2016年1月31日日曜日

変形性膝関節症:減量程度と機能改善に量依存関係 8%程度や痩せることが要求される

効くか効かないといえば効かない方のエビデンスが多い、グルコサミンなどのサプリメントにお金を使うより、減量に時間を割いた方が、他の生活の質まで改善して良いと思うのだが・・・どうも実践しないのが一般の人間らしい


せめて、医者くらいは膝痛には痩せることが基本と信じ実践すべきだろう



Is there a dose response relationship between weight loss and symptom improvement in persons with knee osteoarthritis?
Inoshi Atukorala, et. al. DOI: 10.1002/acr.22805
Arthritis Care & Research
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/acr.22805/abstract;jsessionid=99420BE3D7D7AA16195CC6A0423DC2A2.f01t04



目的:有症状変形性膝関節症(KOA)患者の 体重減少と疼痛/機能改善の量依存関係を、住民ベース減量プログラムで調査 
研究方法: 18週間「Osteoarthritis Healthy Weight for Life」減量プログラムKOA被検者

このcompleterタイプの解析では、被検者をベースライン、6週-、18週で減量とKnee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS) subscale評価。
減量幅カテゴリー(10%超、5.1-7.5%、2.6-5.0%、2.5%未満)とKOOSスコアの量依存関係を性・年齢・BMI、KOOSのANOVA補正反復計測にて評価
KOOS由来のWestern Ontario McMaster Universities Arthritis Index (WOMAC) function score 臨床的有意機能改善評価として使用

結果: 登録 1383 (女性 71%)名、平均年齢 64 (8.7)歳、身長 1.66(0.09)m、体重 95.1 (17.2)kg
平均BMIは344.4 (5.2)で、ベースラインで肥満82%
体重2.5%超到達は1304(94%) 
全KOOS subcaleと%体重減少率は量依存的に全ての体重変化カテゴリー横断的に認められる
7.7以上(95% CI 5.2-13.3)の減量が臨床的有意機能改善のため必要

結論: 減量と症状改善に有意な量依存関係あり
この研究にて地域における変形性関節症治療介入としての減量のfeasibility確認された

2016年1月29日金曜日

さくらんぼ香りの電子タバコ・・・ベンズアルデヒドたっぷり

たばこの代替としての電子タバコの有害性は詳細不明


チェリー・フレイバーの電子タバコに特にベンズアルデヒド高濃度存在



Cherry-flavoured electronic cigarettes expose users to the inhalation irritant, benzaldehyde
Press Release
Leon Kosmider , et. al.
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207895
多くの芳香剤を含む電子タバコ存在
ベンズアルデヒド (benzaldehyde) は、自然の果物のフレイバーの含有物で、気道への刺激整が動物モデルと職業暴露で認められている

芳香を含む電子タバコについてオンライン購入電子タバコを研究しつて作成し、エアロゾール中ベンズアルデヒドを145製品中108製品で検出 
ベンズアルデヒドの高濃度はチェリー・フレイバー製品
フレイバー電子タバコから30パフ吸入中の濃度は通常のタバコ吸入より高濃度となることが多い。
チェリー・フレイバー電子タバコは職場吸入量の1000倍を超える 
喫煙者の有害性減少のための電子タバコ使用は、結果的にベンズアルデヒドの反復吸入をもたらすことになり、毒性定期暴露リスクを長期的にもたらす

芳香物質、ベンズアルデヒドのような物質を長期吸入することに生じる長期的影響があるとして、医師たちはこの新しく出現したリスクを念頭に置き、患者にその使用状況を問わなければならない



http://www.cerij.or.jp/evaluation_document/yugai/100_52_7.pdf

  生体内運命
 ベンズアルデヒドは実験動物において、主として安息香酸に酸化された後、グリシン抱合やグルクロン酸抱合を受け、最終的には大部分が馬尿酸に代謝され、尿中へ排泄される。
  疫学調査及び事例
  ヒトに対しては、ベンズアルデヒドに暴露した場合、皮膚、眼、呼吸器等に刺激症状が認められており、またパッチテストで一部のボランティアに陽性を示す報告が得られている。

反復投与では、経口経路で主に前胃・小脳海馬などの中枢神経系、肝臓、腎臓等に影響がみられている。マウスの2年間強制経口投与試験で、雄の400mg/kg/日群、雌300mg/kg/日以上の群に前胃の扁平上皮過形成がみられており、マウスに対するNOAELは200mg/kg/日(雄)、LOAELは300mg/kg/日(雌)である。また、吸入経路では、中枢神経系への影響、肝臓の重量増加、血液学的変化などが認められている。ラットの14日間吸入暴露試験で最低用量群の500ppmから肝臓の絶対及び相対重量の増加、血清中AST濃度の増加がみられており、LOAELは500ppm(2,200mg/m3)である。調査した範囲内では、ベンズアルデヒドの生殖・発生毒性に関する信頼できる試験報告は得られていない。遺伝毒性に関しては、invitroにおいて遺伝子突然変異、染色体異常及び姉妹染色分体交換の多くの試験で陽性を示している。しかし復帰突然変異ではすべて陰性であり、また哺乳動物を用いたinvivo試験の報告は得られていないことから、遺伝毒性の有無について明確に判断することはできない
発がん性に関しては、強制経口投与試験で雌マウスの300mg/kg/日以上の群には前胃の扁平上皮乳頭腫が用量依存的に増加しているが、現在までに得られているデータのみから発
がん性について判断することはできない。国際機関等ではベンズアルデヒドの発がん性を
評価していない。

~                  

食物フラボノイド摂取は体重維持に好影響

フルーツのうち、ブルーベリー、りんご、なし、西洋なし、イチゴ、ぶどう、ピーマン、セロリなど体重維持に好影響との報告有り。
お茶などはフラバン-3-オールなどで脂肪取り込みよく成功かなど報告されている。
全てではなく、幾つかのフラボノイド・サブクラスは、カロリー摂取減少、in vivoでの筋肉内ブドウ糖取り込み増加、in vitro 脂肪細胞のブドウ糖取り込み減少報告されている

機序推定は成り立つが、どのフラボノイドが体重維持に有益かの検討もなされた


Dietary flavonoid intake and weight maintenance: three prospective cohorts of 124 086 US men and women followed for up to 24 years
BMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i17 (Published 28 January 2016)
Cite this as: BMJ 2016;352:i17
http://www.bmj.com/content/352/bmj.i17


Health Professionals Follow-up Study (HPFS)、Nurses’ Health Study (NHS), d Nurses’ Health Study II (NHS II) 124 086 名の男女

1986年から2011年までの4年間多次体重変化自己報告推移


食事・喫煙・身体活動性を含む他のライフスタイル要素の同時変化補正後、多くのフラボノイド・サブクラス、具体的には、フラボノール、フラバン-3-オール、アントシアニン、フラボノイド・ポリマーを含む消費量増加は、4年間に及ぶ体重変化と逆相関。

プール化結果後、相関の程度の大きいのは、アントシアニン (−0.23 (95% 信頼区間 −0.30 to −0.15) lbs per 標準偏差値追加毎, 10 mg), フラボノイド・ポリマー (−0.18 (−0.28 to −0.08) lbs 標準偏差値追加毎/day, 138 mg), and flavonols (−0.16 (−0.26 to −0.06) lbs 標準偏差値追加毎/day, 7 mg)


食物線維追加補正後もアントシアニン、プロアントシアニジン、総フラボノイドポリマーでは有意差残存するも、他のサブクラスでは維



飲食関係の数量表示にばらつき目立つ
英国でポンド (質量):lbsを学術論文に使用している
アルコール関係が特にひどい

ステロイド反応性咳嗽(CRC):NO呼気濃度は特異度は良好だが、感度悪い:診断はできるが除外はできない・・・


ステロイド反応性咳嗽(CRC: corticosteroids responsive cough)予測のための、NO呼気濃度単独判断、喀痰好酸球とアトピーとの組み合わせ判断


Validity of Fractional Exhaled Nitric Oxide in Diagnosis of Corticosteroids Responsive Cough
Fang Yi,  et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.01.006


慢性咳嗽 244名、健康対照 59名

FeNO濃度は喀痰好酸球と相関 (rs = 0.583, p < 0.01)

FeNO中央値(4分位)は非CRCより有意に高い (32.0 ppb (19.0 - 65.0 ppb) vs 15.0 ppb (11.0 - 22.0 ppb))


FeNO 31.5 ppbは、慢性咳嗽CRC予測に関して 感度 54.0%、特異度 91.4%
PPV 89.3%、NPV 60.0%

FeNO 22.5 ppb未満と正常喀痰好酸球(2.5%未満)及びアトピー既往なし所見の組み合わせで、非CRC予測感度 30.3%、特異度 93.5%


咳喘息というなら吸入ステロイドが有効というべきなのだが、なぜかβ2アゴニスト有効ということになっている・・・以前からプリミティブな疑問を感じ続けている。
故に、病名として深層心理的に避けてきた・・・わたくし

2016年1月28日木曜日

医療過誤請求される医師の偏在現象

医療過誤請求される医師の分布について偏りがあるか検討



この報告では、 脳外科>一般外科>眼科>放射線科>内科>精神科

日本では、診療科別医師数が異なり、同じ診療科でも内容が異なるため日本とは直接比較できないはず

医療過誤確率は 一部の医師に集中しやすい現象は必ずしもその技倆だけの問題ではないはず。難しい背景を保つ専門分野やその診療内容ならリスクは集中する
当たり前と言えば当たり前の結果と私は思うが・・・一般にはそう思わないだろうし、メディアや健康行政に携わる連中のミスリードに使われないことを願う





Prevalence and Characteristics of Physicians Prone to Malpractice Claims
David M. Studdert, et. al.
N Engl J Med 2016; 374:354-362January 28, 2016
DOI: 10.1056/NEJMsa1506137

National Practitioner Data Bankのデータを用い、2005年から2014年までの5万4千99名の医師に対する6万6千426件の過誤請求事案解析


全医師の1%ほどで32%の医療過誤請求にあたる。
支払い過誤認定医師のうち、研究期間中1回のみは84%(全支払い過誤の68%に相当)
うち、2回以上は16%(全支払い過誤の32%に相当)
3回以上は4%(全支払い過誤の12%に相当)


補正解析にて、再発リスクは過去の過誤請求数とともに増加
例えば、訴訟請求経験1回ある場合の医師と比べ、3回の経験を持つ医師は、次の2年間の新しい過誤請求追加リスクは3倍である (ハザード比, 3.11; 95% 信頼区間 [CI], 2.84 to 3.41); 絶対値としては24% (95% CI, 22 to 26) 確率増加に相当
 
再発リスクは専門によりばらつき有り、例えば、脳外科のリスクは精神科のほぼ4倍






2型糖尿病の薬剤間比較:はっきりしているのはSU剤(対メトフォルミン比較)の急性心筋梗塞への悪影響のみ

SGLT-2どころか、DPP-4阻害剤、GL-1アナログなど対象外の報告

SU剤の悪さだけは明らか・・・



Cardiovascular risk associated with the use of glitazones, metformin and sufonylureas: meta-analysis of published observational studies
Manel Pladevall ,et. al.
BMC Cardiovascular Disorders201616:14
http://bmccardiovascdisord.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12872-016-0187-5

【背景】観察研究でグリタゾン、メトフォルミン、SU剤の心血管安全性評価・比較なされているが一致した知見はない。 非インスリン血糖降下薬剤(NIBGLD)使用患者に於ける、急性心筋梗塞(AMI)あるいは卒中のリスクについて観察研究メタアナリシスのheterogeneity評価

【方法】2型糖尿病患者のNIBGLDをMedline、 Embase、Cochrane Libraryで事前層別クライテリアに基づきシステマティックに同定・評価。登録研究の質はRTI item bankで評価。
結果はfixed-とrandom-effects modelにより結合し、Higgins I2 staticsにてheterogeneityを評価。研究の室は感度分析を施行

【結果】要約相対リスク:summary relative risk (sRR) (95 % CI)
AMI : rosiglitazone versus pioglitazone 1.13 (1.04–1.24) [I 2  = 55 %]
感度分析にて、heterogeneity減少 [I 2  = 16 %]

卒中 : rosiglitazone versus pioglitazone 1.18 (1.02–1.36) [I 2  = 42 %]
rosglitazone versus metformin比較、rosiglitazone versus SU剤比較に強い研究の質としての強いheterogeneityを認める (I 2  ≥ 70 %)


AMIに関するsRR (95 % CI)
SU剤 versus メトフォルミン 1.24 (1.14–1.34) [I 2  = 41 %]
pioglitazone versus metformin  1.02 (0.75–1.38) [I 2  = 17 %]
多くの比較では感度分析でheterogeneity減少

【結論・治験】
SU剤はメトフォルミンに比べ24%AMIリスクを増加させる
ピオグリタゾンとメトフォルミンを比較するとAMIリスク差が内という推定ポイントは不確実
他の比較ではheterogeneityの存在で結論を下せない

研究の質は、個別研究の方法論的問題同定、heterogeneityの潜在的要素を解析のため評価必要

2016年1月27日水曜日

USPSTF Recommendation Statementとして、成人うつのスクリーニング


USPSTF Recommendation Statementとして、成人うつのスクリーニング

Grade B推奨
18歳以上成人対象

リスク評価:
女性、若年・中年、非白人、低教育水準・離婚歴・無職でうつ高率。慢性疾患、メンタル疾患、精神疾患家族歴ありでリスク増加。高齢者のリスク要素は障害と疾患関連健康状態不良、困難なグリーフ、慢性睡眠障害、孤独、うつ既往。妊娠・産後のリスク要素はself-esteem不良、育児ストレス、出産前不安、ライフストレス、社会的サポートの不足、単独/パートナー不在、うつ既往、新生児対応困難気質、出産後うつ既往、社会経済状況恵まれない状況、妊娠希望無し
スクリーニング検査:
Patient Health Questionnaire in various form
Hospital anxiety and Depression Scale in older adult 
Edinburgh postnatal Depression Scale in postpartum and pregnant women
もしスクリーニング陽性なら付加的評価(うつ重症度、精神的問題合併)、診断変更考慮、医療状況の評価
スクリーニング間隔:適切なタイミングとその間隔は不明。
治療・介入:
一般的には抗うつ薬と特異的心理治療アプローチ、単独、組み合わせで行う。特定薬剤の胎児・新生児への有害可能性はあるにしても、臨床医はエビデンスに基づくカウンセリング介入を、妊娠・授乳中女性へのうつ管理のとき行わなければならない。
利益・有害バランス:moderate
他のUSPTF推奨:小児・思春期スクリーニング及び思春期・成人・老人自殺リスクスクリーニングなど


Screening for Depression in Adults
US Preventive Services Task Force Recommendation Statement
Albert L. Siu, et. al. and the US Preventive Services Task Force (USPSTF)
JAMA. 2016;315(4):380-387. doi:10.1001/jama.2015.18392.







解説記事
http://www.medpagetoday.com/Psychiatry/Depression/55848

前回の2009年度版では、包括的推奨としてプライマリケアでの成人全員へのスクリーンの重要性を強調し、印象的ガイドラインであった
妊 娠・出産後女性を含まないことが是正される一方、妊娠女性でのSSRI使用有害性を明確にして“mild to moderate"と尤度低いことを提示、胎児への有害性リスクの少ないことのエビデンスを示したが、一方、産後女性についてはこれを含まない。個別化さ れた意思決定が必要としている
うつ病歴ある場合は受診時常にscreenするよう、受診時心がけることと説明


禁煙治療:バレニクリン単独とニコチン単独及びニコチン組み合わせで治療効果差無し

強化的薬物療法全般に疑念が生じると結論づけされている



ニコチンパッチ単独 vs バレニクリン単独 vs ニコチンパッチ・ニコチン口腔内錠併用
以上の3つの治療法毎の効果に差が見られなかった


Effects of Nicotine Patch vs Varenicline vs Combination Nicotine Replacement Therapy on Smoking Cessation at 26 WeeksA Randomized Clinical Trial
Timothy B. Baker,  et. al.
JAMA. 2016;315(4):371-379.
介入:12週間のオープンラベル禁煙
・ ニコチンパッチ単独 (n=241)
・ バレニクリン単独 (n=424)
・ C-NRT(ニコチンパッチ+ニコチン lozenge(トローチ)) (n=421)

一次アウトカム:一酸化炭素確認禁煙7日毎ポイント自己報告26週目
二次アウトカム:一酸化炭素確認初期禁煙及び26週目禁煙継続、4、12、52週目ポイント禁煙率



1086名の喫煙者ランダム化:女性 52%、白人 57%、平均年齢 48歳、平均17本/日)、12ヶ月フォローアップ

治療での26週目、52週目禁煙アウトカムに差を認めず
26週目:ニコチンパッチ , 22.8% [55/241]; バレニクリン, 23.6% [100/424];C-NRT, 26.8% [113/421] 
52週目:  20.8% [50/241]; バレニクリン, 19.1% [81/424]; and C-NRT, 20.2% [85/421])

26週目、禁煙リスク差
for patch vs varenicline, −0.76% (95% CI, −7.4% to 5.9%)

for patch vs C-NRT, −4.0% (95% CI, −10.8% to 2.8%)

for varenicline vs C-NRT, −3.3% (95% CI, −9.1% to 2.6%)

全ての薬物療法耐用性あり、だが、バレニクリンは副事象イベントニコチンパッチより多い: 鮮明な夢、不眠、吐気、便秘、眠気、消化不良






バレニクリン(商品名:チャンピックス)とNRTでは、禁煙治療希望者の反応違うけどなぁ・・・私の実感と異なる報告だが、JAMA誌掲載の盲検試験だしなぁ・・・

2016年1月26日火曜日

ヒトES-β細胞のマウス腹腔内移植:長期間維持確認

ラ氏島移植は免疫抑制剤必要で限界もある、故に、ヒトES細胞由来(SC-β細胞)が注目され、インスリン産生細胞のimmunoisolationを以下に組み込むか、免疫バリアとして多孔性バイオ物質を工夫。チャレンジングなことだったようで、アルギン酸誘導物質で、外的異物反応を抑えたもの。マウス腹腔内での移植実験でインスリン産生174日間成功


Long-term glycemic control using polymer-encapsulated human stem cell–derived beta cells in immune-competent mice
Arturo J Vegas, et. al.
Nature Medicine (2016) doi:10.1038/nm.4030




Encapsulated islets transplantation: Past, present and future
World J Gastrointest Pathophysiol. 2012 Feb 15; 3(1): 19–26.








カプセル化の目的は、免疫による移植膵島の損失阻止


【禁煙】ニコチンパッチ郵送だけでも効果?

 禁煙治療は行動支援(behavioral support)が必要とされる。このプロセスを無視した形のニコチンパッチ郵送。

 これでも禁煙成功するのか?

結論から言えば、何もしないよりは禁煙率は高くなる

だが、電話問合で適当に返事しているとは思えないが、 客観的確認はできなかった


Effect of Mailing Nicotine Patches on Tobacco Cessation Among Adult Smokers A Randomized Clinical Trial
John A. Cunningham, et. al.
JAMA Intern Med. Published online January 25, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2015.7792

【研究意義】 行動支援を伴う場合ニコチン置換療法(NRT)の有効性は臨床トライアルを通して認められている。疫学的データではNRTは禁煙治療に関してNRT使用しない場合より成功は支持されてない。


【目的】禁煙成功において行動支援なく禁煙者へニコチンパッチ郵送した場合の効果確認


【デザイン・セッティング・被検者】カナダ内登録、成人喫煙者 単盲検、2群ランダム化臨床トライアル:ランダム番号ダイアルによる家庭電話・携帯電話調査:2012年6月4日〜2014年6月26日。2015年1月5日までフォローアップし、2015年5月24日〜6月6日まで解析。ベースラインインタビュー時タバコ1日10本超喫煙の2093名、ニコチンパッチを郵送し仮説的禁煙に興味あるか問いかけ。NRTへ興味あり、禁忌のない被検者をランダム化し、ニコチンパッチ5週分郵送供給。
電話フォローアップ8週間から6ヶ月後


【介入】実験群はニコチンパッチ5週間分速達郵送(ステップ1: 3週間(ニコチン 21mg )、Step 2: 1週分 (ニコチン 14 mg)、 Step 3 (ニコチン 7mg )、行動支援行わず)
対照群はニコチンパッチ提供せず、介入も行わず


【主要アウトカム・測定】 プライマリアウトカムは、6ヶ月時点での30日間禁煙状況


【結果】  ベースライン調査2093名(回答率 76.5%)のうち、1000名でトライアル登録、グループへのランダム化
実験群500名 (平均 [SD] 年齢, 480.0 [12.8] 歳; 女性 255  [510.0%]) 、対照群499名 (平均 [SD] 年齢, 49.7 [12.7]歳; 女性 256  [51.3%])解析

 自己報告での禁煙成功は、対照群よりニコチンパッチ郵送群で高い
(30-日禁煙: 38 [7.6%] of 500 vs 15 [30.0%] of 499; オッズ比, 2.65; 95% CI, 1.44-4.89; P = 0.002)

 唾液試料回収はわずか50.9%
6ヶ月時点での生化学的確認禁煙率は、郵送群 14/500被検者 (2.8%) vs 対照群 5/499 (10.0%)(オッズ比, 2.85; 95% CI, 10.02-7.96; P = 0.046)


【結論・新知見】  このトライアルでは行動支援なくニコチンパッチを郵送する方法の有効性エビデンスを提示したが、知見強化するための生化学的確認ができてない

Trial Registration  clinicaltrials.gov Identifier: NCT01429129

非弁膜症性心房細動:多剤使用多く、出血リスク高まる ・・・NOACはリスク軽減?

非弁膜症性心房細動はもともと高血圧症合併多く、また、心不全合併したり、糖尿病併発症・脂質異常も多い。故に、日常臨床としてポリファーマシーとならざる得ないことが多い。


ポリファーマシーにおける、NOAC vs ワルファリン  ということで、リバロキサバンとワルファリン特性比較でNOACの優越性に関する報告



Polypharmacy and the Efficacy and Safety of Rivaroxaban Versus Warfarin in the Prevention of Stroke in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation
Jonathan P. Piccini, et. al.
Circulation. 2016; 133: 352-360
Published online before print December 16, 2015,
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.115.018544(pdf)

 ベースライン での薬剤数 0−4は 5,101 (36%)、薬剤数 5-9は 7298 (51%)、薬剤数 10以上は 1,965 (13%) 





polypharmacyは卒中や非中枢神経系塞栓リスクと相関せず (補正ハザード比 1.02 for ≥ 10 versus 0–4 medications; 95% 信頼区間, 0.76–1.38)
しかし、複合エンドポイント(卒中・非中枢神経系全身塞栓、血管疾患死、心筋梗塞)のリスク増加と相関  (補正ハザード比, 1.41 for ≥ 10 versus 0–4 medications; 95% 信頼区間, 1.18–1.68)
さらに、非重大臨床的出血あるいは重大出血のリスク増加と相関   (補正ハザード比, 1.47 for ≥ 10 versus 0–4 medications;  95% 信頼区間, 1.31– 1.65)











薬剤数による群間差は、一次有効性 (補正interaction P =0.99)と安全性アウトカム (補正interaction P =0.87) においては有意差認めず



 薬剤数 0-4ではリバロキサバンでの重大出血発生率低下認める (補正ハザード比 o, 0.71; 95% 信頼区間, 0.52–0.95; interaction P =0.0074)








 cytochrome P450 3A4とP-glycoprotein inhibitorを含む1剤以上で、アウトカムが異なるというエビデンスは認めない






 結論: 心房細動患者において、5剤以上のポリファーマシーは2/3。
薬剤数多いほど出血リスク増加するも卒中リスクは増加と相関せず
リバロキサバンは多薬剤患者でも横断的に耐用性良い





図譜をみると、言うほど、リバロキサバン優越性あるとは思えないけど・・・


主題とは関係ない話・・・
 この論文見ながら、日本の医療保険制度の矛盾点の一つだが多薬剤ほど診療報酬減ぜられる不思議が頭に浮かぶ
「併発症多いほど薬剤必要数多くなる」
「薬剤相互作用など考慮するなど薬剤数多いほど処方に関する技術が求められる」
にもかかわらず、薬剤数多いほど技術料が減らされるのである

「かかりつけ医」「総合診療」推進と国は謳いながら、実際には薬剤数増えざる得ない患者を診るほど技術料減らしているのである・・・「くそ役人」の考えることは浅はか


2016年1月25日月曜日

TPP:今更ながらの懸念

日本内での反TPP議論と一致していると思うので概略を紹介


製薬イノベーションへのTPPの影響
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/ehs-teo012216.php

Research in Social and Administrative Pharmacy (RSAP)の考察的コメント
合意の主要コンポーネントの枝葉、特に世界的薬品産業への影響について


3つの議論
・製薬価格の引き上げ:特に低所得国へのネガティブな影響大
・参加各国の健康施策により大規模多国籍製薬会社経済医療へ影響を与えたとして係争の種をばらまくこととなる 
・多国籍製薬企業はネゴシエーションの中で、過度の保護貿易への影響を受け、ネゴシエーション的地位は各国公衆衛生と対立する

ISDSへの懸念、オーストラリア・ニュージーランドなどの国々から薬品低価格化維持希望とする各国からの圧力があるとするが、逆に、これらの国の薬剤行政を危うくする可能性あり、影響少なからず


Freeman教授(f the Department of Pharmacy Practice and Administration at The University of Maryland Eastern Shore, Princess Anne, Maryland, USA)の結論は、TPP参加各国の医療へのインパクトは、実に公衆衛生的懸念であり、TPPのようは貿易上の一致項目は公衆衛生上のアウトカムの主題とはならない、最終一致において十分な考察がなされるだろうなんて非現実的であるとしている。




担当大臣の政治的スキャンダル、米国の議会・大統領選挙、参加各国国民の反対運動など、流動的な印象を受ける。そもそも、多国籍企業や輸出・輸入業者の一部に利益性があるだけでさほど日本国民に利益性があるとは渡しには思えないのだが・・・


年々力をもつ巨大寡占的国際製薬および医療機器企業の政治力が各国医療行政の権利侵害するルール


地上レベルオゾン慢性暴露:大規模前向き研究で全原因、心血管系、呼吸器系死亡リスク増加判明

対流圏オゾンは心血管疾患リスクや早死に関連する可能性があるが、オゾンの長期的疫学研究は乏しく、結論づけ困難。
長期大気オゾン暴露と全原因死亡・原因特異的死亡率を米国大規模成人コホートで検討


結論は、大規模前向き研究から、長期待機オゾン暴露は呼吸器系、循環器系死亡率リスクに関与

オゾンレベルが 10 ppb増える毎、糖尿病死亡リスク 16%増加、COPD死亡リスク 14%増加




Long-Term Ozone Exposure and Mortality in a Large Prospective Study
Michelle C Turner, et. al.
Am J Respir Crit Care Med. First published online 17 Dec 2015 as DOI: 10.1164/rccm.201508-1633OC
Read More: http://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201508-1633OC



対象:1982年登録の Cancer Prevention Study-II 被検 669,046名解析、内 237,201死亡 (2004年から)、Hierarchical Bayesian Space Time Modelから被検居住地域のオゾン濃度推定
方法:PM2.5、NO2 濃度推定は、land-use regressionから求める
Cox比例ハザード回帰モデルを個別・経済レベル共役要素補正後死亡率のため用いる

測定項目と結果
単一汚染物質モデルだと、オゾン、PM2.5、NO2と全原因・原因別死亡率で正相関認める

PM2.5補正2汚染物質モデルだと、オゾンと全原因死亡率 (HR per 10 ppb = 1.02, 95% CI 1.01-1.04)と、循環器系死亡率(HR = 1.03, 95% CI 1.01-1.05),、呼吸器系死亡率(HR = 1.12, 95% CI 1.08-1.16) の有意な正相関認める、NO2補正モデルでは変化無し

多汚染物質モデルで、PM2.5とNO2との死亡率正相関認める
呼吸器系疾患既往ない症例での呼吸器系死亡率との関連性が特に目立ち、呼吸器系疾患発症・急性増悪と関連する可能性が強く示唆される



CPS-II( American Cancer Society Cancer Prevention Study II )解析でも、オゾンと呼吸器系死亡率の関連性示されている
http://www.cancer.org/research/researchtopreventcancer/currentcancerpreventionstudies/cancer-prevention-study




15分程度の短期的閾値のみ記載
http://www.cdc.gov/niosh/pel88/10028-15.html


長期的影響を無視した基準となっているのでは?
 ↓
オゾン許容濃度・基準など

http://o3.kalmor.jp/technology/page7.html






交通大気汚染(NOx、PM10):1歳未満の暴露が16歳での肺機能低下に相関



Early-Life Exposure to Traffic-related Air Pollutin Jon and Lung Function in Adolescence
Erica S. Schultz, et. al.
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 193, No. 2 (2016), pp. 171-177.

生まれてから1年間の交通大気汚染暴露はその後16歳での一秒量に影響を与える
NOx濃度 10 μg/m3あたり -15.8 mL (95% 信頼区間 [CI], -33.6 to 2.0) 減少し、男児で特に著明 (−30.4 ml; 95% CI, −59.1 to −1.7)で、妊娠・新生児中の母体への喫煙に関連せず


それ以降の暴露での付加的ネガティブな影響は認めず


生まれて1歳以下での高暴露はFEV1、FVCにおけるLLN(z-score < -1.64 SD定義)未満オッズ比と相関:3.8 (95% CI, 1.3–10.9)、4.3 (95% CI, 1.2–15.0),

PM10の結果もNOxと同様


重症喘息:自然免疫生体防御活性が低下 BAL中SP-D濃度低下

血中・気管支肺胞洗浄液(BAL)中のSP-D(surfactant protein D)の濃度測定

SP-Dは、自然免疫防御の必須構成要素


重症喘息では自然免疫生体防御活性が低下する。即ち、BALのSP-D濃度低下し、気道好中球とともに存在する細菌の存在しやすくなる。



Airway surfactant protein D (SP-D) deficiency in adults with severe asthma
Rose-Marie A. Mackay, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.012

健康対照者(n=10)・軽症喘息(n=22)症例と比較して、BALのSP-D値は、重症喘息症例(n=28)で、有意低下 (p < 0.001)。
血中SP-Dは健康対照者・軽症喘息症例と比較して、重症喘息で増加 (p< 0.001)
BAL/血中比は、重症喘息で低下  (p< 0.001)

BAL誘導SP-Dの減少は、血中・SP-Dのdegraded fragment増加、BAL好中球・LPS値増加と関連









コレクチンは,コラーゲン様ドメインとC型レクチンドメインを有するハイブリッドタンパク質で,分泌型コレクチンとしては,肺コレクチンのSP-AとSP-Dおよびマンノース結合タンパク質(MBL)がこれに属する.
肺コレクチンは,肺サーファクタントの構成成分である.
・・・
生体防御レクチンとして機能するコレクチンは,自然免疫を構成する重要な因子の一つである.自然免疫は,病原微生物に存在する特有の分子パターンを認識することによって自己と非自己を区別して排除し,生体を守る最も基本的な生体防御機構である.
パターン認識分子として,リポ多糖(LPS)やペプチドグリカン(PGN)などの病原微生物構成成分(pathogen-associatedmolecularpatterns,PAMPs)を識別するCD14やToll様受容体(TLR)およびレクチンがある.
CD14やTLRはともにエンドトキシン受容体(pathogenreceptor)として機能し,エンドトキシン惹起細胞応答のシグナル伝達に必須な分子で,パターン認識受容体と呼ばれている.気道・肺胞系の呼吸器は外界に開放しており,病原微生物侵入の危険に常に曝されているので,肺コレクチンのSP-AとSP-Dが担う自然免疫生体防御はきわめて重要である.

"SP-AはTLR4/MD-2発現細胞に対するsmooth LPSの結合を阻止し、LPS惹起炎症を抑制した。SP-Aの機能ドメインは糖鎖認識領域(CRD)であるが、コラーゲン様領域を除去した CRF(collagenase-resistant fragment)は、TLR4に対する結合親和性が著明に低下しており、LPS惹起炎症抑制効果も認められなかったので、18量体からなるSP-Aの多 量体構造が機能発現に重要"である一方、"SP-Dは、LPS惹起炎症反応を挿制することが示されたが、SP-Aと異なり、血清型の異なるsmooth LPSとrough LPS両者の惹起する炎症を抑制"


閉塞型無呼吸CPAP治療疑似動物実験:間歇的低酸素血症暴露による心血管組織変化とその可逆性

間欠性低酸素血症が、心血管死亡・合併症への主たる障害要素だろう
閉塞型無呼吸へのCPAP治療は、心血管リスク減少指せる可能性あるも、間欠性低酸素血症排除後心血管リモデリングの可逆性存在するかのエビデンスなかった

C57BL6マウスに6週間の間欠性低酸素血症暴露とその後正常動脈血6週間暴露研究



Intermittent Hypoxia-Induced Cardiovascular Remodeling is Reversed by Normoxia in A Mouse Model of Sleep Apnea
A.L. Castro-Grattoni ,et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.010


大動脈拡大リモデリングが間欠性低酸素により生じ、内中膜複合体肥厚を伴い、内腔外周変化を伴わない

間欠性低酸素により、断裂繊維の両端間の弾性繊維ネットワークdisorganization、fragmentation、estrangement増加。

細胞外マトリックスturnover変化はコラーゲンやムコイドの層内蓄積により可視化された

さらに、左室血管周囲線維化も間欠性低酸素により増加する。一方、心臓の心筋細胞は影響を受けない。
CPAP治療疑似化した正常酸素血症回復後低酸素による心血管リモデリングイベントは正常化する




OSA患者・高血圧においてnCPAPは確かに降圧効果あるもののその効果は軽度。だが、組織学的変化改善効果はあるようだ。となると、非可逆性変化を生じないうちに、早期OSA改善が必要となる・・・

特発性肺線維症:システミックレビュー・ネットワークメタアナリシス:プレスパ・オフェブともに厳しい評価

2014年8月以前の研究のランダム化評価のシステミックレビュー・ネットワークメタアナリシス

なかなか手厳しい結果


単独治療16種類の30研究を登録レビュー

fixed effectモデル、random effectモデルとも、プラシーボより優れた呼吸器疾患死亡率改善効果認めたものなし
全原因死亡率においてピルフェニドンとニンテナビブは、fixed effect modelにおける帰無仮説境界を軽度またぐ効果あり
注目すべきは、呼吸器特異的死亡率、全原因死亡率、FVC予測比において両薬剤とも明確で、クリアなアドバンテージ認めず


Drug Therapy for Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Systematic Review and Network Meta-Analysis
W. Canestaro, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.013



2016年1月23日土曜日

食事と睡眠の関係:食物線維多いほど、糖少ないほど徐波睡眠増加、飽和脂肪酸は徐波睡眠妨害、糖は夜間覚醒増加

機序に関するところまでは踏み込めてないらしい


食物線維多ければ徐波睡眠時間増加する
一方、飽和多価脂肪酸比率増加するほど徐波睡眠低下する
糖を多く摂取するほど、夜間覚醒多い




66名の正常体重被検者(30-45歳)、7から9時間の睡眠習慣
ランダム化交差入院研究:短時間4時間と習慣的睡眠9時間の5日2相研究

初期4日間は、被検者はコントロール下の食事を摂取し、5日目は自己選択


Fiber and Saturated Fat Are Associated with Sleep Arousals and Slow Wave Sleep
St-Onge MP, et. al.

睡眠時間は、コントロールされた下での食事とアドリブ食で比較し差を認めない 
アドリブ食後の睡眠では、徐波睡眠少なく (SWS, P = 0.0430) 、睡眠onset latency長くなる  (P = 0.0085)

食物線維多いとStage 1が短く  (P = 0.0198) 、 SWS 多くなる(P = 0.0286)

飽和脂肪酸由来のパーセンテージは、SWS減少と関連 P = 0.0422)

糖からの総エネルギー中比率は睡眠覚醒と相関(P = 0.0320)し、糖と食物線維とされない他の炭水化物からの総エネルギー中の比率と睡眠覚醒も相関(0.0481)

2016年1月22日金曜日

悪性胸水の時間的推移:次第に蛋白量、pH低下 中皮腫はブドウ糖低下急峻、MCP-1の低下めだつ

確かに、悪性胸水、がん性胸水の時間推移検討は乏しい

638のmalignant pleural effusion (MPE)の95(中央値、 range 0-735)日間の推移検討


Longitudinal Measurement of Pleural Fluid Biochemistry and Cytokines in Malignant Pleural Effusions
Rajesh Thomas,  et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.01.001
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2484447


経過と共に胸水中
・蛋白有意減少 8g/L/100days (SE 1.32; p<0 .0001="" br="" nbsp="">・pH減少 (0.04/100days, SE 0.02; p=0.0203)
だが、LDH増加は非有意

・胸水/血中蛋白比減少  0.06/100days (SE 0.02; p=0.04)

中皮腫MPE(n=63)では、非中皮腫胸水(n=38)に比べ、胸水中ブドウ糖ベースラインで低下 (p=0.0104)し、さらに低下速度大(p=0.0423)

中皮腫MSEでは、Log (MCP-1) (Log 0.37 pg/ml/100days, SE 0.13; p=0.0046)という進行性増加がみられるが、他のサイト間では観察されなかった


Goldman-Cecil Medicineをみて教科書的まとめ
・滲出性胸水の2番目の原因は悪性胸水、まれながら漏出液正常も存在する
・肺癌が最も原因として多く、乳がん、卵巣癌、胃癌、リンパ腫と原因は続く
・良性胸水の原因として最も多いのは無気肺、閉塞性肺炎後、低アルブミン血症、肺塞栓、リンパ管閉塞、放射線治療後、化学療法後
・MPEは1回目の穿刺での診断確定確率60%、繰り返しで80%、最終的にはthoracoscopy必要

胸水:滲出液特性
蛋白 胸水/血液比 > 0.5
LDH 胸水/血液比 >0.6
胸水LDH 血中正常上限 2/3 超

pH 7.2未満:膿胸、悪性、食道破裂、リウマチ性、ループス、結核
ブドウ糖 60mg/dL未満:感染、リウマチ性、結核性・ループス性、食道破裂
アミラーゼ 200μg/dL超:膵疾患、食道破裂、悪性、外妊
RF、抗核抗体、LE細胞:膠原病
補体低下:SLE、関節リウマチ
RBC >5000/μL : 外傷、悪性、塞栓
乳び胸水(TG>100 mg/dL) : 結核、胸腔管腔臓器損傷
細胞診:悪性
ADA (>50 μg/L) : 結核


中皮腫バイオマーカーとして、fibulin-3について記載

2016年1月21日木曜日

小中学校に飲水装置を完備すると子供の肥満防止になる


カロリーのある飲料を、同時に飲水増加させると、子供の健康や肥満頻度を減少させることができるか?

quasi-experiment : 準実験として、学校にwater jet導入



Effect of a School-Based Water Intervention on Child Body Mass Index and Obesity
Amy Ellen Schwartz, et. al.
JAMA Pediatr. Published online January 19, 2016.



ニューヨーク公立小学校・中学校の1,065,562名

water jetの標準化BMIへの有意な影響あり標準化BMIに関して男児  0.025 (95% CI, −0.038 〜 −00.011) 、女児  0.022 (95% CI, −0.035 〜 −0.008)の減少 s (P <    0.01)

体重過多となることへの効果も存在

water jetは、男児 体重過多 0.9% (95% CI, 00.015-0.003)ポイント減少、女児 体重過多 0.6% (95% CI, 00.011-0.000)ポイント減少(P <  0.05)


1人あたりのミルクhalf-pint(牛乳パック)の購入総数年間で12.3 (95% CI, −19.371 to −5.204)減少  (P <  0.01)



結腸癌予後要素:caudal-type homeobox transcription factor 2 (CDX2)

Stage II、IIIの結腸癌に関して、遺伝子発現特性による層別化治療に繋がる知見?


ブーリアン(論理型)ロジックに基づくbioinformaticsを採用し、調整遺伝子検出に用いた方法、caudal-type homeobox transcription factor 2 (CDX2) を成熟結腸上皮組織の候補バイオマーカーとして同定


このバイオマーカーと、5年無再発生存率とアジュバント化学療法のベネフィット検討

CDX2 as a Prognostic Biomarker in Stage II and Stage III Colon Cancer
Piero Dalerba, et. al.
N Engl J Med 2016; 374:211-222January 21, 2016


腫瘍サンプル2115のうち87、4.1%のCDX2発現欠損

5年間無再発生存率
CDX2-陰性:6.9%(n=32) vs CDX2陽性 93.1%(n=434)
(疾患再発ハザード比, 3.44; 95% 信頼区間 [CI], 1.60 〜 7.38; P=0.002)

validation data set、314名を含む、5年無再発生存は CDX2陰性 12.1%(n=38) vs CDX2陽性 87.9% (n=276)(ハザード比, 2.42; 95% CI, 1.36 〜 4.29; P=0.003)


これら両群とも患者年齢、性別、腫瘍stage、gradeに独立した所見





stage II癌患者において、5年間無再発生存率差は、discovery data setとvalidation data setとも有意に差がある・discovery data set (CDX2-陰性 15名中 49% vs. CDX2-陽性 191名中 87% , P=0.003)
・validation data set (CDX2-陰性 15名中 51% vs. CDX2-陽性 106名中 80% , P=0.004)

全ての患者コホートのpooledデータベースで、stage II CDX2-陰性症例では、adjuvant化学療法施行してない患者25名よりアジュバント化学療法受けた患者23名で生存率高い  (91% vs. 56%, P=0.006)


オピオイド作用薬剤 エルクサドリンの下痢型過敏性腸症候群トライアル

下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)治療薬 Viberzi(一般名:エルクサドリン)、Xifaxan(一般名:リファキシミン)はFDA承認されている。

エルクサドリンは、オピオイド効果(μ-、κ-オピオイド受容体アゴニスト、 δ-オピオイド状態アンタゴニスト)を有する新規経口薬剤


IBS-3002トライアル:26週間、 IBS-3001トライアル:52週間の投与量 75mg×2 vs プラシーボ比較治験

プライマリエンドポイントは腹痛の減少効果と便の硬度改善組み合わせで1週目から12週、1週目から26週の最小50日改善比率



Eluxadoline for Irritable Bowel Syndrome with Diarrhea
Anthony J. Lembo, et. al.
N Engl J Med 2016; 374:242-253January 21, 2016

1週目から12週目まで、エルクサドリン (75 mg 及び 100 mg) 群はプラシーボよりプライマリエンドポイント到達比率高い
IBS-3001 trial:75-mg dose 23.9% 、100-mg dose  25.1% vs. プラシーボ 17.1% ; P=0.01 and P=0.004
IBS-3002 trial:28.9% 、 29.6% vs. 16.2%; P<0 .001="" both="" br="" comparisons="" for="">
1週目から26週目、それぞれ 
IBS-3001: 23.4% 、29.3% versus 19.0% (P=0.11 and P<0 .001="" br="">IBS-3002: 30.4% 、32.7% versus 20.2% (P=0.001 and P<0 .001="" br="">

最頻副作用は吐気で、 75mg 8.1%、100mg 7.5% vs プラシーボ 2.5%
続いて、腹痛 5.8%、7.5% vs プラシーボ 5.1%、便秘 7.4%、 8.6% vs プラシーボ 2.5%、腹痛 5.8%、7.2% vs プラシーボ 4.1%

膵炎発症 75mg 2例、 100 mg 3例


オピオイド受容体
http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?オピオイド受容体

2016年1月20日水曜日

担がん患者終末期死亡場所、医療状況、入院費用:7先進国比較

病院死を議論するときに問題になるのは、病院と在宅の中間をどう評価しているかにより数値指標に影響があるということ


ホスピスなどの施設整備が充実していれば、がんの病院死は少なくなるだろう。そして在宅周辺環境が整っていれば・・・


先進国病院死の比較状況報告


医療費に関して言えば、カナダ・ノルウェーのような終末期医療費の高い国と、イギリス・オランダのような低い国と その中間に分けられる

医療費高くても、病院での死を選ぶ、カナダ・ノルウェー、特に北欧であるノルウェーは在宅介護充実しているという朝日新聞の喧伝からは意外。




Comparison of Site of Death, Health Care Utilization, and Hospital Expenditures for Patients Dying With Cancer in 7 Developed Countries
Justin E. Bekelman, et. al.; for the International Consortium for End-of-Life Research (ICELR)
JAMA. 2016;315(3):272-283. doi:10.1001/jama.2015.18603.


米国(65歳超死者コホート, n=211,616)、オランダ(n=7,216)が最も病院死少ない(それぞれ 22.2%、29.4%)


ベルギー、カナダ、英国、ドイツ、ノルウェーでは病院死の比率が高く、それぞれ 51.2%(n=21,054)、52.1%(n=20,818)、41.7%(n=97,099)、38.3%(n=24,434)、44.7%(n=6,636)

死亡前180日間において、米国の死亡者の40.3%ではICU入室あり、他国では18%未満。


死亡前180日間において、人頭あたり平均病院医療費は、カナダ、ノルウェー、米国で高く、それぞれ 21, 840、19 ,783 、18 ,500 米国ドル
中間は、ドイツ 16 221米ドル、ベルギー 15 699 米ドル
最小は、オランダ 10, 936 米ドル、イギリス 9,342 米ドル




二次解析でも同様



日本でも自宅死は増えているようだが、かなり少ない



都市部のめぐまれた地域で政策を作ってる役人や政治家の妄想で在宅診療の考想がねられている。地域毎の事情・実情など無視して厚生行政作るからニーズに応じられない。

にもかかわらず、役人・政治家は、都道府県を平準化しようとしている愚策を弄する状況

田舎に在住している身から考えれば、在宅療養というのはかなり恵まれた地域・家庭環境の特殊なお話。一般的には子供たちは遠隔都市部に住み、老々世帯が多い。それだけでなく、訪問診療をかなり嫌う地域も存在する。実際、訪問診療のニーズかなり乏しい。
患者の来院厳しく訪問診療を約束して居宅に向かったところ、玄関に家族に仁王立ちされてまるで押し売りに対する対応をとられたこと・・・数回

一開業医は 今までの苦い経験から在宅診療に対してやる気が起きない・・・




前向きコホート:果物・野菜

果物・野菜なら何でも良いというわけではなさそうだ・・・
この研究では、野菜摂取増加すれば高血圧発生頻度抑えられるとは言えない



Epidemiology/Population
Fruit and Vegetable Consumption and the Incidence of Hypertension in Three Prospective Cohort Studies
Lea Borgi ,et. al.
Hypertension. 2016; 67: 288-293


前向き調査による、果物(ジュース除外)と野菜摂取全量、全ての果物・野菜の消費量と、3つの縦軸コホート研究(Nurses’ Health Study (n=62 175)、 Nurses’ Health Study II (n=88 475)、Health Professionals Follow–up Study (n=36 803))における高血圧発生率の独立性調査。


結果は、果物のかなりの長期間の摂取量と、消費量増加が、高血圧発症リスクを減少するかもしれないと報告
・野菜・果物消費量を高血圧リスク要素補正後ハザード比と95%信頼区間計算
・週4サービング以下の摂取量と比較し、4サービング以上でのプール化ハザード比は、総果物摂取量では 0.92(0.87–0.97)、総野菜摂取量では  0.95(0.86–1.04)
・同様に、果物もしくは野菜消費量増加しない被検者と比較し、週7サービング以上増加の場合プール化ハザード比は、総果物摂取量では 0.94(0.90–0.97) 、総野菜摂取量では0.98(0.94–1.01)





・果物と野菜の個別的解析では異なる結果を生じている
・ブロッコリー、ニンジン、豆腐、ダイズ、レーズン、リンゴの消費量週4サービング以上では、それら総量週あたり1サービング未満に比べ、血圧リスク減少と相関する











トクホ前提の提出研究の摩訶不思議

血圧対策が出来るトクホ(特定保健用食品)のおしょうゆ
http://xn----u8t5hu57idsjxy5e8g1a.net/k_m_dps.html

としながら・・・

「特定保健用食品の評価書」では、効果ではなく、安全だと記載しているに過ぎない。
これって・・・詐欺じゃないの?
https://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc10_nf40_mamechikara_240119.pdf



前述の報告のように、果物野菜の総量でやっと評価できるほどの効果しか無いのに、特定の食品だけで降圧効果を期待すること自体が間違えている。厚労省は担当省庁なのに国民に謝ったメッセージを与えている・・・クソ役所

2016年1月19日火曜日

高齢者入院患者へのHMB含有高カロリー経口栄養サプリメントの効果 死亡率減少


65歳以上入院高齢者は栄養不良高リスクであり、その後の臨床的・経済的アウトカムに強く影響を与え、死亡率や非待機的入院リスクを高める可能性がある


3-ヒドロキシイソ吉草酸β-Hydroxy β-MethylButyrateを含む、HP-HMB(高カロリー経口栄養サプリメント)の栄養不良、入院高齢者へ投与評価


Readmission and mortality in malnourished, older, hospitalized adults treated with a specialized oral nutritional supplement: A randomized clinical trial
Nicolaas E. Deutz, et. al. on behalf of the NOURISH Study Group
Clinical Nutrition xxx (2015) 1e9
http://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(15)00348-9/pdf



プライマリ複合エンドポイント(退院90日時点死亡・非待機的再入院)は、HP-HMB (26.8%)群、プラシーボ群 (31.1%)で同等


退院90日時点再入院での群間差は認めないが、90日時点死亡率はプラシーボに比べHP-HMB()群で相対的に少ない (4.8% vs. 9.7%; relative risk 0.49, 95% 信頼区間 [CI], 0.27 to 0.90; p = 0.018)





1つの死亡イベントを予防するために治療必要数(NNT-死亡)は20.3 (95% CI: 10.9, 121.4)

プラシーボ比較し、HP-HMBは、90日目の良好な栄養状態比率増加オッズ比改善  (SGA class, OR, 2.04, 95% CI: 1.28, 3.25, p = 0.009)
30日目の体重増加オッズ改善  (p = 0.035)



入院期間(LOS)やADLは、両群同等




入院での栄養介入エビデンスとなるのか?


入院急性期での栄養介入エビデンスに疑念があるため失地回復のための知見構築が必要と思う

入院栄養指導管理の意味は未だ確定的でない H27.12.22



身体運動:不活発に比べれば、やり過ぎの方がマシ


先進国の殆どの国民は運動由来の潜在的有害性を懸念する必要は無く、運動不足に起因するリスクを懸念すべき。

Press release:
Regular exercise critical for heart health, longevity 
 American College of Cardiology Sports and Exercise Cardiology Council
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/acoc-rec011416.php 



定期的運動習慣は、心血管死亡リスクを減少させるが、米国の半数しか中強度運動週150分間もしくは高強度運動75分を満たしてない
一方、やり過ぎと思われる、耐久レース参加者への心血管リスク増加懸念に関心が向けられてきた。中等度運動までは死亡率低下効果満たすが一定レベルで死亡率ベネフィット減少が認められる。その上限値のエビデンスはなく、身体不活発に比べ心血管死亡率劣ると言うことはない


Exercise at the Extremes
The Amount of Exercise to Reduce Cardiovascular Events
J Am Coll Cardiol. 2016;67(3):316-329.




ランニング10km/時間×週5.5日程度だから週60METs程度か・・・ やり過ぎか ?

2016年1月18日月曜日

COPDスコア:COPD急性増悪の院内・30日内死亡率推定

COPD急性増悪(AECOPD)による入院は発生率高く、死亡予後とも関連する
指標としてのDECAFスコアのよごパフォーマンス評価






Validation of the DECAF score to predict hospital mortality in acute exacerbations of COPD
C Eehevarria,  et. al.
Thorax 2016;71:133-140 doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207775
内的・外的評価コホートそれぞれ880、845

平均年齢 73.1 (SD 10.3)歳、女性 54.3%、FEV1予測推定値 平均 (SD) FEV1 45.5 (18.3)

死亡率 7.7%

院内死亡率 DECAFの曲線下面積(AUROC) 内的評価コホート 0.83 (95% CI 0.78 to 0.87)、 外的評価コホート 0.82 (95% CI 0.77 to 0.87) 院内もしくは30日内死亡率の予後スコアとして他指標より優越



eMRCD score : 最近3ヶ月で、もっとも最良と感じたときに、以下の文言で最も自分の息切れのレベルを言い当ててるのはどれか?
激しい運動の時のみ息切れ 1
軽度坂道を急ぎ歩く時 2
一緒に歩く人より歩行速度が遅い、あるいは、15分歩くと止まる 3
100m歩行後、あるいは数分歩行後、息が上がり止まる 4
息切れのため1人では家を離れられないが、入浴・着替えは自分でできる 5a
息切れのため1人では家を離れられないし、入浴・着替えに補助必要 5b



例えば、eMRCD3より悪化し、eMRCD 4ほど悪化してない場合は、eMRCD 3と記述




DECAF score
D eMRCD5aなら 、 eMRCD5bなら E Eosinopenia (好酸球 < 0.05 x 109/L ) C Consolidation A Moderate or severe acidamei (pH < 7.3) F 心房細動(p.a.f. 既往を含め) 


COPD:血中好酸球比率2%:ICS/LABAによる急性増悪減少効果指標?

FP/SALというICS/LABA合剤のレビュー

血中好酸球2%以上がICS治療の急性増悪減少と関連するか?



Blood eosinophils and inhaled corticosteroid/long-acting β-2 agonist efficacy in COPD
Ian D Pavord, et. al.
Thorax 2016;71:118-125 doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207021


好酸球2%以上の患者で、FP/SALは、tiotropiumに比べ有意に急性増悪率減少を示す (INSPIRE: n=719, rate ratio (RR)=0.75, 95% CI 0.60 to 0.92, p=0.006)、同様プラシーボ比較でも同様
 (TRISTAN: n=1049, RR=0.63, 95% CI 0.50 to 0.79, p<0 .001="" br="">

好酸球 2%未満では、いずれでも有意差なし (INSPIRE: n=550, RR=1.18, 95% CI 0.92 to 1.51, p=0.186; TRISTAN: n=354, RR=0.99, 95% CI 0.67 to 1.47, p=0.957, respectively)




SCO30002 (n=373)でも、有意差無し (FP or FP/SAL vs placebo)

好酸球サブグループと、FEV1とSGRQ治療効果判定に関連性認めず

2016年1月15日金曜日

クラリスロマイシンと心筋梗塞、不整脈、心臓突然死の関連性 長期影響はないが・・・

住民ベースの観察研究なので、レベルの高いエビデンスというわけでもない 潜在的寄与要素があるのかもしれない

よりfrailなひとにクラリスロマイシン(CAM)投与好まれるかもしれない、実際、COPD、糖尿病、肝疾患、CHD、心不全でその比率が高いという潜在的要素
QT延長、TdTなどへの影響では説明不能で、関連するとした何らかのメカニズムが考察されなければならない


Cardiovascular outcomes associated with use of clarithromycin: population based study
Angel Y S Wong, et. al.
BMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6926 (Published 14 January 2016)

住民ベース研究、香港、2005-2009年、経口クラリスロマイシン、アモキシシリン投与された18歳以上の成人の心血管アウトカム比較
5年内年齢、性、服用時カレンダー年齢に基づき、クラリスロマイシン使用者を1つもしくは2つのアモキシシリン使用者とマッチ化
コホート解析にはクラリスロマイシン  (n=108 988) or アモキシシリン (n=217 793)使用者を含む

自家対照症例と症例交差解析にはクラリスロマイシンを含むHピロリ除菌治療を含む

プライマリ・アウトカムは心筋梗塞
セカンダリ・アウトカムは全原因、心臓、非心臓死亡率、不整脈、卒中

抗生剤開始後14日間のPropensityスコア補正心筋梗塞発生率比  3.66 (95% 信頼区間 2.82 to 4.76)
 clarithromycin use (132 events, rate 44.4 per 1000 person years)  
 amoxicillin use (149 events, 19.2 per 1000 person years)
長期リスク増加は見られない


同様に、セカンダリアウトカムは現行クラリスロマイシン使用(vs. アモキシシリン)にて卒中以外発生率比有意増加見られる


自家対照症例解析にて、クラリスロマイシンを含むHピロリ除菌治療と心血管イベントの相関認める
治療終了後リスクはベースラインに戻る


症例交差解析にて、Hピロリ除菌治療・クラリスロマイシン現行使用下心血管イベントリスク増加認めた
補正絶対差は、心筋梗塞超過イベント1.90/1千名(95%信頼区間 1.30〜2.68)






Fig 3 Incidence rate ratio functions of myocardial infarction estimated by non-parametric self controlled case series method and 95% confidence bands

【剖検脳】睡眠断片化は細動脈硬化・皮質下梗塞と関連 アミロイド血管障害やアテローム硬化とは直接関連性見いだせず

因果律の証明ってわけではない 現象記述の一つと思う

様々な睡眠断片化は卒中と関連するが、睡眠と脳血管疾患病理組織学との関連性を研究した報告の数は乏しい。そのため睡眠断片化が剖検脳での脳血管や梗塞病理と関連するという仮説の検討


高度睡眠断片化は、より重度な細動脈硬化と相関 (オッズ比, 1.27; 95% 信頼区間, 1.02–1.59; P=0.03 per 1 SD greater sleep fragmentation)
そして、皮質下マクロ確認梗塞の数と相関  (オッズ比, 1.31; 95% 信頼区間, 1.01–1.68; P=0.04)
この関連性は心血管リスク要素と疾患、いくつかの医学的合併症と独立したもの



睡眠断片化は、アテローム硬化やアミロイド血管障害とは関連していないなど全般に関わる物でなく、細動脈や皮質下梗塞と関連に限局した知見であった



Sleep Fragmentation, Cerebral Arteriolosclerosis, and Brain Infarct Pathology in Community-Dwelling Older People
Andrew S.P. Lim, et. al.
STROKEAHA.115.011608Published online before print January 14, 2016




"Sleep fragmentation was assessed biennially by actigraphy using the Actical (Phillips Respironics, Bend, OR). This is a wrist-worn accelerometer that records an activity count for every 15-second period."ということから、「睡眠断片化」は脳波による測定ではなく、非EEG評価


Rechtschaffen, A., and A. Kales. 1968. A Manual of Standardized Terminology, Techniques and Scoring System for Sleep Stages of Human Subjects. National Institutes of Health, Washington, DC. Publication No. 204. 

2016年1月14日木曜日

C. difficileに対する凍結糞便移植は、対新鮮糞便移植と比べ、非劣性効果

興味本位の話題にとどまってしまうと問題

Clostridium difficile感染治療として、Fecal microbiota transplantation(FMT)、糞便移植の効果に期待がかかる


frozen-and-thawed (frozen, experimental) FMT vs 新鮮(標準)FMTの比較

反復治療不応性CDI非劣性、安全性検討


Frozen vs Fresh Fecal Microbiota Transplantation and Clinical Resolution of Diarrhea in Patients With Recurrent Clostridium difficile Infection
A Randomized Clinical Trial
Christine H. Lee, et. al.
JAMA. 2016;315(2):142-149.
【介入】 ランダム割り付け 凍結 (n = 114) or 新鮮 (n = 118) FMT :経直腸

【主要アウトカム・測定項目】
プライマリアウトカム:13週間時点でも再発無し下痢臨床的改善と副事象イベント
非劣性限界15%と設定

【結果】
mITT 219名、凍結FMT群 108、 新鮮FMT群 111例
per-protocol、凍結 FMT 91、新鮮FMT 87

per-protocolで、臨床的改善率は、凍結FMT群 83.5%、 新鮮FMT群 85.1%
 (difference, −1.6% [95% CI, –10.5% to ∞]; P = .01 for noninferiority)

 mITTでは、凍結FMT群 75.0%、 新鮮FMT群 70.3%
 (difference, 4.7% [95% CI, –5.2% to ∞]; P < .001 for noninferiority)

副作用・重症副作用イベントの群間差無し

REVOLENS研究:重症気腫への気管支鏡によるニチノールコイル挿入 運動耐容能改善するもコストと持続性に課題

重症気腫の治療オプションとしての、nitinol coilによる気管支鏡インターベンションによる局所肺実質容量減少および肺のリコイル回復効果

多施設1:1ランダム化優越性トライアル



Lung Volume Reduction Coil Treatment vs Usual Care in Patients With Severe Emphysema
The REVOLENS Randomized Clinical Trial
Gaëtan Deslée, et. al. ; for the REVOLENS Study Group
JAMA. 2016;315(2):175-184.

【介入】
通常ケア (n = 50) :リハビリテーションと気管支拡張剤±ICS+酸素
両側コイル治療  (n = 50) :通常ケア+付加的治療(約10個コイル/葉、2つの両側肺葉施行、2回施術)

【主要アウトカムと測定項目】
プライマリアウトカム:6ヶ月時点6分間歩行距離での最小54m改善(片側仮説検定)
セカンダリアウトカム:6ヶ月及び12ヶ月時点6分間歩行距離、肺機能、QOL(St George's Respiratory Questionnaire (range, 0-100 ;最善 0、 最悪 100、 MCID 4以上)、合併症、死亡率、総コスト、コスト効果

【結果】
100名の内、男性71、女性29(平均年齢 62歳)
6ヶ月時点での6分間歩行距離64m改善した比率
コイル群 18(36%)、通常ケア群 8(18%)
群間差 18%(片側 95%CI, 4% 〜 無限大; p=0.03)
6ヶ月及び12ヶ月時点での群間差
・FEV1 +0.09 L (95% CI, 0.05L〜無限大) p=0.001、+0.08 L  (95% CI, 0.03L〜無限大) p=0.002
・6分間歩行距離 21m (95% CI, −4 m〜無限大) (P = .06)、+21 m (95% CI, −5 m 〜無限大) (p =0.12)
・St George's Respiratory Questionaire   −13.4 points (95% CI, −8 points 〜無限大) and −10.6 points (95% CI, −5.8 points t〜無限大)  (片側検定 p < 0.001 for both)
12ヶ月内での死亡 コイル群 4例、 通常ケア群 3例
1年/患者あたり平均総コスト差は、$47,908 (95% CI, $47,879 〜 $48,073) p< 0.001
コスト効果比率 $782,598/付加的QALY
 
【結論と知見】重症気腫予備的6ヶ月間フォローアップ研究結果においてnitinolコイル気管支鏡治療は通常ケアに比べ運動能力改善するも、短期間ではかなりコスト高い。
追加研究が必要:ベネフィットの持続性と長期間コスト影響












http://emjreviews.com/wp-content/uploads/Bronchoscopic-Nitinol-Coil-Implantation-A-New-Lung-Volume-Reduction-Strategy-In-Copd.pdf




2016年1月13日水曜日

セロトニン作動的抗うつ薬と微小脳出血リスク

セロトニン作動抗うつ薬は副作用としての出血イベントリスク増加させる(かつての藤沢製薬のMRが速効否定したが・・・、未だに許せない言動と思う)

抗うつ薬使用とsubclinicalな脳出血の関連性報告未だ認めず、長軸調査で検討したもの




Rotterdam Study、45歳以上住民2559、ベースライン・反復MRI検査で微小出血認めない登録者

2005年から2013年、平均期間3.9[SD 3.9]年間フォローアップスキャンまで検討



Antidepressant Use Is Associated With an Increased Risk of Developing Microbleeds
Saloua Akoudad, et. al.
Stroke.2016; 47: 251-254Published online before print December 10, 2015


抗うつ薬使用は非使用者と比べ脳内微小出血頻度増加と関連 (オッズ比, 2.22; 95% 信頼区間, 1.31–3.76)

セロトニンtransporterとの親和性層別化にて、中間セロトニン親和性抗うつ薬は、微小出血リスク増加と関連 (オッズ比, 3.07; 95% 信頼区間, 1.53–6.17).

SSRIと非選択的SSRIは、ともに、微小出血頻度増加と関連

2016年1月12日火曜日

プロトンポンプ阻害剤(PPI):慢性腎臓病(CKD)発症リスク増加と関連

住民ベースコホートによるPPI使用とCKD発症の相関性定量化



Proton Pump Inhibitor Use and the Risk of Chronic Kidney Disease
Benjamin Lazarus,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online January 11, 2016.


Atherosclerosis Risk in Communities study、10,482名被検者、平均(SD)年齢  63.0 (5.6) 歳、男性43.9%

非使用者に比べPPI使用は白人、肥満、降圧剤処方が多い
PPI使用は非補正解析後のCKD発症ハザード比  [HR], 1.45; 95% CI, 1.11-1.90
住民統計・社会経済・臨床指数補正後 HR, 1.50; 95% CI, 1.14-1.96
時間変位変数モデル化によるPPI使用歴ではadjusted HR, 1.35; 95% CI, 1.17-1.55


ベースラインPPI使用者をH2受容体拮抗剤使用比較で補正HR , 1.39; 95% CI, 1.01-1.9
propensity score-マッチ化対照PPI非使用者比較 HR, 1.76; 95% CI, 1.13-2.74

 Geisinger Health System replication cohortでは、PPI使用でのCKDと関連は、時間推移新規使用デザインを含め全ての解析で、補正HR, 1.24; 95% CI, 1.20-1.28


1日2回PPI投与では1日1回PPI投与より相関性補正HR比高い  (補正 HR, 1.46; 95% CI, 1.28-1.67、1.15; 95% CI, 1.09-1.21)

腰痛予防:腰ベルト・サポータ予防効果無し


整形外科領域というのはまか不思議な指導や介入がなされることが多い

肋骨骨折急性期治療で胸部へのバンドやコルセット固定がデフォルトであるか如く用いられている。国際的に通用しない
e.g. You will not have a belt or a bandage around your chest because these would keep your ribs from moving when you breathe or cough. This may lead to a lung infection (pneumonia).https://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/patientinstructions/000539.htm

肋骨骨折後固定での下気道感染悪化→予後悪化というのはかなり経験している



ところで、腰痛予防的治療に関するシステミック・レビュー&メタアナリシス
指導を伴う運動の効果が一定認められているが、
腰部ベルトや靴ソール介入の予防効果は認められない


腰部ベルトやサポーターというのは医療というより民間療法といった方がよいのかもしれないが・・・


Prevention of Low Back Pain
A Systematic Review and Meta-analysis
Daniel Steffens,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online January 11, 2016.


6133の登録可能性ある文献どうてい、うち23出版報告(21の異なるランダム化臨床トライアル, 30850の個別被検者)をクライテリア一致と判断


中等度品質エビデンスとして指導を伴う運動にてLBPエピソードリスク低下 (0.55 [0.41-0.74])を示し、低品質エビデンスレベルとしても、病欠への影響認めないe (0.74 [0.44-1.26])

指導単独では、中等度から低品質エビデンスともにLBP(1.03 [0.83-1.27]) や病欠e(0.87 [0.47-1.60])へ影響認めず

低および極低品質エビデンスでも腰部ベルトではLBPエピソード(1.01 [0.71-1.44]) へも病欠 (0.87 [0.47-1.60])へも影響与えない

低品質エビデンスでも、shoe insoleの予防効果認めず (1.01 [0.74-1.40])

2016年1月10日日曜日

TEDDY研究:新生児プロビオティック投与はDR3/4ジェノタイプでラ氏島自己免疫リスク減少

継続中の前向きコホート研究


新生児へのプロビオティックサプリメントで、新生児向け形状で摂取



Association of Early Exposure of Probiotics and Islet Autoimmunity in the TEDDY Study
Ulla Uusitalo, et. al. ; for the TEDDY Study Group
JAMA Pediatr. 2016;170(1):20-28.


生まれたてでプロビオティック投与することは、ラ氏島自己免疫リスク減少と関連
27日後のプロビオティックサプリメントと非投与比較:(ハザード比 [HR], 0.66; 95% CI, 0.46-0.94)

相関性は、DR3/4 genotypeを有する小児に関わる (HR, 0.40; 95% CI, 0.21-0.74)
他のsubtypeでは関連性なし  (HR, 0.97; 95% CI, 0.62-1.54)

2016年1月9日土曜日

COPDリハビリテーション・ランダム研究:音楽療法効果



AIR: Advances in Respiration –
Music therapy in the treatment of chronic pulmonary disease
Ronit Azoulay, et. al.
Respiratory Medicine December 2015Volume 109, Issue 12, Pages 1532–1539

ランダム化対照研究は multimodal psycho-music therapy interventionの呼吸器症状、心理的well-being、QOLへのCOPDと他疾患への呼吸リハビリテーション単独と比べ、ミュージック・セラピー+呼吸リハビリテーション比較影響調査

music visualization、wind playing と singingを含む、ミュージック・セラピー群を週毎に提供、標準ケア治療と比較


中等度から重症COPD stage II-IVと同様慢性気道閉塞をもたらす患者 44-88歳(平均70.1歳) (n = 98)

両疾患群をベースライン登録から対照/治療6週後までフォローアップ

Beck Depression Inventory Scale 2nd edition-Fast Screen (BDI-FS)、Chronic Respiratory Questionnaire Self-Reported (CRQ-SR)、Dyspnea Visual Analog Scale (VAS)を比較

music therapyでうつ症状改善 (LS mean −0.2)  (p = 0.007)

CRQ-SRでは、music therapyで呼吸困難(p = 0.01 LS mean 0.5) 、 mastery (p = 0.06 LS mean 0.5) 改善、 疲労改善 (p = 0.01 LS mean 0.3)

VASにて第5-6週間においてmusic therapy群で有意改善 (p < 0.001)


この研究にて、標準呼吸リハビリテーションとmusic therapy 併用は肺疾患マネージメント上効果的modality

ACOS vs 非ACOS COPDのベースライン特性と1年間フォローアップ特性

長時間作用拡張剤の極端な拡張効果などを無視すれば13−15%程度の頻度というのはそうなのかもしれないが・・・それでよいのだろうか? 短期気管支拡張剤反応性を主とするACOSという限定的な意味で・・・


COPDGene研究では phenotypeとして13%とされているが、喘息−COPDオーバーラップ症候群(ACOS)の実態はACOS vs 非ACOS/COPDのベースライン特性とその後の予後を含め未だ明確ではない



Defining the Asthma-COPD Overlap Syndrome in a COPD Cohort
Borja G. Cosio, et. al.
Chest. 2016;149(1):45-52. doi:10.1378/chest.15-1055

COPDとして特性明確な患者コホート、1年間フォローアップ

Major and Minor Criteria Used to Define ACOS
Major Criteria
Minor Criteria
Previous history of asthma
IgE > 100 IU, or
Bronchodilator response to salbutamol > 15% and 400 mL
History of atopy,

2 separated bronchodilator responses to salbutamol > 12% and 200 mL

Blood eosinophils > 5%

ACOS = asthma-COPD overlap syndrome.


COPD患者831名を登録

うち、ACOSクライテリア一致 15%






男性 81.6%
軽症・中等症 67%
ICS投与 63.2%

ベースライン特性に有意差認めず
生存率に関して1年フォローアップ後、非ACOS COPDでは生存率悪化 (p<0 .05="" span="">




ピザパッケージなど撥水・油性製品使用制限をFDAへ要求 

「特定の化学物質の有害性を大げさに報道→政府や現体制批判→革命だ!革命だ!」
「特定の化学物質の有害性を大げさに報道→(偏向的)自然指向→科学性・合理性の否定→偏向的(政治を含む)思想」

・・・ってのにもあきてきた

身近な食品に関わる有害性の話題ってのは上記パターンに陥りやすい・・・冷静な反応を世間一般や行政に求めたい。閾値設定の要求は当然と思うし・・


Paper Box Chemicals No Longer Considered Safe by FDA for Contact With Food
BY NEWS DESK | JANUARY 5, 2016
http://www.foodsafetynews.com/2016/01/paper-box-chemicals-no-longer-considered-safe-by-fda-for-contact-with-food/#.Vo-6Z_krLAV

ほぼ12団体が使用中止を求めた、3つのperfluoroalkyl ethyl containing food-contact substances (FCSs)、これは包装紙・紙板に撥水性・撥油性をもたせるため使用

  • Diethanolamine salts of mono- and bis (1 H, 1 H, 2 H, 2 H perfluoroalkyl) phosphates where the alkyl group is even-numbered in the range C8-C18 and the salts have a fluorine content of 52.4 percent to 54.4 percent as determined on a solids basis
  • Pentanoic acid, 4,4-bis [(gamma-omega-perfluoro-C8-20-alkyl)thio] derivatives, compounds with diethanolamine (CAS Reg. No. 71608-61-2)
  • Perfluoroalkyl substituted phosphate ester acids, ammonium salts formed by the reaction of 2,2-bis[([gamma], [omega]-perfluoro C4-20 alkylthio) methyl]-1,3-propanediol, polyphosphoric acid and ammonium hydroxide
申立書:https://mgtvwjbf.files.wordpress.com/2016/01/food-additive-petition.pdf


Perchlorate: 過塩素酸塩の毒性、胎児・新生児脳への恒久的ダメージなど発達障害への影響、甲状腺への影響ありヨード不足と同じ状況を形成する可能性
We analyzed the documentation supporting FDA’s 2005 decision regarding TOR No. 2005-006 to allow perchlorate in dry food packaging that the agency provided to us in response to NRDC’s Freedom of Information Act (FOIA) Request No. 2014-1324 on April 7, 2014.

FDA: Pizza Boxes Contain Chemicals That Can Damage Your Health
Published: January 8, 2016
http://wjbf.com/2016/01/08/fda-pizza-boxes-contain-chemical-that-can-damage-your-health/

2016年1月8日金曜日

閉塞型睡眠時無呼吸:間歇的低酸素によるCD59の細胞内移行→血管内皮補体損傷へ



閉塞性睡眠時無呼吸患者の血管内皮での炎症に補体阻害因子CD59の細胞表面から細胞内への移行が寄与している可能性がある

Increased internalization of complement inhibitor CD59 may  contribute to endothelial inflammation in obstructive sleep apnea
Memet Emin1, et. al.
Science Translational Medicine  06 Jan 2016:Vol. 8, Issue 320, pp. 320ra1


間歇的低酸素血症により、本来防御的に血管内皮細胞に存在し補体からの損傷を防御していたCD59、これのinterlizationを生じさせ、血管内皮障害的に働く。



CD59抗原は、プロテクチンもしくはMembrane Inhibitor of Reactive Lysis(MIRL)として知られている、分子量18-20kDaのGPI結合型細胞表面タンパクです。CD59分子は、C5b-8もしくはC5b-9複合体に結合し、最終的な膜侵襲複合体(Membrane Attack Complex; MAC)であるC9ポリマーの複合体形成を妨げることで、補体による細胞溶解を防いでいます。CD59分子は、造血系細胞だけでなく、すべての組織の細胞に幅広く発現しています。
https://www.bc-cytometry.com/Data/db_search/CD059.html





http://www.nature.com/nchembio/journal/v8/n9/fig_tab/nchembio.1028_F1.html

アメリカ人のための栄養ガイドライン解説:コレステロールを野放ししているわけではない

世の中、極端すぎる論調が大好きな人が多く、なにやらアメリカの栄養ガイドラインでコレステロールは換算しないとなると、じゃぁいくらでもコレステロール高含有食品とれるんだと・・・テレビやら週刊誌で吹聴しまくる輩が出現し、それをもてはやす風潮と、もともと、スタチン悪者原理主義が・・・誤解が流布されている感がある


JAMAに解説記事



The US Departments of Health and Human Services (DHHS) and Agriculture (USDA)が第8版(2015−2020)アメリカ人のための栄養ガイドライン報告

http://health.gov/dietaryguidelines/2015/guidelines/



US Department of Health and Human Services; US Department of Agriculture. 2015-2020 Dietary Guidelines for Americans
8th ed. Washington, DC: US Dept of Health and Human Services; December 2015. http://www.health.gov/DietaryGuidelines.



その解説・・・

Dietary Guidelines for Americans
Viewpoint  January 07, 2016
Karen B. DeSalvo, et.al.
JAMA. Published online January 07, 2016.

 5 overarching goalと 13 key recommendation

Box.
Guidelines and Supporting Key Recommendations of the 2015-2020 Dietary Guidelines for Americans
Guidelines (Abbreviated)
  • Follow a healthy eating pattern across the life span.
  • Focus on variety, nutrient density, and amount.
  • Limit calories from added sugars and saturated fats and reduce sodium intake.
  • Shift to healthier food and beverage choices.
  • Support healthy eating patterns for all.
Key Recommendations
  • Follow a healthy eating pattern that accounts for all foods and beverages within an appropriate calorie level. A healthy eating pattern includes
    • A variety of vegetables from all of the subgroups—dark green, red and orange, legumes (beans and peas), starchy, and other
    • Fruits, especially whole fruits
    • Grains, at least half of which are whole grains
    • Fat-free or low-fat dairy, including milk, yogurt, cheese, and fortified soy beverages
    • A variety of protein foods, including seafood, lean meats and poultry, eggs, legumes (beans and peas), and nuts, seeds, and soy products
    • Oils
  • A healthy eating pattern limits saturated fats and trans fats, added sugars, and sodium.
  • Key recommendations that are quantitative are provided for several components of the diet of particular public health concern that should be limited.
    • Consume less than 10% of calories per day from added sugars.
    • Consume less than 10% of calories per day from saturated fats.
    • Consume less than 2300 mg/d of sodium.
    • If alcohol is consumed, it should be consumed in moderation—up to 1 drink per day for women and up to 2 drinks per day for men—and only by adults of legal drinking age.
  • The Dietary Guidelines also include a key recommendation to meet the Physical Activity Guidelines for Americans. ↓
    US Department of Health and Human Services. 2008 Physical Activity Guidelines for Americans. Washington, DC: US Dept of Health and Human Services; 2008. ODPHP publication U0036.(pdf)



添加糖からのカロリー
食物や飲料に糖を添加すると、必須栄養素でないカロリーを添加することになる。1日のカロリーの10%未満に添加糖を制限し、カロリー制限内の栄養素や栄養素豊かな食事群、飲料選択に合致する、健康な食事パターンの公衆的到達目標とた。この目標は、国内データから現在US国民の消費カロリーの13%超が添加糖からであることにも由来している。


飽和脂肪酸からのカロリーと食事摂取コレステロール
飽和脂肪酸摂取は1日のカロリーの10%未満に制限。強い・普遍的エビデンスとして、PUFA脂肪酸は心血管疾患イベント・死のリスク減少と相関。2010年Dietary Guidelinesの推奨の鍵は食事コレステロールを300 mg/日内に制限することだったが、2015年度版では含まれてない、これは、 Dietary Guidelinesに定量的制限を与えるほどの適切なエビデンスが存在しないからである。しかし、このガイドラインの変化は、食事性コレステロールがもはや考慮すべきほど重要でないということを示唆しているのではない(原文:However, this change does not suggest that dietary cholesterol is no longer important to consider)。一般に、食事由来コレステロールの高い食品、例えばバター、ソーセージなどは、飽和脂肪酸も多い傾向にある。  Dietary Guidelinesの健康的食事パターンの例として食事中コレステロールは、100-300 mg/日の範囲で制限している。


ナトリウム

専門団体による科学的コンセンサス、例えば、「Institute of Medicine(Institute of Medicine. Sodium Intake in Populations: Assessment of Evidence. Washington, DC: National Academies Press; 2013.)、American Heart Association、Dietary Guidelines Advisory Committees」は、1歳以上のアメリカ人の平均ナトリウム摂取亮は3440 mg/日で、かなり高値で減量すべきとしている。
健康な食事パターンとしてナトリウムを成人・14歳以上では 2300 mg/日未満とし、年齢・性別に応じて適切な Tolerable Upper Intake Level(Institute of Medicine. Dietary Reference Intakes for Water, Potassium, Sodium, Chloride, and Sulfate. Washington, DC: National Academies Press; 2005.)を14歳未満では設定
この推奨は、成人に於けるナトリウム摂取と血圧増加の線形量応答相関を示すエビデンスに基づいている。ナトリウム摂取と心血管疾患の関連性の直接エビデンスは血圧のエビデンスとは一致しない。




2016年1月7日木曜日

Apoptosis inhibitor of macrophage protein(AIM)投与による急性腎不全治療への期待

遅ればせながら・・・メモ


AKIにAIMか・・・


AIM投与による急性腎不全治療につながる革新的成果
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160105/


Apoptosis inhibitor of macrophage protein enhances intraluminal debris clearance and ameliorates acute kidney injury in mice
Satoko Arai, et. al.
Nature Medicine (2016) doi:10.1038/nm.4012



【日本の減税措置と逆のメキシコ】糖加飲料への物品税導入により糖摂取減少


日本のやろうとしている税制とは逆方向のいわゆるSugar tax


明らかに糖化飲料消費を減少させている

低所得世帯ほど糖化飲料の消費多く、低所得世帯の減税にはなるが結果的には健康を害することとなる

メキシコの糖加飲料への物品税(excise tax)10%の効果



Beverage purchases from stores in Mexico under the excise tax on sugar sweetened beverages: observational study
M Arantxa Colchero,et.al.
BMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6704 (Published 06 January 2016)



課税飲料購買量は平均6%減少 (−12 mL/capita/day)し、2014年12月末までには12%ほど減少し減少幅が増大
3つの社会経済クラス群すべてで課税飲料購入減少したが、もっとも影響が大きかったのは低社会経済クラス群で、2014年内で9%平均減少で、2014年12月末までには17%と減少。

税無し飲料購入は4%増加(36 mL/capita/day) 。これは主にボトル化された水




自民・公明・財務省は、加糖飲料まで税金を一部免除して、糖・炭水化物摂取量を増やそうとしているのである

フルコナゾール経口投与は自然流産リスク増加と関連

妊娠中膣カンジダに対して、局所的アゾール系抗真菌薬が1stとして用いられるが、経口フルコナゾールも用いられることがある、妊娠中の経口フルコナゾール使用の流産・死産リスク検討


デンマークの国内コホート研究によると、フルコナゾール経口投与は統計学的有意に自然流産リスク増加をもたらす

Association Between Use of Oral Fluconazole During Pregnancy and Risk of Spontaneous Abortion and Stillbirth
Ditte Mølgaard-Nielsen, et. al.
JAMA. 2016;315(1):58-67. doi:10.1001/jama.2015.17844.


経口フルコナゾール暴露3315名の女性(妊娠期7−22週) 自然流産 147、非暴露マッチ化女性13,246名中 563
フルコナゾール暴露による自然流産リスクは有意増加 (HR, 1.48; 95% CI, 1.23-1.77)

妊娠7週から出産までフルコナゾール暴露5,382名女性のうち、死産 21名、対照 21,506名中 77フルコナゾール暴露と死産の有意相関認めず  (HR, 1.32 [95% CI, 0.82-2.14])

自然流産:局所アゾール系使用を比較:フルコナゾール暴露 2,823名中130 vs 局所アゾール 2,823名中118 (HR, 1.62 [95% CI, 1.26-2.07])死産:フルコナゾール暴露 4301名中20 vs 局所アゾール系 4301名中20 (HR, 1.18 [95% CI, 0.64-2.16])



日本では、妊娠・妊娠可能性のある場合経口ジフルカンは「禁忌」なので・・・


2016年1月6日水曜日

拡張不全心不全:肥満高齢者への運動・食事介入効果

高齢者心不全原因に多い、heart failure with preserved ejection fraction (HFPEF)、即ち、拡張不全心不全。その80%は過体重もしくは肥満

運動不耐がHFPEFの主要症状で、QOL障害の要素

安定病状の拡張不全心不全肥満高齢者において、カロリー制限と好気的運動トレーニングはピーク酸素消費増加させ、食事・運動介入両者する方が付加的効果を示す。
しかしながら、MLHF質問によるQOLに関してはともに効果を示せなかった



Effect of Caloric Restriction or Aerobic Exercise Training on Peak Oxygen Consumption and Quality of Life in Obese Older Patients With Heart Failure With Preserved Ejection Fraction
A Randomized Clinical Trial
Dalane W. Kitzman, et. al.
JAMA. 2016;315(1):36-46.

目的:肥満高齢者HFPEFにおいて、カロリー制限(diet) or 運動トレーニング(exercise)で運動能力・QOLを改善するか?
デザイン:ランダム化、attention-controlled、2×2区分トライアル
2009年2月から2014年11月まで都市部学術医療センターで施行
577名の初期スクリーン被検者のうち、100名の肥満被検者(平均[SD]表記、年齢, 67[5]歳、BMI, 39.3 [5.6]、慢性Stable HFPEFを登録
介入:20週のdiet、exercise、両方;電話調査2週毎からなるattention control
主要アウトカム・測定:運動能力(ピーク酸素消費 :V̇o2, mL/kg/min; co–primary outcome) 、QOL(the Minnesota Living with Heart Failure (MLHF) Questionnaire (score range: 0–105, higher scores indicate worse heart failure–related QOL; co–primary outcome)

被検者 100、Exercise割り付け 26;Diet割り付け 24; 両方割り付け 25; 対照 25
うち、完遂92例
Exercise attendance  84% (SD, 14%)、Diet adherence  99% (SD, 1%)

main effects analysisでは、 peak V̇o2 は、Exercise、Diet介入とも有意に増加
Exercise 1.2 mL/kg body mass/min (95% CI, 0.7 to 1.7), P <0 .001
Diet 1.3 mL/kg body mass/min (95% CI, 0.8 to 1.8), P <0.001

Exercise+Diet併用は付加的効果
peak V̇o2 (joint effect, 2.5 mL/kg/min)

MLHF総スコアでは統計学的有意差両者認めず
main effect:
Exercise, −1 unit [95% CI, −8 to 5], P = .70
Diet, −6 units [95% CI, −12 to 1], P = .08)



peak V̇o2 の変化量は、除脂肪体重の変化と正相関 (r = 0.32; P = .003)
さらに、腿部筋肉量:筋間脂肪比変化と正相関c  (r = 0.27; P = .02)

研究関連重大副事象イベント認めず

体重は、Diet群 7% (7 kg [SD, 1])、Exercise群 3% (4 kg [SD, 1])、Diet+Exercise併用群 10% (11 kg [SD, 1] 、対照群 1% (1 kg [SD, 1])減少











脂肪組織量の増加が炎症、高血圧、インスリン抵抗性、脂質異常を惹起し心臓、動脈、骨格筋機能へ影響を与え、HFPEFの運動能力減少をもたらしたと考える。DXAによる筋肉/周辺脂肪比検査を行うと筋/脂肪比にダイエット・運動が好影響を与えることが示唆された。 運動能力改善のメカニズムとして体組成の変化も考えられる。運動よりダイエットの方がQOL指標改善を示すという他報告あうが、今回の知見でもその傾向が現れている。
HFREFでの減肥手術減量は心不全発症予防し、運動能力を改善するという報告があり、食事量制限による。
トレッドミル運動負荷試験のような体重そのものが負荷として働く場合、体重で除したピーク酸素消費量を指標とすべきだろう。
比較的体重と独立した指標、 V̇o2 reserve、exercise time to exhaustion、workload、 6-minute walk distanceもダイエットにより改善。また、絶対的ピークo2、下肢筋力増加がもたらされる。これは筋肉量減少しても示される所見。


ロコモなど運動ばかり注目・・・恣意性を感じる昨今

HFPEFでも、まずは食事量の制限、できるだけ運動との併用・・・という順番のようだ

noteへ実験的移行

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