2012年4月17日火曜日

システマティック・レビュー:切迫性尿失禁薬 効果・副作用中断率など

切迫性尿失禁: urgency urinary incontinence


Systematic Review: Benefits and Harms of Pharmacologic Treatment for Urinary Incontinence in Women
Ann Int Med.
First published April 9, 2012 on annals.org.
http://www.annals.org/content/early/2012/04/09/0003-4819-156-12-201206190-00436.full



RCT 94の文献

pooled analysisで、切迫性尿失禁薬剤の検討

尿失禁治療到達(1000あたり)
fesoterodine 130(CI, 58-202)
tolterodine(商品名:デトルシトール) 85 (CI, 40-129)
oxybutynin(商品名:ポラキス 等) 114 (CI, 65-163)
solifenacin(商品名:ベシケア) 107 (CI, 58-156)
trospium 114(CI, 83-144)


Figure 1. Continence with drugs for urgency urinary incontinence (pooled with random effects from randomized, controlled trials). : 切迫性尿失禁薬剤抑制効果


副作用による中断率(1000あたり)
fesoterodine 31(CI, 10-56)
oxybutynin 63(CI, 12-127)
trospium 18(CI, 4-33)
solifenacin 13(CI, 1-26)

Figure 2. Treatment discontinuation due to adverse effects from drugs for urgency urinary incontinence (pooled results from randomized, controlled trials by using rate arcsine transformation). :副作用による治療中断率

尿失禁改善・QOL改善の定義は一致していないため、エビデンス構築上の障害となっている。



数字やグラフだけ見ると、“ベシケア”の優秀性が際立ってるかもしれない。比較対照が一致してないからホントは何も言えないのかも・・・
ただ、ガチンコ比較でデトルシトールは副作用中断率が高いことは確か。

ファーストフード塩含量:国毎製品毎ばらつき マックのチキンナゲット 塩(g/100g) 米国 1.6g 日本 1.3g 英国 0.6g




The variability of reported salt levels in fast foods across six countries: opportunities for salt reduction
CMAJ 2012. DOI:10.1503 /cmaj.111895
http://www.cmaj.ca/content/early/2012/04/16/cmaj.111895.full.pdf+html


オーストラリア、カナダ、フランス、ニュージーランド、UK、USのファーストフード比較
様々なカテゴリーの製品の肉内塩含量比較

たとえば、サラダでは、100gあたり0.5g、チキン製品には1.6g

国毎にばらつきがあり、チキン製品において、UKでは1.1g、USでは1.8g

sらに、会社毎、国別同製品間でもばらつきがある
たとえば、マクドナルド・チキンナゲットにはUKでは0.6g、しかし、USでは1.6g








日本のチキンマックナゲット内の塩含量は、“100gあたり1.3g”
http://www.mcdonalds.co.jp/quality/basic_information/menu_info.php?mid=1610

心因性非てんかん性発作

心因性非てんかん性発作 (Psychogenic. Non-Epileptic Seizure: PNES) 、いわゆる偽発作


日本のガイドライン
心因性非てんかん性発作(いわゆる偽発作)に関する診断・治療ガイドライン てんかん研究(0912-0890) 26巻3号 Page478-482(2009.01) 日本てんかん学会ガイドライン作成委員会 
http://square.umin.ac.jp/jes/pdf/pgszgl.pdf から引用
てんかんと鑑別を要するてんかん様症状の中で、心因性非てんかん性発作 (Psychogenic
Non-Epileptic Seizure: PNES) の占める割合は、失神発作と並んで頻度が高く、てんかん専門の施設では初診患者の1~2割を占めるとの報告が多い。従って、PSNE は、てんかんの診断および治療にとって重要な一部を構成しているにもかかわらず、身体科の側では診断が確定するや否や場合によって詐病と似た取り扱いをされる場合が現在でもあり、他方、精神科では身体疾患であるてんかんとの鑑別に専門知識を要するために敬遠される傾向がある。結果として、PNES は、誰も積極的な治療の引き受け手のいない無人の領域 “no man’s land” となる傾向が見受けられる。このため、PSNE においては、確定診断がつくことが医療的なケアを受けにくくするという逆説的な事態が実際に引き起こされる場合があり、患者側の診断への抵抗を一層助長する状況が生じている。

PNES患者におけるストレスとcoping(対処)パターンを理解することは治療上重要。

"Stress life event appraisal and coping in patients with psychogenic seizures and those with epilepsy "
Testa SM, et al
Seizure 2012; DOI:10.1016/j.seizure.2012.02.002.
20名のPNES症例と、40名の対照、20名のてんかん(EPIL)比較
様々なストレス・イベント(ポジティブ、ネガティブ イベントとも)と、それに伴うdistressを調査。
習慣的なcoping behaviorも記載。

PNES群ではEPILや健常対照に比べストレスフルな生活イベント少なかったのにかかわらず、PNES群は、他の2群(健常対照、EPIL)に比べ、active coping低下を示す(P=0.0002)。加えて、ストレッサーとしては客観的に見て重度なものでは無かった。
しかし、ネガティブな生活イベント、特に職業上、社会生活機能、法的問題、健康問題において特に重度のdistressを報告している。

対照群に対し、業務上のdistressスコア高く(P=0.036)、社会的イベントに対するdistressも高い(P=0.006)。

PNESは健常者よりプランニングや積極的対処が低下している。この2つの要素は、distress程度と相関する。

PNES群は他の2群と比べ、拒絶性との関連は少ない。
distress認識程度との関連がPNESの特徴。しかし、拒絶性が大きいほど、よりdistress認識が大きい。

対処としては、distress認識の大きさにより特徴づけられており、そのため、actionの少ないstrategyでストレッサーの程度軽減するようにすること。

以上の検討は、PNES患者の認知行動療法への情報となる。

2012年4月16日月曜日

胃防御薬剤アドヒアランス低下ほど、上部消化管イベント増加

NSAIDsやCOX-2阻害剤を含む治療は胃腸障害を生じる、これらの薬剤に胃腸症状予防のため、追加薬剤を処方をすることがあり、海外の現行ガイドラインでは、PPIやミソプロストールなどの胃防御薬剤(GPA)の処方を上部消化管イベント予防のため推奨されている。


ちなみに、タケプロンに関して以下が添付文書で記載されている。後発品では以下の適用病名はない。アスピリンの“継続投与”を条件にしているから、保険者側が、当初から併用を認めないといちゃもんをつけることが出来る。
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合
血栓・塞栓の形成抑制のために低用量のアスピリンを継続投与している患者を投与対象とし、投与開始に際しては、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を確認すること。
非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合
関節リウマチ、変形性関節症等における疼痛管理等のために非ステロイド性抗炎症薬を長期継続投与している患者を投与対象とし、投与開始に際しては、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を確認すること。
さらに、後発品の添付文書には、この効能が記載されてない。故に、保険者の一存で、認めないこともあり得る。



以下の研究は、COX-2阻害剤に追加胃防御薬剤処方、これを減らすことが上部消化管合併症リスク減少と関連すると報告。

GPAレジメンアドヒアランス不良なNSAID使用者では、GPA薬剤の予防効果が減るわけだが、今まで、COX-2阻害剤使用者におけるGPAアドヒアランスのに関してエビデンスが少なかった。

Adherence to Gastroprotection During Cyclooxygenase-2 Inhibitor Use and the Risk of Upper Gastrointestinal Events: A Population-based Study

Vera E Valkhoff, Eva M van Soest, Giampiero Mazzaglia, Mariam Molokhia, Rene Schade, Gianluca Trifiro, Jay L Goldstein, Sonia Hernandez-Diaz, Ernst J Kuipers, Miriam C J M Sturkenboom. Arthritis & Rheumatism; Published Online: April 16, 2012 (DOI: 10.1002/art.34433). 
Valkhoff らは、1996-2008年までの英国、オランダ、イタリアの住民ベースのプライマリケア登録者、14416名(50歳以上)、COX-2阻害剤、GPA処方を検討。

 16442エピソードを含む上部消化管合併症(上部消化管出血、有症状潰瘍)を有するCOX-2遮断剤+GPA群

COX-2処方のうち、 セレコキシブ 43%、ロフェコキシブ 41%、 エトリコキシブ 15%、30日未満使用者が多い


74名で上部消化管イベント 、1千COX-2阻害剤使用あたり 11.9 のイベント発生率

低GPAアドヒアランス(GPA使用/COX-2阻害剤使用 平均1/5以下)は、ほぼ完全なアドヘレンス(GPA使用/COX-2阻害剤使用 平均4/5以上)に比べ、上部消化管合併症 リスク高い


GPAアドヒアランス10%減少毎、9%の消化管合併症リスク増加。







てんかんと交通死亡事故

警察組織ってのは、疫学を全く理解しておらず、インチキ統計学・疑似科学を垂れ流すことを生業とする組織である(e.g. 血液型と交通事故星座と交通事故・・・)。その組織が 生命に関わる予防介入措置の意思決定を牛耳っている。特定の身体・心身特性と運転免許資格の関係である。


  京都軽ワゴン車突入人身事故に関してだが・・・この問題に触れたことがある。

参考: てんかんと運転免許について思う・・・  2011年 04月 20日


昨夜、フジテレビの報道ワイドショーで、女医さんが「突然意識障害を来すばかりがてんかんじゃない。意図的運転操作があったとしてもてんかん発作を否定出来ない」・「お薬をのんでても100%発作をおさえられるケースだけではない」と述べていた。
「てんかんとは急に意識がなくなって、泡を吹いて倒れるもの、くすりをのんどけはすべて解決する」という誤認識に基づく他報道やコメントの嵐の中、まともなコメントはこれだけだった。aura/prodomal、心因性非てんかん性発作 (Psychogenic. Non-Epileptic Seizure: PNES) A、てんかんの病型の多様性から考えて、症候だけで、果たして、てんかんだったかどうか判断は今後も困難。
この事件・事故は、純粋な医学的推測でなく、その他の要素で司法判断がなされ、所属記者クラブが、それを支持するような情報を拡散し、推移していくような気がする。


ところで、日本における重大事故比率は米国より多いのだろうか?

“てんかん発作が原因とみられる死亡事故は、ここ5年間で18件起きた”(愛媛新聞 社説2012年04月16日(月)
“ 車運転時のてんかん発作による人身事故が、中国地方で昨年までの5年間に22件発生したことが分かった”(中国新聞 2012年4月15日 、信濃新聞Web 4月14日


“米国では、1995-97年44027名のドライバーが死亡し、うち、てんかんと関連した事故は86名(0.2%、82-97)が死亡事故と関連”と米国事例での論文掲載がなされている。
Mortality in epilepsy
Driving fatalities vs other causes of death in patients with epilepsy  
Soham G. Sheth, et. al.
Neurology September 28, 2004 vol. 63 no. 6 1002-1007

てんかん発作関連死亡事故数が日本の方が多いというわけではなさそうだ。
ただ、日本のように1回で多数の被害者を起こす事故の比率はどうかは、上記論文ではわからなかった。


論文解説・・・
てんかんと関連した事故は86名(0.2%、82-97)が死亡事故と関連。アルコールによる事故は、156倍以上。
若年者の事故はてんかん者の123倍以上。てんかんによる死亡事故は一般の2.6倍。
てんかん理由の事故は稀だが、アルコール、運転ミス、道路状況による事故は 稀でない。
てんかん患者の運転制限にはジレンマがつきもの。就業上・行動範囲制限を与えることと、患者自身の安全・公的安全性の問題があり、てんかん発作後の運転制限について、3ヶ月間運転制限と6-12ヶ月間運転制限比較では同様の安全性、より短期制限の可能性も

Patient Page The risk of fatal car crashes in people with epilepsy
Karen C. Richards, MD
http://www.neurology.org/content/63/6/E12.full

日本では、免許申請・更新時のてんかん申告の厳正化と、科学的根拠に基づく発作後の運転制限期間設定に関する議論が必要。


ドイツのレビュー:
てんかんがある場合、運転を許可するかどうかは医師にとっても試練。法医学的不確実性の問題は専門医や産業医にとっても課題。
Review Article:Medicolegal Assessment of The Ability to Drive a Motor Vehicle in Persons With Epilepsy
Dtsch Arztebl Int. 2010 April; 107(13): 217–223.
外傷リスクによる産業医学上の痙攣性疾患分類

Classification of convulsive disorders in occupational medicine by the risk of injury
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2855176/table/T1/


mGPS:切除不能肺非小細胞癌生存率指標



mGPSは、簡単な検査値だけで計算できる。多くの悪性腫瘍で検討されている指標。

 pre-therapeutic mGPS was calculated as follows:
・  CRP高値 (>10 mg/L) 及び低アルブミン血症 (<35 g/L) → 2
・ 低アルブミン血症無しCRP高値 → 1
・ 正常CRP±低アルブミン → 0


Clinical Utility of the Pretreatment Glasgow Prognostic Score in Patients with Advanced Inoperable Non-small Cell Lung Cancer
Journal of Thoracic Oncology: April 2012 - Volume 7 - Issue 4 - p 655–662

modified Glasgow prognostic score (mGPS)を261名の切除不能肺非小細胞癌で検討


多変量解析にて、年齢(P=0.001)、ECOG-PS(P<0.05)、mGPS(p<0.0001)、腫瘍病期(P<0.0001)が独立してがん特異的死亡率と関連。

5年がん特異的死亡率をエンドポイントとしてAU・ROCは、mGPS 0.735(95%CI、0.566-0.903、p=0.024)、ECOG-PSでは、0.669(95%CI 0.489-0.848、p=0.106)、腫瘍・リンパ節転移病期では0.622(95%CI 0.437-0.807、P=0.240)

mGPSの増加患者は、ECOG-PS不良(p<0.05)、白血球数増加(p<0.05)、緩和治療を受けている人が多い(p<0.05)。       
mGPSは、切除不能非小細胞癌においても、Performance status (PS)との共役関係が気になるが、有益で重要な生存指標

ガイドライン:Incentive Spirometry


“Incentive Spirometry:主として外科手術後の肺合併症の予防と治療を目的に,長い深呼吸を持続させるために「ため息」をさせる呼吸訓練器具の総称”
http://27.50.112.176/test/search/docs/103304001.pdf








AHRQ:Guideline Summary
http://guidelines.gov/content.aspx?f=rss&id=34793

Incentive spirometry: 2011.
Restrepo RD, Wettstein R, Wittnebel L, Tracy M. AARC clinical practice guideline: incentive spirometry: 2011. Respir Care 2011 Oct;56(10):1600-4. 


適応・禁忌をみると、Incentive spirometryは、深呼吸技術、直接的咳嗽、早期離床、適切な麻酔とともに使用することで、術後合併症予防に役立つかもしれない。ただ、単独使用のみは意味が無い。一定程度以上の肺活量、吸気を阻害する痛みや横隔膜機能障害がないこと、適切な麻酔が前提である。

【適応】
  • Preoperative screening of patients at risk for post-operative complications to obtain baseline flow or volume (Agostini et al., 2008; Kips, 1997; Larson et al., 2009).
  • Respiratory therapy that includes daily sessions of incentive spirometry plus deep breathing exercises, directed coughing, early ambulation, and optimal analgesia may lower the incidence of postoperative pulmonary complications.
  • Presence of pulmonary atelectasis or conditions predisposing to the development of pulmonary atelectasis when used with:
    • Upper-abdominal or thoracic surgery (Westwood et al., 2007)
    • Lower-abdominal surgery (Pappachen et al., 2006)
    • Prolonged bed rest
    • Surgery in patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD)
    • Lack of pain control (Bellet et al., 1995)
    • Presence of thoracic or abdominal binders
    • Restrictive lung defect associated with a dysfunctional diaphragm or involving the respiratory musculature
      • Patients with inspiratory capacity 2.5 L (Weindler & Kiefer, 2001)
      • Patients with neuromuscular disease
      • Patients with spinal cord injury (Chureemas & Kovindha, 1992)
  • Incentive spirometry may prevent atelectasis associated with the acute chest syndrome in patients with sickle cell disease (Bellet et al., 1995; Hsu, Batts, & Rau, 2005).
  • In patients undergoing coronary artery bypass graft (Yánez-Brage et al., 2009)
    • Incentive spirometry and positive airway pressure therapy may improve pulmonary function and 6-minute walk distance and reduce the incidence of postoperative complications (Haeffener et al., 2008; Ferreira et al., 2010). 
【禁忌】

  • Patients who cannot be instructed or supervised to assure appropriate use of the device
  • Patients in whom cooperation is absent or patients unable to understand or demonstrate proper use of the device
    • Very young patients and others with developmental delays
    • Patients who are confused or delirious
    • Patients who are heavily sedated or comatose
  • Incentive spirometry is contraindicated in patients unable to deep breathe effectively due to pain, diaphragmatic dysfunction, or opiate analgesia. (Wilkins, 2005)
  • Patients unable to generate adequate inspiration with a vital capacity <10 mL/kg or an inspiratory capacity <33% of predicted normal (Wilkins, 2005) 
【ハザード・合併症】

  • Ineffective unless performed as instructed
  • Hyperventilation/respiratory alkalosis
  • Hypoxemia secondary to interruption of prescribed oxygen therapy
  • Fatigue
  • Pain
    • Ineffective unless performed as instructed
    • Hyperventilation/respiratory alkalosis
    • Hypoxemia secondary to interruption of prescribed oxygen therapy
    • Fatigue
    • Pain 


 【評価・アウトカム評価】
1)incentive spirometry単独でのルーチン使用は、術前・術後の肺合併症予防のための使用として推奨しない(1B)

2)深呼吸技術、直接的咳嗽、早期離床、適切な麻酔とともに、incentive spirometryを使用することは、 術後肺合併症予防に対して推奨される。(1A)

3)術後合併症予防のため、術前・術後、深呼吸運動は、incentive spirometry使用と同様のベネフィットをみとめる。(2C)


4)上腹部手術のための、無気肺予防のためのincentive spirometryルーチン使用は推奨しない(1B)

5)冠動脈疾患バイパス術後のincentive spirometryルーチン使用は推奨しない(1A)

6)incentive spirometryデバイスとしてvolume-oriented deviceを選択すること(2B)

noteへ実験的移行

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