2012年10月9日火曜日

トマトと卒中:血中リコピン高値と卒中リスク減少と関連

Serum lycopene decreases the risk of stroke in men
A population-based follow-up study
Jouni Karppi, et. al.
Neurology October 9, 2012 vol. 79 no. 15 1540-1547

果物・野菜摂取と血中カロチノイドは卒中リスク減少と関連するが、必ずしも一致した報告というわけでは無かった。男性において、主要カロチノイドであるαトコフェロール、レチノールの血中成分量と卒中・虚血性卒中の関連性をしらべたもの

1031名のフィンランド男性(46-65歳)のKuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor cohort

卒中67、うち、虚血性卒中 50(12.1年フォローアップ)

年齢、調査年、BMI、収縮期血圧、喫煙、血中LDL、糖尿病、卒中既往補正後、最大vs最小血中リコピン濃度4分位比較で、リスクについて、卒中59%、虚血性卒中55%減少 ;卒中に関するハザード比[HR] = 0.45, 95% 信頼区間 [CI] 0.25−0.95, p = 0.036、虚血性卒中に関するHR = 0.41; 95% CI 0.17−0.97, p = 0.042 )

αカロチン、ベータカロチン、αトコフェロール、レチノールは卒中リスクと関連せず




かごめの回し者ではないが、トマトジュース(食塩無添加)ってのがあって、無添加のはずなのに、うまい。とくに限定品がとくにいける。
 

新生児輸血:新しい輸血製剤の方がよいというわけではない ;それまでの報告否定

新生児のいて、古い輸血用血液にくらべればフレッシュな輸血用血液のほうが、臓器障害、院内感染率、入院期間長期化に関し悪影響少ないという報告があったそうだ

e.g.
Fresh whole blood versus reconstituted blood for pump priming in heart surgery in infants.
N Engl J Med. 2004 Oct 14;351(16):1635-44.



377名の新生児を対象とした二重盲検ランダム化対照化治験でそれを否定

結果、プライマリアウトカム(重大新生児合併症(壊死性会長結腸炎、新生児網膜症、BPD、心室内出血)、死亡))に関して差を認めず、感染症リスクも差を認めなかった。



Effect of Fresh Red Blood Cell Transfusions on Clinical Outcomes in Premature, Very Low-Birth-Weight Infants:  The ARIPI Randomized Trial  
Dean A. Fergusson, et. al.
JAMA. Published online October 08, 2012. doi:10.1001/2012.jama.11953

2012年10月6日土曜日

ケタミン:うつに対し迅速な治療効果

「ドラッグ」としての不正使用で話題になるが、離人的効果、視覚・聴覚知覚の歪みと離脱感覚をもたらすclub drugとしての作用があり、ゆめのような感覚、幻覚、せん妄、健忘を来す可能性もある。

ケタミンのうつに対する迅速改善効果が以前から報告され、改善は数時間以内に明らかになり、週単位・月単位効果が継続することが示されていた。しかし、この研究の知見では、それほど長く続くことはなく7-10日間程度の効果であった。

DOI: 10.1126/science.1222939
Review
Synaptic Dysfunction in Depression: Potential Therapeutic Targets
Science 5 October 2012:  Vol. 338 no. 6103 pp. 68-72





脳研究・臨床研究で、うつでは、気分や認知調整に関わる脳の領域、PFCや海馬を含む領域が縮小し、 これらの領域ではニューロンシナプスの減少が見られる。抗うつ薬はこのニューロン障害を防止し可逆的状況を作る可能性はあるが、従来の抗うつ薬ではその効果は限定されており、数週間から数ヶ月かかる。
注目すべき発見として、ケタミン(NMDA: N-メチルーアスパラギン酸受容体 拮抗阻害剤)で、他抗うつ薬抵抗性の症例でも急激(数時間)で抗うつ作用を示すことが示された。
基礎研究で、ケタミンはシナプス新生を急激に促し、慢性ストレス原因のシナプス障害の可逆性を示す。
これらの知見により、感情回路結合のホメオスターシスコントロールに中心的役割が注目され、うつのsynaptogenic hypothesisおよび治療反応の原理が形作られた。




ケタミンは、グルタミン酸の遊離トリガーとなり、シナプス数増加をもたらす。

グルタミン酸といえば、「シナプス伝達とシナプス可塑性」なのだが・・・
 http://neuro.dept.med.gunma-u.ac.jp/gakubu/unit7.pdf

ニューロン・シナプスへの構造的変化が示されている。

2012年10月5日金曜日

軽症・中等症閉塞型無呼吸:CPAP治療により昼間の日常生活機能改善

軽症・中等症OSA患者において昼間の眠気経験し、日常機能へ影響を与える。CPAP治療が真に日常機能改善効果あるかの検討。

結論としては、眠気のある軽症・中等度閉塞型無呼吸患者の機能的アウトカム改善効果





Continuous Positive Airway Pressure Treatment of Sleepy Patients with Milder Obstructive Sleep Apnea
Results of the CPAP Apnea Trial North American Program (CATNAP) Randomized Clinical Trial
Am. J. Respir. Crit. Care Med. October 1, 2012 vol. 186 no. 7 677-683

自己報告昼間の眠気 (Epworth Sleepiness Scale score<10) 、酸素飽和度低下3%の無呼吸低呼吸指数、5-30イベント患者をランダムにactive vs sham CPAP施行
Functional Outcomes of Sleep Questionnaireの8週間介入後総点数をプライマリアウトカムとすると、補正後差平均は、active群 0.89(n=113)で、プラシーボ群に比べ -0.06(n=110)(P=0.006)
群差平均変化量は、effect size 0.41(95% 信頼区間, 0.14–0.67)
平均(SD)改善値は、交叉時期の開始から終了(n=91)で、1.73± 2.50 (t[90] = 6.59; P < 0.00001) で、effect size  0.69

AHI 5程度の軽症から、眠気あれば、この治験の対象となっている。

自覚症状優先で対象選別し、日常生活機能への改善効果が示された。

COPD:L3/4ミオトーム部位筋肉求心系刺激抑制のよる運動耐容改善効果

脊髄麻酔で、COPD運動耐容能改善

脊髄麻酔による、感覚求心性信号抑制によるが換気応答・呼吸苦減少効果、 すなわち、L3/4(group III/IV)下肢筋力感覚求心性神経関与が考えられる。



Influences of Spinal Anesthesia on Exercise Tolerance in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Am. J. Respir. Crit. Care Med. October 1, 2012 vol. 186 no. 7 606-615 
クロスオーバー二重盲検ランダム化デザイン
8名のCOPD(FEV1 67±8%予測値)
sham、active脊椎麻酔(フェンタニル25μg L3-L4)



ミオトームで言えば、以下のごとく
http://phys_ther.w3.kanazawa-u.ac.jp/staff_04/subnote_kisoundogaku.html
L3
 ミオトーム
  膝伸展
   大腿四頭筋(大腿神経)
  股内転
   長・短内転筋、大内転筋(閉鎖神経)

L4
 ミオトーム
  足背屈   足内反
   前脛骨筋(深腓骨神経)


 反射
  膝蓋腱反射 (PTR)


COPDに関して鍼治療の効果報告あるが、求心性神経抑制も説明の一つになる
COPD:鍼で、運動耐容能、労作性呼吸苦改善 H24/03/16

肥満者における喘息炎症悪化は、内臓・皮下脂肪組織からのリモート作用?

 肥満は喘息の重要なリスク要素だが、その理由は不明。肥満の喘息悪化は、気道上皮からの影響なのか?それとも、体中の脂肪組織からの影響なのか?


肥満者の喘息病態悪化は、内臓・皮下脂肪組織からのリモート効果と考えられそうだ。


肥満喘息女性と、肥満非喘息女性(対照)比較で、ベースラインと肥満手術後12ヶ月比較。


 
 対照とBMI補正比較したとき、喘息患者は、内臓脂肪組織中のマクロファージ浸潤増加、レプチン発現増加、アディポネクチン減少。 
 皮下脂肪でも同様。


 気道上皮細胞はレプチン・アディポネクチン発現し、気道反応性は、内臓脂肪レプチン発現と相関する (rho = −0.8; P<0 .01=".01" p="p">
BALサイトカインと肺胞マクロファージからのサイトカイン産生は、喘息、対照で、ベースラインで同様、 そして、肥満手術後増加傾向を認める。


An Inflammatory Disease of Adipose Tissue Not the Airway
Am. J. Respir. Crit. Care Med. October 1, 2012 vol. 186 no. 7 598-605

DIRECT研究:低炭水化物食 vs バランスのとれたダイエット食 vs 低脂肪食

いわゆるAtkinsダイエットを今更ながらとりたてて、極端な食事を推奨している主張が目立つ。循環器の医者までが低炭水化物食を患者に勧めているのを見掛けるがあまりにアホすぎて・・・開いた口が・・・

テレビで得た情報をそのまんま患者指導に利用する医者・・・ テレビなどの風評におどらされ、自らが情報リソース確認を怠っている医者のことだが、有害な存在である。
関連: 低炭水化物・高蛋白食は心血管疾患リスク増加をもたらす 2012/6/28
低GI食は、低脂肪食、低炭水化物食(Atkins食)より負の影響が少なく体重維持効果的 2012/6/27
 本来、挟雑要素の少ない治験デザインでの、“低炭水化物食 vs バランスとのとれた食事 vs 低脂肪食”比較の長期フォロー成績がまたれる。

 DIRECT研究後のフォローアップ成績は参考になると思う。

低炭水化物食、Mediterranean食が長期的には、動脈硬化特性上は良好な食事指導ということになるだろうと考える。
しかし、上記報告を合わせ考えると、やはり、バランスの良いMediterranean食をベースにした食事指導が妥当だろう。



2年間のワークアップ研究であったDietary Intervention Randomized Controlled Trial (DIRECT)研究後さらに4年後の検討


Four-Year Follow-up after Two-Year Dietary Interventions
N Engl J Med 2012; 367:1373-1374
October 4, 2012DOI: 10.1056/NEJMc1204792

比較的肥満322名を3つに割り付け
・  低脂肪・カロリー制限
・ Mediterranean、カロリー制限
・ 低炭水化物、カロリー制限なし

 低炭水化物食やMediterranean食は、維持性が良く、ベースラインから比較で-1.7kg、-3.1kgの減量効果がみられていた。
トリグリセリドもともに減少、総コレステロールも減少継続

下図は、わざと画質悪化させたもの
右上:体重、左上:LDD:HDL比、右下:TG、左下:総コレステロール

体重減少としては、低脂肪食が一番もとに戻りやすい、Mediterranean食が最も維持性が高い

介入直後のフォローアップ2年後
  • 低脂肪: 2.9 kg (6.39 lbs.)
  • Mediterranean 食: 4.4 kg (9.70 lbs.)
  • 低炭水化物: 4.7 kg (10.36 lbs.)
フォローアップ6年後
  • 低脂肪: 0.6 kg
  • Mediterranean 食:  3.1 kg
  • 低炭水化物: 1.7 kg
 低脂肪食とMediterranean食とは有意差認める


6年後のLDL/HDL比は3群同等だが、低炭水化物での変化量が大きい(0.16 ,p=0.04)

TG減少はMediterranean群と低炭水化物群で有意 (21.4 mg/dL [0.24 mmol/L], P=0.03、11.3 mg/dL (0.13 mmol/L], P=0.02)、ただ、3群間有意差なし(P=0.12)

総コレステロールに関して、包括的に、3群の有意な継続的減少がみられる
低脂肪群 7.4 mg/dL (0.19 mmol/L) (P=0.03)
Mediterranean群 13.9 mg/dL (0.36 mmol/L)(P=0.001)
低炭水化物群 10.4 mg/dL (0.27 mmol/L)(P=0.02; P=0.71 for all comparisons)








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