2012年2月2日木曜日

ステマ:明治乳業「R-1ヨーグルト」騒ぎ

ヨーグルト大騒動だけでも何回目だっけ? プロバイオティクスに広げると・・・発酵食品全般となる。

有害性は考えにくいし、自分の財布から金出してるんだから、目くじらたてるな・・・と、いわれそうだが・・・ 科学性の問題や報道機関の倫理・利得から考えればやはり放置できない。


それに、”医師が関与し、科学的な検討の結果”の報道という体裁をとってるため、一見、批判されにくくしている。その上、製造販売会社が前面に出てない。そのためかえって、恣意性を感じてしまう・・・ 

製薬会社である”明治製菓”が”明治乳業”合併した明治グループの製品


明治乳業「R-1ヨーグルト生産追いつかない!」インフルエンザ予防
2012/2/ 1 12:32
http://www.j-cast.com/tv/2012/02/01120679.html
焼き物の町、有田町立曲川小学校は全校生283人で、目下、インフルエンザ発症者はゼロ。平成21年には学級閉鎖が相次ぎ、曲川小でも4クラスが閉鎖され た。そこで町はおととし9月から半年間、有田町立病院の院長の勧めで、「R-1」というヨーグルト(112ミリグラム)を毎日1本ずつ全幼稚園、保育園、 小学校の児童・生徒2468人に飲ませた「民間企業と協力して」というから、メーカーの提供だったのだろう。これと並行してイン フルエンザの発生率を調べたところ、隣接の伊万里町9.74%、武雄市10.48%、 県平均4.37%に対して、有田町は0.64%ときわめて低かった。
   有田病院によると、R-1は最近発見された乳酸菌の一種で、院長は「予測よりはるかによかった。乳酸菌は消化器にいいことはわかっていたが、呼吸器にもいいことがわかったのは大きい」と話す。まだ医学的に効果が実証されたわけではないが、数字の衝撃は大きかった。


◆ 共役要素補正された研究なのか?
たとえば、この学校の先生たちが子供たちのインフルエンザ発症に関する研究するということで、対照とされている周辺の学校より熱心に、普段以上に、ワクチンや手洗いなどの予防的措置を教育指導していたとか、子供やその親御さんも過敏になり、対インフルエンザにやっきになっていたとか? 背後の共役要素を批判的に吟味された上でないと、ことの真偽は不明というのが、この種の研究では普通の考えだと思う。

◆診断名は正しい?
まず、インフルエンザ罹患の定義、迅速キットによるウィルス学的証拠なのか、インフルエンザ症状を含めた臨床的な診断なのか、あるいは、教師が勝手に判断した疑似インフルエンザなのか?
インフルエンザに関して、” 前橋市医師会のワクチン報告”のような”インフルエンザ”欠席の定義が曖昧なまま、反ワクチングループにとって黄金律データとして、暴走した事例がある。
  (今年も、反インフルエンザワクチン記事の季節となりました 2005年 10月 03日:5-6年前まで、全国紙はほとんど反ワクチン運動キャンペーンを張っていた)


◆NHKが先駆的に報道したのでは?
特定の乳酸菌飲料名は出してないが、プロバイオティクスに効果があるという放送をNHK「あさイチ」という番組内で行った。その後の、民放でのステルスマーケットへの布石になった。”ためしてガッテン”の度重なるトンでも放送といい、公共放送という枠を逸脱している。

◆プロバイオティクスとインフルエンザ
ランダム化二重盲検プラシーボ対照化トライアルで、インフルエンザワクチン有効性に関し、ワクチン免疫原性を高める効果が報告されている(ただし、生ワクチン:LAIV)(Eur J Clin Nutr. 2011 Apr;65(4):501-7. Epub 2011 Feb 2.)。
これは小規模なRCTであり、まだ、結論的とは言えないだろう。
しかしながら、肯定的な印象をもてるエビデンスであることは確かだ。



有田市の報告と似ているが、プラシーボ対照薬剤をちゃんと設定しランダム割り付けをおこなっている、インフルエンザ様症状に関する観察研究(Pediatrics. 2009 Aug;124(2):e172-9. Epub 2009 Jul 27.)で、有意な効果が出ている。

論文検索するとわかることは、 この種の治験では、ランダム化プラシーボ対照化治験でなければ、まともな査読ジャーナルにはアクセプトされない。

メディアを介したものなのでわからないが、上述の報告は、まともな査読ジャーナルにアクセプトされるような知見ではないということは確か。




そもそも、R1のような特定の製品である必要性があるかどうかも検討すべきだろう。


“influenza & probiotics”でpubmed検索しても、ヒットするのは20弱という状況を考えれば、知見と報道の解離がありすぎると思う。

ステマといわれても、当然。

◆デトックスなどのFraud Medicineに利用される

”毒素”(この言葉が曖昧なため様々なインチキが創出される)を排出する効果などと宣伝道具にこの報道が使われる危険(http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/detox_overview.html)

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