2013年7月30日火曜日

がん検診:理想的ながんと、理想的でないがん ・・・ 無害ながんと攻撃的がんの区別が課題

Overdiagnosis and Overtreatment in Cancer
An Opportunity for Improvement
 Laura J. Esserman,  et. al.
JAMA. 2013;():-. doi:10.1001/jama.2013.108415


がんの早期発見へ啓発と検診が重点項目となって30年間。この努力は、本来、進行がんへの抑制とがん死亡率減少が目的。しかし、臨床トライアルの流れから見るとこの目的にかなったものではない。早期疾患数は増加するも、進行がんは比例的に減少していない。
がんもheterogenousであり、転移も死にもつながらない病害も含まれ、患者の生涯へ有害性を示すものではないものもある。この複雑性により早期診断のゴールに問題を生じるが、この認識をもつと、合併症・死亡率と大きく関連性をもつ病態を同定し、治療することに焦点を置き、がん検診を最適化するチャンスとなる。

表に書かれているのは、検診開始後の、がんの発生数と死亡率の変化。
乳がん・前立腺がん検診は、臨床的意味の無いものを含む可能性が示唆される。
肺がんは、高リスク検診採用した場合に同様の傾向がある。
Barrett食道と乳腺がんは、前がんと考えられる病変の検出と除去が侵襲型がんの発生減少に寄与していない例と考えられる。対照的に、大腸がんや子宮頸部がんは検診プログラムとしては成功例で、前がん状態早期発見・除去が、発生率及び進行期疾患を減少させている。 甲状腺がんや黒色腫は、検診が広がりつつ有り、それに従い、発生率増加が見られる疾患例であろう。




最適な検診頻度設定には、がんの成長率が関連し、もし新興早ければ、検診そのものが無効。進行がが緩徐すぎれば、長期潜在期間・前がん病態の存在など、例えば、大腸ポリープや子宮上皮内新生物などを伴い、検診は理想的で、頻回の検診でなくても効果的。例えば、コロノスコピー10年間など。indolentな腫瘍の場合、発見そのものが有害である、過剰治療の可能性がある。 これらの観察結果にもとづき、疾患合併症・死亡率減少に関し再度焦点が検診に向けられている。 
2012年3月NCIは、「overdiagnosis」 に関わる問題評価の会合を開いた。
「もし、そのまま放置されても、臨床的に明らかでない、あるいは、死にもいたらない場合の腫瘍発見」を過剰診断として要約。過剰診断は一般的に過剰治療となり、ワーキンググループからの推奨を要約し、がん検診・予防への現行アプローチ改善戦略作成。
 定期的検診プログラムは、indolent tumorのリザーバを同定するだけかもしれない。しかし、治療せずに残されると、致死的後遺症を有するものと診断され続ける可能性もある。

理想的検診介入とは、ほっとけば有害となる疾患の検出に焦点をあてたもので、早期に発見すれば治癒し、そして、治癒的治療が早期ではより有効であるもの。indolentなものかaggressiveなものか疾患の生物学と疾患の動的状況(時間経過に関与したふるまい)、分子学的診断などでより良くなる可能性を今後に期待。



朝日新聞ではなぜか 「検診の話ではなく診療の話へ」すり替え


無害腫瘍「がんと呼ばないで」 過剰診療防止へ米研究所
http://apital.asahi.com/article/news/2013073000026.html

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