2014年6月28日土曜日

就労可能年齢の1割が、飲酒原因で死亡! ・・・ アルコールの害は深刻



10名に1人が過剰飲酒原因で死亡
http://www.wfmynews2.com/story/news/local/2-wants-to-know/2014/06/27/wfmy-2wtk-cdc-excessive-drinking/11551031/


過度のアルコール節酒が米国内での早期死亡の主たる原因となってきている。

alcohol-attributable deaths (AAD):アルコール関連死

years of potential life lost (YPLL):平均余命(同義)




"Contribution of excessive alcohol consumption to deaths and years of potential life lost in the United States"
Stahre M, et al 
Prev Chronic Dis 2014; 11: 130293. 


平均年時死亡数、平均余命(YPLL)

http://www.cdc.gov/pcd/issues/2014/13_0293.htm#table1_down
 
2006年から2010年まで
AAD年間平均 87,798 (27.9/100,000 population)
YPLL 250万 (831.6/100,000)

年齢補正州毎AAD率は、ニューメキシコ州 51.2/100,000から、ニュージャージー州の 19.1/100,000まで

就労可能年齢成人のうち、 米国内の全死亡数の9.8%が超過飲酒に起因するもので、就労可能者が占めるAAD比率は69%にも及ぶ。

米国FDA、短時間作用型吸入インスリン(Afrezza)承認

米国FDA、短時間作用型吸入インスリン(Afrezza)承認
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm403122.htm


3017名(1型 1026名、 2型 1991名)の研究をベースに24週間治療、ベーサルインスリンに食事時Afreza治療で、ベーサルインスリン+インスリンaspart(NovoLog)比較の非劣性証明されたことに基づく承認。


2011年から3度目の承認トライアルで、データ不十分といういことと、臨床情報・表示情報不足ということで拒絶され続けていた。


 また、ファイザー社の Exuberaの肺癌リスクに関する議論がなされている。

急性気道攣縮リスクについて警告。COPD、喘息患者では禁忌。
副作用報告としては、低血糖、咽頭痛・咽頭刺激症状

2014年6月26日木曜日

EMBRACE研究:原因不明卒中:短時間心房細動の割合 15%強 、CRYSTA AF研究(ICM)では 9%程度

被験者:55歳以上の572名、既知心房細動なしの、6ヶ月内のcryptogenic 虚血性卒中、TIA(24時間ECGを含む標準検査後原因特定試み後)

非侵襲的自由行動下ECGモニタリング
・30日間イベント・トリガー記録(介入群)
・通常の24時間モニター(対照群)

主要アウトカムは、90日間内の新規心房細動(30秒以上)検知

Atrial Fibrillation in Patients with Cryptogenic Stroke
David J. Gladstone, et. al.
for the EMBRACE Investigators and Coordinators
N Engl J Med 2014; 370:2467-2477June 26, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1311376

30秒以上心房細動検知比率:
対照群である通常介入群では、9/277 (3.2%)
介入群である30日間イベントトリガー記録群では、 45/280(16.1%)
絶対差: 12.9%ポイント (95% 信頼区間 [CI]、  8.0 to 17.6 ; p < 0.001) Numbers Needed to screen 8


2.5分以上継続の心房細動では、対照群 7/277(2.5%) vs 介入群 28/284(9.9%)、絶対差は、 7.4% ; 95% CI, 3.4 to 11.3 p < 0.001

90日間内の経口抗凝固治療施行率は、対照群 31/279(11.1%) vs 介入群 52/28(18.6%)、絶対さは、 7.5%、95% CI、 1.6 to 13.3 p=0.01)





原因不明の卒中のうち、短時間の心房細動に起因する例も16%程度あるようだ。
通常のホルター心電図では検知できない場合の5倍も存在し、通常の検査で原因不明でおわり、抗凝固療法なされない場合も多く存在することが示唆される。

検査システムの再構築が必要かもしれない。




こちらは、やはり原因不明の卒中における、insertable 心臓長期モニタリング(ICM)にて30秒超持続心房細動検出率を通常フォローアップ群で比較。8.9%の検出率(vs 通常検査:対照群 1.4%)

Cryptogenic Stroke and Underlying Atrial Fibrillation
Tommaso Sanna, et. al.
for the CRYSTAL AF Investigators
N Engl J Med 2014; 370:2478-2486June 26, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1313600


2014年6月25日水曜日

ICE/ENDO 2014:スマホで、ストレス度チェック





スマートフォンで、唾液腺コルチゾール検査・・・ストレス度チェックだそうで・・・

ICE/ENDO 2014(joint meeting of the International Society of Endocrinology and the Endocrine Society (in Chicago))で報告


http://medicalxpress.com/news/2014-06-quick-easy-inexpensive-cortisol-smartphones.html


10分未満、5ドル未満で測定可能という触れ込み





唾液腺コルチゾール評価は、状況要因(起床時刻、睡眠など)の影響が大きく、運動、喫煙なども影響あり、解釈自体が難しいと思うのだが・・・ いけいけどんどんでデバイスを提供されていく・・・


2014年6月24日火曜日

インジウム:血中濃度高ければ肺気腫発症リスク増加

インジウム化合物は、間質性肺炎、発癌性の懸念がある。暴露量依存的肺組織への悪影響の横断研究から、5年間の長軸研究。

インジウム血中濃度高値ほど、喫煙者における気腫発症増加あり
20 μg/L超で、各種補正後、気腫発症リスク増加あり


Five-year cohort study: emphysematous progression of indium-exposed workers
Makiko Nakano ,et.al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2484



Pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE) with UIP は、IPF/UIPと異なる臨床病型


日本の多施設・筆者名の論文


Characteristics of pleuroparenchymal fibroelastosis with usual interstitial pneumonia compared to idiopathic pulmonary fibrosis
Tsuneyuki Oda, et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2866 


手術標本の組織学的UIPパターンを有する110名の連続IPF患者の後顧的レビュー


Pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE)のレントゲン診断11名中9名でPPFE with UIPパターン


PPFE with UIPは、残気量有意に高値で、(18 vs 1.3L; p < 0.01)、 PaCO2高値(44.6 vs 41.7 mmHg; p=0.04)、 気胸/縦隔気腫合併症高率


前後径/経胸直径比率は、PPFE with UIPは、IPF/UIPより有意に低値 (p=0.04)


生存期間は、PPFE with UIPが短い。






PPFE:胸膜肺実質インターフェースの肥厚



http://link.springer.com/article/10.1186%2F1465-9921-12-111

成人発症型成人型糖尿病(HNF1A):GLP-1受容体アゴニストはSU剤と同等の効果で、低血糖リスク少ない


young (MODY), hepatocyte nuclear factor 1α (HNF1A diabetes: MODY3)という、成人発症型成人型糖尿病の高頻度病型は、SU剤による高度低血糖リスクを生じるが、GLP-1受容体アゴニスト治療の効果を評価。


小規模トライアルをラフに評価すれば、GLP-1受容体アゴニストは、SU剤と同等の血糖降下作用を示し、しかも、低血糖エピソードが少ない。


Glucose-Lowering Effects and Low Risk of Hypoglycemia in Patients With Maturity-Onset Diabetes of the Young When Treated With a GLP-1 Receptor Agonist: A Double-Blind, Randomized, Crossover Trial
Signe H. Østoft, et. al.
Diabetes Care June 14, 2014  
Published online before print June 14, 2014, doi: 10.2337/dc13-3007 

HNF1A糖尿病 16名(女性8名、平均年齢 39歳(range 23-67歳)、BMI 24.9 ± 0.5 (平均±SEM)、FPG 9.9 ± 0.9 mmol/L HbA1c 6.4 ± 0.2%

介入
・GLP-1RA(リラグリチド)
・プラシーボ

SU剤(グリメピリド)+プラシーボ(注射)をランダム順に二重盲検交叉トライアル

グリメピリドは週毎に治療目標としてup-titrationし、1.8mg/日を最大量

リラグリチド、グリメピリドで、ベースラインと治療期間での、FPG減少差は無い(−1.6 ± 0.5 mmol/L liraglutide [P = 0.012]、 −2.8 ± 0.7 mmol/L glimepiride [P = 0.003]))

食後血糖の変化はベースラインに比べ、グリメピリド( 2,136 ± 292 min × mmol/L )、リラグリチド(2,624 ± 340 min × mmol/L) ともにベースライン (3,127 ± 291 min × mmol/L; P < 0.001, glimepiride; P = 0.017, liraglutide) より低下し、治療群での差はなかった(p=0.0121)。

低血糖は、グリメピリド治療群で18エピソード (PG 3.9 mmol/L以下)

2014年6月22日日曜日

紫外線嗜好は、皮膚のβエンドルフィンを介する依存症である

マスコミだけでなく、税金で運用されている医療機関まで、なんちゃって「依存症」を流布する、日本。

【誤報?世論誘導記事?】【でっちあげ病名】毎日新聞によると、「ネット依存症=病気」だそうです。
http://kaigyoi.blogspot.com/2013/08/blog-post_4982.html


本来、依存症というからには、より科学的根拠が求められるはず。

こういう根拠があれば、それなりに納得できる。



紫外線発がん性は確立しているが、紫外線を求める行為は依存性特性があるという指摘がある。
紫外線暴露後、角化細胞(ケラチノサイト)は、propiomelanocortin (POMC)を合成、それが日焼けの原因となるメラノサイト刺激ホルモンのプロセスとなる。
POMC-由来ペプチド、βエンドルフィンが同時に皮膚で合成さえ、低紫外線暴露後、血中レベル増加が観察される。とう痛関連閾値増加がみられ、オピオイド拮抗剤での可逆性もみられる。オピオイド離脱回避のオペラント行動選択をもたらす (conditioned place aversion : 条件付け位置嫌悪)。この紫外線誘導侵害性(nociceptive)への影響・行為への影響はβエンドルフィンKOマウスでは消失するし、上皮ケラチノサイトp53-介在POMC誘導欠損マウスでもみられない。 この原始的紫外線依存は、βエンドルフィンの快楽作用そして、離脱による非快楽作用を介し作用し、それが生合成されたため生じるもの、ただ、この紫外線依存により皮膚がん危険性が増す訳で、冷徹な現実が存在する。

Skin β-Endorphin Mediates Addiction to UV Light
Gillian L. Fell, et. al.
Cell Volume 157, Issue 7, p1527–1534, 19 June 2014;
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2014.04.032





尋常性乾癬と脱毛症の一石二鳥治療:トファシチニブ(ゼルヤンツ)

経口抗リウマチ薬JAK阻害剤トファシチニブ(tofacitinib):ゼルヤンツ



尋常性乾癬と脱毛症の一挙両得と表現された報告


Oral Tofacitinib Reverses Alopecia Universalis in a Patient with Plaque Psoriasis
 Journal of Investigative Dermatology accepted article preview 18
June 2014; doi: 10.1038/jid.2014.260.
http://www.nature.com/jid/journal/vaop/naam/pdf/jid2014260a.pdf


残念ながら、全例の効果は保証されないらしい



http://boingboing.net/2014/06/21/alopecia-baldness-cured-with-a.html

2014年6月20日金曜日

「プレベナー13®」高齢者へ適応拡大


「プレベナー13®」高齢者へ適応拡大
小児で実績のあるキャリアタンパク結合型の肺炎球菌ワクチンが65歳以上の成人にも接種可能に
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2014/2014_06_20_02.html




PPSV23(ニューモバックス)は、23種の純化莢膜ポリサッカライド抗原。

PCV13(プレベナー)は、 ジフテリア毒素に近い非毒素蛋白に共有リンク莢膜ポリサッカライド抗原。PCV13は健康成人へは推奨されず。





UpTodateでは
The strongest evidence for the benefit of PCV over PPSV23 in adults at increased risk for pneumococcal disease comes from randomized trials in HIV-infected individuals in Africa, which demonstrated a reduction in invasive pneumococcal disease among individuals who received PCV7, but no reduction in recipients of PPSV23.
 米国では同時接種も可能らしいが・・・


皮膚・軟部組織感染診断治療臨床実践ガイドライン(IDSA) 2014年アップデート

皮膚・軟部組織感染(SSTIs)診断治療臨床実践ガイドライン(IDSA) 2014年アップデート





Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Skin and Soft Tissue Infections:
2014 Update by the Infectious Diseases Society of America
Clin Infect Dis. (2014) doi: 10.1093/cid/ciu296 First published online: June 18, 2014
フルテキスト・無料:http://cid.oxfordjournals.org/content/early/2014/06/14/cid.ciu296.full

ガイドラインは、重症感染症を、以下の定義に
 ・経口抗生剤不応
・高熱、心拍 90/分超、呼吸回数24/分超、白血球数 12000超あるいは400以下/μL
・深部感染徴候: 水疱、皮膚面自壊(skin sloughing)、低血圧、臓器障害所見
・免疫抑制状況



さらに、新規薬剤として オキサゾリジノン系抗菌薬であるtedizolid(http://www.ajhp.org/content/71/8/621.abstract)あるいは グリコペプチド系抗MRSA抗菌薬であるダルババンシン(dalbavancin)をSSITs治療に有効として記載。


中等度感染は、全身所見を有する蜂窩織炎や丹毒で、静注抗生剤、ペニシリン、セフトリアキソン、クリンダマイシン。










2014年6月19日木曜日

APOC3遺伝子異常にて食後TG抑制、心血管疾患リスク減少

APOC3遺伝子産物、蛋白Apo-CIIIは、VLDLの構成成分で、リポ蛋白リパーゼ、肝リパーゼの阻害を示し、TGリッチ粒子の幹細胞内取り込みを阻害する働きと考えられる。

この機序抑制にて、食後TG値抑制され、さらに、心血管疾患リスク減少することが示され、創薬上のターゲットとも考えられる。




apolipoprotein C3 (APOC3)をエンコードする遺伝子異常で、非空腹時トリグリセライド低値をもたらす場合、虚血性心疾患リスク減少を示した。



Loss-of-Function Mutations in APOC3 and Risk of Ischemic Vascular Disease
Anders Berg Jørgensen, et. al.
N Engl. J. Med. June 18, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1308027

空腹時TG 90mg/dL(1.00mmol/L)未満 の被験者では、TG 350mg/dL以上に比べ、心血管発生リスクを有意に減少( 虚血性血管疾患ハザード比 , 0.43; 95% 信頼区間l [CI], 0.35 to 0.54、虚血性心疾患ハザード比, 0.40; 95% CI, 0.31 to 0.52).



APOC3機能喪失遺伝子変異hetero接合状況では、遺伝子変異なしに比べ、非空腹時TG値において平均的44%減少と相関。


血管疾患、虚血性心疾患累積頻度は、APOC3遺伝子異常なしの比べ、ヘテロ接合で、減少(p=0.009, p=0.05)、リスク減少としては、 41% (ハザード比, 0.59; 95% CI, 0.41 to 0.86; P=0.007)、36% (ハザード比, 0.64; 95% CI, 0.41 to 0.99; P=0.04)





ヨーロッパ・アフリカ子孫 3734名被験者、18,666遺伝子の蛋白コーディング領域をsequence

Loss-of-Function Mutations in APOC3, Triglycerides, and Coronary Disease
The TG and HDL Working Group of the Exome Sequencing Project, National Heart, Lung, and Blood Institute
N. Engl. J. Med.  June 18, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1307095

 APOC3遺伝子の稀な変異のaggregateは、低血中TG値と相関。具体的には4つ。
・ひとつのノンセンス遺伝子(R19X)
・ 2つのスプライス部位の変異: IVS2+1G→A 、 IVS3+1G→T
・ミスセンス遺伝子変異 (A43T)

どれか一つ変異である頻度は、150名に1人

TGレベルは、キャリアでは、非キャリアに比べ、39%低値
APOC3血中レベルは、キャリアでは、非キャリアに比べ46%低値( P = 8 x 10 ^ 10)

498名のいずれかの遺伝子変異キャリアでは、非キャリアに比べ、冠動脈疾患リスクは40%減少



Lifestyle Interventions and Independence for Elders (LIFE) 研究:長期構造的身体活動性プログラム

長期構造的身体活動性プログラムは、健康教育プログラムより有効と言えるか?


対象は平均年齢 78.9歳、女性比率 67.2%、アフリカ系17.6%、BMI 平均 30.2
Short Physical Performance Battery (SPPB)9点未満/12点満点


具体的プログラムは、構造的に、中強度身体活動プログラム週2回センター施行、週3回家庭内施行(内容はエアロビック、レジスタンス、柔軟性トレーニングactivity)(n=818)
対照は、教育プログラム、内容は、高齢者・上肢筋強化運動トピックスのワークショップ (n=817)

結果は、構造的中等度身体活動プログラムは、健康教育プログラムに比べ、2.6年間、高齢者において障害リスクを減少させる



Effect of Structured Physical Activity on Prevention of Major Mobility Disability in Older Adults
The LIFE Study Randomized Clinical Trial
Marco Pahor, et. al.
JAMA. 2014;311(23):2387-2396. doi:10.1001/jama.2014.5616.

主要アウトカムは、重大な可動性障害(400m歩行可能性喪失)


重大な可動性障害は、介入群 30.1%(246) vs 対照群 35.3%(290)  (ハザード比 [HR], 0.82 [95% CI, 0.69-0.98], P = .03)


持続的可動障害は、介入群 120(14.7%) vs 対照群 162(19.8%)   (HR, 0.72 [95% CI, 0.57-0.91]; P = .006)

重大副事象イベントは、介入群   404 名 (49.4%)  vs 373 名 (45.7%)   (risk ratio, 1.08 [95% CI, 0.98-1.20])



<重大可動性障害と持続可動性障害>










80歳前後の高齢者で、単に、かけ声だけでない、構成的センター・居宅運動プログラムにより若干ながら、可動性障害予防効果が見られた





日本の運動器系学会も、国内だけにアピールするんじゃなく、国外にアピールする発表したらぁ・・・と皮肉。

2014年6月17日火曜日

ALSへの高カロリー経腸栄養の効果 pIIトライアル

ALSに対する、経腸栄養推奨に関するガイドライン、コンセンサスは存在しない。
BMIと生存率に関して、BMI 18.5未満なら生存率短く、BMI 30-35なら 疾患進展予防的で生存率改善という報告がある。また、ALSモデルである、SOD1マウスでは、カロリー濃厚な高脂肪は体重増加、疾患進展抑制的に働く。


その検証としてのpIIトライアル


ALS症例への、経腸高カロリーは、安全で、生存への好効果をもたらす。



Hypercaloric enteral nutrition in patients with amyotrophic lateral sclerosis: a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 2 trial
Anne-Marie Wills et. al.
The Lancet, Volume 383, Issue 9934, Pages 2065 - 2072, 14 June 2014

トライアルとしては、最終的に、推定エネルギー必要量の125%4ヶ月介入群に栄養負荷。
・等カロリーチューブ栄養(対照群)
・高炭水化物高カロリー(HC/HC)
・高脂肪高カロリー(HF/HC)

2009年12月14日から、2012年11月2日、24名を被検(対照 6、HC/HC 8、HF/HC 6名)
 介入前離脱、それぞれ1、1、2


HC/HCは他の2群に比べ総副事象イベント減少(HC/HC 23、 対照 42、 HF/HC 48、全体、 p= 0.05、 HC/HC vs 対照 p=0.06)、対照群より有意に副作用少ない( 0 vs 9, p=0.0005。


副事象イベントによる中止、HC/HC群で少ない( HC/HC群 0/8 :0% vs 対照群 3/6)



フォローアップ5ヶ月内死亡は、HC/HC群 0/9  vs 対照群 3/7(43%)  (log-rank p=0·03)




HF/HC群と対照群では、副事象イベント、耐用性、死亡、疾患進展では有意な差を認めず


2014年6月16日月曜日

キャノーラ油は、2型糖尿病の血糖改善をもたらす。特に収縮期血圧高値例において・・・


キャノーラ油 (英: canola oil) は、菜種油のうち、品種改良によってエルカ酸(エルシン酸)とグルコシノレートを含まないキャノーラ品種から採油されたもの
wiki


2型糖尿病患者において、特に、収縮期血圧高値症例で、キャノーラオイル豊富な食事で、2型糖尿病血糖コントロール改善。しかし、全粒穀物でRHI増加し血管内皮機能の改善もたらす。


ffect of Lowering the Glycemic Load With Canola Oil on Glycemic Control and Cardiovascular Risk Factors: A Randomized Controlled Trial
David J.A. Jenkins et.al.
Published online before print June 14, 2014, doi: 10.2337/dc13-2990 
Diabetes Care June 14, 2014 

α-linolenic acid (ALA)、monounsaturated fatty acid (MUFA)、 low-glycemic-load (GL) diet


ALA、MUFA投与低糖質負荷
検証:キャノーラオイル添加bread supplement(31gキャノーラオイル/2000kcal)
対照:全粒穀類食(whole-wheat bread supplement)

プライマリアウトカム は、Framingham CVDリスクスコアと、reactive hypermia index比(上腕駆血開放後動脈拡張反応の指尖容積脈波検出測定


検証群 79%、 対照群90%甘遂

対照群に比べ、キャノーラオイル検証群で HbA1c有意減少
−0.47% (−5.15 mmol/mol) (95% CI −0.54% to −0.40% [−5.92 to −4.38 mmol/mol])  vs −0.31% [−3.44 mmol/mol] [95% CI −0.38% to −0.25% (−4.17 to −2.71 mmol/mol)], P = 0.002)

収縮期高血圧高い人で最も効果あり


キャノーラオイルの検証食事群でCVDリスクスコア減少するが、対照食事群でよりRHI比増加。





2014年6月13日金曜日

肉は適度に食べないと・・・動物由来蛋白摂取と卒中リスク減少

ベジタリアンでは卒中がおおいのだろうか?




Quantitative analysis of dietary protein intake and stroke risk
Zhizhong Zhang, et. al.
Neurology, Published online before print June 11, 2014


25万5千名ほどの7つの前向き研究メタアナリシス

卒中へのpooled RRは、食事蛋白摂取について、最高vs最小比較で、 0.80 (95% CI 0.66–0.99)

用量依存解析では、食事性蛋白増加20g/日増加毎、26%の卒中リスク減少

蛋白の種類による層別化にて、動物由来蛋白による卒中RRは、  0.71 (95% CI 0.50–0.99).


通常のリスク要素補正の感度分析でも同様結果で、単一研究除外では結果は変わらないという状況で普遍性がある。

若年青年期のレッドミート摂食は乳癌リスクを増加する

若年成人期レッドミート摂食多い人は、乳癌リスクとなる。
さや系の豆類、家禽類、ナッツ、魚摂食の組み合わせは、乳癌リスク減少を示す。



Dietary protein sources in early adulthood and breast cancer incidence: prospective cohort study
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g3437 (Published 10 June 2014)


NHSII研究を対象とした、食事中蛋白源としての総レッドミート(TRM)の乳癌・多変量相対リスクと95%信頼区間






糖尿病・メトホルミン治療:アフリカ系米国人の方が欧州系米国人より効果有り

電子カルテを用いて、糖尿病診断・2回以上のメトホルミンのrefillありの患者の検討で、 メトホルミンの人種間効果差異を検討


アフリカ系アメリカ人の方が、欧州系米国人より、メトホルミン効果有りというもの

その要因が民族遺伝的なものかどうか、また、それがよりハードなアウトカムに影響をもたらすか、検討が必要ということ


Differing Effects of Metformin on Glycemic Control by Race-Ethnicity
L. Keoki Williams, et. al.
JCEM DOI: http://dx.doi.org/10.1210/jc.2014-1539 

メトホルミン服用糖尿病 190,672名同定


アフリカ系 7,429名、ヨーロッパ系 8783名
それぞれ、ベースラインのHbA1c値は、 7.81% (61.8 mmol/mol)、 7.38% (57.1 mmol/mol)


メトホルミン非服用者と比較すると、 HbA1cは0.62%(6.8 mmol/mol)減少と関連する。
しかし、人種・民族による差が有意(p< 0.01)。


アフリカ系アメリカ人において、メトホルミン使用は、HbA1c値0.90%減少と関連する
一方、ヨーロッパ系アメリカ人では、0.42%減少と関連。


ベースライン値と無縁に、メトホルミン使用は、アフリカ系アメリカ人おいては、HbA1cと関連する。

2014年6月12日木曜日

メトホルミン投与患者への追加投与:インスリン vs SU剤 ;インスリンにて全死亡率・心血管イベント増加

米国内Veterans Health Administration, Medicare, and National Death Index databaseの後顧的検討


結論からは、メトホルミン治療糖尿病患者に、インスリンを追加すると、対SU剤比較で、非致死性心血管アウトカム・全原因死亡率を増加させる。


Association Between Intensification of Metformin Treatment With Insulin vs Sulfonylureas and Cardiovascular Events and All-Cause Mortality Among Patients With Diabetes
Christianne L. Roumie,et.al.
JAMA. 2014;311(22):2288-2296. doi:10.1001/jama.2014.4312.
メトホルミン単一種類糖尿病治療薬投与患者 17万8341名での検討

インスリン vs SU剤追加(2948名 vs 3万9990名)により、非致死性心血管疾患、全原因死亡率増加と関連する。
Propensity スコア・マッチ化: メトホルミン+インスリン 2,436名 vs メトホルミン+ SU剤 12,180名

Intensificationにて、メトホルミン処方中央値14ヶ月間(IQR, 5-30)、HbA1c 8.1%(IQR 7.2% - 9.9%)
Intensification後の期間中央値は、   14 ヶ月 (IQR, 6-29 ヶ月)

プライマリアウトカムは、インスリン追加群 vs SU剤追加群にて、 42.7 vs 32.8 イベント/ 1000 人年、補正ハザード比 [aHR], 1.30; 95% CI, 1.07-1.58; P = .009)

急性心筋梗塞と卒中は、特に、類似性あり   41 vs 229 イベント  (10.2 vs  11.9 イベント/ 1000 人年; aHR, 0.88; 95% CI, 0.59-1.30; P = .52)

一方、全原因死亡率は、  137 vs 444 イベント (33.7 vs 22.7 /イベント 1000 人年; aHR, 1.44; 95% CI, 1.15-1.79; P = .001)

セカンダリアウトカムは、54 vs 258
 (AMI、卒中入院、心血管死亡死 22.8 vs 22.5 1000 /人年; aHR, 0.98; 95% CI, 0.71-1.34; P = .87)








Kumamoto Study?

閉塞型無呼吸:CPAP療法は酸素療法より血圧管理上有益、炎症性マーカー改善も

CPAP治療は、酸素療法にくらべ、血圧コントロールに優れている。
さらに、炎症性マーカーを改善する。ただし、減量との併用がのぞましい。


"CPAP versus oxygen in obstructive sleep apnea"
Gottlieb DJ, et al 
N Engl J Med 2014; 370: 2276-2285. 
HeartBEAT trial、OSA(閉塞型無呼吸)において、心血管疾患リスク状態にあるpopulationにて、CPAPは、酸素投与法より2.8mmHgほど平均動脈圧を減少させる。


 "CPAP, weight loss, or both for obstructive sleep apnea"
:Chirinos JA, et al
N Engl J Med 2014; 265-2275. 
CRP高値肥満患者の二次トライアルにて、CPAPは、減量やその2つの組み合わせと同等の炎症マーカー減少もたらすが、CPAP+減量にてインスリン抵抗性、TG、血圧値においてはベスト



エディトリアル:
"Cardiovascular morbidity and obstructive sleep apnea"
Basner RC 
N Engl J Med 2014; 370: 2339-2341. 



最近に気になること
日本では、睡眠時無呼吸症候群の臨床普及はつい最近のことで、臨床家自体の経験は総じて浅い。故に、テレビなどで解説する医師たちの知識不足が目立 つ。妙に突然死を強調したり、薤による気道閉塞を強調して本来の動的上気道閉塞の意味を理解してない解説がほとんど。超肥満では閉塞型無呼吸がかえって減 少する理由や、中年・男性に特に頻度高い理由を考えれば自明なのに・・・閉塞型無呼吸の前提は強い吸気が必要。故に、閉塞型無呼吸による突然死は通常あり えないし、高齢者や超肥満者のうち吸気パワーの少ない症例では動的気道閉塞がよわまり、その程度は軽減する。



2014年6月11日水曜日

睡眠は学習・記憶のためのニューロンspine形成の鍵

電子カルテ移行のため、時間がとれない!故に、記載おくれ


Sleep promotes branch-specific formation of dendritic spines after learning
Science 6 June 2014: Vol. 344 no. 6188 pp. 1173-1178 DOI: 10.1126/science.1249098
睡眠がいかに学習・記憶の手助けになるかは未知。運動学習後のマウス運動皮質は、それぞれのブランチサブセットにおける、layer V 錐体神経細胞において、シナプス後樹状細胞spineの形成を促進する。運動神経系タスクによる活性化したニューロンは、NREM睡眠中に再活性化し、このニューロン再活性化が阻害されるとbranch-specificなspine形成を温存する音となる。
これは睡眠こそが、学習依存的シナプス形成促進及び、選択的樹状突起温存、すなわち記憶蓄積に重要な役割を果たすことが示唆される知見。

2014年6月7日土曜日

衛生仮説:生後3年間アレルゲン感作と喘鳴関連するも、1年間では逆相関;細菌感染で喘鳴リスクなど減少

喘息に於ける、衛生仮説。この種の調査対象、すなわち、喘息との関連では、米国貧困地域での検討が多い。同様なシチュエーションのみで同様の報告を繰り返しているだけのような気もするのだが・・・
 

Urban Environment and Childhood Asthma study


Effects of early life exposure to allergens and bacteria on recurrent wheeze and atopy in urban children
Lynch SV, et al
J Allerg Clin Immun 2014; DOI: 10.1016/j.jaci.2014.04.018. 


生後3年間累積アレルゲン暴露 は、アレルギー感作と相関
生後3年間の感作は反復喘鳴と関連する
一方、ゴキブリ、マウス、猫アレルゲンへの生後1年間の暴露は、再発性喘鳴と逆相関(オッズ比 0.60、 0.65~0.75、 p< 0.01)

ハウスダストバクテリア含有量の違い、特にフィルミクテス門(Firmicutes、ファーミキューテス、グラム陽性細菌門)、バクテロイデス門(-もん、Bacteroidetes)の暴露減少は、アトピー及びアトピー性喘鳴と相関する。

両アレルゲンの高度暴露と、生後1年のバクテリアサブセットはアトピーや喘鳴無しの子供に多い。

朝食を抜いても太らない(しかし、体重以外への影響は不明)

朝食は、一日のうち最も重要な食事で、減量助言上朝食を抜かないようにと指導されるのが常。それはほんとうなのだろうか?疑問を呈する2つの報告。



朝食摂取あるいは朝食を抜くよう指示することは、自己報告に基づく朝食習慣変容という面では影響をもたらす。しかし、自由生活成人において、一般に信じられているような、朝食を抜く抜かないでのあきらかな影響はない。

The effectiveness of breakfast recommendations on weight loss: a randomized controlled trial 
First published June 4, 2014, doi: 10.3945/​ajcn.114.089573
Am J Clin Nutr August 2014 ajcn.089573

多施設16週、3平行群RCT、健康な過体重・肥満成人 (BMI 25-40)、20−65歳
プライマリアウトカムは体重、309名中283名をランダム化。
・朝食をとるよう指示した介入群
・朝食をスキップするよう指示した介入群:NB
を、対照群と比較。ランダム化は、ランダム化前朝食習慣にて選別化。
群間で、減量への影響少なく、初期朝食摂取状況・治療群に有意な影響無し
スキッパー群のうち、ベースラインの体重・年齢・性的・研究施設場所・人種補正体重変化同補正平均(±SD)は、対照群、朝食摂取群、NB群で−0.71 ± 1.16、 −0.76 ± 1.26、  −0.61 ± 1.18 kg
(おそらくランダム化前習慣で)朝食摂取習慣者内比較では、体重変化同補正平均(±SD)は、対照群 −0.53 ± 1.16、朝食摂取介入 −0.59 ± 1.06、朝食スキップ群(NB) −0.71 ± 1.17 kg。
自己報告コンプライアンスは、朝食群 93.6%、 NB群 92.4%。


横断研究に基づけば、朝食は健康上重要ということだが、自由行動下RCTにて、朝食割り付け(午前11時前に 700kcal以上)vs 空腹(12時までに0kcal)という割り付けという状況の朝食習慣と、エネルギーバランスの検討にて、朝食摂取は、やせ成人の身体活動thermogenesis増加と原因的に関連し、食事エネルギー摂取増加と伴うが、安静時代謝には影響を及ばさない。。心血管健康指標には影響を与えないが、朝食は午後・夜の安定した血糖状況をもたらす。

The causal role of breakfast in energy balance and health: a randomized controlled trial in lean adults
Am J Clin Nutr doi: 10.3945/ajcn.114.083402.



この2つの報告は、朝食を抜くことを是認するものなのだろうか?私にはそうは思えない。朝食を含む摂取総カロリーがやはり重要ということはかわりはないという事実認定にすぎないということにも見えるし、2つめの論文の解釈として糖代謝影響だけでも日内血糖変動に影響を与えているともとらえることが出来る。これらが認知機能や筋骨格機能へ、特に朝方悪影響をあたえないとは限らない。



2014年6月6日金曜日

eGFRの急激な減少は、その後の予後(終末腎、死亡率)へ大きな影響を与える

eGFRの急激な減少は、その後の予後(終末腎、死亡率)へ大きな影響を与える。eGFRの経時的把握が必要で、悪化評価とその対応の適正化が今後の課題。



Decline in Estimated Glomerular Filtration Rate and Subsequent Risk of End-Stage Renal Disease and Mortality Josef Coresh, et. al.
toshi Iseki, et. al.
JAMA. Published online June 03, 2014. doi:10.1001/jama.2014.6634

メタアナリシス:12344ESRD、CKD Prognosis Cosortium35コホート(3年間)

主要アウトカムは、2年間に及ぶEGFR%変化率とそれに呼応する、ESRD・全原因死亡リスク(寄与共役補正、初期eGFR補正)


ESRDと死亡率の補正ハザード比(HRs)は、eGFR減少とともに高くなる。

ベースラインeGFR < 60 mL/min/1.73 m2の対象者で、ESRD補正HRは、 eGFR変化率 -57%で、 32.1 (95% CI, 22.3 - 46.3)、-30%で、5.4 (95% CI, 4.5 - 6.4)

しかし、-30%以上の変化の方が、-57%の変化より多い (6.9% [95% CI, 6.4%-7.4%] vs 0.79% [95% CI, 0.52%-1.06%])

この相関は、ベースライン(1-3年の間)、ベースラインeGFR、年齢、糖尿病状況、アルブミン尿横断的に強力で、一致したものである。


(ベースラインeGFR 35 mL/min/1.73 m2における)ESRD10年間補正リスクは、eGFR -57%減少で 99% (95% CI, 95%-100%)、 eGFR -40%減少で 83% (95% CI, 71%-93%)、 eGFR -30%減少で、 64% (95% CI, 52%-77%)、eGFR 0%変化で、18% (95% CI, 15%-22%)


対応する死亡リスクは、 77% (95% CI, 71%-82%)、 60% (95% CI, 56%-63%)、 50% (95% CI, 47%-52%) vs 32% (95% CI, 31%-33%)、同様だが、こちらの相関性は弱い。




End-Stage Renal Disease (ESRD) Associated With Percentage Change in Estimated GFR During a 2-Year Baseline Period
-70%未満のeGFR値低下(eGFR<60 p="">
 trimmed at less than −70% change (0.22% and 0.055% of the study population for estimated GFR <60 m="" min="" ml="" sup="">2
and ≥60 mL/min/1.73 m2, respectively) and greater than 40% change (5.9% and 0.51% of the population for estimated GFR <60 m="" min="" ml="" sup="">2 and ≥60 mL/min/1.73 m2, respectively). 

In the top 2 panels, the diamonds indicate the reference point of 0% change in estimated GFR.











SSRIの卒中前使用は、出血性卒中オッズ増加と関連

怒ったことを根深く覚えてる場合とすぐ忘れることがある。旧藤沢製薬(現アステラス)のMRの「当社SSRIに脳出血イベント増加の報告はありません」とその場で断言したことへの怒りは10年以上立った今でも忘れてない。・・・ われながら執念深い。アステラスMR.の「シムビコートいい加減な販促」、すなわち、「好きなときに吸えば良い」という(基礎吸入を確保した上でのレスキュー投与を無視する)無責任販促を見聞きし、海馬に、再プリントされ、今に至っている。


SSRIは、出血リスク増加に関与するが、卒中時神経防御的効果可能性もある。卒中前のSSRI使用による出血性・虚血性卒中への影響を、レジストリベースのpropensity scoreマッチ化フォローアップ研究にて調査(デンマーク)

30日以内の重症卒中・死亡のオッズ比を補正するため多条件化ロジスティック回帰



Impact of Prestroke Selective Serotonin Reuptake Inhibitor Treatment on Stroke Severity and Mortality
Janne Kaergaard Mortensen, et. al.
STROKEAHA.114.005302 Published online before print June 3, 2014
doi: 10.1161/​STROKEAHA.114.005302

1252名の出血性卒中(卒中前 SSRI 使用 626、 未使用 propensityマッチ化 626名)にて、
SSRI使用は、卒中重症化リスク増加と関連(補正propensity scoreマッチ化オッズ比    1.41; 信頼区間, 1.08–1.84) 、30日内死亡リスク増加(補正propensity scoreマッチ化オッズ比 1.60; 信頼区間, 1.17–2.18).


8956名の虚血性卒中(SSRI 使用 4478、 未使用 4478、propensityマッチ化)のうち、 卒中前SSRI使用は重症卒中リスク、30日内死亡リスクと関連せず





2014年6月5日木曜日

125万名調査:高血圧と12の心血管疾患の関連性




Blood pressure and incidence of twelve cardiovascular diseases: lifetime risks, healthy life-years lost, and age-specific associations in 1·25 million people
Eleni Rapsomaniki ,et. al.
The Lancet, Volume 383, Issue 9932, Pages 1899 - 1911, 31 May 2014
doi:10.1016/S0140-6736(14)60685-1Cite or Link Using DOI


中央値5.2年間、心血管疾患最小リスクは、収縮期血圧90-114 mmHg、拡張期血圧 60-74mmHgで、それ以下での、いわゆる、J-shapedリスク増加エビデンスはみられない。

高血圧の影響は、心血管疾患エンドポイントでばらつき有り、強い影響から、影響無しまで。
収縮期血圧高値は、ICH(頭蓋内出血)、SAH(くも膜下出血)、安定狭心症、AAA(腹部動脈瘤)と関連(ハザード比  1·44 [95% CI 1·32—1·58]、1·43 [1·25—1·63]、1·41 [1·36—1·46]、1·08 [1·00—1·17])

拡張期血圧に比べ、収縮期血圧の方が、より影響大きいのは、狭心症、心筋梗塞、末梢血管疾患。だが、拡張期血圧の方が影響があるのは、AAA。

脈圧と、AAAは逆相関性 (HR per 10 mm Hg 0·91 [95% CI 0·86—0·98]) 、PAD (1·23 [1·20—1·27])で最もその影響がある。

高血圧患者(血圧 140/90 mmHg以上)あるいは降圧剤服用者は、包括的心血管疾患の生涯リスクは30歳で、63·3% (95% CI 62·9—63·8)、正常血圧  46·1% (45·5—46·8)で、5 (95% CI 4·8—5·2)年早く心血管疾患発症することに相当。

安定・不安定狭心症が、指数年齢30歳で、43%を占め最も多い。一方、心不全、安定狭心症は80歳を指数年齢とすると最も多いが、ともに19%程度。

2014年6月3日火曜日

ヨガの喘息での効能:プラシーボ効果

ヨガは高血圧でも、喘息でもsham-placebo比較だと、効果エビデンス乏しくなる。


高血圧患者:自宅ヨガで降圧効果・自己評価QOLも改善 vs 教室・インストラクター介入では効果認めず 2013/12/30


喘息に関して・・・

Yoga for asthma: a systematic review and meta-analysis
Holger Cramer ,et. al.
Annals of Allergy, Asthma & ImmunologyVolume 112, Issue 6, Pages 503–510.e5, June 2014


14RCT、824名。喘息症状、QOL、PEF、FEV1/FVC比にて通常ケアと比較してその有効性エビデンスあり (RR, 10.64; 95% CI, 1.98 to 57.19; P = .006、SMD, −0.37; 95% CI, −0.55 to −0.19; P < 0.001、MD, 0.86; 95% CI, 0.39 to 1.33; P< 0.001、SMD, 0.49; 95% CI, 0.32 to 0.67; P <; 0.00、SMD, 0.50; 95% CI, 0.24 to 0.75; P< 0.001)

心理学的介入に比較してヨガの優位性は、QOL、PEFにて認める( SMD, 0.61; 95% CI, 0.22 to 0.99; P = .002、SMD, 2.87; 95% CI, 0.14 to 5.60; P = .04)

だが、shamヨガ、呼吸運動との比較では、エビデンス認めず
あらゆるbiasを否定されたエビデンスはない

ヨガは重大副事象を認めない


Yogaの効果のほとんどがプラシーボだとしても、それを利用する手もあるのかもしれない


この現象の否定 → "Obesity Paradox": 肥満の包が卒中死亡少ない



Body Mass Index and Death by Stroke No Obesity Paradox
Christian Dehlendorff et. al.
JAMA Neurol. Published online June 02, 2014. 
doi:10.1001/jamaneurol.2014.1017

BMIと卒中後死亡率の送管を検討
選択バイアス対策のため、初回卒中1ヶ月内に死亡発生したらindex strokeとして、卒中死亡統計とすることにした。
デンマークの全入院の Danish Stroke Registerを用いた。

71617名の患者中、7878(11%)初月内死亡、死亡の原因が卒中であるのは5512(70%)
BMIの情報利用可能な患者の家、9.7%が低体重、正常体重39.0%、過体重34.5%、肥満 16.8%。
BMIと、発症年齢は逆相関 (P < 0.001)
初月卒中死亡率リスクについて、正常体重(参照症例)と過体重で有意差無く、肥満とも有意差認めない (hazard ratio, 0.96; 95% CI, 0.88-1.04  1.0; 95% CI, 0.88-1.13)
1週後の死亡リスクも同様。

結論:卒中患者のobesity pardoxのエビデンス無し

BMI高値ほど若年者に生じ、そのため、卒中症例若年化傾向がある
故に、統計上の外観上、肥満・過体重の方の死亡率がひくくなるのではないか・・・という結論


2014年6月1日日曜日

非小細胞肺癌:VEGF受容体2標的ヒト型モノクローナル抗体(Cyramza)+ドセタキセル併用で OS, PFS延長効果

標準セカンドライン抗がん剤(ドセタキセル(タキソテール))・分子標的薬剤(ramucirumab (Cyramza) )にて生存期間延長効果



Medpage: http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASCO/46083

Source reference: Perol, M, et al. "REVEL: A randomized, double-blind, phase III study of docetaxel (DOC) and ramucirumab (RAM; IMC-1121B) versus DOC and placebo (PL) in the second-line treatment of stage IV non-small cell lung cancer (NSCLC) following disease progression after one prior platinum-based therapy" ASCO 2014;Abstract LBA8006.






・併用療法にて、包括的生存期間(OS)を1.4ヶ月間( 9.1→10.5ヶ月間)延長、 p = 0.23

・併用療法にて、無進行生存期間(PFS)を1.5ヶ月間( 3.0→4.5ヶ月間)延長、 p < 0.0001

・客観的奏功率は、ドセタキセル単独の14%→併用の23%と増加 p < 0.001

・併用療法、grade 3以上の副作用イベントの多くは、 好中球減少症、有熱性好中球減少、易疲労、白血球減少、肺炎

・死と直結する治療緊急性必要なイベント率は、群間で同等




Ramucirumab(IMC- 1121B)は、腫瘍に血液を供給するプロセスの血管新生を抑制するよう設計されています。具体的には、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体2を標的に特 異的に阻害することで、腫瘍に血液を供給する血管形成及び維持に係わるシグナル伝達を遮断するよう設計されているヒト型モノクローナル抗体
 https://www.lilly.co.jp/pressrelease/2014/news_2014_003.aspx

小児の長引く細菌性気管支炎:IL-1β経路活性化が特徴

子供の、長引く細菌性気管支炎(PBB: protracted bacterial bronchitis)には、充分改名されてない。 IL-1経路と好中球発現特性を検討

 
Mediators of neutrophil function in children with protracted bacterial bronchitis
Katherine J. Baines, et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-0131 

実験コホート:BAL採取  症例21例、対照33例
二次確認コホート:PBB 36例、対照 11例

有症状PBBでは、IL-1β、α−defensin遺伝子及びその産物有意増加

好中球ケモカイン受容体 CXCR2発現も高値

だが、IL-1RA:IL-1β比はPBBで低下

確認コホートにて、IL-1β及びα-defensin 1-3の蛋白・遺伝子発現高値、IL-1経路メンバー・CXCR2の遺伝子発現高値 も 確認
治療・症状改善と共に、IL-1β及びα-defensin 1-3は低下。

再発PBB小児では、IL-1βシグナル化分子 pellino-1、IL-1受容体関連kinase 2も高値

IL-1β蛋白レベルは、BAL好中球高値 と関連し、咳嗽症状期間・重症度と相関。
IL-1βおよびα-defensin 1-3レベルは補正される。


結論:PBBは、IL-1β経路活性化により特徴付けられ、IL-1βおよび関連メディエータは、BAL好中球増加、咳症状、疾患再発性と相関。このことは小児遷延化咳嗽の機転解明に役立つだろう。



関係ないけど 共感するなぁ ・・・ 周辺の医療機関「メイアクト」だらけ

経口三世代セフェムへの決別(フロモックス、メイアクト、トミロン、バナン、セフゾンなど)、もちろん経口カルバペネムも http://goo.gl/ueEDLj


耳鼻科・小児科・内科・なんちゃって内科・なんちゃって小児科・・・・


これらの治療方向のあやまりもPBBの一因かもしれない

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note