医療費支出の限度が目に見えている以上、なんらかの医療アクセス制限が必要だろう。ユニバーサルな医療体制において、医療技術アクセスを制限することの是非は、本来あるべき重視すべき医療アウトカムを設定の上での検討が必要。日本の医療施策は、後顧的・作為的データにより、結論ありきのうそばかりの検討会がなされ、医療制度のゆがみが続いている・・・
カナダの報告で、医療体制の異なる国での調査に関して、そのまま、日本に応用することは不可能。
だが、多くの専門家が出入りする病院は良い病院で、その後の診療を担当するであろう医師・プライマリケア医が正当な評価の元、出入りすることも大事なようだ。
39万名の長軸的コホート調査
急性心筋梗塞・うっ血性心不全・股骨折・大腸癌による入院患者で、高い入院医療費(濃厚な看護内容・専門医や医療密度が大きいこと)は、死亡率、再入院、心臓イベントの低下と相関。
高品質医療と患者アウトカムのための医療費増加はやむえない。
だが、高額な医療技術へのアクセス制限をしなければ、真に必要なひとに医療資源が回らない。
Association of Hospital Spending Intensity With Mortality and Readmission Rates in Ontario Hospitals Therese A. Stukel, et. al.
JAMA. 2012;307(10):1037-1045. doi: 10.1001/jama.2012.265
【目的】高額医療費病院受診急性期患者が死亡率低下をもたらし、再入院減少をもたらすか?
【デザイン・セッティング・患者】研究対象:1998-2008年の18歳超の成人、カナダ・オンタリオ、初回入院
acute myocardial infarction
(AMI) (n = 179 139)
congestive heart failure (CHF)
(n = 92 377)
hip fracture (n = 90 046)
colon cancer (n = 26 195)
フォローアップ1年間
暴露測定としては、指標病院での終末期医療医療支出(病院、医師、救急部門)指数
【主要アウトカム】プライマリアウトカムは30日・1年での死亡率、再入院、主要心臓イベント(急性心筋梗塞、狭心症、うっ血性心不全のための再入院、死亡)
【結果】ベース他院の健康状態は病院支出グループ横断的に同様。
3分位比較
医療費 最大vs最小 比較で、すべての副事象アウトカム低下
さらに、年齢・性別補正30日間死亡率は
急性心筋梗塞 12.7% vs 12.8%
うっ血性心不全 10.2% vs 12.4%
股関節骨折 7.7% vs 9.7%
(結腸癌;誤植) 3.3% vs 3.9%
完全補正相対的30日死亡率は
急性心筋梗塞 0.93 (95% CI,
0.89-0.98)
うっ血性心不全 0.81 (95% CI, 0.76-0.86)
股関節骨折 0.74
(95% CI, 0.68-0.80)
結腸癌 0.78 (95% CI, 0.66-0.91)
1年時死亡率、再入院、主要心臓イベントは同様
高額医療費病院は、ナーシングスタッフ比率が高く、より入院患者の外部専門医(インターベンション(急性心筋梗塞コホート)や内科(急性心筋梗塞・うっ血性心不全コホート)、術前スペシャルケア(結腸癌コホート)、他院後共同ケアのための心臓専門医・プライマリケア医(急性心筋梗塞・うっ血性心不全コホート))からの受診が多い
【結論】オンタリオの病院では、医療費支出多いほど、死亡率、再入院、心臓イベント率低下をもたらす。
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