2016年9月30日金曜日

高齢者:身体移動能力障害:健康教育に比べ身体活動介入で効果、生命予後悪化減弱

老人において、身体活動せず動かなければ、移動能力低下・障害をもたらし、生命予後も悪化する・・・それは事実のようだ

だが、日本でしか通用しない"ロコモティブシンドローム”という言葉、国際的には通用しない。混乱をもたらすだけで、この言葉、唾棄してほしい(http://intmed.exblog.jp/8029696/、 http://intmed.exblog.jp/8149095/)。


机上教育ではダメで、まずは体を動かさせないと・・・


Effect of Structured Physical Activity on Overall Burden and Transitions Between States of Major Mobility Disability in Older Persons: Secondary Analysis of a Randomized, Controlled Trial
Thomas M. Gill, et. al. , for the LIFE Study Investigators
Ann Intern Med. Published online 27 September 2016 doi:10.7326/M16-0529
http://annals.org/article.aspx?articleid=2556138

400m歩行不能: major mobility disability (MMD)と定義

長期構造化身体活動性プログラム:健康教育介入によるMMD比率(MMD burden)とMMD移行・脱出リスク評価

70-89歳、1635名、運動不活発老人、機能制限あるも、400m歩行可能
介入:身体活動(n=818)と健康教育(n=817)
主要アウトカム: 400m歩行不能:MMDを6ヶ月毎3.5年間

結果:
フォローアップ中央値 2.7年間、MMD比率は身体活動 (0.13 [95% CI, 0.11 to 0.15]) により有意低下し、教育 介入(0.17 [CI, 0.15 to 0.19]) より低下し、そのリスク比は 0.75 (CI, 0.64 to 0.89)



multistate modelで、身体活動と健康教育でのハザード比
"MMD無し"→"MMD有り"への移行 0.87 (CI, 0.73 to 1.03)
"MMD無し"→"死亡" 0.52 (CI, 0.10 to 2.67)
"MMD有り"→"MMD無し" 1.33 (CI, 0.99 to 1.77)
"MMD有り"→"死亡" 1.92 (CI, 1.15 to 3.20)





結論:structured、構造化身体活動プログラムは、移動能力の障害であるmajor mobility distability(MMD) burdenを長期間抑制し、一部にはその障害の発症後でも回復を促進し、継続する障害エピソードリスクを軽減する





動かないと、2年後死にやすい







米国CDC:ジカウィルス:妊娠女性はシンガポールに行くべきではない vs 日本害務省 & 二次感染・院内感染可能性

日本・外務省は「レベル1 : 十分注意してください。」
「特に妊娠中の方又は妊娠を予定している方は、流行国・地域への渡航・滞在を可能な限りお控えください。」
・・・随分、控えめなお達し

一方、米国CDCは・・・

Women who are pregnant:
  • Should not travel to Singapore.

http://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/alert/zika-virus-singapore






http://www.npr.org/sections/thetwo-way/2016/09/29/495986730/pregnant-women-should-consider-not-traveling-to-southeast-asia






ジカウィルス感染リスクのないところでの二次的地域感染報告



Fatal Zika Virus Infection with Secondary Nonsexual Transmission
September 28, 2016DOI: 10.1056/NEJMc1610613



Dengue-shock syndrome様所見のメキシコでの感染疑われる発端者
病院での感染疑われた二次感染例は、汗・涙経由感染を疑われている


FTO遺伝子:「肥満遺伝子と減量可能性には相関性がなく、環境的要素が遺伝子特性を上回る」

press releaseでは「肥満遺伝子と減量可能性には相関性がなく、環境的要素が遺伝子特性を上回る」と断定的表現を使ってる



FTO(fat mass and obesity associated) geneに関して、 FTO (rs9939609) minor alleleに関してホモ接合体では平均3kg以上、肥満オッズ比では1.7ほど最小リスクallele比較で増加
他、melanocortin 4 receptor (MC4R) gene、transmembrane protein 18 (TMEM18) geneなどが肥満と強い関連性示唆


FTOゲノタイプとライフスタイル変容との関連性研究で、FTO mior alleleでは高蛋白食で低蛋白食に比べ1.5 kgほどより減量したとの報告( Obesity (Silver Spring)2010;18:641-3doi:10.1038/oby.2009.311.)あり、他にも減量効果への影響示唆する報告があった。

故に、システマティック・レビュー&メタアナリシス施行



FTO genotype and weight loss: systematic review and meta-analysis of 9563 individual participant data from eight randomised controlled trials
BMJ 2016; 354 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i4707 (Published 20 September 2016)
8つのRCTに基づくシステマティック・レビュー&メタアナリシス、n=9563

BMI、体重、ウェスト径の減量介入による変化差はFTO genotypeにより有意差なし
感度分析として、介入種類でも、介入期間、民族、サンプルサイズ差、性別、ベースラインBMI、年齢カテゴリーでも、変化差認めず




FTO minor allele保有状況は、減量介入後のadipostyへの変化差と関連せず






2016年9月29日木曜日

肥満COPD:臨床経過悪化に量依存的に寄与

米国成人では、COPD6%、肥満35%。COPD注の肥満頻度は不明だが6%〜54%と報告ばらつきあり、逆に言えば、研究者たちの関心がこの方面少なかったと言える。COPD患者での体重と一般性健康アウトカムはU字型影響を示唆する報告有るも、明確でない。

肥満は喘息、FEV1減少速度、睡眠呼吸障害、周術合併症リスクと関連。COPD患者では、肥満は、QOL、呼吸困難度・運動耐容能(6分間歩行距離:6MWD)と関連。だが、COPD患者では肥満が死亡率減少、重度気流制限低下と関連性報告。

合併症やCOPD急性増悪との関連性、死亡率との関連性に関して一定の方向性の報告無かった・・・ということで・・・


Obesity is Associated with Increased Morbidity in Moderate to Severe COPD
Allison A. Lambert, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.08.1432
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2548137

【背景】肥満は米国で多い;しかしCOPD併発症への肥満のインパクトは不明。 COPDアウトカム悪化と肥満が関連するという仮説検証

【研究方法】3631名の多施設コホート研究 COPDGene被検者COPDスパイロメトリ確認症例(拡張剤使用後FEV1 < 80% pred. 、BMI 18.5 kg/m2以上)
ロジスティクス・線形回帰分析:COPDアウトカムと肥満クラス、主な寄与要素補正
肥満クラス標準は、正常/過体重を含む (BMI 18.5-29.9kg/m2)

【結果】  全体として、肥満35%、 BMI 30-34のclass I 21%、 BMI 35-39.9のclass II 9%、BMI 40以上 5%
併発症数は肥満クラス増加ほど増加 (p<0 .001="" p="">

肥満クラス増加は独立して呼吸特異的QOL( (QOL; St. George’s Respiratory Questionnaire score)および一般QOL(Short Form-36 score v2)悪化と相関
さらには、6分間歩行距離(6MWD)減少、呼吸困難度(mMRC 2以上)増加、COPD重症急性増悪オッズ比増加と相関




肥満とアウトカム悪化の相関は、併発症の存在と独立、例外はSF-36と重度急性増悪

【結論】  肥満はCOPDで多く存在し、COPD関連アウトカム、QOL・呼吸困難度から6MWD、重度AECOPDまで影響を与える。これらの相関は量反応分析でより明確
COPDの肥満は、COPD関連臨床経過悪化に寄与する



COPD病態評価は、FEV1低下で評価されることが多いが、肥満そのものはFEV1要素ではアウトカムをマスクする可能性あり、肥満COPDを別枠で評価する必要性?

NORSTENT研究:新しいステントPCIほど優秀か?

門外漢にとっては、「なぜ今更こういう研究がなされたのか?」って方が気になる


序文にヒントがあるもの

drug-elutingステントとbare-metalステントによるPCI(経皮的血管再建術)は最も多い医療行為の一つとなっており、世界的にその数増加もしている。
drug-elutingステントがbare-metalステントより再狭窄予防で有効(Stefanini GG, Holmes DR Jr..Drug-eluting coronary-artery stents.N Engl J Med 2013;368:254-265)とされ、さらに、第一世代より新規世代drug-eluting stentの方がステント血栓リスク減少する

Jensen LO, Thayssen P, Christiansen EH, et al.
Safety and efficacy of everolimus- versus sirolimus-eluting stents: 5-year results from SORT OUT IV.
J Am Coll Cardiol 2016;67:751-762

Sarno G, Lagerqvist B, Fröbert O, et al.
Lower risk of stent thrombosis and restenosis with unrestricted use of ‘new-generation’ drug-eluting stents: a report from the nationwide Swedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry (SCAAR).
Eur Heart J 2012;33:606-613 
Sabaté M, Cequier A, Iñiguez A, et al.
Everolimus-eluting stent versus bare-metal stent in ST-segment elevation myocardial infarction (EXAMINATION): 1 year results of a randomised controlled trial.
Lancet 2012;380:1482-1490 
Sabaté M, Brugaletta S, Cequier A, et al.
Clinical outcomes in patients with ST-segment elevation myocardial infarction treated with everolimus-eluting stents versus bare-metal stents (EXAMINATION): 5-year results of a randomised trial.
Lancet 2016;387:357-366

・・・とのことで、新世代のステントほど死亡・心筋梗塞リスクを減らすはず?





乱暴ながら、「A>B」「B>C」なら「A>C」が成り立つか・・・という話?


プライマリアウトカムである、全原因死亡・特発的心筋梗塞発生率に差は認めず
大差ない



Drug-Eluting or Bare-Metal Stents for Coronary Artery Disease Kaare H.
Bønaa, et. al., for the NORSTENT Investigators
N Engl J Med 2016; 375:1242-1252September 29, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1607991
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1607991?query=featured_home


安定・不安定狭心症PCI施行9013名ランダム化割り付け
・contemporary drug-eluting stent or bare metal stent


プライマリアウトカム:5年間全原因死と非致死性特発的心筋梗塞組み合わせ
セカンダリアウトカム:反復血管再建、ステント血栓、QOL


6年後時点で、プライマリアウトカム発生率
  • drug eluting stent 16.6%
  • bare metal stent 17.1%  (ハザード比, 0.98; 95% 信頼区間[CI], 0.88 to 1.09; P=0.66)
プライマリアウトカムの構成要素において群間差有意差認めず


反復血管再建率
  • drug eluting stent 16.5%
  • bare metal stent 19.8% (ハザード比, 0.76; 95% CI, 0.69 to 0.85; P<0 .001="" li="">

事前設定ステント血栓発生率はそれぞれ 0.8%、 1.2%  (P=0.0498)

QOL測定において群間差認めず


ステントに限らず、検査機器、薬物などもそうだが、AとBの比較、しかも一面的比較で優劣を決める昨今の状況
新しいものほど良いという概念にとらわれすぎているのではないかと常に反省必要なようだ

2016年9月28日水曜日

スタチン vs 非スタチン(LDL受容体upregulation作用) :LDL減少効果と血管イベント抑制効果の関連概ね同等

LDL受容体のup-regulationは、血中LDLコレステロールをコントロールするkey mechanism


LDL受容体発現upregulationに作用する非スタチン介入
(ie, 食事、胆汁酸排泄促進剤、ileal bypass、エゼチミブ)


“スタチン系薬物はコレステロール合成の重要酵素であるヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素を阻害し,これはLDL受容体のアップレギュレーションおよびLDLクリアランスの亢進”に関与。また、“胆汁酸陰イオン交換樹脂は腸管からの胆汁酸再吸収を阻害し,肝LDL受容体のアップレギュレーションを起こさせて循環血液中のコレステロールを胆汁合成に動員する”
(http://merckmanual.jp/mmpej/sec12/ch159/ch159b.html)

エゼチミブは肝臓へのコレステロール供給を全体的に減少させ、肝臓内コレステロールを減少させ、SREBP(sterol regulatory element-binding protein)の遊離増加、ひいてはLDL-受容体upregulationを生じる

食事に関しては、肝臓へのコレステロール供給阻害食


LDL受容体upregulation関与非スタチンとスタチン群で、心血管イベント発生抑制効果差があるか?LDL減少効果や到達値と薬剤種類との関連性を評価

スタチンでなければならない・・・というわけではなさそう


Association Between Lowering LDL-C and Cardiovascular Risk Reduction Among Different Therapeutic Interventions
A Systematic Review and Meta-analysis
Michael G.
Silverman,  et. al.
JAMA. 2016;316(12):1289-1297. doi:10.1001/jama.2016.13985.



意義  LDL-コレステロール低下非スタチン治療の臨床的ベネフィットは未だ不明

目的  様々なスタチン・非スタチン治療横断的検討:LDL-C低下と相対的心血管リスク減少関連性評価

データ源・研究選択  MEDLINE と EMBASE データベースを検索 (1966-July 2016)
key inclusion criteriaは、ランダム化臨床トライアル、心筋梗塞を含む臨床的アウトカム報告
6ヶ月未満、60臨床イベント未満の研究除外
LDL-C受容体アップレギュレーション関与:9種類

データ抽出と作成  2名の著者が独立してデータ抽出・標準化データシートに入れデータをメタ回帰分析


主要アウトカムと測定  絶対的LDL-C減少値による主要心血管イベント(心血管死、急性心筋梗塞や他急性冠症候群、冠動脈再検、卒中)相対リスク(RR);主要冠動脈イベント5年発生率のLDL-C到達値との相関


結果  312,175名(平均年齢 62歳;女性 24%; ベースラインLDL-C 3.16 mmol/L[122.3 mg/dL)、49トライアル、39,645名主要血管イベントを含む


LDL-C値 1-mmol/L(38.7 mg/dL)減少あたりの主要血管イベント減少相対リスク
スタチン 0.77 (95% CI, 0.71-0.84; P < 0.001)
LDL受容体発現upregulationに作用する非スタチン介入(ie, 食事、胆汁酸排泄促進剤、ileal bypass、エゼチミブ) 0.75 (95% CI, 0.66-0.86; P = 0.002)
(between-group difference, P = 0.72)

これら5種治療組み合わせだと、LDL-C値 1-mmol/L(38.7 mg/dL)減少あたりの主要血管イベント減少相対リスクは  0.77 (95% CI, 0.75-0.79, P < 0.001)

他の介入に関して、LDLコレステロール減少程度に対する、観察相対リスク vs 予想相対リスクは

ナイアシン  0.94 (95% CI, 0.89-0.99) vs 0.91 (95% CI, 0.90-0.92) (P = 0.24)
フィブラート 0.88 (95% CI, 0.83-0.92) vs 0.94 (95% CI, 0.93-0.94)  (P = 0.02) ・・・これは、予測 (ie, greater risk reduction)よりかなり低い効果
cholesteryl ester transfer protein inhibitor 1.01 (95% CI, 0.94-1.09) vs 0.90 (95% CI, 0.89-0.91)  (P = 0.002)・・・これは予測 (ie, less risk reduction)より高い効果
proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 inhibitor 0.49 (95% CI, 0.34-0.71) vs 0.61 (95% CI, 0.58-0.65)   (P = 0.25)


一次予防トライアルに関して、到達レベル絶対的LDC-Cは、主要冠動脈イベント(冠動脈疾患死あるいは心筋梗塞を含め、11,301イベント)絶対的発生率と有意相関
(1.5% lower event rate [95% CI, 0.5%-2.6%] per each 1-mmol/L lower LDL-C level; P = 0.008)
二次予防トライアルに関しては、4.6% lower event rate [95% CI, 2.9%-6.4%] per each 1-mmol/L lower LDL-C level; P < 0.001)

結論と知見  このメタアナリシスにおいて、スタチンと、LDL受容体発現upregulation作用非スタチン治療では、LDL-C値変化あたりの主要血管イベントの相対リスクは同等
LDL-C達成値は、主要冠動脈イベント発生率低下と相関する

2016年9月27日火曜日

非重度OSAの肥満低換気症候群への非侵襲的人工呼吸効果

OSA重度でない肥満低換気症候群において、非侵襲的人工呼吸は、昼間の動脈血炭酸ガス分圧低下、QOL、眠気、PSGパラメータ改善、および、救急部門受診低下など医療リソース利用率低下をもたらす

ここでのNIVは、“bilevel pressure with assured volume (ie, volume targeted pressure support)”で、通常のcPAPとは異なる



Non-invasive ventilation in obesity hypoventilation syndrome without severe obstructive sleep apnoea
Juan F Masa, et. al.
Thorax 2016;71:899-906 doi:10.1136/thoraxjnl-2016-208501
http://thorax.bmj.com/content/71/10/899.abstract
http://thorax.bmj.com/content/71/10/899.full

肥満低換気症候群(OHS)に関して、閉塞型無呼吸症候群(OSA)合併ならNIV(非侵襲的人工換気)が有効(原文のままだとそうなる)
しかし、重度OSAのないOHS患者でNIV有効性はエビデンス不足
RCTにて、昼間のPaCO2使用しNIV vs ライフスタイル変容(対照)を比較

2009年5月から2014年12月まで重症OSAなしOHS連続患者

365名登録、58名除外
重度OSA 221名、重度OSAなし 86名
重度でないOSAの方をランダム化

NIVは

  • PaCO2有意改善 −6 (95% CI −7.7 to −4.2) mm Hg versus −2.8 (95% CI −4.3 to −1.3) mm Hg, (p<0.001) 
  • HCO3-有意改善  −3.4 (95% CI −4.5 to −2.3) versus −1 (95% CI −1.7 to −0.2 95% CI)  mmol/L (p<0.001)



  • NIVコンプライアンス補正後PaCO2変化は群間有意差改善を示さず
  • 眠気、特定の健康関連QOL評価、PSG指標は、ライフスタイル変容よりNIV群で有意改善
  • 加え、NIV群では医療リソース使用低下傾向に有り

DOAC: 抗凝固検査 システマティック・レビュー

これら、DOACは各メーカーが決死になって営業プロモーション行う商品である
経口トロンビン阻害剤:ダビガトラン
経口Xa因子阻害剤:リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン

非弁膜症性心房細動、静脈血栓塞栓への適応とされるが
ACCPは2016年1月、非がん関連VTEへの第一選択
AHA/ACC/HRS 2014年ガイドラインでは、心房細動卒中予防への適応ではあるが、他での推奨は行ってない

また、量調整のためのルーチン検査モニタリング必要とされない、固定量投与である
本当は、必要ないのではなく、測定できないというのがホントの所





Laboratory Assessment of the Anticoagulant Activity of Direct Oral Anticoagulants (DOACs): A Systematic Review
Bethany T.
Samuelson, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.08.1462

登録研究112、ダビガトラン35、リバーロキサバン 50、アピキサバン 9、エドキサバン 13

APTT、PT/INRを含む標準抗凝固検査パフォーマンスは、DOACs、reagentともにばらつき
多くの分析では、標準抗凝固検査は、臨床的薬剤レベル否定を含め、DOAC効果の信頼性評価と十分な相関性認めず

ダビガトランの予測濃度範囲においてDilute thrombin time assayは、線形相関の程度強い (r2 = 0.67-0.99) 、予測濃度広範囲に及び、ecarin-based assayも同様

リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンの薬剤濃度広範囲において、Calibrated anti-Xa assayは線形相関高い (r2 = 0.78-1.0)



結論から言えば、
抗トロンビン製剤:ダビガトランは、dilute thrombin time assasy or escarin-based assay
抗Xa因子阻害剤: anti-Xa assays with drug-specific calibrator

この研究にはないが、
ダビガトランではトロンビン時間やAPTT
Xa因子阻害剤では、APTT
・・・をより推奨すると結論
最終投与時間、相互作用薬剤の有無、腎肝臓機能がその作用に影響を与えるだろう・・・



















2016年9月26日月曜日

ウェアラブルデバイス無念:減量介入に追加効果認めず

AppleWatchを初代から使い続けているけど・・・2代目ゲット

38mm→42mmにしたところ、見やすくはなったが、手足の短い人間には、42mmは少々もてあまし気味。ただ、老眼には優しい。一長一短のようだ


ウェアラブルデバイスによる、身体活動性(量)のモニターとフィードバックは果たして、ライフスタイル変容を伴う行動的減量介入内において減量効果をもたらすか?


470名の若年成人、、行動的介入により2.4kg減量反応
ただ、減量効果において、ウェアラブルデバイスによるモニター・フィードバックは、標準的行動的介入と差はみとめず

JAMA 2016 20 Sep.のRCT記事

ウェアラブルデバイスを用いた介入の方が減量効果悪い・・・





Effect of Wearable Technology Combined With a Lifestyle Intervention on Long-term Weight Loss
The IDEA Randomized Clinical Trial
John M. Jakicic, et. al.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2553448

2010年10月〜2012年10月
471名:年齢 25-40歳未満;range 18-35歳、 非白人 28.9%、女性 77.2%

低カロリー食、身体活動活発化処方、グループカウンセリングセッション行った上で電話カウンセリングセッション、テキストメッセージ・プロンプト、ウェブサイト研究材料へのアクセス
標準群:ウェブサイトを用いた食事・身体活動性自己モニタリング
enhanced介入群:ウェアラブルデバイスを用いた介入促進、食事・身体活動モニターのためのウェブインターフェース





enhanced介入群 233  標準介入群(対照)  237 研究完遂 74.5%

enhanced介入群 ベースライン平均体重 96.3 kg (95% CI, 94.2-98.5) 、24ヶ月後 92.8 kg (95% CI, 90.6-95.0)
標準介入群はそれぞれベースライン平均体重  95.2 kg (95% CI, 93.0-97.3) 、24ヶ月後 89.3 kg (95% CI, 87.1-91.5)

24ヶ月後体重変化は
ウェアラブルデバイス用いたenhanced介入群 estimated mean weight loss, 3.5 kg [95% CI, 2.6-4.5}
標準介入群 5.9 kg [95% CI, 5.0-6.8]; 差 2.4 kg [95% CI, 1.0-3.7]; P =0.002)

両群、体組成、フィットネス、身体活動性、食事改善するも、群間差認めず







米国の骨・骨塩関係学会:乳製品ヨーグルトはカルシウム・蛋白摂取と独立した骨塩減少予防効果

乳製品ヨーグルトは、カルシウム・蛋白摂取と独立して、閉経後女性の骨塩減少抑制効果

733名の閉経後女性、ベースラインと3年後比較

BMI、身体活動性、総カルシウム、総蛋白摂取量補正後
コホートの91%超に相当するヨーグルト摂食者は、非摂食者に比べ、5.3%ほど椎体棘骨密度4.4%高値
遠位橈骨 3.4%、脛骨皮質 5.3%増加


American Society of Bone and Mineral Research 2016 Annual Meeting; September 18, 2016; Atlanta, Georgia. Abstract 1112. http://www.medscape.com/viewarticle/869209


ヨーグルト摂食者に於ける、全股関節、遠位橈骨のBMI減少減衰がみられ、これは、BMI、身体活動性、カルシウム・蛋白摂取と独立
例えば、hip BMIはヨーグルト1サービング以上摂食者では、+0.1%、それ未満の摂食者では-0.4%、非摂食者では-0.6%

摂食者vs非摂食者の有意な差は、橈骨皮質領域でも有意(P = .007)
一方、腰椎棘でのBMD差はみられない



FLEX studyだと、5年程度のアレンドロネートで、椎体BMD プラシーボ比較 +3.8%

付加的効果なら無視できない効果・・・

AZALEA:喘息急性増悪にアジスロマイシン投与無効

昨今の“喘息病態への好中球関与” (e.g. Neutrophils in asthma—A review Respiratory Physiology & Neurobiology, Volume 209, Issue null, Pages 13-16)


マクロライドの抗炎症作用
C.pneumoniaeやM. pneumoniaeの喘息発作関与の可能性

・・・とのことでマクロライドの効用に対し報告
http://www.medscape.com/viewarticle/767328


ガイドラインでは、喘息発作への抗生剤使用は"against"の立場
テリスロマイシンでベネフィット報告(e.g.
N Engl J Med 2006; 354:1589-1600April 13, 2006)あるも、副作用を考えれば使用限界あり



Azithromycin for Acute Exacerbations of Asthma
The AZALEA Randomized Clinical Trial
Sebastian L.
Johnston, et. al.; For the AZALEA Trial Team
JAMA Intern Med.
Published online September 19, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.5664


ランダム化二重盲検プラシーボ臨床トライアル
Azithromycin Against Placebo in Exacerbations of Asthma (AZALEA)
UK多施設、救急ケア必要成人: 2011年9月から2014年4月まで
6ヶ月超喘息病歴成人、48時間内、ステロイド経口もしくは全身投与必要な急性悪化所見

アジスロマイシン500mg連日 or プラシーボ ×3日間

主要アウトカム・測定
プライマアウトカム:ランダム化後10日間の日記カードシステム症状スコア:仮説定義治療effect size -0.3
セカンダリアウトカム:日記カードシステム症状スコア、QOL質問、肺機能変化、急性悪化日から10日までの全て、症状スコア50%軽減までの期間

結果:31センター、4582名スクリーン、プラン化380名中199名48時間内ランダム化

非登録理由は抗生剤を受けていること (スクリーン患者) 2044 [44.6%]
症状発現から薬物投与までの期間中央値 22時間(IQR, 14-28 時間)
急性増悪特性は治療群・センター間でバランス化


プライマリアウトカム喘息スコア 増悪時と10日目 平均(SD)
アジスロマイシン群: 4.14 (1.38) 、2.09 (1.71)
プラシーボ群: 4.18 (1.48) 、2.20 (1.51)

多レベルモデリング使用にて、10日目症状スコア群間有意差認めず (差, −0.166; 95% CI, −0.670 to 0.337)、急性増悪日〜10日目いずれの日で有意差無し

QOL質問、肺機能においても、急性増悪日〜10日目まで群間差認めず、症状スコア半減期間でも有意差認めず



久々のブログ更新だが・・・ネガティブ報告



2016年9月9日金曜日

patient-level meta-analysis : COPD患者の血液中の好酸球数と肺炎リスク 吸入ステロイド:好酸球比率2%戦略

COPD患者の血液中の好酸球数と肺炎リスク

要するに・・・

好酸球比率2%未満 と 吸入ステロイド(ICS)投与の関係
好酸球比率2%未満の場合は吸入ステロイド使用有無と無関係に肺炎リスクを増加させる(ただし、20週間未満のようだが・・・)
TORCHトライアルにて特に顕著


この知見で、どう戦略を形成するか?・・・難しいと思う。
COPD初期評価でのICS使用適否判断には使えるとしても、ICS長期使用に関してどうするか? 喘息要素のない、中等度以上の重症COPD患者では、6ヶ月過ぎたらICS使用適否考慮すべきなのだろうか? 解釈困ってしまう。


Blood eosinophil count and pneumonia risk in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a patient-level meta-analysis
Ian D Pavord, et .al.
The Lancet Respiratory Medicine Volume 4, No. 9, p731–741, September 2016
http://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(16)30148-5/fulltext

DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(16)30148-5

背景:
吸入ステロイドはCOPD管理にとって重要だが、中等度/重症COPD患者の肺炎リスク軽度増加の可能性。血中全白血球のうち好酸球数2%以上患者では、2%未満に比べICS(吸入ステロイド)反応良好で、血球好酸球数がCOPD患者の肺炎リスクへ影響を与えるのではないかと考えられた
post-hocメタ解析にて、2%を閾値としてICS治療に関連せず肺炎リスク同定可能か?


方法:  GlaxoSmithKline trial registryにおいてCOPD患者のランダム化二重盲検臨床トライアル;ICS arm(プロピオン酸フルチカゾン、サルメテロール、フランカルボン酸フルチカゾン、ビランテロール);対照群(吸入フルチカゾン使用無し)
ランダム化前血中好酸球数、24週間内の評価
Medical Dictionary for Regulatory Activitiesの特異的用語を使用し、患者レベルの肺炎副作用イベント同定
肺炎イベント患者数を計算、ベースライン好酸球数(全白血球 2%未満 vs 2%以上)、ICS投与受けたか否か

結果:
1998-2011年施行(10トライアル)、好酸球数データ参照可能 10,861名のCOPD
好酸球比率 2%未満 4043、2%以上 6818名


肺炎副事象1回以上 2%未満患者  2149(3.7%) vs 2%以上患者 215(3.2%)  (ハザード比 [HR] 1.31; 95% CI 1.06–1.62)




ICS無治療患者において、40(3.8%) vs 48(2.4%) (HR 1.53; 95% CI 1.01–2.31)
ICS治療患者において、 107( 4.5%) vs 164 (3.9%( HR 1.25; 95% CI 0.98–1.60)





結論:
ベースライン好酸球比率2%を用い、COPD好酸球比率低値群では、寄り肺炎イベントリスクが高い。
この増加リスクのmagnitudeは小さく、大規模前向き研究が必要
COPDとベースライン好酸球比率2%未満での患者においてICSの反応性が乏しいことを含め、治療意思決定に際しこれらデータを加味すべき

情報の非対称性:タミフル「薬害」転落死関連最高裁判決

「薬害情報」に関する「情報の非対称性」

真実とは関係なく、一般の興味あることのみを取り上げ、それが事実であるか如く市井で常識化固着することとなる。結果として、国民大多数を幸福にせず、興味を引く偏った意見の代表者たちが出版利益や講演会でよばれ講演料や一時的名声を得、マスメディアのみが一時的利益を得る。

一方、地味な記事にしかならない事象は、メディアは黙視抹殺する。


いわゆる「タミフル脳症」についての判決だが・・・


タミフル服用後転落死、遺族の敗訴確定 最高裁
2016年9月8日18時00分
http://www.asahi.com/articles/ASJ985SNFJ98UTIL033.html

最高裁で
今年2月の二審・名古屋高裁判決は「異常行動はインフルエンザ自体によっても生じることがあり、タミフルとの因果関係を認めることはできない」として、不支給決定を妥当とした昨年3月の一審・名古屋地裁判決を支持した。
との記事。


ところで・・・

別に「日経新聞」だけの問題ではないのだが・・・ウェブ購読し検索可能な新聞なので・・・例示かのうだったので、「経済記事以外は信用できる」と、ある経済評論家が評価している「日経新聞」を例にする



http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070322/121523/

「日経ビジネス」とやらが、系列の日経新聞の記事を引用し「非難は強まるばかりだ」と批判記事




で、今回、日経新聞は最高裁判決を大々的に記事として過去の記事訂正するかと思いきや・・・


昨日夕刊や本日朝刊をざっと見した上で、記事検索すれど・・・記事の痕跡無し






ひょっとしたら、日経新聞は「経済記事以外も信用できないのではないか」疑惑

朝日新聞は、この件に関しては「まともな新聞」である疑惑・・・

2016年9月8日木曜日

在宅HOT-HMV trial:高炭酸ガス血症COPD急性増悪 在宅非侵襲性人工呼吸の効果絶大

European Respiratory Society (ERS) International Congress 2016 のハイライトとして、在宅非侵襲的人工呼吸(NIV)のベネフィットとして患者の医療・生活への改善効果が示された

ResMed at-home COPD management portfolioには、在宅NIV/リモートモニタリング技術とともにポータブル酸素療法が含まれる




HOT HMV
Dr Murphy (UK)指導、ResMed社・Philips Respironics社資金提供
HOT HMV studyは、高炭酸ガス血症COPD急性増悪後の在宅人工呼吸(HMV)の効果をみたもの
長期酸素療法(LTOT) vs LTOT+HMVの比較

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00990132

記事概要:COPD増悪後入院・高炭酸ガス血症

LTOT単独に比べ、LTOT+HMVでは、再入院・死亡イベント 51%減少
 (ハザード比 0.49, 95% 信頼区間; CI, 0.31 - 0.77, p=0.002)

平均再入院・死亡イベントフリー期間
NIV在宅患者 4.3ヶ月間
非NIV在宅患者 1.4ヶ月間

QOL改善、コスト的ベネフィットなど効果多大との主張

http://www.resmed.com/epn/en/consumer/resmed-expands-copd-offering.html


http://s2.q4cdn.com/231003812/files/doc_news/New-Study-Shows-Using-Non-Invasive-Ventilation-Therapy-to-Treat-Patients-with-Chronic-Obstructive-Pulmonary-Disorder-COPD-at-Home-Significantly-Reduces-Risk-of-Re-Hospitalization-and-Death.pdf




正式な論文発表を待ちたい

TRILOGY & TRINITY: triple-dose therapy: COPD PIII

重症・最重症COPD患者における3剤合剤治療の有効性・安全性pIIIトライアル


TRILOGY : Single inhaler triple therapy versus inhaled corticosteroid plus long-acting β2-agonist therapy for chronic obstructive pulmonary disease (TRILOGY): a double-blind, parallel group, randomised controlled trial
Dave Singh, et. al.
The Lancet. Volume 388, No. 10048, p963–973, 3 September 2016
DOI: http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)31354-X/abstract


Single inhaler triple therapy versus inhaled corticosteroid plus long-acting β2-agonist therapy for chronic obstructive pulmonary disease (TRILOGY): a double-blind, parallel group, randomised controlled trial
Dave Singh, et. al.
The Lancet. Volume 388, No. 10048, p963–973, 3 September 2016
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)31354-X |
1,368:重症COPD(拡張剤後-FEV1予測値比 50%未満)
triple-drug , fixed-dose (CHF5993) vs ICS/LABA dual treatment(beclomethasone/formoterol)
dual treatmentに比べ、3剤固定吸入は, pre-dose FEV1 0.081L (95% CI, 0.052 - 0.109, P < 0.001)、2-hour post-doseでは 0.117L (95% CI, 0.086 - 0.147, P < 0.001)と改善
TDI臨床的改善有意なるも、統計学的有意差に到達せず
TDI1以上改善の症例では、26週にて中等度・重症急性増悪23%軽減
両治療群は安全と判断され、トレランス十分で、肺炎3%未満の発生率




TRINITY
40歳以上、現行・既往喫煙者;重症・最重症COPD
fixed-dose triple therapy (n=1,077) vs 個別投与triple therapy (n=1,076) vs LAMA:チオトロピウム(n=537)
52週トライアル
ランダム化前、ICS/LABA前治療が主
中等度・重症急性増悪20%軽減、年次急性増悪率は予想より少ない結果

"fixed,triple combination" vs "non fixed,combined ICS/LABA + チオトロピウム"での有意差認めず
しかし、LAMA単剤に比べ、fixed-dose triple therapyは優越性あり、ICS/LABA/LAMA free-doseに比べ非劣性との結論

2016年9月7日水曜日

米国予防医学専門委員会:潜在性結核感染スクリーニング

日本では・・・
http://www.kekkaku.gr.jp/commit/yobou/201306.pdf



米国は「結核撲滅」成功国であり下記ステートメントは一般住民対象となるのかもしれない。一方日本では、BRMsや抗がん剤など使用時問題になることが多く、他の分野のステートメントと異なりそのまんま採用というわけにもいかないのだろう
参考:http://www.bdj.co.jp/micro/articles/tb/1f3pro00000rog4x.html


例えば、「関節リウマチ」患者に、TST/IGRA年次検査推奨している報告もある





Screening Optimization of Latent Tuberculosis Infection in Rheumatoid Arthritis Patients
Arthritis. 2015; 2015: 569620. 
Published online 2015 Jul 29. doi:  10.1155/2015/569620









US Preventive Services Task Force | September 6, 2016
RECOMMENDATION STATEMENT

Screening for Latent Tuberculosis Infection in Adults
US Preventive Services Task Force Recommendation Statement
JAMA. 2016;316(9):962-969. doi:10.1001/jama.2016.11046.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2547762


「結核菌は空気感染でひろがり、結核菌排除されるか、活動性病変(一次病変)を形成するか。感染性となる場合と、無症状/非感染性の場合にわかれる。潜在性結核感染(LTBI)の場合は、後に再活動化し、活動性結核病変を形成する。活動性結核菌感染暴露の約30%が潜在性結核感染と成り、ツベルクリン陽性の5〜10%のあ人がLTBI再活性化、活動性結核となる」



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潜在性結核感染高リスク対象者

  • 結核高感染リスク国生まれあるいは居住既往
  • 高リスク密集地域(例;ホームレスや矯正施設)生まれ・居住継続
米国内で地理的地域ばらつき有り、臨床家はそれら地域・州の専門部署により地域の健康情報について詳しい情報を求めることができる

Mantoux ツベルクリン検査とIGRA;共に感度中等度、特異度高度


治療は




日本では、INH:6ヶ月から9ヶ月という曖昧な表現だったと思うが、9ヶ月治療はHIV、2-11歳、妊娠女性により適応とされている
(慎重なのだろう・・・担当医がやたらと9ヶ月に伸ばしたがることがある・・・)

妊娠初期MRIの安全性と、造影MRIの胎児リスク




Association Between MRI Exposure During Pregnancy and Fetal and Childhood Outcomes
Joel G. Ray, et. al.
JAMA. 2016;316(9):952-961. doi:10.1001/jama.2016.12126.


研究意義  妊娠1st trimesterにおけるMRIの胎児安全性、ガドリニウム造影時の全妊娠期安全性不明
目的 1st trimester中のMRI後、妊娠全時期のガドリニウム造影時の長期安全性
デザイン・セッティング・被検者 カナダ・オンタリオ州 Universal health care database、2003-2015年20週間超生存児同定
暴露 妊娠1st trimester中のMRI、妊娠全期間ガドリニウムMRI暴露
主要アウトカム・測定 1st trimester MRI暴露に対し死産・新生児死亡(28日内)、先天異常、腫瘍、聴力・視力障害:4歳まで評価
妊娠全時期ガドリニウムMRI暴露に対しては、 nephrogenic systemic fibrosis (NSF-like) 様結合織・皮膚疾患(参考:http://emedicine.medscape.com/article/1097889-overview#showall)やより広範なリウマチ関連、炎症性、浸潤性皮膚疾患を同定
結果 1,424,105出産(女児 48%; 平均妊娠期間 39週)、MRI包括発生率 1千対3.97
no MRIに対する1st trimester MRI比較
死産・死亡 19 vs 9844(補正相対リスク[RR], 1.68; 95% CI, 0.97 to 2.90)、補正リスク差 1千人年 4.7s (95% CI, −1.6 to 11.0)
リスクは先天、新生物、視力・聴力障害で有意な増加見られず

no MRI (n = 1 418 451)に対するガドリニウム MRI(n=397)では
NSF-様アウトカムハザード比統計学的有意差認めず

リウマチ関連、炎症性、浸潤性皮膚疾患のより広いアウトカムは 123 vs 384,180(補正HR, 1.36; 95% CI, 1.09-1.69)、補正リスク差は1千人年で 45.3(95% CI, 11.3 - 86.8)
死産・児死亡は、 7 vs 9844(補正RR 3.70; 95% CI, 1.55 - 8.85) 、補正リスク差は1千人年あたり47.5 (95% CI, 9.7 - 138.2)

結論・知見 妊娠1st trimesterでのMRI暴露は非暴露に比べ胎児へ有害性リスク増加と相関せず
全妊娠期ガドリニウムMRI暴露はリウマチ関連、炎症、浸潤性皮膚疾患リスク、死産・児死亡リスク増加と関連
稀な副事象アウトカム検出不能な研究の可能性あり


添付文書上「妊娠、産婦、授乳婦等への投与」に関して、曖昧な「診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」とある。

https://www.medicallibrary-dsc.info/di/omniscan_intravenous_injection_syringe_10ml/pdf/pi_oms2_1109.pdf

2016年9月6日火曜日

好酸球性急性増悪は予後良好?:血中好酸球とCOPD急性増悪入院アウトカム

Blood Eosinophils and Outcomes in Severe Hospitalized Exacerbations of COPD
Mona Bafadhel, et. al.
Chest. 2016;150(2):320-328. doi:10.1016/j.chest.2016.01.026

COPD急性増悪入院37名
好酸球性急性増悪(200個/μL以上 and/or 2%以上)層別化
入院詳細、血中CRP、滞在日数、以降の再入院を群差比較

COPD 243名(117名男性)、平均年齢(range) 71 (44-93)

入院死亡率 3% (死亡までの平均期間 12日間 , range 9-16日)

好酸球数絶対数 100 個/μL(range 10 - 1500 個/μL)と好酸球性急性増悪クライテリア合致比率25%


この対象(好酸球性急性増悪)では、入院期間平均は非好酸球性急性増悪より短い (5.0 (1-19) vs. 6.5 (1-33),45 p=0.015)、経口ステロイド使用なされ、入院前治療とは関連せず

12ヶ月時点での再入院率は群間同等



好酸球

Salford Lung Study:COPD中等症/重症急性増悪発生減少効果 レルベア・エリプタ(ICS/LABA) vs 通常ケア

Salford Lung Study


  • ランカルボン酸フルチカゾン(吸入ステロイド:ICS)+ビランテロール(長時間作用β2アゴニスト:LABA)の合剤である、レルベア・エリプタ
  • 対照:通常ケア


なにかと批判の多い、吸入ステロイドのCOPDへの処方・使用



European Respiratory Society (ERS) International Congress
関連:Medpage Today

Effectiveness of Fluticasone Furoate–Vilanterol for COPD in Clinical Practice Jørgen Vestbo,et. al., for the Salford Lung Study Investigators
New Engl. J. Med. September 4, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1608033


同時発表


GP 75、2799名の、1日1回吸入レルベア治験

プライマリアウトカム:中等症/重症急性増悪 1年以内経験
セカンダリアウトカム:プライマリケア・コンタクト率(GP、看護師、他の医療職業者コンタクト)、セカンダリケア・コンタクト率(入院、専門家外来、ED受診)、COPD初期治療変更、3年内急性増悪患者のうち急性増悪率、time-to-event analysis分析


COPD患者の中等症/重症急性増悪を8.4% (95% 信頼区間 : CI, 1.4 - 14.9 , p=0.02)減少
COPD関連プライマリケア・コンタクト、セカンダリケア・コンタクト年間発生率に有意差なし

time-to-event analysisにおいて、初回中等症/重症急性増悪率、初回重症急性増悪発生率に有意差無し

エリプタ群に関する、肺炎に関する超過副事象認めず

他の重症イベント数は群間差認めず










好酸球、eosinophilの記載見当たらない・・・

2016年9月2日金曜日

COPDにおける肥満のインパクト

COPDにおける肥満のインパクト

Obesity is Associated with Increased Morbidity in Moderate to Severe COPD
Allison A.
Lambert, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.08.1432



多施設前向きコホート研究:3631名 COPDGene

肥満35%、class I (BMI 30-34.9kg/m2)肥満 21%、 Class II(BMI 35-39.9kg/m2) 肥満 9%、 class III  (BMI ≥ 40kg/m2)肥満 5%

併存症数は肥満class増加とともに増加  (p<0 .001="" p="">
肥満class増加は、呼吸器特異的QOL、全般QOL悪化と相関 (QOL; St. George’s Respiratory Questionnaire score 、Short Form-36 score v2)、6分間歩行距離 (6MWD)低下、呼吸困難 (modified Medical Research Council score of ≥2)増加と相関、COPD重症急性増悪(AECOPD)オッズ増加

肥満とアウトカム悪化の関連性は併存症から独立
例外はSF-36と重症急性増悪症例





東洋人にはありえない肥満だから・・・参考にならない? 逆に、肥満不耐性のアジア人だから参考になる?

2016年9月1日木曜日

小児喘息 VESTRI研究:アドエア vs フルタイド 安全性検討:重大喘息<入院>イベント非劣性、急性増悪減少有意差無し

重症喘息イベント:シムビコート(ICS/LABA併用)はICS単独に比べ重大喘息イベント発生抑制 2016/9/1

こちらは小児限定だが、ほぼ同様の安全性非劣性の結果
しかしプライマリではないが急性増悪予防効果に有意差認めなかった


長時間作用性β作用薬:LABAは成人では喘息関連死、小児では喘息関連入院リスク増加の懸念あり
LABAのICSへのadd-on治療の安全性検討



Safety of Adding Salmeterol to Fluticasone Propionate in Children with Asthma
David A. Stempel, et. al.., for the VESTRI Investigators
N Engl J Med 2016; 375:840-849September 1, 2016 


小児(4-11歳)の連日喘息治療必要な症例、26週間の検討

プライマリアウトカムは、重症喘息急性増悪 (定義: deterioration of asthma leading to the use of systemic glucocorticoids (tablets, suspension, or inject ion) for at least 3 days (up to 10 days) or a single depot glucocorticoid injection.);微妙に「シムビコート vs パルミコート」と違う



6208名のうち重大喘息関連イベント(全例:入院)
アドエア:フルチカゾン-サルメテロール 27
フルタイド:フルチカゾン 21
ハザード比 1.28 (95% 信頼区間 [CI], 0.73 to 2.27)
非劣性 (P=0.006)


重大喘息急性増悪
アドエア:フルチカゾン-サルメテロール 265 例 (8.5%)
フルタイド:フルチカゾン 309例(10.0%)
(ハザード比, 0.86; 95% CI, 0.73 to 1.01)




・・・小児はICS単独優先すべきという議論に向かうのか?


重症喘息イベント:シムビコート(ICS/LABA併用)はICS単独に比べ重大喘息イベント発生抑制

2009年、FDAは市販後調査からLABA含有薬剤の安全性への懸念が呈された。アストラゼネカから宿題提出ということらしい

同様に、アドエア(フルチカゾン+サルメテロール) vs フルタイド(フルチカゾン)の宿題提出は

Safety of Adding Salmeterol to Fluticasone Propionate in Children with Asthma
David A. Stempel, et. al.., for the VESTRI Investigators
N Engl J Med 2016; 375:840-849September 1, 2016 
DOI: 10.1056/NEJMoa1606356



喘息死自体はICS/LABA(ブデソニド・ホルメテロール)で出現しているが、ICS(ブデソニド)単独では出現していない。5千名以上のサンプルなので統計学的な有意性は示されてない。そもそも、のかなりの重症喘息なので、リスキーな被検者たちということなのだろう。


一方で、こういう論文の結語が採用されると言うことは、言い換えれば、喘息治療目標は、死なないための治療とともに、<一定期間ステロイド治療や入院必要なほどの>重症喘息イベントを起こさせにくい治療ということなのだろう。



Serious Asthma Events with Budesonide plus Formoterol vs. Budesonide Alone
Stephen P. Peters, et. al.
N Engl J Med 2016; 375:850-860September 1, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1511190


多施設二重盲験26週間研究
12歳以上、持続性喘息(連日喘息治療) 、直近1年間1-4喘息急性増悪:但し生命危機発作例を除く

プライマリエンドポイントは初回重症喘息関連イベント(死亡、挿管、入院を含む;本文中記載は、3日以上全身ステロイド投薬必要な状況、喘息による入院、結果としてステロイド投与必要となった救急部受診):time-to-event analysis



ランダム化:11,693例

  • ブデソニド/フォルメテロール群 5846
  • ブデソニド群 5847


重症喘息関連イベント

  • ブデソニド/フォルメテロール群 43
  • ブデソニド群 40

 (ハザード比, 1.07; 95% 信頼区間 [CI], 0.70 to 1.65]); ブデソニド/フォルメテロール群はブデソニド単独比較非劣性

2例の喘息関連死、両群ともブデソニド/フォルメテロール群:1例は喘息関連挿管施行

喘息急性増悪のリスクは、ブデソニド単独よりブデソニド/フォルメテロールで16.5%少ない (ハザード比, 0.84; 95% CI, 0.74 to 0.94; P=0.002)





今日は、夏休みの宿題提出日ですね。夏休みぼけで、手ぶらで9月1日学校に行ったことのある人→私

COPDの合併症としての心房細動

COPD患者において、心房細動はコモンな合併症で、下記報告を参考にすると、1割強に合併していることとなる。

コントロールとしては抗血栓と心拍コントロール、他心不全対策となるのだろうが・・・

厳格に言えば、アーチスト(カルベジロール)の禁忌は「気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支筋 を収縮させることがあるので喘息症状の誘発、悪化を 起こすおそれがある。]」であり、COPDのみでは禁忌とはならない。喘息合併:ACOSなどの問題点からやはりβ遮断剤処方忌避することとなるのだろう。メインテート(ビソプロロール)の禁忌項目に喘息/気道攣縮認めない。

COPD患者の心房細動治療不十分が示唆される


Impact of Chronic Obstructive Pulmonary Disease on Prognosis in Atrial Fibrillation: A Report from the EURObservational Research Programme Pilot Survey on Atrial Fibrillation (EORP-AF) General Registry
Marco Proietti, et. al. , on behalf of EORP AF Investigators
AHJ American Heart Journal, 08/31/2016

EORP-AF Registry Pilot Phase登録患者の検討

AF患者のうち、COPD診断 339(11.0%) 
COPDのうちAFはリスク要素/合併症 burden多い、例えば、糖尿病、うっ血性心不全(p < 0.001)
COPD患者においてβ遮断薬処方少ない (p=0.0007)

COPD/AF患者はCV死亡、全原因死亡高リスク( p <  0.0001)、同様に、血栓塞栓/出血/CV死亡組み合わせアウトカムリスク増加 (p=0.0003)

Cox regression analysis にて COPDは全原因死亡リスク増加と独立して関連 (ハザード比1.55, 95%CI 1.05–2.28; P = .0269)





atrial fibrillation (HR 1.6).として表示されている





http://journal.copdfoundation.org/jcopdf/id/1022/Defining-COPD-Related-Comorbidities-2004-2014

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note