2012年5月31日木曜日

加齢臭:動物に一般的にみられる現象で、高齢者判別上の意義があるそうだ ・・・ そして人間でも確認された ・・・

 若者に忌み嫌われる高齢者特有の体臭、俗に言う“加齢臭”

これって、年齢個体識別補助のためという見方もある 動物種一般に見られる現象だそうだ。


The Smell of Age: Perception and Discrimination of Body Odors of Different Ages.Mitro S, et. al.
PLoS ONE 7(5): e38110.

我々の大衆は加齢と共に変化が生じる。いくつかの動物種でも同様な変化がみられ、大衆に基づく個別的年齢区別のためそなわったものとの推測もある。

ヒトにおいて、年齢群の差の体臭を言い当てられるか?


若年(20-30歳)、中年(45-55歳)、老年(75-95)の3群に分ける

41名の若年者に評価をしてもらう。

体臭の強さと快不快さ点数づけに有意な差があり、高齢者群の体臭は、中年・若年に比べ、強さが少なく、快楽さに乏しい。

試験参加者は年齢カテゴリーを区別可能で、高齢者被験者からの体臭はその臭いの強さの要素を除外しても区別可能性が残った。

同様に、高齢者由来に体臭の年齢ラベルづけは正確であるが、他の年齢群由来の体臭は年齢を言い当てられない。

この実験では、他の動物種と同様、ヒトでも体臭単独で年齢を区別可能で、これは高齢者の体臭の強さの減弱による影響では無い。

高齢者を嗅覚で区別できることって・・・その意義 は?・・・・加齢臭がすでに漂ってるかもしれない、自分としては気になる。

絶対音感は、病的意義の無い自閉症的特性という側面をもつ



絶対音感って生来個性的側面よりエピジェネティックな側面が大きいという双生児研究報(Absolute pitch twin study and segregation analysis. Twin Res Hum Genet. 2011 Apr;14(2):173-8.)がある。確率的要素としては均質で、素因はその発端には関係しているかもしれない。

絶対音感特性をもつものは、病的とまでは言えない、自閉症的要素をもつらしい。


Do Musicians with Perfect Pitch Have More Autism Traits than Musicians without Perfect Pitch? An Empirical Study
Dohn A, et. al. (2012)
PLoS ONE 7(5): e37961. doi:10.1371/journal.pone.0037961


 絶対音感("absolute pitch":AP)として知られている、"perfect pitch"は、音楽のトーンを見極め、修正する上で役立つ特性である。

絶対音感は、音楽的素養とも考えられるが、感覚・発達障害を伴う場合に多いことが知られている。

この報告は、非絶対音感の場合でかつ非音楽家より、絶対音感の場合個別的自閉症特性を有するか検討。
Autism-Spectrum Quotient (AQ)を用いて、 16名の絶対音感あるミュージシャンをAutism-Spectrum Quotient (AQ)を用いてsubclinicalなレベルで3つの群に定量化した。加え、単波形とピアノ音によるピッチ同定検査で、絶対音感測定。

有絶対音感者は、無絶対音感者と非ミュージシャンに比べ、有意に自閉症特性高度であり、自閉症スコアはピッチ同定スコアと有意正相関を示した (r = .46, p = .003)

しかし、有絶対音感者と無絶対音感者とに、診断的な意義をもつ、社会的あるいはコミュニケーション特性ドメインスコア上の差は無く、これらの絶対音感スコアは臨床的自閉症閾値未満で良好である。

グループ差は、絶対音感上のサブスケールの切り替えのイマジネーションや注意力の差であった。自閉症での絶対音感とも関連するだろうが、絶対音感能力とは一般住民に現れる個性と判断した方が良さそうである。

皮膚がん:NSAIDSによる抑制効果 ・・・ 健康使用効果? Cox抑制外効果?

“journal Cancer 5月29日号”:現時点でウェブ上閲覧できず・・・



LAtimes記事
http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-aspirin-nsaids-skin-cancer-20120529,0,7850506.story

3つの代表的皮膚がん、基底細胞がん、扁平上皮がん、悪性黒色腫に焦点をあて、NSAIDS少なくとも2処方で、扁平上皮がん15%、悪性黒色腫 13%減少との関連性を見いだした。

リスク低下は、薬剤使用期間長いほど、そして多いほどみとめられたというもの

 NSAIDsがCox酵素活性抑制し、がん抑制的に働いたのではないかという憶測。血管新生や炎症、 アポトーシスへ影響を与えるという考えなのだが、healthy user effectの可能性も否定できないと解説してある。

COX系作用が弱く、、鎮痛効果としてN-acylphenolamineの作用がとりざたされているアセトアミノフェンに関しても基底細胞がんや悪性黒色腫との関連性が見いだされ癌予防効果はCox関連だけで説明不可となったという考察も・・・





NSAIDsはBarrett食道の癌進展を抑制 2005年 11月 26日

アスピリンの大腸癌発生抑制効果 2005年 08月 24日

通販により広がったヒトサルモネラ感染アウトブレイク

通販により広がったヒトサルモネラ感染アウトブレイク


Outbreak of Salmonellosis Linked to Live Poultry from a Mail-Order Hatchery
Nicholas H. Gaffga, et. al.
N Engl J Med 2012; 366:2065-2073May 31, 2012

ヒトサルモネラ感染流行がlive poultry(生鶏肉)の増加に関連。しかし、有効なコントロール指標はなく、2005年pulsed-field gel electrophoresisによる稀なパターンであるhuman salmonella Montevideoの集団がPulseNetにより同定された。

2004年から2011年までに316ケース、43州で同定。
患者年齢中央値は4歳、156(49%)でインタビュー完遂、36(23%)は入院。

データ活用可能症例145中、80(55%)は血性下痢。

若鶏肉とのコンタクト情報が159例で収集可能で、このうち122例(77%)でコンタクト情報。

トレースバック検査の81%で米国西部のmail-order hatchery (メールオーダー養鶏場)が認められ、流行種がこの養鶏場で同定された。

介入後、ヒト感染は減少したが、伝播は継続 



日本でも、一般家庭への生肉通販普通に行われている。一定の安全性担保はなされているとは思うが、一度、感染生肉となると、その影響は大きい。最大の責任は業者が負うべきと思うが、国民生活上は行政の姿勢が重要。上記報告は、その行政面へ警告となるはず・・・

ただ、仕事しない消費者庁にはなにも期待できない。管轄は農水省?厚労省?通販からむから総務省も?

敗血症性ショック:活性型ドロトレコジンα有効性やはり認められず

活性型ドロトレコジンα(ザイグリス)はすでに市場撤退報道がなされている。
http://www.msapr.com/editor/contents_buy.php?document_id=6269


Drotrecogin Alfa (Activated) in Adults with Septic Shock
V. Marco Ranieri, et. al. for the PROWESS-SHOCK Study Group
N Engl J Med 2012; 366:2055-2064May 31, 2012


遺伝子組み合わせヒト活性化プロテインC、すなわち、drotrecogin α(活性化)(DrotAA)の敗血症治療での有効性

プラシーボ比較で、28、90日生存率率改善せず


pIII研究、“Prospective Recombinant Human Activated Protein C Worldwide Evaluation in Severe Sepsis (PROWESS) study”に基づき、重度敗血症に対し2001年治療承認されていた。この研究は有効性明らかということで早期中断。
IIT分析での絶対的死亡率差6.1%減少で、相対的に19.4%リスク減少であった。

FDAは高リスクだけに限定して承認されていた事情がある薬剤であった。

サブグループ解析で、DrotAAのベネフィット示せず、プラシーボトライアルが要求されていた。

2012年5月30日水曜日

フランス:交通事故 若年、飲酒、眠気が三悪 ・・・ 運転能力影響薬剤の影響は全体では少ない

フランスの交通事故の原因詳細報告。飲酒運転や違法薬物の比率が高いのに驚く。

日本側から見れば、運転能力に影響を与えル薬剤(DADA)の影響 に興味が向く。


Drugs affecting driving ability (DADA)とリスク疾患示唆は、段階別ピクトグラムの4レベル(0,1,2,3)の標準化分類。フランスの警察データベースで、level 2、level 3薬剤とドライバーによるリスク増加を検討。


Drugs affecting driving ability (DADAs)
Orriols L, Delorme B, Gadegbeku B,  et al; CESIR Research Group.  Prescription medicines and the risk of road traffic crashes: a French registry-based study.  PLoS Med. 2010;7(11):e1000366

この影響は明らかでは無かったということ。非DADAに比べれば若干リスク増加のみということ。

                                                                                                                                 

ONLINE FIRST
Factors Associated With Serious Traffic Crashes: A Prospective Study in Southwest France ONLINE FIRST
Sylvie Blazejewski, et.al.  for the CESIR Group
Arch Intern Med. 2012;():1-2. doi:10.1001/archinternmed.2012.1695




679名の患者が含まれ、平均年齢(SD)36.5(14.7)歳、85.0%は55歳未満で、83.0%は男性。このうち、53.3%は対オートバイ、33.1%が対車、10.3%が対自転車

衝突事故の77%が午前6:00から午後8:00

夜間の衝突事故は対55歳以上(7.1%)に比べ、18-29歳(28.1%)では4倍、30-54歳で(14.6%)では2倍超(P<.06)

衝突事故1週間前に一つでも服薬49.0%、24時間以内服薬31.5%(中枢神経系薬剤11.0%、心血管薬剤9%)。この半数がDADA(Drugs affecting driving ability)薬剤服用。352名のアルコール濃度(BAC)患者の内、68.5%がBAC<0.5 g/L、1.7%が0.5-0.8 g/L、29.8%が0.8g/L。ドライバーの28.9%が衝突事故当日に飲酒、衝突事故前6時間は20.2%。
事故当日のアルコール摂取報告とBAC0.5g/L以上所見は一致性が高い(κ=0.63)

衝突事故当日アルコール摂取報告は男性(31.7%)、女性(14.8%)
衝突前6時間内の薬物使用は2.5%で、特に大麻が多い。7%は医薬品・薬物、アルコール24時間内ごちゃ混ぜ。

衝突事故前1週間の毎日7時間超の睡眠は約50%で、前日睡眠7-9時間は59.5%。

運転中の眠気リスクは3.85で、女性(17.4%)より男性(27.7%)で多く(P=.02)、若年者に多く(29.5%、18-29歳) vs 26.3%(30-54歳)、14.3%(55歳以上)

多変量解析にて、18-29歳、車の運転、飲酒、運転中眠気が独立した自動車衝突事故の要素

薬物服用は原因としては低リスク。非DADAsに比べ、DADAsは若干リスク増加(ハザード比 1.24;95%CI,0.56-2.77)






参考:Orriols L, Delorme B, Gadegbeku B,  et al; CESIR Research Group.  Prescription medicines and the risk of road traffic crashes: a French registry-based study.  PLoS Med. 2010;7(11):e1000366




そろそろ、チャンピックス服用時運転に関してなんらかの アクションないのだろうか?
都市部では全く無関心だろうが・・・田舎での禁煙指導の障害となっている。

耳鳴治療:臨床心理・運動療法を含む専門家治療ベースでQOL、耳鳴り重症度・障害改善効果

耳鳴りは成人の21%まで発症し、不快で聴覚的問題と関連するが、コスト的問題の無い薬物手段や標準的手法は存在せず、問題の長期化が存在する。



Specialised treatment based on cognitive behaviour therapy versus usual care for tinnitus: a randomised controlled trial
The Lancet, Volume 379, Issue 9830, Pages 1951 - 1959, 26 May 2012

耳鳴の重症度・聴力障害で層別化
4つのブロック化
・音に焦点を当てた耳鳴再訓練治療を伴う認知行動療法の特異化ケア
・通常ケア
コンピュータ割り付け1:1

患者・評価者には割り付けマスク

プライマリアウトカムはHRQOL、耳鳴重症度(アンケートスコア)、耳鳴による障害程度(耳鳴ハンディキャップ一覧スコア)、治療開始前、3ヶ月後、8ヶ月後、12ヶ月後


2007年9月から2011年1月まで、741名のスクリーニング患者のうち492(66%)を登録・治療。

通常ケア割り付け 247名。245名特異的ケア割り付け

特異ケアにて、12ヶ月でHRQOL改善 (群間差 0.059, 95% CI 0.025 ~ 0.094; effect size of Cohen's d=0.24; p=0.0009)、耳鳴重症度減少 (−8.062, −10.829 ~ −5.295; d=0.43; p<0.0001) 、耳鳴障害改善 (−7.506, −10.661 ~ −4.352; d=0.45; p<0.0001)

治療は初期の耳鳴重症度と関連無く有効なようで、このトライアルでは副事象認めず

通常ケアと書かれてはいるが、耳科学的リハビリテーション、耳科学的フォローアップやsocial workとそのフォローアップを含むケアである。
一方介入群は、多職種的チーム医療、臨床心理士、運動療法士を含む介入である

こういう Multidisciplinary team 医療ってのは、日本のもっとも不得意な分野、医療制度上も資格制度上も・・・

こうやって、耳鳴りの訴え放置される事例多数・・・

2012年5月29日火曜日

院内心停止蘇生後の生存率予測:CASPRIスコア

 A Validated Prediction Tool for Initial Survivors of In-Hospital Cardiac Arrest ONLINE FIRST
Paul S. Chan,et. al.
the Guidelines–Resuscitation Registry Investigators
Arch Intern Med. 2012;():1-7.

院内心停止後の神経学的生存率の正確な推定は、医師、患者・家族へのクリティカルな情報伝達に役立つ。

551病院42957名(2000年1月から2009年10月)の院内心停止蘇生成功例の検討


CASPRI(Cardiac Arrest Survival Postresuscitation In-hospital)スコア


 . The Cardiac Arrest Survival Postresuscitation In-hospital (CASPRI) score card and nomogram for favorable neurological survival. For this in-hospital cardiac arrest risk score, points for each variable are determined, and a summary score is obtained. The corresponding likelihood of surviving to hospital discharge without severe neurological disability is determined from the risk table or plot. CPC indicates cerebral performance score; VF/VT, ventricular fibrillation or ventricular tachycardia.


Figure 1. Comparison of predicted vs observed outcome rate for the validation cohort. Each data point represents a decile of risk for the outcome of favorable neurological survival to discharge. CASPRI indicates Cardiac Arrest Survival Postresuscitation In-hospital.

2型糖尿病:強化コントロールは臨床的問題予防には役立たたない、臨床的検査値改善維持に有効だが・・・・

2型糖尿病患者において、積極的血糖コントロールは腎障害予防に役立つか? ・・・ 


強化コントロールでは、血中クレアチニン(Cr)倍加期間、末期腎不全(ESRD)、腎疾患死リスクには影響を与えなかったという結論。


システミックレビューにて強化 vs 通常血糖コントロールのベネフィットを要約。


強化コントロールはHbA1c 6.0%未満をめざし、対照の通常コントロールは7.1%以下を目指すが、微小アルブミン(アルブミン尿 30-300mg/min  over 24hrsr)・顕性アルブミン(300mg/min over 24hrs)

 1950年1月1日から2010年12月31日までの言語非限定、ランダム化トライアルで、腎エンドポイント(微小アルブミン尿、顕性アルブミン尿)と臨床的腎エンドポイント(Cr倍加、終末期腎障害、腎疾患死)として、強化血糖コントロールvs通常血糖コントロール比較




Coca SG, et al "Role of intensive glucose control in development of renal end points in type 2 diabetes mellitus: systematic review and meta-analysis" Arch Intern Med 2012; 172: 761-769. 

 28065名の成人、2-15年モニター、7つのトライアル

通常コントロールと比較して、強化コントロールでは微小アルブミン尿リスク減少  (risk ratio, 0.86 [95% CI, 0.76-0.96]) 、顕性アルブミン尿減少 (0.74 [0.65-0.85])
 


しかし、血中Cr倍加l (1.06 [0.92-1.22])、ESRD (0.69 [0.46-1.05])、腎疾患死亡 (0.99 [0.55-1.79])は減少せず 



メタ回帰検討によると、強化および通常コントロールでのヘモグロビンA1cの差は、微小アルブミン尿、顕性アルブミン尿に対して大きなベネフィットを示した。

微小アルブミン尿(23%)、顕性アルブミン尿(5%)の比較で、血中Cr値、ESRD、腎疾患死亡のプール化累積頻度は、それぞれ <4%、<1.5%、<0.5%と低い。






2型糖尿病と1型糖尿病では対照的・・・

 1型糖尿病はより厳格に・・・ 腎障害リスク  2011年 11月 14日

USPSTF:ホルモン補充療法ベネフィットよりリスクが上回る

ホルモン補充療法について、ここ10年ほどの研究でもやはり、ベネフィットより、リスクが上回るとU.S. Preventive Services Task Force (USPSTF) 結論づけ。

Nelson H, et al "Menopausal hormone therapy for the primary prevention of chronic conditions: a systematic review to update the U.S. Preventive Services Task Force recommendations" Ann Intern Med 2012. 


 エストロゲン+プロゲスチン及びエストロゲン単独でも、骨折リスク減少効果あるが、卒中・血栓塞栓イベント、胆石疾患、排尿障害リスク増加をもたらす。
エストロゲン+プロゲスチンは、乳がんリスクを増加させ、認知症疑診例リスク増加するが、エスとれ現単独では乳がんリスクを減少させるかもしれない
 


関係学会は、エストロゲン単独・少量では有害性確認されてないと主張している(参照 2009/3  2009/4)。
だが、WHIトライアルでは、単独で卒中リスク増加(HR, 1.36 [CI, 1.08 to 1.71])がみられている。
合剤vs単剤トライアルされておらず、単剤・少量なら有害性が少ないという根拠は乏しい。




専門的学会ってのは、利益相反に、真正面から向かい合ってるのだろうか?

泌尿器科学会のPSA婦人科関係学会のホルモン補充療法検診関係学会の検診全般・・・

子供の放課後の運動量は友人ネットワークに影響をうける

疾患と関連する生活習慣では、社会的ネットワークとの関連性が注目されている。
肥満は大規模社会ネットワークを通じて“感染”し広がる 2007年 07月 26日

肥満・糖尿病は隣人から感染する? : 高貧民地域から低貧民地域への引っ越しで糖尿病・肥満減少 2011年 10月 21日



特に、子供達は友人のまねをする傾向があり、肥満などへの影響も大きいと想定される。

放課後の運動に関しても友人の影響が大きいはず・・・ということで、やはりという結論。

The Distribution of Physical Activity in an After-school Friendship Network
Gesell, et al.
Pediatrics peds.2011-2567

就学児童終業後データの3波調査
(n = 81; 平均 [SD] 年齢, 7.96 [1.74] 歳; アフリカ系アメリカ人 40% ,白人 39%, ラテン 19%)

name generator survey手法を用いて子供毎のソーシャルネットワークを作成、accelerometerで身体活動性を評価。

ソーシャルネットワーク・行動に関する推定主体モデル化


子供たちは、身体活動性レベルベースに応じて友人関係の形成や解消することはないが、友人関係は身体活動性の子供のレベルには影響を与えた。

放課後の中等度から高度の運動時間に最も影響を与えたのは、身近な友人の運動レベル。
子供は、子供の仲間の運動レベルから10%以上の補正的影響を受ける (オッズ比 [OR] = 6.89, P < .01)

年齢 (OR = 0.92, P < .10) と肥満状態(OR = 0.66, P < .10) は有意差として境界域で、身体活動性への影響は少ない。

性別は直接活動性に影響を与えない。

2012年5月28日月曜日

特発性肺線維症:多次元指数と病期システム

A Multidimensional Index and Staging System for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Brett Ley, et. al.
Ann Int Med. May 15, 2012 vol. 156 no. 10 684-691

4つの変数
性別(G)
年齢(A)
2つの生理学的パラメータ(P):FVC、Dlco

連続変数モデル(GAP calculator)と単ポイントスコアシステム(GAP index)は変数として同様 (c-index  70.8、69.3) で、信頼性高い (c-index  69.1 、 68.7)


stage I、II、IIIはGAP indexベースで1年死亡率6%、16%、39%として同定


GAP modelはフォローアップ受診と同様のパフォーマンス (c-index ≥71.9)

COPD包括的ケアマネージメントプログラムで、かえって、入院・死亡率増加?

COPD包括的ケアマネージメントプログラムにて、かえって、入院・死亡率増加?


以前の報告とも異なり、教育管理プログラムがアウトカム悪化と関連するというショッキングな報告。

今後、この種の、COPD教育プログラムに関する報告のプロトコール・研究デザインに関し 、今まで以上に、十分配慮が必要となった。

論文中、プロトコールの問題点や個別症例の病状把握やバイアスなど考察されている。


A Comprehensive Care Management Program to Prevent Chronic Obstructive Pulmonary Disease Hospitalizations
A Randomized, Controlled Trial
Vincent S. Fan, et. al.
Ann. Int. Med. May 15, 2012 vol. 156 no. 10 673-683

4つの個別セッション、1つのグループセッションのCOPD教育、計画化されたケースマネージメント電話応答からなるCCMP(Comprehensive Care Management Program ):包括ケア・マネージメント・プログラム

割り付けはランダム化

プライマリアウトカムはCOPD入院までの期間

介入群 209、対照(通常ケア)群 217

安全性確保のため、データモニタリング委員会にてトライアル計画完遂前に960名登録者中426(44%)は完遂前介入中断

平均250日間

研究終了時、1年累積COPD入院は、介入群 27%、通常ケア群 24%
(ハザード比 1.13[95%CI、0.70-1.80];P=0.62)

全原因死亡 介入群 28 vs 通常ケア群 10(ハザード比[CI、1.46-6.17];P=0.003)

研究中止までのCOPD入院(上)、死亡率(下)

COPDによる死亡が最大:介入群 10 vs 通常ケア群 3(ハザード比、3.60[CI、0.99-13.08]、P=0.053)


結論としては、トライアル早期終了時点での、重症COPDへのCCMPはCOPD関連入院減少させず、CCMP割り付け群で予期せぬ超過死亡増加との関連性が認められ、これは以前の研究トライアルと大きく異なることであった。

同様の行動介入をふくむ臨床トライアルに関し、トライアルデザインについて今後注意が必要。


論文記載の以前の研究とは・・・
Bourbeau J, Julien M, Maltais F, Rouleau M, Beaupre´ A, Be´gin R, et al; Chronic Obstructive Pulmonary Disease axis of the Respiratory Network Fonds de la Recherche en Sante´ du Que´bec. Reduction of hospital utilization in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a disease-specific selfmanagement intervention. Arch Intern Med. 2003;163:585-91. [PMID: 12622605]

Rice KL, Dewan N, Bloomfield HE, Grill J, Schult TM, Nelson DB, et al. Disease management program for chronic obstructive pulmonary disease: a randomized controlled trial. Am J Respir Crit Care Med. 2010;182:890-6. [PMID: 20075385]

脳fMRI研究:プロバイオティック乳酸菌は人間の情緒面への安定をもたらす?

プロバイオティック乳酸菌は人間の情緒面への安定をもたらす?

fMRIによる脳の局在的機能の検討なので、これだけでは、現実的に、どれほどのインパクトを示すかはわからないが・・・


市販プロバイティックヨーグルト が、感情奮起やストレスフルな腸シグナル化に関する脳領域からの消極的反応をもたらす。

Tillisch K, et al. "Modulation of the brain-gut axis after 4-week intervention with a probiotic fermented dairy product" DDW 2012;abstract 589.


情報ソース: http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/DDW/32944

腸微生物が中枢神経シグナリングメカニズムや感情行動へ影響を与えるという報告は以前からあった。それで、ランダム化二重盲検対照平行研究で、精神・メンタル面の問題の無い健康女性(18-50歳)対象研究という次第。


4週間、1日2回 125gのプロバイオティックス

脳活動性を表すblood oxygen level-dependent (BOLD)  と、BOLD反応反応タスク前後のfMRIを検討。

プロバイオティックス群では、胃・腸感覚のprocessingやmodulationに関わる脳領域のBOLD反応抑制がみられた。帯状皮質やPFC、扁桃体では、BOLD差は認めない。
プロバイオティック乳製品群は、島部、 背側線条体 、外側PFCとの扁桃体求心的ネットワークのconnectivity減少を示した。

プロバイオティック使用は、negative刺激からの感情反応への変化 をもたらす。







“善玉”概念・・・・扁桃体での反応低下って、ほんとに良いことだけなのだろうか?
 扁桃体を中心とするネットワークは社会適応性と関連するはず。
もたらされたものは、単に社会的ストレッサーからの感覚鈍麻だったりして・・・




BOLD 効果は, 1990 年にOgawa1) らによって報告された現象で, 現在の脳機能計測の主要な基本原理として知られている. この機序は, 脳活動の局所賦活部における酸素消費量と血流量の変化によって生じる。Oxy-Hb とDeoxy-Hb の存在比率の変化によって生じる信号変化を捉えるものである. 安静時の脳では, 両者の比率は一定であるが, 賦活時には酸素消費が増しDeoxy-Hb が増加する. しかし, 一方では同部に流入する血流量も大幅に増加するため, 結果的に賦活部においてはDeoxy-Hb の相対的減少が生じ組織の横緩和時間が延長し信号上昇をもたらす.
http://www.jsrtkinki.jp/bukai/item/83efac87a7/23.pdf

MIT謹呈:針無し注射器

歯科で使用されている"Syrijet"などの“ jet-injection system”より高品質らしい。この種の針無し注射器は、「ハイジェッタ-」による神経損傷や感染症リスク騒動もあり、医科では普及されてないと思う。

以下のMIT謹呈のは、“針”より、損傷リスクが低いと書かれている・・・おそらく圧力微調整可能で、皮下に限定できることで安全性が担保できるのだろう。

Device may inject a variety of drugs without using needles
Jet-injected drugs could improve patient compliance, reduce accidental needle sticks.
Jennifer Chu, MIT News Office
http://web.mit.edu/newsoffice/2012/needleless-injections-0524.html

a tiny, high-pressure jet of medicine through the skin without the use of a hypodermic needle


皮下注射を用いずに、高圧ジェットで 注入する方法




2012年5月25日金曜日

心血管・全死亡率:肥満単独ではリスク要素とならない! 血圧・血糖・HDL・CRP異常と言った要素が重要

University College London主導研究者 Mark Hamer

 肥満要素単独だけでは、その後のリスクを予測できず、“血圧、血糖、HDL、コレステロール、CRP異常”といったものを代謝的要素と定義し、これらの正常なときは肥満という要素は、その後の余命に影響を与えないという報告。

予防医学上役立てるのなら、体重単体にのみ注目するのでは無く、その他の代謝的要素に目をむけるべき


Metabolically Healthy Obesity and Risk of All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism April 16, 2012 jc.2011-3475
序文: 健康への影響は不明だが、これまでの研究では、adiposity(過脂肪状態)関連心臓代謝的リスク要素のない、肥満発現型を区別してきた。

目的: 代謝的健康な肥満者と心血管疾患・全死亡率との関連性検討

デザイン・セッティング: スコットランド・イングランドの一般地域住居成人たちの死亡記録との前向き関連性の観察的研究

被験者: 22203名の男女  [年齢 54.1 (SD 12.7 歳), 男性 45.2%] ベースラインでCVD病歴無し

介入: 血圧、HDL、糖尿病診断、腹囲、hsCRP≧3 mg/Lに基づき、代謝的健康状態分類 健康(0-1)、不健康(2以上)として、肥満はBMI 30kg/m2以上

主要アウトカム測定: フォロー 平均 7.0±3.0年、原因特異的死亡率検討。
Cox比例ハザードモデルを代謝的健康/肥満カテゴリーと死亡率との関連性を検討

結果: CVD 604名、1868全原因死亡 1868名
健康非肥満登録者と比べ、肥満対比者はCVDリスク増加せず   [ハザード比 (HR) 1.26, 95% 信頼区間 (CI) 0.74–2.13]

しかし、2つ以上の代謝的異常を有する非肥満者(HR 1.59, 95% CI 1.30–1.94)・肥満者 (HR 1.64, 95% CI 1.17–2.30)ではリスク増加。

代謝的不健康肥満被験者は、代謝的健康肥満対比者に比べ、全死亡率リスク増加   (HR 1.72, 95% CI 1.23–2.41)

結論: 代謝的健康肥満者は、7年間のCVDおよび全死亡リスク増加と関連せず
現行の日本で行われているメタボリックシンドローム・肥満対策は果たして、コスト効果的なのだろうか?メタボ検診への疑問というのはかなりの数の有識者が指摘しているが、抜本的に見直そうとする動きは見えてこない。

この国では、国による検診詐欺・メタボ詐欺・・・永遠に続くのだろうか?

ACCOMPLISH解析:非肥満患者は利尿剤を含まないレジメンの方がイベント減少効果的

Weber M, et al "Effect of body mass on cardiovascular outcomes during hypertension treatment: an ACCOMPLISH analysis" ASH 2012; Abstract LB-OR-03.

解説: http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASH/32865

ACCOMPLISH trialの事前設定解析にて、肥満ではない、正常体重から過体重の高血圧症例に対し、利尿剤の存在しないレジメンが良いかもしれない。

正常体重の人では、ACE阻害剤ベナゼプリルとカルシウムチャンネルブロッカーアムロジピンは、ベナゼプリルとヒドロクロロサイアザイドより、有意に心血管イベントを減少 (HR 0.57, P=0.0037)。


非肥満患者のサイアザイドは副事象メカニズムとして、交感神経系・RAS活性増加の可能性がある。

アムロジピンベースの治療の方が、有意に利尿剤ベースの治療に比べ、死亡・卒中・心発作予防的に上回る。





ALLHAT研究結果に基づくガイドラインって・・・一体何だったんだ?

非肥満者では、CCB+ACE阻害剤を主軸に併用療法考えるべきなのだろうか?
高血圧:ARB処方禁止でカナダでは数百ドルの医療費節約・・・日本も是非・・・ 2011年 01月 25日

ドパミン受容体アゴニスト:カベルゴリンによる男性無オルガスム症治療

単一施設の後顧的症例解析なので、エビデンスレベルとして十分とは言えない。


Hsieh TC, et al "Cabergoline for the treatment of male anorgasmia" AUA 2012; Abstract 1495.

解説:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AUA/32903

ドパミン受容体アゴニストカベルゴリンによる男性無オルガスム症治療


72名中50名でオルガスム改善、50名中26名がカベルゴリン投与中正常オルガスムに改善という結果。多変量解析にて、治療期間・テストステロン補充療法(TRT)がカベルゴリン効果の予測因子となった。
同時TRTは尤度増加 p=0.03 テストステロン剤型との関連認めず。

 無オルガスム症は心理的原因とされるが、前立腺癌放射線切除ごや薬物治療後でも生じる。プロラクチンsparingのないSSRIや古典的精神病薬などはオルガスム機能障害の原因となり得ることは知られていた。

 カベルゴリンは直接プロラクチン分泌細胞刺激作用があるため、後顧的に、2009-2011年の単独男性更年期クリニックでの症例で検討。

 カベルゴリン 週2回投与、プロラクチン、FSH、LH、血中テストステロン評価し、さらにTRT併用例も検討。

治療前、心臓エコーでの弁膜疾患について評価必須とも述べている。

2012年5月24日木曜日

カルシウムサプリメントは心筋梗塞リスク増加と関連性あり

カルシウムサプリメントは、高齢者や閉経後女性の骨菲薄化予防のため多く服用されているが、このカルシウムサプリメントは心発作リスクを2倍にするというリスクが報告された。


カルシウム摂取を増やすことは、高血圧、肥満、2型糖尿病リスク減少と相関するという研究報告があったが、新しいこのドイツからの研究報告 によれば 、ミルク・チーズ・緑色野菜、ケールとサプリメントは決定的違いがあり、サプリメント由来では血管壁への強固な沈着が生じる可能性が示唆された。


“サプリメント産業”側からの批判としては、採血検査が1回だけだったことと、サプリメントダミー使用比較ではないこと(AP)。

 カルシウム摂取は、できるだけ、食事由来を勧めることが賢明というのは常に正しいと思われる。

Associations of dietary calcium intake and calcium supplementation with myocardial infarction and stroke risk and overall cardiovascular mortality in the Heidelberg cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study (EPIC-Heidelberg)
Kuanrong Li, et. al.
Heart 2012;98:920-925 doi:10.1136/heartjnl-2011-301345

前向きの食事性カルシウム摂取・サプリメントカルシウム摂取と心筋梗塞・卒中リスク、包括的心血管疾患死亡率との相関性検討

ハイデルベルグの23980名コホート

平均フォローアップ11年間で、心筋梗塞 354、 卒中 260、 心血管疾患死亡 267

最小4分位比較で、食事由来・サプリメント由来カルシウム摂取量第3四分位は 有意に心筋梗塞リスク低下、HR 0.69(95%CI 0.50-0.94)、0.68(95%CI 

0.50-0.93)

卒中リスク・心血管死亡率関連は概ね無し

ただ、サプリメント非使用者との比較で、カルシウムサプリメント使用者は、心筋梗塞リスクを統計学的に有意に増加(HR=1.86、 95%CI 1.17-2.96)で、カルシウムサプリメントのみの対象者で特に影響が大きい(HR=2.39;95%CI 1.12-5.12)

卒中リスクとCVD死亡率の相関は包括的にはnull

サプリメント全般未使用者と比べ、カルシウムサプリメントは有意に心筋梗塞リスク増加(HR=1.86; 95% CI 1.17 - 2.96)し、カルシウムサプリメントのみの使用者に特に影響が大きい(HR=2.39; 95% CI 1.12 - 5.12)


食事由来のカルシウム摂取増加では、心血管系ベネフィットみとめず、サプリメント由来のカルシウム摂取は心筋梗塞リスク増加の懸念があり、注意すべきであるとの報告。




これもあやしくなった。マルチビタミン全般に安全性に疑問。
閉経後女性:サプリメントで死亡リスク増加 マルチビタミン、ビタミンB6・・・(カルシウムは例外)  2011年 10月 11日




そもそも、カルシウム・サプリメントの心血管系への有害性報告はこれが初めてではない

高齢者女性:カルシウム・サプリメントで、心血管イベント(心発作、卒中)増加  2011年 04月 20日

カルシウム・サプリメント(ビタミンD投与併用なし)で、心筋梗塞や心血管イベントのリスク増加 2010年 07月 30日


もともと、サプリメントより食事からのカルシウムを取る方が骨密度増加には効果的
骨粗鬆症:カルシウムはサプリメントより食事から摂取すべき 2007年 06月 21日:サプリメントより食事からのカルシウムを取る方が骨密度増加には効果的という話
ビタミンD・カルシウムサプリメントは骨折リスクを減少させるが、地域居住の高齢者は、施設入所者よりその効果は小さい。適切な投与・投与量レジメンによるさらなる検討が必要。

メタアナリシス: ビタミンD±カルシウムサプリメント:癌・骨折予防 2011年 12月 26日

マスコミが悪いだけで無く、一般医家のサプリメントへの不勉強も問題・・・安易なサプリメント推奨は避けるべきである。まともな医者なら・・・

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