日本のガイドライン
心因性非てんかん性発作(いわゆる偽発作)に関する診断・治療ガイドライン てんかん研究(0912-0890) 26巻3号 Page478-482(2009.01) 日本てんかん学会ガイドライン作成委員会
http://square.umin.ac.jp/jes/pdf/pgszgl.pdf から引用
てんかんと鑑別を要するてんかん様症状の中で、心因性非てんかん性発作 (Psychogenic
Non-Epileptic Seizure: PNES) の占める割合は、失神発作と並んで頻度が高く、てんかん専門の施設では初診患者の1~2割を占めるとの報告が多い。従って、PSNE は、てんかんの診断および治療にとって重要な一部を構成しているにもかかわらず、身体科の側では診断が確定するや否や場合によって詐病と似た取り扱いをされる場合が現在でもあり、他方、精神科では身体疾患であるてんかんとの鑑別に専門知識を要するために敬遠される傾向がある。結果として、PNES は、誰も積極的な治療の引き受け手のいない無人の領域 “no man’s land” となる傾向が見受けられる。このため、PSNE においては、確定診断がつくことが医療的なケアを受けにくくするという逆説的な事態が実際に引き起こされる場合があり、患者側の診断への抵抗を一層助長する状況が生じている。
PNES患者におけるストレスとcoping(対処)パターンを理解することは治療上重要。
"Stress life event appraisal and coping in patients with psychogenic seizures and those with epilepsy "
Testa SM, et al
Seizure 2012; DOI:10.1016/j.seizure.2012.02.002.
20名のPNES症例と、40名の対照、20名のてんかん(EPIL)比較
様々なストレス・イベント(ポジティブ、ネガティブ イベントとも)と、それに伴うdistressを調査。
習慣的なcoping behaviorも記載。
PNES群ではEPILや健常対照に比べストレスフルな生活イベント少なかったのにかかわらず、PNES群は、他の2群(健常対照、EPIL)に比べ、active coping低下を示す(P=0.0002)。加えて、ストレッサーとしては客観的に見て重度なものでは無かった。
しかし、ネガティブな生活イベント、特に職業上、社会生活機能、法的問題、健康問題において特に重度のdistressを報告している。
対照群に対し、業務上のdistressスコア高く(P=0.036)、社会的イベントに対するdistressも高い(P=0.006)。
PNESは健常者よりプランニングや積極的対処が低下している。この2つの要素は、distress程度と相関する。
PNES群は他の2群と比べ、拒絶性との関連は少ない。
distress認識程度との関連がPNESの特徴。しかし、拒絶性が大きいほど、よりdistress認識が大きい。
対処としては、distress認識の大きさにより特徴づけられており、そのため、actionの少ないstrategyでストレッサーの程度軽減するようにすること。
以上の検討は、PNES患者の認知行動療法への情報となる。
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