2012年3月9日金曜日

子宮がん検診:至適戦略は? シナリオ状況でHPVと細胞診を使い分け/併用に

現時点の与野党を問わず政治家やマスコミは、HPV関連の話題をすべて、子宮頚癌ウィルスと読み替えていることに違和感を感じ続けている。
HPV予防がそのまま子宮頚癌予防につながるから良いじゃないかという安直な発想なら、予防医学・診断・治療に悪影響を与える可能性がある。HPV感染=子宮頚癌ではないのだから、そこに齟齬をきたす 。

子宮頚癌細胞診とHPV検査、どちらが、子宮頚部病変に関して、最終的ベネフィットをもたらすか?
“HPV=子宮頚癌”という読み替えが続くなら、医療施策上も大きな誤りをきたすだろう。
Primary screening for human papillomavirus compared with cytology screening for cervical cancer in European settings: cost effectiveness analysis based on a Dutch microsimulation model
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e670 (Published 5 March 2012)
主アウトカム測定をコスト増加効果比として、最適な検診戦略を検討
HPV検診優先戦略は、30歳超では、好ましい検診として行われている
細胞診優先戦略は、細胞診のコストが低い場合のシナリオの場合と、HPV検診コスト高額+HPV高頻度シナリオの場合において好ましい 




日本の検診は、シナリオ戦略比較という視点が欠けている。



“子宮頚がんをゼロにする”にするという発想は、予防医学や検診の基本的概念とは全く異なる宗教的なものであることに気付かないのだろうか?

検診や予防医学を完全に勘違いしている政党の主張
事例:子宮頸がんをゼロに

ゼロにするための膨大なコストは無視するというのは、検診の考えとは全く異なる。




Principles of cancer screening.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8569290
Screening for cancer is an important aspect of cancer prevention and treatment. The science of screening is based on epidemiologic principles that are central to understanding the potential risks and benefits of a screening program. Screening is best applied to those conditions that are relatively common and have an important impact on quality of life and for which acceptable tests and treatments are available and affordable.

コストや検診に関わる副作用すなわち、ベネフィット・リスクを無視して、“がんをゼロに”というおめでたい発想を掲げる議員たち、これは党をこえて存在する。この人たちが、この国を駄目にしてきたんだなぁと・・・

彼ら・彼女らには全くその自覚がないのだろう・・・ 

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