2012年1月31日火曜日

慢性心不全へのウルソデオキシコール酸の効果:末梢血流改善

慢性心不全へのウルソデオキシコール酸

Ursodeoxycholic Acid in Patients With Chronic Heart Failure

A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled, Crossover Trial 

  J Am Coll Cardiol, 2012; 59:585-592, doi:10.1016/j.jacc.2011.10.880
© 2012 by the American College of Cardiology Foundation


慢性心不全での ursodeoxycholic acid (UDCA)の血管内皮・炎症性マーカーへの効果評価

慢性心不全患者で、血管内皮障害がよく見られる。それが運動耐容能制限をもたらす。細菌性LPSが炎症惹起サイトカイン遊離トリガーとなり、血管内皮障害をさらに促進する。UDCAは、胆汁うっ滞型肝障害治療に用いられるが、抗炎症作用・細胞防御的特性をもち、LPS周囲にmixed micelleを形成する。これらの特性が末梢血流改善につながるのではないか?

前向き単施設二重盲検ランダム化プラシーボ対照化交差研究で、17名の臨床的に安定した慢性心不全患者(NYHA class II/III、左室駆出率<45%)
UDCAを500mg×2回 4週間、プラシーボ4週間とランダム化交差投与
プライマリアウトカムは、阻血後ピーク末梢腕血流評価(strain-gauge plethysmography)

結果として、16名研究完遂。UDCAは全患者で耐用性良好。
プラシーボ比較で、UDCAで、peak 阻血後腕血流改善 (+18%, p = 0.038)、阻血後下肢血流改善 (+17%, p = 0.079).

肝機能の改善: γglutamyl transferase、 aspartate transaminase、 soluble tumor necrosis factor α receptor 1  (all p < 0.05)

6分間歩行距離、NYHA分類、TNFαは不変、IL-6は変化無しもしくは増加。 

結論としては、UDCAは慢性心不全患者に耐用性よく、末梢血血流を改善し、肝機能マーカーを改善する。


解説: http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-01/esoc-ec013012.php

 末梢血流改善効果が運動耐容能の改善に直結してなかった。
筆者らは、サンプルサイズの問題としているが、何らかの大規模コホートなどと関連づける必要があろう。
耐用性が良いため、アウトカムに増分利益性を簡単に上回る可能性があるので、可能性のある治療法の可能性とのこと



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