2015年7月31日金曜日

胃前癌病変:北欧のCorreaカスケードの検討

胃癌殷賑地域でないスウェーデンでの胃癌前癌状態評価




Correa's cascadeは、広く認識されている非噴門部腸上皮胃癌のコモンなルートとされている概念図



http://jpp.krakow.pl/journal/archive/09_06_s3/articles/04_article.html



スェーデンでの内視鏡診断とその後のがん化の推移の検討


西洋諸国と日本では内視鏡所見や組織のとらえ方が検査者で一致性に乏しいこと、西洋諸国では胃癌予防のためのHピロリ除菌が推奨され居ないこと、西洋諸国ではディスペプシアといった臨床症状重視の上のHピロリ検査であることなど日本とは直接比較できない背景に未だある。

しかしながら概念だけは共通のものをもちいているという矛盾



Incidence of gastric cancer among patients with gastric precancerous lesions: observational cohort study in a low risk Western population
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h3867 (Published 27 July 2015)








システマティック・レビュー&メタアナリシス:院内手指衛生プロモーション介入

医療従事者の手指衛生に関するWorld Health Organization 2005 campaign (WHO-5) や他のプロモーション介入方法の相対的有効性検討



http://www.who.int/gpsc/tools/Five_moments/en/



Comparative efficacy of interventions to promote hand hygiene in hospital: systematic review and network meta-analysis
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h3728 (Published 28 July 2015)



WHO-5をゴール設定とした2つのランダム化対照トライアルのメタアナリシスにて、コンプライアンス改善認めた (pooled odds ratio 1.35, 95% confidence interval 1.04 to 1.76; I2=81%)

中断期間22ペア比較で、18ペアでは手指衛生のコンプライアンスの段階的増加が見られた 4つを除く全てで、介入後コンプライアンス増加傾向。

ネットワークメタアナリシスでは介入の相対的有効性に関して不確実さが示された。しかし、WHO-5は有効で、ゴール設定、報酬インセンティブ、アカウンタビリティーを含む介入追加にてさらに改善。


19の研究で、林相的アウトカム、臨床的意義としての感染率減少改善効果がある程度示されたが、院内感染病原体すべてで効果が示されたわけではない。


コストは1000ベッドあたり$225〜$4669






2015年7月30日木曜日

米国市中肺炎調査:CDC EPIC研究 ウィルス原因の入院となる市中肺炎は老人でも多い

ChicagoとNashvilleの5ヶ所の病院の18歳以上入院必要市中肺炎の住民ベースサーベイランス



意外なのは、高齢者で、ヒトライノウィルス、インフルエンザA/B、コロナウィルス、パラインフルエンザウィルス、RSウィルス、ヒトメタニューモウイルス感染症(HMPV)原因の肺炎で入院が多いこと



肺炎自体が米国内成人の入院死亡重要要素。入院を要する市中肺炎は高齢者に多い。



Community-Acquired Pneumonia Requiring Hospitalization among U.S. Adults
Seema Jain, et. al. ; for the CDC EPIC Study Team
N Engl J Med 2015; 373:415-427July 30, 2015







2010年1月から2012年6月まで、2488/3684成人登録検討
レントゲン所見ありの2320名の成人で、年齢中央値57歳(IQR 46−71歳)
ICU必要 498名(21%)、死亡 52(2%)


肺炎のレントゲン所見あり、細菌・ウィルス検査共に行われたの2259名のうち、38%。、853名で病原検出:ウィルス1種以上 23%、530、細菌 11%、247、細菌・ウィルス併存 3%、59、真菌・抗酸菌 1%、17


最も多い病原体は、ヒトライノウィルス 9%、インフルエンザ 6%、肺炎球菌 5%


1万名成人対肺炎年次発生数は  24.8 症例 (95% 信頼区間 23.5 〜 26.1)
65−79歳が最も高率で、1万成人対 63.0
80歳以上では164.3


どの病原体でも年齢と共に増加する


若手内科医たちの間で主流となりつつある(?)グラム染色教徒は、市中肺炎診療において、全症例1.5割のために、診療時間の20分程度(染色・鏡検)を、費やすわけだ。


2015年7月29日水曜日

運動代わりの薬剤:ATIC homodimerization阻害作用Compound 14・・・運動せずダイエット?

運動の代わりになる薬剤?

2型糖尿病や肥満治療に役立つ可能性

Compound 14を、肥満・耐糖能低下脂肪食マウスに投与し正常体重に近く、血糖低下。7日間投与すると体重約5%減少したというめでたい結果に・・・


AMPK Activation via Modulation of De Novo Purine Biosynthesis with an Inhibitor of ATIC Homodimerization
Daniel J. et. al.
Chemistry & Biology Volume 22, Issue 7, p838–848, 23 July 2015
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chembiol.2015.06.008
http://www.cell.com/chemistry-biology/abstract/S1074-5521(15)00234-3






Compound 14は、ATICと呼ばれる細胞生酵素の機能をブロックすることで、代謝に働く


ATIC機能ブロックは、ZMP(5-Aminoimidazole-4-carboxamide ribonucleotide)と呼ばれる酵素の累積を生じ、エネルギーを低下させる
細胞に置いて代謝亢進させ、ブドウ糖の摂取を増加させエネルギーレベルをブーストさせる

ZMPは、de novo プリン生合成、ヒスチジン生合成で生まれる代謝産物だが、ホモダイマー二重機能酵素、ATICでのみ細胞内で利用され、de novo プリン生合成の2つのステップの触媒となる酵素である
さらに、ZMPは、細胞透過性ribonucleosideとして内投与すると細胞のエネルギーセンサーAMPKのallosteric acitvatorとしての作用
集合体代謝経路により内因性ZMPが産生されると、AMPK活性化されることがこの報告で示された。


ATIC homodimerization阻害剤で、de novo プリン生合成の9番目のステップを阻害することで、ZMPを増加させ、AMPKを活性化し、下流シグナル化経路をを活性化した。

日本の抗ウィルス薬重視のインフルエンザ診療:課題は併発肺炎、特に医療ケア関連肺炎発症と多剤耐性肺炎

日本は他国と異なる特異的なインフルエンザ診療が行われている。すなわち、インフルエンザ診療にルーチンに抗ウィルス治療がなされている。
検査確認インフルエンザ多施設前向きコホート研究。


対照比較のない研究で有り、日本のインフルエンザの是非を問う研究ではない
予後悪化要素を抽出するのが精一杯・・・

肺炎合併、特に、日本ではNHCAPということになるのだろうが・・・医療関連肺炎:HCAP症例がやはり問題になり、薬剤適正使用厳守必要性が強調された報告となっている




Outcomes and prognostic features of patients with influenza requiring hospitalization and receiving early antiviral therapy:
A Prospective Multicenter-Cohort Study
Takaya Maruyama, et. al.
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.14-2768


1345名のインフルエンザ患者、小児 766名、成人 579名 1歳未満除外 
抗ウィルス治療 1224/1253、97.7% 
成人患者579名中、30日内死亡 24(4.1%)
小児患者766名中、死亡無し 
インフルエンザA 成人 528名、91.2%、慢性基礎疾患あり 509(87.9%) 
レントゲン確認肺炎 211(36.4%) 
死亡24名中20名が肺炎を発症、病原菌は肺炎球菌 12.3%、 黄色ブドウ球菌 10.9%、うちMRSA 3.3%、 Enterobacteriaceae 8.1%、 緑膿菌 3.3%
これらのうち、市中肺炎:CAP分類 151、 医療施設関連(HCAP) 60
不適正治療はCAPよりHCAP多く 15.2% vs  2% , p = 0.001

HCAPでは、潜在性リスクをもつ多剤耐性(MDR)関与が多い ( 21.7% vs 2.6% , p < 0.001)、 特に MRSA(10% vs 0.7%, p=0.002) 、緑膿菌が多い (8.3% vs 1.3%, p=0.021)

事前登録独立要素によるCox比例ハザード モデルでは、男性、重症度スコア、血中アルブミン、肺炎がインフルエンザ発症後30日生存率と関連する






ALLHAT Post Hoc:血圧visit-to-visit 変動性:心発作・致死性心疾患 30%増加、卒中 46%増加、全原因死亡 68%増加

診察時毎の血圧変動:visit-to-visit 変動性、VVVと略している


ALLHATのPost Hocでの解析

安定した血圧管理状態に比べ、約15mm水銀柱の変動は心発作・致死性心疾患を30%も増加させる。さらに卒中は46%増加させ、全原因死亡に関しては58%も増加。



Visit-to-Visit Variability of Blood Pressure and Coronary Heart Disease, Stroke, Heart Failure, and Mortality: A Cohort Study
Paul Muntner, et. al.
Ann Intern Med. Published online 28 July 2015

フォローアップ中、致死性冠動脈性心疾患・非致死性MIイベント 1194、 死亡 1948、 卒中 606、 心不全イベント 921

平均SBPを含めた多変量補正後、SBPのSD 最大5分位vs最小5分位比較 (≥14.4 mm Hg vs. <6 .5="" hg="" mm="" nbsp="" ul="">
  • 1.30 (95% CI, 1.06 to 1.59) for fatal CHD or nonfatal MI
    • 1.58 (CI, 1.32 to 1.90) for all-cause mortality,
    • 1.46 (CI, 1.06 to 2.01) for stroke
    • 1.25 (CI, 0.97 to 1.61) for heart failure


    拡張期BPのVVVも同様にCVDイベント死亡率と相関

    VVVの本質、その機序や有害性メカニズムは?

    大規模とはいえ、Post-Hocで、Causal effectを導くことのできる研究ではない。
    ただ、カルシウム拮抗剤や利尿剤は、他クラスの薬剤と比べ変動性少ないと言えるが、クラスチェンジするにはエビデンス不十分。
    服薬維持性とともに、健康食・運動との関連性も斟酌されるべき・・・ いずれにせよ研究途上



    前立腺癌のための生検基準:年齢補正PSA値の見直し必要?

    PSA総量値のみの基準は国際的に見れば時代遅れで、free/total PSA ratio (%fPSA)が用いられる。PSAは抗プロテアーゼと結合している結合型PSA(主にα1ーantichymotrypsinと結合したPSA-ACT)と遊離型PSAPSA(free PSA; fPSA)に大別され、%fPSAは前立腺癌において低比率であることが利用される。

    1993年開始のTyrol Study
    age-referenced PSA valueとして、>2.5 ng/mL for 40–49 years; >3.5 ng/mL for 50–59 years; >4.5 ng/mL for 60–69 years, and >6.6 ng/mL for 70–79 years) を percentage- free PSA levels of <22 blockquote="">
    以降、Free-PSA低値とPSA総量との組み合わせによる生検基準が一般的になった
    (参照:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2943354/)


    Age-Adjusted PSA Levels in Prostate Cancer Prediction: Updated Results of the Tyrol Prostate Cancer Early Detection Program
    Isabel Heidegger, et. al.
    PLOSone Published: July 28, 2015DOI: 10.1371/journal.pone.0134134

    2259名の前立腺生検施行患者で、年齢別、49歳以下 178名、50−59歳 597名、60−69歳 962名、 70歳以上 488名で PSALカットオフ値を考察

    前立腺癌検出1218名(54.7%)

    free-PSA21%以下とベスト特異性を有するフォローPSAカットオフ値の組み合わせ
    • 49歳以下と50−59歳 1.75 ng/ml
    • 60−69歳 2.25 ng/ml
    • 70歳以上 3.25 ng/ml

    年齢補正PSAカットオフ値を用いると、生検数減少のまま全て有意な腫瘍認知

    全体的には、古い基準に比べ、新しいカットオフ値では、13−14名のうち1名の生検回避 (number needed to screen = 13.3, reduction of biopsies = 7.5%)
    49歳以下では9.2名に1人、50−59歳では17.4名に1人回避





    49歳以下



    50-59歳





    60−69歳





    70歳以上






    HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

    「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...