多くの漢方医学の専門家たちは、包括的でcomprehensiveな考え方のできる方々であると信じたい。
だが、”漢方医学”・”東洋医学”のみを持ち上げようとして、恣意的な攻撃目標を作り、酷評しようとする文面に出くわすことがある。
比較的ステレオタイプなので、ここでまとめていこうと思う。
1)“西洋医学だけが医学というのは傲慢だ。
”
反論するために、都合良く、カテゴリー分け、恣意的定義を行う。 だれも、医学 イコール 西洋医学という決めつけはしてない。 診断、治療に関して、合理的説明及び事象としての客観的証明ができれば医学としてみなされるはずだし、みなされるべき。 そうでないものがつまはじきにされているわけで、それも”医学” とみなすというのは傲慢
2)”(漢方)に副作用が無い”
小柴胡湯と間質性肺炎 死亡例まで出てるのだが、「随証的に用いていればまず問題ない」と言い切られることがある。
だが、死亡例がでたのはすべて”随証”に合わない事例であるという検討はされてない。
瞑眩(めんげん)、好転反応という概念が、漢方・生薬を用いる医師たちに引用されることがある。
一過性に悪化に見える状況だが、治癒過程の一つだと説明する現象。
結核治療の時の抗結核治療時の”急性悪化(増悪)”というのがある。 これは薬物アレルギーとも考えられているが、一過性に胸部レントゲン所見増悪が見られる所見である。この場合、レントゲン上悪化してあわてて薬を中止してはならないということが知られている。
この際、細菌学的治療経過のみを厳重に見ることや呼吸状態などを詳細にみることが必要となる現象。 漢方の”
瞑眩”に似通ってはいるが、最初から、”好転反応”などと判断することなく、経過を十分見守る必要性がある。漢方の”瞑眩”とは異なり、医師たちが楽観的にみている病態という認識はない。
漢方には他薬剤種に負けず劣らず、薬物による過敏性肺臓炎などアレルギー性疾患が多く存在する(http://www.nihs.go.jp/mss/ILD-web/jfm0611002.pdf)。 危険な状況にあるにもかかわらず、アレルギー性疾患の状況を
瞑眩として、放置することのリスクを危惧する。
瞑眩(好転反応)とは扱いようによっては危険な概念である。
3)西洋医学は全身をみず、臓器だけをみている。
東洋医学は全身を見ているという主張。 この主張の東洋医学では、メンタリティーや臨床的アウトカム、QOL、EOL、社会的コストやベネフィットなどの諸問題はみていないのだ・・・と反論したくなる。
批判のための恣意的カテゴライズ(1)の問題と重なる批判である。
現代医療は、様々な局面、経済的側面、社会的側面など、multiplicityな側面からのアプローチがなされ、多業種・多職種的・学際的取り組みがなされている。 もちろん、相補的な医療の側面としての鍼灸・生薬・漢方などの体系もこれに含まれるはず。
学際的な側面を無視して、”東洋医学こそなんたら”などと主張し、一方で、”(西洋)医学”を、ミクロ的と批判のための批判は、かれらの主張そのものが狭小だと宣言していることになる。
2012年1月31日火曜日
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