2015年7月30日木曜日

米国市中肺炎調査:CDC EPIC研究 ウィルス原因の入院となる市中肺炎は老人でも多い

ChicagoとNashvilleの5ヶ所の病院の18歳以上入院必要市中肺炎の住民ベースサーベイランス



意外なのは、高齢者で、ヒトライノウィルス、インフルエンザA/B、コロナウィルス、パラインフルエンザウィルス、RSウィルス、ヒトメタニューモウイルス感染症(HMPV)原因の肺炎で入院が多いこと



肺炎自体が米国内成人の入院死亡重要要素。入院を要する市中肺炎は高齢者に多い。



Community-Acquired Pneumonia Requiring Hospitalization among U.S. Adults
Seema Jain, et. al. ; for the CDC EPIC Study Team
N Engl J Med 2015; 373:415-427July 30, 2015







2010年1月から2012年6月まで、2488/3684成人登録検討
レントゲン所見ありの2320名の成人で、年齢中央値57歳(IQR 46−71歳)
ICU必要 498名(21%)、死亡 52(2%)


肺炎のレントゲン所見あり、細菌・ウィルス検査共に行われたの2259名のうち、38%。、853名で病原検出:ウィルス1種以上 23%、530、細菌 11%、247、細菌・ウィルス併存 3%、59、真菌・抗酸菌 1%、17


最も多い病原体は、ヒトライノウィルス 9%、インフルエンザ 6%、肺炎球菌 5%


1万名成人対肺炎年次発生数は  24.8 症例 (95% 信頼区間 23.5 〜 26.1)
65−79歳が最も高率で、1万成人対 63.0
80歳以上では164.3


どの病原体でも年齢と共に増加する


若手内科医たちの間で主流となりつつある(?)グラム染色教徒は、市中肺炎診療において、全症例1.5割のために、診療時間の20分程度(染色・鏡検)を、費やすわけだ。


2015年7月29日水曜日

運動代わりの薬剤:ATIC homodimerization阻害作用Compound 14・・・運動せずダイエット?

運動の代わりになる薬剤?

2型糖尿病や肥満治療に役立つ可能性

Compound 14を、肥満・耐糖能低下脂肪食マウスに投与し正常体重に近く、血糖低下。7日間投与すると体重約5%減少したというめでたい結果に・・・


AMPK Activation via Modulation of De Novo Purine Biosynthesis with an Inhibitor of ATIC Homodimerization
Daniel J. et. al.
Chemistry & Biology Volume 22, Issue 7, p838–848, 23 July 2015
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chembiol.2015.06.008
http://www.cell.com/chemistry-biology/abstract/S1074-5521(15)00234-3






Compound 14は、ATICと呼ばれる細胞生酵素の機能をブロックすることで、代謝に働く


ATIC機能ブロックは、ZMP(5-Aminoimidazole-4-carboxamide ribonucleotide)と呼ばれる酵素の累積を生じ、エネルギーを低下させる
細胞に置いて代謝亢進させ、ブドウ糖の摂取を増加させエネルギーレベルをブーストさせる

ZMPは、de novo プリン生合成、ヒスチジン生合成で生まれる代謝産物だが、ホモダイマー二重機能酵素、ATICでのみ細胞内で利用され、de novo プリン生合成の2つのステップの触媒となる酵素である
さらに、ZMPは、細胞透過性ribonucleosideとして内投与すると細胞のエネルギーセンサーAMPKのallosteric acitvatorとしての作用
集合体代謝経路により内因性ZMPが産生されると、AMPK活性化されることがこの報告で示された。


ATIC homodimerization阻害剤で、de novo プリン生合成の9番目のステップを阻害することで、ZMPを増加させ、AMPKを活性化し、下流シグナル化経路をを活性化した。

日本の抗ウィルス薬重視のインフルエンザ診療:課題は併発肺炎、特に医療ケア関連肺炎発症と多剤耐性肺炎

日本は他国と異なる特異的なインフルエンザ診療が行われている。すなわち、インフルエンザ診療にルーチンに抗ウィルス治療がなされている。
検査確認インフルエンザ多施設前向きコホート研究。


対照比較のない研究で有り、日本のインフルエンザの是非を問う研究ではない
予後悪化要素を抽出するのが精一杯・・・

肺炎合併、特に、日本ではNHCAPということになるのだろうが・・・医療関連肺炎:HCAP症例がやはり問題になり、薬剤適正使用厳守必要性が強調された報告となっている




Outcomes and prognostic features of patients with influenza requiring hospitalization and receiving early antiviral therapy:
A Prospective Multicenter-Cohort Study
Takaya Maruyama, et. al.
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.14-2768


1345名のインフルエンザ患者、小児 766名、成人 579名 1歳未満除外 
抗ウィルス治療 1224/1253、97.7% 
成人患者579名中、30日内死亡 24(4.1%)
小児患者766名中、死亡無し 
インフルエンザA 成人 528名、91.2%、慢性基礎疾患あり 509(87.9%) 
レントゲン確認肺炎 211(36.4%) 
死亡24名中20名が肺炎を発症、病原菌は肺炎球菌 12.3%、 黄色ブドウ球菌 10.9%、うちMRSA 3.3%、 Enterobacteriaceae 8.1%、 緑膿菌 3.3%
これらのうち、市中肺炎:CAP分類 151、 医療施設関連(HCAP) 60
不適正治療はCAPよりHCAP多く 15.2% vs  2% , p = 0.001

HCAPでは、潜在性リスクをもつ多剤耐性(MDR)関与が多い ( 21.7% vs 2.6% , p < 0.001)、 特に MRSA(10% vs 0.7%, p=0.002) 、緑膿菌が多い (8.3% vs 1.3%, p=0.021)

事前登録独立要素によるCox比例ハザード モデルでは、男性、重症度スコア、血中アルブミン、肺炎がインフルエンザ発症後30日生存率と関連する






ALLHAT Post Hoc:血圧visit-to-visit 変動性:心発作・致死性心疾患 30%増加、卒中 46%増加、全原因死亡 68%増加

診察時毎の血圧変動:visit-to-visit 変動性、VVVと略している


ALLHATのPost Hocでの解析

安定した血圧管理状態に比べ、約15mm水銀柱の変動は心発作・致死性心疾患を30%も増加させる。さらに卒中は46%増加させ、全原因死亡に関しては58%も増加。



Visit-to-Visit Variability of Blood Pressure and Coronary Heart Disease, Stroke, Heart Failure, and Mortality: A Cohort Study
Paul Muntner, et. al.
Ann Intern Med. Published online 28 July 2015

フォローアップ中、致死性冠動脈性心疾患・非致死性MIイベント 1194、 死亡 1948、 卒中 606、 心不全イベント 921

平均SBPを含めた多変量補正後、SBPのSD 最大5分位vs最小5分位比較 (≥14.4 mm Hg vs. <6 .5="" hg="" mm="" nbsp="" ul="">
  • 1.30 (95% CI, 1.06 to 1.59) for fatal CHD or nonfatal MI
    • 1.58 (CI, 1.32 to 1.90) for all-cause mortality,
    • 1.46 (CI, 1.06 to 2.01) for stroke
    • 1.25 (CI, 0.97 to 1.61) for heart failure


    拡張期BPのVVVも同様にCVDイベント死亡率と相関

    VVVの本質、その機序や有害性メカニズムは?

    大規模とはいえ、Post-Hocで、Causal effectを導くことのできる研究ではない。
    ただ、カルシウム拮抗剤や利尿剤は、他クラスの薬剤と比べ変動性少ないと言えるが、クラスチェンジするにはエビデンス不十分。
    服薬維持性とともに、健康食・運動との関連性も斟酌されるべき・・・ いずれにせよ研究途上



    前立腺癌のための生検基準:年齢補正PSA値の見直し必要?

    PSA総量値のみの基準は国際的に見れば時代遅れで、free/total PSA ratio (%fPSA)が用いられる。PSAは抗プロテアーゼと結合している結合型PSA(主にα1ーantichymotrypsinと結合したPSA-ACT)と遊離型PSAPSA(free PSA; fPSA)に大別され、%fPSAは前立腺癌において低比率であることが利用される。

    1993年開始のTyrol Study
    age-referenced PSA valueとして、>2.5 ng/mL for 40–49 years; >3.5 ng/mL for 50–59 years; >4.5 ng/mL for 60–69 years, and >6.6 ng/mL for 70–79 years) を percentage- free PSA levels of <22 blockquote="">
    以降、Free-PSA低値とPSA総量との組み合わせによる生検基準が一般的になった
    (参照:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2943354/


    Age-Adjusted PSA Levels in Prostate Cancer Prediction: Updated Results of the Tyrol Prostate Cancer Early Detection Program
    Isabel Heidegger, et. al.
    PLOSone Published: July 28, 2015DOI: 10.1371/journal.pone.0134134

    2259名の前立腺生検施行患者で、年齢別、49歳以下 178名、50−59歳 597名、60−69歳 962名、 70歳以上 488名で PSALカットオフ値を考察

    前立腺癌検出1218名(54.7%)

    free-PSA21%以下とベスト特異性を有するフォローPSAカットオフ値の組み合わせ
    • 49歳以下と50−59歳 1.75 ng/ml
    • 60−69歳 2.25 ng/ml
    • 70歳以上 3.25 ng/ml

    年齢補正PSAカットオフ値を用いると、生検数減少のまま全て有意な腫瘍認知

    全体的には、古い基準に比べ、新しいカットオフ値では、13−14名のうち1名の生検回避 (number needed to screen = 13.3, reduction of biopsies = 7.5%)
    49歳以下では9.2名に1人、50−59歳では17.4名に1人回避





    49歳以下



    50-59歳





    60−69歳





    70歳以上






    2015年7月28日火曜日

    nasal balloon(鼻風船?)は、小児の中耳治療法となる

    「鼻風船」? 、nasal balloonは、子供の中耳問題、特に、難聴治療に役立つ














    子供の耳だれは、濃厚な滲出液を伴い中耳に詰まり、聴力障害などを生じる。
    簡単な、遊びのような方法、すなわち、風船をはなで膨らますことを毎日続けると、耳関連のQOLを改善する



    Effect of nasal balloon autoinflation in children with otitis media with effusion in primary care: an open randomized controlled trial
    Ian Williamson, et. al.
    CMAJ July 27, 2015 cmaj.141608 First published July 27, 2015, doi: 10.1503/cmaj.141608


    UK 43家庭医での、オープン・プラグマティック・ランダム化対照トライアル
    耳症状直近有りの滲出性中耳炎、4−11歳の小児で、耳鏡確認
    1−3ヶ月間、autoinflation 1日3回施行+通常ケア vs 通常ケア

    320名登録、1ヶ月時点で正常のympanogramとなったのは 介入群 47.3%(62/131) vs 対照群 35.6% (47/132) ; 補正相対リスク [RR] 0.99 - 1.88)
    3ヶ月時点で、 49.6% [62/125] vs 38.3% [46/120] ; 補正RR 1.37, 95% CI 1.03 - 1.83; NNT 9

    Autoinflationは、耳関連QOLの改善 (補正群間差ベースライン比較 OMQ-14 [耳関連quality of life] score –0.42, 95% CI –0.63 to –0.22)

    コンプライアンスは1ヶ月後89%、 3ヶ月後80%

    副作用は軽度、頻度少なく、群間差なし




    冠動脈疾患:PROMISE研究 冠動脈造影優先戦略は機能的検査よりアウトカム優れているとは言えない



    一般外来での胸痛患者のほとんどは心疾患由来ではないが、こと心血管イベントであれば、重大なアウトカムが予想される。故に、過剰な検査となりがち。

    Marburg Heart Scoreのような一定指標(既知血管疾患、心臓由来との患者推測、労作時悪化胸痛、動悸で悪化しない胸痛、65歳以上の女性・55歳以上の男性)で、2点以下なら低リスク、3なら中間、4−5なら高リスクとなる。


    冠動脈造影CT(CTA)臨床戦略は、機能的検査臨床戦略より臨床的アウトカムを改善するものではないという、PROMISE研究

    5月の論文なのでtoo lateだが・・・今更ながら記載


    Outcomes of Anatomical versus Functional Testing for Coronary Artery Disease
    Pamela S. Douglas, et. al. for the PROMISE Investigators
    N Engl J Med 2015; 372:1291-1300April 2, 2015
    1万3名の有症状患者を以下2つに割り付け
    ・CT血管造影
    ・機能検査(運動負荷心電図、ストレス核検査、ストレス心エコー)

    プライマリアウトカムは、死亡、心筋梗塞、不安定狭心症入院、重大施術合併症の組み合わせ指標


    患者の平均年齢 60.8±8.3 歳、 女性 52.7%、 胸痛もしくは労作性呼吸困難が87.7%

    閉塞性CAD事前尤度平均  53.3±21.4%

    フォローアップ期間中央値は 25ヶ月、プライマリエンドポイント発症は CTA群 164/4996(3.3%) vs 機能検査群  151/5007 (3.0%)  (補正ハザード比, 1.04; 95% 信頼区間, 0.83 to 1.29; P=0.75)


    CTAは、機能検査に比べ非閉塞性CADを示す特性少ない (3.4% vs. 4.3%, P=0.02)、しかし、CTA群の方がランダム化後90日内のカテーテル施行患者多い (12.2% vs. 8.1%)


    患者あたりの累積放射線暴露中央値は機能検査群よりCTA群の方が少ない  (10.0 mSv vs. 11.3 mSv)、しかし、機能検査群の 32.6% が全く放射線暴露なく、故に全体では、CTA群の方が暴露量多い (mean, 12.0 mSv vs. 10.1 mSv; P<0 .001="" div="">



    HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

    「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...