2012年1月19日木曜日

検診:骨密度検査の適正間隔 正常・軽度低下なら15年以上でOK

初回骨粗鬆症スクリーニングで、骨密度良好な閉経後女性においては、次の骨密度検査は、15年ほど後でよい。




67 歳以上の骨粗鬆症進展は10%ほどで、初回検査骨密度正常あるいは軽度の骨密度低下対象者の検査間隔はそれぞれ16.8年、17.3年程度であろうと
Margaret Gourlay(University of North Carolina at Chapel Hill)ら。


中等度骨密度低下女性では4.7年、より重度の骨密度低下女性では1.1年。


筆者は、女性・医師の議論の元、骨粗鬆症検診の頻度は、初回検査の結果に基づき、判断すべきであると述べている。

dual-energy x-ray absorptiometry (DXA)による骨密度測定は、65歳以上の女性全員に対し推奨されている。しかし、この検査の間隔に関してはデータが少なすぎて結論が出てなかった。


Gourlay らは、 Study of Osteoporotic Fractures (SOF)のデータを利用。 4957名、67歳以上の女性で正常骨密度 (T score at the femoral neck and total hip of -1.00 or higher) or osteopenia (T score of -2.49 to -1.01)として検討。いずれも、股部・臨床的椎体骨骨折の既往無く、骨粗鬆症治療されてない人たち。15年までフォローアップ。

股部骨折・臨床的椎体骨骨折移行10%程度、もしくは、骨粗鬆症治療となる状況を検査間隔とすると定義した。

フォローアップ中、骨粗鬆症発症比率は、正常骨密度では 0.8%、 軽度 4.6%、中等度 20.9%、 重度 62.3%

4群の検査間隔推定として、それぞれ、16.8、17.3、4.7、1.1年で、骨折に関する重大な臨床的リスク要素補正後も十分な年数であった。

この研究の問題点としては、筆者自らが述べているが、活動性・運動性低下、体重減少、他のリスク要素に関しては十分に考慮してない。そして、年齢、BMIが重大な予測因子であること。

検査間隔をこのような場合は、短縮化することも考慮されるべき。

中等度骨密度低下から骨粗鬆症への移行推定期間は70歳で5年、85歳で3年。
そして、やせ気味の場合、さらに骨密度低下が伴うことがあると例示。


原著: Gourlay M, et al "Bone-density testing interval and transition to osteoporosis in older women"
N Engl J Med 2012; 366: 225-233. 





日本で行われる検診は全般的に著しく、科学的合理性に欠けている。

行政が主体で行う住民検診なども、年齢、リスク層別化なんていう視点が、どの分野でも著しく乏しい。自主的な”人間ドック”という不可思議な検診は、被検査者の自主性にまかされているから、いわずもがな・・・厚労省はこの辺を指導する気まったくみられない。

リスク層別化がなされてないことが最大の問題と思うが、次に大きな問題は、”検査間隔”の問題であると思う。リスク層別化されてないから、必要ないのに毎年同じ検査の繰り返しで、膨大な無駄がこの国では消費されているのである。


マンモグラフィーやPSA検診、脳ドックだけでなく、一般検診など・・・全般的にいえる

この国の貧しい検診理念

マンモグラフィー検診って実は役立ってない? 2011年 07月 29日

間寛平さんが、PSA検診の広告塔となってることに、危機感を感じる。 2011年 01月 04日

番組きっかけの乳がん検診 TBSに医師らが中止要望 2010年 06月 10日

0 件のコメント:

コメントを投稿

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note