2012年4月11日水曜日

胃瘻議論喚起なら、クソドラマも多少、役には立つのかもしれない

草なぎ剛 『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』


テレビドラマとはいえ、粗雑な作りだった。

胃瘻がまるで後戻りできない医療処置のごとき扱い、卒中患者と終末期ケアとを混同しているのではないかという疑念、看護師やリハビリテーションスタッフ・栄養部門などのパラメディカルスタッフの職務存在無視・・・枚挙無き粗雑さ。





終末期は“胃ろうせずも選択肢”:老年医学会ガイドラインやっと着手  2011年 12月 05日
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このあたりの情報を何か勘違いしてテーマとしてしまったのだろう。


かなり傲慢なヒーロー主義全開、対比として無能すぎる表面的な指導医の存在。中でも、チーム医療を無視した、侵襲的検査を研修医単独で行おうとしたことへ批判は、 tweet  やら掲示板書き込みが多かった。


臨床倫理、特に、胃瘻を巡る意思決定について考えるには良い素材になるのかもしれない。

バイオエシックスの問題は、医学部での講義対象となっており、草薙氏扮する研修医がそのことを知らないはずはない。いくら患者・家族の同意があったとしても、上級医に相談せず、冒険的侵襲的検査を行うことに対し、批難があって当たり前と思う。すべきは、バイオエシックスの問題を、症例プレゼンテーションの時に、上級医達にぶつけ、かれらの意見を聞いた上で、患者・家族に、「検査の限界と効用」そして、「胃瘻設置に関わるメリット、急性合併症、慢性的問題点」などをできるだけ、客観的データを示して、納得づくの意思決定が行われるべきだった思う。


一部肯定的に見れば、胃瘻に関し、否定的なスタンスをテレビ放映した意義はある。



有名な、NEJMの総説、“認知症患者へのチューブ栄養”に関する問いかけに端を発する議論がある。
Rethinking the Role of Tube Feeding in Patients with Advanced
Dementia
NEJM Vol. 342:206-210 Jan. 20, 2000 No. 3

認知症に対する経管栄養に関し、慎重な方向へ医師の考えはシフトしている。

日本のアンケート報告の一報告高齢者摂食障害に関し、チューブ栄養適応に関し、神経疾患・卒中は90%、認知症に対しては46.8%が適応と、消化器科専門医は、回答している。
Indications and practice for tube feeding in Japanese geriatricians: Implications of multidisciplinary team approach.
Geriatr Gerontol Int. 2012 Feb 20. doi: 10.1111/j.1447-0594.2011.00831.x. [


チューブ栄養といっても、様々。それぞれの適応や効能・有害性リスクが存在する。テレビドラマらしく主人公達が勝手に選択肢を狭くして二極対立を演出していた。くだらないドラマと決定したが、経管栄養議論の発端になるなら、ゴミドラマの資源活用となるだろう。


第2話までみたけど・・・ 論拠するほどのドラマで無いことははっきりした。

原作の作者って、主人公の臨床的態度が正しいと思ってるかしら?

主治医やその先輩医師たち、そして、栄養士やソーシャルワーカなどと相談もせず、チーム医療の否定して突っ走る医者が理想だとしたら・・・ そんなやつが医療を語るな!

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