2018年7月31日火曜日

COPD:吸入大麻効果無し

オランダはじめヨーロッパはカンナビス(大麻)に対して愛着持ってるようで・・・突如こういう報告が出てくる

結論は効果無しだが・・・

Effect of Vaporized Cannabis on Exertional Breathlessness and Exercise Endurance in Advanced COPD: A Randomized Controlled Trial
Eur Respir J 2018; 52: 1801095 [https://doi.org/10.1183/13993003.01095-2018].
https://doi.org/10.1513/AnnalsATS.201803-198OC     
PubMed: 30049223


vaperizedカンナビスのCOPD患者への肺機能への急性効果
16名のCOPD重症患者ランダム化対照トライアル

35 mg inhaled vaporized cannabis (18.2% delta-9-tetrahdyrocannabinol (THC), <0 .1="" cannabidiol="" nbsp="" p="">vs.
35 mg of a placebo control cannabis (CTRL; 0.33% THC, <0 .99="" cbd="" nbsp="" p="">

心肺サイクルendurance運動中の生理学的、知覚的変化、安静中スパイロメトリ・iOS、認知機能、精神活動、気分を急性効果として比較



対照 CTRLと比較し、カンナビス効果無し

  • isotimeにおける運動中息切れ強度rating  (cannabis, 2.7±1.2 Borg units vs. CTRL, 2.6±1.3 Borg units)
  • 運動耐用時間  (cannabis, 3.8±1.9 min vs. CTRL, 4.2±1.9 min)
  • 安静時・運動中の、心、代謝、ガス交換、換気、呼吸パターン and/or 肺容量パラメータ
  • 安静時 iOS-derived pulmonary function test parameter
  • 認知機能、心理・気分




特発性炎症性筋症:稀な病気だが、スタチンと関連

オーストラリアの住民ベース(South Australian Myositis Database )症例対照研究

組織所見確認のIdiopathic inflammatory myosis(IIM):特発性炎症性筋症
診断時スタチン暴露 68/221(30.8%) vs マッチ化対照 142/662(21.5%) p=0.005
ほぼ2倍の尤度 補正オッズ比 1.79 95% 信頼区間 ;1.23 - 2.60 p=0.001

壊死性筋炎(necrotizing myositis)を除外した場合でも同様の結果


Association of Statin Exposure With Histologically Confirmed Idiopathic Inflammatory Myositis in an Australian Population
JAMA Intern Med. Published online July 30, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.2859
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2687990

スタチン関連のmyalgia(筋痛)を含む筋骨格系副作用は稀で、発生頻度 1万人年対 0.4
しかもスタチン中止すれば回復する事が多い
しかし、炎症性筋炎を生じる事例報告、稀で臨床的にheterogenosu、自己免疫性筋疾患とも考える

序文
Idiopathic inflammatory myositis commonly appears as painless, proximal limb girdle weakness with multisystem involvement. Creatinine kinase levels are commonly elevated, and treatment includes high-dose corticosteroids and other forms of immunosuppressive therapies. There are a number of distinct subsets of IIM that are distinguished by clinical features, characteristic histopathologic features, and the presence of myositis-specific autoantibodies. Subsets of IIM include polymyositis, dermatomyositis, inclusion body myositis, and immune-mediated necrotizing myositis. The latter, immune-mediated necrotizing myopathy, has been reported in association with a number of factors, including viral infections, connective-tissue disorders, or exposure to a statin medication. More recently, statin-associated autoimmune myopathy has been recognized as a distinct entity, with the presence of a specific autoantibody against HMG-CoA reductase

ステロイド治療必要で、筋炎特異的抗体にて鑑別
HMG-CoAリダクターゼに対する特異抗体を有する別のentityの存在も認識されている







2018年7月28日土曜日

血圧自己測定デバイス→無駄な救急外来受診増加

あんまり家庭血圧測定というものだから、カナダでは高血圧による救急受診が著増しているそうな・・・ 
e.g.
仮面高血圧は脳卒中リスク増大と関連、冠動脈性心疾患とは関連示せず https://kaigyoi.blogspot.com/2018/07/blog-post_27.html



「血圧150/90だから心配になって予定外受診しにきた」というのは良くあるけど・・・「血圧値上昇→脳梗塞・脳出血・心臓発作」というイメージをもってる場合が多い。基本的にはパンフレットにて、自覚症状のない"silent killer”であることと累積リスクの一つであることを平易な表現で説明することになる。初めての高血圧治療するときは薬剤使用有無にかかわらず説明するのだが・・・それでも納得してないケースも多々。
家庭内血圧啓発は合理的だとおもうが、片方で、医療リソースの無駄遣いになる部分もある


注意喚起になる報告と思い、取り上げた・・・



自宅あるいは薬局血圧デバイス使用後救急受診患者の特性とアウトカム
後顧的観察研究、カナダ・オンタリオ州5つの地域・三次病院での高血圧診断、ED受診(2010年4月〜2011年3月)

The Characteristics and Outcomes of Patients Who Make an Emergency Department Visit for Hypertension After Use of a Home or Pharmacy Blood Pressure Device
 [Ann Emerg Med. 2018;-:1-10.]
https://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(18)30497-9/fulltext



ED受診を「家庭血圧測定後」、「薬局血圧測定後」、「医師受診後」、「詳細不明その他」に分け、入院・ED治療(降圧剤投与、処方箋提供)、EDクリニックイベント(フォローアップケア、ED再受診、長期全死亡率)を群間検討


該当1,508名、ED血圧中央値   182/97 mm Hg (IQR 164 to 200/85 to 109 mm Hg)
「家庭血圧測定後」、「薬局血圧測定後」、「医師受診後」、「詳細不明その他」は、それぞれ 40.9%, 8.3%, 13.3%, 37.5%



入院は 109名(7.2%)
比率は、「家庭血圧測定後」あるいは「薬局血圧測定後」、「医師受診後」、「詳細不明その他」で、 3.1%、11.9%、11.0%
2年生存率は「家庭血圧測定後」、「薬局血圧測定後」、「医師受診後」、「詳細不明その他」各々 5.4%, 0.0%, 6.5%, 5.3%
ED退院後92.8%のうち1年内に他のED受診 11%



結論:高血圧理由救急外来受診患者の半数が自己血圧測定デバイスによる血圧高値のための受診
そのうち3%のみ真に入院必要

2018年7月27日金曜日

仮面高血圧は脳卒中リスク増大と関連、冠動脈性心疾患とは関連示せず

ほんとは「マスクをつけた、仮面をつけた」高血圧というのが正確な気がする、いわばマスク化(覆面化)高血圧が正しいと思う。故に、仮面高血圧って表現個人的にはいつまでも好きになれないが、まぁ公式にそうなってるようなので・・一応そういう名称で・・・

その"仮面高血圧”と心血管疾患イベントの臨床的関連性検討で、"家庭血圧測定(home bllood pressure monitoring;HBPM)が卒中イベント発生リスク増加と関連すると日本の一般臨床での報告。HBPM使用により、改善された血圧関連リスク評価が達成され、心血管イベント予防の観点から新しい治療介入となるだろう”と要約


自治医科大学などからの報告
4261名の外来患者コホートで、仮面高血圧は"コントロ−ル血圧レベル”の対照に比べ、卒中リスク増大と関連、一方、冠動脈性心疾患リスクとは関連しない


Association of cardiovascular outcomes with masked hypertension in a Japanese general practice population
JAMA Cardiology — July 26, 2018
JAMA Cardiol. 2018;3(7):583-590. doi:10.1001/jamacardio.2018.1233



日本の71のプライマリ治療あるいは大学病院、4,261名の外来治療患者
Japan Morning Surge–Home Blood Pressure study として2005年1月1日〜2012年12月31日登録

心血管疾患病歴もしくはリスクありで、2,015年3月31日までフォローアップ
受診時2回のoccasional血圧測定と14日間朝夜HBPM測定
ベースライン時尿中アルブミン/Cr比、血中BNPを心血管疾患終末臓器障害のマーカーとして測定
2017年7月1日〜2017年10月31日までデータ解析
4つの血圧群形成

  • 仮面高血圧:masked hypertension—hypertensive home BP levels (systolic, ≥135 mm Hg; diastolic, ≥85 mm Hg) and nonhypertensive clinic BP levels (systolic, <140 diastolic="" hg="" li="" mm="">
  • 白衣高血圧:white-coat hypertension—nonhypertensive home BP levels (systolic, <135 and="" bp="" clinic="" diastolic="" hg="" hypertensive="" levels="" li="" mm="" systolic="">
  • 持続的高血圧:sustained hypertension—hypertensive home and clinic BP levels
  • コントロールされた血圧:controlled BP—nonhypertensive home and clinic BP levels.


主要アウトカム・測定は、卒中・冠動脈疾患発生

総数4261名登録、女性 2,266(53.2%)、降圧剤服用 3,374(79.2%)、平均年齢(SD) 64.9(10.9)歳 フォローアップ中央値 3.9(2.4-4.6)年間

卒中 74(1千人年対 4.4) 、冠動脈性心疾患 77(1千人年対 4.6)、

仮面高血圧 vs 対照にてリスク増加 従来心血管リスク・尿中Cr/アルブミン比・血中BNP値と独立増加 ハザード比 2.77; 95% CI 1.20-6.37
データでは仮面高血圧は冠動脈性心疾患リスクと関連せず






家庭血圧必須・・・



"仮面高血圧” 19.0% 白衣高血圧 14.4% で、むしろ仮面高血圧の方が多い・・・ こんなものなのか? 

2018年7月26日木曜日

閉塞型無呼吸と高血圧:醒反復ではなく間歇的低酸素こそ、OSA患者での昼間血圧増加の主たる要素

閉塞型睡眠時無呼吸:Obstructive sleep apnoea (OSA)を合併している可能性が"治療抵抗性高血圧患者”,"心血管イベントの既往歴”,"正常血圧であっても左室肥大”の特徴を有する高血圧患者では,OSAを念頭に置いた診療が必要・・・ってのが循環器系医師たちの見解かな?

論文の序文から"OSAは有意に心血管疾患特に昼間の血圧増加と高血圧に関係。CPAPは重要な心血管健康マーカー改善、治療抵抗高血圧、血管内皮機能を改善"と書かれてるが、あんまり降圧効果無いと思う。

さておき、間歇的低酸素、睡眠断片化が、OSAでの高血圧発症に関わるだろうと推定。
低酸素が悪さするなら、酸素を投与すればいいじゃないか(小柳ルミ子(パスコースがなければ作れば良い)風)



Effect of Supplemental Oxygen on Blood Pressure in Obstructive Sleep Apnea (SOX): A Randomised, CPAP Withdrawal Trial
https://doi.org/10.1164/rccm.201802-0240OC
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201802-0240OC

Rationale: 閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)は全身性高血圧と関連する。overnightの間歇的低酸素血症あるいは反復的覚醒がOSAで生じ、昼間血圧の増加をもたらす可能性がある。

Objectives: 間歇的低酸素のOSA患者の早朝血圧増加への役割

Methods: ランダム化二重盲検交叉トライアルで、overnight補完的酸素 vs air(sham)の比較:早朝血圧、CPAP療法継続中断、中等度〜重度OSA患者

プライマリアウトカム:14日間夜間CPAP中断後の酸素 vs airでの早朝血圧変化
セカンダリアウトカム: oxygen desaturation index (ODI)、apnoea hypopnoea index (AHI)、 主観的 (Epworth sleepiness score) 、客観的 (Oxford sleep resistance test) 眠気

測定と主要結果:補充的酸素投与はCPAP中断後の血圧増加をバーチャルに消しさり、有意に平均血圧増加を減少 (-6.6mmHg; 95% 信頼区間 or CI -11.3 to -1.9; p=0.008)する、同様平均拡張期血圧 (-4.6mmHg; 95% CI -7.8 to -1.5; p=0.006)、平均ODI(-23.8/h; interquartile range -31.0, -16.3; p<0 .001="" p="">


AHI、主観的、客観的眠気に有意差無し


結論:CPAP中断中補完的酸素投与は早朝血圧増加をバーチャルに消し去る。
補完的酸素投与は間歇的低酸素を減少させるが、覚醒マーカーの効果はAHI含め最小で、主観的・客観的眠気への効果少ない
故に覚醒反復ではなく間歇的低酸素こそ、OSA患者での昼間血圧増加の主たる要素と考えられる。
Clinical trial registration available at www.isrctn.com, ID ISRCTN 17987510.


中枢型無呼吸判別されてない症例では危険な賭となるであろう、無呼吸への酸素投与

2018年7月25日水曜日

急性冠症候群直後のうつで心アウトカム長期改善

<要約>
キーポイント
Question 急性冠症候群後すぐの抗うつ治療が長期心臓アウトカムを改善するか?


知見 recent急性冠症候群でうつを有する300名を含むランダム化臨床トライアル、エスシタロプラム vs プラシーボ群24週間治療においてフォローアップ中央値 8.1年間重大副事象アウトカム発生率 40.0% vs 53.6%、統計学的有意差有り

意義  recent急性冠症候群後うつに対してエスシタロプラム治療は長期心アウトカム改善をもたらす




Effect of Escitalopram vs Placebo Treatment for Depression on Long-term Cardiac Outcomes in Patients With Acute Coronary Syndrome
A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2018;320(4):350-358. doi:10.1001/jama.2018.9422
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2688569


研究意義 うつは急性冠症候群(ACS)の医学的アウトカム悪化と関連するが、長期予後に対する抗うつ薬の効果に関してデータ不足

目的 recent ACS患者のうつへのエスシタロプラム治療の長期重大副事象的心臓イベント(MACE)への効果検討

デザイン・セッティング・被検者 ランダム化二重盲検プラシーボ対照トライアル、recent ACSおよびうつ患者300名、2007年3月〜2013年3月登録、2017年6月フォローアップ完了 ;韓国 Chonnam National University Hospital, Gwangju

介入  エスシタロプラム(フレキシブル量調整 5, 10, 15, or 20 mg/d (n = 149) ) or マッチ化ブラシーボ (n=151);24週間投与

主要アウトカムと測定
プライマリアウトカム ; MACE、全死亡、心筋梗塞、PCIの構成
4つのセカンダリアウトカム:MACE個別項目(全死亡、心臓死、心筋梗塞、PCI)
Cox比例ハザードモデルをエスシタロプラムとプラシーボ比較のため初回MACEまでの期間で解析

結果  300名のランダム化患者(平均年齢 60歳、女性 119 [39.3%)、フォローアップ期間中央値 8.1年(IQR 7.5-9.0)、100%完遂

MACE発生 : エスシタロプラム 61(40.9%) vs プラシーボ 81(53.6%) (ハザード比 [HR], 0.69; 95% CI, 0.49-0.96; P = .03)



個別MACEアウトカム指標比較では

  • 全死亡率 20.8% vs 24.5% (HR, 0.82; 95% CI, 0.51-1.33; P = .43)
  • 心臓死 10.7% vs 13.2% (HR, 0.79; 95% CI, 0.41-1.52; P = .48)
  • 心筋梗塞 8.7% vs 15.2% (HR, 0.54; 95% CI, 0.27-0.96; P = .04)
  • PCI 12.8% vs 19.9% (HR, 0.58; 95% CI, 0.33-1.04; P = .07)


結論と知見 recent急性冠症候群後うつの患者において、エスシタロプラム24週間治療はプラシーボに比較してフォローアップ8.1年間の重大副事象的心イベントのリスク低下を認める。これら知見の一般化評価のためさらなる研究は必要

Trial Registration  ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00419471




抗うつ薬はどの程度処方されたのだろう・・・
"At the end of 24 weeks of double-blind treatment, the study was completed, study medication was tapered down, and patients were unblinded."

24週間の抗うつ治療がその後10年弱も影響を与えていることになる


うつ診断は基本的には”Beck うつ質問表”
agreed to participate were screened for depressive symptoms with the Beck Depression Inventory (BDI)20 at baseline and thereafter as outpatients every 4 weeks up to 12 weeks. Those with a BDI score greater than 10 on any of these occasions received a clinical evaluation by a study psychiatrist using the Mini International Neuropsychiatric Interview (MINI), a structured diagnostic psychiatric interview applying Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (Fourth Edition) (DSM-IV) criteria, which yield diagnoses of major or minor depressive disorder.


循環器急性期病院にてうつ評価・治療処方開始検討されることを願う!

2018年7月24日火曜日

メトホルミン基本治療にSU剤単独変更はリスキー

世界的にはメトホルミン治療が第1選択で、第2選択としてスルフォニル尿素(SU)剤が使われるが、SU単独にswitchされてしまうことも多いようだ。
メトホルミンは心血管イベントリスク軽減、低血糖率低下と関連しており安全だが、add-onするとSU剤の低血糖悪化懸念などもあるようだ。


追加:メトホルミン→メトホルミン+SU剤
switch:メトホルミン→SU剤



Sulfonylureas as second line drugs in type 2 diabetes and the risk of cardiovascular and hypoglycaemic events: population based cohort study
BMJ 2018; 362 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k2693 (Published 18 July 2018)
Cite this as: BMJ 2018;362:k2693
https://www.bmj.com/content/362/bmj.k2693

住民基本コホート研究(UK Clinical Practice Research Datalink)
メトホルミン単独治療開始2型糖尿病患者(1998−2013)

主要アウトカム マッチ化1:1
メトホルミン単独維持に 追加 vs SU剤へswitch
高次propensity score、HbA1c、メトホルミン処方既往数
Cox比例ハザードモデルで、研究アウトカムの補正ハザード、95%信頼区間


【結果】メトホルミン治療開始者 77,138中、研究期間中 25,699名がSU剤追加あるいはswitch


フォローアップ 1.1年間において、SU剤は

  • 心筋梗塞リスク増加 (発生率 7.8 v 6.2 per 1000 人年, ハザード比 1.26, 95% 信頼区間 1.01 to 1.56)
  • 全原因死亡リスク増加 (27.3 v 21.5, 1.28, 1.15 to 1.44)
  • 重度低血糖  (5.5 v 0.7, 7.60, 4.64 to 12.44) 


以下リスク増加傾向

  • 虚血性卒中  (6.7 v 5.5, 1.24, 0.99 to 1.56)
  • 心血管死亡 (9.4 v 8.1, 1.18, 0.98 to 1.43)




SU剤追加に比べ、SU剤switch群は、以下リスク増加と関連

  • 心筋梗塞リスク増加   (ハザード比 1.51, 95% 信頼区間 1.03 to 2.24)
  • 全死亡率リスク増加 (1.23, 1.00 to 1.50)


虚血性卒中、心血管死亡、重度低血糖に差は認めず



【結論】 スルフォニル尿素(SU)剤が心筋梗塞、全原因死亡、重度低血糖リスク増加と関連
メトホルミンを継続するならSU剤はswitchingするより安全



SU剤の危険性は予想以上なのかもしれない

本文の結論とは異なる印象を持つ・・・SU剤はやはり死亡率を含む重大リスク増加をもたらしている。
ただ、本文認めSU剤の中身分からないため、SU剤全般なのかどうか不明


メトグルコ+DPP-4i+SGLT-2i処方患者でコントロール不良時GLP-1やインスリン投与拒否例に”アマリール後発”最小量0.5mgの半分(割線付きの薬剤がある)を追加することがある
転機にぶどう糖毒性解除できた例もあり、一概に、悪いとばかりは言えないと思いつつ・・・ 長期ではやはり控えるべきなのだろう


2型糖尿病:間歇的ダイエットは継続的ダイエットの代替手段として有効



動物実験(Longo VD, Mattson MP. Fasting: molecular mechanisms and clinical applications. Cell Metab. 2014;19(2): 181-192.)でも、間歇的エネルギー制限は、継続的エネルギー制限より効果的でないにしても、肥満、2型糖尿病リスク軽減効果がみとめられている。間歇的断食によるぶどう糖毒性解除によるインスリン感受性改善効果など考慮されると思うが、このやり方にフィットできる場合は代替的効果はありそう。

週末断食ならやりやすいけど、週2日連続してない日に極度カロリー制限というのは難しそう・・・


1日500−600kcal/日を週2日連続しない日に設定するという間歇的エネルギー制限法は、継続的なエネルギー制限 1200-1500kcal/日と比較してHbA1c低下効果は同等


体重や脂肪体重・除脂肪体重は間歇的エネルギー制限の方が減少しているようにみえるが・・・


Effect of Intermittent Compared With Continuous Energy Restricted Diet on Glycemic Control in Patients With Type 2 Diabetes
A Randomized Noninferiority Trial
JAMA Network Open. 2018;1(3):e180756. doi:10.1001/jamanetworkopen.2018.0756

2型糖尿病成人被検者 n=137名を1:1平行ダイエット群ランダム割り付け

  • 間歇的エネルギー制限:intermittent energy restriction [n = 70]
  • 継続的エネルギー制限:continuous energy restriction [n = 67]

2015年4月7日〜2017年9月7日、 University of South Australia
薬物管理プロトコールにしたがいベースランで低血糖原因となりやすい薬物を減らす


  • 介入:
  • 間歇的エネルギー制限食(500-600 kcal/d)を2連続日とならない日に2日施行し他2日はエネルギー制限しない普通食
  • 継続的エネルギー制限(1200-1500 kcal/d)週7日

12ヶ月継続

主要アウトカムと測定項目:

  • プライマリアウトカム:HbA1c値の変化、事前設定equivalence(同等性)値 90% CI限界 ±0.5%
  • セカンダリアウトカム:体重減少equivalence setを ±2.5 kg (体脂肪 ±1.75 kg、除脂肪体重 ±0.75 kg)

他のアウトカムは優越性検証


結果
137ランダム化被検者(女性77名、男性60名、年齢 61.0[9.1]、BMI 平均[SD] 36.0 [5.8] 、平均 HbA1c 7.3% [1.3%])で完遂97名

ITT解析では同様の減少(継続的エネルギー制限 vs 間歇的エネルギー制限)
平均 (SEM) HbA1c 値l (–0.5% [0.2%] vs –0.3% [0.1%]; P = .65)
群間差は0.2%(90% CI, -0.2% - 0.5%)でequivalenceクライテリアに合致


平均(SEM)体重変化も同様(継続的エネルギー制限 vs 間歇的エネルギー制限)
–5.0 [0.8] kg vs –6.8 [0.8] kg; P = .25),
しかし、群間差はequivalenceクライテリアに合致せず(–1.8 kg; 90% CI, –3.7 to 0.07 kg)

体脂肪も除脂肪体重もequivalenceクライテリアに合致せず (–1.8 kg; 90% CI, –3.7 to 0.07 kg、–1.3 kg; 90% CI, –2.8 to 0.2 kg、–0.5 kg; 90% CI, –1.4 to 0.4 kg)





12ヶ月時点でのfinal step count、空腹時血糖、脂質値、総薬物効果スコアで有意差無し

completer解析では効果に差は認めず

治療初期2週目での低血糖・高血糖イベントは継続的エネルギー制限および間歇的エネルギー制限では同等 (平均イベント数 [SEM] , 3.2 [0.7] vs 4.9 [1.4]; P = .28)で、SU剤やインスリン使用に影響されたもので被検者の35% (16 / 46)


結論・知見
間歇的エネルギー制限は、HbA1c低下を目的とした場合、食事戦略としては継続的エネルギー制限の代替となり、2型糖尿病のエネルギー制限としては継続的方法に匹敵する



2018年7月23日月曜日

COPD:末梢血テロメア長と臨床的アウトカムの関連性

Macrolide Azithromycin for Prevention of Exacerbations of COPD (MACRO) studyからの研究で、テロメア長をいわゆる分裂寿命により生じた細胞老化はとくに“複製老化”の指標として使用し、複製サイクルによりテロメア長短縮化進行にともない、複製(Hayflick)上限に到達すると細胞老化 and/orアポトーシスの終了となる。COPDは酸化ストレス関連性であり、酸化ストレスでテロメア長短縮化を伴う

COPDに関して、健康状態、急性増悪、死亡率に関して、末梢血白血球テロメア長との関連、さらには、アジスロマイシン治療での影響を検討




Relationship of Absolute Telomere Length With Quality of Life, Exacerbations, and Mortality in COPD
CHEST journal
DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.05.022
https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(18)30803-1/abstract


背景
COPDは加齢関連疾患の一つ、COPDにおけるcellular senescence(細胞老化)の役割は明確ではない。この研究ではCOPD患者において末梢血白血球のテロメア長と、健康状態・急性増悪率・死亡率リスクに関する臨床的アウトカムの関連性を検討。


方法
定量的PCRを用い、血液サンプルからのDNA抽出絶対的テロメア長(aTL)を576名の中等度・重症COPD治療(azithrromycin vs placebo 12ヶ月間トライアル:Macrolide Azithromycin for Prevention of Exacerbations of COPD (MACRO) study)
全被検者は約13ヶ月間フォローアップ、健康状態・急性増悪を細心確認し、付加的に29ヶ月死亡率確認
急性増悪率・死亡率をaTLにて2分割し、median valueをカットオフ値とした

結果
テロメア長短い場合は、健康状態( St. George’s Respiratory Questionnaire score)悪い (β = −0.09, P = .034)
研究プラシーボ群では、テロメア長長い群より短い群で、急性増悪率 (rate ratio, 1.50; 95% CI, 1.16-1.95; P = .002) 、死亡率リスク (hazard ratio, 9.45; 95% CI, 2.85-31.36; P = .015)高い
これらの差は、アジスロマイシン治療群では観察されない (interaction P = .008 for exacerbation and interaction P = .017 for mortality)



結論
これらデータから、複製老化(replicative senescence)がCOPDアウトカム予測に役立つことを示唆
より短い白血球テロメア長は、臨床的アウトカム不良なリスク増加症例同定のための臨床的なtranslatable biomarkerの可能性を示唆


健康対照者を用いてない研究デザイン上の限界、肺の病的所見と末梢血テロメア長の因果関係に関する議論・・・などなされている

そして、マクロライド系抗生剤の役割も筆者”discussion"にその意義明確には記載してない。ふしぎな文献というか・・・ 

In the azithromycin-treated patients, there were smaller differences according to telomere length that did not reach statistical significance (RR 0.89, P=0.46 for exacerbation; HR 0.31, P=0.181 for mortality).

「"複製老化”の影響を消し去った」とさせなかったのは分検査読者の意向か?

アルツハイマー病及び他認知症に臨床的評価のための臨床実践ガイドライン

アルツハイマー病及び他認知症に臨床的評価のための臨床実践ガイドライン(Altzheimer's Association)previewが年次集会にて報告



PRESS RELEASE
First Practice Guidelines for Clinical Evaluation of Alzheimer's Disease and Other Dementias for Primary and Specialty Care
https://www.alz.org/aaic/releases_2018/AAIC18-Sun-clinical-practice-guidelines.asp


https://www.alz.org/aaic/downloads2018/Sun-clinical-practice-guidelines.pdf

核心的推奨部分
● 中年、高齢者において、自己申告もしくは世話人、臨床家により認知・行動・機能変容を報告された場合、タイムリーな評価がなされるべき
● 適切な評価せず"正常加齢現象”と誤ってはならない
● 評価は患者・医師だけで無く、care-partnerのともにあるべき(e.g. 家族、親友)



office-based examinationに関して、"cognitive-behavioral symptom"評価のためmetal status exam必要で、認知・気分;行動評価し、神経学的検査を行い、"Cognitive Behavioral Syndrome"診断を行う。しかしながら、十分informativeとは言えない。"A"

cognitive-behavioral symptomの時は、複層的(multi-tiered)かつ個別的評価必要
(e.g. 最下欄参照 tier 1:TSH、ビタミンB12、ホモシシテイン、CBC(分類)、代謝指標(カルシウム、マグネシウム、肝機能)、ESR、CRP、場合によってはGdなしの脳MRI) "A"

不確定なら、tier2-4と進む



"The most important guideline may be the first one: patients who have cognitive, behavioral, or functional changes should be evaluated”

評価の対象は、認知、行動、機能の変化を生じた場合

未診断率が高く、典型的あるいは急激進行性の認知・行動症状を有する場合、専門医療受診・診断が名なされるべきだが、一方、"treatable disease or disorder"の診断されるべき症例の明確化も必要。

アルツハイマー病として認知障害・認知症の治療を受けている一定部分に、疾患ではない場合がある
Imaging Dementia—Evidence for Amyloid Scanning (IDEAS) Study (IDEAS)では、PET画像にてMCIの45%程、認知症の30%程に脳内アミロイド沈着がなく、アルツハイマー病否定されるべきものであった。
ガイドラインでは、診断と検査結果に関する明確なコミュニケーションを要求している。数年前のアルツハイマー学会調査によるとアルツハイマー病の患者やケア者の45%が医師からその診断名を聞いてない。late-stageや生存期間数ヶ月という状況なら、尊厳をもって対応すべき。

推奨グレード"A"


【参考】
アルツハイマー病のmulti-tiered testing


2018年7月21日土曜日

【2型糖尿病】心不全入院:DPP4阻害剤の方がGLP-1より良好?

2型糖尿病管理薬剤として、インクレチン・ベース治療としてのDPP-4阻害剤とGLP-1受容体アゴニスト、心不全リスクでこの2剤の比較



Risk of heart failure hospitalization among users of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors compared to glucagon-like peptide-1 receptor agonists
Cardiovascular Diabetology201817:102
https://doi.org/10.1186/s12933-018-0746-4
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-018-0746-4





FIGHT研究(リラグルチド vs プラシーボ ;心不全患者、糖尿病外も含む)で心不全入院、総死亡率増加の報告あり、危惧されている。LEADER(リラグルチド vs プラシーボ ;心血管高リスク・T2DM)での結果があり、T2DMでは有益?とされているとおもうが・・・GLP-1への心不全悪化懸念がややくすぶっている

後顧的解析なので、エビデンスレベルは低いが・・・ GLP-1 vs DPP-4iは再検討必要と思われる
リアルワールド研究が必要なのでは?

COPD併発症:5つのクラスター分類

COPDでは併発症(合併症)が問題とほざくが、

comorbidome


クラスター的分類は少ない。phenotype毎対応必要な併発症(合併症)


"principal component analysis and a non-hierarchical cluster analysis to describe the cluster of comorbidities”



Comorbidities and COPD severity in a clinic-based cohort
BMC Pulmonary Medicine201818:117
https://doi.org/10.1186/s12890-018-0684-7

コホート:1584名、2年間で登録
COPD重症度分布:Group A 27.4%、Group B 24.7%、Group C 11.2%、 Group D 36.6%

平均年齢 66.5 (SD 11)歳、女性 35%

重症度同じでも併発症によりCOPD管理は異なる
COPD関連併発症無しは僅か28.4%


2つの併発症を有する患者比率は、GOLD A (35.4%)、C (34.3%)に比べ B (50.4%) 、 D  (53.1%)で高い

クラスター解析にて、5つのcomorbidity
cluster 1:心疾患特性
cluster 2:併発症少ない 
cluster 3 :メタボリックシンドローム、無呼吸、不安・うつ
cluster 4 :栄養不良、骨粗鬆症
cluster 5:気管支拡張症

クラスターは、有症状患者であるGOLD B、GOLD Dで有意に多い






心疾患群、栄養不良群、メタボリックシンドローム(無呼吸・うつ/不安)群はわかるが、cluster 5は?

欧米でのCOPDには、びまん性汎細気管支炎・気管支拡張などが紛れ込んでんじゃないかと医者始めた当初から疑ってるんだが・・・


2018年7月20日金曜日

PARAMEDIC2トライアル:収容前エピネフリン 生存率改善 、しかし微妙な差・・・

病院収容前エピネフリン注射は、神経学的重度障害リスク増加することなく、生存率を改善する


5つの英国救急サービス、8014名の院外心停止患者対象で、CPR・除細動で蘇生不能であった患者で、エピネフリン注射 or 生食比較

自発循環回復は強化; 介入群 36.3% vs プラシーボ 11.7%
だが、その後の治療法をプロトコール化や測定化していなかった
院内に管理が移るためその他の要素が入り込む可能性があるという説明

day 30での死亡抑止効果はNNT 111
生存率比較:介入群 3.2% vs プラシーボ群 2.4% 
良好な神経学的アウトカム状態での退院比較
介入群 2.2% vs プラシーボ群 1.9% 非補正OR 1.18 , 95% CI, 0.86 - 1.61 
重度神経学的障害(修正 Rankin スケール 4-5)を有する生存
介入群 31.0% vs 17.8%
だが、3ヶ月後は同等


Primary Source
"A randomized trial of epinephrine in out-of-hospital cardiac arrest (PARAMEDIC2)"
N Engl J Med 2018;
DOI: 10.1056/NEJM0a1806842.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1806842

Secondary Source
New England Journal of Medicine
Source Reference: Callaway CW "Testing epinephrine for out-of-hospital cardiac arrest"
N Engl J Med 2018; DOI: 10.1056/NEJMe1808255.



Non-shockable rhythms (PEA and asystole)でエピネフリン注射使用の改善度高い(OR 2.15, 95% CI, 1.13 - 4.0)が、shockable rhythmではベネフィット不明 (adjusted OR 1.33, 95% CI 0.95 to 1.86)で、エピネフリンは異なる心リズム異なる影響を与える可能性あり

肺癌検診基準 再考必要:喫煙既往リスクは長年続く

論文序文から ”肺癌検診では肺癌リスクを相対的に20%低下させることができ、禁煙と組み合わせると38%低下効果ありと言われている”。低線量CTの適応に関する議論あり、禁煙期間(YSQ: years since quiting)の基準が問題


研究者等は、現行喫煙、既往喫煙、非喫煙とを多変量補正Cox比例ハザード回帰モデルを利用し肺癌リスクとの関連性を比較。


  • 継続喫煙と比較し、重度既往喫煙では禁煙期間(YSQ)5年間で肺癌リスク低下
  • しかし、非喫煙者に比較して、25YSQでも3倍を超すリスク継続
  • 15 YSQ超の既往喫煙では、肺癌発生の10分の4は15YSQ超過後であり、現行ガイドラインにscreening windowを逸脱している

故に、喫煙既往者のYSQ基準に関して議論が必要

Lifetime Smoking History and Risk of Lung Cancer: Results From the Framingham Heart Study
Hilary A Tindle  Meredith Stevenson Duncan  Robert A Greevy Ramachandran S Vasan  Suman Kundu  Pierre P Massion Matthew S Freiberg
JNCI: Journal of the National Cancer Institute, djy041, https://doi.org/10.1093/jnci/djy041


【研究方法】Framingham Heart Study Original (n=3,905) と Offspring cohort (n=5,002) で、生涯喫煙と肺癌発生データ解析::1954 to 1958 (Exam 4) and 1971 to 1975 (Exam 1), 2013まで


【結果】フォローアップ中(中央値 28.7年間)肺癌284
肺癌推定発生率1000人年対 現行喫煙 1.97 (95% 信頼区間 [CI] = 1.66 to 2.33)、既往喫煙  1.61 (95% CI = 1.34 to 1.93)、非喫煙  0.26 (95% CI = 0.17 to 0.39)

重度禁煙既往者の禁煙期間(YSQ)を非喫煙比較で肺癌リスク比較すると何れも増加
<5: 12.12="" 21.17="" 95="" ci="6.94" p="" to="">5–9: HR = 11.77, 95% CI = 6.78 to 20.45
10–14: HR = 7.81, 95% CI = 3.98 to 15.33
15–24: HR = 5.88, 95% CI = 3.19–10.83
≥ 25: HR = 3.85, 95% CI = 1.80 to 8.26)

重度喫煙既往 (vs 現行喫煙)において5YSQ内に、肺癌リスク 39.1%低下

データでは、全ての喫煙既往者において、肺癌の40.8%が15YSQ以上経過しても発生することも示されている




”武田”先生というテレビによく出る科学者(教授)?風のひとがいますが、横断的観察、即ち、”タバコを吸ってる人が減ってるのに癌が減らない”というのを喫煙無害説の根拠としておりますが、YSQと癌リスクを考えれば、何ほざいてんだか・・・という気になりますわな

2018年7月19日木曜日

ANGPTL8:2型糖尿病の総頸動脈IMT、トリグリセライドと関連

横断的研究

2型糖尿病患者において、血中Angiopoietin-like protein 8 (ANGPTL8) (またの名を 、refeeding-induced fat and liver [RIFL]、 lipasin,、TD26) 値は臨床イベント前指標となる総頸動脈のc-IMTと相関し、一部はトリグリセライドが介在する

β-trophinのほうが言いやすいけど・・・肝臓、脂肪組織で主に発現する198のアミノ酸で、(ぶどう糖代謝に加え?←否定的見解があるが・・・)リポタンパク質リパーゼなど脂質代謝、インスリン抵抗性と関連し、特に中性脂肪代謝に大きな影響を与えている可能性がある。



Triglyceride-mediated influence of serum angiopoietin-like protein 8 on subclinical atherosclerosis in type 2 diabetic patients: results from the GDMD study in China
Cardiovascular Diabetology201817:84
https://doi.org/10.1186/s12933-018-0687-y
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-018-0687-y

血中ANGPTL8、血中脂質、血糖、総頸動脈IMT(c-IMT)、HOMA-IR
対照(n=100)、2型糖尿病(n=100)&subclinical 動脈効果無し(n=100)、2型糖尿病&subclinical動脈硬化症有り(n=100)


ANGPTL8およびトリグリセライド血中値は、subclinical 動脈硬化症あり群で、無し群および対照群と比較し高値 (P < 0.001)





ANGPTL8は、2型糖尿病患者において、年齢、トリグリセライド、糖尿病罹病期間、、c-IMTと相関

ロジスティクス回帰分析にて、2型糖尿病患者において、ANGPTL8はsubclinical動脈疾患症オッズ高率  [odds ratio (OR) 2.90, 95% 信頼区間(CI) 1.48–5.70, P = 0.002]


Mediation analysis では、トリグリセライドがANGPTL8とc-IMTの相関の部分的メディエーターとして作用



2018年7月18日水曜日

タバコ製品のフレーバー:血管内皮へ悪影響

通常のタバコでももちろん血管内皮へ悪影響を与え、心血管疾患リスク増加に関わることが明らかになっているが、今回、タバコ製品のフレバー、そして、vaping製品でも安全とは言えないことが明らかになった。


"電子タバコは、人体に影響のない成分でできた「リキッド」という液体を蒸発させ味のついた水蒸気を楽しむもの”
そんなリキッドですが、非常に安全性の高い成分からできています。
加熱式タバコにも使用されており、マーガリン・シリアル・お菓子などに含まれる植物性グリセリン、またはVG(vegetable glycerin)、うどんやそば、おにぎり・餃子などに使われる食品添加物であるプロピレングリコール、またはPG(propylene glycol)フレーバーを決める香料・精製水、ニコチン入りリキッドであればニコチン、以上の成分からつくられています。https://vape.shop/column/smoking/vol1026/#cont1

電子タバコにフレーバーは必須なのかどうか?よく分からないが、成分としてiQosなどに含まれていることは確からしい


Flavorings in Tobacco Products Induce Endothelial Cell Dysfunction
 https://doi.org/10.1161/ATVBAHA.118.311156
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology. 2018;38:1607-1615
Originally published June 14, 2018

非メントール及びメントール香のタバコは、非喫煙者血管内皮由来を対照にしたCa2+イオノフォアであるA23187刺激による血管内皮NO産生障害を示した

非喫煙者由来血管内皮細胞への、メントール(0.01mmol / L)またはオイゲノール(0.01mmol / L)のいずれかの処理でも、A23187刺激による血管内皮NO産生低下 

血管内皮phenotypeへのフレーバー化化合物の影響を評価するため商用ヒト大動脈血管内皮を利用し、90分間、バニリン、メントール、シンナムアルデヒド、オイゲノール、ジメチルピラジン、ジアセチル、イソアミルアセテート、ユーカリプトールおよびアセチルピラジン(0.1-100mmol / L) 処理


細胞死、活性酸素種の産生、炎症誘発マーカーIL-6(インターロイキン-6)の発現、および一酸化窒素産生測定

細胞死および活性酸素種生成は、in vivoで到達できないほどの高濃度でのみ誘導

選択されたフレーバー(バニリン、メントール、シンナムアルデヒド、オイゲノール、およびアセチルピリジン)では低濃度で、炎症とA23187刺激性酸化窒素生成の障害を生じる



後発品夾雑物に厚労省だんまり

医薬品自主回収のお知らせ あすか製薬
中国の製造所で製造された当該製品の原薬に、ヒトに対して発がん性があるとされるN‐ニトロソジメチルアミンが混入しているとの情報を入手しました。
https://www.pmda.go.jp/files/000224928.pdf


連休前、驚愕の報道だったが・・・ マスメディアは騒がない

【後発品】だけではないだろうが、夾雑物リスクは薬剤には存在することが改めて認識される。厚労省あたりでは【後発品】は溶出性チェックだけで同等という話だが、【クレメジン】のようなそもそも溶けない薬剤に同等性なども無いだろう・・・と
【後発品】の問題にしたくない厚労省への忖度でマスコミは大騒ぎしないのだろうか?



FDA Recalls Some Valsartan Medicines Due to Impurity
July 13, 2018
https://www.medscape.com/viewarticle/899361

FDAコミッショナーの発言
"When we identify lapses in the quality of drugs and problems with their manufacturing that have the potential to create risks to patients, we're committed to taking swift action to alert the public and help facilitate the removal of the products from the market,"




日本の厚労省クソ役人のコメントは?

業者に【自主回収】させて、いまのところだんまり

2018年7月17日火曜日

副作用報告がいいかげんなプロバイオティクス(Probiotics)

プロバイオティクス(Probiotics)ってのは食品としての取り扱いだから治験において副事象報告は不要では? ・・・ってのが潜在的ピットフォールになっている可能性あり
でもこれでは、安全性担保されてないことになる



ところで、”R-1”の広告 息を吹き返してんだなぁ・・・meijiって製薬メーカーじゃなかったっけ?
明治R-1 5年経ってもステマ
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/04/r-15.html



Ann. Int. Med.によれば、有害性事象は4割弱に一般的事項の記載があり、ほぼ全ての報告で副事象イベントの定義、重篤事象定義されてないため、副作用・安全性報告はほぼゼロ。







Harms Reporting in Randomized Controlled Trials of Interventions Aimed at Modifying Microbiota: A Systematic Review
Published: Ann Intern Med. 2018.
DOI: 10.7326/M18-0343


Ann. Int. Med.誌掲載記事で、 probiotic・prebiotic・synbiotic介入使用報告で安全性データ不十分という報告



ランダム化対照トライアルのシステマティック・レビューにて1つ以上 probiotic・prebiotic・synbioticの安全性有効性

384トライアルを登録し、健康ボランティア対象136研究、何らかのいくつかの病的状況患者の248研究検討、内、339が専門ジャーナルでの出版報告
probioticsが最も研究された報告で、69%を占める


トライアルの28%、37%で、有害性関連、安全性結果報告されず
トライアルの80%では重篤な副事象イベント数さえ含まれていない

システマティック・レビューの結果は、有害性関連結論を示唆するものであり、37%は副事象イベントを記載する”一般的事項の記載”であり、16%は”不適切な測定基準”というものであった。
トライアルの98%で、副事象イベントや重篤副事象の定義なされてない



2018年7月12日木曜日

マルチビタミンのいんちき:臨床的有益性ありません

米国人はマルチビタミン好きだからなぁ

日本を含む5ヶ国200万名以上のデータベース由来の関連性調査
無駄なマルチビタミンやサプリメント摂取をやめ、有益性確立している、「健康食」 「運動」「禁煙」、血圧コントロール、不健康なコレステロール値正常化をと筆者



Multivitamins do not promote cardiovascular health
Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes Journal Report
https://newsroom.heart.org/news/multivitamins-do-not-promote-cardiovascular-health


DALLAS, July 10, 2018 – Taking multivitamin and mineral supplements does not prevent heart attacks, strokes or cardiovascular death, according to a new analysis of 18 studies published in Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes, an American Heart Association journal.

“We meticulously evaluated the body of scientific evidence,” said study lead author Joonseok Kim, M.D., assistant professor of cardiology in the Department of Medicine at the University of Alabama at Birmingham. “We found no clinical benefit of multivitamin and mineral use to prevent heart attacks, strokes or cardiovascular death.


【オリジナル論文】Association of Multivitamin and Mineral Supplementation and Risk of Cardiovascular Disease
A Systematic Review and Meta-Analysis
Joonseok Kim, et. al.
https://doi.org/10.1161/CIRCOUTCOMES.117.004224
Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes. 2018;11:e004224
Originally published July 10, 2018




【エディトリアル】
Multivitamins Do Not Reduce Cardiovascular Disease and Mortality and Should Not Be Taken for This Purpose
How Do We Know That?
Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes. 2018;11:e004886, originally published July 10, 2018



うつとエピジェネティック変化(DNAメチル化)

うつと、エピジェネティック変化であるDNAメチル化signatureの関連性

遺伝と環境によるエピジェネティック変化として代表的な CpG siteのメチル化とうつの関連性明確化


DNA Methylation Signatures of Depressive Symptoms in Middle-aged and Elderly Persons
Meta-analysis of Multiethnic Epigenome-wide Studies
JAMA Psychiatry. Published online July 11, 2018. doi:10.1001/jamapsychiatry.2018.1725


民族横断的 epigenome-wide association studies (EWAS)メタ解析
framework of the Cohorts for Heart and Aging Research in Genomic Epidemiology (CHARGE) Consortiumとして施行

discovery cohortは、 7948名(女性 4104, 51.6%)、平均年齢 65.4, SD 5.8歳
replication cohortは、 3308 名 (女性 2456 [74.2%] ) 、平均年齢 60.3, SD 6.4歳


EWASにて、うつ症状と関連有意の3つのCpG siteメチル化同定

  • cg04987734 (P = 1.57 × 10−08; n = 11 256
  • CDC42BPB gene), cg12325605 (P = 5.24 × 10−09; n = 11 256; ARHGEF3 gene)
  • intergenic CpG site cg14023999 (P = 5.99 × 10−08; n = 11 256; chromosome = 15q26.1)


脳内(基底核)の CDC42BPB gene(effect, 0.14; P = 2.7 × 10−03) と線維芽細胞 ARHGEF3 (effect, −0.48; P = 9.8 × 10−04) の予測発現性は大うつと相関




脳内(基底核)メチル化推定方法は以下記載(よく分からんが・・・)
Blood and Brain Correlation
We checked the correlation between methylation in blood and various brain regions at the 3 identified sites using a web-based tool (BECon18) and a blood-brain DNA methylation comparison tool (http://epigenetics.essex.ac.uk/bloodbrain/).
BECon showed correlation between blood and brain DNA methylation, for example, methylation at cg04987734 in the CDC42BPB gene was highly correlated (r = 0.81) between blood and the Brodmann area 7 that spans the medial and lateral walls of the parietal cortex (eFigure 6 in the Supplement)



うつ病の遺伝的関与は中程度で、heritabilityとしては40-50%で、高齢うつではわずか
心理社会的ストレッサーが炎症誘発性サイトカイン増加をもたらし、うつ発症ということも示唆されている。DNAメチル化のようなエピジェネティックなメカニズムと心理社会的ストレッサーとの関連性をうまく説明できたら・・・


2018年7月11日水曜日

肥満パラドックス:心血管疾患高リスクほど高BMIほど最適

17万名超(心血管疾患無し 22.8%、安定心血管疾患 29.4%、急性冠症候群 47.8%)、50各国の14前向き研究からの報告


Varying Effects of Body Mass Index and Mortality in Different Risk Groups.
Am J Cardiology
DOI: https://doi.org/10.1016/j.amjcard.2018.06.038
https://www.ajconline.org/article/S0002-9149(18)31330-4/pdf


高BMI値が心血管疾患死亡リスク低下と関連するかどうか不明、それで、BMI高いほど個別リスクにより変動するという仮説を立てた

過体重(BMI 25-29.9)に比べ、正常体重(BMI 20-24.9)と低体重(BMI < 20)では全てのコホートで死亡率高い
過体重に比べ、肥満(BMI 30以上)の死亡リスクは、研究populationに依存し、心血管疾患なし 1.20 (1.01-1.45; p=0.04)、 安定心血管疾患あり 1.08 (1.02-1.15; p=0.01)、 急性冠症候群 1.01(0.93-1.10 ; p=0.72)

死亡率最小と関連するBMIはコホートリスクが増加するほど大きい (no-CVD 27.2kg/m2, stable CVD 28.1kg/m2, and ACS 30.9kg/m2; p<0.001)

どのコホート内でも、最適BMI値は高リスク群で高い

急性冠症候群群では、低リスク患者最適BMIは 29.1、高リスク群においてより高値BMIが死亡リスク低下と関連する (interaction-p<0 .001="" p="">
結論:心血管疾患なし、安定心血管疾患、急性冠症候群の各々のコホート内で、高リスク群内ではBMI高値ほど死亡リスク低下と関連する
体脂肪増加のベネフィットは、(例えばカロリー蓄積増加作用など)高リスク群において有害性のcounteractとして働き、obesity paradoxの別の説明となるかも








Overall (unified) analysis of body mass index (BMI) and all-cause mortality from multivariable restricted cubic spline analysis stratified by 6-month mortality tertiles. Lower risk patients had a 6-month death probability <0 .45="" 0.45="" 1.6="" and="" higher="" medium="" risk="" to="">1.6%. Arrows point the lowest-risk BMI value.


果たして、肥満は全て悪なのか・・・ 


死亡リスクを最小化するには BMI 20-24.9推奨値とされている
しかしながら、観察研究のなかには、過体重、軽度肥満の方が死亡率低下する現象を報告するものもある。さらには、過体重・軽度肥満者を減量に導きそれが生命予後を改善させたとする実証トライアルは存在しない。
Look AHEADトライアル(N Engl J Med 2013;369:145-154.)ではフォローアップ9.6年間で体重8.6%減少した物の死亡率減少示せず

ここでは体脂肪が全て悪かどうか、考え直す必要があると考察

2018年7月10日火曜日

心房細動と閉塞性肺疾患(喘息、COPD)合併:β遮断剤心拍コントロールにて生命予後改善

この報告、閉塞性肺疾患の定義として "patients who had a primary diagnosis of either asthma or chronic obstructive pulmonary disease (COPD)”としていて、喘息まで含む報告

アーチストでさえ添付文書では禁忌になれているのに、非選択的β遮断剤を喘息に使うという報告・・・日本と違い韓国は、喘息へのβ遮断剤投与に鷹揚なのだろうか?

現実的には日本ではpure COPDではアーチストまで使用可能だろうが、実際はメインテート、ビソノテープ(とその後発)しか使用できないだろう


韓国のこの報告だと、非選択性だろうが、β遮断剤が心房細動・閉塞性肺疾患(COPD and/or 喘息)の生命予後改善という話


Rate control and clinical outcomes in patients with atrial fibrillation and obstructive lung disease,
Heart Rhythm (2018) doi: 10.1016/j.hrthm.2018.06.044.
https://www.heartrhythmjournal.com/article/S1547-5271(18)30670-2/fulltext


【背景】心拍コントロール(rate-control)治療が心房細動(AF)患者治療の第1選択と考えられているが、閉塞性肺疾患(OLD)では、AF病態の時、研究情報不足のため治療薬物使用困難となることがある

【目的】concomitant AFと閉塞性肺疾患(OLD): AF-OLD患者において、rate-control薬物治療の各クラスの投与後の臨床的アウトカムを検討。2002 〜 2015の 韓国National Health Insurance Service提供データベースによる解析
全原因死亡率をカルシウム拮抗剤(CCB)と他の薬剤クラスの使用で比較。


【結果】13,111名中、AF-OLD患者数は治療としてCCB、心選択性β遮断剤(BB)、非選択的β遮断剤 2482、 2379、 2255、 5995

死亡率リスクは、CCB比較で、選択的β遮断剤 (Hazard ratio (HR)=0.84, 95% CI=0.75–0.94, P=0.002)、非選択的β遮断剤 (HR=0.85, 95% CI=0.77–0.95, P=0.003)
ジゴキシン使用は生存率悪化と関連し、統計学的有意性境界 (HR=1.09, 95% CI=1.00–1.18, P=0.053)



【結論】心房細動-閉塞性肺疾患患者のうち、rate-control治療の選択的・非選択的β遮断剤使用は、カルシウム拮抗剤に比較して、有意に死亡率軽減効果あり。さらなる前向きランダムトライアルがこれらの所見確認のためには必要

NICE:COPD急性増悪であっても抗生剤厳しく使用制限?

Restrict use of antibiotics for COPD, NICE says

BMJ 2018; 362
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3016 (Published 09 July 2018)
Cite this as: BMJ 2018;362:k3016

NICEのガイドラインセンター長、Mark Bakerは、”COPD急性増悪における抗生剤使用ベネフィットは限定的で、抗生剤使用前に他の治療オプションを考慮すべき”と宣う
副作用、特に下痢、抗生剤抵抗性のリスク増加がコミュニティで使用する限り存在する
重症でない場合、症状の回数・重症度だけでなく、急性増悪既往、入院歴、合併症発症リスク、以前の細菌培養・感受性結果も考慮
抗生剤非使用を決意したら、急激悪化、どの時間でも、非常に状態が悪い場合は、患者にhelpを求めるよう助言しなければならない
対照的に、入院を要するような呼吸状態の急激な悪化など、重症患者では、抗生剤治療のベネフィット認められていると・・・
Chronic obstructive pulmonary disease (acute exacerbation): antimicrobial prescribing: Draft guidance consultation
https://www.nice.org.uk/guidance/indevelopment/gid-ng10115/consultation/html-content



一方、薬剤最適化、禁煙など行っても1年4回以上といった頻回の急性増悪時、喀痰増加、急性増悪頻回、入院必要急性増悪時は、抗生剤予防投与も考慮するという案もある
draft update to the clinical guideline on diagnosing and managing COPD
National Institute for Health and Care Excellence. Guideline. Chronic obstructive pulmonary disease in over 16s: diagnosis and management. Draft for consultation, July 2018.
www. nice.org.uk/guidance/indevelopment/gid-ng10026.



抗生剤使用制限の代わりに、外来でも厳しく監視するという・・・医療コスト上は削減にならない話・・・

”感染症状や臨床所見もないのに抗生剤投与を”急性増悪”ということだけで一律処方するような医療”を制限するという意味なら分かるが・・・

コーヒーの死亡率低下作用はカフェインによるものにあらず・・・ 脱カフェインコーヒー有効?



UK Biobank is a population-based study 

カフェイン代謝と関連するAHR、CYP1A2、CYP2A6、POR polymorphism genetic scoreとコーヒー5カップを超える大量飲用者での全原因死亡・各原因死亡率関連


 Association of Coffee Drinking With Mortality by Genetic Variation in Caffeine Metabolism Findings From the UK Biobank
JAMA Intern Med. Published online July 2, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.2425 https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2686145

920万名の住民ベース研究由来
平均年齢 57歳(range 38-73歳)、 女性 271,019名(54%)、コーヒー飲用 387,494(78.4%)

フォローアップ10年間において死亡 14,225

コーヒー飲用は全原因死亡と逆相関
参照として非飲用者を用い、1日1カップ未満、1カップ、2−3カップ、4−5カップ、6−7カップ、8カップ以上として  0.94 (95% CI, 0.88-1.01)、0.92 (95% CI, 0.87-0.97)、 0.88 (95% CI, 0.84-0.93)、 0.88 (95% CI, 0.83-0.93)、 0.84 (95% CI, 0.77-0.92)、  0.86 (95% CI, 0.77-0.95)





インスタント、豆をひいたコーヒー、脱カフェインコーヒーでも、主な死因横断的に同様の相関であり、遺伝的カフェイン代謝スコア関連無く相関あり
例えば、6カップ以上のハザード比は、  0.70 (95% CI, 0.53-0.94) 〜 0.92 (95% CI, 0.78-1.10)で、カフェイン代謝層別化横断的にeffect modificationのエビデンス認めず (P = .17 for heterogeneity)



でも、豆をひいたコーヒーでないとなぁ おいしくないもんなぁ

EMPA-REGサブ解析:冠動脈バイパス手術後症例での効果確認 腎症抑制効果も

冠動脈バイパス手術(CABG)後2型糖尿病患者で心血管死亡・全死亡・心不全入院・腎症発症・悪化に関するエンパグリフロジンの有用性明確に


EMPA-REG OUTCOME® trial のサブ解析

CABG病歴を有する患者は、このトライアルの内、エンパグリフロジン群 24%(1175/4687)、プラシーボ群(563/2333)に相当

Empagliflozin reduces cardiovascular events, mortality and renal events in participants with type 2 diabetes after coronary artery bypass graft surgery: subanalysis of the EMPA-REG OUTCOME® randomised trial
Diabetologia August 2018, Volume 61, Issue 8, pp 1712–1723


CABG病歴被検者中エンパグリフロジン群(vs プラシーボ)ハザード比
心血管死亡 0.52 (0.32, 0.84)
全原因死亡 0.57 (0.39, 0.83)
心不全入院 0.50 (0.32, 0.77)
腎症発生・悪化 0.65 (0.50, 0.84)

CABG手術病歴有無被検者間でも結果は一致  (p > 0.05 for treatment by subgroup interactions)









冠動脈バイパス手術後の2型糖尿病症例ではSGLT-2阻害剤主体の治療を念頭に置かねばならないだろう

2018年7月7日土曜日

冠動脈抗血小板DAPT: PPIは消化管出血予防効果は高いが、機能上HTRPへの影響懸念される

dual antiplatelet therapy (DAPT)の消化管出血リスク

PPI vs H2RAsの対比で、DAPTによる副作用や血栓リスク、抗血小板機能を比較
PPIは消化管出血予防効果は高いが、機能上HTRPへの影響懸念される



クロピドグレルは肝臓内でcytochrome P450、主に 3A4,2C19で代謝され活性代謝産物となり、P2Y12 ADP1受容体へ不可逆的結合をし、血小板凝集を阻害するわけだが、内因性・外因性要素がhigh on-treatment platelet reactivity (HTPR))に関係。プラスグレルでも〜27%ほど影響。



DAPT(dual anti-platelet therapy)を行っても、死亡率リスクと関連するステント血栓を生じ、クロピドグレルの個体毎反応の違いばらつきが大きい。
high on-treatment platelet reactivity (HTPR))は4−46%とばらつきが大きいものの報告されている。HTPRとPCI時の虚血性イベントの関連性に関心が向けられている。
クロピドグレルは選択的・不可逆的にP2Y12-ADP受容体を阻害する。肝cytochrome P450により不活性pro-drugはactiveな代謝産物となり2つの酸化過程が必要。しかし、〜85%はエラスターゼ水酸化され不活性となり、〜15%が代謝されP2Y12受容体へ作用する。prasugrelも同じメカニズム作用機序で、肝内酸化過程を1つ必要で、CYP450 2C19多型依存性は少ない。ticagrelorは非thienopyridine可逆的P2Y12受容体拮抗剤で、代謝過程での抵抗性少ないとされる

 The optimal definition of resistance or non-responsiveness to any antiplatelet agent should be the failure of the antiplatelet agent to inhibit the target of its action 

 クロピドグレルの血小板機能検査一覧



https://www.heartlungcirc.org/article/S1443-9506(11)01192-9/fulltext





H2 Receptor Antagonists versus Proton Pump Inhibitors in Patients on Dual Antiplatelet Therapy for Coronary Artery Disease: A Systematic Review
Cardiology 2018;140:115–123
https://doi.org/10.1159/000489165
https://www.karger.com/Article/FullText/489165



2つの臨床項目(消化管出血合併症、MACE)と1つの検査項目アウトカム(high on-treatment platelet reactivity (HTPR))で比較


研究館heterogeneityは3アウトカム全部で低い (I2 = 0%, p > 0.05 for all)


メタアナリシス fixed effectから、PPIsの方がH2RAsより消化管出血予防に関して優越 (OR 0.28, 95% CI 0.17–0.48)

HTPRリスク高い  (OR 1.28, 95% CI 1.030–1.60) が、MACE発生増加を伴わない  (OR 0.99, 95% CI 0.55–1.77)



2018年7月6日金曜日

COPDとfrailty

The Relationship Between COPD and Frailty
A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies
CHEST July 2018, vol. 154 No.1 21-40
https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.02.014 |
【背景】Frailtyは老人ではcommonで、生理学的予備能減少とストレッサーからの脆弱性が特徴。Frailtyは、COPDを含めいくつかの慢性疾患での予後や治療アプローチの変容をもたらす。FrailtyとCOPDの関連性をシステマティックにレビュー


【目的】研究のゴールは、COPDとfrailty、pre-frailtyの相関性評価のためのシステマティック・レビュー、メタアナリシス



【方法】システマティック・レビュー、メタアナリシスガイドラインに基づく優先レポートアイテム、2002年1月1日〜2017年10月6日までのPubMed、Web of Science、Embase検索。研究の質は Newcastle Ottawa Scaleで評価。2名の評価者が独立してそれぞれの研究をrating。バイアスリスク 低:7超、中等:5−7、高:5未満

Pooled estimateをrandom effect model、Mantel-Haenszel weightingで検証

Homogeneity (I2) 、 publication bias 評価

【結果】27研究トータルで選別、横断研究 23、長軸調査 3つ、両方 1つ

COPDにおける pre-frailtyのpool化頻度は 56%(95% 信頼区間: 95%CI, 52 - 60; I2 = 80.8%)、fraityは 19% (95% CI, 14-24; I2 = 94.4 %)




COPD患者はfrailtyオッズ2倍増加 (pooled OR, 1.97 [95% CI, 1.53-2.53]; I2 = 0.0%)

3つの長軸研究ではheterogenousな目的、方法で、COPDとfrailtyの両者双方向性相関認めた





【結論】Frailtyとpre-frailtyはCOPD患者では半数以上みとめ、COPD高齢者は2倍のfrailtyオッズ比。これはCOPD患者でのfrailty必要性と2つの病態の同時存在が新たな負の影響を与えるという臨床的に示唆を与える。
長軸研究でCOPDとfrailtyの一時的検討から今後この関連性明確のため新たな研究が必要で、COPD治療がfrailty発症抑制をもたらすかなども検証必要。




Trial Registry
PROSPERO registration No.: 58302; URL: https://www.crd.york.ac.uk/prospero/







エディトリアル:https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(18)30547-6/fulltext

"Frailty"は、加齢と共に生じる生物学的機能喪失・機能障害で、ホメオスタシス・バランスの喪失であり、定義としては、" progressive age-related cumulative decline in many physiological systems during a lifetime, which confers extreme vulnerability to stressors and increases the risk of a range of negative health outcomes.";障害に於ける多生理学的システムの進行性加齢関連累積的減衰で、ストレッサーへの極端な脆弱性と一定範囲へのネガティブな健康アウトカムのリスク増加をもたらす
(Eur J Intern Med. 2017; 45: 84–90t , J Am Med Dir Assoc. 2013; 14: 392–397 )
進行性で、しばしば不可逆的になる場合もあり、進行は遅くなる場合も前駆として、prefrailtyなどが回復の治療対象となる


frailty phenotypeは、研究者、臨床家、政策担当者にとって、個人・家族・システム・社会へのコスト増大にからむ問題で、大きな関心が持たれている。コストは転倒、骨折、インフルエンザワクチン有効性低下、推奨治療・薬物継続尤度低下、ADL依存増大、入院、施設入所、生存率低下など
70歳超全員frailtyチェックをすべきとする学会存在し、呼吸器病態を有するこれ医者では意義が大きく、ルーチン篩分けで、COPDや胚移植患者のような進行性肺疾患では早期スクリーニングが重要。いくつかの臨床的パラメータがリスク同定、モニターのため用いられる、例えば、喫煙状況、意図しない体重減少、エネルギー低消費、併発症、6分間歩行距離、握力、COPD急性増悪回数など。
無数の研究でfrailty関連研究するも、frailty同定・治療のベネフィットを示す報告は少なく、研究価値のあるものは乏しい。しかし、そもそもfraityという病態は動的な変化を有するわけで、prefrailや健常への可逆性の可能性はあるはず。

COPDでのfrailty頻度は Fried criteriaで 20%、prerailtyは 58%
ベースラインfrailtyにより呼吸器障害発症尤度増加の可能性を示唆
加え、COPDの診断はfrailty statusのprefrailtyや健常への改善尤度低下と関連

COPD患者の呼吸リハビリテーション研究によると、frailtyを有し、リハビリテーション完遂した症例に、そのリハビリテーション・ベネフィットが生じやすい

リハビリテーション前frailtyに該当した症例の60%がfrailty状態でなくなった

疾患に焦点をあてた医療モデルでは太刀打ちできない複雑さがあり、多併発症、polypharmacy、障害などの関与によりfrailtyが存在する。

症状慢性化、障害、死亡の可能性の場合、frailtyのuniversal/standardized同定が治療・ケア改善をもたらし、治療とケアの優先性の誠実な議論の根拠となる







心筋梗塞心原性ショック:ノルアドレナリン vs アドレナリン投与

ボスミン(アドレナリン)の御用向きは、ACLS、アナフィラキシーショック・喘息など
ノルアドレナリンに冠して、日本のガイドラインでも心原性ショックでノルアドレナリン記載されていると思う。


意外なのは、“エピネフリン(アドレナリン)とノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の共通点は多いが、心筋梗塞時心原性ショックでは互換性がない”と今更感があるが、実地的立証がなされてなかったよう・・・


57名の患者で2つの昇圧剤を使用し同様の昇圧、CI増加をもたらしたが、エピネフリンは不応性難治性ショック発生増加をもたらす。

意外だが・・・

心原性ショックを伴う心筋梗塞へ、種別毎昇圧剤には特異的作用があるのだろうが、比較トライアルなされて折らず、介入データ無かったとのこと
前向き二重盲検多施設ランダム化研究比較

Epinephrine Versus Norepinephrine for Cardiogenic Shock After Acute Myocardial Infarction
Journal of the American College of Cardiology
Volume 72, Issue 2, July 2018
DOI: 10.1016/j.jacc.2018.04.051
http://www.onlinejacc.org/content/72/2/173

プライマリ有効性アウトカム:cardiac index evolution
プライマリ安全性アウトカム:occurrence of refractory CS
Refractory CS <不応性心原性ショック>定義:低血圧持続、終末臓器還流不全、高乳酸血症、 inotrope や vasopressor 高投与

結果:57名を2つの研究arm(エピネフリン、ノルエピネフリン)にランダム化
プライマリ有効性エンドポイントとして、心拍出量指標効果<ベースライン0時間→72時間>で同様 (p = 0.43)
主要安全性エンドポイントにて、不応性ショック頻度エピネフリン群で多い (10 of 27 [37%] vs. norepinephrine 2 of 30 [7%]; p = 0.008) 、そのため早期このトライアル中止となった
心拍(2時間後→24時間後)は有意にエピネフリン群で高いが、ノルエピネフリンでは変化無し (p < 0.0001)





代謝変化のいくつかはノルエピネフリンに比べ、エピネフリンで好ましくない結果があり、2時間→24時間にて、心臓double product増加  (p = 0.0002)、乳酸アシドーシス増加   (p < 0.0001)



結論:急性心筋梗塞による心原性ショック患者において、エピネフリンは、ノルエピネフリンと同様の動脈圧や心拍出指数増加を示す昇圧効果があるが、治療不応性ショック頻度が多くなる
  (Study Comparing the Efficacy and Tolerability of Epinephrine and Norepinephrine in Cardiogenic Shock [OptimaCC]; NCT01367743)




ACLSでも以下注意書きが書かれている
https://acls-algorithms.com/acls-drugs/acls-and-epinephrine/
Epinephrine should be used with caution in patients suffering from myocardial infarction since epinephrine increases heart rate and raises blood pressure. This increase in HR and BP can increase myocardial oxygen demand and worsen ischemia.

2018年7月4日水曜日

低ナトリウムDASH食 で慢性腎臓病発症抑制

低ナトリウムDASH食
A DASH score based on 8 food and nutrient components (fruits, vegetables, whole grains, nuts and legumes, low-fat dairy, red and processed meats, sweetened beverages, and sodium) was calculated. Arch Intern Med. 2008;168(7):713-720. 


Adherence to low-sodium Dietary Approaches to Stop Hypertension-style diet may decrease the risk of incident chronic kidney disease among high-risk patients: a secondary prevention in prospective cohort study
Nephrology Dialysis Transplantation, Volume 33, Issue 7, 1 July 2018, Pages 1159–1168, https://doi.org/10.1093/ndt/gfx352
https://academic.oup.com/ndt/article/33/7/1159/4817468


前向きコホート研究(3年間フォローアップ、2012−2015): Tehran Lipid and Glucose Studyのサブグループ

血糖異常 1100、脂質異常 2715、高血圧 2089選別
いずれもベースラインでCKDなし(2009−11)

low-sodium DASH-style dietは8つの食品・栄養素をベースにデザイン

3年後、血糖異常、脂質異常、高血圧被検者では、CKD発症率 〜16%

DASH-style dietスコア多変量補正解析4分位比較

  • 糖代謝異常群 0.58 [95% 信頼区間 (CI) 0.36–0.92
  • 脂質異常群  0.64 (95% CI 0.48–0.87) 
  • 高血圧群 0.62 (95% CI 0.44–0.87) 



結論:高リスク成人において、減塩DASHスタイル食のアドヒアランス高いほど、CKD発症リスク軽減





ナトリウム表示でしかもカロリーあたり表示なのでわかりにくいが、食塩比較なら 8g/日 vs 10g/日ということになるが・・


2018年7月3日火曜日

小児からCOPDリスクはじまっている;FEV1足跡調査研究

50歳代COPD発症というのは私の臨床レベルではかなり若年という気がするが、長期的コホート研究としては貴重

FEV1の軌跡 trajectoryをパターン化し分析

3つのtrajectoryパターンで75%ものCOPDのburden説明できるという説得力のある話で小児期からCOPD発症関与するということで、現時点で修正しうる要素としては、両親、特に、母の喫煙が重要。その他、小児期アレルギー性疾患、気道感染歴も影響を及ぼす


Tasmanian Longitudinal Health Study (TAHS):7歳、13歳、18歳、45歳、50歳、53歳時の肺機能trajectryデータ解析
気管支拡張剤前FEV1 z-スコアによるgroup-based trajectory modeling

Childhood predictors of lung function trajectories and future COPD risk: a prospective cohort study from the first to the sixth decade of life
www.thelancet.com/respiratory Published online April 5, 2018 http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30100-0 1
https://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(18)30100-0


オリジナルコホート8583名のうち、7歳、53歳児の2波以上は2348

6つのtrajectory

  • 減少加速:accelerated decline (97 [4%] )
  • 低値維持:persistently low (136 [6%] )
  • 早期低値、加速増加、正常低下:early low, accelerated growth ,normal decline (196 [8%] )
  • 持続的高値:persistently high (293 [12%] )
  • below average (772 [32%] )
  • average (944 [39%] )



COPDリスク増加の3trajectory (early below average、accelerated decline、persistently low)の平均未満trajectory群では平均群より53歳時点COPDリスク高い
(early below average, accelerated decline: odds ratio 35·0, 95% CI 19·5–64·0; persistently low: 9·5, 4·5–20·6; and below average: 3·7, 1·9–6·9)


3つのtrajectoryの若年齢期予測要素は、小児期喘息、気管支炎、肺炎、アレルギー性鼻炎、湿疹、親の喘息、母喫煙


個別喫煙と活動性成人喘息は、early below average、accelerated decline trajectory群において母の喫煙や小児期喘息のインパクトを増加する



肥満:低糖負荷食の暫定的勝利? 基本概念としては当面“Carbohydrate-Insulin Model”で行こう!

低炭水化物食、low-carb.食とか色々名称があるが、ここでは、"low glycemic load"食


criticismを含めた総説にてDavid Ludwigの論評で 、 carbohydrate-insulin model (CIM)モデルを当面推奨


The Carbohydrate-Insulin Model of Obesity Beyond “Calories In, Calories Out” JAMA Internal Medicine Published online July 2, 2018
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2686146


肥満エピデミックの原因は、研究集中しているが、十分解明されず、通常のカロリー制限ダイエットでは長期的有効性が得られない。

肥満の炭水化物・インスリンモデル: carbohydrate-insulin model (CIM)によると、processed、高glycemic-load炭水化物の摂取量増加がホルモン変化を生じ、脂肪細胞のカロリー蓄積を促進し、飢餓症状を増悪し、エネルギー消費量を低下させるという過程をとる

基礎研究・遺伝子研究により、CIMを支持するmechanistic evidenceを提示している。

動物では、CIM予測と一致した現象で、食物組成物はカロリー摂取量と独立して、代謝及び体組成に影響を及ぼすことが明らか

行動トライアルのメタアナリシスでは、低glyemic load vs 低脂肪食で、より効果のある体重減少報告がなされているが、これらの研究は長期コンプライアンス不良が特性上懸念される。

feeding studyはCIM検証するには厳格さと期間が不足するが、長期研究により低glyemic load vs 低脂肪食で代謝的advantage示される傾向にある。

摂取炭水化物の種類・量を超えて、CIMは、理解のための概念的frameworkを提供し、多くの食事性・非食事性の影響がホルモン、代謝、脂肪細胞biologyに影響を与え肥満へ進むことの説明となっている。

明確な研究が出現するまで、低-glycemic load食の基本理念がよりプラクティカルで、食脂肪やカロリー制限の肩代わりとなる










肥満carbohydrate-insulin model (CIM) は、高炭水化物(精製デンプン食品、砂糖など)を大量摂取を含む高炭水化物食は、通常低脂肪食の時に生じることが多く、食後高インスリン血症を生じ、脂肪細胞のカロリー蓄積を促進し、lean tissue(除脂肪組織)の酸化を抑制し、空腹促進、代謝速度低下をもたらし、両者伴うこともある。

通常モデルと同様、CIMも熱力学第1法則である保存法則に従うが、過食が脂肪組織増加をもたらすと看做し、主な理由とはならない。すなわち、エネルギー貯蔵と脂肪蓄積とを関連づける因果経路は、従来の方向とは反対の方向に流れる(図B)。 この観点から、カロリー制限は、現代の食物環境で大部分の人々にとって失敗するようになっている対症療法と見ることができる

低カロリー、低脂肪食は、大元となっている代謝の問題を実際上悪化指せているのかもしれない。血液中へのエネルギー利用を妨げ、空腹感増加、代謝率低下、ストレスホルモン増加などの飢餓を誘発することで体重減少どころが肥満促進となっている(意訳しました)




日本糖尿病学会や肥満・栄養関連学会はまだカロリー制限principleを続ける?

官僚より頭の硬い集団だから・・・当面変更ないだろうなぁ
いろいろ突っ込みどころありそうだし・・・

米国FDA:医療医療用アプリケーションの開発に関わる規制

米国FDAはモバイル医療アプリケーションの開発に関わる最終案を提言

規制をしない推奨というのはアメリカの自由度の象徴であり、余裕なのかもしれない



FDA Lays Out Rules for Regulating Mobile Medical Apps
JAMA. 2013;310(17):1783-1784. doi:10.1001/jama.2013.281270



米国FDAは、医療器具として“モバイル・アプリケーション”に関して、市販前レビューや登録、リスト化をメーカーに要求するつもりはない
• Help users self-manage their disease or condition without providing specific treatment suggestions.;特異的治療示唆せず、疾患やコンディション自己管理のため用いるべきもの 
• Provide users simple tools to organize and track their health information.;健康情報の構築や健康情報追跡の単純ツールとしてユーザーへ提供されているもの 
• Provide easy access to information related to health conditions or treatments.;健康状況・治療関連情報へのアクセスを容易化させる手段 
• Help patients document, show, or communicate potential medical conditions to health care professionals.;可能性のある医療状況を患者が(主体的に)医療従事者へ文書、表示、コミュケーションするのを助ける 
• Automate simple tasks for health care professionals.;医療従事者へ簡単なタスクを自動化する 
• Enable patients or health care professionals to interact with personal health records or electronic health record systems. ;患者や医療従事者に個人健康器録や電子カルテとを介入することを可能とする
FDAのモバイル医療アプリケーション施策は、また、スマートフォーンやタブレットの使用を販売・一般使用を規制しようとするつもりもないし、モバイルプラットフォーム製作者(企業?)を医療デバイス作成業者(企業?)として看做すつもりもないのは、モバイルプラットフォームはFDAの規制するモバイルアプリケーションとして作動するからである。
将来米連邦政府は、2012年Food and Drug Administration Safety and Innovation Act (FDASIA) に基づき、 Department of Health and Human Services (HHS) Secretaryから要求され、アプリケーションや医療ITを規制する方法を、来年1月に明らかにする予定であることを明言。

要求は、モバイルアプリケーションを含む、イノベーション促進、患者安全性確保、重複規制を避ける、リスクに基づく規制フレームワークの戦略・推奨を含むもの

FDASIA特別委員会の9月4日レポート: http://tinyurl.com/q7nhntr

委員会提言の一つは、健康IT事案作成をFDA市販前規制を作成しないよう推奨、ただし、高リスク臨床的意志決定に関わる医療デバイスアクセサリーや医療従事者のアシスト情報を含まない限りの条件付き
委員会はまた、健康関連ITの市販後サーベイランスの改善も推奨し、トランペアランシーとユーザー・ベンダーからの報告を含むべきとした



また、日本の負けが見えてくる


重複規制を含め規制だらけにしたらこの種のアプリケーション開発は進まない。
日本は、自己規制を含む行政の規制だらけの自由のきかない、創造性のない社会に日本はなっているのでは?各メーカーからパソコン出現し、日本独自のOSも脚光を浴びていたあの頃、自由度は高かったと思う。


日本のソフトウェア・アプリケーション技術に概して魅力が無い原因の一つはこの辺の国民性のため?

2018年7月2日月曜日

H.ピロリ感染とアルツハイマー病発症の関連性

米国のH.ピロリ感染とアルツハイマー病発症の正相関関係


内容
1.システマティック・レビュー:Hピロリは胃病変と関連するが、他にも消化器外疾患、例えば、動脈硬化、高血圧、卒中を含め関連など。それ以外にアルツハイマー病も血液脳関門障害と関連する可能性がある 
2.今回の研究ではH.ピロリと、認知疾患アウトカムの関連性を綿密に検討し、アルツハイマー病関連死亡率、全病型認知症・アルツハイマー型認知症を含め検討。45歳以上の米国内データ(Medicare、National Death Index registry:死因統計)解析。H.ピロリ感染と、男性・経済社会的ステータスの高い場合にその関連性が認められた 
3.今後の方向、H.ピロリ感染・除菌のインパクトを様々な認知疾患で検討、性別、社会経済状態を層別化必要




Helicobacter pylori seropositivity and its association with incident all-cause and Alzheimer's disease dementia in large national surveys
Alzheimer's & Dementia , The Journal of the Alzhermer's association
https://www.alzheimersanddementia.com/article/S1552-5260(18)30131-6
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jalz.2018.04.009



左:男性、右:女性



Hピロリ血清陽性とアルツハイマー型認知症死亡率の正相関
男性 (ハザード比 adj, pooled  = 4.33, 95% 信頼関係: 1.51–12.41, P = .006)
アルツハイマー病発症、全ての認知症でも再現 (ハザード比adj, pooled  = 1.45 (95% 信頼区間 1.03–2.04, P = .035、.44 (95% 信頼区間: 1.05–1.98, P = .022)


この関連性は社会経済的状態高い場合に特に関連


COPD:急性増悪後の心血管疾患イベント発生リスク1ヶ月ピーク、その後1年続く

トライアルの組み方の失敗だったのだろう・・・"FEV1(気管支拡張剤投与後)、中等度/重度の増悪の発現率、最初の中等度/重度の増悪までの期間、重度(入院を要する)の増悪までの期間、重度(入院を要する)の増悪の発現率、健康に関する生活の質(12カ月時点のSt George’s Respiratory Questionnaire-COPDの合計スコア)、12カ月時点のCOPDアセスメントテスト(CAT)による健康状態"をプライマリにすれば、以下のように攻められなかったものを・・・

SUMMIT失敗?:心血管疾患既往・リスク状態有りのCOPDへのレルベアpIIIトライアル 主要測定効果しめされず
https://kaigyoi.blogspot.com/2015/09/summitcopdiii.html?q=COPD


で、なんとか post-hoc的解析でリカバリを図る

https://kaigyoi.blogspot.com/2017/08/summit.html?q=SUMMIT



今回、このSUMMITトライアルPost Hocで、急性増悪の心血管疾患イベントへの時間的影響を解析



虚血性心疾患、卒中、COPDが世界的にも死亡率トップの方の疾患で、共通リスク要素である高齢と喫煙があり、COPDおよび低肺機能は従来のリスク要素補正後でも心血管疾患の独立したリスク要素であると確認 (Circulation 2003;107:1514.,   Chest 2013;144:1163-78. PLoS One 2013;8:e83725.)。COPD患者では全身性炎症性マーカー、hsCRP、IL-6、フィブリノゲンなど増加があり急性増悪時さらに増加が示される。COPD急性増悪と感染症の関係、一般には呼吸器系そして尿路系、消化器系感染も関与するもクリアカットなものではない。
SUMMIT研究は、国際的多施設トライアルで、COPD患者、CVD病歴/高リスクCVD患者を対象医したもので、COPD急性増悪後の期間を、そうではない期間を比較しCVDリスクが増加するか検討



Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease and Cardiac Events. A Post Hoc Cohort Analysis from the SUMMIT Randomized Clinical Trial
AJRCCM Vol. 198, No. 1 | Jul 01, 2018
https://doi.org/10.1164/rccm.201711-2239OC

SUMMIT研究、16,485名中 4,704名でCOPD急性増悪1回以上、688は最低1回以上の心血管疾患イベント発生
COPD急性増悪後心血管疾患イベントハザード比は、30日以内に特に多く (HR 3.8; 95%CI: 2.7 to 5.5)、COPD急性増悪1年後までそのリスク高の状態は続く

入院COPD急性増悪30日のハザード比は2倍(HR 9.9; 95%CI: 6.6 to 14.9)





以下と類似した所見のようだ


Nested Case-controll研究:COPD患者へのLABA/LAMA併用による心血管リスクは既往に無関係
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/02/nested-case-controllcopdlabalama.html







SUMMIT研究の報告

Fluticasone furoate and vilanterol and survival in chronic obstructive pulmonary disease with heightened cardiovascular risk (SUMMIT): a double-blind randomised controlled trial
the SUMMIT Investigators
The Lancet Volume 387, No. 10030, p1817–1826, 30 April 2016
DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(16)30069-1
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)30069-1/abstract

日本語早期発表解説

グラクソ・スミスクラインplc(本社:英国 以下GSK)とTheravance(本社:米国)は、「レルベア® 100エリプタ®」(フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI) 又はFF/VI)に関する試験、The Study to Understand Mortality and MorbidITy in COPD(SUMMIT)の初期成績を発表しました。この試験は、中等度の気流閉塞(予測1秒量(FEV1)の50%から70%)があり、心血管系疾患(以下CVD)の既往歴を有する、あるいはそのリスクが高い慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者、16,485名を対象に世界43カ国で行われました。 
この試験の主要評価項目である試験期間中の死亡のリスクは、FF/VI 100/25mcg 群でプラセボ*群に比べて12.2%低かったものの、統計学的に有意なものとは認められませんでした(p=0.137)。 
2つの副次的評価項目のうちの1つ、肺機能の低下率(FEV1で評価)は、FF/VI 100/25mcg群で、プラセボと比較して1年あたり8mL 減少しました(p=0.019)。この試験では主要評価項目での統計学的な有意差は認められなかったため、この結果について統計学的有意性を推論することはできません。もう1つの副次的評価項目、治療期間中の心血管系(以下CV)イベント(心血管系疾患による死亡、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症、一過性脳虚血発作[TIA])の発現リスクは、FF/VI 100/25mcg 群で、プラセボ群と比較して7.4%低かったものの、統計学的な有意差は認められませんでした(p=0.475)。
また、この試験ではCOPDに関するその他の評価項目としてFEV1(気管支拡張剤投与後)、中等度/重度の増悪の発現率、最初の中等度/重度の増悪までの期間、重度(入院を要する)の増悪までの期間、重度(入院を要する)の増悪の発現率、健康に関する生活の質(12カ月時点のSt George’s Respiratory Questionnaire-COPDの合計スコア)、12カ月時点のCOPDアセスメントテスト(CAT)による健康状態などで、FF/VIの有効性をプラセボと比較検討し、分析しました。これらの評価項目に対し、FF/VI 群はプラセボ群よりも高い改善を示しました(それぞれの名目上のP値<0 .002="" font="">。この試験では主要評価項目での統計学的な有意差は認められなかったため、この結果について統計学的有意性を推論することはできません。 
有害事象で最も多かったもの(FF/VI 100/25mcg群での発現率が3%以上で、プラセボより高い頻度で認められたもの)は、鼻咽頭炎(FF/VI 100/25mcg群8.9%、プラセボ群7.5%)、上気道感染症(FF/VI 100/25mcg群6.3%、プラセボ群4.8%)、肺炎(FF/VI 100/25mcg群5.0%、プラセボ群4.6%)、背部痛(FF/VI 100/25mcg群4.3%、プラセボ群3.5%)、高血圧(FF/VI 100/25mcg群3.9%、プラセボ群3.3%)、インフルエンザ(FF/VI 100/25mcg群3.4%、プラセボ群2.9%)でした。 
治療期間中の重篤な有害事象の発現率は、FF/VI 100/25mcg群23.2%、プラセボ群22.2%でした。特に注目すべき有害事象としては心血管系有害事象と肺炎に関連するすべての事象が集計されました。心血管系有害事象の発現率はFF/VI 100/25mcg 群17.8%、プラセボ群16.8%で、重篤な心血管系有害事象の発現率はFF/VI100/25mcg 群8.5%、プラセボ群7.7%でした。注目すべき有害事象としての肺炎の発現率はFF/VI 100/25mcg 群5.7%、プラセボ群5.2%で、うち重篤な有害事象に該当する事象はFF/VI 100/25mcg群3.4%、プラセボ群3.1%でした。



https://jp.gsk.com/jp/media/press-releases/2015/20150924_summit_1/



もう一つ・・・冠動脈性心疾患との関連

Coronary lesions in patients with COPD (Global Initiative for Obstructive Lung Disease stages I–III) and suspected or confirmed coronary arterial disease
International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease  Volume 13
Published 26 June 2018 Volume 2018:13 Pages 1999—2006
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S162713




横断研究

COPD患者,n=101は、50%以上冠動脈閉塞 72%、多血管 28.7%、左冠動脈多肢 17.8%
石灰化動脈硬化プラーク 、 Agatston coronary calcium scoreが、非COPDより高率
COPD重症度高いほど、CAD重症度高く、石灰化冠動脈プラークあり
しかし、主要CADリスク要素においては群間差みとめず
単因子解析にて、COPDは独立した閉塞性冠動脈疾患の予測要素 (オッズ比 [OR] 4.78; 95% 信頼区間: 2.21–10.34; P < 0.001)
The more severe the COPD in the

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