カルシウムサプリメントは、高齢者や閉経後女性の骨菲薄化予防のため多く服用されているが、このカルシウムサプリメントは心発作リスクを2倍にするというリスクが報告された。
カルシウム摂取を増やすことは、高血圧、肥満、2型糖尿病リスク減少と相関するという研究報告があったが、新しいこのドイツからの研究報告
によれば
、ミルク・チーズ・緑色野菜、ケールとサプリメントは決定的違いがあり、サプリメント由来では血管壁への強固な沈着が生じる可能性が示唆された。
“サプリメント産業”側からの批判としては、採血検査が1回だけだったことと、サプリメントダミー使用比較ではないこと(
AP)。
カルシウム摂取は、できるだけ、食事由来を勧めることが賢明というのは常に正しいと思われる。
Associations of dietary calcium intake and calcium supplementation with myocardial infarction and stroke risk and overall cardiovascular mortality in the Heidelberg cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study (EPIC-Heidelberg)
Kuanrong Li, et. al.
Heart 2012;98:920-925 doi:10.1136/heartjnl-2011-301345
前向きの食事性カルシウム摂取・サプリメントカルシウム摂取と心筋梗塞・卒中リスク、包括的心血管疾患死亡率との相関性検討
ハイデルベルグの23980名コホート
平均フォローアップ11年間で、心筋梗塞 354、 卒中 260、 心血管疾患死亡 267
最小4分位比較で、食事由来・サプリメント由来カルシウム摂取量第3四分位は 有意に心筋梗塞リスク低下、HR 0.69(95%CI 0.50-0.94)、0.68(95%CI
0.50-0.93)
卒中リスク・心血管死亡率関連は概ね無し
ただ、サプリメント非使用者との比較で、カルシウムサプリメント使用者は、心筋梗塞リスクを統計学的に有意に増加(HR=1.86、 95%CI 1.17-2.96)で、カルシウムサプリメントのみの対象者で特に影響が大きい(HR=2.39;95%CI 1.12-5.12)
卒中リスクとCVD死亡率の相関は包括的にはnull
サプリメント全般未使用者と比べ、カルシウムサプリメントは有意に心筋梗塞リスク増加(HR=1.86; 95% CI 1.17 - 2.96)し、カルシウムサプリメントのみの使用者に特に影響が大きい(HR=2.39; 95% CI 1.12 - 5.12)
食事由来のカルシウム摂取増加では、心血管系ベネフィットみとめず、サプリメント由来のカルシウム摂取は心筋梗塞リスク増加の懸念があり、注意すべきであるとの報告。
これもあやしくなった。マルチビタミン全般に安全性に疑問。
閉経後女性:サプリメントで死亡リスク増加 マルチビタミン、ビタミンB6・・・(カルシウムは例外) 2011年 10月 11日
そもそも、カルシウム・サプリメントの心血管系への有害性報告はこれが初めてではない
高齢者女性:カルシウム・サプリメントで、心血管イベント(心発作、卒中)増加 2011年 04月 20日
カルシウム・サプリメント(ビタミンD投与併用なし)で、心筋梗塞や心血管イベントのリスク増加 2010年 07月 30日
もともと、サプリメントより食事からのカルシウムを取る方が骨密度増加には効果的
骨粗鬆症:カルシウムはサプリメントより食事から摂取すべき 2007年 06月 21日:サプリメントより食事からのカルシウムを取る方が骨密度増加には効果的という話
ビタミンD・カルシウムサプリメントは骨折リスクを減少させるが、地域居住の高齢者は、施設入所者よりその効果は小さい。適切な投与・投与量レジメンによるさらなる検討が必要。
メタアナリシス: ビタミンD±カルシウムサプリメント:癌・骨折予防 2011年 12月 26日
マスコミが悪いだけで無く、一般医家のサプリメントへの不勉強も問題・・・安易なサプリメント推奨は避けるべきである。まともな医者なら・・・