2016年1月26日火曜日

非弁膜症性心房細動:多剤使用多く、出血リスク高まる ・・・NOACはリスク軽減?

非弁膜症性心房細動はもともと高血圧症合併多く、また、心不全合併したり、糖尿病併発症・脂質異常も多い。故に、日常臨床としてポリファーマシーとならざる得ないことが多い。


ポリファーマシーにおける、NOAC vs ワルファリン  ということで、リバロキサバンとワルファリン特性比較でNOACの優越性に関する報告



Polypharmacy and the Efficacy and Safety of Rivaroxaban Versus Warfarin in the Prevention of Stroke in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation
Jonathan P. Piccini, et. al.
Circulation. 2016; 133: 352-360
Published online before print December 16, 2015,
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.115.018544(pdf)

 ベースライン での薬剤数 0−4は 5,101 (36%)、薬剤数 5-9は 7298 (51%)、薬剤数 10以上は 1,965 (13%) 





polypharmacyは卒中や非中枢神経系塞栓リスクと相関せず (補正ハザード比 1.02 for ≥ 10 versus 0–4 medications; 95% 信頼区間, 0.76–1.38)
しかし、複合エンドポイント(卒中・非中枢神経系全身塞栓、血管疾患死、心筋梗塞)のリスク増加と相関  (補正ハザード比, 1.41 for ≥ 10 versus 0–4 medications; 95% 信頼区間, 1.18–1.68)
さらに、非重大臨床的出血あるいは重大出血のリスク増加と相関   (補正ハザード比, 1.47 for ≥ 10 versus 0–4 medications;  95% 信頼区間, 1.31– 1.65)











薬剤数による群間差は、一次有効性 (補正interaction P =0.99)と安全性アウトカム (補正interaction P =0.87) においては有意差認めず



 薬剤数 0-4ではリバロキサバンでの重大出血発生率低下認める (補正ハザード比 o, 0.71; 95% 信頼区間, 0.52–0.95; interaction P =0.0074)








 cytochrome P450 3A4とP-glycoprotein inhibitorを含む1剤以上で、アウトカムが異なるというエビデンスは認めない






 結論: 心房細動患者において、5剤以上のポリファーマシーは2/3。
薬剤数多いほど出血リスク増加するも卒中リスクは増加と相関せず
リバロキサバンは多薬剤患者でも横断的に耐用性良い





図譜をみると、言うほど、リバロキサバン優越性あるとは思えないけど・・・


主題とは関係ない話・・・
 この論文見ながら、日本の医療保険制度の矛盾点の一つだが多薬剤ほど診療報酬減ぜられる不思議が頭に浮かぶ
「併発症多いほど薬剤必要数多くなる」
「薬剤相互作用など考慮するなど薬剤数多いほど処方に関する技術が求められる」
にもかかわらず、薬剤数多いほど技術料が減らされるのである

「かかりつけ医」「総合診療」推進と国は謳いながら、実際には薬剤数増えざる得ない患者を診るほど技術料減らしているのである・・・「くそ役人」の考えることは浅はか


2016年1月25日月曜日

TPP:今更ながらの懸念

日本内での反TPP議論と一致していると思うので概略を紹介


製薬イノベーションへのTPPの影響
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/ehs-teo012216.php

Research in Social and Administrative Pharmacy (RSAP)の考察的コメント
合意の主要コンポーネントの枝葉、特に世界的薬品産業への影響について


3つの議論
・製薬価格の引き上げ:特に低所得国へのネガティブな影響大
・参加各国の健康施策により大規模多国籍製薬会社経済医療へ影響を与えたとして係争の種をばらまくこととなる 
・多国籍製薬企業はネゴシエーションの中で、過度の保護貿易への影響を受け、ネゴシエーション的地位は各国公衆衛生と対立する

ISDSへの懸念、オーストラリア・ニュージーランドなどの国々から薬品低価格化維持希望とする各国からの圧力があるとするが、逆に、これらの国の薬剤行政を危うくする可能性あり、影響少なからず


Freeman教授(f the Department of Pharmacy Practice and Administration at The University of Maryland Eastern Shore, Princess Anne, Maryland, USA)の結論は、TPP参加各国の医療へのインパクトは、実に公衆衛生的懸念であり、TPPのようは貿易上の一致項目は公衆衛生上のアウトカムの主題とはならない、最終一致において十分な考察がなされるだろうなんて非現実的であるとしている。




担当大臣の政治的スキャンダル、米国の議会・大統領選挙、参加各国国民の反対運動など、流動的な印象を受ける。そもそも、多国籍企業や輸出・輸入業者の一部に利益性があるだけでさほど日本国民に利益性があるとは渡しには思えないのだが・・・


年々力をもつ巨大寡占的国際製薬および医療機器企業の政治力が各国医療行政の権利侵害するルール


地上レベルオゾン慢性暴露:大規模前向き研究で全原因、心血管系、呼吸器系死亡リスク増加判明

対流圏オゾンは心血管疾患リスクや早死に関連する可能性があるが、オゾンの長期的疫学研究は乏しく、結論づけ困難。
長期大気オゾン暴露と全原因死亡・原因特異的死亡率を米国大規模成人コホートで検討


結論は、大規模前向き研究から、長期待機オゾン暴露は呼吸器系、循環器系死亡率リスクに関与

オゾンレベルが 10 ppb増える毎、糖尿病死亡リスク 16%増加、COPD死亡リスク 14%増加




Long-Term Ozone Exposure and Mortality in a Large Prospective Study
Michelle C Turner, et. al.
Am J Respir Crit Care Med. First published online 17 Dec 2015 as DOI: 10.1164/rccm.201508-1633OC
Read More: http://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201508-1633OC



対象:1982年登録の Cancer Prevention Study-II 被検 669,046名解析、内 237,201死亡 (2004年から)、Hierarchical Bayesian Space Time Modelから被検居住地域のオゾン濃度推定
方法:PM2.5、NO2 濃度推定は、land-use regressionから求める
Cox比例ハザード回帰モデルを個別・経済レベル共役要素補正後死亡率のため用いる

測定項目と結果
単一汚染物質モデルだと、オゾン、PM2.5、NO2と全原因・原因別死亡率で正相関認める

PM2.5補正2汚染物質モデルだと、オゾンと全原因死亡率 (HR per 10 ppb = 1.02, 95% CI 1.01-1.04)と、循環器系死亡率(HR = 1.03, 95% CI 1.01-1.05),、呼吸器系死亡率(HR = 1.12, 95% CI 1.08-1.16) の有意な正相関認める、NO2補正モデルでは変化無し

多汚染物質モデルで、PM2.5とNO2との死亡率正相関認める
呼吸器系疾患既往ない症例での呼吸器系死亡率との関連性が特に目立ち、呼吸器系疾患発症・急性増悪と関連する可能性が強く示唆される



CPS-II( American Cancer Society Cancer Prevention Study II )解析でも、オゾンと呼吸器系死亡率の関連性示されている
http://www.cancer.org/research/researchtopreventcancer/currentcancerpreventionstudies/cancer-prevention-study




15分程度の短期的閾値のみ記載
http://www.cdc.gov/niosh/pel88/10028-15.html


長期的影響を無視した基準となっているのでは?
 ↓
オゾン許容濃度・基準など

http://o3.kalmor.jp/technology/page7.html






交通大気汚染(NOx、PM10):1歳未満の暴露が16歳での肺機能低下に相関



Early-Life Exposure to Traffic-related Air Pollutin Jon and Lung Function in Adolescence
Erica S. Schultz, et. al.
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 193, No. 2 (2016), pp. 171-177.

生まれてから1年間の交通大気汚染暴露はその後16歳での一秒量に影響を与える
NOx濃度 10 μg/m3あたり -15.8 mL (95% 信頼区間 [CI], -33.6 to 2.0) 減少し、男児で特に著明 (−30.4 ml; 95% CI, −59.1 to −1.7)で、妊娠・新生児中の母体への喫煙に関連せず


それ以降の暴露での付加的ネガティブな影響は認めず


生まれて1歳以下での高暴露はFEV1、FVCにおけるLLN(z-score < -1.64 SD定義)未満オッズ比と相関:3.8 (95% CI, 1.3–10.9)、4.3 (95% CI, 1.2–15.0),

PM10の結果もNOxと同様


重症喘息:自然免疫生体防御活性が低下 BAL中SP-D濃度低下

血中・気管支肺胞洗浄液(BAL)中のSP-D(surfactant protein D)の濃度測定

SP-Dは、自然免疫防御の必須構成要素


重症喘息では自然免疫生体防御活性が低下する。即ち、BALのSP-D濃度低下し、気道好中球とともに存在する細菌の存在しやすくなる。



Airway surfactant protein D (SP-D) deficiency in adults with severe asthma
Rose-Marie A. Mackay, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.012

健康対照者(n=10)・軽症喘息(n=22)症例と比較して、BALのSP-D値は、重症喘息症例(n=28)で、有意低下 (p < 0.001)。
血中SP-Dは健康対照者・軽症喘息症例と比較して、重症喘息で増加 (p< 0.001)
BAL/血中比は、重症喘息で低下  (p< 0.001)

BAL誘導SP-Dの減少は、血中・SP-Dのdegraded fragment増加、BAL好中球・LPS値増加と関連









コレクチンは,コラーゲン様ドメインとC型レクチンドメインを有するハイブリッドタンパク質で,分泌型コレクチンとしては,肺コレクチンのSP-AとSP-Dおよびマンノース結合タンパク質(MBL)がこれに属する.
肺コレクチンは,肺サーファクタントの構成成分である.
・・・
生体防御レクチンとして機能するコレクチンは,自然免疫を構成する重要な因子の一つである.自然免疫は,病原微生物に存在する特有の分子パターンを認識することによって自己と非自己を区別して排除し,生体を守る最も基本的な生体防御機構である.
パターン認識分子として,リポ多糖(LPS)やペプチドグリカン(PGN)などの病原微生物構成成分(pathogen-associatedmolecularpatterns,PAMPs)を識別するCD14やToll様受容体(TLR)およびレクチンがある.
CD14やTLRはともにエンドトキシン受容体(pathogenreceptor)として機能し,エンドトキシン惹起細胞応答のシグナル伝達に必須な分子で,パターン認識受容体と呼ばれている.気道・肺胞系の呼吸器は外界に開放しており,病原微生物侵入の危険に常に曝されているので,肺コレクチンのSP-AとSP-Dが担う自然免疫生体防御はきわめて重要である.

"SP-AはTLR4/MD-2発現細胞に対するsmooth LPSの結合を阻止し、LPS惹起炎症を抑制した。SP-Aの機能ドメインは糖鎖認識領域(CRD)であるが、コラーゲン様領域を除去した CRF(collagenase-resistant fragment)は、TLR4に対する結合親和性が著明に低下しており、LPS惹起炎症抑制効果も認められなかったので、18量体からなるSP-Aの多 量体構造が機能発現に重要"である一方、"SP-Dは、LPS惹起炎症反応を挿制することが示されたが、SP-Aと異なり、血清型の異なるsmooth LPSとrough LPS両者の惹起する炎症を抑制"


閉塞型無呼吸CPAP治療疑似動物実験:間歇的低酸素血症暴露による心血管組織変化とその可逆性

間欠性低酸素血症が、心血管死亡・合併症への主たる障害要素だろう
閉塞型無呼吸へのCPAP治療は、心血管リスク減少指せる可能性あるも、間欠性低酸素血症排除後心血管リモデリングの可逆性存在するかのエビデンスなかった

C57BL6マウスに6週間の間欠性低酸素血症暴露とその後正常動脈血6週間暴露研究



Intermittent Hypoxia-Induced Cardiovascular Remodeling is Reversed by Normoxia in A Mouse Model of Sleep Apnea
A.L. Castro-Grattoni ,et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.010


大動脈拡大リモデリングが間欠性低酸素により生じ、内中膜複合体肥厚を伴い、内腔外周変化を伴わない

間欠性低酸素により、断裂繊維の両端間の弾性繊維ネットワークdisorganization、fragmentation、estrangement増加。

細胞外マトリックスturnover変化はコラーゲンやムコイドの層内蓄積により可視化された

さらに、左室血管周囲線維化も間欠性低酸素により増加する。一方、心臓の心筋細胞は影響を受けない。
CPAP治療疑似化した正常酸素血症回復後低酸素による心血管リモデリングイベントは正常化する




OSA患者・高血圧においてnCPAPは確かに降圧効果あるもののその効果は軽度。だが、組織学的変化改善効果はあるようだ。となると、非可逆性変化を生じないうちに、早期OSA改善が必要となる・・・

特発性肺線維症:システミックレビュー・ネットワークメタアナリシス:プレスパ・オフェブともに厳しい評価

2014年8月以前の研究のランダム化評価のシステミックレビュー・ネットワークメタアナリシス

なかなか手厳しい結果


単独治療16種類の30研究を登録レビュー

fixed effectモデル、random effectモデルとも、プラシーボより優れた呼吸器疾患死亡率改善効果認めたものなし
全原因死亡率においてピルフェニドンとニンテナビブは、fixed effect modelにおける帰無仮説境界を軽度またぐ効果あり
注目すべきは、呼吸器特異的死亡率、全原因死亡率、FVC予測比において両薬剤とも明確で、クリアなアドバンテージ認めず


Drug Therapy for Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Systematic Review and Network Meta-Analysis
W. Canestaro, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.013



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