警告:ジスロマック・致死的不整脈リスク 2013/03/13
抗うつ薬とQTc延長 2013/02/01
参照値内であってもQT間隔は死亡率と関連する  2011年 10月 25日

QT延長可能性薬剤
http://www.nms.ac.jp/QTdrugs/qtdrug1.htm

https://square.umin.ac.jp/saspe/news/15.pdf
抗不整脈薬 キニジン, ジソピラミド, プロカインアミド, アミオダロン, ニフェカラント, ソタロール, ベプリジル
抗生物質・抗真菌薬 エリスロマイシン, クラリスロマイシン, スパルフロキサシン
向精神薬 アミトリプチリン, ハロペリドール, クロルプロマジン, ピモジド, チオリダジン
抗アレルギー薬 テルフェナジン, アステミゾール
その他 シサプリド, 三酸化ヒ素
N Engl J Med 2004; 350:1013-1022
主たる問題薬剤:ジソピラミド・Dofetilide・Ibutilide・プロカインアミド・キニジン・ソタロール・ベプリジル
他薬剤:アミオダロン・シサプリド・CCB(リドフラジン;米国未市販)・抗菌剤(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、halofantrine、ペンタミジン、スパルフロキサシン)、制吐剤(ドンペリドン、ドロペリドール)、抗精神薬(クロルプロマジン、ハロペリドール、メソリダジン、チオリダジン、ピモジド)、メサドン
Torsades List: http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-01.cfm?sort=Brand_name
可能性薬剤リスト:http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-02.cfm?sort=Brand_name
条件付き可能性薬剤リスト:http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-04.cfm?sort=Brand_name
 添付文書で、”QT”と検索すると929件、”QT間隔”と検索すると152件、うち、「警告、禁忌/原則禁忌」は88件ある


まず基礎的知識として・・・
医薬品による重篤な循環器系副作用として「QT延長症候群」(LQTS)があり、Torsades de pointes(TdP)と呼ばれる致死的な心室頻拍のリスクファクターで薬淵治療上で重要な問題となっている。・・・抗不整脈薬だけでなく、向精神薬、 抗菌薬、分子標的薬などの非循環器系医薬品も含まれる。多くの場合、これらの医薬品による心筋Kチャン ネル遮断作用により、外向きK電流が減少することでLQTSが行き起こされると考えられている。
札幌医学雑誌 79(1-6)13 ~ 19(2010)
http://ir.cc.sapmed.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/5270/1/n0036472X79113.pdf


「非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価」(薬食審査 発1023 第1号 平成21年10月23日 各都道府県衛生主管部(局)長 殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長)
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e14_09_10_23.pdf
承認審査資料の国際的ハーモナイゼーション推進の必要性が指摘されています。このような要請に応えるため、日米EU医薬品規制調和国際会議(以下 「ICH」という。)が組織され、品質、有効性及び安全性を含む各分野で、ハーモナイゼーションの促進を図るための活動が行われているところです。今般、 ICHの合意に基づき、新たに「非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価」(以下「本ガイドライン」 という。)を別添のとおり定めました 
抗不整脈外薬剤でのQT/QTc延長に関し、日米間でネゴシエーションしておこうというお話のようだ。


ただ、”QT/QTc間隔の絶対的上限及びベースラインからの変化の上限値選択に関し一致した見解はない”
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e14_09_10_23.pdf

具体的な上限値例として

QTC間隔絶対値の延長
・QTc間隔 > 450
・QTc間隔 > 480
・QTc間隔 > 500

QTc間隔ベースラインからの変化
・ベースラインからのQTc間隔増加 > 30
・ベースラインからのQTc間隔増加 > 60

治験除外として、QTc> 450msが繰り返し有る場合、TdP危険因子(心不全、低カリウム血症、QT延長症候群家族歴)、QT/QTc延長薬剤併用中である。このような事例では、臨床治験されてないため、リスク可能性があるということになる。

 補正式に関して、Friedericia補正法(QTC=QT/RR0.33、 Bazett補正法(QTc=QT/RR0.5があるが、Bazett補正では、 60/分以下では過小、高心拍では過大補正となる。線型回帰式補正:Framingham補正(QTc=QT+0.154(1-RR))、非線形補正がある。


ちょっと古く、そして、抗不整脈投与という限定的条件だが、中止基準のQT間隔の具体的記載がある。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1k03.pdf
早期発見のポイントは症状と投薬後の心電図検査である。症状としては、頻脈に基づく動悸・めまい・失神がある。ただし、症状が出現してからでは手遅れとなる可能性もあるため、VT やTdP が発生する前に対応すべきである。このためには心電図検査が有用で、とくに抗不整脈薬を投与した場合は 4 日~1 週間後に心電図を記録し、QRS 幅の拡大と QT 延長の有無を確認する薬物によっては 3 週~4 週後に QT 延長が現れることもあるので注意する。具体的には QRS 幅が投薬前に比して 25%以上拡大した場合(たとえば 0.12 秒以上となった場合)や QT 間隔が 0.5 秒以上に延長した場合は投薬量を減量するか、中止する
すなわち、QT延長薬剤に関して、具体的には、
投与前心電図チェック、4日から7日後3−4週間後チェックが義務づけられていると判断すべき
そして、心不全評価、カリウムチェック、QT延長症候群などの家族歴・既往歴チェックが義務づけられていると考えて良いはず


ジスロマックに関しては、米国FDAは、マグネシウム濃度測定を推奨


薬剤投与前心電図チェックすら、公的医療保険審査で認められないことがある。QT延長可能性薬剤の場合は、一律に、投与前、4−7日後、3−4週間後心電図チェックは許可されるべきはず・・・

ALK陽性転移性非小細胞肺がん:LDK378 ・・・米国FDA Breakthrough tag

クリゾチニブ(Xalkori)とともに併用、もしくは不応性の場合の患者に、ALKマーカー陽性転移性NSCLCへの治療薬、LDK378開発中で、FDAは、Breakthrough Tagをつけた。


http://www.reuters.com/article/2013/03/15/novartis-lungcancer-idUSL6N0C7194 20130315



Novartisは、LDK378配合剤を  "breakthrough therapy" designation と呼称し、その有効性があるかどうか薬剤レビュースピードアップ目標とすることとしたらしい

LDK378は、非喫煙・若年症例に多い、anaplastic lymphoma kinase positive (ALK+) metastatic non-small cell lung cancer (NSCLC)への治療用にデザインされ、Novartisによれば、pIIトライアル進行中で、今年後半PIII複数着手計画で、来年早々には承認を期待しているとのこと。


Information on LDK
http://chicago2012.asco.org/ASCODailyNews/Abstract3007.aspx

What FDA fast track means
http://www.fda.gov/forconsumers/byaudience/forpatientadvocates/speedingacce sstoimportantnewtherapies/ucm128291.htm


すでに、Anaplastic lymphoma kinase (ALK) ・ c-Met receptor kinase阻害剤である、クリゾチニブ:Crizotinib (Xalkori)は、米国・韓国などで、ALK-陽性NSCLC治療承認されている。非小細胞肺がん中にALK遺伝子rearrangement症例発見され、pI、PII研究で奏功率61%、51%が報告されている。

Treatment of ALK-Positive Non–Small Cell Lung Cancer.
Yung-Jue Bang (2012)
Archives of Pathology & Laboratory Medicine: October 2012, Vol. 136, No. 10, pp. 1201-1204. 

終末期ケア:COPD終末期ケア・緩和ケア概念広がらず ・・・ 肺がんの重症指標・入院数を凌駕するにかかわらず・・・

「重度COPDは、予測不能な経過をたどる、多種症状の疾患である。予後は肺がんと類似する」という序文

 「 Living and Dying Well」ガイドラインと、スコットランドの緩和・終末ケアを比較


End-of-Life Care in a General Respiratory Ward in the United Kingdom
Selina Tsim, et. al.
American Journal of Hospice and Palliative Medicine (15 March 2013), doi:10.1177/104990911348126

 死亡66例のうち、57例のデータ入手
肺がん患者の方がCOPD患者に関する予後記載多い(60% n=9 vs. 8.3% n=1)
加え、院内緩和ケア関与レベル、終末期意思決定記録圧倒的(50%, n= 7 vs. 0% 、28.6%, n=4 vs. 8.3%, n=1)
肺がん患者では、死亡前12ヶ月での、終末期臨床指標数少なく、入院回数少ない。

 COPDにおいて、ケアプランニングを緩和ケア関与、終末期ケアに関する意思決定議論乏しい現状。予測的なケアプランニング早期開始を含めた、疾患予後・患者希望に関する議論をタイムリーに効果的に行うことが望まれる。


日本では、ホスピス利用はがんなどの悪性新生物疾患とHIVに限られる。一般的に、終末期というのは、脳血管疾患・神経筋疾患だって、心不全だって、腎不全だって存在するのだが、ホスピス対象疾患以外の終末期ケア議論の質量ともに乏しい。
COPD患者でも、終末期と判断せざる得ない状況があり、呼吸毎の呼吸苦及びそれに伴う絶望感、意欲低下を伴い、終末期宣言は現実的には困難な状況が伴う。

COPD終末期を具体的記載しているスコットランドの報告
http://www.palliativecareguidelines.scot.nhs.uk/documents/Lungdisease.pdf

Identification: Does this patient need palliative care?
死亡率予測特異的ツールはあるが、個別的は役立たず
6−12ヶ月後に死亡してもおかしくないとき、患者・家族へ緩和ケア需要を評価


Clinical indicators of advanced lung disease:
•るいそう; 低BMI (< 21)、パフォーマンス状況不良・悪化
•感染性急性増悪、呼吸不全入院増加
・重症気道閉塞 (FEV1< 30%)
•重度拘束性 (VC < 60%, transfer factor < 40%)
・長期酸素療法クライテリア一致 (PaO2< 7.3kPa)
•至適治療によっても症状持続、重症
•急性増悪、安静時・軽労作でも運動制限
•有症状右心不全

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...