2013年4月10日水曜日

バイオマーカー:ω3長鎖不飽和脂肪酸の高低は死亡率と関連


長鎖ω3不飽和脂肪酸(ω3-PUFA)は、EPA(20:5ω-3)、DPA (22:5ω-3)、DHA (22:6ω-3)を含み、心血管リスク減少と関連するとされるが、疾患特異的・全原因死亡率と量反応関係はcontrovertial。

EPA、DPA、DHA濃度がこれら死亡率低下と関連するという報告
 
Plasma Phospholipid Long-Chain ω-3 Fatty Acids and Total and Cause-Specific Mortality in Older Adults: A Cohort Study
Dariush Mozaffarian, et. al.
Ann Intern Med. 2 April 2013;158(7):515-525 
30,829 人年において、死亡  1625 deaths (心血管死 570)、致死性CVD 359、非致死性CVD 371 、致死性卒中 130、非致死性卒中 276
補正後、バイオマーカーとしてのω3-PUFAは、全原因死亡率減少と関連
両端5分位ハザード比は
EPA 0.83 (95% CI, 0.71 to 0.98; P for trend = 0.005)
DPA 0.77 (CI, 0.66 to 0.90; P for trend = 0.008)
DHA 0.80 for DHA (CI, 0.67 to 0.94; P for trend = 0.006
総ω3-PUFAでは、  0.73  (CI, 0.61 to 0.86; P for trend < 0.001)
65歳以降では、平均ω3PUFA濃度が最高5分位であり続ける人は、最小5分位に比べ、2.22年長生き  (CI, 0.75 〜 3.13 歳) 


介入試験じゃなくて、コホート観察研究
寄与要素は補正しきれてない可能性が高い。特に、同時摂取食品などに・・・

2型糖尿病患者肥満治療:6年後、完全寛解24%、部分寛解 26%という報告


"NHKが放送した”糖尿病が手術で治る” ・・・ 明らかに間違い 2012/11/29"とは矛盾しないと思うが、2型糖尿病に関して、肥満手術が一つの治療法ではある。

NHKの問題点は、エビデンス限定的であると、手術肯定的記載が目立つ、American Association of Clinical Endocrinologistsのガイドラインでさえ警告をしている。
公共放送であるはずの、NHKが、一線を踏み出して、一部の研究者だけの主張で、Pro &Con無視して放送するその姿勢に問題があるのだ。


以下の報告だって、治癒とは書かれてない、あくまでも寛解なのだ・・・

IDFステートメント(2011)では、2型糖尿病の肥満手術に関して・・・

Type 2 diabetes. It is an effective, safe and cost-effective therapy for obese Type 2 diabetes. Surgery can be considered an appropriate treatment for people with Type 2 diabetes and obesity not achieving recommended treatment targets with medical therapies, especially in the presence of other major co-morbidities

賛否意見:観点:技術上観点、長期栄養問題合併症、減量初期効果・持続効果、肥満関連合併症への影響、個別的患者選択・手術選択の問題
Quick fix or long-term cure? Pros and cons of bariatric surgeryF1000 Med Rep. 2012; 4: 19.
Published online 2012 October 2. doi:  10.3410/M4-19


肥満治療で、2型糖尿病患者が、6年後も完全・部分寛解維持しているという報告。

2004−2007年、肥満手術2型糖尿病 217名

完全寛解定義(HbA1c 6%未満、空腹時血糖 100 mg/dL 1年間以上持続、合併症なし)該当は 、24%
部分寛解定義(HbA1c 6%-6.4%、空腹時血糖 100-125 mg/dL、抗糖尿病薬なしで1年以上持続)該当は、26%

現時点では、2型糖尿病というだけでは、肥満治療の適応でなく合併症としての2型糖尿病対象研究。IDFは、BMI 30-35・糖尿病患者に適応を推進している状況。
American Association of Clinical Endocrinologistsのガイドライン、Obesity Society, and the American Society for Bariatric and Metabolic Surgery でも、エビデンスはまだ少ないという警告付きで、これらの患者への適応を許可している。



Brethauer SA, et al "Can diabetes be surgically cured? Long term metabolic effects of bariatric surgery in obese patients with type 2 diabetes" ASA 2013.

統合失調症に関連する遺伝子

統合失調症に関連する遺伝子

family-based replication study
参照:http://allanmcrae.com/publications/benya_p_09.pdf

神経系はもちろん、免疫系に関わる遺伝子の関連性が示された。

A Comprehensive Family-Based Replication Study of Schizophrenia Genes
Karolina A. Aberg,  et. al.
JAMA Psychiatry. 2013;():1-9

レプリケーションの結果、P値小さいSNPs
p < .01のレプリケーションのうち、GWAS meta-analysisと同様のeffect directionのSNPs比率は、人種混合的には89%、 ヨーロッパ人民族だけの場合は93%


ヨーロッパ人種では、MHC領域でレプリケーション値包括的増加3.7倍

TCF4 (P = 2.53 × 10−10
)、NOTCH4 (P = 3.16 × 10−7) のSNPsレプリケーションを行い、これは、統合失調症に最も多い

より興味深いのは、 POM121L2 (P = 3.51 × 10−7
)、AS3MT (P = 9.01 × 10−7)、 CNNM2 (P = 6.07 × 10−7)、NT5C2 (P = 4.09 × 10−7)が含まれること


多くのsmall effect研究のため、pathway analysis施行。多くの有意なニューロン機能(axonal guidance、ニューロンシステム、L1接着分子相互作用)に関わるpathway、免疫系と関連するpathway(抗原プロセシング、T細胞との細胞癒着、免疫系シナプスへのtranslocation)との関連が示された。



遅発発症アルツハイマー病:アフリカ系アメリカ人;大きな影響を与える  ABCA7遺伝子 :欧州人種 APOε4に匹敵


遅発発症アルツハイマーに関して、ヨーロッパ人種では報告のあった遺伝子の影響
アフリカ系アメリカ人からのデータのメタ・アナリシスで、ABCA7変異との関連性が示された。
白人のAPOε4変異と同程度の影響で、ABCA7遺伝子は、遅発性アルツハイマー病リスク79%増加させる。

Variants in the ATP-Binding Cassette Transporter (ABCA7), Apolipoprotein E ϵ4,and the Risk of Late-Onset Alzheimer Disease in African Americans
Christiane Reitz, et. al.
for the Alzheimer Disease Genetics Consortium
JAMA. 2013;309(14):1483-1492. doi:10.1001/jama.2013.2973.

完全補正モデルGenome-wide研究
ヨーロッパ人種で報告のあった リンケージ不均衡 SNPs である ABCA7の(rs115550680, allele = G; 頻度, 症例 0.09  vs 対照 0.06 ; オッズ比  [OR], 1.79 [95% CI, 1.47-2.12]; P = 2.2 × 10−9)
アフリカ系人種でのABCA7 SNPのeffect sizeは、ヨーロッパ人種のAPOE ε4-決定SNP  rs429358とcomparable (allele = C; frequency, 症例 0.30 vs 対照 0.18 ; OR, 2.31 [95% CI, 2.19-2.42]; P = 5.5 × 10−47).
いくつかのアルツハイマー病関連locusは、GWAで有意差に到達しなかったが、マーカーと遺伝子ごとの検査数補正とのlinkage不均衡(CR1, BIN1, EPHA1, CD33; 0.0005


今まで、Apoε関連に注目が集まっていたが、今回注目されているABCA7遺伝子は、コレステロール代謝に影響を与える、HDLのbiogenesisを仲介する、ATP結合 cassette transporterで、細胞脂質、helical apolipoproteinと関連する。apolipoprotein A1に結合し、アポリポ蛋白とコレステロール efflux(くみ出し)に関連する。

メタジェノミスク:培養不要Shiga毒素産生大腸菌検査


培養せずに、ダイレクトに、Shiga毒素産生性E. coli 104:H4 DNA検出

以前も、メタジェノミクス診断に関して記載してた

新生代のDNA sequencerで、100メガ塩基のDNA配列を決定できるようになり、Sangerのsequencingで用いられた方法に取って代わられるようになっている。下痢便サンプルを用いて、unbiased high-throughput DNA sequencingによる原因病原微生物同定の報告。



従来の微生物のゲノム解析では単一菌種の分離・培養過程を経てゲノムDNAを調製していたが、メタゲノム解析は単一菌種の分離・培養過程を経ずに、微生物の集団から直接そのゲノムDNAを調製し、そのヘテロなゲノムDNAをそのままシークエンシングする。


Shiga毒素産生大腸菌検出の報告

A Culture-Independent Sequence-Based Metagenomics Approach to the Investigation of an Outbreak of Shiga-Toxigenic Escherichia coli O104:H4
Nicholas J. Loman,  et. al.

後顧的検討で、45サンプル
phase 1 (流行株のdraft genome de novo assemly approach)、phase 2(流行株genomeのcavarage深度測定)、phase 3(流行種細菌株と既知細菌株のsequence検出比較)
【phase 1】
STEC流行株のdraft geneome検出成功
【phase 2】
流行株genomeの10サンプルからの10倍のcoverageでの回収、26サンプルからは1倍位以上のcoverage
Shiga毒素遺伝子のsequenceを STEC陽性サンプルから検出 27・40 (67%)
【phase 3】
C. difficileからのsequence、Campylobacter jejuni、 Campylobacter concisus、Salmonella entericaのsequence

迅速な検出が可能となり、感染コントロール上有用

2013年4月9日火曜日

変な査定:肺がん細胞診回数の否定 NTMD標準診療の否定

保険者からの査定で、変なのが激増している。

マスコミなんかじゃ、保険診療査定=過剰診療という報道しかしないが、
医療機関側からみれば、査定=過小査定で、正当な医療さえできない状況になっている。

例)

※ 喀痰細胞診3回を2回に査定
肺がん検診ガイドライン・ガイドブック
喀痰細胞診は、3日間の早朝痰を蓄痰して行います。
http://canscreen.ncc.go.jp/pdf/guidebook/haiganbook.pdf

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002oy0s-att/2r9852000002oy70.pdf
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/07/dl/s0728-16d04.pdf


肺がん診療に関しても、国立・公立病院での診療案内に関して、3日間の喀痰細胞診検査を勧めている。


※ クラリス400mg/日 28日分 → 14日分に査定
NMTD治療の否定
肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012年改訂
http://www.kekkaku.gr.jp/hp/data/Vol87No2P83-86.pdf


予防医学的行為積極性:医師・患者関連性あり

予防医学的行為積極的な医師をプライマリケアかかりつけにする患者では、やはり予防医学的行動積極的というもの


The association between physicians' and patients' preventive health practices
CMAJ April 8, 2013  
背景: 医師個人の健康実践的行動と、その患者の行動に関し相関する、潜在的パワーについて報告は多く記載されているが、その相関性に関する客観的研究はない。この関連性を客観的測定された健康指標で検討

研究方法: 8つの健康指標(検診、ワクチン実践)をプライマリケア医(n=1488)、その患者 (n=1,886,791)にて評価、イスラエルの最大保健医療機関;医師もまた医療システムの患者でもある   

研究結果: 8つの指標全部で、予防医療コンプライアンスのよい医師の患者では、予防医療指標多く実践 (p < 0.05)
多くの同様予防医学実践にある程度強い相関が見られる。例えば、インフルエンザワクチンを受けた医師の患者は、ワクチン接種比率が高く、94.1%、対し、接種しない医師の患者では43.1% (絶対的差 5.9%、相対的差 13.7%)
肺炎球菌ワクチンでは、相対的差は 7.2% ( 60.0% vs 56.8%)

無関係の予防行為、例えば、マンモグラフィーで、インフルエンザワクチン施行、非施行医師の患者でも関連性認める 
 
結論: 医師・患者の予防医療行為に関しては、一致した、正の相関関係が見られる。健康的医師・健康的患者の相関関係は客観的に確立され、予防的医療システム上では、医学生や医師への身体的健康改善することで患者への正の影響を与えるだろうことを支持し、評価するものである。

といいながら、その絶対的差、一桁%程度の差しかない





HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...