2016年4月22日金曜日

我が町:若年心臓突然死心配のための検診は意味があるのか?

ある地域で「保護者の希望があり、持久走前臨時健康診査を、校医に依頼」することが長年行われてきた。「 学校年間行事なのに、"臨時健康診査”とはいかに?」と食い下がったところ、やっと今年から行わないこととなったらしい。変な文面の通知が届いた。



学校保健安全法施行規則 (昭和三十三年六月十三日文部省令第十八号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S33/S33F03501000018.html
(臨時の健康診断)
第十条  法第十三条第二項 の健康診断は、次に掲げるような場合で必要があるときに、必要な検査の項目について行うものとする。 一  感染症又は食中毒の発生したとき。
二  風水害等により感染症の発生のおそれのあるとき。
三  夏季における休業日の直前又は直後
四  結核、寄生虫病その他の疾病の有無について検査を行う必要のあるとき。
五  卒業のとき。

こういう文面すら読んでない、教育委員会・各学校長・担当職員たちが存在する我が町
・・・で、検診内容は心電図やら心エコーやらではなく単に身体診察と問診のみというあきれるお話で、「教育関係者の目的はアリバイ的に診療をさせ医者に補償および責任転嫁のみを要求」するアホ役人発想


ところで、この学校関係者たちが心配する、若年者の心臓突然死を予測することの意義に関するエビデンスは存在するのだろうか?しかも、医師の直感や身体所見などというプリミティブな技法ではなく、科学的手法によるスクリーン(検診)技術でエビデンスは確立しているのであろうか?




Harms and benefits of screening young people to prevent sudden cardiac death
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i1156 (Published 20 April 2016) Cite this as: BMJ 2016;353:i1156



キーメッセージ
・若年アスリート年次死亡率は、推定0.001%、スクリーニング目的はリスク状態にある心臓疾患発見のため 
・スクリーンされたうち30%までが、不要なはずの不安を生じ、過剰診断、過剰治療、スポーツ回避措置に繋がった 
・スクリーンは心臓突然死リスク約25%程度は検知できず、スクリーンのためのランダムトライアルもなされてない。 
・若年アスリートにおける心血管検診バランスにおいて、ベネフィットより有害性が多いと思われる
↑
金と手間をかけた検診でさえ上記状況



表題は若年者とあるが、若年健康アスリートであり、より負荷の高い運動が想定される。学校行事程度の低リスクにおいて、あえて心臓突然死リスクのための検診を強要するとは鬼畜。校医なんてやめようかとおもってるが今年は一応引き受けた。全国ではさすがにこういうことはないのでしょうねぇ?

駆出率低下心不全:年齢・性別問わずβ遮断剤使用すべき

β遮断剤は心不全・左室駆出率低下症例では合併症・死亡率を減少させるが、年齢、性別というバイアスでの個別要素検討は十分ではなかったとのことでの検討



Effect of age and sex on efficacy and tolerability of β blockers in patients with heart failure with reduced ejection fraction: individual patient data meta-analysis
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i1855 (Published 20 April 2016)

前向き、40−85歳個別データ、前向きデザイン・メタ解析、13833名、11トライアル、女性 24%

プラシーボ比較、β遮断剤は全年齢横断的に死亡率減少 
: ハザード比 年齢分布第1・4分位(年齢中央値 50歳) 0.66 (95% 信頼区間 0.53 to 0.83) 、第2・4分位(年齢中央値 60歳) 0.71 (0.58 to 0.87、第3・4分位(年齢中央値 68歳) 0.65 (0.53 to 0.78)、第4・4分位(年齢中央値 75歳) 0.77 (0.64 to 0.92)


年齢を連続変数とした場合有意相関無く(P=0.1)、死亡絶対的減少はフォローアップ中央値1.3年間で、4.3%(NNT 23)

心不全入院はβ遮断剤で有意減少するも、この効果は加齢と共に減少 (interaction P=0.05)


治療効果と性別の相関はどの年齢群でも認めない

薬剤中止は治療割り付け、年齢、性別と無縁に同様 (β遮断剤 14.4%  , プラシーボ 15.6% )




ISA+、非選択性β遮断剤使用症例を最近見たのだが・・・ 喘息合併だったので特に他β遮断剤へ変更願いたいと・・・ 依頼した

2016年4月21日木曜日

成功初体験年齢に関わる遺伝子

Physical and neurobehavioral determinants of reproductive onset and success

Felix R Day , et. al.
Nature Genetics , Received 17 November 2015; accepted 24 March 2016; published online 18 April 2016; doi:10.1038/ng.3551
http://www.nature.com/articles/ng.3551.epdf


二次性徴、初回性行為:初体験 first sex (AFS)、初出産first birth (AFB)年齢とゲノム・ワイド関連
アイスランド男女24万1910名男女、Women's Genome Health Study 2万187名女性からの知見


Nature Genetics誌で解説

初体験年齢を支配する、ヒトゲノム 38 spot同定

二次性徴年齢が初体験年齢に影響を与え、早熟なほどAFS早期
同様に健康への脅威を高め、2型糖尿病、心血管疾患発症尤度を高めるとの発見も

早熟なため若年でのストレス尤度高く、かつ、タバコなど有害性嗜好尤度も高めることも関係するのかもしれない

子宮けいがんワクチン 学会が接種勧める見解・・・

子宮けいがんワクチン 学会が接種勧める見解 4月21日
(パナマ文書で有名なNHK)


ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種推進に向けた関連学術団体の見解(予防接種推進専門協議会)について
https://www.jpeds.or.jp/modules/news/index.php?content_id=211

http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/information/20160421_HPV.pdf





既知のこととは思うが、以下の新聞記事・・・




Rにて計算
binom.test(11,12)
data:  11 and 12
number of successes = 11, number of trials = 12, p-value = 0.006348
alternative hypothesis: true probability of success is not equal to 0.5
95 percent confidence interval:  0.6152038 0.9978924
sample estimates: probability of success       0.9166667

あまりにtinyなn数・・・これは反ワクチングループにとっての格好の材料とされるだろうと想像できる


イデオロギーとしての「反ワクチン」の存在

これがあるから、(今はだんまりの)自民・公明の女性議員たちのごり押し「義務化」に眉をひそめていた・・・というか、直感的にも反感を覚えていた


結果は、国際的に希有な「HPVワクチン不在国」と成り下がった日本

議員たちは責任をいまこそとるべき・・・



そもそも、

日本では「子宮頚癌ワクチン」なんて名称をつけてるから、「米国内では11−12歳の男女児に対して子宮頚癌ワクチン推奨」なんてへんな記載になる

せめて、HPVワクチンと呼ぶべきだろう


米国内医師たちの4名に1人はHPVワクチンを強く推奨することはしない。リスクの方が高いと


Many U.S. Physicians Communicate With Parents in Ways That May Discourage HPV Vaccination
10/22/2015
http://www.aacr.org/Newsroom/Pages/News-Release-Detail.aspx?ItemID=774#.VikTHvmrS00



Quality of Physician Communication about Human Papillomavirus Vaccine: Findings from a National Survey
Melissa B. Gilkey1, et. al.
Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention
Published OnlineFirst October 22, 2015; doi: 10.1158/1055-9965.EPI-15-0326


ごく少数というわけではない相当、報告医師の27%で、HPVワクチンを強力に推奨しない。タイムリー推奨に関しては、女児対するワクチン推奨 26%、男児に対するワクチン推奨 39%の報告。

【薬害】抗コリン剤と脳構造・代謝的変化、症候的変化


抗コリン剤は、かぜ薬、アレルギー薬、うつ薬剤、降圧剤、心臓系薬剤として広範に使用されるが、認知機能障害や認知症と関連性が知られている。

抗コリン剤使用累積量に応じて認知症リスク増大
kaigyoi.blogspot.com/2015/01/blog-post_89.html
2015/01/26
抗コリン作用薬は認知機能を低下し、寿命を短縮する
intmed.exblog.jp/13019444/
抗コリン作動性薬剤での認知機能低下
intmed.exblog.jp/8715406/
2009/07/28

あらたなるエビデンス追加



Association Between Anticholinergic Medication Use and Cognition, Brain Metabolism, and Brain Atrophy in Cognitively Normal Older Adults
Shannon L. Risacher, et. al.  ; for the Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative
JAMA Neurol. Published online April 18, 2016. doi:10.1001/jamaneurol.2016.0580

Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative (ADNI) 及び I Indiana Memory and Aging Study (IMAS) という縦軸研究

ANDIはベースライン受診後3,6,12ヶ月その後年次繰り返し
IMASはベースライン受診後18ヶ月


抗コリン作動製薬剤:AC服用、非服用

認知スコア、平均FF-18-FDG取り込み率(ANDI研究のみ)、MRI脳萎縮評価を比較
ACバーデンスコアを計算
AC使用と長軸臨床的減衰率(平均[SD]フォローアップ期間 32.1 [24.7]ヶ月(レンジ, 6-108ヶ月)をCox回帰で検討


52名の抗コリン作動製薬剤服用:AC+、AND被検者(平均 [SD] 歳, 73.3 [6.6] 歳)では、AC-350名( (平均 [SD] 歳 73.3 [5.8] 歳) に比べ、
Weschler Memory Scale–Revised Logical Memory Immediate Recall 低値 (raw mean score: 13.27 for AC+ participants and 14.16 for AC− participants; P =0.04)
Trail Making Test Part B 低値(raw mean scores: 97.85 seconds for AC+ participants and 82.61 seconds for AC− participants; P =0.04)
lower executive function composite score 低値(raw mean scores: 0.58 for AC+ participants and 0.78 for AC− participants; P =0.04)


AC+ではACー比較して 総皮質容積と側頭葉皮質厚減少、側脳室増大、下方側脳室容積増大



過活動性膀胱に於ける抗コリン剤が頻用される日本

また、吸入薬剤とはいえ、COPD薬剤も安全性担保必要と思う

2016年4月19日火曜日

呼吸器系吸入手技:20年間進歩なし

グローバルにも吸入手技改善効果認めてないらしい。DPI製剤多種出現してさらに混乱を呈している実地。




Systematic Review of Errors in Inhaler Use: Has Patient Technique Improved Over Time?
Joaquin Sanchis, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.03.041
システマティック・レビュー&メタアナリシス
144記事、54,354名、テクニック観察 59,584テスト

MDIエラー内訳
co-ordination  45% , 95% CI, 41-49%
吸気速度 and/or 深さ 44% , 95% CI, 40-47%
吸気後呼吸ホールド 46% , 95% CI, 42-49%

DPIエラー内訳
準備の誤り 28% (26–33%)
吸気前呼気最大化 46% (42–50%)
吸入後呼吸ホールド 37% (33–40%)


正確なテクニックな全般頻度は 31% (28–35%)
許容範囲 41% (36–47%)
不良 31% (27–36%)

調査期間20年間の前半と後半でその頻度分布に変化無し



吸入指導の重要性は厚労省にないらしく、今度の吸入指導関連新規項目も医療機関持ちだし&厳しい縛りで・・・現実的とは言えないものである(薬価を高価にするだけしか能の無い、馬鹿役人は薬剤の適正使用による効用をしらない様である)

メトホルミンは現時点で単独勝者:心血管イベント減少確認

全くグローバルスタンダードでない、日本の糖尿病・高血圧などの診療

最たるものが、2型糖尿病におけるメトホルミンの位置づけ
欧米では、T2DM診断、即、メトホルミン投与考慮
今回の、140万名超、204研究の解析で、メトホルミンはSU剤に比べ心血管疾患リスク30−40%減少。



「"Metformin looks like a clear winner"」ということで、2−3年間2型糖尿病治療に於ける、最大エビデンスの一つとなろう・・・という解説(http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-04/jhm-ddm041416.php)

生命危機に関わるケトアシドーシス・シックデイ対応など注意は必要だが、SU剤だって不可逆性脳障害を生じるわけだから、注意すべきなのは同様なはず
file:///Users/makiseyoichi/Downloads/recommendation_biguanide.pdf

糖尿病診療も目標の一つは微小血管疾患だけでなく、心血管疾患合併症リスク軽減のはず


Diabetes Medications as Monotherapy or Metformin-Based Combination Therapy for Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-analysis
Nisa M. Maruthur, et. al.
Ann Intern Med. Published online 19 April 2016 doi:10.7326/M15-2650
http://annals.org/article.aspx?articleid=2513979


心血管死亡率はvs SU剤に対し、メトホルミン減少
全原因死亡率、心血管合併症、微小血管障害合併症に関しては不十分、強度は弱い

HbA1c減少程度は単剤横断的及びメトホルミンベース併用で同等だが、例外はDPP-4阻害剤がやや効果乏しい


体重は、メトホルミン、DPP-4阻害剤、GLP-1受容体アゴニストで減少維持、SU剤、チアゾリジン系、インスリンで増加(群間差 5kまで)


低血糖はSU剤で頻度多く、胃腸合併症はメトホルミン、GLP-1受容体アゴニスト頻度大
性器真菌感染はSGLT-2阻害剤で増加



EMPA-REG程度では、SGLT-2阻害剤評価まだまだなんだなぁ

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...