2018年6月30日土曜日

65歳基準:高齢 vs 若年 降圧治療開始基準・目標値

2014年、JNC-8では高齢者 収縮期血圧 150mmHg以上を治療開始基準として、目標値も同値としたが、2013年欧州ガイドラインでは 160mmHgを開始必須基準、目標値を 140 mmHgとした

SPRINT研究サブグループ高齢者データ(l. J Am Med Ass 2016; 315:2673 – 2682.)により 130mmHg以上開始、治療目標基準とした
SPRINTは、医師・看護師のいない環境下での自動測定血圧値であり、さらに、既治療群が90%というon-treatment群であったため真の治療開始基準としては不適切という意見もある

以下を検討したいとのこと
1)血圧降下治療の利点は高齢者と若年で異なるか?
2)最高齢、最若年齢での降圧ベネフィットのエビデンスのある年齢レンジは?
3)高齢治療開始すべきエビデンスの収縮期血圧値は?
4)付加的ベネフィットエビデンスがある高齢治療目標収縮期血圧・拡張期血圧値は?
5)若年より高齢の法が降圧治療による負担や有害性が高いか?


この論文が答えになってるかどうかは「?」だが・・・






Effects of blood pressure-lowering treatment on cardiovascular outcomes and mortality: 13 – benefits and adverse events in older and younger patients with hypertension overview, meta-analyses and meta-regression analyses of randomized trials
Journal of Hypertension: August 2018 - Volume 36 - Issue 8 - p 1622–1636
doi: 10.1097/HJH.0000000000001787


目的:臨床的明確な問題点として高齢・若年での血圧降下作用を検討:即ち、ベネフィット差
活用可能な降圧効果エビデンスのある最高年齢・最小年齢レンジ
高齢・若年での降圧作用の差を降圧治療開始すべき収縮期血圧のレベル;収縮期血圧・拡張期血圧治療目的;治療のburdenと有害性の差;降圧治療開始すべき収縮期血圧値;治療の負担と有害性

研究方法: 26万210名からなる72の降圧RCT、[カットオフ 65(プライマリ解析)、70、75、80、60、55歳)]から検討
未治療ベースラインレベル血圧、治療到達収縮期血圧あるいは拡張期血圧で層別化
7つの致死的非致死的アウトカムをベネフィットとして評価、負担や有害性wは副事象イベント故の治療永続中断、低血圧/失神で評価。リスク要素や絶対的リスクレンジをrandom effects modelで計算、高齢、若年齢の効果をheterogeneity testで比較


結果:65歳超 96,549名32RCT、65歳未満 114,009名 31RCT
n全身血管アウトカムは高齢、若年ともに治療により有意減少するも、年齢依存的差を相対リスク減少差を認めない、しかし、高齢者では絶対的リスク減少が有意に大きい

治療ベネフィット有意エビデンス活用可能年齢はレンジ幅を最大化すると、80歳超と55歳未満

grade 1レンジ収縮期血圧値治療開始時65歳超で降圧ベネフィットに基づくデータを提供しエイルのは1つのRCTのみだが、60歳超にしても一致したエビデンスを認めた

65歳未満、65歳超ともに心血管アウトカム有意減少は、on-treatment 収縮期血圧 140 mmHg未満、 拡張期血圧 80 mmHg未満で認めた

副事象による治療中断、低血圧/失神 は65歳超で多い


結論:降圧治療は、年齢と関連無く、血圧上昇している全てに推奨される
収縮期血圧値 140-159 mmHgでの治療開始推奨は、60歳超を高齢で推奨される
収縮期血圧 140 mmHg 、拡張期血圧 80 mmHgは80歳まで、釣り合わない負担をもたらさず、ベネフィットが増加する、さらに、on-treatment 収縮期血圧 140-149 mmHgのベネフィットあり


65歳超(赤線)、65歳未満(青線)高血圧患者のアウトカム減少と副事象イベントによる治療中止の関連性
収縮期血圧の差(D-SBP)におけるリスク比のメタ回帰(active治療-プラシーボ or less active治療)
P値 高齢 vs 若年の勾配差

CHD, coronary heart disease events; CV, cardiovascular; D-SBP, difference in SBP; HF, hospitalized heart failure.




アウトカムの相対的、絶対的リスク比


心血管イベントは、“動脈硬化”という劇場の最終章であり、グランドフィナーレである。高齢になるほどこの最終幕となっている可能性が高い。 若年と高齢では、降圧剤の意義も異なってくると思う。若年でも、低リスク群でも高リスクでは異なるだろう。・・・などとほざくが・・・ホントは私にはわからない


65歳未満での収縮期血圧低下による有害性相対リスクが高齢より低そうに見えるのは意外(有意差はないので言及されてない)


2018年6月29日金曜日

肥満2型糖尿病:GLP-1/グルカゴン受容体dual agonist:MEDI0382

GLP-1/グルカゴン受容体dual agonist MEDI0382

AstraZeneca と MedImmuneはMEDI0382のPhase IIa研究結果報告
American Diabetes Association’s (ADA) で報告されたもの


Oxyntomodulin は、食後腸管から遊離し、GLP-1、グルカゴン受容体を活性化する、代謝機能においてクリティカルなところで、このoxytomodulin様ペプチドが、MEDI0382で、dual targeting作用を目標とする
oxyntomodulinは、GLP-1とグルカゴンの受容体アゴニスト活性のequipoise(均衡)をもたらし、正常血糖化ける、体重炎症、エネルギー消費促進メカニズムを生じ、食欲、満腹への影響を与える可能性がある

Phase IIa data により、ぶどう糖依存性血糖コントロール、減量、肝臓の脂肪量減少が示された


最小自乗平均 -3.84 [90% CI, -4.55 〜 -3.12]kg vs -.17 [-2.40 〜 -1.01kg
差平均 2.14 [-3.13 〜 -1.31]


MEDI0382, a GLP-1 and glucagon receptor dual agonist, in obese or overweight patients with type 2 diabetes: a randomised, controlled, double-blind, ascending dose and phase 2a study
DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)30726-8



ランダム化プラシーボ対照二重盲検・combined multiple-ascending dose (MAD) ・phase 2aトライアル
18−65歳、2型糖尿病患者コントロール下、HbA1c 6.5-8.5%
<0 -10.2="" -32.8="" .0001="" and="" auc0-4h="" baseline="" from="" glucose="" hypoglycaemia.="" in="" increase="" nbsp="" no="" p="" postprandial="" versus="" with="">

<0 -10.2="" -32.8="" .0001="" and="" auc0-4h="" baseline="" from="" glucose="" hypoglycaemia.="" in="" increase="" nbsp="" no="" p="" postprandial="" versus="" with="">
(A) Change from baseline (least squares [LS] mean [90% CI]) to day 41 in percentage glucose AUC0–4 h post MMTT in the pharmacodynamic population for whom we had data
 (B)bodyweight in the intention-to-treat population.
 (C) Plasma glucose concentrations over time (mean [SD]) post MMTT on day 41 (lower dashed line at 7·0 mmol/L standard baseline threshold and upper dashed line at 11·1 mmol/L standard post-MMTT threshold) in the pharmacodynamic population.

 Change from baseline (LS mean [90% CI]) to day 41 in fasting plasma glucose concentration (D) in the pharmacodynamic population for whom we had data and HbA1c levels (E) in the intention-to-treat population.

  AUC0–4 h=area under the curve at 0–4 h.
  MMTT=mixed-meal tolerance test.
<0 -10.2="" -32.8="" .0001="" and="" auc0-4h="" baseline="" from="" glucose="" hypoglycaemia.="" in="" increase="" nbsp="" no="" p="" postprandial="" versus="" with="">
  HbA1c=glycated haemoglobin A1c.





・・・体重減少付加効果としては微妙な

閉塞型無呼吸:有酸素能低下、liver stiffness増加

有酸素能力:aerobic capacity, 最大運動能試験として、サイクリング(エルゴメーター)などによる全身漸増プロトコールがこの評価のgold standardで、この身体フィットネス状況が生存率にかかわるという事象が一般的に取り上げられてきている。

閉塞型無呼吸に関して運動耐容能など知見ばらつきあったので、閉塞型無呼吸患者の有酸素能力検討

結局、10%ほど低下しているようだ



Maximal exercise capacity in patients with obstructive sleep apnoea syndrome: a systematic review and meta-analysis
European Respiratory Journal 
2018 51: 1702697;
 DOI: 10.1183/13993003.02697-2017


最大有酸素能力は強力な健康予測因子であり、ピーク酸素摂取量 (VO2peak)は体全体の健康の反映とされる
閉塞型無呼吸(OSA)患者での VO2peak に関するデータまとまったものはない
今回システマティック・レビュー
「 mL·kg-1·min-1 」表現のMean VO2peak において、対照に比べOSA群で有意に低下
(差平均 = -2.7 mL·kg-1·min-1; p<0.001; n=850)

このVO2peak の減少は、非肥満患者で特に著明(BMI< 30kg/2)

平均 VO2peak in % 予測は、OSA患者において 90.7 ± 21.0% - in OSA  (n=643)





結論:
閉塞型無呼吸患者は、最大有酸素能力減少し、心血管疾患リスクと相関し、特定のサブグループで生存率低下を示す
最大運動負荷試験は機能制限の特性化に有用で、健康状態評価のため必要な検査である


考察上、生理学的メカニズムとして、"chronotropic incompetence"、最大心拍数の低下、βアドレナリン作動受容体のdownregulation、運動字最大乳酸値減少、解糖系・参加メカニズムの障害、骨格筋機能の低下、患者の身体活動性低下、併存症の存在など









liver stiffnessとの関連
閉塞型無呼吸は間歇的低換気と代償を摂る場合過換気状態を繰り返すことがあり、単純な低酸素血症臓器障害だけではない。NAFLDとの関連性あり、liver stiffness measurement(LSM)による肝臓の硬さ→肝硬変への進行を示唆する、肝病変の悪化と閉塞型無呼吸重症度は関連するか?

横断的検討なので限界はあるだろうが・・・関連性有りと考えられる

Increased liver stiffness in patients with severe sleep apnoea and metabolic comorbidities
ERJ Express. Published on June 7, 2018 as doi: 10.1183/13993003.00601-2018



Relationship between obstructive sleep apnoea severity and liver stiffness measurement (LSM). The following commonly used cut-offs for apnoea-hypopnoea index (AHI) were used to define categories of obstructive sleep apnoea (OSA) severity: 5 to <15 15="" a.="" a="" br="" der="" f="" for="" mild="" nd="" o="" osa="" r="" severe="" te="" to="">

2018年6月28日木曜日

喘息:長時間作用性β2刺激薬の安全性 4社データ利用検討

既視感つよいのだが、

例えば、

https://kaigyoi.blogspot.com/2016/03/austri-icslaba-vs-ics.html




今回の報告は、メーカー横断的なデータ使用した報告で、conclusiveとしたいところだろう

FDA主導の" the manufacturers harmonized their trial methods "による、喘息治療のLABA安全性懸念(市販後調査による死亡リスク増加懸念)払拭のための検討


4トライアル複合解析(吸入ステロイド+LABAと吸入ステロイド単独比較)

36万名ものITT研究


Combined Analysis of Asthma Safety Trials of Long-Acting β2-Agonists
June 28, 2018
N Engl J Med 2018; 378:2497-2505
DOI: 10.1056/NEJMoa1716868
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1716868

重度喘息関連イベント(入院・挿管・死亡のくみあわせ)解析、1つ以上のイベント発症
ICS群  108 of 18,006 patients (0.60%)
ICS+LABA群   119 of 18,004 patients (0.66%)
(併用治療の相対リスク, 1.09; 95% 信頼区間 [CI], 0.83 to 1.43; P=0.55);
 


 喘息急性増悪1回以上
 ICS群  2100(11.7%)
 ICS+LABA群  1768(9.8%)
 (相対リスク, 0.83; 95% CI, 0.78 to 0.89; P<0 .001="" blockquote="">


骨粗鬆症USPSTF推奨ステートメント

一般的に行われる日本の検診では、最初っから骨塩定量なされることが多い、いわゆる“人間ドック”とやらではさらに節操なくされていることも多い。

無節操な骨粗鬆症治療がなされる一方、なされるべき骨粗鬆症性骨折高リスク群は放置されている日本の現状

USPSTF推奨をみるにつけなさけなくなる日本の現状

さらには、ビスフォスフォネート系薬剤がその臨床的有益性において、本文にも書かれているとおり、"most studies reporting on hip fractures may have been underpowered to detect a difference in this outcome" とされているにもかかわらず、"drug holiday"って何?って感じで漫然と処方されている(厚労省のお役人さんたちに告ぐ、薬剤削除の好ターゲットですぜとは言いつつ、まぁ、最近の後顧的研究では、drug-holiday期間中に骨折増加するという報告(Osteoporosis International Dec.2017, Volume 28, Issue 12, pp 3431–3438もあるのでそう簡単にはいかないだろうが・・・ )


まぁそういうわけで、ちょっと訳してみた

US Preventive Services Task Force Recommendation Statement June 26, 2018 Screening for Osteoporosis to Prevent Fractures US Preventive Services Task Force Recommendation Statement JAMA. 2018;319(24):2521-2531. doi:10.1001/jama.2018.7498
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2685995

-->

-->
Figure 2. Clinical Summary: Screening for Osteoporosis to Prevent Fractures
Population 65歳以上女性 高リスク状態にある65歳未満閉経後女性 男性
Recommendation Screen for osteoporosis. Grade: B Screen for osteoporosis. Grade: B No recommendation.
Grade: I (insufficient evidence)
Risk Assessment 骨粗鬆症リスク要素は、股関節骨折既往、喫煙、過度のアルコール摂取、低体重
加え、女性では閉経後も重要な考慮事項
65歳未満の閉経後女性は1つでもリスク要素あれば、骨測定検査のスクリーンすべき合理的アプローチは、臨床リスク評価ツールを用いることは十分な根拠となる

骨粗鬆症リスク評価可能ないくつかのツール;例  OST, ORAI, OSIRIS, SCORE,
and FRAX.
Screening Tests 最頻用検査は股部・椎体骨のcentral dual-energy x-ray absorptiometry (DXA)
いくつかの骨測定でも骨折リスク推定は同様だが、多くの治療ガイドラインで、central DXAを骨粗鬆症決定、骨粗鬆症性骨折予防閾値決定のため用いている。
他のスクリーニング試験には、末梢骨DXAや定量的超音波 (QUS)
TreatmentsUS Food and Drug Administrationはビスフォスフォネート、PTH、raloxifene、エストロゲンを含む 多くの薬剤を承認
治療選択は、患者の臨床状況、ベネフィットと有害性のtrade-offに基づべき
Other Relevant USPSTFは、高齢者へ転倒予防介入を推奨、ビタミンD、カルシウム、複合サプリメントを骨折一次予防のため推奨
For a summary of the evidence systematically reviewed in making this recommendation, the full recommendation statement, and supporting documents, please 
go to https://www.uspreventiveservicestaskforce.org.




June 26, 2018
Amid Osteoporosis Treatment Crisis, Experts Suggest Addressing Patients’ Bisphosphonate Concerns
JAMA. 2018;319(24):2464-2466. doi:10.1001/jama.2018.7097

骨粗鬆症治療中の"unusual type of thigh bone break"症例に遭遇する機会が多くなったという整形外科医の話。転倒や外傷によらない骨折で、通常の日常生活、歩行やウェストをひねる、立ち止まっただけで生じる骨折。"too-cruel joke"、きつい冗談のようで、ビスフォスフォネート系の副作用の可能性もある。腰椎椎体骨骨折へは〜70%の予防効果のあるとされる強力な薬剤であるが、10万対3.2-50例との報告もある。さらに稀な顎骨壊死で10万対1例未満、年1万名に1人。
1千名の骨粗鬆症の患者を3年間治療したとすると、非定型骨折発症 1.25だが、一方で100例もの骨折を予防できるというbenefit-harmバランス・・・などなど考察されている




Denosumab(プラリア)はエビデンス不足!
The USPSTF identified 4 studies that evaluated denosumab; how- ever, only 1 study was adequately powered to detect a difference in fractures. This study (n = 7868) evaluated treatment with deno- sumab in women and found a significant reduction in vertebral fractures (RR, 0.32 [95% CI, 0.26-0.41]), nonvertebral fractures (RR, 0.80 [95% CI, 0.67-0.95]), and hip fractures (RR, 0.60 [95% CI, 0.37-0.97]).


中年期フィットネス高レベルほど高齢発症うつ後の心血管死亡率低下、うつ発症抑制

この種の研究って後顧的研究による検討って共役要素からんでホントに真実を語っているのだろうか?

余りに直感的感想だが、身体活動性高い中年期を過ごした人間ってそもそもうつ素因希薄なのでは?そんな感想を持ちながら、住民ベース予防医学クリニックでの単施設コホート研究の報告





【キーポイント】
疑問点  65歳以降うつ発症後、中年期心呼吸フィットネスは心血管死亡率低下と関連するか?

知見 メディケア対象患者のコホート研究で、中年期フィットネスの高レベルは、うつリスク16%低減。加え、うつ診断後、フィットネス高レベルなのは心血管死亡率リスク56%減少と関連

意義  中年期身体フィットネス多い男女は、後年のうつ診断後うつ・心血管死亡率リスク低下と関連することは、生涯においてフィットネスが心血管疾患・うつのプライマリに優先すべき予防戦略ということになる



Association of Midlife Cardiorespiratory Fitness With Incident Depression and Cardiovascular Death After Depression in Later Life
JAMA Psychiatry. Published online June 27, 2018. doi:10.1001/jamapsychiatry.2018.1467
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/2686049







Table 2. Hazards for Incident Events by Fitness Categoriesa
Incident Event by Fitness Category HR (95% CI)  
Model lb Model 2`
Depression    
High 0.72 (0.64-0.80) 0.84 (0.74-0.95)
Moderate 0.84 (0.76-0.93) 0.92 (0.83-1.03)
Low 1 [Reference] 1 [Reference]
CVD mortality without incident depression    
High 0.33 (0.27-0.41) 0.39 (0.31-0.48)
Moderate 0.48 (0.39-0.58) 0.52 (0.43-0.64)
Low 1 [Reference] 1 [Reference]
CVD mortality after
incident depression
   
High 0.39 (0.27-0.56) 0.44 (0.31-0.64)
Moderate 0.69 (0.50-0.95) 0.74 (0.54-1.02)
Low 1 [Reference] 1 [Reference]

Neprilysin:2型糖尿病患者RAS抑制治療治療下腎機能低下抑制効果

Neprilysin は、内因性ナトリウム排泄作用、血管拡張作用、抗線維化作用を有するペプチド類の分解を促進。neoprilysinの活性増加によりなぜ糖尿病で腎糸球体内cGMP生成能力を含む、内因性ナトリウム利尿ペプチドの放出および応答を鈍らせるのかの説明になる。
本来なら実験的糖尿病腎症の経過に好影響を与えるべき内在性ペプチドの活動抑制が生じ、結果として腎臓の構造的・機能的重大な悪影響を与える。

neprilysinの抑制により臨床的に糖尿病腎症発症緩徐化の可能性が示唆されていた


2型糖尿病において、心血管疾患のある患者において腎症は重大な臨床的アウトカムである。neprilysin活性増加は腎症に好ましからざる影響を与えるはずで、この抑制剤にて腎症悪化緩徐化できないか・・・とのこと


結論から言えば、良好な効果判明したわけだが・・・


Effect of neprilysin inhibition on renal function in patients with type 2 diabetes and chronic heart failure who are receiving target doses of inhibitors of the renin-angiotensin system: a secondary analysis of the PARADIGM-HF trial
The Lancet Diabetes & Endocrinology Volume 6, No. 7, p547–554, July 2018
DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-8587(18)30100-1
https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(18)30100-1/fulltext

背景
Neprilysin 抑制 は、実験的糖尿病腎症に効果があり、2型糖尿病患者での腎機能経過に果たす役割について検討


研究方法
ランダム化二重盲検PARADIGM-HFトライアルにおいて、sacubitril/valsartan (97 mg/103 mg twice daily) をエナラプリル (10 mg twice daily) と比較;軽症中等症慢性心不全・収縮機能障害患者 8399名
セカンダリITT解析にて、推定糸球体濾過速度(eGFR)を44ヶ月フォローアップ期間において変化を評価;糖尿病あり n=3784 vs 糖尿病なし n=4615

PARADIGM-HF is registered with ClinicalTrials.gov, number NCT01035255

結果
eGFR は、糖尿病なし群では  1.1 mL/min per 1.73 m2 per year (95% CI 1.0–1.2) 、糖尿病あり群では、 2.0 mL/min per 1.73 m2 per year (1.9–2.1) (p<0.0001).



エナラプリルと比較し、sacubitril/valsartan ではeGFR減少速度緩徐化  (−1.3 vs −1.8 mL/min per 1.73 m2 per year; p<0.0001)

糖尿病なしに比べ、糖尿病ありの患者群でそのベネフィット大なり (差 糖尿病あり:0.6 mL/min per 1.73 m2 per year [95% CI 0.4–0.8] in patients with vs 糖尿病なし:0.3 mL/min per 1.73 m2 per year [0.2–0.5]; pinteraction=0.038).



糖尿病患者でのneprilysin抑制効果は、心不全やHbA1cの臨床経過への影響によっては説明できない

糖尿病患者での sacubitril/valsartan の付加的ベネフィットは尿中cyclic GMP補正により明確でなくなる (p=0.41)


結論
慢性心不全患者において、RASが既に最大現ブロックされている患者では、 neprilysin inhibitionは糖尿病に限定的に、腎機能低下加速を抑制する効果がある




2018年6月27日水曜日

2型糖尿病:発汗機能はCKD、心血管疾患発症予測要素

汗腺のinnervation(神経支配)の障害によりsudomotor actionの障害を生じる

糖尿病の末梢神経障害合併症として発汗障害という表現がなされていると思うが、発汗障害は糖尿病の予後予測要素として重要らしい

SUDOSCANテスト
https://www.sudoscan.com


Electrochemical skin conductance  (ESC) composite score


Sudomotor dysfunction independently predicts incident cardiovascular–renal events and all-cause death in type 2 diabetes: the Joint Asia Diabetes Evaluation register
Nephrology Dialysis Transplantation, gfy154, https://doi.org/10.1093/ndt/gfy154
Published: 22 June 2018  Article history
https://academic.oup.com/ndt/advance-article/doi/10.1093/ndt/gfy154/5043139




平均年齢 57.0[SD 10.0]歳、T2D罹病期間7.0[IQR 3.0-13.0]年間、男性 56.1%
非喫煙者 72.5%、ベースラインESC composite score 60.7(SD 14.5)

フォローアップ2.3年間で CKD発症 163(8.0%)、CVD発症 25(1.2%)


ESC composite score 1-unit減少毎補正ハザード比(aHRs)は
CKD発症 1.02 [95% 信頼区間 (CI) 1.01–1.04]
CVD発症 1.04 (1.00–1.07)
全原因死亡 1.04 (1.00–1.08)


ESC composite score  > 53と比較して、≦ 53では、通常のリスクマーカーと独立してaHR増加
CKD 1.56 (95% CI 1.09–2.23)
CVD 3.11 (95% CI 1.27–7.62)

年齢、糖尿病罹病期間という臨床変数を加えると、ESC composite scoreはCKDリスク再分類適正化し全アウトカムの判別性改善する







上記と関係ないが、"capillary rarefaction"と高血圧の関係()に興味がある
肺癌治療新規製剤の副作用メカニズムにつきこの話が再浮上している。
元々、高血圧性酸化ストレスは血管新生を阻害し、微小血管rarefactionを喪失させ、毛細血管やpre-capillary arterioleを減少する。高血圧症のhallmarkであるというのは比較的以前から指摘されていたのだが・・・




2018年6月26日火曜日

1型糖尿病:アミリン+即効型インスリン“人工膵臓”:第2世代

1型糖尿病に関しては、GLP-1の有効性トライアルの報告もある

2重盲検46名のトライアル


そして、ケトアシドーシスが怖そうなsotagliflozin治療

American Diabetes AssociationSource Reference: Buse J, et al "212-OR - Fifty-Two-Week Efficacy and Safety of Sotagliflozin, a Dual SGLT1 and SGLT2 Inhibitor, as Adjunct Therapy to Insulin in Adults with Type 1 Diabetes (inTandem1)" ADA 2018; Abstract 212-OR.


安全性を示してはいるが・・・


そして、第2世代人工膵臓の話・・・



CGMとインスリンポンプを組み合わせた“人工膵臓”
アミリンと即効型インスリンの2つのホルモンを組み合わせの人工膵臓により1型糖尿病の食後血糖を改善


Insulin-plus-Pramlintide Artificial Pancreas in Type 1 Diabetes—Randomized Controlled Trial
https://plan.core-apps.com/tristar_ada18/abstract/807d2f9885450670bb994661e3654056




12名の1型糖尿病で 以下比較
i) dual-hormone, rapid insulin and amylin (Pramlintide), artificial pancreas (DAP)
ii) regular insulin (Humulin R) and amylin artificial pancreas (R-DAP)
iii) rapid insulin-alone artificial pancreas (AP) 


インスリンとアミリンはbasal-bolus法にて同時投与、新しいどうよアルゴリズム、固定比率6μg/u、合剤疑似的

24時間に3回受診してもらい、3食及び夜食を摂ってもらう。
closed-loop研究に先立ち、アミリンを2週間東予市、basal比率とcarb比率を最適化する


Table 1. Comparisons between AP, DAP, and R-DAP (mean±SD)
OutcomeAPDAPR-DAPP-value DAP vs. APP-value R-DAP vs. AP
Time spent between 3.9 and 10.0 mmol/L during 24-hour study period (%)71 ± 1985 ± 1072 ± 160.030.86
Mean glucose level during 24-hour study period (mmol/L)8.2 ± 1.37.4 ± 1.17.7 ± 0.80.070.38
Coefficient of variance during 24-hour study period (%)34 ± 1125 ± 635 ± 80.010.65
Time spent between 3.9 and 10.0 mmol/L during daytime period (%)58 ± 2678 ± 1666 ± 210.020.58
Mean glucose level during daytime period (mmol/L)9.1 ± 1.97.8 ± 1.58.4 ± 1.50.020.34
Time spent between 3.9 and 7.8 mmol/L during overnight period (%)77 ± 2071 ± 2965 ± 190.470.16
Mean glucose level during overnight period (mmol/L)6.6 ± 0.96.8 ± 0.96.6 ± 1.20.510.87


24時間研究にて、DAPではAPに比べ目標レンジ [3.9-10.0 mmol/L] 時間増加 72%→85%(p=0.03)
血糖変動(CV)減少 34% → 25%(P=0.01)するも、低血糖リスク増加せず  (P=NS)

きびしい目標レンジ [3.9-7.8 mmol/L]到達比率は、DAP、APとも同様 77%, 71%, P=NS

中等度吐気 DAP  2例  vs AP 0

日中・夜間においてAP比較のR-DAPのベネフィット相関認めず

速効インスリン+アミリン固定比率によるdual-hormone人工膵臓システムは、インスリン単独第1世代に比較して血糖コントロール改善し血糖変動を減少




https://www.prnewswire.com/news-releases/dual-hormone-artificial-pancreas-with-insulin-and-pramlintide-significantly-improves-glucose-levels-compared-to-insulin-only-artificial-pancreas-300671183.html


カナグリフロジンのえん罪晴れる?

2型糖尿病へのカナグリフロジン治療治験(CANVASトライアル)で問題となった下肢切断リスク増加懸念

CANVAS: 下肢切断リスク増加
https://kaigyoi.blogspot.com/2017/06/canvas.html

OBSERVE-4D研究とやらの70万名超の米国患者のリアルワールド解析で、BKA(below-knee amputation)とやらの事象が、カナグリフロジン新規使用者にて、他の抗糖尿病薬と比べ、そのリスク増加を認めなかったと主張の報告(HR 0.75 95% CI, 0.40-1.42, p=0.25)



4-LB - Canagliflozin (CANA) vs. Other Antihyperglycemic Agents on the Risk of Below-Knee Amputation (BKA) for Patients with T2DM—A Real-World Analysis of >700,000 U.S. Patients
https://plan.core-apps.com/tristar_ada18/abstract/5188446740e191fd289345d56a805a5b






Sodium glucose co-transporter 2 inhibitors (SGLT2i)

事前層別化プロトコールにてBKAと心不全入院(HHF)を他のSGLT2iと非SGLT2iとを比較

新規使用補正、感度分析デザインpropensity score解析
CANA 14万2千名、他のSGLT2i 11万名、非SGLT2i 46万名のAHAs(抗高血糖薬剤)



でも、 所詮 後顧的解析だからなぁ

2018年6月25日月曜日

【ぼーっと生きてんじゃねぇ】インスリンアナログ製剤の意味はない!

専門外ながらいつも思う

全般的に“ぼーっと生きてんじゃない!”とカツを受けるべき日本の糖尿病医療


これは日本からの問題提起ではないが・・・


製薬メーカーの宣伝の元、ヒト化インスリン→インスリン・アナログへの変更当然みたいな空気ができてしまったのではないか?

メーカーの儲けのため、一部、関与医師たちの懐を豊かにするため、“ボーと生きている”我々(日本以外を含めた)医師たちは、無駄に高額なインスリン製剤を使用してきたのではないか? ・・・ 少なくとも自問すべきである





下記JAMA論文エディトリアルも、今までのインスリン製剤使用への再考を促す内容となっている

Revisiting NPH Insulin for Type 2 Diabetes
Is a Step Back the Path Forward?
JAMA. Published online June 23, 2018. doi:10.1001/jama.2018.8033




(日本以外の大部分の国では)2型糖尿病治療はライフスタイル修正とメトホルミン開始から始める。血糖目標到達のためインスリン開始必要な患者は14%−25%。インスリン治療のmainstayはヒト合成インスリンであったが次第にインスリンアナログがpopularになってきている。インスリン治療コスト増大に関わっている。
インスリンアナログは分子構造変化により、内因性インスリンの薬剤的特性類似させた合剤だが、夜間低血糖リスク減少が若干あるが、重度低血糖リスク減少作用、血糖コントロール改善作用は示されていない。トライアル結果と臨床上のアウトカムのdiscrepancyが多く、日常臨床から付加的エビデンスの必要性が注目されてきた。



2型糖尿病において、インスリン開始時、NPHインスリンと比較してbasal insulin analogが低血糖関連ED受診・入院減少を示せず、血糖改善ももたらさない



Kaiser Permanente of Northern Californiaの後顧的観察研究(2006年1月1日〜2015年9月30日)

2型糖尿病、basal insulin治療開始 25,489名  (平均年齢, 60.2 [SD, 11.8] 歳; 白人 51.9% ; 女性 46.8% ) 


フォローアップ平均 1.7 年間において、低血糖関連ED受診・入院
・インスリンアナログ開始群 39/1928 (1千人年 11.9  [95% CI, 8.1 to 15.6] イベント [95% CI, 8.1 to 15.6] )
・NPHインスリン開始群 354/23,561 (1千人年 8.8  [95% CI, 7.9 to 9.8] イベント)  (between-group difference, 3.1 events [95% CI, −1.5 to 7.7] per 1000 person-years; P = .07)


propensity scoreマッチ化 4428名において、 補正ハザード比表現において、インスリンアナログ治療は、低血糖関連ED受診/入院 1.16 (95% CI, 0.71 to 1.78)

インスリン開始後1年間において、HbA1c値
インスリンアナログ開始後: 9.4% (95% CI, 9.3% to 9.5%) → 8.2% (95% CI, 8.1% to 8.2%)
NPIインスリン開始後:  9.4% (95% CI, 9.3% to 9.5%)→ 7.9% (95% CI, 7.9% to 8.0%)  (adjusted difference-in-differences for glycemic control, −0.22% [95% CI, −0.09% to −0.37%])



Association of Initiation of Basal Insulin Analogs vs Neutral Protamine Hagedorn Insulin With Hypoglycemia-Related Emergency Department Visits or Hospital Admissions and With Glycemic Control in Patients With Type 2 Diabetes
JAMA. Published online June 23, 2018. doi:10.1001/jama.2018.7993
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2685850





後顧的検討のため、メーカーたちの言い訳はそれに終始すると思う・・・

そして “ボーとした”糖尿病診療が今日も行われる


m3やcarenetやMedical tribuneがこの話題どう扱うかも見物!

2018年6月22日金曜日

アルツハイマー病:HHV-6A、HHV-7関与?

アルツハイマー病にヘルペスウイルス関与か 米の研究班  2018年6月22日 9時14分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180622/k10011490541000.html


アメリカのマウントサイナイ医科大学などのグループは、亡くなった人から提供された脳を調べ、アルツハイマー病との関わりを解析した結果を21日、科学雑誌「ニューロン」に発表しました。

それによりますと、脳の中に見られるウイルスの痕跡を調べた結果、アルツハイマー病だった人の脳には、そうでない人の脳と異なり、2種類のヘルペスウイルスの痕跡が多く見られることがわかったということです。ヘルペスウイルスはほとんどの人が幼い時期に感染し、高熱や発疹を引き起こす原因にもなるものです。



原著:
Multiscale Analysis of Independent Alzheimer’s Cohorts Finds Disruption of Molecular, Genetic, and Clinical Networks by Human Herpesvirus. Neuron, 2018; DOI: 10.1016/j.neuron.2018.05.023


解説:https://www.sciencedaily.com/releases/2018/06/180621121914.htm




They found that human herpesvirus DNA and RNA were more abundant in the brains of those diagnosed postmortem with Alzheimer's disease and that abundance correlated with clinical dementia scores. And the two viruses they found to be most strongly associated with Alzheimer's, HHV-6A and HHV-7, were not as abundant in the brains of those with other neurodegenerative disorders. When they constructed networks that modeled how the viral genes and human genes interacted, they were able to show that the viral genes were regulating and being regulated by the human genes -- and that genes associated with increased Alzheimer's risk were impacted.

アルコール依存のメカニズム:扁桃体GABAクリアランス障害




アルコール関連問題にまでなるのは人口の10-15%のみに限定される。飲酒機会に遭遇する時に人によって行動のレパートリーは薬物報酬(drug reward)と健康的な変容との間に無数の選択下にある。Augierらはアルコール依存ラットに着眼し選択行動手順を確立し、少数のラットでは(ラットにとっては)高価値の砂糖などの選択肢があるのに、アルコール自己投与を続けることを見いだした。

少数派が人の臨床的状況に類似した行動trait(特性)顕著で、アルコール獲得と不利益な状況あるのに使用継続する高度のモチベーション
この原因は中央扁桃体のGABAクリアランスの障害による
剖検組織解析でヒトのアルコール症でも同様の病理が示されている。



A molecular mechanism for choosing alcohol over an alternative reward
Science 22 Jun 2018: Vol. 360, Issue 6395, pp. 1321-1326
DOI: 10.1126/science.aao1157

アルコール依存はヒトのreward上アルコール選択を導くことから生じる。高価値rewardよりアルコールを選択するラットは 〜15%存在


扁桃体でGABA transporter GAT-3発現はアルコール依存ラットにおいて選択的に減少

一方このtransciptノックダウンでアルコールより糖水を選ぶように本来の選択に戻る

GAT-3 発現は、アルコール依存患者においてそれ以外と比べ中心扁桃で選択的に減少、扁桃体でのGABAクリアランス障害が、種を超えて、関与しているようで、新しい治療手段のターゲットとなるかも



健康的な食生活選択の鍵を握る前頭前皮質

味覚を優先し食品を選択するか、健康的な食品を選択するかは悩ましいところだろうが、
健康な食品を選択する脳の解剖学的画像データは存在するのか?


背外側部前頭前皮質(dlPFC)および腹内側部前頭前皮質(vmPFC)における灰白質の量がそれを予測できる

dlPFCとvmPFVの神経解剖の違いが、個人の健康的な食生活選択に影響を及ぼす



Neuroanatomy of the vmPFC and dlPFC Predicts Individual Differences in Cognitive Regulation During Dietary Self-Control Across Regulation Strategies.
The Journal of Neuroscience, 2018; 38 (25): 5799 
DOI: 10.1523/JNEUROSCI.3402-17.2018


食選択以前に食品アイテムの健康度にフォーカスするよう促した
上記如く、dlPFC、vmPFCの灰白質量の個人差で規則性を見いだした

この知見を確認するため、二つ目のデータセットで不健康な食欲を引きつける食品を求める状況から離れるよう被検者に要求し、サンプルとタスクの規則性を確認





神経性食欲不振・過食症などの食選択機能不全状態を特徴とする摂食障害などや、自己制御不能の過体重・肥満への対応など、研究への一歩となるか? さらには神経フィードバック練習など脳の機能的制御で、こ前頭前皮質の灰白質量を変えることができると思われる・・・と解説


今までは、飢餓とか空腹とか、満腹とかだったが、理性的、抑制的判断に関わる脳の部位について検討ということで興味深い
理性が打ち勝てば理知的食選択ができるはず・・・

特発性肺線維症:制酸剤の生存率ベネフィット 研究バイアスに注意


IPFに関して制酸剤と鎮咳剤の推奨どうすれば良いのか日常管理上の課題の一つ


逆流性食道炎(GORD :oesophagealと表記のためGERDではない)と特発性肺線維症の関連示唆され、観察研究から制酸剤のベネフィット報告されるも、"immortal time bias"によりそのエビデンス打ち消された。故に、未だ不明。

The effect of anti-acid therapy on survival in idiopathic pulmonary fibrosis: a methodological review of observational studies
European Respiratory Journal 2018 51: 1800376; DOI: 10.1183/13993003.00376-2018
http://erj.ersjournals.com/content/51/6/1800376

10の観察研究、5つの研究中4つで、immortal time biasの影響を受けての制酸治療による死亡率へのベネフィット効果報告(pooled hazard ratio 0.46; 95% CI 0.30–0.69)、5番目ではバイアス関連不明
immortal time bias回避5研究では、制酸剤の死亡率への影響認めず (pooled hazard ratio 0.99; 95% CI 0.81–1.22)






Immortal time bias: 追跡中あるいは観察期間中において死亡が起きえない期間で、特にコホート研究において、登録時から薬物暴露開始までの期間には研究対象は必ず生存しており、疫学上の「Immortal time」期間となる。「Immortal time」を含めて解析すると、介入群の方が生存期間を長くカウントするバイアスを指摘。
COPDの吸入ステロイドに関するトライアルでintention-to-treat approachとaccording-to-treatment approachで前者0.75有意差有り、後者 0.94有意差無しとなる解離認め、暴露定義と暴露開始時期の定義再考必要となった。1−3回まで処方される期間は患者が生存してなければ処方されず、3回目の処方を暴露開始とカウントするなど考慮が必要とされた
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/135/6/135_15-00006/_pdf




介入による効果がでないはずの時期に、介入機会を失うことが、効果判定にバイアスになる。故に、介入一定期間後での差で検定を・・・ということか?

2018年6月21日木曜日

メタボリックシンドローム;レジスタンス運動の心血管疾患リスク減少効果の検証不十分

メタボリックシンドローム(MetS)成人での好気的運動・レジスタンス運動、その組み合わせの効果

MetSのリスク管理、予防に関し、運動・身体活動がまずは求められている。好気的運動は間違いなく効果があるだろうが、レジスタンス運動は付加的に推奨されているだけで、またそのベネフィットは、実地検証文献レベルでは示されていない。


メタボリックシンドローム成人への運動効果としてのシステマティック・レビュー・メタアナリシス


Aerobic, resistance or combined training: A systematic review and meta-analysis of exercise to reduce cardiovascular risk in adults with metabolic syndrome
Atherosclerosis July 2018 Volume 274, Pages 162–171
https://www.atherosclerosis-journal.com/article/S0021-9150(18)30229-6/

16の介入、11研究(好気的運動 12、 レジスタンス運動 4)

好気的運動では、ウェスト径(-3.4 cm )、空腹時血糖(-0.15 mmol/L)、HDL (0.05 mmol/L)、トリグリセライド(TG) (-0.29 mmol/L)、拡張期血圧(-1.6 mmHg)、心血管フィットネス( 4.2 ml/kg/min.) において効果認める(P< 0.01、0.03、0.02、< 0.01、< 0.01)

レジスタンス運動ご有意な効果を認めず

サブ解析にて、好気的運動強度高まるほど、そして12週間以上週3日の施行で改善程度大きくなり改善指標増加する






左下段ののみ逆になってるので注意:右の方が運動効果有り
他は全て左の方が運動効果有り
A、B、Cの二分割では上が好気的運動、下がレジスタンス運動

左:上段からFig.2A ウェスト径、 Fig.2B 空腹時血糖、 Fig.2C HDL-C
右:同様、Fig.3A TG値、Fig.3B 収縮期血圧、 Fig.3C 拡張期血圧





2018年6月20日水曜日

ストレス関連障害は自己免疫疾患発生率増加と関連

序文、“人生のある時点において、外傷や重大な生活上のストレッサー、例えば愛する人を失ったとか様々な病気や暴力に遭うとか、多くはそんな不幸に対して次第に回復するが、重篤な精神疾患を進展する場合もあり、PTSDや急性ストレス反応などを生じる。こういったストレス関連疾患が生理学的変化をもたらし、HPA系(視床下部・下垂体・副腎システム)や自律神経系の異常を生じることもある。さらにはmultiple bodily system、例えば免疫機能などで、疾患感受性を増大する可能性がある”とはじまる





Question  外傷や他の生活ストレッサーによる精神反応が自己免疫疾患のその後のリスクとなり得るか?
Findings  Swedish register-based retrospective cohort study、ストレス関連疾患 106,464名をマッチ化非暴露対照 126,652名で、ストレス関連疾患臨床診断暴露にて有意に自己免疫疾患のリスク増加を示した(発生率 1000人年あたり 9.1 vs 対照 6.0 、兄弟 6.5)

Association of Stress-Related Disorders With Subsequent Autoimmune Disease
JAMA. 2018;319(23):2388-2400. doi:10.1001/jama.2018.7028

ストレス関連疾患診断年齢中央値 41歳 (IQR, 33-50歳)、暴露群男性比率40%

フォローアップ平均10年間、自己免疫性疾患発生率:千人年あたり 暴露群 9.1、マッチ化対照 6.0、兄弟コホート 6.5  (住民と兄弟ベース各々参照群比較絶対的発生率差 3.12 [95% CI, 2.99-3.25] 、2.49 [95% CI, 2.23-2.76] per 1000 人年)

非暴露群に比べ、ストレス関連疾患では自己免疫疾患リスク増加 (HR, 1.36 [95% CI, 1.33-1.40])

PTSD患者でのハザード比は、いずれかの自己免疫疾患、3以上の多系統自己免疫疾患で各々 1.46 (95% CI, 1.32-1.61) 、 2.29 (95% CI, 1.72-3.04)

これらの相関は、兄弟ベース参照群比較でも一致

相対リスク増加は、若年者でより明らか   (33歳以下 HR, 1.48 [95% CI, 1.42-1.55]; 34−41歳 1.41 [95% CI, 1.33-1.48]; 42-50歳 1.31 [95% CI, 1.24-1.37]; 51歳以上  1.23 [95% CI, 1.17-1.30] for age at ≤33, 34-41, 42-50,  ≥51 years; P for interaction < .001)

PTSD初年期間中SSRI持続使用は自己免疫疾患の相対リスクを軽減 ( 179日間以下 HR, 3.64 [95% CI, 2.00-6.62];180-319日間 2.65 [95% CI, 1.57-4.45]; 320日以上 1.82 [95% CI, 1.09-3.02] ; P for trend = .03)





Diseases of the endocrine system
Addison disease
Autoimmune thyroid disease Diabetes
All (population-based analysis) All (between-siblings analysis)

Inflammatory arthritis
Reiter syndrome
Ankylosing spondylitis Rheumatoid arthritis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Vasculitis
Henoch-Schonlein purpura
Giant cell arteritis Granulomatosis with polyangiitis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Connective tissue disorders
Sjögren syndrome
Systemic lupus erythematosus Polymyositis
Systematic sclerosis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Diseases of the skin system
Vitiligo
Psoriasis
Dermatitis herpetiformis Alopecia areata
Bullous pemphigoid
All (population-based analysis) All (between-siblings analysis)

Hematological diseases
Pernicious anemia
Idiopathic thrombocytopenic purpura
Autoimmune hemolytic anemia
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Diseases of the nervous system
Guillain-Barré syndrome
Myasthenia gravis
Acute disseminated encephalomyelitis
Multiple sclerosis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)

Diseases of the digestive system
Crohn disease
Celiac disease
Ulcerative colitis
Primary biliary cirrhosis
All (population-based analysis) All (between-siblings analysis)


Other diseases
IgA nephropathy
Sarcoidosis
All (population-based analysis)
All (between-siblings analysis)


テレビやラジオ・新聞・週刊誌などで「ストレスが自己免疫疾患を生じさせる」などとストレス(ストレッサー)を疾患に直結して表現と遭遇する度、気になるのは私だけだろうか?

“ストレッサーへの不適応に基づく重度精神疾患”は、自己免疫疾患の発症蓋然性を高める可能性を示唆した論文であり、人生でぶち当たるストレッサーがあまねく蓋然性を高めるわけではない。
ストレス対応に対する心理療法など非薬物治療を軽視され続けている日本の精神医療のせいかわからないが、メディアなどに流布される、ストレス(ストレッサー)=>即、精神的不調というわけではないわけで・・・




2018年6月19日火曜日

COPDリハビリテーション:付加的吸気筋トレーニング効果

付加的(adjunctive)吸気筋トレーニング(IMT)によりCOPD患者の呼吸リハビリテーションのベネフィット促進効果あるか ?


吸気筋トレーニングはリソースも限られ時間的制限もあり、プログラムとして採用されているのは過半行かない状況。IMT単独では吸気筋機能(筋力と持続能力)、呼吸困難症状改善効果、運動耐容能改善効果が示されている(
general exercise training(GET)との組み合わせへの付加的効果に関しては支持データ不十分と言うことでこの研究ということらしい


プライマリアウトカムの6分間歩行距離では効果認めなかったが、
サイクリング運動の運動耐容能改善、呼吸困難度の改善がみられた


どう解釈するか・・・

Randomised controlled trial of adjunctive inspiratory muscle training for patients with COPD

Charususin N, et al. Thorax 2018;0:1–9. doi:10.1136/thoraxjnl-2017-211417
http://thorax.bmj.com/content/early/2018/06/18/thoraxjnl-2017-211417


FEV1 予測比 42%±16%、吸気筋力低下 PImax 51±15 cm水柱


  • 介入群 (IMT+PR; n=110)
  • 対照群 (Sham-IMT+PR; n=109)

2重盲検、多施設ランダム化対照トライアル (ClinicalTrials.gov NCT01397396)

事前定義プライマリアウトカム:6分間歩行距離(6MWD)
事前定義セカンダリ呼吸筋機能、サイクリング持続時間


6MWD改善:介入群 (n=89) 、対照群 (n=85) に差を認めず  (0.3 m, 95% CI −13 to 14, p=0.967)

介入群完遂評価患者では、対照群に比較して、呼吸筋力到達ゲイン大きく (effect size: 1.07, p<0 .001="" 0.79="" 149="" 1="" ci="" effect="" endurance="" isotime="" org="" p="" size:="" to="">
結論:付加的IMT導入後呼吸筋機能の改善は6分間歩行距離の付加的改善をもたらさなかった(プライマリアウトカム)
しかし、endurance timeの増加、呼吸困難指標の改善がサイクリングendurance中に見られた(セカンダリアウトカム)




糖尿病と心血管疾患リスク:各々別の炎症性特性を有する

“炎症”という一言で表現できないようで、

糖尿病と心血管疾患は重複するリスク要素を有することは、共有するmolecular driver、pathwayの存在、遺伝子subnetworkの存在から支持される。肥満を引き起こすインスリン抵抗性と心血管疾患の遺伝子発現変化のoverlapなど。さらには低程度慢性炎症とインスリン抵抗性、代謝障害が糖尿病と心血管疾患の共通土壌となっていることも明らか。ただ、pathogenesis上の特異的変化が想定される。

そういう視点で、発症に関係する炎症に特性の違いは無いかを探ると・・・



Comparing the inflammatory profiles for incidence of diabetes mellitus and cardiovascular diseases: a prospective study exploring the ‘common soil’ hypothesis
Cardiovascular Diabetology201817:87
https://doi.org/10.1186/s12933-018-0733-9©  The Author(s) 2018
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-018-0733-9



Malmö Diet and Cancer cohortをベースに、25,969名の被検者、糖尿病、心血管疾患既往なし
平均フォローアップ 17.4± 4.58年間、心血管疾患発症率を検討
7つの炎症性マーカーを検討し糖尿病発生率、心血管疾患発生率を4658名対象にLunn–McNeil competing risks approachで検討

通常リスク要素補正後、総、分画白血球数、orosomucoid、CRPは、糖尿病、心血管疾患リスクと相関

好中球/リンパ球比、セルロプラスミン、αアンチトリプシン、soluble urokinase plasminogen activator receptorはCVDリスク増加と関連するも、糖尿病リスク増加とは関連せず

ハプトグロビン、補体C3は、逆パターン(糖尿病と強く関連)

競合リスクモデル解析にて、リンパ球数、補体C4は心血管疾患リスクより糖尿病リスクと強く相関  (p for equal associations = 0.020 , 0.006)

好中球/リンパ球比が逆関係となっている (p for equal associations = 0.025)


感度分析にて結果一致性あり


“世の中に免疫が強いとか弱いとか言う人多すぎ” これだけ複雑な仕組みが判明下のだから、強い弱いで表現できるはずもなく・・・

手っ取り早い解釈をしたいが為に間違った常識を積み上げてるんじゃ無いかと思う事象が世の中に多い。

入院必要COPD患者のQTc延長の臨床的重要性?

タイトル魅力あり、全文フリーなので、ラッキーと一瞬思ったが

COPDの有無に関係ない話でした



Significance of prolonged QTc in acute exacerbations of COPD requiring hospitalization
International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease 
Published 14 June 2018 Volume 2018:13 Pages 1937—1947
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S157630
https://www.dovepress.com/significance-of-prolonged-qtc-in-acute-exacerbations-of-copd-requiring-peer-reviewed-article-COPD

横断研究、後顧的解析から前向き検討

後顧的に、低カリウム血症、心Troponin T、心電図伝導障害は有意に独立してQTc延長と相関
QTc延長は全死亡率と相関 (HR 2.698 (95% CI 1.032–7.055), p=0.043)するも、年齢、FEV1、心Tropoin T補正後有意性を失う

前向き検討にうつり、AECOPDもしくは肺癌、肺感染症、他の肺疾患診断の1/3にQTc延長見られるも、特に AECOPDで多い訳ではなかった

QTc持続時間は入院中にCOPDの有無にかかわらず減少する

2018年6月18日月曜日

システマティック・レビュー : 潜在性結核感染:リファペンチン+イソニアジドレジメン 

潜在性結核感染に対する 3 ヵ月のリファペンチン+イソニアジド投与
Trials Consortium PREVENT TB Study Team
3 ヵ月のリファペンチン+イソニアジド投与は,結核予防については 9 ヵ月のイソニアジド単独投与と同程度に有効であり,治療完遂率はより高かった.長期間の安全性モニタリングが重要となる.
N Engl J Med 2011; 365:2155-2166




http://www.jata.or.jp/terminology/k_11_2.html
間欠療法
[intermittent treatment]
間欠療法は毎日薬剤を服用する代わりに、週2回、または週3回服用する方法を指している。間欠療法が可能な理由は、結核菌は一定濃度以上の抗結核薬に一定期間以上暴露されると、一定期間再増殖出来ないためである。現在、維持期間のみ間欠に投与する方法と最初から間欠で投与する方法がある。リファンピシンよりも半減期の長いリファペンチンを用いた維持期週1回療法も軽症の結核には使用されている。

※この用語解説は結核研究所ホームページ委員会が編集したものであり、日本結核病学会用語委員会により作成されたものではありません。



Isoniazid-Rifapentine for Latent Tuberculosis Infection: A Systematic Review and Meta-analysis
AJPM https://www.ajpmonline.org/article/S0749-3797(18)31737-9/
DOI: https://doi.org/10.1016/j.amepre.2018.04.030



Evidence synthesis
15の単独研究検討、3ヶ月リファペンチン+イソニアジド治療は他の潜在性結核感染レジメンと同等の有効性 (OR=0.89, 95% CI=0.46, 1.70)、治療完遂率高く(87.5%, 95% CI=83.2%, 91.3%)、他のレジメン:  65.9%, 95% CI=53.5%, 77.3%)
3ヶ月リファペンチン+イソニアジド治療は副作用イベントに関して同等リスク (r相対リスク=0.59, 95% CI=0.23, 1.52);副作用イベント中止率 (相対リスク=0.48, 95% CI=0.17, 1.34)、死亡(相対リスク=0.79, 95% CI=0.56, 1.11).


結論
3ヶ月リファペンチン・イソニアジドレジメンは、他潜在性結核感染治療レジメンに比較し安全で有効 で、治療完遂高率高い






上記薬剤リファペンチンは日本でまだ承認されてないようだが・・・

( 6 )治療完了の見込み
LTBIは自覚症状,身体所見がないために患者は一般に病識をもちにくく,治療の脱落・中断が起こりがちである。明らかに中断となる可能性が高い者(例えば,海外の渡航先でLTBI治療プログラムがないなど)に対して治療を強行して発症した場合には耐性を獲得する懸念もあることから,慎重な対応が必要である。このような中断リスクの高い患者に対しては,近年報告されたINH+リファペンチンを週 1 回 3 カ月=合計12回の投与をDOT(服薬支援者の目前で服薬)で治療する方法は有用と考えられる。今後わが国でもリファペンチンの承認も含めて検討の必要がある。
https://www.kekkaku.gr.jp/pub/Vol.88(2013)/Vol88_No5/Vol88No5P497-512.pdf

・・・このように書かれてるのに、認可されてない。システマティック・レビューが認可後押しになるか?





最近と言っても4年前認可の薬剤
「デルティバ®」 日本初の多剤耐性肺結核の適応で承認取得
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00063088.pdf


デルティバ錠50mg 薬価 6119.10  1回100mgを1日2回、 2万4千円超

・・・ちょっと高額すぎないか?

2018年6月15日金曜日

【論文撤回後改訂報告】PREDIMED研究:オリーブオイル/ナッツを含むメディタレニアン食の一次予防効果




ACCがコメント出しているし、NEJMなので日本語訳も出てるのであえて訳す必要も無いのだろうが・・・

http://www.acc.org/latest-in-cardiology/articles/2018/06/13/16/05/mediterranean-diet-supplemented-with-extra-virgin-olive-oil-or-nuts-shows-lower-cv-risk



二次予防だけでなく、一予防にメディタレニアン食有効ということ 高リスク群対照なので、万人で認められたわけではなさそうだが・・・

問題はこの論文のretraction騒動!
https://www.npr.org/sections/health-shots/2018/06/13/619619302/errors-trigger-retraction-of-study-on-mediterranean-diets-heart-benefits



"Carlisle method"による8つのジャーナル、数千もの臨床トライアルを検討し、2%に問題を発見
https://retractionwatch.com/2017/06/05/two-100-clinical-trials-eight-major-journals-likely-contain-inaccurate-data-study/





NEJM誌は、2013年の研究を置き換え、他の5つのトピックスを補完し、Carlisleの正当性を認めたことになる ・・・ 医学上重要な事件?


→日本語訳で詳しいことを知りたい場合は
https://gigazine.net/news/20180621-mediterranean-diet-study-retraction/





Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts
the PREDIMED Study Investigators
N. Engl. J. Med. June 13, 2018
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1800389

スペインの多施設トライアル
7447名、50−80歳、女性比率 57%、心血管リスク高いが心血管疾患合併無し
プライマリエンドポイント:重大心血管イベント(心筋梗塞、卒中、心血管疾患死亡)
フォローアップ期間中央値 4.8年間


プライマリエンドポイント:288名
  • extra-virgin olive oilを含むメディタレニアン食割り付け群:96 , 3.8%
  • ナッツを含むメディタレニアン食割り付け群: 83 , 3.4%
  • 対照群:109 , 4.4%

 ITT解析(ベースライン特性、propensity score補正)対照群比較ハザード比
  • extra-virgin olive oilを含むメディタレニアン食割り付け群: 0.69 (95% 信頼区間 0.53 - 0.91)
  • ナッツを含むメディタレニアン食割り付け群: 0.72 (95% 信頼区間 0.54 - 0.95)

研究群既知あるいはプロトコール離脱疑われる1588名省いても同様




エンドポイント累積頻度Kaplan-Meier推定曲線





Table 1. Summary of Dietary Recommendations to Participants in the Mediterranean-Diet Groups and the Control-Diet Group.


食品 目標
Mediterranean diet
推奨  
オリーブオイル ≧4 tbsp/day
Tree nuts and peanuts ≧3 servings/wk
Fresh fruits ≧3 servings/wk
Vegetables ≧3 servings/wk
Fish (especially fatty fish), seafood ≧3 servings/wk
Legumes ≧3 servings/wk
Sofrito ≧3 servings/wk
White meat Instead of red meat
Wine with meals (optionally, only for habitual drinkers) ≧3 servings/wk
   
Discouraged  
Soda drinks <1 drink/day
Commercial bakery goods, sweets, and pastries  <2 servings/wk
Spread fats <1 servings/wk
Red and processed meats <1 servings/wk


Low-fat diet (control)
Recommended  
Low-fat dairy products ≧3 servings/day
Bread, potatoes, pasta, rice ≧3 servings/day
Fresh fruits ≧3 servings/day
Vegetables ≧2 servings/day
Lean fish and seafood ≧3 servings/day
   
Discouraged  
Vegetable oils (including olive oil) ≦2 tbsp/day
Commercial bakery goods, sweets, and pastries.% ≦1 serving/wk
Nuts and fried snacks ≦1 serving/wk
Red and processed fatty meats ≦1 serving/wk
Visible fat in meats and soupsD Always remove
Fatty fish, seafood canned in o I ≦1 serving/wk
Spread fats ≦1 serving/wk
Sofritot ≦2 serving/wk



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