2014年2月26日水曜日

配偶者との死別と急性心血管イベント

家族・配偶者の死別だけじゃなく、配偶者離別は、心理的だけじゃ無く、身体的悪影響を与える。

配偶者の入院により死亡率増加2006年 02月 16日
肉親死後悲嘆の“段階説(stage theory)”2007年 02月 21日
愛する人との別れ:”複雑性悲嘆”治療 2013/07/24

事故・病死を経験した家族・配偶者にはその急性期特段の配慮が必要だろう。できればシステマティックにと思うのだが、その致死性イベント頻度が明らかでなければ、どの程度の介入深度・頻度で効果的となるかも不明。心筋梗塞・卒中などの心血管疾患絶対的イベント頻度は0.2%以下となる。

論文の結論は、配偶者死別から数週間から数ヶ月は重大心血管イベントリスク増加 するというものだが、絶対的頻度としてはかなり少ないといえる。

英国プライマリケア・データベースのマッチ化コホート (401のGP、2005年2月から2012年9月)、60-89歳の30,447名の配偶者喪失後開始(年齢、性別、GPマッチ化対照群 83,588比較)

Increased Risk of Acute Cardiovascular Events After Partner BereavementA Matched Cohort Study
Iain M. Carey, et. al.
JAMA Intern Med. Published online February 24, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2013.14558 

プライマリアウトカムは、遺族配偶者の配偶者喪失30日内致死性・非致死性心筋梗塞(MIR)、卒中
セカンダリアウトカムは、遺族配偶者・非致死性ACS/肺塞栓
全アウトカムは事前設定配偶者喪失後30,90、365日


配偶者死後30日内で、遺族配偶者群 MI/卒中 50 (0.16%) vs 対照 67(0.08%)
 (IRR:Incidence rate ratios (IRRs) , 2.20 [95% CI, 1.52-3.15]).

遺族配偶者男女とも、30日後リスクは減少。


個別アウトカムに対し、それぞれ増加リスクは、MI (IRR, 2.14 [95% CI, 1.20-3.81])、卒中  (2.40 [1.22-4.71])


稀事象相関も死別後存在し、90日目非MI・ACS  (IRR, 2.20 [95% CI, 1.12-4.29]) 、肺塞栓 (2.37 [1.18-4.75])



IRR(Incident rate ratio)
 Closed studyでは、incidence rateと、cumulative incidenceを測定できますが、前者は各々観察期間が分かっていなくてはなりませんし、後者は追跡不能者が少なく、competing riskがなく、観察期間中のexposure riskが同じで有り、対処が皆同じ期間観察sれなくてはなりません。 cumuulative incidenceを使うと発生頻度が多い場合、食中毒や急性感染症流行期などに向きます。・・・・

Closed cohort studyにおいて経過観察が長期化すれば途中死亡や経過追跡不能が増え、観察が困難になってきます。そのような場合person-timeに基くrateを考慮しなくてはなりません。

Incidence rate difference = X1 / T1 – X0 / T0
Incidence rate ratio = ( X1 / T1) / ( X0 / T0)
ここで、Tは、person-timeであらわされます。
http://dr-urashima.jp/pdf/eki-8.pdf


生ワクチンMMR接種は、不活化ワクチンに比べ、全原因感染症入院減少に寄与する

低所得国での生麻疹ワクチンによる他疾患原因死亡率減少効果が示されているが、高所得国ではワクチンの非特異的死亡率減少効果は示されてなかった。


デンマークに於けるMMR生ワクチンによる感染症入院率への効果、主要アウトカムとしては、全感染症入院のDTaP-IPV-Hibと比較した、MMR接種者のIRR(Incidence rate ratio)
on time MMR接種あたりのリスク、リスク差、ワクチン必要数


不活化ワクチン DTaP-IPV-Hibに比べ、生ワクチン MMR接種は、入院率減少に寄与する。


Live Vaccine Against Measles, Mumps, and Rubella and the Risk of Hospital Admissions for Nontargeted Infections
Signe Sørup, et. al.
JAMA. 2014;311(8):826-835. doi:10.1001/jama.2014.470.


509,427人年あたりの全感染症入院56,889件、 49,9587名の小児 (発生率, 100人年あたり 11.2 )


推奨スケジュール遵守、DTaP-IPV-Hib3回め投与後MMR接種456,043名の子供に対し、MMR 100人年あたり 8.9 、DTaP-IPV-Hib3回投与 12.4で、全感染症あたり補正IRR 0.86 (95% Ci, 0.84 - 0.88)


シークエンス外ワクチン19,219名存在。補正IRRは、 0.87 (95% CI, 0.80 - 0.95)
DTAP-IPV-HIB2回投与(100人年 15.1)後、MMR接種(100人年 9.9)


MMR後に3回目のDTaP-IPV-Hib3回ワクチン接種後 (100人年 12.8 )の1981名では、IRRは感染入院多い (感染入院 IRR  adjusted IRR, 1.62 [95% CI, 1.28 - 2.05])


16ヶ月から24ヶ月の感染症入院リスクは、MMR後 4.6% (95% CI, 4.5%-4.7%) 、MMR非接種後 5.1% (95% CI, 5.0%-5.2%)



リスク差は、0.5%(95% CI, 0.4 - 0.6)、1入院防止のためのMMRワクチン必要数 201 (95% CI, 159-272)



日本がワクチン後進国になったのは、かつての3大新聞社・主要全国ネットテレビ局までも反ワクチン運動に荷担し、情緒的報道を行い、世論をミスリードしたことが主因と私は思う。ワクチンの功罪の「功」の部分を矮小化し、国民の健康を阻害している日本のマスコミ。Hibワクチンや小児肺炎球菌ワクチンの効果がそろそろまとまってきているようで、某政党あたりが自分たちのおかげと主張しているのも腹立たしい。HPVワクチンを子宮頸がんワクチンと称し、偽の装飾を行い、コンジローマなどのアウトカムを無視する非科学性に荷担してるくせに・・・



2014年2月25日火曜日

システマティック・レビュー&メタアナリシス:非小細胞肺がん術前化学療法 ・・・ 相対リスク、絶対リスク減少効果

切除可能NSCLC、主に、病期 IB-IIIAにおいて、術前化学療法にて、包括的生存率、遠隔再発までの期間、再発無し生存率の改善を認めた。


Preoperative chemotherapy for non-small cell lung cancer: a systematic review and meta-analysis of individual participant data
The Lancet, Early Online Publication, 25 February 2014
NSCLC Meta-analysis Collaborative Group

15のRCT、2385名の患者で、手術前化学療法の生存率への有意ベネフィット
ハザード比 [HR] , 0.87, 95% CI, 0.78 - 0.96 p = p.007
死亡率相対リスク13%減少(トライアル毎ばらつきエビデンス無し)
絶対的生存改善インパクトとしては、5年で5%、40%から45%への改善である。

化学療法レジメン、スケジューリング、薬剤数、プラチナ製剤による、そして術後化学療法施行有無に関する生存率差の明確なエビデンス無し。

年齢、性、PS、組織型、臨床病期による特異的病型の術前化学療法へのベネフィット多寡に関する明確なエビデンス認めず。

再発無し生存率、遠隔再発までの期間も術前化学療法の方が良好であった(HR 0.85, 95% CI, 0.76 - 0.94 , p = 0.002,  0.69 , 0.58 -  0.82, p < 0.001)、但し、ほとんどはIB-IIIAまでの病期。

限局性再発までの期間は統計学的有意ではない (0.88、 0.73-1.07)


インフルエンザA(H1N1) パンデミック(pdm)09ウィルス感染重篤患者

 インフルエンザA(H1N1) pdm09ウィルスは、2009年来世界に循環し続け、時に、入院・重篤合併症・死亡などを生じているされるが、米国内では、今シーズンまでに目立ったものがない。65歳未満成人の検査確認インフルエンザ関連入院・死亡はH1N1が寄与。H1N1 PDM09は発見以来抗原変異認めず。若年・中年男性への比較的影響はワクチン摂取率の低い世代ということと、H1N1 PDM09ウィルス交叉抗原免疫の影響によるものと思われる。 

 インフルエンザシーズンの重症患者のリスクとして、H1N1 PDM09患者のケア・管理への示唆提供

Critically Ill Patients With Influenza A(H1N1)pdm09 Virus Infection in 2014
Lena M. Napolitano, et. al.
JAMA. Published online February 24, 2014. doi:10.1001/jama.2014.2116

 H1N1pdm09ウィルス感染の大多数は重篤な病態を生じないが、時に急激悪化例が存在する。典型的には4-5日程度で、発熱、咳嗽、鼻漏、筋痛突然発症。4-5日後急激悪化有り、低酸素血症、ショック、多臓器障害が生じる。血行動態・酸素モニタリングが必要で、相関・蘇生施設が必要となる。非侵襲的人工呼吸から60%が気管内挿管へ進む。


 挿管必要重篤H1N1pdm09患者は急速進行性ウィルス性肺炎、重症ARDS(PaO2/FiO2 < 100)発症リスク高い。ステロイドはインフルエンザ特異的治療・ARDS治療のため回避すべき。理論的にはステロイドは炎症誘導性損傷を軽減するが、グラム陰性細菌・真菌肺炎促進とウィルス繁殖遷延化の理論的可能性のため忌避。一方、Empiricalな広域抗生剤を開始すべき。ARDSケアの起訴は、低一回換気量・PEEP増加による肺opening維持。ポジショニング(腹臥位を含めた)、ECMO、神経筋遮断、吸入NO、肺保存的介入など、脂肪アウトカムへまだ一致した結論のないアプローチがある。


 敗血症・輸液補正不能難治性低血圧はH1N1pdm09の30%程度に出現。高用量昇圧剤と急性腎障害との関連性示唆。インフルエンザ脳症・脳炎・心筋炎・心膜炎など稀なる合併症。禁煙・横紋筋融解症・肺塞栓・深部静脈血栓リスク。


抗ウィルス薬は果たして有効か・・・重症患者への抗ウィルス治療有効性RCTのエビデンス充分とは言えない。RT-PCRによる下気道検体検査による治療期間・コントロール期間判定に有効かも。オセルタミビル耐性出現によるものより、治療中の臨床的改善不良・悪化は、主に、急性肺障害やインフルエンザ関連ARDS合併症によるものと考えられる。


 今後、急激悪化例をいかに早期同定するか、適切な抗ウィルス薬治療戦略・エンドポイントの設定、免疫調整剤・アジュバント治療の役割が課題。



朝からの状況、インフルエンザB → インフルエンザA 3連続 → インフルエンザB 2連続 ・・・ 見事に混在してるわ

2014年2月24日月曜日

24時間継続人工呼吸:PPIは、対H2RAに比べ、消化管出血・肺炎、C. difficle感染リスク増加

24時間以上機械式人工呼吸必要成人患者の薬物疫学的コホート研究

PPIは、上記病状において、消化管出血、肺炎、C. difficile感染増加をもたらす。


Histamine-2 Receptor Antagonists vs Proton Pump Inhibitors on Gastrointestinal Tract Hemorrhage and Infectious Complications in the Intensive Care Unit
Robert MacLaren, PharmD, et. al.
JAMA Intern Med. Published online February 17, 2014.

プライマリアウトカムは、侵襲的人工呼吸開始48時間以降のICD-9コード化・胃腸出血、肺炎、CDI(Clostridium difficile感染)

35312名のうち、H2RA 13,439(38.1%) 、 PPI
 21,873(61.9%) 
H2RAの方が頻度少ないのは、胃腸出血(2.1% vs 5.9% ; P < 0.001)、 肺炎(27% vs 38.6% ; p <  0.001)、 CDI 2.2% vs 3.8% ; p <  0.001)

propensity score・共役要素補正後、PPIsでのオッズ増加は、  GI hemorrhage (2.24; 95% CI, 1.81-2.76)、 肺炎 (1.2; 95% CI, 1.03-1.41)、 CDI (1.29; 95% CI, 1.04-1.64)

同様な結果がpropensity-matched モデル 8799名のコホートでも見られる。

2014年2月23日日曜日

COPD患者には、入院イベント増加させないため、軽強度運動維持を!

COPD患者にとって、日々の運動が入院防止にとって重要


運動量が少ないあるいは、運動量が時間と共に減少するCOPD患者では、COPDによると思われる入院イベント増加明らかで、低運動強度、1日3-6km歩行を維持し続けることが、COPD関連入院を減少させる。


Influence of changes in physical activity on frequency of hospitalization in chronic obstructive pulmonary disease
Cristóbal Esteban, et. al.
Respiratology
First published: 2 February 2014  DOI: 10.1111/resp.12239

COPD治療通院患者 543名の身体活動量自己報告、週間3日異常の補強距離と、2年フォローアップ後予後検討 
生存者 391名検討、平均1秒率予測値:FEV1% pred. 52% (± 14%)
身体活動量減少持続では、入院発生 オッズ比 1.90 ( 95% CI, 1.09 - 3.32 )
補正後でもオッズ比 2.13と関連性有り


医療コスト増大させないためにも、FEV1を少しでも増加させ、それが、運動量増加につながるよう指導すべきで、動機付け及び動機付け維持が必要なのだろう。公的コストはこういったことにより使われるべきだろう。

重症市中肺炎原因菌:肺炎球菌の次はレジオネラ

18ヶ月継続多施設前向き臨床研究、サンチアゴ市の4つの病院ICU入院の重症成人患者

104名の重症CAPのうち、肺炎球菌26%、次は、L. pneumophila 9%
Na低値は予後悪い





Importance of Legionella pneumophila in the Etiology of Severe Community-Acquired Pneumonia in Santiago, ChileMgr
Francisco Arancibia,et, al.
Chest. 2014;145(2):290-296. doi:10.1378/chest.13-0162


細菌学的検査は,喀痰・気管気管支吸引試料グラム染色・培養、血液培養2回、L. pneumophilla血清群1と、黄色ブドウ球菌抗原を免疫化学検査(BinaxNOW)施行
鼻腔分泌物を用いて、インフルエンザA、B、parainfluenza 1-3、adenovirus,
RSウィルス検査、間接免疫蛍光検査(Chemicon/EMD Millipore Corp.)検査。
血清IgM:Mycoplasma pneumoniae/C. pneumoniae(RIDASCREEN; R-Biopharm AG)、胸水・BAL検査、結核菌・Hantavirus IgM・IgG抗体にて臨床判断。ELISAで、hantavirus検査
Laguna Negra virus、Andes virus IgM、 Si Nombre virus、Andes virus IgG検査。


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note