2012年4月6日金曜日

単純性急性虫垂炎治療: 抗生剤 vs 虫垂切除

単純性急性虫垂炎治療: 抗生剤 vs 虫垂切除

Safety and efficacy of antibiotics compared with appendicectomy for treatment of uncomplicated acute appendicitis: meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e2156 (Published 5 April 2012) Cite this as: BMJ 2012;344:e2156


成人・単純性急性虫垂炎に対するRCT

プライマリアウトカム測定は合併症

4つのRCT(900名 ;抗生剤 470名、虫垂切除 430名)がクライテリア合致
抗生剤は、アモキシシリン/クラブラン酸 3g/日 (90kg以上は4g/日) 48時間
1年後、抗生剤治療群は、成功率 63%(277/438)

合併症のメタアナリシスは、虫垂切除比較で、31%のリスク減少
(risk ratio (Mantel-Haenszel, fixed) 0.69 (95% confidence interval 0.54 to 0.89); I2=0%; P=0.004).

ランダム化後2つの介入を交叉させた分を除外後の二次解析では、抗生剤治療群の方が、39%リスク減少有意
 (risk ratio 0.61 (0.40 to 0.92); I2=0%; P=0.02)

再入院後虫垂炎切除となった65名のうち、9名が穿孔、4例が壊疽性虫垂炎

治療有効性、滞在期間、合併症あり虫垂炎発症リスクに関して有意差認めず
結論としては、単純性虫垂炎患者に対して、初期治療として、抗生剤投与は有効で、安全。初期抗生剤治療のメリットを考えれば早期単純性虫垂炎の治療として、まず行う治療法と考えられる。


論文の序文に、虫垂炎の20%のみが“complicated appendicitis”という記載、則ち、80%程度は単純性虫垂炎。本来、行われなくても良い、虫垂切除がなされている可能性がある。


同様報告、CTスキャン評価により、アモキシシリン/クラブラン酸投与( 8-15日間(3 g /日)は緊急虫垂炎切除に比べ非劣性
Amoxicillin plus clavulanic acid versus appendicectomy for treatment of acute uncomplicated appendicitis: an open-label, non-inferiority, randomised controlled trial.
Lancet. 2011 May 7;377(9777):1573-9.




日本では、どの業界でもクライエントがゼロリスク求められる日本社会で、“ゼロリスク”を求めることで失うものは総量では膨大なのだが、ども、個人に対し、このことを説明するのは難儀。
で、穿孔を恐れながら抗生剤投与で様子見るくらいなら、切っちまえ!となる・・・

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