2012年4月18日水曜日

進行期肺非小細胞癌:標準併用化学療法に、アバスチン追加による生存率優位性認めず ・・・ 適応再考必要

アバスチンという薬剤は、昨年、有害性( 重度高血圧、出血・易出血、心発作、心不全、鼻腔・胃・消化管の穿孔など.)が有益性を上回ることが理由で、米国FDA 転移性乳がん(mBC)承認取り消しとなっている。
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm280536.htm




肺がんに於ける承認においても再検討がなされるのは当然。

ベバシズマブ(bevacizumab):アバスチンは日本でも2009年11月、に「扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」への適応追加の承認が得られている。

 ピボット第Ⅲ相トライアル (ECOG Study E4599) (N Engl J Med 2006; 355:2542-2550 Dec, 14, 2006)で、アバスチンをPC(パクリタキセル+カルボプラチン:CBDCA)に追加により、1年生率 51% vs 44% 2年生存率 23% vs 15%、生存率比較では12.3ヶ月 vs 10.3ヶ月という報告
 http://www.avastin.com/avastin/hcp/lung/efficacy/overview/index.html

これに対して、効果に疑問を呈する後顧的解析の報告。

Carboplatin and Paclitaxel With vs Without Bevacizumab in Older Patients With Advanced Non–Small Cell Lung Cancer
JAMA. 2012;307(15):1593-1601. doi: 10.1001/jama.2012.454


CBDCA-paclitaxel ± bevacizumabと全生存率比較


生存率中央値
bevacizumab-CBDCA-paclitaxel 9.7(中間四分位  [IQR], 4.4-18.6)ヶ月
CBDCA-paclitaxel 8.9 (IQR, 3.5-19.3)ヶ月(2006年-2007年)、 8.0 (IQR, 3.7-17.2)ヶ月(2002年-2005年)

1年生存確率
bevacizumab-CBDCA-paclitaxel 39.6 % (95% CI, 34.6%-45.4%) vs CBDCA-paclitaxel 40.1% (95% CI, 37.4%-43.0%) (2006年-2007年) 、 35.6% (95% CI, 33.8%-37.5%)(2002年-2005年)






多変量解析、propensity score補正Cox modelでもbevacizumab-CBDCA-paclitaxel vs CBDCA-paclitaxel cohort比較で生存率advantage認めず


propensity score-層別化モデルで、包括生存率ハザード比(bevacizumab-CBDCA-paclitaxel vs CBDCA-paclitaxel)(2006-2007年)比較では、1.01 (95% CI, 0.89-1.16; P = .85) で、 carboplatin-paclitaxel (2002-2005年)比較では 0.93 (95% CI, 0.83-1.06; P = .28)

propensity score荷重モデル、propensity scoreマッチモデルでも同様に統計学的なbevacizumab-CBDCA-paclitaxelの優越性認めず

鍵となる変数のサブグループ・感度解析では所見変化せず

日本の新薬承認早期化は悪いとは言えないが、副事象対応やコスト・ベネフィット情報などは迅速に行政が指導すべきだろう。

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