2019年7月30日火曜日

大迫研究:家庭内血圧・脈拍および変動値 年齢、性別での検証

家庭血圧での測定値は安定した状態故より正確な予後因子となり得るだろう
家庭内での血圧および脈拍の変動性も評価し、年齢、性別などの特性を検証した報告

Ohasama(大迫)研究
http://www.t-mbp.com/research/Ohasama.html


家庭血圧、家庭脈拍数、および日々の変動性における年齢に関連した傾向を変動係数として評価し、前向きに評価した研究

調査結果は、年齢とともに家庭測定収縮期血圧が直線的に増加することが明らかに




70歳未満の男性vs女性では男性がより高い家庭測定収縮期血圧

家庭測定拡張期血圧の逆U字型の加齢に伴う傾向も明らか

40歳以上の参加者では、年齢とともに家庭での日々の収縮期血圧が直線的に増加。しかし、最低年齢が65-69歳の時点で、日々の拡張期血圧変動におけるU字型の年齢関連傾向が確認された
日々の血圧変動は性別によって有意差はなかった



加齢と共に、家庭の脈拍数の平均および日々の変動性に減少が見られたが、これらは男性vs女性比較では、男性で 脈拍が低く、脈拍変動数で高かった




Age‐Related Trends in Home Blood Pressure, Home Pulse Rate, and Day‐to‐Day Blood Pressure and Pulse Rate Variability Based on Longitudinal Cohort Data: The Ohasama Study
Michihiro Satoh , et al.
https://doi.org/10.1161/JAHA.119.012121
Journal of the American Heart Association. 2019;8
https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/JAHA.119.012121



やはり性差は加齢と共に減少するようだが、脈拍数は差を保ったままのようである。

家庭内血圧の目標値に変化をもたらすかもしれない

メジャーリーガーは長生き? 死亡率研究

プロのアスリートの健康に関する長期的影響への関心:メジャーリーガーたちの全死亡率を米国男性と比較した研究

一般的には全死亡率は一般集団に比べて低い

フィットネスの関係もあり、キャリアが長い選手は死亡率が低い
だが、いくつかの癌で死亡率が高く、フィールド内での日光暴露、化学物質など関連の可能性あり
体型による影響も他競技、ミッドフィルダー・アメフト選手は痩せているなどあり関与もあるのかもしれない


All-Cause and Cause-Specific Mortality Among Major League Baseball Players
Vy T. Nguyen, et al.
JAMA Intern Med. Published online July 22, 2019. doi:10.1001/jamainternmed.2019.1218
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2738781





2019年7月29日月曜日

植物ベース食は2型糖尿病発症抑制的

植物ベースの食事を厳守するというカテゴリーの参加者は、1日当たり約1.7〜3.9サービング/日程度の乳製品、卵、魚、または肉を摂取するsemi-vegetarianを主とした植物ベースの食事パターンの中年被験者

この被検者たちは、肉や魚、卵、乳製品をより多く摂取する被験者より2型糖尿病発症しがたいという報告



Association Between Plant-Based Dietary Patterns and Risk of Type 2 Diabetes
A Systematic Review and Meta-analysis
Frank Qian, et al.
JAMA Intern Med. Published online July 22, 2019. doi:10.1001/jamainternmed.2019.2195
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2738784

植物ベースの食事パターンの2型糖尿病一次予防上の役割を quantitatively synthesizing available prospective observational evidenceにて検証

植物ベースの食事パターンのアドヒアランス高いほど2型糖尿病リスク低下と相関し、この関連は健康的な植物ベース食であるほど強固となる
この知見は沢山の事前設定サブグループや感度分析でも一致

研究方法:PubMed・MEDLINE・Embase,・Web of Scienceと明確な研究関連リストを検証
登録研究は成人2型糖尿病発生と植物ベースの食事パターンの関連を含む

Meta-analysis of Observational Studies in Epidemiology guidelineを使用し、データ抽出、報告法を用い、National Heart, Lung, and Blood Institute evaluation tool で研究の質を評価
Full-text evaluationとデータ要約は2名の著者等が独立して行った
包括的相対リスク(RR)と95%CIをrandom-effects methodを用いメタアナリシス
主要アウトカムと測定項目は植物ベースの食事パターンのアドヒアランスと2型糖尿病発生率

結果
9研究 307,099被験者、 23,544名の2型糖尿病発生症例
植物ベースの食事パターンのアドヒアランス高度と2型糖尿病リスクの逆相関有意  (RR: 0.77; 95% CI: 0.71-0.84) vs poorer adherence, with modest heterogeneity across studies (I2 = 44.5%; P = 0.07 for heterogeneity)
fixed-effects modelでも同様の結果  (RR: 0.80; 95% CI: 0.75-0.84)
健康的な植物ベースの食事パターン、例えばフルーツ、全粒、豆果、ナッツではさらにこの相関性高くなった (RR: 0.70; 95% CI: 0.62-0.79)

食事の評価、病気の結果、交絡因子の統計的調整に関しては、ほとんどの研究が質の高い
制限3次スプライン回帰(restricted cubic spline regression)だと 植物ベースの食事パターン指数と2型糖尿病リスクは負の量依存的線形関係であった。



ST上昇型心筋梗塞と好酸球減少

ST上昇型急性心筋梗塞における好酸球の分布変化は梗塞巣修復での役割以外、動脈内の血栓や炎症部位としての凝集など関連性が示唆され 一過性好酸球減少は心筋梗塞後の予後などのマーカーとなり得る


Eosinopenia as an Adverse Marker of Clinical Outcomes in Patients Presenting with Acute Myocardial Infarction
Mohammad Alkhalil,  et al.
DOI: https://doi.org/10.1016/j.amjmed.2019.05.021
https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(19)30457-7/

序文
好酸球減少はいくつかの疾患状況において炎症のsurrogateと考えられている。ST上昇心筋梗塞、フォローにて好酸球減少が梗塞重症度マーカーと見なされている。
好酸球減少と梗塞巣重症度の相関性検討し、この相関性がST上昇型心筋梗塞後の長期的アウトカムを決定づけるか検討

研究方法
大規模単一センターPCI施行606名連続患者登録
光線級減少定義:再還流後2時間内のサンプルからの≪ 40 cells/mL
プライマリエンドポイント:脂肪・心筋梗塞・卒中・計画にない血管再建・心不全入院(3.5年間フォローアップ )

結果
65%で好酸球減少。
好酸球減少群は梗塞サイズ大きく(トロポニン値測定 2934 vs 1177 ng/L, P ≪ 0.001) 、左室収縮機能低下(心エコー測定 48% vs 50%, P = 0.029))
好酸球数は、トロポニン値と駆出率とも弱い相関 (r = -0.25, P ≪ 0.001 r = 0.10, P = .017).
プライマリエンドポイントは好酸球減少患者で高率  (28.8% vs. 20.4%; ハザード比 [HR] 1.49, 95% 信頼区間 [CI] 1.05 to 2.13, P = .023).


好酸球減少と左室収縮期重度機能障害の非一致が 症例の 55.6%に見られた

正常値と比較し、好酸球減少は非重症左室収縮期機能障害患者において臨床的アウトカム悪化と相関  (24.1% vs 16.2%; HR 1.58, 95% CI 1.01 to 2.45, P = .044)するも重症左室機能障害患者では見られず  (42.3% vs. 38.9%; HR 1.10, 95% CI 0.59 to 2.03, P = .77) (P ≪ .01 for interaction).



結論
好酸球減少は長期フォローアップ中臨床的アウトカム悪化の容易に施行できるマーカー



序文Google翻訳

ST上昇型MIの病態生理学は、単に脂質蓄積に関連するものではありません。炎症はアテローム性動脈硬化症プロセスの重要な要素であることが認められています。
 インターロイキン(IL-6)や腫瘍壊死因子(TNF-α)などの炎症誘発性サイトカインと将来の心血管イベントとの間の強い関連性は、炎症シグナル伝達経路に取り組むことによってこれらのイベントを減らすことへの関心を呼び起こしました。
このようなアプローチは、急性心筋梗塞後の炎症カスケードの「上流」経路を標的とすることにより、臨床的利益の増加を実証することにおいて最近有望であることを示している。
CANTOS(Canakinumab Anti-Inflammatory Thrombosis Outcome Study)試験では、IL-1βに対するヒトモノクローナル抗体は、プラセボと比較して心血管イベントの相対リスクを15%減少させました。 CANTOS試験は、炎症を標的とすることの実現可能性を実証しただけでなく、急性プラーク破裂の局所的環境を超えた急性MIにおける全身性炎症成分の関連性を強化した。  それゆえ、全身性炎症のマーカーを同定することは、ST上昇型MI後の複雑な炎症過程へのさらなる洞察を提供する見込みがある。 
好酸球減少症は、敗血症および閉塞性肺疾患において研究されてきた炎症の新たな代用品である。  急性の炎症反応の間に、走化性物質の産生が好酸球減少症の引き金となり、これは死亡率の増加と関連しています。 好酸球は、顆粒球性白血球で、ST上昇型心筋梗塞後の心筋の修復を調節する役割を果たしているため、炎症性先天性免疫細胞と見なすことができます。梗塞サイズの大きさとその影響は短期間の追跡調査の間に限定されると考えられている。  しかし重要なことに、梗塞サイズと低好酸球などの炎症マーカーとの関係は、以前には研究されていない。梗塞サイズと好酸球減少症との間に何らかの不一致があると、梗塞の重症度がMI後の炎症状態の唯一の要因ではないこと、および特定の個人がより炎症にかかりやすい可能性があることが示唆される。この関係がSTセグメント上昇MI後の長期転帰に何らかの影響を与えるかどうかは、まだ決定されていない。



IL-1βと好酸球の考察なかなか苦しい気がする


好酸球って なにものなのだろう

2019年7月26日金曜日

UK Biobank研究:大気汚染と肺機能、COPDの関連性

大気汚染とCOPDの関連性ってのは動脈硬化イベントとの関連より不明瞭


大気汚染により呼吸器死亡率リスク増大はあるが、肺機能および閉塞性肺疾患への影響エビデンスは確立していない。屋外大気汚染と肺機能・COPDへの影響は示唆されていてESCAPE projectでは住宅近くの道路のPM10やNO暴露と肺機能障害の関連性示唆
 ESCAPE: a multicentre cohort study and meta-analysis. European Respiratory Journal 2015: 45(1): 38-50.
メタアナリシス行われたが正の相関みられたが、大気汚染とCOPDでは有意相関示せていない。他の研究でも同様である。

 Air pollution exposure is associated with restrictive ventilatory patterns. European Respiratory Journal 2016: 48(4): 1221-1224.


この横断的研究の目的は、大気汚染が肺機能とCOPDに関連しているかどうかを英国の非常に大規模な研究を用いて調べること。第二に、大気汚染と肺機能およびCOPDとの間の関係の潜在的脆弱性因子検討


Air pollution, lung function and COPD: results from the population-based UK Biobank study
Dany Doiron, et al.
European Respiratory Journal 2019 54: 1802140;
DOI: 10.1183/13993003.02140-2018
https://erj.ersjournals.com/content/54/1/1802140

40〜69歳の303 887人の個人に関する完全な共変量データと有効な肺機能の測定値について、英国のバイオバンクのデータを使用。横断分析では、Land Use  Regression(LUR)モデルに基づく、粒子状物質推定値(50% cut-off aerodynamic diameter 2.5μm、10μm:PM2.5、PM10;2.5-10の粗い物質:PMcoarse)、二酸化窒素(NO2)、FEV1、FVC、FEV1/FVC、COPD(FEV1/FVC 正常下限)比
影響の修正は、性別、年齢、肥満、喫煙状態、世帯収入、喘息状態および以前COPDと関連していた職業について調査


各汚染物質の高暴露ほどより低い肺機能と有意に関連

PM2.5濃度の5 µg・m-3の増加は、より低いFEV1-83.13 mL、95%CI -92.50  -  -73.75 mL)およびFVC(-62.62 mL、95%CI -73.91--51.32 mL)と関連。

COPDの有病率は、高濃度のPM2.5(OR 1.52、95%CI 1.42〜1.62、5 µg・-3あたり)、PM10(OR 1.08、95%CI 1.00〜1.16、5 µg・-3ごと)およびNO 2
(OR 1.12、95%CI 1.10〜1.14、10 µg・-3あたり)と相関

ただしPMcoarseとは相関無し




男性、低所得世帯の個人、および「危険」な職業ではより強い肺機能関連が見られ、肥満、低所得および非喘息の参加者ではより高いCOPD関連が見られた。

この大規模研究では、周囲大気汚染は肺機能低下およびCOPD罹患率の増加と関連していた。



COPDと大気汚染に関する研究として、ESCAPE研究と今回のUK biobank studyなど存在する。NO2濃度はUK biobank studyの方が低いなど対象にばらつきがある

UK biomark研究ではPM2.5とNO2とFEV1とFVCの強い相関が男性で、女性ではPM2.5とCOPD有病率の相関性が見られ。性差で影響異なった。男性では職業的影響がより強くみられた可能性。女性の方が家庭内時間が多いためという考察。



discussionに書かれているが、喘息での影響も顕著
We also found that asthma status modified the associations between PM2.5 and NO2 and COPD prevalence, with significantly stronger associations in non-asthmatics. This may be related to treatment in asthmatics, modifying adverse impacts of air pollution or alternatively, avoidance in that asthmatics aware of impact of air pollution on symptoms may choose to live in less polluted areas.


2型糖尿病:炭水化物を多価不飽和脂肪酸に代替する介入は遺伝的発症リスクを軽減する

2型糖尿病は243のgenetic locusが関連、risk alleleとしてpolygenetic risk scoreとしてとして連続的尺度を提供 (e.g. https://diabetes.diabetesjournals.org/content/66/11/2888?ijkey=9639191ac8227d268f6f90a865ff4b8b2878a43d&keytype2=tf_ipsecsha)

食事要素でこの遺伝的要素で打ち消すことができるか?真に修正可能な疾患なのか?


食事性脂肪の質と2型糖尿病の発生率との関連性を調査し、既知の2型糖尿病risk増加alleleの存在で摂取脂肪の種類の影響を研究、脂肪のサブタイプと2が太郎尿病リスクの相関にalleleが影響を与えるかの研究


Quality of dietary fat and genetic risk of type 2 diabetes: individual participant data meta-analysis
BMJ 2019; 366
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l4292 (Published 25 July 2019)
Cite this as: BMJ 2019;366:l4292
https://www.bmj.com/content/366/bmj.l4292



15の前向きコホート研究からの102,305名のうち2型糖尿病症例 20,015名でメディアンフォローアップ12年間(IQR 9.4-14.2)
polygenic risk scoreのうち10 risk allele増加毎2型糖尿病ハザード比  1.64 (95% 信頼区間 1.54 to 1.75, I2=7.1%, τ2=0.003)




炭水化物代替としてPUFAと総ω6PUFA摂取増加は2型糖尿病リスク減少と関連し、ハザード比は 各々 0.90  (0.82 to 0.98, I2=18.0%, τ2=0.006; per 5% of energy) 、0.99 (0.97 to 1.00, I2=58.8%, τ2=0.001; per increment of 1 g/d)




対し、炭水化物代替MUFA増加は2型糖尿病リスク増加と相関  (ハザード比 1.10, 95% 信頼区間 l 1.01 to 1.19, I2=25.9%, τ2=0.006; per 5% of energy)



2型糖尿病リスクのPUFA全般相関に関しsmall study effectのエビデンス検知するも、ω6PUFA、MUFA脂肪酸摂取との相関では見られない

食事性脂肪とpolygeneic risk scoreの有意相関は2型糖尿病リスクにおいて認められなかった  (P>0.05 for interaction)




結論としては、遺伝的burdenは食事およびライフスタイル介入での2型糖尿病予防介入の有効性を妨げないように思える




small study effectがあるため断定的結果にはならなかった・・・




COPDと骨粗鬆症

COPD患者での骨粗鬆症の病態生理


 



Fragility fracture、特に椎体骨折(VCF:vertebral compression fracture)の問題は、kyphosis(後弯症)や腰背部痛と関連し、kyphosisは肺機能障害悪化を促進する。VCF 1個1回で肺活量が9%減少し、肺機能障害は、kyphotic angleが55°を超えると最も顕著。肋骨骨折を有する患者は、胸痛による低換気および排尿能力の低下のためにCOPDの悪化を発症する可能性がある。COPDの骨粗鬆症性骨折は患者の可動性をさらに低下させ、深部静脈血栓や肺塞栓リスクも増加。


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4358421/



上記を踏まえCOPD患者の骨粗鬆症有病率と寄与リスク要素

Prevalence and risk factors for osteoporosis in individuals with chronic obstructive pulmonary disease: a systematic review and meta-analysis
Yi-Wen Chen , et al.
DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.06.036
https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(19)31379-0/fulltext


背景
骨粗鬆症はCOPD患者で多い。アップデートされたエビデンスにはbest practice供給のためこのトピックに関わるシステミック・レビュー補完必要。システミック・レビューとメタアナリシス目的はCOPD患者内での骨粗鬆症頻度とリスク要素の観点研究からの定量的合成データ

方法
EMBASE, CINAHL MEDLINE, PubMedデータベースをキーワード “COPD”, “osteoporosis”, “prevalence”, “risk factor”を含む論文を検索
改修論文の該当スクリーニング、データ抽出、質評価は2名レビューアーが独立して施行
メタアナリシスはCOPD患者での骨粗鬆症有病率とリスク要素を決定
メタアナリシス解析をheterogeneity源検索施行

結果
58研究からのpool化全般的有病率 38%(95% CI=34.43)
COPDの存在により骨粗鬆症尤度増加 オッズ比 =2.83
COPD患者での骨粗鬆症に関して他の有意リスク要素としてはBMI< 18.5 kg/m2 (オッズ比 4.26)、sarcopenia (オッズ比 3.64)

結論
骨粗鬆症はCOPD患者で有病率高く、有病率は多くの国でも多く、同様
COPD患者では骨粗鬆法と寄与リスク要素スクリーニングすべき


2019年7月23日火曜日

特発性肺線維症:抗線維化薬剤 死亡率・入院減少効果

特発性肺線維症治療では重大アウトカムが最大の関心事だが、FVC低下などの間接指標ともいうべき指標で効果判定なされている

やっと抗線維化薬剤治療を正当化できる報告がでてきた・・・但しあくまでも後顧的検討だが・・・


Clinical Effectiveness of Antifibrotic Medications for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Timothy M. Dempsey, et al.
AJRCCM Vol. 200, No. 2 | Jul 15, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201902-0456OC     
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201902-0456OC

序文: 承認以降、リアルワールドあるいはランダム化トライアルエビデンスにおいて、抗線維化薬剤ピルフェニドンやニンテダニブの死亡率や入院など臨床的重大アウトカムへの効果評価はない
目的: 特発性肺線維症患者に於ける抗線維化薬剤ピルフェニドンやニンテダニブの臨床的有効性評価
方法:大規模米国保険データベースを用い、特発性肺線維症8098名同定(2014年10月1日から2018年3月1日)
1:1 propensity score-マッチ化コホートを抗線維化薬剤治療患者 (n=1255)と治療無し患者 (n=1,255)と比較
プライマリアウトカムは全死亡率
セカンダリアウトカムは急性入院
サブグループ解析を死亡率において薬剤の違い評価

測定・主要結果
抗線維化薬剤は全死亡率リスク減少と相関   (ハザード比 [HR], 0.77; 95% 信頼区間 [CI], 0.62–0.98; P value = 0.034).
しかし、この相関は治療開始2年間のみに限定
また、急性入院減少が治療コホートに存在(HR, 0.70; 95%CI, 0.61-0.80; p value < 0.001)


ピルフェニドンとニンテダニブ間の全死亡率有意差無し (HR, 1.14; 95% CI, 0.79-1.65; p=0.471)



結論
特発性肺線維症患者間において、抗線維化薬剤は全死亡率および入院リスクを無治療に比べ減少治療による早期減少効果あるも長期効果、死亡率減少は認めないなどの仮説検証がさらに必要


2019年7月19日金曜日

気管支拡張症:マクロライド持続 vs ステロイド吸入

日本ではびまん性汎細気管支炎治療から拡大し気道感染繰り替える気管支拡張症でもマクロライド少量長期治療なされることがあり、慢性好中球性気管支炎としてクラリスロマイシン、びまん性汎細気管支炎としてエリスロマイシンが健保適応となっている。
ヨーロッパのガイドラインではクラリスロマイシンはほとんど顧みられず、アジスロマイシンのようで、日本外の治療とのすりあわせ十分できてないと思う。
さらには、抗生剤吸入はのう胞性線維症外では現時点で保険適応外で治療できない状態である。

NTM治療同様、行政や専門家の不作為問題がある分野

気管支拡張症への抗炎症治療オプションとしてのマクロライド vs ICS比較

序文一部
気管支拡張症患者における経口ステロイド薬またはICSのリスクまたは潜在的な利益を具体的に評価している長期研究はない。 ICSはまた、COPD患者における非結核性抗酸菌(NTM)感染のリスク増加と関連している。コルチコステロイドは、気管支拡張症の悪化を治療するために短期間処方されることが多いが、炎症および気管支拡張症の進行を遅らせるために慢性的に処方されることも多い。この患者集団でのICSの一般的な使用にもかかわらず、公表されている気管支拡張症治療ガイドラインでは、付随する喘息またはCOPDを治療するために示されている場合を除き、証拠の欠如により気管支拡張症患者におけるICSの使用を推奨していない。対照的に、抗生物質の長期使用が気管支拡張症患者に有益であるといういくつかの限られた証拠がある。結果を改善するための1つのメカニズムは、細菌量の減少とそれに伴う炎症である。さらに、マクロライド(エリスロマイシンおよびアジスロマイシン)は、気管支拡張症患者に関連する気道炎症を軽減する可能性がある免疫調節作用も示す経口抗生物質である。

プライマリエンドポイントを急性増悪とした3つの小規模ランダムトライアルで6−12ヶ月研究機関でマクロライド治療群が呼吸器系急性増悪を減少したという報告
 16. Altenburg J, de Graaff CS, Stienstra Y, et al. Effect of azithromycin maintenance treatment on infectious exacerbations among patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis: the BAT randomized controlled trial. JAMA : the journal of the American Medical Association 2013;309:1251-9.
17. Serisier DJ, Martin ML, McGuckin MA, et al. Effect of long-term, low-dose erythromycin on pulmonary exacerbations among patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis: the BLESS randomized controlled trial. JAMA : the journal of the American Medical Association 2013;309:1260-7.
18. Wong C, Jayaram L, Karalus N, et al. Azithromycin for prevention of exacerbations in non-cystic fibrosis bronchiectasis (EMBRACE): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2012;380:660-7.

最近の気管支拡張治療ガイドラインは急性増悪多経験患者ではマクロライド推奨しており、ヨーロッパのガイドラインでは緑膿菌感染症例で抗生剤吸入禁忌、非耐用、急性増悪失敗ではマクロライド治療推奨となっている
10. Martinez-Garcia MA, Maiz L, Olveira C, et al. Spanish Guidelines on Treatment of Bronchiectasis in Adults. Arch Bronconeumol 2018;54:88-98.
11. Polverino E, Goeminne PC, McDonnell MJ, et al. European Respiratory Society guidelines for the management of adult bronchiectasis. The European respiratory journal 2017;50.
気管支拡張症患者における2つの抗炎症療法としてICSとマクロライド単独療法の転帰比較




Comparative risks of chronic inhaled corticosteroids and macrolides for bronchiectasis
Emily Henkle,  et al.
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.01896-2018
https://erj.ersjournals.com/content/early/2019/03/15/13993003.01896-2018.abstract


序文 のう胞性線維症でない気管支拡張症(“気管支拡張症")は慢性気道疾患で治療意志決定上のデータ不足している。ICS慢性使用者 vs マクロライド単独治療を呼吸器感染リスクを比較 
研究方法 2006-2014年気管支拡張診断(494.0/494.1) (のう胞性線維症除外)米国メディケア登録者 
 Standardised mean difference (SMD)(標準化平均差): 2つの推定平均値の差を標準偏差の推定値で割ったものと治療差を斟酌した computed a propensity score (PS) 比較
急性増悪リスク、入院気道感染、全原因入院、死亡率をPS decile-補正Cox回帰モデルで比較 
結果 ICS使用者  83 589 、マクロライド  6500 ( メディケア登録気管支拡張 285 043 )
粗発生率:入院呼吸器感染 12.6 (ICS) と 10.3 (macrolide) / 100 人年
PS-補正ハザード ICS vs macrolide新規使用比較では、入院呼吸器感染 1.39 (95% CI 1.23–1.57)  、急性増悪 1.56 (1.49–1.64)、 死亡率  1.09 (0.95–1.25) 
結論 気管支拡張患者においてICS使用はマクロライド単独治療に比べ入院呼吸器感染を増加させる





Treatment to prevent exacerbations in bronchiectasis: macrolides as first line?
Irena F. Laska, James D. Chalmers
https://erj.ersjournals.com/content/54/1/1901213
European Respiratory Journal 2019 54: 1901213;
DOI: 10.1183/13993003.01213-2019

気管支拡張症の悪化は、咳、痰の産生、倦怠感、疲労感、息切れなど、毎日の呼吸器症状の増加によって定義されます[1-3]。症状は数日にわたって蓄積し、解決するまでに数週間かかることがあります。多くの患者は治療後に完全にベースラインに戻ることはありません[4]。頻繁に増悪する患者さんは、生活の質が悪くなり、死亡率が著しく増加します[5–7]。予防するための治療を開始しない限り、患者は長期にわたって頻繁に増悪を続ける傾向があります[5]。ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)やイギリス胸部学会から最近発行されたものなどの気管支拡張症ガイドラインは、患者の症状や生活の質の改善と共に、おそらくは治療の重要な目的として増悪予防を正しく優先させます[8-10]。



2017年に発表されたERSガイドラインは、気道クリアランスと肺リハビリテーション、粘液クリアランスが困難な患者における粘液活性療法と長期の抗生物質療法の推奨を含む、増悪予防のためのいくつかの推奨を行った[8-11、12]。長期の抗生物質療法では、緑膿菌感染症のない患者にはマクロライド剤が推奨され、緑膿菌感染症の患者には吸入抗生物質が推奨されました[8]。息切れのある患者には吸入気管支拡張薬が推奨されたが、喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)が併存する患者を除いて、吸入コルチコステロイド(ICS)は推奨されなかった[8]。

これらの治療法のほとんどについて無作為化比較試験が行われていないため、これらの推奨薬はすべて条件付き(「推奨」ではなく「推奨」)でした。 これらの勧告および証拠の欠如にもかかわらず、ICSは依然として気管支拡張症患者に対して最も広く使用されている薬物療法である。 米国のレジストリでは、患者の39%、ヨーロッパのコホートでは、55%の患者がICSユーザーであると報告されています[13–15]。 これは、他の気道疾患との重なり合いの認識、長期的な抗生物質による悪影響の可能性および耐性の発生の可能性に関する懸念、ならびにそれらの入手可能性によるものと考えられます。



それでは、どのようにして気管支拡張症の増悪予防のために導入すべき最良の維持療法であるかをどのように知るのでしょうか。

無作為化臨床試験がない場合、観察データは、比較有効性および安全性に関する重要な情報を提供するだけでなく、将来の試験で探索および調査することができる仮説を生み出すことができます。その点で、Henkle等による貢献。今回のEuropean Respiratory Journalの[21]では、気管支拡張症患者に対する第一選択療法の理解に一歩近づいた。彼らは、メディケアデータベースで気管支拡張症と診断された618人の303人の患者を調査しました。そして、それは65歳以上の成人に保険を提供します。彼らはICSとマクロライドの相対的な利益と安全性を比較しようとしました。したがって、長期予防療法の最初の処方の後に患者のサブセットが同定され追跡された。 2006年から2014年の間に、83 589人の患者がICSを受け、6500人の患者がマクロライドを受けた。 [21]これらのデータを使用して、将来の悪化および入院のリスクを評価した。医師の決定はランダムではないので、ICSまたはマクロライドを支持するという医師の決定の根底にある重要な交絡因子がしばしばあります。著者らは、観察可能な患者の特徴と危険因子にマッチした2つのコホートを作成するために、医師がどちらか一方を処方する可能性を調整した傾向スコアを使用することによって可能な限りこれを説明した。結果は、増悪の減少および重度の増悪の予防に関して、ICSを超えるマクロライド治療の著しい利点を示している。 ICSを服用している患者は、呼吸器感染症のため入院している可能性が39%高く、調整モデルで56%が急性増悪していた可能性が高かった。興味深いことに、増悪と死亡率との間に確立された関連性が与えられていることから[21]、予測に反して死亡率に差はなかった(調整ハザード比1.09)。この種の研究の限界は認められなければならない。測定されていない交絡因子が観察された影響の一部を説明する可能性が常にあり、ベースラインでの群間で差があり、マクロライド群では呼吸器診察の頻度が高いなど。メディケアデータベースは65歳以上の個人に限定され、この研究の結果はあらゆる年齢の患者に影響を及ぼしうる疾患であるため、全気管支拡張症集団に一般化することはできません[22]。


著者らは、ICSが気管支拡張症における転帰不良のリスクを増大させることを示していると彼らの結果を解釈したが、この研究は直接2つの治療法を比較し、マクロライド系が優れていることを見出した。これは、ICSの有害な効果、マクロライドの非常に有益な効果、またはその両方の組み合わせによるものであった可能性がありますが、この研究デザインでは確固たる結論は得られませんでした。それにもかかわらず、結果はもっともらしく、気管支拡張症および他の呼吸器疾患におけるマクロライドの有効性とICSの安全性の両方について我々が知っていることと一致しています[23–25]。 6〜12ヵ月の期間の3件のランダム化試験では、マクロライドによる増悪の頻度が明らかに減少し、これらの集団内の増悪率は約半分になりました[23–25]。最近の個々の患者データのメタアナリシスにより、増悪減少に対するこの優れた有効性が確認され、これがほぼすべての患者サブグループ間で一貫していることが実証された[26]。ベースライン増悪頻度、肺機能、症状または生活の質は有効性に影響を及ぼさなかった[26]。

マクロライドについて実証されている一貫した有効性は、吸入抗生物質についてのデータとは対照的です。 2018年にERJに発表されたRESPIRE研究では、RESPIRE 1の14日間オン/オフ群で39%の増悪頻度の減少という点で有益性が見られましたが、他の3つの試験群で明確な有益性は示されませんでした。 。吸入されたリポソームシプロフロキサシンは、ORBIT 4ではその主要評価項目を満たしたが、ORBIT 3では達成されなかった[30]。増悪頻度の有意な減少を示すプールされたデータは、この薬物療法が気管支拡張症における慢性緑膿菌感染症の治療への非常に有用な追加であることを示唆しているが、2つの試験の間の不一致抗生物質を吸入する。



今回のERJ号で発表されたデータは、気管支拡張症におけるICSの慎重な使用をさらに裏付けるものです。 ICSは、非結核性マイコバクテリア(NTM)のリスクを高め、微生物の過剰増殖を促進し、好中球性炎症に悪影響を及ぼす可能性があり、そして今日まで、気管支拡張症の増悪頻度を減らすことは示されていません[30-33]。気管支拡張薬と組み合わせたICSの使用が確立されているCOPDでは、この分野は標的療法に向かって動いている[34]。 ICSは好酸球性炎症に対して効果的ですが、主に好中球性炎症のある患者には効果がなく、細菌負荷を増加させたり、肺炎のリスクを高める可能性があります[30-37]。これは、主に好中球性炎症を呈する気管支拡張症の患者に潜在的に懸念があります[38]。それにもかかわらず、気管支拡張症の好酸球性サブタイプが同定され始めており、選択された患者における抗好酸球療法の潜在的な役割が提案されている[39、40]。それはまだテストされていない、しかし痰または血好酸球は気管支拡張症におけるICSの使用を導くための潜在的な治療可能な特徴を表すかもしれない[41]。可能性のあるレスポンダー集団は、Henkle et al。による研究では調査できなかった。 [21]そして将来の研究の焦点となるべきである。細菌負荷は吸入抗生物質治療のガイダンスのための潜在的な治療可能な形質として浮上しています[42]。対照的に、気道クリアランス[43、44]およびマクロライドは、頻繁に増悪する集団におけるそれらの有効性においてほぼ普遍的であるように思われ、そして当面は第一選択薬理学的介入として考慮され得る。

証拠は明らかに気管支拡張症の増悪予防のための好ましい治療法としてのマクロライドの使用を支持しているが、重大な挑戦がある。気管支拡張症に使用するための最適な用量と投与計画は特定されていない[23-26]。胃腸やその他の有害作用は比較的一般的です[23–26]。以前のCOPD試験で聴力低下が見られましたが、この影響は、はるかに小さい気管支拡張症の研究では明らかにされていません[45]。それにもかかわらず、それは臨床診療における潜在的な悪影響として考慮される必要があります。マクロライド治療後の抗生物質耐性は呼吸叢に急速に出現し、ミクロビオームの変化も観察されますが、これらの変化の臨床的意義は不明です[23-26、46-48]。マクロライド耐性を誘発する危険性があるため、マクロライドによる治療の前に非結核性抗酸菌感染症を除外することが推奨されており、これは米国などの高いNTM罹患率を有する集団において特に重要な問題である。私たちは最初の12か月を超えてマクロライドで治療された気管支拡張症の患者に何が起こるかについて驚くほど少ない情報を持っています。 Henkleらによって提示されたデータ。マクロライドを吸入コルチコステロイドなどの他の広く使用されている薬物と比較すると[21]は比較的安心できるが、12カ月を超える転帰を評価する前向き研究も必要である。





図1は、ERSガイドラインに基づく“integrated exacerbation prevention algorithm” 「統合的増悪防止アルゴリズム」の概要を示しています。すべての患者が気道クリアランスと免疫不全またはアレルギー性気管支肺アスペルギルス症などの根本的原因の適切な治療、ならびに重要な併存疾患を受けるべきであることが示唆されています。一部の患者では、抗生物質による予防的治療を開始する前に、追加の気道クリアランス介入が適切な場合があります。マクロライドは、上記の注意に従う増悪予防のための好ましい選択肢と考えられるかもしれません。マクロライド療法にもかかわらず悪化し続ける患者では、我々は治療可能な形質の概念を支持します。これは管理のあらゆる段階で考慮されるべきです。


気管支拡張症において短期間で大きな進歩が見られ、最近のデータは増悪予防に対する気道クリアランス、マクロライドおよび吸入抗生物質の影響を確立している。 UK CLEAR試験のような粘液活性療法の重要な試験は、近い将来に高張食塩水またはカルボシステインと通常の治療の有効性について情報を提供するでしょう[49]。臨床試験登録の検索は、主な結果が咳である吸入コルチコステロイドの1件の進行中のランダム化試験を示している[50]。この研究は参考になりますが、増悪への影響を検出したり、血中好酸球などのマーカーに基づいてサブグループを調べたりすることに力があるとは考えられません。増悪を招き、応答者のサブ​​グループを特定するのに十分な、気管支拡張症における大規模な無作為化比較試験が明らかに必要とされている。





Haworth CS, Bilton D, Chalmers JD, et al. Inhaled liposomal ciprofloxacin in patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis and chronic lung infection with Pseudomonas aeruginosa (ORBIT-3 and ORBIT-4): two phase 3, randomised controlled trials.
 Lancet Respir Med 2019; 7: 213–226
https://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(18)30427-2/fulltext

2019年7月16日火曜日

Mycobacterium abscessus pulmonary disease (MAB-PD)治療

非結核性抗酸菌の2番手ながら、日本国内で公的治療が置き去りにされている感染症治療のお話

論文の主旨とは違うかもしれないが、報告を見ると治療成功率は低いとは言え、1/3〜半数の治療効果

だが、日本で、M. abscessus治療、特にイミペネム、アミカシン長期使用に対し医療保険査定されたと聞いている
https://www.kekkaku.gr.jp/pub/Vol.85(2010)/Vol85_No1/Vol85No1P1-6.pdf


行政もなぁ 過去の反省だけするじゃなく、現実に生じている治療困難者の対応ちゃんとして欲しいもんだ



Mycobacterium abscessus pulmonary disease: individual patient data meta-analysis
Nakwon Kwak, et al.
European Respiratory Journal 2019 54: 1801991;
DOI: 10.1183/13993003.01991-2018
https://erj.ersjournals.com/content/54/1/1801991

序文
非結核性抗酸菌(NTM)による肺疾患の発生率と罹患率は世界的に増加しています M.abcescus亜種(subsp.)abscesus、M.abscesus subsp. massiliense、およびM. abscessus subsp. bolletiiは、東アジアとアメリカ合衆国でM. avium複合体に続いて、肺疾患を引き起こす2番目に一般的なNTMです.
MAB肺疾患(MAB-PD)の治療は、一般的に使用されている抗生物質に対する高頻度の突然変異耐性および後天的耐性のために困難です.マクロライドは化学療法の基礎として推奨されますが、23S rRNAをコードするMABのrrl遺伝子の変異はクラリスロマイシン耐性の獲得につながります.さらに、リボソームメチラーゼをコードするerm(41)遺伝子は、マクロライド系抗生物質に対する誘導耐性を付与します. M. abscessus subsp. abscessus and M. abscessus subsp. bolletii は典型的に機能的erm(41)geneを発現し、そしてそれ故マクロライド系抗生物質に対する誘導性耐性を示す.ほとんどのM. abscessus subsp. massilienseは非機能的erm(41)遺伝子に突然変異を持っており、massiliense分離株は本質的にクラリスロマイシンに対して感受性が高い. 
MAB-PDの治療には、アメリカ胸部学会(ATS)/アメリカ感染症学会(IDSA)が、マクロライドと1種類以上の非経口薬(アミカシンとセフォキシチンまたはイミペネム)を含む多剤療法を推奨しています.英国胸部学会(BTS)のガイドラインでは、最初の治療段階にはアミカシン、チゲサイクリン、イミペネムを静脈内投与し、その後にアミカシンとマクロライドを追加の経口抗生物質と組み合わせた抗生物質療法が推奨されています. しかしながら、これらの治療アプローチの有効性はまだ正確に決定されていません、なぜなら異なる研究は異なる治療成功の定義を採用しているからです.一部の研究者は、痰培養変換および変換の維持を治療の成功として定義し、他の研究者は痰培養変換に加えて臨床的改善に基づく治療結果を報告した.さらに、個々の薬の効果は解明されていません.
最近、MAB-PDの治療転帰を報告する2つのメタアナリシスが発表された.これらの分析によると、M. abscessus subsp. abscessus and M. abscessus subsp. massiliense の治療成功率は、それぞれ34.0% - 41.2%、54.0% -  69.8%であった.しかしながら、MAB-PD治療における各薬物の転帰および役割の正確な測定は、公表された論文に提供されている集計データに基づいているため、決定できませんでした.
本研究では、個々の患者のデータに基づいてメタアナリシスを実施し、MAB-PDの治療結果と、これらの結果に対する各薬物の影響を明らかする

M. abscessus subsp. abscessus, M. abscessus subsp. massiliense or M. abscessus subsp. bolletii, に生じるMycobacterium abscessus pulmonary disease (MAB-PD)の治療は、チャレンジングな状態

MAB-PD治療アウトカム報告研究に基づく個別患者データメタアナリシスを行い、MAB-PD治療アウトカムと治療アウトカムへの各々の薬剤のインパクトを明確化のための検討

ここでは治療成功を、治療12ヶ月以上治療中の培養陰転、治療終了までの再発なしの持続的培養conversionとした

利用可能14研究中、8つのデータセットを採用、総数303名MAB-PD患者を解析対象とした
MAB-PD全症例治療成功率は5.6%
M. abscessus subsp. abscessusは 33.0%
M. abscessus subsp. massilense は 56.7%

MAB-PD全患者通しての治療成功率は 45.6%

MAB-PD全体では、イミペネム使用が治療成功関連として相関(補正オッズ比 (aOR) 2.65, 95% CI 1.36–5.10)

M. abscessus subsp. abscessus患者においては、 azithromycin (aOR 3.29, 95% CI 1.26–8.62)、parenteral amikacin (aOR 1.44, 95% CI 1.05–1.99) 、 imipenem (aOR 7.96, 95% CI 1.52–41.6) これらが治療成功と完全

M. abscessus subsp. massiliense患者に関しては、3つの薬剤選択は治療アウトカムと関連せず

結論:MAB-PD治療アウトカムは十分な状況ではない。アジスロマイシン、イミペネムはM. abscessus subsp. abscessus患者のアウトカム改善をもたらす




ブログ結論:M. abscessus subsp. abscessus患者治療を阻害している保険査定とそれを容認している関係者は悪人である

2019年7月12日金曜日

COPD急性増悪抗生剤処方:CRPに基づく判断は妥当

2.0mg/dL-4.0mg/dLのレベルで判断している! 意外に低値と思う
臨床的にはそんな感じ


C-Reactive Protein Testing to Guide Antibiotic Prescribing for COPD Exacerbations
Christopher C. Butler, et al.
July 11, 2019
N Engl J Med 2019; 381:111-120
DOI: 10.1056/NEJMoa1803185
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1803185

背景
CRPのPoint-of-care testing で、COPD急性増悪患者へ有害性をもたらさず不必要な抗生剤使用を減少することができるか?

研究方法
多施設・オープンラベル・ランダム化・対照トライアル:プライマリケア臨床記録に於けるCOPD診断患者:イギリス・ウェールズの86の一般医療部門86の一つにCOPD急性増悪コンサルトした患者

患者を通常ケアを受けるため2つに割り付け

  • CRP point-of-care testing (CRP-guided group) 
  • usual care alone (usual-care group)



プライマリアウトカム:ランダム化4週間内の急性増悪のための抗生剤使用患者報告(
優越性)、ランダム化2週時点COPD関連健康状態(評価: Clinical COPD Questionnaire, a 10-item scale with scores ranging from 0 (very good COPD health status) to 6 (extremely poor COPD health status) 測定(非劣性)


結果
総数653名ランダム化
CRP-guided groupでは通常ケア群に比べ抗生剤使用報告少ない (57.0% vs. 77.4%; 補正オッズ比, 0.31; 95% 信頼区間 [CI], 0.20 to 0.47).
ランダム化2週後のClinical COPD Questionnaire ではCRP-guided groupの方が -0.19(two-sided 90% CI, −0.33 to −0.05) 良好
初回診察時臨床医による抗生物質処方決定は1人の患者を除いて全員確認され、フォローアップの最初の4週間にわたって出された抗生物質処方は96.9%の患者について確認された。
CRP-guided group は、通常ケア群に比べ、初回診察時点での抗生剤処方比率少なく (47.7% vs. 69.7%, 差 22.0 パーセントポイント; 補正オッズ比, 0.31; 95% CI, 0.21 to 0.45)、フォローアップ初期4週間での抗生剤処方も少ない (59.1% vs. 79.7%, 差 20.6 パーセントポイント 補正オッズ比, 0.30; 95% CI, 0.20 to 0.46)
ランダム化4週間内死亡は通常群で2名、死因トライアル参加者関連なしと研究者判断

結論
プライマリケアクリニックにおけるCOPDの悪化に対する抗生物質のガイド付き処方は、抗生物質の使用を報告し、臨床医から抗生物質の処方を受けた患者の割合が低く、有害性エビデンス認めず
(Funded by the National Institute for Health Research Health Technology Assessment Program; PACE Current Controlled Trials number, ISRCTN24346473.)





CRPの範囲と判断について・・・の記載
A total of 317 of the 325 patients (97.5%) assigned to the CRP-guided group received a CRP test during the recruitment consultation, and the median CRP value was 6 mg per liter (interquartile range, 5.0 to 18.5).
Among these 317 patients, 241 (76.0%) had CRP values lower than 20 mg per liter; 38 (12.0%) had CRP values between 20 and 40 mg per liter, and 38 (12.0%) had CRP values higher than 40 mg per liter. A total of 3 of the 324 patients (0.9%) assigned to the usual-care group received a CRP test during the first 4 weeks of follow-up.
At the initial consultation, antibiotics were prescribed in the CRP-guided group for 79 of 241 patients (32.8%) with a CRP value lower than 20 mg per liter, for 32 of 38 (84.2%) with a CRP value between 20 and 40 mg per liter, and for 36 of 38 (94.7%) with a CRP value higher than 40 mg per liter


CRPをぼろかす言ってた人居たなぁ

2019年7月10日水曜日

閉塞型睡眠時無呼吸:PAPは血圧降下効果に、上気道刺激法は眠気改善に

優れているようだ


Upper Airway Stimulation versus Positive Airway Pressure Impact on Blood Pressure and Sleepiness Symptoms in Obstructive Sleep Apnea
Harneet K. Walia, et al.
CHEST
DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.06.020
https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(19)31313-3/fulltext

研究目的
Positive airway pressure (PAP) と upper airway stimulation (UAS) は閉塞型無呼吸(OSA)治療オプションとして承認されている。PAP治療の血圧と昼間眠気(ESS定義)への効果は確立しているが、血圧へのUASのインパクトは不明
PAPとUASが血圧・昼間の眠気改善をもたらすか仮説検証

研究方法
クリニックベースの血圧・ESSを517名のOSA(AHI, 15-65)患者で比較
BMI < 35 kg/m2、ClevelandクリニックPAP治療開始(2010-2014年)、国際レジストリ UAS装着320(2015-2017)を比較(2-6ヶ月フォローアップ)

Mixed-effect models で201名をpropensityマッチング後群間比較


結果
PAPはUASより拡張期血圧改善著明 (群間差変化平均差 3.7 mmHg, p <0 .001="" mmhg="" nbsp="" p="">UASはPAPよりESS改善著明 (変化差平均 PAP and UAS groups -0.8, p=0.046)
UAS治療使用はPAP患者より 6.2時間/週多い  (95% CI = 3.3 to 9.0)
結果は治療アドヒアランス補正後も維持

結論
PAPは血圧改善効果に優れており、おそらくメカニカルな胸腔内の心臓、血管へ影響によるベネフィットを反映するものであろう
UAS群での血圧測定エラーも勘案されるべき
睡眠症状改善効果はUAS群でPAP群比較で著明






2019年7月8日月曜日

G20:安陪総理 vs the Lancet

2013年に、G8諸国の首脳級による寄稿としては初めて、安倍総理の国際保健外交戦略に関する寄稿が、ランセット誌に掲載された
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page3_000401.html

いよいよ安陪総理が議長となるG20で・・・という期待のもと・・・だが、結果は、日本に対する(侮蔑だもあるのだとおもうが)辛辣な態度の英国系雑誌のG20サミットへの批評となっている。

"財務省(大臣)言いなりの厚労省(大臣)"ってのは正しい認識・・・さすが the Lancet
でもイギリスってそんなに優れた医療制度だったっけ?
https://news.mynavi.jp/article/20170501-nhs/

universal health coverage (UHC)


2030年のSDG(Sustainable Development Goals) (https://sustainabledevelopment.un.org/sdgs)  のデッドライン10年を切ったが、多くの開発途上国は、質の高い手頃な価格の医療サービスへのアクセスを万人に保証するというUHC(Universal Health Coverage)の目標を達成することができません。発展途上国の人々は、年間5兆兆ドル以上を医療サービスのために自己負担で支払っており、毎年約1億人の人々が極度の貧困状態にあります。 UHCへの進歩が健康を向上させるだけでなく、包括的で持続可能な経済成長も促進するという証拠は強いですが、この報告書は2030年には最貧国54カ国で1,760億ドルのUHC資金ギャップがあると推定します。これは何十年にもわたる健康の進歩を脅かし、各国の長期的な経済見通しを危険にさらし、それらを世界的流行のリスクに対してより脆弱にしています。この報告は大阪・日本で2019年6月の初めてのF20経済・健康担当相セッションに向けて情報化開始し、UHC資金ギャップの橋渡しするための諸国・開発パートナーのためのaction agendaとしてレイアウトされ、今後10年間の医療資金に関するイノベーションへの強力なケース作りに着手するものである







G20 Osaka: when will global health commitments be realised?
The Lancet VOLUME 394, ISSUE 10192, P1, JULY 06, 2019
Published:July 06, 2019DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)31520-X
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)31520-X/fulltext

貿易、気候変動、さらには自由主義の価値に対する緊張が高まる中、20(G20)サミットのグループが6月28日と29日に日本の大阪で開催されました。経済と世界貿易、特に米国と中国の間の取引に主眼が置かれているため、健康に関する議論はメディアの主流になることができませんでした。確かに、健康の進歩は期待外れでした。

最後のG20大阪首脳宣言では、経済、世界金融、腐敗防止政策へのコミットメントが強調されています。持続可能な開発目標(SDG)を達成するための途上国、特にG20アフリカのパートナーシップへの支援は、「包括的で持続可能な世界の実現」の一環として強調されています。

特に、世界の保健部門は「健康は持続可能で包括的な経済成長のための前提条件」で始まり、これはG20がこの重要な基本的前提に同意することを示しています。それから宣言は普遍的な健康保険(UHC): universal health coverage (UHC)を達成することへの過去のコミットメントを繰り返して、健康と包含を進めることの中心にプライマリヘルスケアを置き、そして健康と財務大臣間の一層の協力を要求します。 
 武見敬三氏がUHCのためのWHO親善大使に任命された(The appointment of Keizo Takemi as WHO Goodwill Ambassador for UHC signals Japan's commitment to promoting UHC. )ことは、UHCを推進するという日本のコミットメントを示しています。健康的で活発な老化の促進(現在の日本政府によって支持されているテーマ)エボラと戦うための公衆衛生への備えと財政的支援。ポリオの根絶とエイズ、結核、マラリアの流行の終結そしてOne Healthアプローチを通して抗菌剤耐性に取り組むことは、追加のそして驚くべき約束ではありません。
気候変動については、米国がパリ協定からの撤退を決定したことを改めて表明しながら、ほとんど変化はありません。 
安倍晋三首相は、自由で開かれた包括的かつ持続可能な「人間中心の未来社会」を推進する日本の希望を表明した。健康については、G20大阪サミットは、「世界の健康…は、世界の経済の持続可能な成長のための基盤として不可欠である」と認識し、「UHCに対する持続可能な健康資金の重要性」を指摘した(Japanese Prime Minister Shinzō Abe expressed Japan's wish to promote a free and open, inclusive and sustainable, “human-centered future society”. On health, the G20 Osaka Summit recognised that “global health… is essential as a basis for sustainable growth of the global economy”, and noted “the importance of sustainable health financing towards UHC”. )。しかし、G20大阪サミットの一環としてのG20財務保健大臣の最初の合同セッションも失望したものであり、正式な成果文書はなく、保健大臣は単に財務大臣によって設定された制約に耳を傾けていた(However, the first Joint Session of the G20 Finance and Health Ministers as part of the G20 Osaka Summit was also a disappointment, with no formal outcome document, and with health ministers simply capitulating to the constraints set by finance ministers.)。

世界銀行が6月27日に発表した報告によると、SDGsの目標日である2030年までに、最貧国54カ国で、質の高い手頃な医療サービスを提供するために必要な資金と実際に利用可能な資金。この報告書は、国民の健康への投資を増やし、保健への投資を政府全体の優先事項とし、最も貧弱な一次医療サービスのような実績のある投資を拡大し、収入を増やすためにタバコ、アルコール、甘い飲み物に課税することで財政の持続可能性を高めるそして健康を増進する。それはまた、健康のための国際的援助の増大、そして国内の制度と能力の構築を求めている。 それに応じて、現在アフリカ連合の議長を務めているエジプトは、アフリカにおける保健への国内投資を増やし、財務大臣と保健大臣の間の協力を促進するという同盟のコミットメントを繰り返した。

6月27日にG20サミットに先立ってThe Lancetに掲載されたHealth Policyの論文で、Joseph L Dielemanらは、G20諸国に対し、健康のための開発援助(DAH)のための資金の増額と公平な健康増進のためのDAHの集中方法を議論するよう求めた。 ;健康システムを強化するためのDAHの提供方法そして持続可能な影響のための国内資金調達の促進方法。世界基金への英国の14億ユーロの公約は、その資金を16%増加させることは歓迎すべきスタートです。
Bronwyn McBrideとBMC Public Healthの同僚は、世界の健康に対するBRICS、G7、およびG20のリーダーシップを称賛していますが、主に経済と貿易に関して、健康障害の潜在的な影響に焦点を絞っていることを強調しています。 2017年は、G20の保健大臣が世界の保健問題について議論したのは初めてのことです。 McBrideらは、BRICS、G7、およびG20が、無視されているSDG 3健康目標に焦点を拡大することを推奨しています。公平性を重視し、誰も置き去りにしない。明示的な権利に基づくアプローチを採用する。そして明確な説明責任メカニズムで定量的な約束をする。
WHO事務局長、G20大阪に招待されたTedros博士の言葉では、次のように述べています。 G20大阪サミットは、過去の世界的な健康への取り組みの勢いが高まっていると言えるでしょう。
2019年10月19日から20日にかけての岡山での保健大臣会合とサウジアラビアでのG20サミットは次のマイルストーンです。宣言コミットメントの進捗状況は今や実証されなければならない(The Health Ministers’ Meeting on Oct 19–20, 2019, in Okayama and the G20 Summit in Saudi Arabia are the next milestones. Progress on the Declaration commitments must now be demonstrated.)。





"vs 韓国"やら“米中”に話題もってかれているが、G20の背後に、the Lancetとの因縁みたいなのがあったようだ


COPD:在宅 vs 外来リハビリテーション 

日本では、介護保険下でのリハビリテーションが、あたかも医療ベースのリハビリテーションと同等の有益性を有することが担保されているかのような行政が行われている
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190401/news02.html維持期リハビリの介護保険への移行を3月末に完了
全日病ニュース・紙面PDF(2019年4月1日号
あいかわらず、エビデンス無き行政が続く

リハビリテーション特化専門職によるスーパーバイズされたリハビリテーションと、在宅での自己管理運動ではやはりその有効性が異なるだろう、それを示唆する報告


Home versus outpatient pulmonary rehabilitation in COPD: a propensity-matched cohort study
Claire Marie Nolan ,et al.
https://thorax.bmj.com/content/early/2019/07/05/thoraxjnl-2018-212765

supervised 外来呼吸リハビリテーション(PR)と同等の戦略としての在宅ベースの運動療法が提案されているが、臨床実践の場に導入してトライアルで観察下での同様ベネフィット得られているかの検証は不明瞭。

リアルワールドでの154名COPD:在宅ベース運動療法とマッチ化したsupervised PRとの比較検証
在宅ベース運動では、PRに比較して運動能力改善程度少なかったが、QOLの軽度改善あり

ここで、在宅運動療法と比較してのsupervised PRは標準ケアとしてやはりその地位は維持されることとなった、PRへのattend不能の場合にのみ有効性は低下するが在宅ベースの運動はその意味はある


2019年7月5日金曜日

非結核性抗酸菌とアスペルギルスの共感染

免疫不全や既存肺疾患での両者の相互作用、特に、M. aviumとAspergillus fumigatusの関連性は重要なようだ



Nontuberculous mycobacterial pulmonary disease and Aspergillus co-infection: Bonnie and Clyde?
Kim Geurts, Sanne , et al.
https://erj.ersjournals.com/content/early/2019/03/15/13993003.00117-2019


非結核性抗酸菌(NTM)は治療困難な日和見感染で、多くは肺に多く感染する。COPD、のう胞性線維症、気管支拡張(日本では結核後遺症も含まれると思う)患者にNTMによる肺疾患(NTM-PD)がかかりやすく、同時に他の日和見感染、Aspergillus fumigatusも含まれる。NTMと慢性肺アスペルギルス症(CPA)はオーバーラップするという報告

  • Griffith DE, Aksamit T, Brown-Elliot BA, Catanzaro A, Daley C, Gordin F, Holland SM, Horsburgh R, Huitt G, Iademarco MF, Iseman M, Olivier K, Ruoss S, von Reyn CF, Wallace RJ Jr, Winthrop K. An official ATS/IDSA statement: diagnosis, treatment, and prevention of nontuberculous mycobacterial diseases. Am J Respir Crit Care Med 2007; 175: 367-416.
  • Denning DW, Cadranel J, Beigelman-Aubry C, Ader F, Chakrabarti A, Blot S, Ullmann AJ, Dimopoulos G, Lange C. Chronic pulmonary aspergillosis: rationale and clinical guidelines for diagnosis and management. Eur Respir J 2016; 47: 45-68
文献上はNTMとアスペルギルスの同時感染で死亡率増加と関連

  • Jhun BW, Jung WJ, Hwang NY, Park HY, Jeon K, Kang ES, Koh WJ. Risk factors for the development of chronic pulmonary aspergillosis in patients with nontuberculous mycobacterial lung disease. PLoS One 2017; 12: e0188716. doi: 10.1371/journal.pone.0188716.
従って、NTM-PD診断work-upの一貫として筆者等は、アスペルギルス血清検査を行っているとのこと

2015年1月から2018年1月の間にNTM-PDのAmerican Thoracic Society(ATS)診断基準を満たし、NTM-PDの診断時または紹介時(+/- 3か月)にAspergillus IgGの血清学的検査結果が得られた患者の検討で、日本にとってありがたいことにのう胞性線維症を除外している。

検査
Positive IgG serology for Aspergillus was defined as >39 mg/l, as recommended by the manufacturer (ImmunoCAP, Phadia/ThermoFisher, Landsmeer, the Netherlands)

ここでは47名検討、女性 52.2%、平均年齢 64±9.7歳
アスペルギルスIgG血清学陽性30名(M. avium complex [MAC]で21/34、M. abscessusで5/6) 平均レベルは67.2±56.1 mg /L
アスペルギルス IgG陽性 線維性空洞 27/49 (59.3%)、結節性気管支拡張 12/18 (66.7%)
喀痰培養 アスペルギルス陽性 19、13唾液のみ 41.4%、BAL 4、BAL及び喀痰 2

6人の患者は、陽性の血清学および培養に基づいてアゾール(4ボリコナゾール、1イトラコナゾール、1ポサコナゾール)療法を受けた。抗真菌治療は、NTM-PDの培養転換率(p = 0.587)または微生物学的治癒率(p = 0.678)のいずれにも有意な影響を及ぼさなかった。

全体として、47人のNTM-PD患者のうち43人(91.5%)がNTM-PDの治療を受け、そのうち33人(70.2%)が6ヶ月以上(26 MAC、3 M.膿瘍、2 M. kansasii、1 M. simiae) 1M.xenopi)。 22人のMAC-PD患者(85%)が、リファマイシン - エタンブトール - マクロライド系レジメンで治療された。 4人(15%)の患者がクロファジミン - エタンブトール - マクロライド系レジメンを受けた。 16人が追加のアミカシンおよび/またはクロファジミンを受けた。 6ヶ月以上にわたって治療された患者におけるNTM培養転換は、アスペルギルスIgGが陰性であった患者(8/12、66.7%; p = 0.039)よりも、アスペルギルスIgGが陽性であった患者(6/21、28.6%)でより少なかった。


6ヶ月以上治療患者NTM培養conversionはアスペルギルスIgG抗体陰性より陽性患者で低い( 6/21 28.6% vs 8/12 66.7% p=0.039)。微生物学的治癒率もアスペルギルスIgG抗体陽性で低い3/21, 14.3% vs 6/12, 50%; p=0.036
NTM喀痰培養陰性化までの期間は有意差無し、MAC-PD患者ではアスペルギルスIgG陽性では培養陰転化率低い (1/17 vs 4/9 p=0.034)


spergillus fumigatusは、M.abscessus上清を添加した培地では成長速度が著しく低下した。avium結核菌上清はA. fumigatusの増殖速度を増加させた。この効果は、固定相上清で顕著。NTMの方の増殖はA. fumigatus上清の影響を受けず



アスペルギルスの共感染についてNTM患者をスクリーニングすることは臨床的に意義があるようだ。特に、M.aviumはアスペルギルスの増殖刺激作用がある。






2019年7月4日木曜日

気管支拡張への抗生剤吸入療法:高bacterial load群でQOL改善効果

気管支拡張症における主な吸入抗生物質治療の根底にあるのは、bacterial loadが炎症を引き起こすことによるもので、抗生物質治療は症状を軽減するはずという考え

今までの抗生剤吸入療法のトライアルで、QOL改善示せなかったのは、bacterial loadを考慮しないトライアル設計に問題があったのではないか?




Airway Bacterial Load and Inhaled Antibiotic Response in Bronchiectasis
Oriol Sibila , et al.
All AJRCCM  Vol. 200, No. 1 | Jul 01, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201809-1651OC       PubMed: 31109172
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/


Studies 1 ・ 2:気管支拡張成人への前向き研究
Study 3 : post hoc analysis of a randomized trial of inhaled aztreonam.

定量的喀痰培養による分類 low (<<10 sup="">5  cfu/g), moderate (105–106 cfu/g), high bacterial load (≥107 cfu/g)


研究1、2、および3では、bacterial loadは生活の質の悪化および気道炎症の増加と関連する安定特性
研究3では、細菌負荷の高い患者は主要評価項目の改善を示し(Quality of Life–Bronchiectasis–Respiratory Symptoms Score at Week 4) 、アズトレオナムの優秀性を示した(9.7ポイントの平均差; 95%信頼区間、3.4-16.0; P = 0.003)。

Minimum Clinical Important Difference (MCID) を上回る増加達成患者割合は、bacterial loadの高い群のみで、4週目(63%対37%; P = 0.01)および12週目(62%対38%; P = 0.01)







投与量と期間は
A summary of these trials is provided in the on-line supplement. Patients received two 4-week cycles of double-blind inhaled treatment with AZLI 75 mg or placebo given three times a day, separated by 4 weeks off-treatment.



序文Google翻訳

細菌量の減少は症状と悪化の頻度を減少させるということです(3、4)。しかし、ほとんどの試験は気管支拡張症の主要評価項目に達していません。吸入されたアズトレオナムの2つの大規模第3相無作為化試験では、QOLの改善は見られませんでした(5)。噴霧化コリスチン(6)、乾燥粉末シプロフロキサシン(7、8)および噴霧化リポソームシプロフロキサシン(9)を含む他の複数の試験もまた、一貫して主要評価項目に達していない。新しい欧州呼吸器学会(ERS)のガイドラインでは、治療として吸入抗生物質療法を支持する強力な臨床的証拠は発見されていません(10)。広範囲のサブグループ分析にもかかわらず、気管支拡張症吸入抗生物質試験の間の矛盾の理由は説明されていません。
気道細菌負荷は気管支拡張症の病因の重要な要素である(11)。患者は様々な細菌性病原体に慢性的に感染し、その結果、持続的な呼吸器症状およびさらなる気道損傷を伴う、感染および炎症の悪循環を引き起こす(12)。以前の研究では、気道細菌負荷と気道および全身性炎症の両方との間の直接的な関係が実証されている(13、14)。いくつかの疾患にわたる複数の研究は、107コロニー形成単位(cfu)/グラムを超える「炎症性閾値」を示唆しており、ここで患者はより多くの炎症、より悪化した症状およびより深刻な増悪を示す(15-17)。全身および吸入抗生物質治療は細菌負荷を減らしますが、細菌負荷が最も高い患者では気道の減少と全身炎症の点で最大の利点があります(15)。しかし、吸入抗生物質に焦点を当てた最近の臨床試験では、吸入抗生物質反応がベースラインの細菌負荷によって予測されるかどうかについて検討されていません(5–8)。
それ故、我々は、より高い細菌負荷がより悪い気道炎症及び生活の質と関連し、従って最も高い細菌負荷を有する患者が吸入抗生物質治療から最も利益を得るであろうと仮定した。 

キノロンやアミノグリコシド系などの効果判定も同様変化するのだろうか?
以前からアミノグリコシド系の吸入治療は 吸入トブラマイシン(商品名:トービイ)は臨床応用されてはいるが、のう胞性線維症のみ適応で気管支拡張へは実質使用できないのだが・・・




アザクタムと言えば、エーザイのアズトレオナム(アザクタム)の略号がAZTだったので、株やってる連中の妄想で、エイズ治療薬AZTと勘違いしてエーザイの株が上がった逸話があるのだが・・・それを思い出す。




COPDへの新たな治療ターゲット?:カテプシンS


Protein Phosphatase 2A Reduces Cigarette Smoke–induced Cathepsin S and Loss of Lung Function
Declan F. Doherty , et al.
AJRCCM, Vol. 200, No. 1, Jul 01, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201808-1518OC       PubMed: 30641028
https://www.atsjournals.org/doi/full/10.1164/rccm.v200erratum1


Rationale: CTSS (cathepsin S) は cysteine protease で、COPD患者のBALF中・血中に高濃度に存在

Objectives:  CTSSがタバコ喫煙誘因COPDの病因と関連し、upstream signalingのtargetingが疾患予防となるか

Methods: CTSS expressionを動物・ヒト組織とCOPD細胞モデルで検証
Ctss−/− miceを長期タバコ喫煙暴露し、強制オシレーションと呼気測定
動物にPPA2活性(protein phosphatase 2A) chemical modulatorを投与


Measurements and Main Results: 喫煙暴露後のマウス肺でのCTSS発現促進と活性増加を見いだした。Ctss-/- miceで喫煙暴露炎症、気道過敏性、気腔拡大、肺機能低下抵抗性あり。
CTSS expressionは、健常ヒト非喫煙者とCOPDドナーからの分離気管支上皮細胞、探求由来マクロファージでPP2Aによりnegativeに調節されている
PP2A expressionあるいは活性調整、silencer siRNAや、化学的阻害、activatorで、急性喫煙暴露後肺内の炎症性反応やCTSS expressionやactivityをマウスにおいて調整できる
PP2A activity enhancementはマウスにおいて慢性喫煙由来COPD予防できた


Conclusions: この研究から、COPDで生じるPP2A活性の減少が肺内CTSS発現増加に寄与、それから肺機能障害をもたらすことを示している。
 PP2A活性を増強することは、CTSS活性を低下させそして煙誘発性肺疾患に対抗するための実行可能な治療アプローチを示すかも。








低LDL血症と脳内出血の関連性

中国北部の疫学研究で、低LDL血症と脳内出血(ICH)の関連性報告



Low-density lipoprotein cholesterol and risk of intracerebral hemorrhage: A prospective study
Ma C, et al
Neurology 2019; DOI: 10.1212/WNL.00000000000078.
https://n.neurology.org/content/early/2019/07/02/WNL.0000000000007853

2006年ベースラインにて卒中・心筋梗塞・がんを有しない96,043名(平均年齢 51.3歳)
 current cohort study

血中LDL-C濃度評価 2006年、2008年、2010年、2012年評価

累積LDL-C平均濃度をこの期間の全ての評価可能LDL-C測定値から計算
脳内出血はカルテレビューにて確認

フォローアップ9年間、ICH発生753

ICH-リスクはLDL濃度 70-99 mg/dLと100以上で同等

一方、LDL 70 mg/dL未満では、70-99 mg/dLに比べICH発症高リスク ; 補正ハザード比1.65 (95% 信頼区間 [CI] 1.32–2.05) for LDL-C concentrations of 50 to 69 mg/dL)、 50mg/dL未満 2.69 (95% CI 2.03–3.57)



最近のスタチンのメタアナリシスでは、スタチン治療とICHリスクに関し関連性として有意性を認めないと筆者等も記載

PCSK9阻害剤の2つのトライアルでも出血性卒中リスク増加を認めてない。同様にIMPROVE-ITやFOURIERトライアルでも有意性相関は認めない。

だが、これらの知見は、基本1.0年間から6.0年間の報告であり、サンプルサイズとして出血リスク少なすぎて正規相関前提の帰無仮説検証でよいのかという基本的疑問が呈せられる。

LDL低下を煽りすぎることは善なのだろうか? 「悪玉」コレステロールと果たしてホントに言い切って良いのだろうか?





2019年7月3日水曜日

降圧剤:2剤 vs 3剤

システマティックレビュー&メタアナリシス


2018年4月までの検索RCTsに基づく3週間以上降圧治療対象
有効性・安全性に関してはrandom-effects model
レジメン有効性はTherapeutic Intensity Score (TIS) と the Law et al. methodで、量倍化での有効性100%、約20%予測で有効性比較


Efficacy and safety of triple versus dual combination blood pressure-lowering drug therapy
a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
Salam, Abdula, et al.
Journal of Hypertension: August 2019 - Volume 37 - Issue 8 - p 1567–1573
doi: 10.1097/HJH.0000000000002089
https://journals.lww.com/jhypertension/Abstract/2019/08000/Efficacy_and_safety_of_triple_versus_dual.5.aspx


14RCT , 被験者 11,457名

全体として、triple therapyはdual therapyに比べ、 血圧 5.4/3.2 mmHg低下 P< 0.001、血圧コントロール改善 58% vs 45% [相対 (RR) 1.33 (95% CI 1.25–1.41)]

一方、副作用イベントは 3.3 vs 3.4%  [RR 1.24 (95% CI 1.00–1.54), P = 0.05]

Law et al.'s methodではTISより優越
最大投与量あたりのdual therapyでコントロール不良患者に、三番目の薬剤投与するとdual therapy成分薬剤倍化より血圧降下硬化4倍も到達する (6.0/3.6 versus 1.5/0.8 mmHg)


トリプル製剤合剤処方に関して異常に査定する昨今の社保って、結局、降圧効果による動脈硬化イベント増加をもたらしてるのすら気にしてないんだろうなぁ

"perfectly measured"OBPと家庭内測定血圧:冠状動脈石灰化予測としては同等意義

一般日本人男性919名の横断的研究により、家庭内血圧(HBP)が"perfectly measured "office blood pressure(OBP)より、冠状動脈石灰化と比べ強い相関を有するかを検討
"perfectly measured"OBPとは、電気機器を使用して、無音室の座位姿勢で5分間完全に休憩した後に、看護師によって連続して2回OBPが測定された計測値。
7日間連続して、参加者は午前1回、電気機器でHBPを測定するよう求められた。

両者の間に統計的差異はなく、平均収縮期OBP値は136.8 mmHgであり、HBPは137.2 mmHgであった。 また、OBPとHBPは互いに大きく相関していた。

444人(49.4%)の個人がCACを罹患。 40〜79歳の無作為に選択された男性の一般集団の中で、完全測定OBPとCACとの関連性パワーは、HBPのそれと同程度であった。


The association of home and accurately measured office blood pressure with coronary artery calcification among general Japanese men
Satoh, Atsushi, et al. SESSA Research Group
Journal of Hypertension: August 2019 - Volume 37 - Issue 8 - p 1676–1681
doi: 10.1097/HJH.0000000000002080
https://journals.lww.com/jhypertension/Abstract/2019/08000/The_association_of_home_and_accurately_measured.18.aspx


よりhardなアウトカムで同等性確認しないと・・・

conclusiveな話にはならない

2019年7月2日火曜日

NAFLD:体重減少介入によるバイオマーカー改善確認

体重減少介入が、NAFLDに対してそのバイオマーカーに改善効果をもたらすか?

バイオマーカー改善には4kg程度の減量が必要なようだ

random-effects meta-analysisによる検討

Association of Weight Loss Interventions With Changes in Biomarkers of Nonalcoholic Fatty Liver Disease
A Systematic Review and Meta-analysis
Dimitrios A. Koutoukidis,  et al.
JAMA Intern Med. Published online July 1, 2019. doi:10.1001/jamainternmed.2019.2248


22研究、被験者 2588(平均年齢[SD] 45[14]歳、男性約66%)

介入:減量目的 (行動療法的減量プログラム:behavioral weight loss programs [BWLPs]、薬物療法、手術 )
with no or lower-intensity weight loss intervention
15研究:BWLPs、6研究 薬物療法、1研究 手術

介入期間(IQR) 6(3-8)ヶ月
非減量・低強度減量介入と比較し、より強化減量介入は統計学的に有意な減量と相関 (–3.61 kg; 95% CI, –5.11 to –2.12; I2 = 95%)
減量介入はバイオマーカー改善と統計学的有意改善と相関


  • ALT値:alanine aminotransferase (–9.81 U/L; 95% CI, –13.12 to –6.50; I2 = 97%) 
  • 組織学的あるいはレントゲン計測liver steatosis (標準化平均差: –1.48; 95% CI, –2.27 to –0.70; I2 = 94%)
  • 組織学的 NAFLD activity score (–0.92; 95% CI, –1.75 to –0.09; I2 = 95%)
  • nonalcoholic steatohepatitisの存在 (OR, 0.14; 95% CI, 0.04-0.49; I2 = 0%)

組織学的liver fibrosisの変化差は認めず  (–0.13; 95% CI, –0.54 to 0.27; I2 = 68%)

12研究で1つ以上のドメインでのバイアス高リスク存在するも
感度分析にて多くのアウトカムでの推定値と正確性には実質的差は無かった




NAFLDは感関連死亡率・合併症だけでなく、心血管系への影響もある
世界的には成人の25%がこの疾患で、さらにNASHは約2%〜6%でかなり大きな影響をもたらす。一方、世界中の臨床ガイドラインでは、主に低エネルギー食による減量や運動量の増加など、ライフスタイルの改善に関するアドバイスを医師に提供することが推奨されている。減量をサポートするための治療プログラムが推奨されている。一方、行動的減量プログラム(BWLP)、減量薬物療法、肥満外科手術は減量と良好な心血管代謝プロファイルをもたらしますが、NAFLDの改善との関連は不明であった。

ということで、地味だが、有益な報告だろうと・・・

アメリカ肝臓病研究学会の2018年診療ガイダンスは、減量は一般に脂肪症を軽減すると助言しています。しかしながら、ヨーロッパのガイドラインと共通して、実践ガイダンスは、NAFLDを治療するための正式な減量プログラムを参照または提供するための具体的な推奨を提供していない。
 肝臓専門医の間での現在の診療は、NAFLDまたはNASH患者の体重減少を助言することであり、しばしば5%または10%の体重減少を目標としているが、治療プログラムへの紹介は珍しい。 ルーチンケアで典型的な減量プログラムへのアクセスを提供された患者は、1年間で4キログラム以上の減量を期待できますが、臨床医から減量するためのアドバイスには通常約1 kgの減量しかない。  したがって、このレビューで観察された平均体重減少の差は、患者が日常的な臨床治療で通常利用可能な体重減少プログラムの1つで治療を提供された場合に予想されるかもしれないことに近い。
 したがって、肝臓バイオマーカーおよび組織学的結果において同様の改善が見られると予想される。その利点は、太りすぎでNAFLDを患っている人々の方が大きいように思われますが、私たちの探索結果は、減量介入がまだ健康な体重とNAFLDを持つ人々の少数派に有益であるかもしれないことを示唆します。
 臨床医は、これらの所見を使用して、減量後の肝臓バイオマーカーの臨床的に有意な改善が期待されることについてNAFLDの人々に助言し、患者に有益な介入を指示することができます。
ほとんどの試験はNAFLDのさまざまな段階の人々を対象としており、特にNASHと診断された人々を対象とした試験は6つだけでした。FDAは、臨床試験が線維化を悪化させることなくNASHの消散を示す場合、NASHに対する認可薬物療法を検討しており、これらの減量介入はこの基準を満たしているように思われる。プログラムは心血管疾患のリスクが高いこの集団にとって特に価値があると思われます。 
未回答の質問と今後の研究
ほとんどのRCTが参加者を1年以内に追跡調査し、長期追跡調査を報告した試験は1件のみであり、5年後の群間の平均体重差は–2.30 kg(95%CI、–3.71〜–0.89)であった。介入は終了したが、肝臓バイオマーカーの群間差についての証拠は見当たらず、それは不正確に推定された。
 我々は非RCTを含めなかったが、1年時点での対生検を用いたNASHでのBWLPの無制御研究は、体重減少と肝臓組織学的検査の改善との間に強く独立した関連性を見出した。患者は実質的な体重減少を維持する。体重回復はプログラム終了後に一般的であり、将来の試験では体重回復と肝疾患のバイオマーカーまたは長期的な心血管転帰との関連性を調べるための長期追跡調査を含むべきである。成人を対象とした試験のみを含めたが、若年期における肥満の罹患率の増加に伴い、NAFLDは小児期に出現しつつある状態であり、将来の検討が必要であることを認識している。
 将来の試験では、NAFDと健康な体重を持つ人々の利点を調べるために、BMIステータスによるサブグループ分析も組み入れられるかもしれません。 
結論
減量介入は、短期的にNAFLD患者の肝疾患のバイオマーカーにおける統計的および臨床的に有意な改善と関連しているように思われた。蓄積された証拠は、NAFLDの人々を治療するための正式な減量プログラムを推奨するための臨床ガイドラインおよび日常業務の変更を支持しています。

2019年7月1日月曜日

一次予防のためのアスピリン:実践的アプリーチ

例えば気管支拡張+血痰喀血患者でバイアスピリンどうしようかというdecision making

“安易に一次予防のためのアスピリンを断念したり、有害性を考慮しないで使用したりすべきではない”
Clinicians should neither abandon aspirin for primary prevention nor use it without full consideration of harms. Selective prescribing of aspirin combined with other medications and the promotion of health behavior change form a comprehensive approach to prevention.

ってのはわかるが、現実ではどう判断するか? 判断の上で最低限動脈硬化リスク客観化数値化が一つの判断材料というお話


A Practical Approach to Low-Dose Aspirin for Primary Prevention
Kim F. Chiang, et al.
JAMA. Published online June 28, 2019. doi:10.1001/jama.2019.8388



アセチルサリチル酸(即ち、アスピリン)には、抗炎症作用や血小板活性化の低下など、数多くの生物学的作用がある。これらのメカニズムは、アテローム性動脈硬化症性心血管疾患(CVD)の予防に対するアスピリンの利点と、それが望ましくない出血を引き起こす傾向の説明となる。以前の研究でアスピリンが最初の心血管イベントの最大20%までの相対的減少の関連性示唆があったが、2018年に発表された3つの臨床試験では臨床的に重大な出血のリスクと匹敵するほどの大きさの心血管アウトカム減効果は軽度であることが示唆された。

これらトライアルでは、以前からの疑念を明確にすることを目的としていたが、一方で論争の継続する結果となった。これらの研究による推奨は、一次予防のために、継続的警戒を続けながらの使用からアスピリンの放棄までのレンジとなった。

最近のAmerican Heart Association / American College of Cardiologyの予防ガイドラインでは、CVDの「定期的な一次予防としてアスピリンを使用する頻度は低い」( “aspirin should be used infrequently in the routine primary prevention” )とし、“出血リスクの低い高リスク”患者に限定して推奨されている。

これらの新たな知見は、基礎的集団健康原則の文脈において、一次予防のためのアスピリンの使用を再検討するための推進力を提供する。


  • 潜在的な利益が害を上回るような治療法を選択する
  • 患者の観点から利益と害の程度の理解を行う
  • NNTsのより小さい治療オプションを選択する(例えばスタチン対アスピリン)
  • より小さなNNTを持つ患者の部分母集団における任意の治療の開始を支持
  • 特に潜在的な害と利益のバランスに関する曖昧さがある場合は、患者共有意思決定(shared decision-making:SDM)を使用する
  • 薬物および非薬物戦略を含む包括的な予防アプローチを追求


新しい研究
ASPREE試験は健康高齢被験者(n = 19114;年齢中央値、74歳)を登録し、フォローアップ4.7年間。アスピリンはプラシーボ比較で心血管疾患イベント有意減少認めず (アスピリンあり 千人年あたり 10.7 vs 非アスピリン 千人年あたり11.3;ハザード比[HR]、0.95 [95%CI、0.83-1.08])
一方出血リスク増加 (アスピリン有り 千人年あたり 8.6 vs 無し 6.2 ; HR、1.38 [95%CI、1.18-1.62])
全死因死亡率(アスピリン有り 5.9% vs 無し 5.2%; HR、1.14 [95%CI、1.01-1.29])で之は主にがんによる増加、この知見は以前のトライアルや2つの2018年のトライアルと異なっており、注意深い解釈が行わなければならない 
McNeil  JJ, Nelson  MR, Woods  RL,  et al; ASPREE Investigator Group.  Effect of aspirin on all-cause mortality in the healthy elderly.  N Engl J Med. 2018;379(16):1519-1528.


ASCEND試験では、糖尿病患者(n = 15480;平均年齢63歳)を登録し、7.4年間追跡。プラセボと比較したアスピリンは重篤な血管イベントの減少をもたらした(アスピリンがない場合は9.6%;アスピリンがない場合は9.6%;速度比は0.88 [95%CI、0.79-0.97])。しかしながら、この利点は大出血の増加により相殺された(アスピリンで4.1%対アスピリンなしで3.2%;速度比、1.29 [95%CI、1.09-1.52])。
Bowman  L, Mafham  M, Wallendszus  K,  et al; ASCEND Study Collaborative Group.  Effects of aspirin for primary prevention in persons with diabetes mellitus.  N Engl J Med. 2018;379(16):1529-1539.


ARRIVE試験では、非糖尿病心血管リスク中等度増加被験者 (n = 12546、平均年齢64歳)登録、5年間追跡調査。アスピリンは、最初の心血管イベントの予防に関してプラセボと有意差無し(アスピリンで4.29%、アスピリンなしで4.48%、HR、0.96 [95%CI、0.81-1.13])。中リスクの患者をターゲットにしているにもかかわらず、ARRIVEは予想より少ないCVDイベントを経験した。
Gaziano  JM, Brotons  C, Coppolecchia  R,  et al; ARRIVE Executive Committee.  Use of aspirin to reduce risk of initial vascular events in patients at moderate risk of cardiovascular disease (ARRIVE): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.  Lancet. 2018;392(10152):1036-1046.


最近のメタアナリシスでは、これらの研究に以前の10件のトライアルを組み合わせ、CVD転帰について、プラセボと比較してアスピリンに関連した総合的な利益を見出した(アスピリンでは10万人年当たり60.2、アスピリンなしでは10万人年当たり65.2、 NNT 241; ハザード比: HR, 0.89 ; 95% CI, 0.84-0.94
有意な出血性harm増加示唆'は10万人年当たり23.1、アスピリンなしでは10万人年当たり 16.4 、HR, 1.43 [05% CI, 1.30-1.56)
結腸直腸癌の予防は観察されなかったが、過去試験長期追跡調査で効果実証
Zheng  SL, Roddick  AJ.  Association of aspirin use for primary prevention with cardiovascular events and bleeding events.  JAMA. 2019;321(3):277-287.

実用的な段階的アプローチ
一次予防のためにアスピリンを開始、継続、または中止するかどうかの決定は、以下の枠組みを使用した、個人レベルの害および利益に関する患者臨床医の議論にかかっている(図)。このフレームワークは実用的なアプローチを提示するが、それは臨床研究で厳密に評価されていない。SDMを含む:







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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note