2016年11月30日水曜日

「イニシンク(R)配合錠」の不思議

例えば、メトホルミン徐放剤型なら1日1回で可だろう。だが、

For oral dosage form (tablets):
  • Adults—
    • Metformin alone: At first, 500 milligrams (mg) two times a day taken with the morning and evening meals, or 850 mg a day taken with the morning meal. 

http://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/metformin-oral-route/proper-use/drg-20067074



武田薬品の「イニシンク(R)配合錠」とやらは、徐放ではないだろう
なぜなら、武田薬品自らのウェブ(https://www.takeda.co.jp/news/2016/20160928_7575.html)に「メトホルミンは、1日2~3回投与で肝臓での糖の産生を抑制するビグアナイド薬」と記載。



添付文書を見ると・・・
アログリプチンとして25mg(アログリプチン安息香酸塩として34mg)と メトホルミン塩酸塩500mgの合剤
用法及び用量: 通常、成人には1日1回1錠(アログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg)を食直前又は食後に経口投与する。


最近目立つ、武田薬品の迷走の一つのなのだろうか?
実に不思議な薬剤である

2016年11月29日火曜日

加齢:脳全体同期伝達能力低下をもたらし、年取ると能力低下を他の手段で補う

加齢による能力低下・・・身にしみる

ただ、子供の頃の「天才・秀才」も同じ身の上になるわけだから、少々慰められるか・・・



年齢と共に脳内のcommunicationの変容が生じる

例えば、memory perfomanceでは見いだせない高齢者での変化が脳の活動性変化に見いだされ、高齢になると脳の全領域でsynchronized communicationが失われ、記憶をうまく行うため、様々な戦略でやっと可能になる






脳機能の群間差ではなく、固体内の経年的変化を検討




Individual Differences in Dynamic Functional Brain Connectivity across the Human Lifespan
Elizabeth N. Davison ,et. al.   
Published: November 23, 2016
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pcbi.1005178


4連続認知遂行マルチタスク


脳のfunctional networkの個体差は健康・年齢・能力個体差と関連するかも
fMRIからのdynamicなbrain functionの特性を用いDynamic network theoryが形成されているが、大部分の解析は群間比較である
そこで、hypergraph analysisを用い、dynamic network theoryからの手法で、brain function dynamicsの個体差を質検証
hypergraph formalism由来のsummary metric - hypergraph carinalityを用い、2つの個別、補完的データセットの個体差を検証

第一のデータセット("multi-task")は77名の4つの連続した遂行認知タスク

hypergraph cardinalityは、タスク毎、固体内一致性を示しながら固体別variationを示す ; さらにメモリータスクの一つを解析してhypergraph cardinalityと年齢の有意相関を境界ながら示した。
この知見でsecond data set ("age-memory")の解析の動機づけとなり、95名の個人、18−95歳で、multi-task memory taskの同様のstructureでmemory taskを遂行した
age-memory data setで加齢毎、hypergraph cardinalityと年齢の相関は有意となった


 network structureの加齢関連既知知見について検討し、hypergraph analysisは、脳のdynamic network structureの究明に役立つツールであることが示唆された。




2016年11月22日火曜日

降圧利尿剤(not HCTZ)の股部・骨盤骨折予防効果

主テーマとは異なるが・・・
日本国内ではchlorthalidone使用できない状況となっている。ハイグロトン®をALLHAT研究発表以降使ってたが、その後入手不能の状況になった。日本の高血圧関連学会の臨床意識の低さを表している事例だとおもう。エビデンスなんたらなんて、えらそうに言えないんだよ・・・高血圧学会および関連のお偉いさんたち
HCTZが他サイアザイド系に比べ優秀なのかといえば甚だ疑問・・・おそらくメーカー都合による合剤採用と思う
e.g. Head-to-head comparisons of hydrochlorothiazide with indapamide and chlorthalidone: antihypertensive and metabolic effects.
Hypertension. 2015 May;65(5):1041-6.


以下の降圧剤は、thiazide-type diuretic (chlorthalidone)であり、合剤などで主流となっている、降圧利尿剤HCTZのお話ではないと強調


Association of 3 Different Antihypertensive Medications With Hip and Pelvic Fracture Risk in Older Adults
Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial
Rachel Puttnam, et. al.; for the Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial (ALLHAT) Collaborative Research Group
JAMA Intern Med. Published online November 21, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6821



Veterans Affairsと Medicare claims dataを用いた解析

22180名(平均[SD]年齢 70.4 [6.7]歳;女性 43.0%、非ヒスパニック 白人 49.9%、アフリカ系 31.2%、他の民族 19.1%
masked therapy中 8年間まで (平均 [SD], 4.9 [1.5] 年間)フォローアップ
トライアル完遂後、クレームデータ利用可能な16,622名を5年間追加フォローアップ(平均 [SD]  7.8 [3.1] 年間)。期間中骨折発生338。
クロルサリドン vs アムロジピン or リシノプリルで、補正解析上骨折リスク減少  (ハザード比 [HR], 0.79; 95% CI, 0.63-0.98; P = .04)
クロルサリドン vs リシノプリルでは有意に低下 (HR, 0.75; 95% CI, 0.58-0.98; P = .04)
だが、アムロジピンとの比較では有意差無し  (HR, 0.82; 95% CI,0.63-1.08; P = .17)
トライアル全期間・フォローアップのトライアル後を含めた期間では、累積頻度は非有意:
クロルサリドン vs アムロジピン or リシノプリル (HR, 0.87; 95% CI, 0.74-1.03; P = .10) 、どの治療個別比較でも同様


感度分析にて、ランダム化後1年をベースラインとして使用した場合(薬の骨への影響を考慮)、inトライアル、inトライアル+トライアル後フォローアップでも同様






2016年11月18日金曜日

FEV1/FVC正常・CT上肺気腫の臨床的特徴

LDCT上の気腫有するが気流制限のない喫煙者では、QOL違いあり、急性増悪数、拡散能、6分間歩行中酸素飽和度変化を認める


Clinical Features of Smokers with Radiological Emphysema but without Airway Limitation
Ana B. Alcaide et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.10.044
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2583285


203名の現行・既往喫煙、154名CT上気腫、49名該当せず
LDCT上の気腫患者では非気腫に比べた補正群間差比較

  • 異常DLCO (<80 19="" p="0.02)</li" vs="">
  • 6分間歩行距離SpO2%低下 >4%  (8,5% vs 0%, p= 0,04)
  • quality of life変化 (CAT score ≥ 10) (32% vs 14%, p=0.01)




CATアンケート項目の詳細解析で気腫患者では非気腫に比べ

  •  “chest tightness”  score≥1 (p=0.05)
  •  “limitation when doing activities at home” items (p<0 .01="" li="" nbsp="">
  • 1年前からの急性増悪有意差なし  (0.19 vs 0.04, p=0.02)









2名の評価者:肺実質/window: 1,500 HU 、window center -650 HU
肺実質比率:: mild 0-25%, moderate 26-50%, severe 51-75% and very severe >75% 

2016年11月17日木曜日

米国予防医学専門委員会ガイドライン:心血管疾患一次予防のためのスタチン使用

来年<2017年>、動脈硬化性疾患予防ガイドライン改定だそうだから、隙間をついた「反スタチン・プロパガンダ活動」の絶妙の一撃だった?
いずれにせよ、「スタチン=悪」とする暴論を展開する週刊誌報道は異常だが・・・

結果・・・
脂質低下目標値設定脂質診療ってのは異常では無いのか?
LDL 160 以上あれば即治療開始って診療で良いのか? 
日本の脂質診療の現場は大混乱中!



注意しないといけないのは・・・一次予防に於ける、LDL 190超と家族性の高コレステロール血症の場合
These recommendations do not apply to adults with a low-density lipoprotein cholesterol (LDL-C) level greater than 190 mg/dL (to convert LDL-C values to mmol/L, multiply by 0.0259) or known familial hypercholesterolemia; these persons are considered to have very high cholesterol levels and may require statin use. 


以下の検討の例外




Statin Use for the Primary Prevention of Cardiovascular Disease in Adults
米国予防医学専門委員会 Recommendation Statement
JAMA. 2016;316(19):1997-2007. doi:10.1001/jama.2016.15450
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2584058

少量〜中等量スタチン:40−75歳のCVD既往無し&一つ以上のCVDリスク要素(脂質異常、高血圧、喫煙)&10年間CVDイベントリスク10%以上
 (B recommendation)


 臨床家は選択的に少量〜中等量スタチン使用を選択的に投与すべき:40−75歳のCVD既往無し&一つ以上のCVDリスク要素&10年間CVDイベントリスク7.5%〜10%
 (C recommendation)


 現行エビデンスは、76歳以上でスタチン開始に関する有益性・有害性バランス評価不十分 (I statement)











COPD:β遮断剤underuse問題

訴訟社会故必然なのだろうが、添付文書ってのはメーカー責任逃れに終始している。
COPDでは喘息合併が多く「気管支喘息、気管支痙攣の恐れ」に対するアーチストの禁忌記載 (http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2149032F1021_2_10/)がある。
一方では、β遮断剤処方すべき症例にされてない多くの症例が存在することが予想される。

COPDは全住民の6−10%ほど、65歳超では11−18%ほど罹患している病気である。高齢者が主たる疾患のため、心不全、冠動脈疾患、高血圧など併存は当然ながら多く、共通するリスク故か、COPD患者での併存率は非COPD患者に比べて多い。(https://copdrp.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40749-015-0013-y)


故に、COPD患者でも 選択的β遮断剤使用の出番は多いはずだが・・・



メインテート及び同成分貼付剤のみ利用可能という状況故か?

日本でも、underuseの懸念大いにある

以下は、オーストラリアでの事情・・・


Beta-blockers are under-prescribed in patients with chronic obstructive pulmonary disease and co-morbid cardiac disease
P. A. Neef, et. al.
Internal Medicine Journal 3, Nov. 2016
DOI: 10.1111/imj.13240View/save citation
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/imj.13240/abstract

オーストラリア三次病院に於けるβ遮断剤処方の後顧的評価

既知心疾患適応患者の45%未満でしかβ遮断剤処方されず







COPD患者の心疾患ケアは不当に予後悪化をもたらすであろう差別を受けてるのである。
このunder-treatment現象は国際的にも共通とdiscussionに書かれている。




2016年11月11日金曜日

筋炎関連間質性肺病変

間質性肺炎は、特発性炎症性筋炎患者の合併症・死亡率の上でも間質性肺炎の存在は重要で、その併発率も高い・・・ということでレビュー




Management of Myositis-Related Interstitial Lung Disease
Julie Morisset, et. al. Chest. 2016;150(5):1118-1128. doi:10.1016/j.chest.2016.04.007 

・heterogenousな初期所見・臨床経過;無症状・インシデンタルな場合、急速進行型も存在
・病歴・身体所見と、検査データ/画像などでILD患者の評価を行うことで筋炎の診断示唆する場合もある
・有症状肺疾患患者では、急性/亜急性/慢性の臨床特徴でカテゴライズ
・筋疾患重症度(有症状から最小/無症状まで)あり、筋症状発症もまたILDに続くこともあれば、肺疾患所見のみがdominatという場合もある
・ILD関連筋炎では、HRCTにおいて、両側網状・ガラス状陰影が最も多く、コンソリデーションの面積が器質化肺炎の存在を示唆する
・手術的肺生検適応は多くないが、施行例での組織パターンはNSIPが最も多い。DADと器質化肺炎も。UIPパターンは他の組織パターンより有意に少ないが存在はする。
・ILD関連筋炎は、併発症・死亡率有意に関連
・後顧的シリーズ研究では炎症性筋炎では、ILD有無で10年生存率それぞれ 71%、89%。最近の研究ではILD急性/亜急性、高齢、FVC低下、CADM(ADM - clinically amyopathic dermatomyositis)はILD関連筋炎で死亡率高い。25%がこの研究ではフォローアップ中死亡
※筋炎症状(筋力低下や血清筋原性酵素の上昇)の乏し い CADM は,抗 ARS 抗体などの筋炎特異自己抗体が 検出されず,治療抵抗性の急速進行性間質性肺炎を併発 するのが特徴とされている.近年 CADM 患者に特異的 に認められる抗 CADM-140 抗体が発見


治療薬

  • プレドニゾロン
  • Cyclophospamide(CYC)
  • Mycophenolate mofeti
  • Azathioprine
  • Calcineurin inhibitor:Cyclosporine A/tacrolimus
  • Rituximab
  • IVIG:Intravenous immunoglobulin

比較研究は少ない、前向き研究は存在しない
女性にはAZA以外、喫煙既往者にはCYCなどと報告するもエビデンスとしては乏しい
治療で、FVC 5%、DLCO 2.93%改善(Mira-Avendano et al



2016年11月8日火曜日

非空腹時高トリグリセライド血症は急性膵炎リスク


"Plasma levels of nonfasting triglycerides (n = 116 550), lipase (n = 15 856), and pancreatic amylase (n = 92 672) were mea- sured on fresh blood samples with use of standard hospital as- says. Nonfasting triglycerides are maximally increased by 26 mg/dL (0.3 mmol/L) after intake of habitual meals com- pared with fasting triglycerides"と書かれている以外、採血タイミング記載分からない(渡しが見逃してるだけかもしれないが・・)


Nonfasting Mild-to-Moderate Hypertriglyceridemia and Risk of Acute Pancreatitis
Simon B. Pedersen,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online November 7, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6875


前向きコホート研究:Copenhagen General Population Study(2003 to 2015 )とCopenhagen City Heart Study (開始: 1976 to 1978 ):フォローアップ 1981-1983年、2001-2003年
フォローアップ中央期間: 6.7 年間 (interquartile range, 4.0-9.4 年間)
トリグリセライド測定 116,550名 (Copenhagen General Population Study (n = 98 649),Copenhagen City Heart Study (n = 17 901))

イベント、死亡、移住、フォローアップ終了 (November 2014)までいずれかまでをフォローアップとする

暴露:非空腹時血糖値

主要アウトカム・測定: ハザード比:急性膵炎(n=434)、心筋梗塞 (n=3942)

全体的に、この研究では116,550名を含み(年齢中央値[IQR] 57 [47-66]歳)
血中トリグリセライド(TG) < 89 mg/dLに比べ、急性膵炎多変量補正ハザード比(HRs)

  • 89 mg/dL to 176 mg/dL (1.00 mmol/L-1.99 mmol/L) 1.6 (95% CI, 1.0-2.6; 4.3 イベント/1万人年)
  • 177 mg/dL to 265 mg/dL (2.00 mmol/L-2.99 mmol/L) 2.3 (95% CI, 1.3-4.0; 5.5 イベント/1万人年)
  • 366 mg/dL to 353 mg/dL (3.00 mmol/L-3.99 mmol/L) 2.9 (95% CI, 1.4-5.9; 6.3 イベント/1万人年)
  • 354 mg/dL-442 mg/dL (4.00 mmol/L-4.99 mmol/L) 3.9 (95% CI, 1.5-10.0; 7.5 イベント/1万人年)
  • 443 mg/dL (≥5.00 mmol/L)以上 8.7 (95% CI, 3.7-20.0; 12 events/10 000 人年)
  • (trend, P = 6 × 10−8)


 同様に心筋梗塞HRs

  • 1.6 (95% CI, 1.4-1.9; 41 イベント/1万人年)
  • 2.2 (95% CI, 1.9-2.7; 57 イベント/1万人年)
  • 3.2 (95% CI, 2.6-4.1; 72 イベント/1万人年)
  • 2.8 (95% CI, 2.0-3.9; 68 イベント/1万人年)
  • 3.4 (95% CI, 2.4-4.7; 78 イベント/1万人年) (trend, P = 6 × 10−31)



 急性膵炎多変量補正HRは
 89 mg/dL (1 mmol/L)増加あたり 1.17 (95% CI, 1.10-1.24)

 性別、年齢、教育、喫煙、高血圧、スタチン使用、研究コホート、糖尿病、BMI補正、アルコール、胆石疾患層別化後、この結果は相互作用統計学的エビデンスみとめず






2016年11月6日日曜日

【肺炎】プロカルシトニン:人工呼吸・昇圧剤必要性リスクの予測要素

Procalcitonin結果即わかるなら利用したいが、田舎では実用性にまだまだ時間がかかるのだろう・・・






procalcitonin as an early marker of the need for invasive respiratory or vasopressor support in adults with community-acquired pneumonia
wesley h. self,  et. al.
chest. 2016;150(4):819-828. doi:10.1016/j.chest.2016.04.010


市中肺炎入院成人他施設前向きコホート研究
72時間以内IRVS: invasive respiratory or vasopressor support必要性予測

1770登録、115(6.5%) IRVS

pct未検出(<0 .05="" 3.1="" 4="" ci="" ml="" ng="" p=""><10 irvs="" ml="" ng="" p="">
10 ng/ml濃度では、IRVSリスク 22.5% (95% ci, 16.3%-30.1%)で、10 mg/ml超なら比較的一定なリスク













今年の4月、マイコプラズマ肺炎当院で目立ち始めた。
なんと、今月 マイコプラズマ抗体査定された・・・ 査定へ異議申し立て書いたがもし認められなかった場合、全国的に大流行となっている現状に鑑み、大騒ぎをしたいと思う。公衆衛生の観点からも許されない経済査定を看過してはならないと思うが・・・同業者の皆さんどうお考え?

喫煙関連がんの遺伝子変異スペクトラム

日経新聞から




受動喫煙の場所に、「公共交通機関・行政機関・学校・医療機関」がランクインするなんてあんまりだと思う。寿司屋でも喫煙許しているところがあるがあれは言語道断。




この記事気になってたので、原文を探ってみた

<たばこ>喫煙で遺伝子変異増加…長く多く吸う人ほど蓄積
毎日新聞 11/4(金) 3:00配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161104-00000003-mai-soci



チームは、17種類のがん患者5243人を対象に、たばこを吸う人と吸わない人で遺伝子に違いがあるかを解析。その結果、肺、喉頭、口腔(こうくう)、膀胱(ぼうこう)、肝臓、腎臓のがんは、喫煙者の方が遺伝子の突然変異が多かった。最も多い肺がんでは、毎日1箱(20本)を1年間吸うと150個の突然変異が蓄積すると推計された。
新聞でも紹介されているが・・・





序文の一部
喫煙は少なくとも17種以上のがんと関連。年間600万人を超える生命危機関係している。タバコの煙は化学物質の集合体であり、発がん性物質を60超含む、DNAにダメージを与え、misreplicate(複製異常)を生じるなら体細胞遺伝子異常のburden増加し、がん遺伝子のdriver mutationを獲得する確率増加する。喫煙に直接晒される、肺などの組織は、DNA付加物量増加し、タバコの煙の発がん性成分に暴露される。体細胞における遺伝子変異を生じるどの生物学的プロセスにもmutational signatureが関与し、多くのがんはTP53遺伝子の体細胞での変異が見られ、非喫煙者肺がんより喫煙者肺がんではC>A transversionが多いなど。
systematic cancer genome sequencingによりmutation catalog数千があり、6つのsubstitution typeを含む96-mutation classificationを用いたmutation signatureを検討

塩基の substitution、small insertions and deletions (indels)、genomic rearrangement数を検討し、全てのがんで、喫煙者においてbase substitutionが多く、個別がん種、肺、喉頭、口腔、膀胱、肝臓、子宮頸部、腎臓、すい臓がんで体細胞遺伝子変異を喫煙 vs 非喫煙でmutational consequeneが検討


Mutational signatures associated with tobacco smoking in human cancer
Ludmil B. Alexandrov et. al.
Science  04 Nov 2016: Vol. 354, Issue 6312, pp. 618-622
DOI: 10.1126/science.aag0299


Alexandrov らは、 変異スペクトラム(mutational spectrum, mutational signature)解析とDNAのメチル化を、喫煙者からの17種類のがんに置いて、5千超のゲノム検索

多数の違う変異スペクトラムによる変異burden増加、それが、様々ながんに広く関与する
このスペクトラムの一つが、タバコの発ガン因子によるDNA損傷のmisreplicationで、喫煙によりダイレクトに暴露された組織に見出された。
また、他に、APOBEC cytidine deaminaseによるDNA editingの間接的活性化やendogenous clocklike mutational processの活性化を反映する


メチル化に関しては、喫煙は限定的差の関与のみ

喫煙によるがんリスク増加は、somatic mutation load増加によるものだが、一方、喫煙関連のがんにおいてこのメカニズムの直接のエビデンスは不足しているものも存在する









2016年11月5日土曜日

加工肉摂取は COPDのリスク

加工・非加工肉摂取とCOPDリスクを前向きコホートで検討



Consumption of Unprocessed and Processed Red Meat and the Risk of Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Prospective Cohort Study of Men
Joanna Kaluza , et. al.
doi: 10.1093/aje/kww101
First published online: October 27, 2016
http://aje.oxfordjournals.org/content/early/2016/10/26/aje.kww101.short


大規模住民ベース前向きコホートでは、加工レッドミートの摂取量とCOPDリスクは関連があるが、未加工レッドミートとの相関性は必ずしも明らかでない。
この報告も以前の報告、(Health Professionals Follow-up Stud、 Nurses’ Health Study) と2つの横断研究と一致し、cured meatとCOPDリスクの相関性が認められた



加工・未加工レッドミートともに消費量と、主要慢性疾患リスク増加とは相関性あり、しかし、COPD関連において加工ミートのみ知られていた。COPDと加工・未加工レッドミートとの相関に、喫煙状態を斟酌。住民ベース前向き Cohort of Swedish Men 、 43,848 名男性 (45-79歳)、COPD・がんの病歴なし、肉摂取量を1997年アンケート自己報告 フォローアップ13.2年間、 1909 COPD症例確認
加工肉摂取量とCOPDリスク相関;加工肉75g/日以上の高摂取量では加工肉25g/日未満に比べ多変量補正ハザード比  1.21 (95% 信頼区間: 1.02, 1.44; P for trend = 0.03)

現行喫煙限定でこの正の相関確認 (P for interaction = 0.003)
加工肉75g/日以上の高摂取量では加工肉25g/日未満に比べハザード比 1.26 (95% 信頼区間: 1.00, 1.60)
未加工レッドミートはCOPD発症と相関せず







加工レッドミートは、添加物、亜硝酸塩(保存剤、抗菌、着色固定目的)とともにpro-inflammatory propertyを有しているなど考察されている。 過酸化亜硝酸(peroxynitirite)は肺内抗酸化作用を障害し、DNA損傷・ミトコンドリア呼吸障害・蛋白のmodification、細胞機能障害を生じる可能性

・・・など考察されている




2016年11月2日水曜日

アジア人のための臨床コンセンサスガイドライン:肺結節陰影評価

アジアでの肺がんの特徴、40代、50代の若年肺がん多く、非喫煙者も多いが、それ以外のリスク要素、重篤な大気汚染、揮発性料理油の問題、そして結核有病率・発症率の高さがその特徴である。


故に、アジア特有の臨床街ガイドラインに必要性がクローズアップされてきた。

一方、このガイドラインは、中国・香港・シンガポール・韓国の名はあっても日本の名はない。日本では・・・適応されない?



Evaluation of Pulmonary Nodules:
Clinical Practice Consensus Guidelines for Asia
Chunxue Bai, et. al.
Chest. 2016;150(4):877-893. doi:10.1016/j.chest.2016.02.650
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2499558

アジアでは、CHESTガイドラインを暫定的な重要資料として使用しているが、屋内・屋外大気汚染高濃度、女性非喫煙者の腺癌頻度の高さなど考慮すべき事項あり、肉芽種性疾患や他の感染症による結節陰影も多く、考慮すべき事が多い。
非アジア人種に基づき開発された診断リスク計算はそのままでは適応できないことは予測できる
結節陰影に関して、CHESTガイドラインより長期間のサーベイランスを考慮されるべき










Gould MK, Donington J, Lynch WR, et al. Evaluation of individuals with pulmonary nodules: when is it lung cancer? Diagnosis and management of lung cancer, 3rd ed: American College of Chest Physicians evidence-based clinical practice guidelines. Chest. 2013;143:e93S-120S 

2016年11月1日火曜日

栄養研究:企業スポンサーシップ影響大

肥満、糖尿病、心血管疾患のリスク軽減を念頭に置いた食生活のガイドライン策定の上ではシステマティック・レビューがその根拠となる。研究資金の問題が注目され、エビデンス構築上のバイアス批評がなされることが多くなってきた。

栄養(学)研究の利益相反の問題で、出版研究にて食品産業関与している場合企業に有利な結論に偏ってるのではないか?、方法論的な質に差があるのか?



栄養研究に関して企業スポンサーシップ影響大

食品製造業の関わる栄養研究の結果は、スポンサーシップのない研究に比べ、メーカーに都合の良い結論が多く、その差も意味あるものではないことが多い

システマティック・レビューとメタアナリシスを12の報告と、340の研究を含む8報告を合わせ検討

Association of Industry Sponsorship With Outcomes of Nutrition Studies
A Systematic Review and Meta-analysis
Nicholas Chartres, et. al.
JAMA Intern Med. Published online October 31, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6721



肥満と加糖飲料、遺伝子組み換え食品の健康リスクと栄養効果、肥満と栄養RCTsのquality reporting score、ソフトドリンク・ジュース・ミルク摂取による健康への影響、除脂肪オレストラの安全性・有効性、加糖飲料摂取量の体重への影響、symbiotice/protiotic/prebioticサプリメントの有効性・安全性、栄養研究のreport quality調査、小児カルシウムサプリメントと骨健康、減量長期介入、ソフトドリンク摂取量の栄養と健康アウトカムの相関性、肥満関連研究






5つの研究でmehodological quality評価し、特に、企業スポンサーシップの関連性認めず



 Five reports assessed methodological quality; none found an association with industry sponsorship.

腹部大動脈瘤の検診

64-83歳男性を腹部動脈瘤検診では死亡率全般に関わる効果認めない




Long-term Outcomes of the Western Australian Trial of Screening for Abdominal Aortic Aneurysms
Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial
Kieran A.
McCaul, et. al.
JAMA Intern Med.
Published online October 31, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6633

64-83歳の男性;腹部大動脈瘤(AAAs)スクリーニング効果
AAA破裂による死亡率改善効果の検討
49,801名登録、除外後、介入(invite)群19,249、対照群 19,231


待機手術:536 vs 414, P < .001 (介入群 vs 対照群)
AAAs破裂:72 vs 99, P = .04

(全年齢を含む全体検討で)AAAS死亡: 90 vs 98 (10万人年対 47.86 ; 95% CI, 38.93-58.84 vs 52.53 ;95% CI, 43.09 - 54.03)
相対比 0.91 (95% CI, 0.68 - 1.21)

65-74歳男性におけるAAA死亡率は、10万人年対 34.52 (95% CI, 26.02-45.81)  vs 37.67 (95% CI, 28.71-49.44) l rate ratio of 0.92 (95% CI, 0.62-1.36)


5年間に於けるAAA1死亡回避NNTは64-83歳で 4784、65-74歳で 3290

全原因・心血管・他原因死亡率において有意な差を認めず

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note