2013年3月15日金曜日

軽度頭部外傷を生じやすい遺伝的要素が存在する

繰り返しの頭部外傷と関連する脳のダメージは、画像やマーカーなどでその因果関係否定できない。
広汎脱分極所見:頭部外傷後アウトカムを予測 2011年 11月 05日
フットボールにもボクシングのような反復頭部外傷による認知機能、軸性障害など・・・遅発性明らかに 2010年 09月 24日
スポーツ:反復軽度頭部打撃→血液脳関門破壊→自己抗体出現→認知機能低下の可能性 2013年03月07日
脳しんとう:FA高値は神経可塑性を示し、その後の予後改善と関連する 2012年11月27日

しかし、「軽度頭部外傷により認知機能低下をもたらす」という仮説にだけとらわれていたのかもしれない。住民レベルで見ると、「頭部外傷を生じやすい認知機能低下をもたらす遺伝的要素が存在する」という事実が浮かび上がってきた。


Cognitive function and other risk factors for mild traumatic brain injury in young men: nationwide cohort study
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f723 (Published 13 March 2013)
Cite this as: BMJ 2013;346:f723
【目的】 若年者の軽度頭部外傷後の認知機能・他のリスク要素調査

【デザイン】 Nationwide prospective cohort study.

【セッティング】 Sweden.

【被験者】 1989-1994年徴兵305 885 名の男性

【主要アウトカム測定】 徴兵時及びフォローアップ時の認知機能及び他の寄与リスク要素と関連する軽度頭部外傷

【結果】軽度頭部外傷1回を有する男性で、認知機能検査前2年内 n=1988、認知機能後 n=2214 では、総合的認知機能スコアが、フォローアップ中外傷無しの男性に比べ、5.5%ほど低下する  (p< 0.001 for both)

さらに、軽度頭部外傷2回以上男性 n=795では、非外傷経験男性に比べ、総合的認知機能スコア15%低下  (p< 0.001)

認知機能検査後、1回以上の軽度頭部外傷に対し、強力な独立リスク要素(p< 1× 10 -10)は、総合的認知機能低下、頭部外傷既往、中毒による入院、低レベルの教育状況・社会経済状況

認知機能検査前に軽度頭部外傷を双生児一人経験している、双生児サブコホート(n=63)では、双生児両方とも、頭部外傷既往内総コホート男性に比べ、ロジカルなパフォーマンス、テクニカルなパフォーマンス低レベル(p< 0.05)

【結論】低レベル認知機能、社会経済状況に関わる要素は、男性の軽度頭部外傷に対する独立したリスク要素である。
 軽度頭部外傷不一致双生児で双生児両方とも認知機能低下していることは、そのような外傷を起こしやすい認知機能低下を有する遺伝的な要素が示唆される。
この研究は男性に限定したものであり、女性での関連性には十分注意が必要。 


頭部外傷と認知機能との関連性検討の時は、遺伝的要素を除外する必要性がある。

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