2016年5月31日火曜日

海産物・長鎖n-3脂肪酸:認知機能減衰緩徐化

最近こういう報告があったばかり
 剖検報告:老人において海産物摂取は脳内水銀濃度増加をもたらすが、認知症・脳梗塞病理所見減少をもたらす 但し、APOE ε4キャリアのみ
http://kaigyoi.blogspot.jp/2016/02/blog-post_3.html

今度の報告は、 生きてる人間で認知機能減衰との関連を検討


APOE ε4 and the associations of seafood and long-chain omega-3 fatty acids with cognitive decline

Ondine van de Rest,et. al.
Neurology May 31, 2016 vol. 86 no. 22 2063-2070

目的: シーフードと長鎖n-3脂肪酸消費と5の認知機能ドメインを平均4.9年間相関性調査


方法:ongoingの加齢と認知症長軸、住民ベース疫学研究から、915名被検者(年齢 81.4 ± 7.2 歳、男性25%)、最低1回のフォローアップ認知評価・食事データ調査施行被検者
食事は半定量食事回数アンケート
全般認知機能と5つの認知ドメイン(episodic、semantic、working memory、perceptual speed、visuospatial ability)スコア を19の認知機能試験で評価
認知機能変化を他リスク要素補正mixed modelで関連性評価


結果: シーフード摂取は、(年齢、性別、教育、認知活動参加状況、身体活発、アルコール摂取、喫煙、総カロリー摂取補正)separate modelで、semantic memory減少緩徐化と相関 (β = 0.024; p = 0.03) 、  perceptual speed 減少緩徐化と相関(β = 0.020; p = 0.05)




二次解析にて、
APOE ε4 carrierでは週毎シーフード摂取量と食事中の長鎖n-3脂肪酸の中・高度摂取量における、全般認知と多認知機能ドメインの減衰緩徐化が明らかになった。

 これら相関は、 APOE ε4 noncarrierでは見られない


α-リノレイン産の高摂取は全般認知機能減衰と相関し、APOE ε4 carrierでのみ見られる。


結論:これらの知見から、週毎のシーフード及び長鎖n-3脂肪酸の1mealによる多認知機能の減衰防御効果が示唆された。 APOE ε4の役割解明は今後の課題。




シーフード摂取量かなり少ないレベルで評価しているので多摂食の日本で是非詳細な質の高い検討を!

敗血症後死亡率:敗血症発症時併存症と関連しないリスク増加

 敗血症は、先進国での入院主原因となっている。在院死亡率は低下しているが、長期死亡率低下が問題。もともとの併存症が影響をあたえているという議論もあったが、不明。敗血症後5年以上も影響継続するという報告も有り、敗血症後の超過死亡の評価が必要となった。

Late mortality after sepsis: propensity matched cohort study
Hallie C Prescott, et. al.
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i2375 (Published 17 May 2016)
Cite this as: BMJ 2016;353:i2375

【目的】 敗血症後の後期死亡率が主に、発症前併存症に依存するのか、もしくは、敗血症そのものに依存するのか?


【デザイン】観察コホート研究

【セッティング】US Health and Retirement Study

【被検者】  fee-for-service Medicare coverageを受け、敗血症入院患者、65歳以上960名(1998-2010)
マッチ化:現行非入院777名、非敗血症・感染 788名、急性無菌炎症性疾患入院 504名


【主要アウトカム測定】  後期(31日〜2年)死亡率と、期間変数時点での死亡オッズ

【結果】敗血症は非入院成人比較後期死亡率 絶対的増加 22.1% (95% 信頼区間 17.5% to 26.7%)
、非敗血症入院患者比較で絶対的比率増加 10.4% (5.4% to 15.4%)
急性無菌性炎症性疾患患者比較で絶対的比率増加  16.2% (10.2% to 22.2%)
 (P < 0.001 for each comparison)



 非入院成人に比較し、最低でも2年間は死亡率高率


【結論】 敗血症生存社5名に1人は敗血症前の健康状態により説明できない,遅発性の死亡を来しやすい

2016年5月27日金曜日

じゃがいも:高血圧発症リスク増加

全粒穀物や野菜/果物摂取などの多数の食物要素とは独立して、フレンチフライ以外のポテト食が高血圧症発症と関連

米国ではジャガイモ食はクリティカルな公衆衛生的問題で、政府スポンサーフードプログラムに加わっており、カリウム含有故心血管ベネフィットあるだろうと想定されていた


高血圧発症に関してリスキーな存在になろうとは・・・ glycemic loadがその説明となっているが、炭水化物一般に言えるのでは?






Potato intake and incidence of hypertension: results from three prospective US cohort studies
Lea Borgi,  et. al.
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i2351 (Published 17 May 2016) Cite this as: BMJ 2016;353:i2351
ベークド・ポテト、ボイルポテト、マッシュドポテト、フレンチフライいずれも、ジャガイモは、成人大規模コホート(女性:Nurses’HealthStudy 62 175 、女性:Nurses’HealthStudyII 88 475 、男性:HealthProfessionalsFollow-upStudy 36 803)において独立した高血圧症発症リスク増加


週4サービング以上を月1サービング未満摂食と比べたランダム効果プール化ハザード比
ベークド・ポテト、ボイルポテト、マッシュドポテト:1.11 (95% 信頼区間 0.96 to 1.28; P for trend=0.05)
フレンチフライ:1.17 (1.07 to 1.27; P for trend=0.001)
ポテト・チップ:0.97 (0.87 to 1.08; P for trend=0.98) 


非炭水化物野菜1サービングを同量 ベイクド、ボイルド、マッシュドポテトに置き換えると、高血圧リスクは減少 (hazard ratio 0.93, 0.89 to 0.96)

CRIC研究:CKDではナトリウム制限にて心血管イベントリスク減少

ナトリウム摂取 高血圧患者のみ減塩有効、 極端なNa摂取制限は高血圧有無にかかわらず有害
http://kaigyoi.blogspot.jp/2016/05/na.html



CKDとナトリウムに関してもJ字型にみえるのだが、制限3次スプライン回帰モデルでは非線形でなく、線形だそうな




Sodium Excretion and the Risk of Cardiovascular Disease in Patients With Chronic Kidney Disease
Katherine T. Mills, et. al.
for the Chronic Renal Insufficiency Cohort (CRIC) Study Investigators
JAMA. 2016;315(20):2200-2210. doi:10.1001/jama.2016.4447.

意義  慢性腎臓病(CKD)患者は一般住民と比べ心血管疾患(CVD)のリスク増加を生じる。これまでの知見では食事性ナトリウム摂取とCVDリスの相関については矛盾した結果を生じており(ナトリウム摂取量と血圧の関連は確立しているが、ナトリウム摂取とCVDリスクの関連性は確立してない)、この相関性について患者で検討されていない。

目的  CKD患者に於ける尿中ナトリウム排泄と臨床的CVDイベントについての相関性検討

デザイン・セッティング・被検者  米国内7箇所のCKD患者の前向きコホート研究 (Chronic Renal Insufficiency Cohort Study)、2003年5月から2013年3月までフォロー

暴露  3回の24時間用測定尿中ナトリウム排泄累積平均と性別特異的に24時間尿中Cr排泄で補正

主要アウトカム・測定  うっ血性心不全、卒中、心筋梗塞として定義したCVDイベント。イベントは6ヶ月毎報告し、カルテにて補正確認

結果  3757名被検者(平均年齢、58歳、女性 45%)中、フォローアップ中央期間 6.8年間につき804のCVD組み合わせイベント発症 (心不全 575 、心筋梗塞 305、卒中 148)

補正ナトリウム排出4分位 最小(<2894 159="" 174="" 198="" 273="" br="" mg="">
累積発生率はフォローアップ中央期間にて 18.4%、16.5% ,20.6%、29.8%
加え、フォローアップ中央値における、最大4分位vs最小4分位CVDイベント累積発生比は、心不全 23.2% vs 13.3%、 心筋梗塞 10.9% vs 7.8%、 卒中 6.4% vs 2.7%



多変量補正解析にて最大4分位の最小4分位比較ハザード比はCVDイベント組み合わせ 1.36 (95% CI, 1.09-1.70; P= 0.007) 、心不全 1.34 (95% CI, 1.03-1.74; P= 0.03) 、卒中 1.81 (95% CI, 1.08-3.02; P= 0.02)
restricted cubic spine analysis(制限3次スプライン回帰モデル)で、ナトリウム排泄と組み合わせCVDの相関性は非線形のエビデンス(p=0.11)示さず、有意に線形相関 (p < 0.001)


<0 .001="" br="">結論と知見  CKD患者において、尿中ナトリウム排泄はCVDリスクと相関する



2016年5月26日木曜日

HOPE-3研究:固定量スタチン・固定量ARB・降圧利尿剤にて心血管イベント減少

LDL降下療法と降圧療法は各々の単独より心血管イベント減少効果大きくなるに違いない
polypill conceptにつながるが・・・


脂質モニタリングせず、スタチンを中等量用いるか否か
血圧モニタリングせず、降圧利尿剤にARB中等量固定併用行うか否か

2×2研究でその効果を見たもの


結論は・・・血圧やコレステロール値測定しになくても、固定薬剤処方すれば心血管イベント抑えられる

ベースラインをみると、血圧項目は 収縮期血圧にて138 mm Hg程度


Blood-Pressure and Cholesterol Lowering in Persons without Cardiovascular Disease
Salim Yusuf, et. al.., for the HOPE-3 Investigators
N Engl J Med 2016; 374:2032-2043May 26, 2016

【方法】
12705名(心血管疾患無し)
2×2区分
rosuvastatin (10 mg per day) or placebo
candesartan (16 mg per day) plus hydrochlorothiazide (12.5 mg per day) or placebo
併用療法:ロスバスタチン+2剤降圧剤 3180
dual placebo 3168
【アウトカム】
first coprimary outcome は、心血管原因死、非致死性心筋梗塞、非致死性卒中
second coprimary outcomeは、心不全、心停止、血管再建
フォローアップ期間中央値 5.6年間
【結果】
LDLコレステロール値: 併用群ではdual-placebo群より33.7 mg/dL (0.87 mmol/L) 減少

収縮期血圧: 併用群ではdual-placebo群より 62. mm Hg 減少

first coprimary outcome: 併用群 113 (3.6%) vs dual-placebo 157 (5.0%) (ハザード比, 0.71; 95% 信頼区間 [CI], 0.56 to 0.90; P=0.005)
secondary coprimary outcome: 併用群  136 (4.3%) vs dual-placebo 187 (5.9%)  (ハザード比, 0.72; 95% CI, 0.57 to 0.89; P=0.003)

Kaplan–Meier Curves for the Second Coprimary Outcome, Stroke, Myocardial Infarction, and Coronary Revascularization.
筋力低下とふらつきが併用群でdual-placebo群より多いが、包括的レジメン中止率は同等

【結論】
心血管疾患を有さない中等度リスク成人に対し、ロバスタチン10mg/日、カンデサルタン 16mg/日、HCTZ 12.5mg/日は、dual placeboより心血管イベント減少

2016年5月24日火曜日

コレステロール排出能:家族歴、冠動脈石灰化、hsCRPより強力な心血管リスク推定要素?

コレステロール排出能 と訳せば良いのか?
Cholesterol Efflux Capacity

引用論文は
Cholesterol Efflux Capacity, High-Density Lipoprotein Function, and Atherosclerosis

Amit V. Khera, et. al.
N Engl J Med 2011; 364:127-135January 13, 2011

Cholesterol efflux capacity was quantified in blood samples from the cohort of healthy volunteers as described previously.
This assay quantifies total efflux mediated by pathways of known relevance in cholesterol efflux from macrophages (i.e., ATP-binding cassette transporter A1 [ABCA1] and G1 [ABCG1], scavenger receptor B1, and aqueous diffusion):


さらなる原著
 The Ability to Promote Efflux Via ABCA1 Determines the Capacity of Serum Specimens With Similar High-Density Lipoprotein Cholesterol to Remove Cholesterol From Macrophages 
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology.2010; 30: 796-801

マクロファージcAMP処理J774での排泄経路評価:ATP-binding cassette transporter A1 (ABCA1)をブロックするプロブコール、 scavenger receptor B, type 1 (SR-BI)をブロックするBlock lipid transport-1 (BLT-1) でpreincubate処理して測定する 


 Beyond Coronary Calcification, Family History, and C-Reactive ProteinCholesterol Efflux Capacity and Cardiovascular Risk Prediction
Purav Mody, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2016;67(21):2480-2487. doi:10.1016/j.jacc.2016.03.538

この指標は、冠動脈石灰化(CAC)、家族歴(FH)、hs-CRPなどの既知予測要素を上回るか?
 Dallas Heart Study (DHS)登録車でのベースラインASCVDなしの被検者で、ASCVDイベント予測比較
 ASCVD:初回心筋梗塞・卒中・冠動脈再建・心血管死亡
 9.4年間フォローアップ


 被検者(N=1972)平均年齢45歳、CAC 52%(>0)、FH 31%、hs-CRP(2mg/L以上)58%
 

CEC中央値超例は、ASCVD発生50%減少と関連
CAC (5.4% vs. 10.5%; p = 0.003)
FH (5.8% vs. 10%; p = 0.05)
高値hs-CRP (3.8% vs. 7.9%; p = 0.004)


CECは、以下の項目追加で判別・再分類メリットすべて改善
CAC (c-statistic, p = 0.004; IDI, p = 0.02; NRI: 0.38; 95% confidence interval [CI]: 0.13 to 0.53)
FH (c-statistic, p = 0.006; IDI, p = 0.008; NRI: 0.38; 95% CI: 0.13 to 0.55)
高値hs-CRP (c-statistic p = 0.008; IDI p = 0.02; NRI: 0.36; 95% CI 0.12 to 0.52)


 CEC標準化されれば、心血管リスク予測に極めて役立つ可能性

2016年5月23日月曜日

ナトリウム摂取 高血圧患者のみ減塩有効、 極端なNa摂取制限は高血圧有無にかかわらず有害



1960年代秋田では食塩27g/日(Na 10.6/d相当)で
アラスカ・エスキモーは 食塩 4g/日(Na 1.45 g/d相当)という
極端なばらつきがあった。

しかし、アラスカ・エスキモーは、アラスカ在住白人より虚血性・出血性共に卒中死亡率高い


食塩摂取は少ないほどよいということはなさそうではある。


万人に極端なナトリウム制限するな ・・・ 米国CDC専門家委員会

ナトリウム摂取とJ字現象(U字現象)に関して、以前から指摘がある

4つの大規模研究データを利用して、高血圧有無の群別でも検討


Associations of urinary sodium excretion with cardiovascular events in individuals with and without hypertension: a pooled analysis of data from four studies
for the PURE, EPIDREAM and ONTARGET/TRANSCEND Investigators
The Lancet, Published Online: 20 May 2016
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)30467-6

【背景】尿中ナトリウム排泄おt心血管イベント・死亡率の相関について、U現象の報告いくつかある。高血圧有無でこれら相関のばらつきがあるかも不明。ナトリウム摂取と心血管疾患イベントと全死亡率の相関が高血圧状態で左右されるかを検討する目的
【方法】プール化解析、133,118名の被検者(高血圧63,559名、高血圧な市 69,559名)、年齢中央値 55歳(IQR 45-630)、49ヶ国の4つの大規模前向き研究と24時間尿中ナトリウム排泄量推定(摂取量グループレベル測定評価)
死亡・重大心血管疾患イベントの組み合わせアウトカム:4.2年間(IQR 3.0-5.0)、血圧
【所見】 ナトリウム摂取増加と、高血圧での収縮期血圧増加は相関 (ナトリウム摂取1g増加毎2.08 mm Hg変化) vs 高血圧なし (ナトリウム摂取1g増加あたり 1.22 mm Hg 変化; pinteraction<0 .0001="" blockquote="">
高血圧患者(イベント 6835)において、
ナトリウム排泄7g/日以上 (高血圧患者中7060 [11%] : hazard ratio [HR] 1.23 [95% CI 1.11–1.37]; P < 0.0001) 
 3g未満排泄  (7006 [11%] of population with hypertension: 1.34 [1.23–1.47]; P < 0.0001)
 ともに4-5g/日に比べリスク増加と関連  (参照:高血圧患者25%)
 
高血圧無し(3021イベント) において、4-5g/日(高血圧無し住民、18,508 [27%])に比べ 、  
ナトリウム排泄高値(高血圧なし、7g以上/日 6271 [9%]住民では、プライマリ組み合わせアウトカムと相関せず; HR 0.90 [95% CI 0.76–1.08]; p=0.2547)
一方、3g未満/日では、リスク増加と有意な相関 (高血圧なし、7547 [11%] 住民 ; HR 1.26 [95% CI 1.10–1.45]; p=0.0009)
【解釈】中等度ナトリウム摂取に比べ、高ナトリウム摂取は心血管イベント・死亡リスク増加と相関 (正常血圧者においては相関性認めず)
一方、ナトリウム摂取低レベルの場合は、高血圧の有無を問わず、心血管イベント・死亡リスク増加と相関
これらデータから、ナトリウム摂取低下は、高ナトリウム食高血圧患者のにのみ、ベストターゲットと言える

Funding
Full funding sources listed at end of paper (see Acknowledgments)

2016年5月21日土曜日

SPRINT:75歳以上降圧目標 強化療法で非致死性・致死性アウトカム・全死亡率改善

 SPRINT:50歳以上高リスク高血圧 強化高圧目標により効果
 http://kaigyoi.blogspot.jp/2015/09/sprint50.html

 若年高リスク対象攻撃的降圧治療NIH主導治験 SPRINT: 糖尿病除外、卒中既往除外が貢献?ACCODより高リスクも関与
 http://kaigyoi.blogspot.jp/2015/09/nihspiritaccod.html


上記、若年者での検討でも話題沸騰。
高齢者ではなおさら・・・


SPRINT研究のうち75歳以上の強化降圧治療 vs 標準降圧治療



Intensive vs Standard Blood Pressure Control and Cardiovascular Disease Outcomes in Adults Aged ≥75 Years
A Randomized Clinical Trial
Jeff D.
Williamson, et. al. ; for the SPRINT Research Group
JAMA.Published online May 19, 2016. doi:10.1001/jama.2016.7050

意義  高血圧患者の収縮期血圧(SBP)適切な治療目標は不明

目的  糖尿病なし高血圧75歳以上の収縮期血圧目標 強化(<120 140="" br="" mmhg="">
デザイン、セッティング、被検者 多施設ランダム化臨床トライアル:75歳以上、 Systolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT)被検者
2010年10月20日登録開始、フォローアップ2015年8月20日まで


介入  被検者を収縮期血圧(SBP)目標120mmHg未満(強化治療群, n=1317)とSBP目標140mmHg未満(標準治療群, n=1319)にランダム割り付け


主要アウトカム・測定  プライマリ心血管疾患アウトカムは組み合わせ(非致死性心筋梗塞、心筋梗塞とならなかった急性冠症候群、非致死性卒中、非致死性急性非代償性心不全、心血管死亡)
全原因死亡率はセカンダリアウトカム

結果  2636名の被検者 (平均年齢, 79.9 歳; 37.9% 女性), 完全フォローアップ完遂データ 2510 (95.2%)
フォローアップ中央値3.14年間、発生率有意に減少
プライマリ組み合わせアウトカム  (強化治療群 102 events  vs 標準治療群 148 events ; ハザード比 [HR], 0.66 [95% CI, 0.51-0.85])
全死亡率 (死亡 73  vs 107 ; HR, 0.67 [95% CI, 0.49-0.91])




重篤副事象イベント発生率は治療群毎差を認めず
(強化治療群 48.4%  vs 標準治療群  48.3% ; HR, 0.99 [95% CI, 0.89-1.11])

低血圧絶対的発生率は、強化治療群 2.4% vs 標準治療群 1.4% (HR, 1.71 [95% CI, 0.97-3.09]), 3.0% vs 2.4%
失神 (HR, 1.23 [95% CI, 0.76-2.00])
以下同様、
電解質異常 4.0% vs 2.7% (HR, 1.51 [95% CI, 0.99-2.33])
急性腎障害 5.5% vs 4.0% (HR, 1.41 [95% CI, 0.98-2.04])
外傷性転倒 4.9% vs 5.5% (HR, 0.91 [95% CI, 0.65-1.29])

結論と知見  75歳以上の普通成人において、SBP目標を120mmHg未満とする場合(強化治療)では、140mmHg未満とする場合(標準治療)と比較し、致死性・非致死性心血管イベント、全死亡率減少結果を有意に示した


Trial Registration  clinicaltrials.gov Identifier: NCT01206062

2016年5月19日木曜日

WHI:スタチンは閉経後女性新規糖尿病発症患者の心血管疾患予防効果疑問?

 WHI(Women's Health Initiative)データの新規解析:2型糖尿病新規診断閉経後女性の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクをスタチン治療の存在によって有意減少させない
糖尿病診断時スタチン使用してない女性では、糖尿病を有さない女性に比べ、ASCVDのハザード比 1.42 (95% CI, 1.28 - 1.58)だが、

スタチン使用者、即ち、糖尿病診断時スタチン使用女性では、糖尿病を有さない場合、リスク増加の程度はやや軽度 (HR 1.39, 95% CI 1.12-1.74)

糖尿病患者においては、スタチン使用有無でその差は有意でなくなる


表題とは異なるが・・・ 解釈としては、住民ベース閉経後女性前向き観察研究において、スタチン治療有無にかかわらず、糖尿病新規発症はASCVDリスクを有意にたかめるということ。 スタチン治療がこの群にbluntであるかどうかは解釈を控えているとの記載




Impact of incident diabetes on atherosclerotic cardiovascular disease according to statin use history among postmenopausal women
Yunsheng Ma , et. al.
CARDIOVASCULAR DISEASE
European Journal of Epidemiology pp 1-15 First online: 17 May 2016


動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)における糖尿病発症インパクトを閉経女性にてスタチン使用に基づき比較
12万499名の閉経後女性、糖尿病・心血管疾患明確履歴無し、WHI前向きデータ 使用


糖尿病発症は年次自己報告、錠剤や糖尿病注射薬剤治療で定義
現行スタチン使用は、登録時、year 1、3、6、9、13.5で3臨床トライアルアームで決定
プライマリアウトカムは、ASCVDイベント発生。糖尿病発症とスタチン使用状態は経時的共役要素にてフィットさせ、Cox回帰モデルにてASCVDリスク評価(平均フォローアップ 13.6年間)
糖尿病診断時スタチンのない事例では、ASCVDリスク 糖尿病発症女性では糖尿病なしの場合に比べ 42%増加 [hazard ratio (HR) 1.42, 95 % CI 1.28–1.58]


スタチン使用事例では、ASCVDリスク  糖尿病発症女性では糖尿病なしの場合に比べ  39%増加 (HR 1.39, 95 % CI 1.12–1.74)

糖尿病によるASCVDリスク増加はスタチン使用前・使用後で同様 (P = 0.89)


糖尿病がスタチン使用前・後診断されても、ASCVDの糖尿病関連リスク増加に変動はない


 スタチン使用者の糖尿病発症増加緩和によりASCVDの benefit-to-risk ratio増加をもたらすことができそう

テロメア病へのダナゾール治療

骨髄不全、肝硬変、肺線維症、ひいては癌感受性増加を引き起こすテロメア維持・補修に関する遺伝的異常。アンドロジェンが歴史的に骨髄不全に用いられているが、培養・動物モデルで性ホルモンがテロメラーゼ遺伝子の発現を調整する・・・という序文


変な妄想広げないように・・・対象とされた患者像を示すと・・・
患者選択:年齢補正テロメア長 1パーセンタイル以下、テロメアのメンテナンス・修復関連遺伝子変異同定 or 血液異常(Hb 9.5 g/dL未満、血小板数 3万/mm3未満、好中球数 1000//mm3未満)、肺線維症のいずれかもしくは両者

最下段に疾患頻度推定される報告を掲げているが、家族性IPFの8-15%、sporadic IPFの1-3%、再生不良性貧血の3-5%程度の頻度と考えれる

この種の難病と思える疾患に、蛋白同化ホルモンで効果があったという・・・驚くべき報告


Danazol Treatment for Telomere Diseases
Danielle M. Townsley, et. al.
N Engl J Med 2016; 374:1922-1931May 19, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1515319

テロメア疾患の第1/2相前向き治験
ダナゾール800mg/日・経口投与24ヶ月間


telomere attrition加速減弱を目標、プライマリ有効性エンドポイントは、2年間観察年次減少率20%


27名登録後、プライマリエンドポイント評価可能12名患者全例でtelomere attrition減少認めたため、早期終了;ITT解析にて、 12/27(44%; 95% 信頼区間 [CI], 26 to 64)で既にプライマリ有効性エンドポイント合致



予想外なことに、ベースラインと比べ、24ヶ月目にはtelomereのゲインをほぼ全例認めた(11 / 12, 92%)


exploratory analysisにて、6ヶ月時点 (16 / 21 ; 平均増加, 175 bp [95% CI, 79 to 271]) 、12ヶ月時点(16 / 18 ; 平均増加,360 bp [95% CI, 209 to 512])で同様に増加認めた

血液学的反応として、3ヶ月  19 / 24  (79%) 、24ヶ月時点10 / 12 (83%)であり



ダナゾール既知副作用としての肝酵素レベル・筋肉クランプ(Grade 2以下 41%、33%)




テロメアは、repeated hexanucleotide:e (TTAGGG)nで、線状染色体 の終末に存在、テロメア機能としては、障害・感染DNA認識から染色体終末を防御する役割で、テロメラーゼ複合体によるテロメア修復は、分裂毎に遺伝素材 の避け得ない減少、すなわち"end replication problem"の解消にやくだつ。


テロメア疾患:

Telomere Diseases Rodrigo T. Calado, et. al.
N Engl J Med 2009; 361:2353-2365December 10, 2009DOI: 10.1056/NEJMra0903373












テロメア長とコモンな疾患の関連性
Telomere length and common disease: study design and analytical challenges
Hum Genet. 2015; 134(7): 679–689.




 Mutation Research/Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis
Volume 730, Issues 1–2, 1 February 2012, Pages 52–58
Telomeres and disease
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0027510711002892



特発性肺線維症の遺伝的リスク要素として、テロメラーゼ関連phynotypeがある
テロメラーゼは2つのコンポーネントとして、hTERTと: telomerase reverse transcriptase、 hTR:repeat addtionのためのtemplateを含む特異的RNA。
hTRは染色体3’末端へ(TTAGGG)nを追加するようhTR内でこのtemplateを使用。
細胞内でテロメラーゼは他の蛋白とholoenzymeを形成し、この生合成と安定性がX染色体DKC1遺伝子コードされているdyskerin蛋白に依存する









CTSN: 術後心房細動:心拍コントロール vs 調律コントロール 同等予後

 心臓手術後の心房細動は、死亡・合併症・入院と関連するが、術後心房細動安定患者において、ベストな初期治療戦略として、心拍コントロール vs リズムコントロールかはまだ未確定であった

結論としては、「心拍コントロール、リズムコントロール戦略とも入院日数、合併症率、60日内持続性心房細動率とも同等」


Rate Control versus Rhythm Control for Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery
A. Marc Gillinov,  et. al, for the CTSN
N Engl J Med 2016; 374:1911-1921May 19, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1602002


プライマリエンドポイントは、ランダム化後60日内の入院総日数で比較

術後心房細動(695/2109)33%発生、523名ランダム化

心拍コントロール群とリズムコントロール群とも同等
中央値, 5.1 日 、 5.0 日; P=0.76


死亡(P=0.64) 、血栓塞栓・出血イベントを含む重篤副事象イベント (心拍コントロール群 100人年対 24.8、リズムコントロール群 26.4 , P=0.61)にも有意差無し


治療群変更理由は、主に無効性(対照群)、アミオダロン副作用もしくは副事象(リズムコントロール群)


63日めに、心拍コントロール群 93.8%、 リズムコントロール群 97.9%が、事前30日間心房細動無しの安定心拍s (P=0.02)
退院から60日めまでに心房細動なしは、それぞれ84.2%、86.9%


結論:術後心房細動において、心拍コントロール、リズムコントロール戦略とも同様の入院日数、同様の合併症率、同様の発症から60日内持続性心房細動率であった






2016年5月17日火曜日

FLAME研究:中等度以上COPDに対し LABA/LAMA vs ICS/LABA



COPD急性増悪というのは確かにその後の予後にも影響を与え、社会的インパクトも多大なのでそれなりに重要だとは思うが、アウトカムがCOPD急性増悪年次発生率というのは、死亡などのよりハードなアウトカムと比較してどうなのだろう。COPDのプライマリエンドポイントは、心血管疾患のそれと比べ、一定でないことが多い。


最近そう考えるが、COPDとして、中等度以上なら、LABA/LAMA使用するか?ICS/LABA使用するか?といえば、ICS/LABAと答える医者は少ないと思う・・・ので実質的にはインパクト乏しくなってしまった報告に思える。COPD grade C,Dに対する、COPD LABA/LAMA vs ICS/LABA/LAMAなら興味があるのだろうが・・・そんなことがエディトリアルにも・・・





Indacaterol–Glycopyrronium versus Salmeterol–Fluticasone for COPD
Jadwiga A.
edzicha, et. al., for the FLAME Investigators*
NEJM, May 15, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1516385

ウルティブロ(インダカテロール・グリコピロニウム)群 1680名
アドエア(サルメテロール・フルチカゾン)群 1682名

ウルティブロは、非劣性だけでなく、優越性を示した
・年次COPD急性増悪率:ウルティブロ群はアドエア群より11%低下 (3.59 vs. 4.03; rate ratio, 0.89; 95% confidence interval [CI], 0.83 to 0.96; P=0.003)
ウルティブロは、アドエア群より、初回急性増悪までの期間延長 (71 days [95% CI, 60 to 82] vs. 51 days [95% CI, 46 to 57]; hazard ratio, 0.84 [95% CI, 0.78 to 0.91], representing a 16% lower risk; P<0 .001="" p="">
同様、中等症・重症急性増悪年次発生率減少 (0.98 vs. 1.19; rate ratio, 0.83; 95% CI, 0.75 to 0.91; P<0 .001="" 0.66="" 0.70="" 0.78="" 0.81="" 0.86="" 1.00="" 95="" ci="" hazard="" p="0.046)</p" ratio="" to="">
ウルティブロ群 vs アドエア群のCOPD急性増悪率への影響は、ベースライン好酸球数に独立。
副事象イベント率・死亡発生率は、両群同様

肺炎はウルティブル 3.2%、アドエア群 4.8%  (P=0.02)

レジャータイム身体活動と発癌の関連性:概ね癌抑制的だが・・

レジャータイム身体活動量は、心疾患及び全死因死亡率と相関するとされるが、がんとの関連性は不明であった

レジャータイム身体活動性は多くの癌のリスク低下と相関




Association of Leisure-Time Physical Activity With Risk of 26 Types of Cancer in 1.44 Million Adults
Steven C.Moore, et. ral.
JAMA Intern Med.Published online May 16, 2016.



米国・欧州コホート:身体活動自己報告を有するコホートのプール化解析
(1987-2004年ベース)
144万名被検(中央値[range] 59 [19-98]歳、女性57%)、18万6932癌

レジャータイム身体活動 低レベル vs 高レベル 比較 13種類の癌との関連性

  • 食道腺癌 (HR 0.58, 95% CI 0.37-0.89)
  •  肝 (HR 0.73, 95% CI 0.55-0.98)
  •  肺 (HR 0.74, 95% CI 0.71-0.77)
  •  腎 (HR 0.77, 95% CI 0.70-0.85)
  •  胃噴門部 (HR 0.78, 95% CI 0.64-0.95)
  • 子宮内膜 (HR 0.79, 95% CI 0.68-0.92)
  • 骨髄性白血病 (HR 0.80, 95% CI 0.70-0.92)
  • 黒色腫 (HR 0.83, 95% CI 0.72-0.95)
  • 直腸 (HR 0.84, 95% CI 0.77-0.91)
  • 頭頸部 (HR 0.85, 95% CI 0.78-0.93)
  • 直腸(HR 0.87, 95% CI 0.80-0.95)
  • 膀胱 (HR 0.87, 95% CI 0.82-0.92)
  • 乳 (HR 0.90, 95% CI 0.87-0.93)



BMI補正にて軽度相関性減少、しかし13種類中10は統計学的有意相関性残存


レジャータイム身体活動と相関高いのは、

  • 悪性黒色腫 (HR 1.27, 95% CI 1.16-1.40) 
  • 前立腺癌  (HR 1.05, 95% CI 1.03-1.08)


過体重/肥満と正常体重者とその相関は一般的に類似

喫煙状態により肺癌は相関性修正されるが、他の喫煙関連がんは修正されない


悪性黒色腫はわかるが、前立腺癌リスクは?

2016年5月16日月曜日

RENEW Study: 重症気腫へのコイル治療、改善効果軽度で重大合併症率高い

12ヶ月時点での評価


Effect of Endobronchial Coils vs Usual Care on Exercise Tolerance in Patients With Severe Emphysema
The RENEW Randomized Clinical Trial
Frank C. Sciurba, et. al. ; for the RENEW Study Research Group
JAMA. Published online May 15, 2016. 
doi:10.1001/jama.2016.6261

【意義】 予備的臨床トライアルでは、気腫及び重度肺過膨脹患者において、気管内コイルは気腫肺組織を圧迫し、肺機能、運動耐容能、症状改善をもたらすというものであった

【目的】 気管内コイル治療の有効性安全性検証

【デザイン・セッティング・被検者】 315名の気腫及び重度空気とらえ込み患者をラナム化臨床トライアル、北米21、ヨーロッパ5箇所、2012年12月〜2015年11月まで

【介入】 ランダムに持続通常ケア(ガイドラインベース、呼吸リハビリテーション及び気管支拡張剤 ; n = 157) 単独 vs 通常ケア+両側コイル治療 (n = 158) 、いずれかの一肺葉に気管支鏡で10-14コイル、4ヶ月分けて2回のシークエンシャル施行


【主要アウトカム・測定項目】 プライマリ有効性アウトカムは ベースラインから12ヶ月後6分間歩行距離絶対差 (minimal clinically important difference [MCID], 25 m)
セカンダリエンドポイントは、
SGRQのQOL変化絶対値差(MCID, 4)
FEV1の変化量(FEV1; MCID , 10%)

プライマリ安全性分析は、7つの事前設定重大合併症のうち1つでも経験した比率


【結果】 315名の被検者(平均年齢, 64歳、 女性 52%)、12ヶ月フォローアップ完遂 90%
12ヶ月時点での6分間歩行距離変化量中央値は、コイル治療群 10.3m vs 通常ケア -7.6m; 群間差 14.6 m (Hodges-Lehmann 97.5% CI, 0.4 m to ∞; 1-sided P =0.02).

25m以上改善比率は、コイル群 40.0 % vs 通常ケア群 26.9%
 (odds ratio, 1.8 [97.5% CI, 1.1 to ∞]; unadjusted between-group difference, 11.8% [97.5% CI, 1.0% to ∞]; 1-sided P =0.01)
FEV1の変化量中央値群間差は 7.0%  (97.5% CI, 3.4% to ∞; 1-sided P < 0.001)
St George’s Respiratory Questionnaire score改善 8.9 points (97.5% CI, −∞ to −6.3 points; 1-sided P < 0.001)、いずれもがコイル群有用

重大合併症(入院必要肺炎、他潜在的致死的・致死性イベント)はコイル群 34.8% vs 通常ケア群  19.1% (P =0.002)
他重大副事象イベントは、肺炎  (コイル群 20% coil vs 通常ケア群 4.5%)
気胸 (9.7% vs 0.6%)で、コイル群で多い

【結論と知見】 気腫・重症過膨脹患者において、12ヶ月治療比較、気管支内コイル+通常ケアにて運動耐用の中央値改善するも、その程度は事前設定未満で軽度、不確実な臨床的意義で、重大合併症尤度高い。さらなるフォローアップ評価にて健康アウトカムへの長期影響評価必要

Trial Registration  clinicaltrials.gov Identifier: NCT01608490



ばらつきある・・・症例選択が重要と思う

ARDS患者において、ヘルメット型・非侵襲人工換気(NIV)で挿管イベント発生率減少

ARDS患者において、ヘルメット型・非侵襲人工換気(NIV)で挿管イベント発生率減少させる




ヘルメット・NIVとフェースマスク・NIV
ランダムにマスクNIV継続か、ヘルメットNIVスイッチかを割り付け

プライマリアウトカムとして、気管内挿管必要率を比べた報告


Effect of Noninvasive Ventilation Delivered by Helmet vs Face Mask on the Rate of Endotracheal Intubation in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome
A Randomized Clinical Trial
Bhakti K. Patel, et. al.
JAMA. Published online May 15, 2016. doi:10.1001/jama.2016.6338


分析 83名(女性45%;年齢中央値59歳;APACHE IIスコア中央値 26)、トライアルご会席にて有効性事前設定に基づき早期治験中止した

挿管イベント発生率は、フェースマスク  61.5% (n = 24)、ヘルメット 18.2% (n = 8)  (absolute difference, −43.3%; 95% CI, −62.4% to −24.3%; P < 0.001)

人工換気日数は有意にヘルメット群で高率 28 vs 12.5, P < 0.001)

90日目死亡率 ヘルメット群 15 名 (34.1%)、フェースマスク群 22 名 (56.4%)
(absolute difference, −22.3%; 95% CI, −43.3 to −1.4; P = 0.02)







副事象イベントは3名のインターフェース関連皮膚潰瘍(フェースマスク群 鼻の潰瘍 7.6%、ヘルメット群は頸部皮膚潰瘍)




フルフェースからヘルメットへと時代は変わるのだろう・・・



USCIITG: LIPS-A:ARDS発症予防アスピリン投与効果認めず

ED受診するようなリスク状態患者にその後肺胞毛細血管傷害、低酸素状態を回避するためには、何らかの有効は方法で、ARDS発症までの brief windowに介入ができれば・・・という発想は昔からある。抗炎症としてステロイドは今のところ芳しからず・・・

アスピリンはどうかと・・・予想通り、効果認めず



Effect of Aspirin on Development of ARDS in At-Risk Patients Presenting to the Emergency Department
The LIPS-A Randomized Clinical Trial
Daryl J.
Kor,  et. al. ; for the US Critical Illness and Injury Trials Group: Lung Injury Prevention with Aspirin Study Group (USCIITG: LIPS-A)
JAMA. Published online May 15, 2016. doi:10.1001/jama.2016.6330

EDに於るARDSリスク患者 7673名:篩い分け 400名ランダム化し多施設二重盲験プラシーボ対照化ランダム化トライアル

ED受診24時間以内アスピリン 325mg loading dose後81mg継続 day 7まで

プライマリアウトカムはday 7までのARDS発症

解析患者390名、年齢中央値 57歳、女性 48%、187名、入院期間中央値(IQR) 6(3-10)日間
アスピリン投与はプラシーボ比較で7日目ARDS発症頻度減少せず (10.3% vs 8.7%; odds ratio, 1.24 [92.6% CI, 0.67 to 2.31], P = 0.53)


セカンダリアウトカム(無人工換気日数、ICU滞在期間、入院期間、28日・1年生存率、血中バイオマーカー)においても有意差無し
・day 28までの無人工換気日数, mean (SD), 24.9 (7.4) days vs 25.2 (7.0) days (mean [90% CI] difference, −0.26 [−1.46 to 0.94] days; P = .72)
・ICU滞在期間, mean (SD), 5.2 (7.0) days vs 5.4 (7.0) days (mean [90% CI] difference, −0.16 [−1.75 to 1.43] days; P = .87)
・入院期間, mean (SD), 8.8 (10.3) days vs 9.0 (9.9) days (mean [90% CI] difference, −0.27 [−1.96 to 1.42] days; P = .79)
 ・28日生存率, 90% vs 90% (hazard ratio [90% CI], 1.03 [0.60 to 1.79]; P = .92)
 ・1年生存率, 73% vs 75% (hazard ratio [90% CI] ,1.06 [0.75 to 1.50]; P = .79)

 出血関連副事象イベントは両群少ない (aspirin vs placebo, 5.6% vs 2.6%; odds ratio [90% CI], 2.27 [0.92 to 5.61]; P = .13)

2016年5月14日土曜日

喫煙:肺炎球菌肺炎入院死亡率減少効果 ただ、低CFRセロタイプ菌血症になりやすい

なんにしろ、喫煙関連の疾患を診療する身としては、その苦悩を相対する立場としては、喫煙習慣を合理化するのはやはり認めがたい


しかし、まぁ喫煙が全てに対して悪というわけではないのは当然かもしれない
恩師医師から、過敏性肺臓炎にもなりにくいぞと聞かされたこともあったなぁ・・・そういえば・・・




喫煙は肺炎死亡率減少と関連するという報告有り、仮説としてlow case fatality rate(CFR)セロタイプの菌血症となるなど、異なる肺炎球菌セロタイプで結果が異なるのではないかと架設して、住民ベースコホートで検証を試みた報告

非喫煙者に比べ、喫煙者では菌血症性肺炎球菌症(BPP)では入院死亡率低下し、低CFRセロタイプ菌血症になりやすいことが分かった
これらの所見から、肺炎患者で喫煙により死亡率低下をもたらすことの説明可能?

Current Smoking and Reduced Mortality in Bacteremic Pneumococcal Pneumonia: A Population-Based Cohort Study
Jessica A. Beatty, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.04.020




カナダ北アルバータ州の2000-2010年、細菌血症性肺炎球菌(BPP)入院18歳以上1636名成人前向き住民ベース臨床レジストリ:多変量ロジスティック回帰検討にて喫煙状態で全原因死亡率を評価し、セロタイプ(低CFRと他CFR)で層別化



平均年齢 54歳、男性 57%、 現行喫煙率 49%、 低CFRセロタイプ 41%

入院時死亡 現行喫煙 809名中62名 vs 927名中 164 (8% vs 20% 補正オッズ比 (aOR) 0.52; 95% CI, 0.36-0.77 ; p=0.001)


現行喫煙では、非喫煙より 低CFRセロタイプ分離多く (53% vs 29%, aOR 1.67 ; 95% CI, 1.31 - 2.12 ; p < 0.001)、低CFRセロタイプ補正モデルでは、現行喫煙という因子では死亡率減少と関連 (p=0.001)


2016年5月13日金曜日

米国内電話調査:成人喘息新規診断例の症状内訳

成人では、200名に1名が新規喘息診断されている
成人では、典型的症状に乏しい

成人発症喘息においてその症状は?
・息切れ 89%
・喘鳴 85%
・持続性咳嗽 65%
・胸痛 54%
・睡眠トラブル 51%

 電話調査:ORC International Telephone CARAVAN® ( March 3-6, 2016 )の結果
 サンプルは1002名(18歳以上)米国大陸居住者

 National Jewish Health(R)による新しい喘息調査報告 http://njhealth.multimedianewsroom.tv/story.php?id=1150
 


 息切れのはっきりしない、咳嗽や気管支炎繰り返し症例で喘息患者というのは別に珍しくもない。上記調査は問いかけで「呼吸困難」を自覚することもあるが、初診時訴えで咳嗽だけ、胸部不定愁訴だけってのもある。
 一方、非定型的な症状で喘息と診断した場合患者の側から疑念をもって見られることも多い。その後の薬剤アドヒアランス上、診断に疑念をもたれることはクリティカルな問題で、私などはできるだけ客観的指標、スパイロメトリやNO呼気濃度を提示して診断の妥当性を説明するようにしている。患者によっては、喘息診断即劇的改善が当たり前と思ってる場合も多く、 数日で不満顔で再診する場合、二度と来ない場合などもあり、説明の難しさもある。

大うつ病への全身温熱療法ランダムトライアル

全身温熱療法
https://en.wikipedia.org/wiki/Hyperthermia_therapy

がんや免疫関連に対するオプションとしては長い歴史とおもう、温熱療法
うつに対して全身温熱療法効果あるか?




whole-body hyperthermia (WBH)セッション1回で、鬱症状改善の報告有り

6週間ランダム化二重盲検研究、WBH vs sham condition比較



Whole-Body Hyperthermia for the Treatment of Major Depressive Disorder
A Randomized Clinical Trial
Clemens W. Janssen,  et. al.
JAMA Psychiatry. Published online May 12, 2016. doi:10.1001/jamapsychiatry.2016.1031


介入 単回active WBH vs sham condition( WBHの長さをマッチ化させ、意図的加熱以外は疑似化)

主要アウトカム・測定 介入後Hamiltonうつrating scaleスコア群間差

WBH群 平均(SD)年齢 36.7(15.2)歳 vs sham群 41.47 (12.54)歳

介入直後 sham治療ランダム化されたうち10名(71.4%)がWBH治療と信じ込み、WBH群では15名(93.8%)がWBH治療と信じた
WBH群は、6週間介入後、Hamilotonうつrating scale有意減少
 (WBH vs sham; week 1: −6.53, 95% CI, −9.90 to −3.16, P < .001; week 2: −6.35, 95% CI, −9.95 to −2.74, P = 0.001; week 4: −4.50, 95% CI, −8.17 to −0.84, P = 0.02; and week 6: −4.27, 95% CI, −7.94 to −0.61, P = 0.02)

これらアウトカムはベースライン確率スコアの群間差寄与moderating effect評価後も有意性持続
副事象は両群との概して軽度

米国FDA薬剤安全性情報:非合併症感染者へのキノロン処方制限・厳格化


フルオロキノロン全身投与、錠剤、カプセル剤、注射剤問わず、腱、筋肉、関節、神経、中枢神経系を含む障害発生、時に永続性障害を生じる可能性懸念の結果、安全性情報アップデート


FDA Drug Safety Communication: FDA advises restricting fluoroquinolone antibiotic use for certain uncomplicated infections; warns about disabling side effects that can occur together
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm500143.htm




An FDA safety review has shown that fluoroquinolones when used systemically (i.e. tablets, capsules, and injectable) are associated with disabling and potentially permanent serious side effects that can occur together. These side effects can involve the tendons, muscles, joints, nerves, and central nervous system.

As a result, we are requiring the drug labels and Medication Guides for all fluoroquinolone antibacterial drugs to be updated to reflect this new safety information. We are continuing to investigate safety issues with fluoroquinolones and will update the public with additional information if it becomes available.


専門家向け
Health care professionals should stop systemic fluoroquinolone treatment immediately if a patient reports serious side effects, and switch to a non-fluoroquinolone antibacterial drug to complete the patient’s treatment course.



Moxifloxacin
Ciprofloxacin
Ciprofloxacin extended-release
Gemifloxacin
Levofloxacin
Moxifloxacin
Ofloxacin


Garenoxacinは・・・米国承認されてない




腱炎、腱損傷リスクについて2008年警告
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm126085.htm




COPDに関して台湾内住民研究後顧的検討によれば・・・
Fluoroquinolones versus β-Lactam/β-Lactamase Inhibitors in Outpatients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease and Pneumonia: A Nationwide Population-Based Study
Kuan-Yin Lin, et. al.
Published: August 25, 2015http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0136232
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0136232
フルオロキノロン系とβ-lactam/β-lactamase inhibitorは同等の臨床効果

現行UPTODATEによると
リスク要素のないCOPDにおいて、「advanced macrolide or cephalosporin or Doxycycline or Trimethoprim/sulfamethoxazole」をまず処方
ただ、65歳超/FEV1%pred. < 50%/年3回以上の急性増悪/心疾患合併ではFluoroquinolone or Amoxicillin/clavulanate(緑膿菌リスクに配慮して処方)となっている




尿路感染
http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/jaidjsc-kansenshochiryo_nyouro.pdf

これでは、真っ先にキノロン処方する罠





大喜利:特定健診・特定保健指導検討会


2016年3月11日 第4回 特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000124131.html


「擬陽性」の誤植はまだ許せる・・・


この議論をみると、行き当たりばったりのその場限りの意見交換にしか思えない

費用対効果を真剣に議論するのであれば、システマティック・レビュー&メタアナリシスをこの会議の正式資料として、できればパブリックにも公表して、広く議論を行い、その上で討議すべき

「検診の意義」についてぶれぶれ・・・


「メタボ(リック・シンドローム)健診」オプションの眼底検査、心電図検査は、その意義を、指針制作したこの会議メンバーすらはっきりしてないというのだから・・・恐れ入る



12誘導心電図の測定について、心電図は虚血性心疾患、脳血管疾患等の該当者・予備群を減少させるためではなく、心疾患の重症化の進展を早期にチェックするという点です。それはよろしいですか。それから、詳細な健診の項目として実施しているが、検査で評価可能な疾患、左室肥大、心房細動等を踏まえて、実施する対象集団をより明確に規定してはどうか、サブグループ化してはどうかということですが。
要するに、現行心電図施行目的は「既疾患」進展チェックにつかうということらしい。それって検診???

わらうのが、「2番目の心房細動の問題は非常に重要」

これって、心電図とるまでもなく脈見れば分かるだろ!・・・あほか こいつ等



眼底検査においては・・・


糖尿病の患者は健診のときに眼底検査をしただけで十分なのか、不十分なのか。その辺りもしっかりと言っていかないと、ご指摘のように見逃しの危険もあるのかなと。眼科医が周辺まで丁寧に見られるのとは違うと。

精度管理の議論さえ結論出てない・・・見切り発車というのがよく分かる




CKD検診を入れ込めれば他はどうでもよいのだろう。結果ありきのくだらない、茶話講談・・・こういうので、国の検診指針が決まっているとは・・・嘆きたくなる

2016年5月12日木曜日

SPIROMICS研究: 拡張剤使用後FEV1/FVC≧0.7の現行・既往喫煙のうち有症状(CAT10以上)の病的意義明らかに

 Subpopulations and Intermediate Outcome Measures in COPD Study (SPIROMICS):呼吸器症状既往現行喫煙/既往喫煙者において、気管支拡張剤使用後FEV1/FVC以上にかかわらず、COPDと同様な慢性下気道疾患に一致する症状・所見を示す一群がある;preserved EFならず、preserved pulmonary function現行・既往喫煙者という病態が存在

 「拡張剤後FEV1/FVC<0 .7="" p="">「 たばこ既往・現行使用者において、CATという質問紙を用いた問いかけを行い、CAT<10と≧10で分類し、後者を「BMI、年齢、性別、人種、民族、合併症<うっ血性心不全、GERD、喘息診断既往>、小児期喘息診断」といった寄与要素補正の結果急性増悪リスク増加と関連している



Clinical Significance of Symptoms in Smokers with Preserved Pulmonary Function
Prescott G.
Woodruff, et. al., for the SPIROMICS Research Group*
N Engl J Med 2016; 374:1811-1821May 12, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1505971



気管支拡張剤使用後”FEV1/FVC<0.7”というCOPDの定義
多くの喫煙者たちはこの定義に合致しない


2736名現行・既往喫煙と、非喫煙対照で、CAT(COPDアセスメントテスト)を用い呼吸器症状を計測

呼吸器症状は肺機能温存現行・既往喫煙者で存在
有症状現行・既往喫煙者は無症状現行・既往喫煙者より呼吸器急性増悪発生率平均( ± SD)高率 (0.27 ± 0.67 vs. 0.08 ± 0.31 、 0.03 ± 0.21 イベント数/年間; 両比較 P < 0.001 )




喘息既往有無と関連無く、有症状現行・既往喫煙は、同様比較で、運動制限程度大きく、FEV1・FVC・IC軽度低下、HRCTによる気腫不在気道壁肥厚大

有症状現行・既往喫煙者において、気管支拡張剤使用 42%、吸入ステロイド使用 23%



スパイロメトリ使用頻度極めて少ない医療機関、中には、呼吸器専門と騙っている・語っている医療機関が存在する。喫煙有無関係なく、慢性咳嗽(遷延化を含め)、呼吸困難(発作性、持続性問わず)などあればCOPDと診断したのかさえあやしいのだが、LAMA使用例を目にすることがある。「くそもみそも診療」が私の周囲では多い・・・と世間一般の悪口

ところで、この「preserved pulmonary function現行・既往喫煙者」に対し、薬物治療は有効なのだろうか? discussionに"  Clinical trials are needed to determine whether maintenance therapy with bronchodilators or inhaled glucocorticoids will alleviate symptoms and reduce the rate of respiratory exacerbations in this group."とあり、同様問題提起なされている。

時代で、“BMI理想値”は変動?

全死亡率最小のための決定的BMI値は不明

住民レベル、サブグループレベルに依存し推定ばらつき生じる可能性があり、U字型の最小値付近での形状に関心が集まり、これがBMIの健康基準値と大声で叫ぶアホどもをたくさん産生している。
合併疾患要素、疾患によるBMI変化要素などの影響もある。健康一般住民に純化した報告が必要であり、中途参加被検者やフォローアップ中断例なども影響される報告も多い。


この研究は、全死亡率最小と関連するBMI値を住民レベルで30年間検証した報告
仮説として、全死亡最小値関連BMI値は30年間において一般住民で増加しているかの検証


時代で、“BMI理想値”は変動している? あるいはコホート毎特有の現象?


Change in Body Mass Index Associated With Lowest Mortality in Denmark, 1976-2013
Shoaib Afzal, et. al.
JAMA. 2016;315(18):1989-1996. doi:10.1001/jama.2016.4666.



Copenhagen City Heart Study in 1976-1978 (n = 13 704) and 1991-1994 (n = 9482)
Copenhagen General Population Study in 2003-2013 (n = 97 362)

2014年11月の研究登録までフォローアップされた全例

死亡数

  • 1976-1978 cohort 10 624 (78% cumulative mortality; mortality rate [MR], 30/1000 person-years [95% CI, 20-46])
  • 1991-1994 cohort 5025 (53%; MR, 16/1000 person-years [95% CI, 9-30])
  • 2003-2013 cohort 5580 (6%; MR, 4/1000 person-years [95% CI, 1-10])


がん死亡率を除けば、全死亡率、心血管疾患死亡率、他死亡率は曲線状(U字型)関連

全死亡率最小BMI推定値は、

  • 23.7 (95% CI, 23.4-24.3) in the 1976-1978 cohort
  • 24.6 (95% CI, 24.0-26.3) in the 1991-1994 cohort
  • 27.0 (95% CI, 26.5-27.6) in the 2003-2013 cohort


心血管死亡率最小BMI値推定値は、

  • 23.2 (95% CI, 22.6-23.7)
  • 24.0 (95% CI, 23.4-25.0)
  • 26.4 (95% CI, 24.1-27.4)


他原因死亡率最小BMI値推定値は、

  • 24.1 (95% CI, 23.5-25.9)
  • 26.8 (95% CI, 26.1-27.9)
  • 27.8 (95% CI, 27.1-29.6)





BMI30以上 vs 18.5-24.9 の全死亡率への多変量補正ハザード比は.

  • 1.31 (95% CI, 1.23-1.39; MR, 46/1000 person-years [95% CI, 32-66] vs 28/1000 person-years [95% CI, 18-45]) in the 1976-1978 cohor
  • 1.13 (95% CI, 1.04-1.22; MR, 28/1000 person-years [95% CI, 17-47] vs 15/1000 person-years [95% CI, 7-31]) in the 1991-1994 cohort
  • 0.99 (95% CI, 0.92-1.07; MR, 5/1000 person-years [95% CI, 2-12] vs 4/1000 person-years [95% CI, 1-11]) in the 2003-2013 cohort






2016年5月11日水曜日

小児:急性胃腸炎・脱水軽微:電解質維持経口補水比較し、アップルジュース/嗜好飲料代替可能

OS-1のコマーシャルを見る度に、「脱水・熱中症予防のためのナトリウム高濃度補液」ってエビデンスあるのだろうか?・・・「所ジョージ」のCMを見ながらいつも思う。
脱水状態にある場合は意味あるのだろうが・・・

ナトリウム・食塩過剰投与につながり、国民全般の健康を損なっているのではないかという危惧・・・



さて、

小児の胃腸炎はコモンな疾患で、脱水予防のため電解質維持補液が推奨されるわけだが、脱水傾向にある小児絵甫アドバンテージは不明であった。

今回、ランダム臨床トライアルで、脱水軽微な小児に対して、電解質維持経口補水に比べ、アップルジュース/嗜好飲料にて十分代替可能という結果が報告された




Effect of Dilute Apple Juice and Preferred Fluids vs Electrolyte Maintenance Solution on Treatment Failure Among Children With Mild Gastroenteritis
A Randomized Clinical Trial
Stephen B. Freedman, et. al.
JAMA. 2016;315(18):1966-1974. doi:10.1001/jama.2016.5352.


目的 軽症胃腸炎の小児に対し、経口補水として、希釈アップルジュース/好みの水分が、電解質維持液と比べ非劣性であることを明らかにする 

デザイン、セッティング、被検者 ランダム化・単盲検非劣性、2010年から2015年10月から4月、三次小児医療ED、トロント、カナダ
被検者は6-60ヶ月齢、胃腸炎、脱水程度極小
介入  色でマッチ化した半生食リンゴジュース/好み飲料(n=323)と、リンゴ風味電解質維持補水液(n=324)
経口補水治療後施設プロトコールにしたがう
退院後、半生食濃度のリンゴジュース/好み飲料群を希望に応じ与える、電解質維持補水群では電解質維持補液を水分損失分与える 

主要アウトカム・測定 
プライマリアウトカムは以下イベント登録後7日間以内発生で治療失敗とする
・ 注射補水
・ 入院
・ 予定外医師受診
・ 症状遷延化
・ 個人フォローアップによるcross-over、3% 以上体重減少、有意脱水
セカンダリアウトカム:注射補液、入院、下痢・嘔吐回数
非劣性限界をプライマリアウトカムの7.5%群差と定義、片側検定 α=0.025で評価
非劣性確認されたら、優越性片側検定を行う 

結果 小児647名ランダム化(平均年齢、28.3ヶ月齢;男児 331名[51.1%]、脱水根拠無し 441(68.2%))、644名99.5%フォローアップ完遂
希釈リンゴジュース治療投与で電解質維持補水群より治療失敗多くない
(16.7% vs 25.0%; difference, −8.3%; 97.5% CI, −∞ to −2.0%; P < .001 for inferiority and P = .006 for superiority)
リンゴジュース/好み飲料投与の子供は注射補液投与少ない  (2.5% vs 9.0%; difference, −6.5%; 99% CI, −11.6% to −1.8%)
入院率や下痢・嘔吐回数は群間差認めず

結論/知見 軽症胃腸炎・脱水軽度の小児において、初期経口補水として、希釈アップルジュース→好みの飲料というやりかたは、電解質維持補水群に比べ結果的に治療失敗少ない。
多くの高所得国では、希釈アップルジュース/嗜好飲料は、電解質維持補水の適切な代替治療である

2016年5月10日火曜日

認知症:ORANGE-MCI研究の宣伝


伊勢志摩サミットで、先進国の抱える加齢社会管理の問題が話し合われるだろうと述べ、日本のORANGE-MCIについて紹介されている The Lancet Neurology誌



ORANGE's challenge: developing wide-ranging dementia research in Japan
Naoki Saji,  et. al. on behalf of the ORANGE investigators
The Lancet Neurology,  Vol. 15 June 2016
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S1474-4422(16)30009-6


Organized Registration for the Assessment of dementia on Nationwide General consortium toward Effective treatment (ORANGE)

レジストリー層別
・ preclinical
・ MCI
・ early-stage dementia
・ advanced-stage dementia

長軸的、ライフスタイル、社会的背景、遺伝子リスク要素、必要ケアレベル調査


ORANGE care registryは、認知症患者のエビデンスに基づく、包括管理項目を含む


居住MRSAコンタミネーションにてMRSA感染症再発リスク

社会環境でのMRSA感染数劇的増加


多くは皮膚や軟部組織だが、5%〜10%は生命危機に関連する

社会に於ける黄色ブドウ球菌の主たる貯蔵庫とも思える住居に注目した検討

医療施設や特定の高リスク環境例えばドラッグ使用場所、囚人施設などでは検討されていたが、居宅・住居環境での感染伝播・contaminationが注目されてきている


ということで、居宅内環境によるコンタミネーションによりCA-MRSA感染者の再発感染リスクを増加させるか?
CA-MRSA感染82個人の前向きコホート研究、環境アイテムが臨床分離された住居居住者では、分離されてない住居居住者より再発リスク2倍

多回数感染居宅では特に、CA-MRSA感染予防において、環境的除菌の重要性認識された


Association of Environmental Contamination in the Home With the Risk for Recurrent Community-Associated, Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Infection
Justin Knox, et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 09, 2016.






2016年5月6日金曜日

CALERIE第2相研究:非肥満成人カロリー制限(10%減量程度)ではのネガティブな影響は認めない

カロリー制限(caloric restriction : CR)は多くの種で長寿と関連し、慢性疾患リスクを減少させると、ヒトにおいてはCRによる生命期間延長の可能性あるも、潜在的リスクの可能性を検討しなければならない


CALERIE2トライアルは、非肥満成人への疾患リスク要素、生命予後要素への影響をみた初めての研究と思われる
ad libitum (AL)食を対照に2年間25%


健康非肥満成人での気分、QOL,睡眠、性的機能へのCRの影響検討

非肥満成人にて、約10%減量程度カロリー制限では、QOL面、気分、性機能、睡眠へのネガティブな影響は認めない


Effect of Calorie Restriction on Mood, Quality of Life, Sleep, and Sexual Function in Healthy Nonobese Adults
The CALERIE 2 Randomized Clinical Trial
Corby K.Martin,et. al. ; for the Comprehensive Assessment of Long-term Effects of Reducing Intake of Energy (CALERIE) Phase 2 Study Group
JAMA Intern Med. Published online May 02, 2016. 

多施設ランダム化臨床トライアル  (Comprehensive Assessment of Long-term Effects of Reducing Intake of Energy Phase 2 [CALERIE 2]) を3箇所の学術研究施設で施行 
成人男女  (N = 220)  body mass index (BM)  22.0 〜 28.0をランダム化
・2 years of 25% CR
・an ad libitum (AL) control group
in a 2:1 ratio favoring CR 
ベースライン、12ヶ月、24ヶ月でデータ収集、ITT解析
January 22, 2007〜 March 6, 2012

介入:2年間 25%カロリー制限 or ad libitum対照

計測
Beck Depression Inventory-II [BDI-II] スコアレンジ 0 〜 63 高いスコアほど気分障害悪化:自己報告質問
Profile of Mood States [POMS] total mood disturbance scoreレンジ −32 〜 200 高値ほど 測定構成レベル高値を意味する)
Rand 36-Item Short Form QOL score range 0 〜 100 高値ほどQOL良好
Perceived Stress Scale  score range 0 〜 40、高値ほどストレスレベル大
Pittsburgh Sleep Quality Index [PSQI] 睡眠 総score range 0 〜 21, higher scores reflecting worse sleep quality)
Derogatis Interview for Sexual Function–Self–report 性機能 total score range 24 〜 188,高値ほど性的機能良好


218名、女性 152名(69.7%);平均[SD]年齢, 37.9 (7.2)歳;平均[SD] BMI 25.1 [1.6]

CRとAL群で体重減少24ヶ月目 7.6 (0.3) kg 、 0.4 (0.5) kg  (P <  0.001)
AL群と比べ、CR群は気分改善有意 (BDI-II: between-group difference [BGD], −0.76; 95% CI, −1.41 to −0.11; effect size [ES], −0.35)、tension減少 (POMS: BGD, −0.79; 95% CI, −1.38 to −0.19; ES, −0.39)、一般健康改善 (BGD, 6.45; 95% CI, 3.93 to 8.98; ES, 0.75) 、sexual drive 及び relationship改善 (BGD, 1.06; 95% CI, 0.11 to 2.01; ES, 0.35)、12ヶ月めの睡眠時間改善  (BGD, −0.26; 95% CI, −0.49 to −0.02; ES, −0.32) (all P < .0.05)
性別減量比率はCR群24ヶ月めで、vigor増加と相関(Spearman correlation coefficient, ρ = −0.30) 、POMS計測気分障害の少なさと相関(ρ = 0.27) 、SF-36計測一般健康状態改善と相関improved general health (ρ = −0.27) 、PSQI total scoreあたりの睡眠の質改善と相関 (ρ = 0.28) (all P < 0.01)。


結論
非肥満成人において、カロリー制限は特定の正の効果があり、ネガティブな影響は健康関連QOLで認めない






Heart Rhythm Society年次会合:心房細動、ワルファリン使用は認知症リスクを高める?

Heart Rhythm Society (HRS) 2016 Scientific Sessions

心房細動も、ワルファリン使用も、それぞれ独立して、認知症リスクを高めるというショッキングな報告

ただ、後顧的検討、スピーチ発表なので、conclusiveとは言えない



「基礎疾患各々の1万名を超えるワルファリン服用者、認知症発症リスク増加を示すという、約7年間のフォローアップ研究。
AF患者は2.8%、他疾患患者は9.9%発症
AF患者は非AFに比べ認知症発症のベースラインリスク、高血圧、糖尿病、卒中既往の要素を多くもつ。
しかし、これら要素を補正したサブグループ解析でもAF患者は認知症全種リスク高い
加え、認知症リスクはワーファリン不良コントロール時で高い、これは、AF有無と関連しない」

解説では、「Specifically, researchers found, patients on the clot-preventing drug warfarin showed a higher dementia risk if their blood levels of the medication were frequently too high or too low.」とあり、ワルファリン投与時コントロールと関連しているようだ。

ワーファリンの適正使用に関しては言及されてないのかも・・・要旨だけではその表現ない


Atrial fibrillation patients treated with long-term warfarin anticoagulation have higher rates of all dementia types compared to patients receiving warfarin long-term for other indications.
Bunch TJ, May HT, Bair TL, et al.
Heart Rhythm Society 2015 Scientific Sessions; May 5, 2015; San Francisco, CA.
http://brandresourcesgroupmedia.com/hrs/wp-content/uploads/2015/04/Atrial-Fibrillation-Patients-Treated-with-Long-term-Warfarin.pdf


 Intermountain Healthcare Clinical Pharmacist Anticoagulation Service (CPAS)管理、INR 2-3ワーファリン・コトンロール10537名
 AF 4460、血栓塞栓 5868、人工弁 209

 多変量Coxハザード回帰分析結果

 AF患者は、他2疾患群より高齢、高血圧・糖尿病・心不全・卒中高率

 AF患者は、認知症発症率高く (5.8% vs 1.6%, p<0 .0001="" 0.2="" 0.9="" br="" p="" vs="">

6030名の propensity 解析・ベースライン住民統計指標を補正
認知症長期リスクは、非AF群マッチ化した場合、AF群で維持
 [認知症全体: HR=2.42 (1.85,
3.18), p<0 .0001="" 2.98="" 3.86="" af="" blockquote="" hr="3.92," p75="" p="">

2016年5月3日火曜日

肥満:減量後も代謝適応により基礎代謝低下し、6年も続く;肥満リバウンドの機序

減量は基礎代謝速度低下を伴い、体組成変化により基礎代謝も減少する。
この現象はmetabolic adaptationとかadaptive thermogenesis(適応的熱発生?)などと呼ばれ、多源量の邪魔で、体重再増加現象にも関与する。
このありがたくない影響・作用はいつまで続くのだろう?

テレビ番組で減量を競い合った競技(30週間)参加者(平均148.9±40.5kg →競技終了 90.6±24.5 kg)を対象に検討した結果、6年後(体重:131.6 ± 45.3 kg)も(基礎代謝はベースラインより低下する場合があるほど)基礎代謝低下は続き、いわゆるmetabolic adaptationが増強され、減量前より太りやすいという悲観的な報告


Persistent metabolic adaptation 6 years after “The Biggest Loser” competition
Erin Fothergill, et. al.
Obesity,  First published: 2 May 2016

"The Biggest Loser"の安静代謝速度(RMR)の長期変化調査
関節calorimetryをベースライン、30週間、6年後調査
metabolic adaptation:代謝適応:体組成・年齢補正後residual RMRと定義

16名の"Biggest Loser"というテレビ番組減量競技の参加者
強化食事・運動介入したclass III 肥満
フォローアップは14名

競技終了時点での減量は (平均 ± SD) 58.3 ± 24.9 kg (P < 0.0001)
RMR は 610 ± 483 kcal/day (P = 0.0004)減少

6年後、体重減少分の41.0 ± 31.3 kg再増加 (P = 0.0002)、 RMR ベースラインより 704 ± 427 kcal/day減少 (P < 0.0001) 、 metabolic adaptation −499 ± 207 kcal/day (P < 0.0001)

体重再増加は競技終了時点でのmetabolic adaptationと相関せず (r = −0.1, P = 0.75)、しかし、6年後体重減少維持被検者はconcurrentな代謝速度低下も伴っている(r = 0.59, P = 0.025)




急性胃腸炎:施設託児1年間は増加、その後感染予防的に

1歳児デイケア託児は急性胃腸感染(AGE)のタイミングを早め、託児所年は感染burden増加するも、その後、防御的働きをして、託児されない子供より感染に対して防御的となり、6歳までこの防御的役割を果たす


Wheezing Illnesses Study Leidsche Rijn cohort 6年間、 デイケア託児初年の急性胃腸炎(acute gastroenteritis)発症とプライマリケア受診率の影響を6歳まで検討


First-year Daycare and Incidence of Acute Gastroenteritis
Saskia Hullegie, et. al.
Pediatrics May 2016, VOLUME 137 / ISSUE 5
http://pediatrics.aappublications.org/content/137/5/e20153356


1歳未満のデイケア託児 2220名中1344名(83%)、1歳デイケア託児と、非託児対照とは同等 (IR: 12.2/100 vs 13.3/100 人年)
1歳デイケア託児は、非託児と比べ、初年1年でAGE高頻度 IRR: 1.13; 95% confidence interval: 1.06–1.21) 、3-6年で減少  (P < .0001)

デイケア関連AGE発症率増加は主に託児初年12ヶ月であり、明らかな季節性を認めた
同様パターンがAGEエピソード毎プライマリケア受診率についての認められた

Hピロリ治療中のクラリスロマイシンによる急性精神神経症リスク増加

短期間で精神神経症を誘発する、Hピロリ菌除菌治療

抗生剤投与後の躁症状出現を、"antibiomania"と呼ぶが、クラリスロマイシンだけでなく、除菌治療に含まれるアモキシシリンでも報告がある



Association Between Acute Neuropsychiatric Events and Helicobacter pylori Therapy Containing Clarithromycin
Angel Y. S. Wong, et. al.
JAMA Intern Med.  Published online May 02, 2016.doi:10.1001/jamainternmed.2016.1586



香港のClinical Data Analysis 及び Reporting System database



post hoc nested case-control analysisも施行
年齢補正 incidence rate ratios (IRR) は conditional Poisson regressionにて行う

最低1回CAM処方された患者 66 559 。平均(SD)年齢: 50.8 (14.8 歳);初回暴露時平均年齢 55.4 (14.8) 歳、男性 30 910  (46.4%)。

研究期間中初回複合神経精神イベント 1824名


複合精神神経イベント組み合わせ(72人年あたり35)、 IRR増加 4.12 (95% CI, 2.95 - 5.76)、1暴露前14日間 (72人年あたり14イベント);  IRR, 1.63; 95% CI, 0.96-2.77) vs baseline (16 665人年あたり 1766 イベント)


現行使用中のIRR増加 4.12 (組み合わせ精神神経イベント 72人年あたり 35; 95% CI, 2.94 - 5.76)、直近使用なしでは増加認めず  (9 events during 82 person-years; IRR, 0.95; 95% CI, 0.49-1.83) 、暴露前14日間(72人年中14イベント; IRR, 1.63; 95% CI, 0.96-2.77) vs baseline (16 665 人年中1766)

同様に、精神病イベントと認知機能障害とも、ベースラインに比べた現行使用中ではリスク増加するが、近日使用の場合ベースラインまで次第に減少する

CAM使用中精神神経イベント、精神病イベント、認知障害組み合わせ粗絶対リスクは、1000処方あたりそれぞれ 0.45、0.12、0.12

nested case-control analysis でもself-controlled case series analysisと同様の結果


 

末期腎不全:心房細動ワルファリン治療にリスク/ベネフィット疑念、非末期腎不全は効果



Stroke, Major Bleeding, and Mortality Outcomes in Warfarin Users With Atrial Fibrillation and Chronic Kidney Disease : A Meta-Analysis of Observational Studies
Khagendra Dahal, et. al.
Chest, Volume 149, Issue 4, April 2016, Pages 891-892
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2443140


メタアナリシスによると、CKDのうち、non-end-stage CKDではない、end-stage CKDに於いてワルファリン使用に関しリスク/ベネフィット比不良の可能性あり



11コホートの13出版(後顧的研究6つ、前向き研究5つ)、48,500患者、ワルファリン使用11,600患者


AF及びnon-end-stage CKDでは、ワーファリン虚血性卒中/血栓塞栓リスク低下(HR, 0.70, 95% CI, 0.54 - 0.89; p=0.004)、死亡率低下(HR, 0.65, 0.88 - 0.72; p< 0.00001)。重大出血への影響なし (HR, 1.15; 95% CI, 0.88 - 1.49; p=0.31)


一方、AF及びend-stage CKDでは、ワルファリンは卒中リスクへ効果無し(HR, 1.12; 95% CI, 0.69-1.82; P =0 .65) 、死亡率へも効果無し(HR, 0.96; 95% CI, 0.81-1.13; P = 0.60)、しかし、重大出血リスク増加あり(HR, 1.30; 95% CI, 1.08-1.56; P = 0.005)

上:卒中/血栓塞栓、中:重大出血、下:死亡率

2016年5月2日月曜日

SPIROMICSコホート:COPD患者では現行喫煙者でも間接喫煙の影響を受ける;アウトカム悪化・気道壁肥厚

間接喫煙は喫煙者にはあまり影響ないだろうと思っていたが、
副流煙の危険性は直接喫煙の影響を凌駕する面もあるようだ





Understanding the impact of second-hand smoke exposure on clinical outcomes in participants with COPD in the SPIROMICS cohort
Nirupama Putcha et. al. , for the SPIROMICS Investigators
Thorax 2016;71:411-420 doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207487
http://thorax.bmj.com/content/71/5/411.abstract


背景 間接喫煙: Second-hand smoke (SHS) exposure は肺疾患発症・合併症と関連。COPD患者での健康関連アウトカムに於けるSHSのインパクト理解を進めたい

方法 SPIROMICSでのCOPD被検者中、recent SHS暴露を定量評価
 (1) 先週の記録された暴露時間数
 or
 (2) 喫煙者と居住報告
 SHSをアウトカム、性別・人種・喫煙・肥満との相互作用と補正回帰

結果 COPD患者1580名のうち、20%が喫煙者と同居、27%が1週前暴露報告

喫煙者との同居は St George's Respiratory Questionnaire score (SGRQ, β 3.10; 95% CI 0.99 to 5.21)悪化と相関、 COPD Assessment Test score (β 1.43; 95% CI 0.52 to 2.35) 悪化と相関、重症急性増悪リスク増加と相関(OR 1.51, 95% CI 1.04 to 2.17)

1週前のSHS暴露は、SGRQ (β 2.52; 95% CI 0.47 to 4.58)、夜間症状 (OR 1.58; 95% CI 1.19 to 2.10)、 wheezing (OR 1.34; 95% CI 1.02 to 1.77)、慢性湿性咳嗽 (OR 1.77; 95% CI 1.33 to 2.35) 増加、咳嗽・喀痰困難さ (Ease of Cough and Sputum scale, β 0.84; 95% CI 0.42 to 1.25)と関連
SHSは、CT上の気道壁肥厚と相関するが、気腫とは相関せず

active smoker、肥満、気道閉塞重症度軽度という要素も、特定のアウトカムにおいてSHSの感受性高くなる

結論 COPD患者、active smokerを含め、SHS暴露頻度多く、アウトカム悪化や気道壁肥厚と関連。active smokerおよび肥満の場合SHSはアウトカム悪化と関連する



間接喫煙のインパクト・・・

2016年5月1日日曜日

SmokeHaz:システマティック・レビュー&メタアナリシス:喫煙による呼吸器系作用

煙害と訳したらよいのだろうか?

SmokeHaz (www.smokehaz.eu): A scientific review of the health hazards of smoking
http://www.europeanlung.org/en/projects-and-research/projects/smokehaz/home




SmokeHaz: Systematic reviews and meta-analyses of the effects of smoking on respiratory health
Leah Jayes , et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.03.060
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2518219

喫煙の呼吸器系疾患へのインパクトを科学的データを要約
長軸的研究のシステマティック・レビュー&メタアナリシス(2013年まで出版)
:電子データベース、grey literature、専門家から同定、216の論文

成人喫煙者のうち
肺癌 (Risk Ratio (RR) 10.92, 95% CI 8.28-14.40; 34 研究)
COPD (RR 4.01, 95% CI 3.18-5.05; 22 研究)
喘息 (RR 1.61, 95% CI 1.07-2.42; 8 研究)


受動喫煙:成人非喫煙者
肺癌
喘息
喘鳴
下気道感染

小児:肺機能低下

喫煙は、成人と妊婦では睡眠時無呼吸、喘息急性増悪

能動・受動喫煙とも結核リスク増加
 
結論:これら治験はSmokeHaz Websiteで公表


メタアナリシス:スタチンによるうつアジュバント治療効果

“「自殺者の9割がスタチン服用してた」→故に、スタチンはうつ誘発”という低レベルの情報ネットで広まってるようだ。


スタチンの中等症・重度うつへのトライアルは、pubmedで3つほど現時点で見いだすことができる


Statins for the treatment of depression: a meta-analysis of randomized, double-blind, placebo-controlled trials

Estela Salagre , et. al.
Journal of Affective Disorders
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jad.2016.04.047



疫学的研究にて、スタチンは気分障害へベネフィット可能性あり、一部RCTも示されている。
しかし、うつへのスタチンの役割不明。

中等度・重度うつ165名、3つの文献を最終的にシステマティックに検索後検討

抗うつ薬(citalopram or fluoxetine)のアジュバントとして、スタチン投与 82名、プラシーボ群 83

全研究は二重盲検RCT、フォローアップ 6-12週
スタチンは、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン

プラシーボに比較して、add-on治療としてのスタチンでHDRSによる鬱症状評価大幅改善(SMD = −0.73, 95% IC −1.04 to −0.42, p<0 .001="" n="165)</blockquote">

出版バイアスの可能性は否定できない 

システマティック・レビュー:誤嚥検出のためのベッドサイド水飲みテスト:一飲み量(1−5ml)で再現できればrule inできる

誤飲検証のためのベッドサイド水飲みテストは、一飲み量(1−5ml)で再現できればrule inできる


Screening accuracy for aspiration using bedside water swallow tests: A systematic review and meta-analysis
Martin B. Brodsky, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.03.059
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2518218



bedside water swallow test (WST)


気道反応(e.g. 咳き込み/窒息的)± 声の変化 (e.gi. ウェット/ゴボゴボ音質)を誤嚥とする
一飲みできる量 1-5 mlでのプール化推定値 感度 71%(95% CI, 63% - 78%) 特異度 90% (95% CI, 86% - 93%)

分けて飲み込まなきゃ行けない量 90 - 100mlトライアルでは、感度 91% (95% CI, 89% - 93%) 、特異度 53% (95% CI, 51% - 55%)

漸増飲水トライアルでは、感度 86% (95% CI, 76% - 93%)、 特異度 65% (95% CI, 57% - 73)

声質変化を伴う気道反応により誤嚥同定全般正確性改善

結論:ベッドサイドWSTは理想的ではないが、現在では十分な誤嚥スクリーニングのユーティリティである。漸増的水飲みトライアルは一過性気道反応声質変を伴わない患者で誤嚥リスクを除外できない。少量の一飲み量トライアルでは臨床的徴候再現できれば誤嚥をrule in できる。



ほんとは rule outできるユーティリティが欲しいのである!


http://www.engesyoku.com/kiso/kiso07.html




窪田式
https://www.med.or.jp/english/journal/pdf/2011_01/031_034.pdf


改訂水飲みテスト(modified water swallow test : MWST)
3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下してもらい、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。3ml冷水の嚥下が可能な場合には、更に2回の嚥下運動を追加して評価する。評点が4点以上の場合は、最大3回まで施行し、最も悪い評点を記載する。

評点  

  • 1点  嚥下なし、むせまたは呼吸変化を伴う      
  • 2点  嚥下あり、呼吸変化を伴う
  • 3点  嚥下あり、呼吸変化はないが、むせあるいは湿性嗄声を伴う
  • 4点  嚥下あり、呼吸変化なし、むせ、湿性嗄声なし
  • 5点  4点に加え、追加嚥下運動(空嚥下)が30秒以内に2回以上可能
  • 判定不能   口から出す、無反応

リアルワールドACOS

“ACOSは一般住民で頻度多く、男性に倉bレ女性が多い、しかし、65歳以上では男性が多くなる。COPD 18.3%がACOS、女性で頻度多い(女性 21.8% vs 男性 11.6%)
そして、喫煙既往なしで頻度多い”という記載・・・


だが、冒頭は、“COPDは加齢、喫煙が関連するが、両者とも原因と関連する・・・"と書かれ、ACOSに関しては、GINA-GOLD文書に基づき、 “asthma-COPD overlap syndrome (ACOS) is characterized by persistent airflow limitation with several features usually associated with asthma and several features usually associated with COPD. ACOS is therefore identified by the features that it shares with both asthma and COPD.”と書かれている。
このような記述だと、ACOSの必要条件はCOPDに含有されるわけではないようだ。実際のGINA-GOLD文書には、ACOSの明確な定義はなく、診断方法のガイダンスに過ぎないのが現実。

この論文では、リモデリング喘息や内因性気管支炎(DPB、副鼻腔気管支症候群など)の記載がない(chronic bronchitis記載はあるが・・・具体的記載が無い)



現実、リアルワールドでは、COPD患者に喘息診断事前診断既往の場合が多いと筆者等は考えている。それに基づき、ACOSの罹病率、合併症、入院リスクインパクトの検討


Comorbidome, Pattern, and Impact of Asthma-COPD Overlap Syndrome in Real Life
Job F.M. van Boven, PharmD ,et. al.
Chest. 2016;149(4):1011-1020. doi:10.1016/j.chest.2015.12.002


ACOS 5,093名(住民1千あたり5.55 罹病率)を、COPD 22,778名(30.40 罹病率)と比

ACOS患者はCOPDに比べ
・ 女性が多い ACOS (53.4%) vs  COPD (30.8%)
・ 若年  ACOS, 64.0 歳 vs  COPD, 65.8 歳
・ 非喫煙状況に差がある ACOS, 41.4% vs COPD, 22.1%
(all, P < 0.001)




補正解析にてACOSでCOPDより頻度多い
・アレルギー性鼻炎 (OR, 1.81; 95% CI, 1.63-2.00)
・不安 (OR, 1.18; 95% CI, 1.10-1.27)
・胃食道逆流 (OR, 1.18; 95% CI, 1.04-1.33)
・骨粗鬆症 (OR, 1.14; 95% CI, 1.04-1.26)


逆に、頻度少ない
・慢性腎臓病 (OR, 0.79; 95% CI, 0.66-0.95)
・虚血性心疾患 (OR, 0.88; 95% CI, 0.79-0.98)


一方、ACOS患者では、心血管疾患は入院と強く相関




上:ACOS、 下 COPD



ACOS自体、なにみてるかわからない疾患群だから・・・ 

呼気温度分析:COPD発症予測

呼気分析は、NOやVOCだけではない、呼気温度も診断に役立つのかもしれない


知らなかったが、以前からなされてた・・・

Slower rise of exhaled breath temperature in chronic obstructive pulmonary disease.
Paredi P, Caramori G, Cramer D, et al.
Eur Respir J 2003; 21: 439–443.

炎症性メディエータ有利にて気管支の血管拡張、ブラディキニン、PG、ニューロペプチド類増加。PAFは気道血流増加。気管支血管床減少により血流そのものは減少、さらに血管収縮性エンドセリンの影響、過膨脹にて気管支血流減少する部分がある。これらの炎症惹起メディエータによる血管拡張作用と気管支を含めた血管床減少のバランスにより気管支の血流は依存


ネットでは、COPD患者は呼気温度増加分量減少のよう




Exhaled Breath Temperature as a Novel Marker of Future Development of COPD: Results of a Follow-Up Study in Smokers
Marina Laborae,et. al.
COPD: Journal of Chronic Obstructive Pulomonary Disease DOI:10.3109/15412555.2016.1164129 Published online: 14 Apr 2016

exhaled breath temperature (EBT) :平均校正についての研究


現行喫煙(n=140, 40-65歳、pack-years 20以上) COPD診断履歴無し

初期評価COPD診断無しとGOLD 1 stageを2年後再評価

COPDはLLN肺機能クライテリアにて診断


ΔEBT(初回受診時喫煙後EBT変化量)は、新規診断COPD、新規診断COPD+重症度進行という2年後の2つの要素に有意に予測的  (p < 0.05 for both)
ΔEBTのLLNクライテリア新規COPD診断に関するAUCは 0.859 (p = 0.011)、感度 66.7% 、特異度 98.1%



住民ベースmetagenomics:腸内微生物群ゲノム構成と多様性に関する要素:食事、疾患、喫煙、薬剤など

ワインやコーヒーは腸内細菌叢の健常性と多様性と関連
他、野菜、果物、ヨーグルトが細菌叢の微生物多様性と関連

逆に、加糖飲料やスナック類は多様性レベル低下と関連
過敏性腸症候群や妊娠中喫煙も低下と関連

女性は男性より多様性高く、高齢者は若年者より多様性あり

注意すべきはこの研究は特定の食品や行動に特定の個人の腸内細菌叢に影響を与えているかを正確に示しているわけではない



Population-based metagenomics analysis reveals markers for gut microbiome composition and diversity
Alexandra Zhernakova, et. al.
http://science.sciencemag.org/content/352/6285/565
Science Vol 352, Issue 6285 29 April 2016
 Lifelines-DEEP studyという、オランダの1135名の腸内細菌の検討で、126の外因・内因要素(内因要素31)、60の食事要素、12の疾患要素、19の薬剤要素、4つの喫煙関連カテゴリーとの関連性が示された。これらの要素は 微生物校正の個別バリエーション18.7%の説明要素となる。 
110の要素は、125の菌種と関連し、便CgA(chromogranin A)、神経内分泌ペプチドが61の微生物種と微生物構成53%にあたり独占的に関連することが示された。
低CgA濃度は、多様性microbiomeで観察される。


筆者等によれば大規模研究で腸内microbiomeと関連した多数宿主と環境要素検討した初めての系統的評価


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