2020年8月20日木曜日

SARS-CoV-2:授乳からのリスクは少ない?

母乳"サンプルからも replication-competent virus は検出されなかった"


母乳やmilk bankを通した授乳へ安心感をあたえる知見

だが、データサンプルが限定的で、selection biasの可能性、検査方法・サンプル採取法など検討が必要

Evaluation for SARS-CoV-2 in Breast Milk From 18 Infected Women

Christina Chambers,  et al.

JAMA. Published online August 19, 2020. 

doi:10.1001/jama.2020.15580




2020年3月27日から5月6日の間に、SARS-CoV-2感染が確認された18人の女性(77.7%の白人非ヒスパニック、平均年齢34.4歳[SD、5.2歳])を登録した。その子の年齢は新生児から19ヵ月までであった。

女性は1~12検体を提供し、合計64検体をSARS-CoV-2 RT-PCR検査の陽性結果の前後のさまざまな時点で採取した。1 名を除くすべての女性に症状のある疾患があった(図)。1 名の母乳サンプルから検出可能な SARS-CoV-2 RNA が検出された。陽性サンプルは症状発症日に採取されたが、症状発症の2日前に採取された1サンプルと、12日後と41日後に採取された2サンプルは、ウイルス性RNAの検査で陰性であった。母乳で育てられた乳児は検査されなかった。ウイルスRNAが陽性であったサンプルを含め、どのサンプルからも replication-competent virus は検出されなかった。







SARS-CoV-2感染防御はメモリーT細胞が大きな役割を果たす

液性免疫であるSARS-CoV-2-特異的抗体検出率は限られているが、T細胞反応が殆どに観察されメモリーT細胞反応が大きな役割を果たすかもしれない


記憶B細胞の反応は短命になる傾向があることも示されています。SARS-CoV-1への感染(Channappanavarら、2014年;Tangら、2011年)。

対照的に、記憶T細胞応答は、何年も持続の可能性がある(Le Bertら、2020)。SARS-CoV-2特異的T細胞がヒトにおいて同定されている(Grifoniら、2020年;Ni et al.) 


スウェーデンのアウトカム明確となっているコホートを試料とした検討


Robust T cell immunity in convalescent individuals with asymptomatic or mild

COVID-19

Cell (2020). Takuya Sekine et al, 

DOI: 10.1016/j.cell.2020.08.01

https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)31008-4

https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S0092-8674%2820%2931008-4

SARS-CoV-2特異的メモリーT細胞は、COVID-19に対する長期的な免疫防御に重要であると考えられる。未曝露者、曝露家族、および急性期または回復期のCOVID-19患者におけるSARS-CoV-2特異的T細胞応答の機能的および表現型を系統的にマッピング

急性期のSARS-CoV-2特異的T細胞は高度に活性化された細胞障害性表現型を示し、それは様々な重症度の臨床マーカーと相関していたが、回復期のSARS-CoV-2特異的T細胞は多機能であり、stem-like memory phenotypeを示した。

重要なことに、SARS-CoV-2特異的T細胞は、抗体血清陰性の家族や、無症候性で軽度のCOVID-19の既往歴を持つ回復期の患者で検出可能であった。

このデータセットでは、SARS-CoV-2が頑健で広範かつ高度に機能的なメモリーT細胞応答を誘発することを示しており、自然暴露や感染が重度のCOVID-19の再発を防ぐ可能性を示唆している。


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ワクチンの効果は一般的には特異的免疫グロブリン抗体で測定されることが多いが、新型コロナがパラダイムシフトとなるのだろうか?

2020年8月19日水曜日

ARIC研究コホート:HDLは感染予防的?

HDL値と宿主免疫の関連性


Major Lipids and Future Risk of Pneumonia: 20 year Observation of the Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Study Cohort

Sangmee Sharon Bae, et al.

Am J. Med.Published:August 15, 2020

DOI:https://doi.org/10.1016/j.amjmed.2020.07.022

https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(20)30698-7/fulltext


背景

循環脂質は免疫応答の重要な調節因子として関与しており、脂質レベルの変化は感染症の重症度と相関している。しかし、将来の感染リスクに関する脂質レベルの長期的な予後予測は不明のままである。本プロジェクトは、ベースラインの脂質レベルが将来の重症感染症リスクと関連しているかどうかを調べることを目的としている。

方法

追跡期間の中央値が 20 年以上の米国の大規模なコミュニティベースの縦断的コホートである Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)研究から選ばれた 13,478 人を対象に、レトロスペクティブ解析を行った。肺炎による最初の入院は、病院の退院記録から同定した。Cox比例ハザードモデルを用いて、ベースラインの主要脂質レベル(総コレステロール、LDL-C、HDL-C、トリグリセリド)と肺炎の初回入院までの期間との関連を評価した。

結果

合計1969人(14.61%)の参加者が、追跡期間中央値21.5年の間に肺炎による入院を経験した。肺炎による入院のハザード比(HR)は、ベースラインのHDL-Cが10mg/dl増加するごとに0.90(95%CI 0.87-0.92)、ベースラインのトリグリセリドが10mg/dl増加するごとに1.02(95%CI 1.02-1.03)であった。HDL-Cとトリグリセリドはともに多変量調整後も肺炎による入院の有意な予測因子であった。このような関連は、ベースラインのLDL-Cまたは総コレステロール値では認められなかった。


 

結論

ベースラインのHDL-C値の低下とトリグリセリド値の上昇は、米国の大規模な縦断的コホートにおいて、長期的な肺炎による入院リスクの増加と強く関連していた。


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序文翻訳文

血漿脂質レベルは、アテローム性動脈硬化症や冠動脈性心疾患の病態において長い間研究されてきた(1)。しかし、血漿脂質およびリポタンパク質が宿主免疫においても重要な役割を果たしているという証拠が増えてきている(2-4)。細菌、ウイルス、寄生虫感染症の患者では血漿脂質レベルが変化しており(5-7)、脂質レベルの変化の程度は感染症の重症度と相関している(8、9)。活発な感染症患者を対象とした研究では、高密度リポタンパク質(HDL)と総コレステロール濃度が抑制されているのに対し、トリグリセリド濃度は上昇していることが示されています(10, 11)。

特にHDLは自然免疫応答に積極的に関与していることが示唆されています(4, 12)。先行する観察研究では、HDLコレステロール(HDL-C)と将来の感染症リスクとの間に保護的な関連性が示唆されています(2-7、12-20)。HDLは補体活性化と急性炎症反応に関与するタンパク質を含む免疫調節性粒子である(12, 21)。しかし、これまでの研究では、主に1回の入院でのHDLレベルに関連した短期的な感染症転帰が報告されており、将来の感染リスクに対する長期的な予後予測の意味合いは不明なままである。さらに、他の主要脂質と免疫応答との関係についての情報は少ない。

今回の研究では、13,000人以上の参加者を中央値で20年以上追跡した米国の大規模な地域密着型プロスペクティブコホートを用いて、ベースラインの主要脂質レベルが、肺炎の入院によって測定される将来の重篤な感染症リスクと関連しているかどうかを明らかにした。このプロジェクトの意義は、一般集団における重篤な感染症の予防のための潜在的なターゲットとして脂質プロファイルを同定することにある。

考察一部
今回の研究は、ベースラインのトリグリセリド値の上昇と将来の感染症リスクとの間に強い有意な関連があることを示した、一般集団を対象とした初めての大規模研究である。トリグリセリド値が高い患者は心血管系死亡のリスクが高く(38)、トリグリセリド値を下げると虚血性イベントの有意な減少につながる(39)。しかし、炎症状態に関するトリグリセリドレベルの影響は、研究間であまり一貫性がない。いくつかの研究では急性感染症時にトリグリセリドレベルが上昇することが示されているが(10、11)、デンマークの研究を含む他の研究では、トリグリセリドレベルと感染症の転帰との間に有意な関連はないことが示されている(6、20)。ほとんどの研究はサンプルサイズとフォローアップ期間が限られている。デンマークの研究では、多変量調整後のトリグリセリド値は感染症リスクとは関連していなかった。我々の研究では、トリグリセリド値の上昇は多変量調整後も肺炎による入院リスクの上昇と強く関連していることが示された。今回の研究は、他の研究では行われていなかった食後のトリグリセリドへの影響の可能性を排除して、空腹時の脂質プロファイルを厳密に測定できたことも強みとなっている。
以前の研究では、高トリグリセリド血症患者や急性炎症状態の患者では、HDL-Cの組成がより高いトリグリセリド含量を持つように変更されていることが示されている(40)。このようなトリグリセリドを多く含むHDL-C粒子は、その抗酸化機能を含む機能特性に異常があるように見える(41)。ここでは、各トリグリセリド四分位内のHDL-C四分位に応じて肺炎リスクを評価したところ、すべてのトリグリセリド四分位において、高HDL-Cは一貫して肺炎リスクの低下と関連していることがわかった。このことは、HDL-Cが宿主の免疫応答において保護的な役割を果たしているという先験的な仮説を支持するものである。興味深いことに、トリグリセリドの四分位が最も高い被験者では、HDL-Cの四分位にかかわらず、肺炎のリスクが有意に高かった。我々は、トリグリセリドの四分位が最も高い被験者は、トリグリセリドの濃縮によりHDL機能が変化した被験者であり、HDLレベルそのものよりも影響力があるのではないかと推測している。トリグリセリド富化リポ蛋白質が宿主免疫応答をどのように調節するかをよりよく理解するためには、さらなる研究が必要である。
現在の脂質修飾療法は心血管イベントの予防に主に用いられているが、今回の知見は、将来の感染症の予防にも有益であることを示唆している。今回の所見では、HDL-Cまたはトリグリセリドレベルを修飾する薬剤を開始することで、将来の感染症のリスクが低下することを確認することはできないが、心血管系の予防以外の理由から、健康的な脂質プロファイルを維持することが推奨されている。さらに、脂質レベルを修飾する非脂質製剤を処方する際には、可能であれば、特に将来の感染症のリスクが高い患者において、HDL-Cを増加させる薬剤を検討してもよいであろう。HDL-Cを増加させることの絶対的な利点は、トリグリセリドレベルが極端に高くない患者ではより大きくなる可能性が高い。

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A clear role for HDL in mitigating infectious agents is demonstrated by the transport of the trypanosome lytic factor lipopolysaccharide, and the inhibition of leukemogenic endogenous C-viruses
HDL species have been shown to transport a number of biologically active lipid species, notably sphingosine-1-phosphate (S1P). 
HDL-S1P transport is highly associated with vasoprotection and antithrombotic activities, and HDL-S1P levels are inversely correlated with cardiovascular  disease[9]. 
Elegant studies have demonstrated that HDL transport microRNAs and deliver them in a directed manner to recipient cells, impacting gene expression  and inflammation, indicating that HDL have a role in endocrine signaling at multiple levels of regulation. 
HDL interact with monocytes and macrophages to affect the expression of cytokines and other stimulatory factors, contributing to the anti-inflammatory properties of HDL [11]. 
Recent work now indicates HDL transport cytokines, establishing a novel mechanism for regulating the inflammatory and immune activities [12&&,13].
HDL frequently remodel in response to environmental cues and transport cargo to recipient cells, likely in a cell-specific manner that is not yet elucidated. 
This process closely emulates the activity of immune cells, scavenging for foreign substances, sequestering harmful particles, and presenting identifying markers for adaptive response. 

Recent studies demonstrate that circulating HDL acquire signal in glipids ,  microRNAs, and infectious agents, and deliver these contents to recipient cells to elicit a physiological response. 
Emerging findings that HDL also transport cytokines indicate HDL species are mechanistically involved in mediating immune responses. It is well appreciated that HDL functions beyond transporting cholesterol, and accumulating evidence suggests that HDL have a primary role in immune function.

2020年8月18日火曜日

COPD治療困難への徐放モルヒネ投与

COPDや心不全を終末期医療の対象と考えてくれないので、呼吸困難にあえぐ終末期患者は、放置されている 

MSコンチンは“【効能・効果】 激しい疼痛を伴う各種癌における鎮痛”としっかり書かれているから日本では保険診療上使用できないことになる

徐放ではないもののコデインでは”各種呼吸器疾患における鎮咳・鎮静”が効能としてあり、喘息発作中および慢性肺疾患に続発する心不全や他の禁忌が無ければ保険診療上は使用可能となるはず

より軽症な場合でも薬剤不応性の呼吸困難を訴える対象者は多く、診療の現場で対応に苦慮


Effect of Sustained-Release Morphine for Refractory Breathlessness in Chronic Obstructive Pulmonary Disease on Health Status

A Randomized Clinical Trial

Cornelia A. Verberkt,  et al.

JAMA Intern Med.  Published online August 17, 2020. 

doi:10.1001/jamainternmed.2020.3134

疑問

進行した慢性閉塞性肺疾患による中等度から非常に重度の慢性息切れを有する患者において、定期的な低用量の経口徐放性モルヒネは、疾患特異的な健康状態を改善するか、あるいは呼吸器系の副作用を引き起こすか?


知見 

慢性閉塞性肺疾患患者 111 例を対象とした無作為化臨床試験において、モルヒネは慢性閉塞性肺疾患評価テストのスコアを有意に改善した。4週間の治療期間中、臨床的に関連する呼吸器系の副作用は発生しなかった。


意義 

中等度から重度の無呼吸の患者において,4 週間の定期的な低用量経口徐放性モルヒネの使用は,呼吸器系の副作用を引き起こすことなく慢性閉塞性肺疾患評価テストのスコアにプラスの効果をもたらす可能性があり,慢性無呼吸の緩和治療におけるモルヒネの現在の役割が確認された.


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重要性 

モルヒネは進行性慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の慢性的な息切れの緩和治療として使用される。呼吸器への悪影響と健康状態に関するエビデンスは乏しく、相反するものである。


目的 

COPD患者における疾患特異的健康状態(COPD評価テスト:CAT)、呼吸器の転帰、および息切れに対する定期的、低用量の経口徐放性モルヒネの効果を評価すること。


介入群 

参加者は無作為に、通常の経口徐放性モルヒネ10mgを1日2回投与する群とプラセボを4週間投与する群に割り付けられ、1~2週間後には1日3回投与に増やすことができた。


デザイン、設定、および参加者 

Morphine for Treatment of Dyspnea in Patients With COPD(MORDYC)試験は、4 週間の介入を行う無作為化二重盲検プラセボ対照試験であった。患者は2016年11月1日から2019年1月24日までの間に登録された。参加者は、肺リハビリテーションプログラム終了後に肺リハビリテーションセンターと2つの総合病院で募集した。最適な薬理学的治療および非薬理学的治療にもかかわらず、COPDおよび中等度から非常に重度の慢性息切れ(modified Medical Research Council [mMRC] breathlessness grades 2~4)を有する外来患者を対象とした。合計1380人の患者がスクリーニングされ,916人が不適格で,340人が参加を辞退した.


主なアウトカムと測定方法 

一次アウトカムはCATスコア(スコアが高いほど健康状態が悪いことを示す)と二酸化炭素の動脈分圧(Paco2)であった。

副次的転帰は、過去24時間の息切れ(数値評価尺度)であった。データは治療意向別に解析した。mMRCグレード3~4の参加者を対象にサブグループ解析を実施した。


結果 

被験者124人中111人が解析対象となった(平均年齢65.4[8.0]歳、男性60人[54%])。

CATスコアの差はモルヒネ群で2.18ポイント低かった(95%CI、-4.14~-0.22ポイント、P=0.03)。

Paco2の差はモルヒネ群で1.19mmHg高かった(95%CI、-2.70~5.07mmHg;P = 0.55)。息切れは変わらなかった。

最悪の息切れはmMRCグレード3~4の参加者で改善した(モルヒネ群で1.33ポイント低下;95%CI、-2.50~-0.16ポイント;P = 0.03)。

モルヒネ群54人中5人(9%)、プラセボ群57人中1人(2%)が副作用のために参加を取りやめた。モルヒネ関連の入院や死亡は発生しなかった。


結論と関連性 

この無作為化臨床試験では、Paco2に影響を及ぼすことなく、また重篤な副作用を引き起こすことなく、COPD患者の疾患特異的な健康状態を改善するために、低用量の定期的な経口徐放性モルヒネを4週間投与した。

最悪の息切れは mMRC グレード 3~4 の患者で改善した。 mMRC グレード 3~4 の患者を対象とした大規模な無作為化臨床試験で、より長期の追跡調査が必要である。


試験登録 ClinicalTrials.gov 識別子. NCT02429050

Trial Registration  ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02429050


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呼吸困難のVAS評価も最近レビューされている


Minimal clinically important differences in average, best, worst and current intensity and unpleasantness of chronic breathlessness

Magnus Ekström, et al.

European Respiratory Journal 2020 56: 1902202; DOI: 10.1183/13993003.02202-2019

https://erj.ersjournals.com/content/56/2/1902202


背景 

慢性的な息切れは壊滅的な結果をもたらす。現在の強度の最小臨床的に重要な差(MCID)は、100mmのビジュアルアナログスケール(VAS)で9mmと推定されている。一般的に使用されている “dimensions and recall periods”のMCIDを決定することを目的とした:慢性的な息苦しさの過去24時間の現在の不快感と現在、平均、最高、最悪の強度。


方法 

これは、重症の慢性息切れ患者を対象に、モルヒネとプラセボを7日間投与した無作為化比較試験の二次解析である。息切れスコアは、100mm VASで毎晩日記を用いて自己申告した。各スコアの改善のためのMCIDをアンカーベース法と分布ベース法を用いて推定した。


結果 

283名の参加者(平均年齢74.2歳、男性63%、COPD 58%、修正医学研究評議会(mMRC)スコア3~4の87.0%)を対象とした。アンカーベースの息切れスコアのMCIDは-13.9mm~-9.5mmであった。アンカーを変えて使用した場合のMCIDは、すべての参加者と、より重度の息切れ(mMRC 3-4)の参加者で同様であった。分布に基づく効果の大きさは、小(-4.7~6.3mm)、中程度(-9.4~12.5mm)、大(-15.0~20.0mm)に分類された。異なるスコアを用いた試験のサンプルサイズが提案された。ベースラインからの相対変化よりも、絶対変化のMCIDの方が安定していた。


結論 

100mmのVASで約10mmの改善は、慢性的な息切れの指標(現在の強さ、不快感、過去24時間の平均、最高・最悪の強さ)を用いて、治療試験における臨床的有用性と効果を評価する上で、臨床的に意味のあるものである可能性が高いと考えられる。


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別論文だが・・・ anchor-法

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0885392420304322

MCIDs were determined using the anchor-based method in accordance with guidelines. Anchor-based methods determine the mean change in the score of interest (breathlessness) over time for people who experienced a change in another relevant and meaningful variable (anchor). We calculated the MCID as the mean change for each breathlessness score associated with a one unit's change in the breathlessness GIC from baseline, using linear regression. 

2020年8月17日月曜日

閉塞型睡眠時無呼吸:night-to-night variability

閉塞型無呼吸の検査は保険の縛りもあり1回のみが普通(業者依頼の場合、2回ルーチンに施行してくれる場合もある)

以前は"first night effect"がうるさくて学会で発表する場合やられるので最低2回が普通だったが、最近は保険のため・・・1回での判定が普通になり、NtNVと称せられる変動は日常臨床から省かれてしまった。


“data derived from PSG, respiratory polygraphy or a validated HSAT device (inclusive pulse oximetry)”と書かれており、いわゆる簡易PSGも含むデータのようだ




Night-to-night variability of respiratory events in obstructive sleep apnoea: a systematic review and meta-analysis

https://thorax.bmj.com/content/early/2020/08/13/thoraxjnl-2020-214544


背景 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の診断には、1回のみの診断用睡眠試験を使用するのが現状である。しかし、 明確にnight-to-night variability (NtNV) が存在する

 方法 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)が疑われる、または診断された成人で、複数の睡眠検査を受けた場合の呼吸器イベントの NtNV を評価した。データソースは、2019年1月23日までのPubMed、Cochrane、Embaseとした。エビデンス合成にはランダム効果モデルを用いた。moderator analysisには、mixed-effects regression analysisを行った。 

本研究は PROSPERO(CRD42019135277)に登録

結果

同定された2143論文のうち、3250人の参加者からなる24研究が含まれていた。 

1st nightと2nd nightの平均Apnoea-Hypopnoea Index (AHI) difference 差は-1.70/時(95%CI -3.61~0.02) 

REM time difference (first to second night) は、平均AHIの差と有意に正の相関(β係数0.262(95%CI 0.096~0.428))。 

平均では、全参加者の41%(95%CI 27%~57%)が、from night to nightの respiratory events>10/hourの変化を示した。 

さらに、被験者の49%(95%CI 32%~65%)では、sequential 睡眠試験で OSA severity class (severity thresholds at 5/hour, 15/hour and 30/hour) の変動が1回以上の変動があった


 

診断閾値(5/hour, 10/hour or 15/hour)に応じて、各々、平均12%(95%CI9%~15%)、12%(95%CI8%~19%)、10%(95%CI8%~13%)の患者が、”first night due to single night testing”のために診断不能となっていたことが分かる



結論 

連続した2つの試験夜の平均AHIにはグループレベルでの有意差はなかったが、呼吸器イベントの個人内NtNVには顕著な差があり、OSAが疑われる患者の誤診と誤分類につながっていた。

COPD急性増悪:抗生剤再投与による効果は乏しい

COPD急性増悪は波状的に再発する場合が多く、筆者等のdiscussionにも、「ほとんどのCOPD増悪は約10日間続くが、中にはそれ以上続くものもあり、5週間後には25%が完全に回復していない場合もある。COPDの増悪のもう一つの特徴は、8週間以内に再び増悪を起こすリスクが高いことである。最初の増悪の14日後に測定された血清C-反応性蛋白(CRP)濃度の上昇が2回目の増悪の予測因子であることを報告しており、炎症反応を正常化できなかった場合には、次の増悪(再発)を引き起こす可能性があることを示唆」しているという記述がある

細菌感染と好中球性炎症、それに呼吸器系ウィルスが前後に関与していることが想定されるが、持続的なCRP増加は、細菌感染性成分を伴わない残存気道炎症負荷が主な原因であることが示唆され、実際喀痰中の細菌培養率も低く、抗炎症治療を主と考えるべきではないかという仮説が提示される


それを示唆する報告

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喀痰の多量化または喀痰量の増加に伴う増悪は、抗生物質で治療され、増悪の早期解決と次のAECOPDまでの時間の延長につながる。しかし、抗生物質による治療にもかかわらず、回復はしばしば遅れる。患者の4分の1以上がその後の8週間の間に別のイベントを経験する一方で、25%が5週間までにベースラインまで回復せず、3ヶ月までには3分の1以上の患者が回復しない。これらの再発イベントは死亡率の大幅な増加と関連しており、これにより、病院の再入院を回避することを目的とした医療サービスに対する経済的なインセンティブがもたらされている。

以前、我々は増悪後14日目に測定した血清C反応性蛋白(CRP)が、増悪後50日以内に再び増悪を経験した患者(再発増悪)では、増悪を経験していない患者(平均=3.4mg/dl)よりも高かったことを報告している。

最近の試験では、AECOPDの発症時にCRPをポイント・オブ・ケアで測定することで、健康状態のアウトカムに悪影響を及ぼすことなく、抗生物質治療を成功させることができることが実証されている。

Butler CC, Gillespie D, White P, Bates J, Lowe R, Thomas-Jones E, et al. C- Reactive Protein Testing to Guide Antibiotic Prescribing for COPD Exacerbations. New England Journal of Medicine. 2019;381(2):111-20. 

https://www.nejm.jp/abstract/vol381.p111

AECOPDの不回復に対する更なる抗生物質治療の有効性を評価した研究はなかった



Antibiotic Retreatment for Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease

American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Volume 202, Issue 4, Page 481-482, August 15, 2020. 

https://www.atsjournals.org/doi/10.1164/rccm.201910-2058OC

根拠

COPDの増悪は回復しない傾向にあるが、このような長期化したイベントに対する再治療の有効性についてのデータはない。不完全に治癒したCOPD増悪に対してシプロフロキサシンをさらに投与することで、次のイベントまでの期間が延長するかどうかを検討した。

方法

この多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、症状が持続し、かつ/または血清C-反応性蛋白(CRP)が8mg/L以上であるGOLDステージII~IVのCOPD患者を対象に、COPDの指標となる増悪から14日後(+/-3日後)に開始された、シプロフロキサシン500mgの経口薬またはプラセボを1日2回、7日間投与することで再治療を行った。主要評価項目は、90日以内の次の増悪までの期間であった。

結果

4つのセンターでスクリーニングされた826人の患者のうち、回復が不完全な144人が、シプロフロキサシン(n=72)またはプラセボ(n=72)の投与に無作為に割り付けられた。無作為化後90日以内に、シプロフロキサシン群では57%、プラセボ群では53%の患者が1回以上の増悪を経験した。次の増悪までの期間の中央値は、プラセボ群で32.5日(IQR 13~50)、シプロフロキサシン群で34日(IQR 17~62)であり、有意差は認められなかった(調整後ハザード比=1.07、95%CI 0.68~1.68、p=0.76)。治療群間では、QOLスコアや肺機能に有意差は認められなかった。


結論

COPD増悪後14日目に症状が持続し、かつ/またはCRPが上昇した患者において、シプロフロキサシンの追加コースを投与しても、プラセボと比較して効果は認められなかった。このことは、非回復性の増悪は進行中の細菌感染によって引き起こされるものではなく、抗炎症療法の対象となる可能性があることを示唆している。


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骨折・心血管疾患:ビタミンB12・葉酸サプリメント補給

表題で飛びついてしまったが、あんまりスッキリしない中身だった

" 高齢者を対象とした多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験内で、葉酸とビタミンB12を2年間補充して5~7年間の延長追跡調査"なんで、効果があったとしても経年的に影響は少なくなってるはず

血中濃度に関しても骨折リスクとは独立した因子となっている

そもそもホモシステイン濃度と骨折の関連性も一貫した知見はない・・・など

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The baseline total homocysteine concentration of the included participants was also different compared to our study (9.8–13.4 mmol/l versus 14.4 mmol/l). Interestingly, we found a lower fracture incidence for the group with higher total homocysteine concentration at baseline (>15.1 μmol/l). 

The findings were supported by the tendency toward fracture reduction in the total group, but not by the findings on osteoporotic fractures. Yet the numbers of cases were low in the stratified analysis and for this reason, these explorative findings should be interpreted with caution. Also, the participants in the treatment group with higher baseline homocysteine concentration had a steeper decline of total homocysteine concentration after the supplementation of folic acid and vitamin-B12 than the participants with lower baseline homocysteine concentration suggesting that the effect of the intervention was more pronounced in participants with higher total homocysteine concentration. This is in line with treatment of vitamin D deficiency, where the effect on serum parathyroid hormone concentration is greater when the baseline serum 25-hydroxyvitamin D is lower . 

In general, vitamin supplementation may show a threshold effect, working only in deficient people [23]. In a similar way of reasoning, the effects may soon disappear after discontinuation of supplementation. This follow-up study reports outcomes after a follow-up of 5–7 years, including treatment for 2–3 years only, thus, the effect of supplementation may be disappeared. Besides, from our previous findings of an increased risk of colorectal cancer with B-vitamins supplementation, we do not recommend supplementation of these vitamins in not-deficient general population [18].

It may be speculated that the latter indicates a (intracellular) B-vitamin deficiency . As known, B-vitamins lower total homocysteine concentration and play an important role in the homocysteine metabolism 

However, the studies of the relation between high homocysteine concentration and bone show conflicting results [25]. 

From the previous studies which reported an association between elevated total homocysteine concentration and fracture risk, it remains unclear whether this could be explained by disrupted one-carbon metabolism or whether residual confounding by other physiological and lifestyle factors that associate with hyperhomocysteinemia may play a role [25]. 

The one-carbon metabolism can be disrupted by vitamin-B12 and folate deficiencies. However, other causes of hyperhomocysteinemia are high intake of methionine, certain diseases (chronic renal failure, hypothyroidism and malignant tumors in the breast, ovary or pancreas) and ingestion of certain drugs [26, 27, 28, 29]. 

However, in our study, vitamin-B12 and folate level was not an effect modifier in the effect of the intervention on fracture risk, suggesting that different levels of vitamin-B12 and folate would not make a difference in the risk of fracture. Our population was also not deficient in B-vitamin measured by different methods (active vitamin-B12, HoloTC and MMA). Since the methods to detect vitamin-B12 and folate deficiency are under debate [30], due to its low biased value of B-vitamin level, the effectiveness of the intervention in the high homocysteine group might be explained by a subclinical deficiency of B-vitamins, that warrants further study.


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高齢者においては、ホモシステイン濃度の上昇と心血管疾患や骨折のリスクとの関連が観察され、ホモシステイン濃度を正常化する有効な方法は、ホモシステイン代謝に中心的な役割を果たすビタミンB群による治療であり、長年にわたり、いくつかの介入試験が行われてきたがほとんどが若年者を対象とした研究が含まれており、これらの知見を高齢者の集団に外挿することは困難。

骨の健康におけるビタミンB群のメカニズムはまだ完全には解明されていないが、ビタミンB群はコラーゲンの生成に影響を与え、用量依存的に骨芽細胞の代謝を変化させるようである。さらに、ビタミンB群の低レベルは、低骨ミネラル密度(BMD)および骨折リスクの増加と関連している。しかし、Gracia Lopezらによる最近のメタアナリシスでは、B-ビタミン補給後の骨折の有意な減少は示されなかった。しかし、冠動脈性心疾患の潜伏期間(曝露から死亡までの期間)は10年以上である可能性があり、さらに骨折に関してはより長期のフォローアップが必要。


Long-term effects of folic acid and vitamin-B12 supplementation on fracture risk and cardiovascular disease: Extended follow-up of the B-PROOF trial

Sadaf Oliai Araghi, et al.

Clinical Nutrition , Published:August 04, 2020

DOI:https://doi.org/10.1016/j.clnu.2020.07.033

https://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(20)30398-8/fulltext

背景と目的

 initial B-proofでは、ビタミンB群の補給に一貫性のない結果が出ていた。しかし、ビタミンB群の加齢性疾患への影響については議論が続いている。そこで、葉酸とビタミンB12の補給による介入が骨折や心血管疾患リスクに及ぼす長期的な効果(5~7年フォローアップ)を調査することであった。

方法

B-PROOF試験は、葉酸(400μg)とビタミンB12(500μg)を毎日2~3年間摂取することの効果をプラセボと比較して評価するように設計された多施設、二重盲検、無作為化プラセボ対照試験である(n = 2,919)の延長フォローアップ試験。

一次アウトカムは自己申告による骨折発生率

二次アウトカムはフォローアップアンケートで収集した自己申告による心血管系のエンドポイント


結果

合計1,298人(44.5%)が、中央値54カ月[51~58]の第2フォローアップラウンドに参加した(n = 662人、n = 636人、治療群対プラセボ群)。ベースライン時の年齢中央値は両群とも71.0歳[68.0-76.0]

追跡調査後の骨粗鬆症性骨折または任意の骨折リスク(HR:0.99、95%CI:0.62~1.59、HR:0.77、95%CI:0.50~1.19)、および心血管疾患または脳血管疾患リスク(OR:1.05、95%CI:0.80~1.44、OR:0.85、95%CI:0.50~1.45)に対する介入の効果は観察されなかった。

ベースラインのホモシステイン濃度による潜在的な相互作用は、骨粗鬆症および任意の骨折について観察され(それぞれp = 0.10および0.06)、総ホモシステイン濃度が高い(>15.1 μmol/l)治療群では任意の骨折のリスクが有意に低いことが示された。

年齢に依存した影響は認められなかった。



Fig. 1The effect of folic acid and vitamin-B12 on verified first osteoporotic fracture and any fracture in participants with complete follow-up (n = 1298) stratified by homocysteine tertiles (≤13.2, 13.2–15.1 and ≥15.1 mmol/l) in the adjusted model (p-for interaction = 0.10 and p = 0.06 respectively). Hcy = Homocysteine, HR = Hazard Ratio. 

結論

この研究では、B-PROOF試験で得られた以前のnull-findingを支持し、それを拡張したものであり、葉酸とビタミンB12の補給は高齢者の骨折リスクや心血管疾患に影響を及ぼさないことを、より長い追跡調査期間にわたって示している。しかしながら、総ホモシステイン濃度が高い人の骨折の減少にはB-ビタミンの補給が有益である可能性があり、この知見を再現する必要がある。


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