2012年5月16日水曜日

ECLIPSE 研究:IL-6を加えることでCOPDアウトカム推定正確性増す

ECLIPSE:
COPDで、IL-6を加えることで、アウトカム推定確からしさ改善する。


Inflammatory Biomarkers Improve Clinical Prediction of Mortality in Chronic
Obstructive Pulmonary Disease
Bartolome R. Celli, et.al.
ECLIPSE Investigators
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2012;185 1065-1072
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/185/10/1065?etoc

身体計測上要素、スパイロメトリ、6MWD、呼吸苦、BODE指数、入院既往、CTスキャン肺気腫測定

白血球数、好中球数、クララ細胞分泌protein-16、IL-6、IL-8、TNFαを登録時、再診時測定。

 死亡 168/1843(9.1%)

非生存者は高齢で、より重度気流制限、呼吸困難重度、高BODEスコア、高肺気腫スコア、合併症率高く、入院既往あり

臨床的指標を用いた死亡予測モデルは、年齢、 BODE、入院既往 (C statistic of 0.686; P < 0.001)



単一バイオマーカー(IL-6)はC statisticを改善し0.708へ

しかし、すべてのバイオマーカーを加えても、0.726(P=0.003)



 

COPD:鍼で、運動耐容能、労作性呼吸苦改善

 労作性呼吸困難(DOE)はCOPDの主な症状で、コントロールは困難。標準薬物治療を受けているCOPD患者に対して、鍼がプラシーボよりDOE改善効果として優れているかの検討。

 12週後、6分間歩行試験後のBorgスケールスコアは、リアル鍼はプラシーボ鍼に比べ有意に改善(共役変数解析によるベースラインからの平均[SD] 差、-3.6[1.9] vs 0.4[1.2]、 共役変数解析による群間平均差、 −3.58; 95% CI, −4.27 to −2.90)

リアル鍼を受けたCOPD患者は、6分間歩行距離の改善を認め、運動耐用性改善、DOEの改善を示唆する

A Randomized, Placebo-Controlled Trial of Acupuncture in Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD)The COPD-Acupuncture Trial (CAT)
Arch Intern Med. 2012;():1-9.


Acupuncture points used. The acupuncture points were selected according to traditional Chinese medicine theory: (1) LU1 (Zhongfu) and (2) LU9 (Taiyuan) in the lung meridian; (3) LI18 (Futu) in the large intestine meridian; (4) CV4 (Guanyuan) and (5) CV12 (Zhongwan) in the conception vessel; (6) ST36 (Zusanli) in the stomach meridian; (7) KI3 (Taixi) in the kidney meridian; (8) GB12 (Wangu) in the gallbladder meridian; and (9) BL13 (Feishu), (10) BL20 (Pishu), and (11) BL23 (Shenshu) in the bladder meridian.




日本の研究なので、逐語訳は控えた。

COPD患者の労作性呼吸苦に対して、鍼治療が有効である可能性がある。
 疼痛緩和に関しては、鍼の局所的効果の作用:adenosine A1受容体の関与 2010年 05月 31日など一歩踏み込んだ報告があるが、呼吸苦に関しても同様にメカニズムへの踏み込みが必要だろう。
上記論文では、メカニズムとして、呼吸補助筋・呼吸筋の疲労・疼痛、惹起される発痛・虚血、効果として筋弛緩・胸郭可動性の改善などが記載されている。

ただ、この種の研究は出版バイアスや偽プラシーボの議論がつきまとうので、追試、補強が必要だろう。

参照:
・ 鍼を評価する事の難しさ:プラセボ効果を掘り下げたシステマティックレビュー 2009年 01月 30日

北京オリンピック前後・期間中:大気汚染規制で心血管疾患バイオマーカー改善



北京オリンピックの時、大気汚染が話題となっていた。
 大気汚染:北京オリンピック 2008年 03月 11日

北京オリンピック:アスリートだけでなく観客も危険 心血管疾患 2008年 07月 22日

その後、話題に上ってなかったが、期間前後検討され、積極的大気汚染制限により、心血管疾患バイオマーカー改善効果がみられた。


Association Between Changes in Air Pollution Levels During the Beijing Olympics and Biomarkers of Inflammation and Thrombosis in Healthy Young Adults
JAMA May 16, 2012, Vol 307, No. 19


北京オリンピック期間中、大気汚染物質排出制限の準実験計画の機会がもたらされた
大気汚染連日データと125名の若年成人アウトカムをオリンピック前、期間中、後で調査(6月2日~10月30日)

線形mixed-effects modelでオリンピック期間中のアウトカムレベル改善にて、アウトカムレベルの変化が大気汚染濃度変化と関連しているかを決定することで、大気汚染コントロールでアウトカム可逆性可能性を検討。

主要アウトカム:CRP、フィブリノーゲン、von Willebrand factor(vWF)、sCD40L、sCD62P濃度、WBC、心拍、血圧



結果:粒子・ガス状大気汚染物質はオリンピック前から期間中、-13%~-60&減少
0.003レベルの両側検定で、統計学的に有意改善
・ sCD62P 濃度: −34.0% (95% CI, −38.4% to −29.2%; P < .001) :平均 6.29 ng/mL → 4.16 ng/mL
・ vWF: −13.1% (95% CI, −18.6% to −7.5%; P < .001):平均  106.4% → 92.6%

多変量補正後、他のアウトカム変化では統計学的有意差を認めなかった。


オリンピック期間後大気汚染濃度増加したが、多くのアウトカムは、ほぼ、オリンピック前の値となる。しかし、sCD62Pと収縮期血圧は有意にオリンピック期間から悪化。

CRPの上限値区画比率(0.3mg/L以上比率)は、オリンピック前から55%からオリンピック期間中46%へ減少し、オリンピック後36%へさらに減少。
大気汚染濃度中間4分位はフィブリノーゲン、vWF、心拍、sCD62P、sCD40L濃度増加と一貫して統計学的有意相関。

結論:北京オリンピック期間中の大気汚染濃度の変化は、炎症・血栓バイオマーカー、および、心血管生理学的測定値の急性的変化をもたらす。
これらの所見の臨床的意義は今のところ不明。

メモリー・クリニックの治療にエビデンスはあるのか?

日本でも、全国各地に、メモリー・クリニックできている。
軽度認知機能障害(MCI)から予防的介入を含め、治療介入されているところも多いと思われる。
メモリー/クリニックの治療に関してエビデンスが存在するのか、疑問が報告された。


「Memory clinic(メモリー・クリニック)は、診断施設としてのエビデンスがあり、診断上の施設として注目集められていたが、認知症治療(抗コリンエステラーゼ)導入後、診断後治療・ケアコーディネーションに関与するようになった。治療有効性・フォローアップに関して科学的エビデンスは存在しない」ということで、以下で、治療有効性エビデンスを検討。


Effectiveness of dementia follow-up care by memory clinics or general practitioners: randomised controlled trial
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3086 (Published 15 May 2012)

認知症診断後治療とメモリー・クリニックによるケア
9つのメモリー・クニックと159のGP(オランダ)

軽度から中等度認知症新規診断175名

メモリー・クニック群と一般医(GP)群比較

医療施行側測定患者QOLをアルツハイマー病計測QOLと、能力アンケートでの

医療側によるアルツハイマー病測定系に基づくQOL測定(13-52点:QOL良いほど高いスコア)と、インフォーマルなサービス提供者が能力質問上の測定自覚的評価程度(27-135点:高いスコアほど遂行能力優れている)


メモリー・クリニックの患者のQOLは、GP群に比べ、0.5(95%信頼区間 -0.7~1.6)

世話する人の評価では、メモリー・クリニック群で、GP群に比べ、2.4低い(-5.8~1.0)



2012年5月15日火曜日

急性副鼻腔炎への鼻腔ステロイドのシステマティック・レビュー&メタ・アナリシス


急性副鼻腔炎への鼻腔ステロイドのシステマティック・レビュー&メタ・アナリシス

急性副鼻腔炎での鼻腔内ステロイド投与は若干改善効果を示すが、より高用量、長期で無ければ効果が見られない。
number needed to treat (NNT)  13という効果

ただし、この検討の主体は抗生剤投与例である。一方で、抗生剤投与で急性副鼻腔改善迅速化は認めず、別の英国での研究では、抗生剤無し・鼻腔ステロイド無しでも改善迅速化認めないという報告があるとのこと。

 議論は当面続きそう

Hayward G, et al "Intranasal corticosteroids in management of acute sinusitis: A systematic review and meta-analysis" Ann Fam Med 2012; 10: 241-249; DOI: 10.1370/afm.1338.


目的 急性副鼻腔炎は日常臨床で観られる病態で、ベネフィットエビデンス少ないにもかかわらず抗生剤治療されることも多い。しかし、このベネフィットは未だ不明。副鼻腔内ステロイドは症状改善させることがあるが、このベネフィットは現在未だ不明。急性副鼻腔炎症状への鼻腔内ステロイドの効果に関してシステマティック・レビューとメタ・アナリシス行った。
方法 通常診療下での急性副鼻腔炎・鼻副鼻腔炎の臨床的症状・徴候をもつ小児・成人における鼻腔内ステロイドとプラシーボ比較研究の MEDLINE, EMBASE, the Cochrane Central register of Controlled Trials (CENTRAL),  Centre for Reviews and Dissemination databases (2011年2月まで)。慢性/アレルギー性副鼻腔炎を除外。2名の著者は独立してデータ抽出、研究方法の質を評価。
結果2495名6つの研究。5研究ではステロイド or プラシーボに加え、抗生剤処方。鼻腔内ステロイドは14-21日めに症状緩和・改善軽度増加あり (risk difference [RD] = 0.08; 95% CI, 0.03–0.13)。個別症状スコアは顔面痛・つまり感で一致してほぼベネフィット有意にあり(RD = 0.11; 95% CI, 0.06–0.17)、しかし、14-15日では有意差認めず (RD = 0.05; 95% CI, −0.01 to 0.11)。フランカルボン酸モメタゾン投与量を変えたトライアルのメタ回帰分析では、有意な量依存相関があった (P=.02).
結論 鼻腔内ステロイドは急性副鼻腔炎に対し治療的ベネフィットが軽度あり、高用量・21日間ほど効果を認める。抗生剤naive患者での、さらなるトライアルが必要。

緩下剤無しCTコロノグラフィー ・・・ そろそろ実用的?

下部消化管検査の時の最大の難関は緩下剤・・・そして、CT検査だけなら随分楽になる。


CT(補助)コロノグラフィーは10mm以上の腺腫検知には正確だが、小病変では正確性に欠ける。
ただ、無緩下剤処置CTコロノグラフィーは患者にとっては優れており、代替的な役割として考えらエルかもしれない・・・という報告


無緩下剤処置・コンピュータ補助CTコロノスコピー: laxative-free, computer-aided CTC
vs
光学コロノスコピー


Zalis ME, et al "Diagnostic accuracy of laxative-free computed tomographic colonography for detection of adenomatous polyps in asymptomatic adults: a prospective evaluation" Ann Intern Med 2012; 156: 692-702. 
 

10mm以上の腺腫に対し、per-patient sensitivityは、
CTC: 感度 0.91 1 (95% CI, 0.71 to 0.99)、特異度 0.85 (CI, 0.82 to 0.88);
OC: 感度 0.95 (CI, 0.77 to 1.00)、特異度 0.89 (CI, 0.86 to 0.91)

8mm以上の腺腫に対しCTC: 感度 0.70 (CI, 0.53 to 0.83) 、OC 0.88 (CI, 0.73 to 0.96)
6mm以上の腺腫に対しCTC: 感度 0.59 (CI, 0.47 to 0.70)、OC、 0.76 (CI, 0.64 to 0.85)

閾値8mm以上、6mm以上のときの特異度は
OCでは、  0.91、0.94
OTCでは、 0.86、 0.88(P=0.02)

患者の楽さ、困難さ報告ではやはりOCよりOTCが優れていた。

2012年5月14日月曜日

心不全:β遮断剤は全死亡率・入院率とある程度の量まで線形に効果あり

HF-ACTION trial はランダム化多施設トライアルで、2331名の収縮期低下(NYHA分類 II-IV、LVEF<0.35)を有する心不全患者対象で、2.5年フォローアップ中央値

β遮断剤はカルベジロールで標準化

Relationship of Beta-Blocker Dose With Outcomes in Ambulatory Heart Failure Patients With Systolic Dysfunction : Results From the HF-ACTION (Heart Failure: A Controlled Trial Investigating Outcomes of Exercise Training) Trial
Mona Fiuzat, et. al.
Journal of the American College of Cardiology,Available online 2 May 2012

95%でβ遮断剤(BB)服用。

BB投与量と全原因死亡、入院と逆相関認め、50mg/日まで線形。
他の因子補正後他の心血管エンドポイントは相関消失。

BB投与量と正相関なのは、3ヶ月後のピークVO2

BB高用量でも徐脈は増加せず


慢性心不全に於ける、カルベジロールとビソプロロール投与・・・いくつか落とし穴がある。


喘息カルベジロール(アーチスト)禁忌ビソプロロール(メインテート)は禁忌でない。  
アーチスト:虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全(アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療前提)
アーチスト後発品の効能効果に心不全がない


メインテート:虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全(アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療前提)
メインテート後発品の効能・効果に心不全あり



開始量比較:アーチスト1回1.25mg、1日2回、メインテート1日1回0.625mg
維持量比較:アーチスト1回2.5~10mgを1日2回、 メインテート1日1回2.5mg~5mg
最大投与量比較:アーチストは維持量記載しかない、メインテート1日1回5mg

心不全へのβ遮断剤は、 保険者が意地悪しがいのある薬剤である。

上記報告のカルベジロール50mg/日までの投与量(ビソプロロールは12.5mg/日)で、線形関係があるとされているが、アーチスト は最大で20mg/日、メイントートは10mg/日までしか日本では投与不可能と判断される。

noteへ実験的移行

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