2013年1月31日木曜日

NEJM:肥満に関する都市伝説 7つ ・・・性交渉のエネルギーは14kcal程度

どれもこれもテレビ・ラジオ、週刊誌、新聞、ウェブあたりで、科学的証拠の前提としてしたり顔で語られている。実際、栄養士たちのテキストにもかかれてるものもあるそうだ。
残念ながら、プレスレポートだけじゃなく、科学的記載物にも、根拠なき都市伝説が広がり、嘘や根拠なき事象が多く見受けられるということが、文献レビューから明らかになった。

たとえば、ダイエット番組では「停滞期」とか「リバウンド期」などと解説しながら番組を進めることが多く、また、「ご飯一杯"235kcal"だから脂肪"26g"に相当し、1週間で"180g"、1ヶ月で"780g"、1ヶ月で"4.7kg"」なども根拠のない解説だそうだ。「急激なダイエットはリバウンドを生みやすい」とか、「セックスでダイエット」とかも同様に根拠がない。

肥満に関する多くの矛盾する神話、都市伝説、迷信が、科学的エビデンスと無縁にひろがり続けている。証拠のない信念が流布していること で、同意に基づく意思決定も曖昧になり、臨床的・公衆衛生的推奨も不正確なものとなり、非生産的な社会資源の不適切使用にもつながる。有益な、エビデンス ベースの情報から人々がはなれることにもなる。

以下の赤文字は、すべて間違いとされてる都市伝説

1.エネルギー(カロリー)摂取と消費は小さな変化でも長期的には大きな体重変化となる

(国際的ガイドラインや信頼性の高いWebサイトが大きく宣伝する内容として、日々のライフスタイル変容を小規模ながら続けることによる体重蓄積の大きな変化はあいまいである(e.g. 2つのポテトチップスが20分歩行に相当するなど)


2.肥満治療において現実的目標を設定することが重要、さもなければ、患者はフラストレーションを生じ、体重減少を目指さなくなる。

(目標設定理論 goal-setting theoryよると、達成不能な目標はパフォーマンスを低下する。肥満治療において、希望と実際の体重減少との不適合が患者の目標到達認知能力を障害し、体重減少に必要な行動をとりやめることになる)



3.急激、大幅な体重減少は、体重の長期的動きからすれば不良な状況になることが多く、ゆっくりとした確実な体重減少が望ましい

(この概念は、1960年代の極超低カロリーダイエット(< 800kcal)の副作用への答え落として、テキストに繰り返し記載され、医療権威者からも推奨され、栄養士から提示され続けている)



4.”ダイエットステージ”の評価、ダイエットの受け入れが減量治療を求める上で重要

(減量準備の患者がよりライフスタイル変容をもたらすという考え)



5.現行のフォーマット上での医師教育クラスは、小児肥満の予防、減少に重要な役割を果たす。

(医師の活動的な健康信念が十分な期間、頻回、強固なほど、肥満減少と直結し、結果をもたらすという観念)



6.母乳は肥満予防となる

(母乳は肥満になりにくいという100年以上前から続く信念、情緒的に発生したものでは?)



7.性行為のカロリー量は100−300kcal
(エネルギー(カロリー)消費量は標準の性的活動性で、3.5METsで、体重70kgの人は時間あたり 245kcalという計算、だが性行為は約6分程度であり、平均的には21kcal-14kcal)



Myths, Presumptions, and Facts about Obesity
Krista Casazza, et. al
N 、Engl J Med 2013; 368:446-454January 31, 2013DOI: 10.1056/NEJMsa1208051




No1迷信が一番気にかかる。この部分の解説を訳してみた。

3500kcal累積不足・増加あたり体重変化0.45kgに相当するという、"the half-century-old 3500-kcal rule"に由来しており、小さなライフスタイルの変化が累積的に反応し体重として多大な変化をもたらすことと予測している。
 しかし、この3500-kcal ruleは、極超低カロリーダイエット(<800 br="" kcal="">
 最近の研究では、エネルギー摂取・消費の変化からの体組成の変化は、個別的で、3500ーkcalルールより体重変化は少ないとされる。
 たとえば、3500-kcalだと、カロリー摂取増加なしのままで、1マイル(1.6km)ウォーキングごとに100kcal消費増加する人では、5年間で 22.7kg(50 lb)減少することとなる。しかし、実際にはー4.5kgであり、体の大きさに付随してエネルギー要求量もまた変化する。


要するに、カロリー計算に直結するモデルより累積的変化は少ないということ。良くも悪くもだろうが・・・

逆に、9つの事実事項を記載もしている。
  • 肥満寄与要素として遺伝は大きいが、十分な環境的影響克服できないようなものではない
  • 体重管理上食事摂取、カロリー摂取制限を伴う重要性
  • 運動の健康への正の要素
  • 十分量の運動 ー そして、カロリー消費を伴う ー ルーチンとして減量維持の方法とする
  • 体重増加の子供への減量プログラムを両親を参加させたり、自宅で行ったりする
  • 食事構成、食事置換法を減量の手助けとする
  • 薬物の使用は減量に有効(日本では限られてるが・・・ 新薬登場の噂は聞く)
  • 長期減量のため、糖尿病発症・合併症減少のための減量手術

セレニウムは心血管疾患への有益性なし

いんちき健康相談の常套句

”微量ミネラルが不足してますから・・・ ***が生じやすい”



セレニウムに関しては効果どころか・・・
セレニウムU字減少:とりすぎると2型糖尿病リスク 2012/03/01
 という有害性事象の可能性があげられていた。



"Selenium supplementation for the primary prevention of cardiovascular disease"
Rees K, et al
Cochrane Database of Systematic Reviews 2013; DOI: 10.1002/14651858.CD009671.pub2.
http://summaries.cochrane.org/CD009671/selenium-supplements-for-the-prevention-of-cardiovascular-disease
心血管疾患や慢性疾患予防ということで、セレニウム使用が近年多くの国で広まってる。
レビューにて健常者へ心血管系疾患発生予防のためのサプリメント使用の効果評価。
12トライアル、19715名の健常成人をランダムにセレニウムとプラシーボ割り付け
大多数が米国男性で、栄養状態良好である。
全体的にバイアス低リスク
セレニウムサプリメント投与は健常成人に対して、重大心血管疾患予防的作用はない
2型糖尿病発症リスク増加が認められるという報告があったが、今回はその除外はできなかった。

要約すれば、今回のレビューでは、セレニウム服用は心血管疾患へのベネフィットも有害性も認めないが、十分な栄養状態では不要。

出版バイアス除外十分なのだろうか?

”グレーブス眼症”への臨床応用に関しては上記範疇外と思われる・・・

SFTS 日本へ

中国におけるSFTS(血小板減少を伴う重度発熱疾患)の原因:ブニヤウイルス属のフレボウィルス 2011年 03月 21日

 ↑
これがついに日本に波及してきたってことらしい

日本語正式名称がまだなかったので、血小板減少を伴う重度発熱疾患と訳しているが、今は、重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome,SFTS)が正しい呼称ということになる。


NIID国立感染症研究所
<速報> 国内で初めて診断された重症熱性血小板減少症候群患者 (掲載日 2013/1/30)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/sfts-iasrs/3142-pr3963.html

重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome,SFTS)はブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新規ウイルス、SFTSウイルス(SFTSV)、によるダニ媒介性感染症である。2011年に中国でSFTSと命名された新規感染性疾患が報告されて以来1) 、中国国内の調査から現在7つの省(遼寧省、山東省、江蘇省、安徽省、河南省、河北省、浙江省)で患者発生が確認されている1, 2) 。国内で初めて、発熱や血小板減少等の症状を呈し亡くなられた患者が、ウイルス学的にSFTSVによる感染症と診断されたので報告する。
・・・・
確定診断には、血液などからのSFTSVの分離・同定、RT-PCRによるSFTSV遺伝子検出、急性期及び回復期におけるSFTSVに対する血清 IgG抗体価、中和抗体価の有意な上昇の確認が必要であり、現在国立感染症研究所ウイルス第一部で検査が可能である。治療に関しては、リバビリン使用の報 告があるが2) 、その有効性は確認されていない。基本的に対症療法となる。有効なワクチンはない。
医療機関における院内感染予防には、ヒトからヒトに感染する接触感染経路があることから4) 、標準予防策の遵守が重要である。また、臨床症状が似た患者を診た場合にはSFTSを鑑別診断に挙げることが重要である。
SFTSVに感染しないようにするには、ダニに咬まれないようにすることが重要である。草むらや藪など、ダニの生息する場所に入る場合には、長袖の服、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくすることが重要である。
SFTSが疑われる患者を診た場合には、最寄りの保健所、または、国立感染症研究所問い合わせ窓口(info[アットマーク]nih.go.jp)に連絡していただきたい。
 臨床症状とは・・・
SFTSVに感染すると6日~2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳、咽頭痛)、出血症状(紫斑、下血)等の症状が出現

新聞情報
ダニ媒介 新感染症で死者 国内初 山口の成人女性 2013年1月31日 朝刊http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013013102000103.html





CDC ;Emerging Infectious Disease
Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome Virus, Shandong Province, China
Vol. 18, Num. 6 June 2012
http://wwwnc.cdc.gov/eid/article/18/6/11-1345_article.htm



追記
ダニ媒介の感染症 新たに2人死亡
2月13日 10時9分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130213/t10015476891000.html
去年秋、ダニが媒介するウイルスによる新たな感染症で、山口県内の女性1人が死亡したことが国内で初めて確認されたことを受けて、厚生労働省が調べたところ、愛媛県と宮崎県でも去年秋に成人の男性1人ずつが同じ感染症で死亡していたことが分かりました。
男性2人は、いずれも最近、海外に行ったことはなかったということで、厚生労働省は国内でダニにかまれて感染したとみて詳しく調べています。



日本で発症のSFTSの医学情報かなり乏しい、米国CDCがからまないと、感染症に関する対策や情報進まない、日本の現状はなさけない。確かに、Uukunlemi virusも含め、ブニヤウィルスに関する知見が少なく、分類さえ曖昧だったこともその原因だろうが、日本でのワクチン開発や薬剤開発の声を聞かないのはさすがに心許ない。                             。

主に、N Engl J Med 2011; 364:1523-1532 April 21, 2011 からの情報


【病原】SFTS bunyavirus (SFTSV):ブニヤウイルス科。そのビリオンは92~105nmであり、エンベロープを有する。ゲノムは3分節のマイナス鎖RNA。フレボウイルス属およびトスポウイルス属のRNAの一部はプラス鎖で機能する。


3つの遺伝子セグメント末端は、他のphlebovirusと類似、L segmentは、6368の核酸で2084のアミノ酸をencode する、ひとつのopen reading frame。M segmentは2268の核酸で、1073のアミノ酸をencodeし、糖タンパク(Gn とGc)のprecursorである。
S segmentは1744の核酸からなるambisense RNAで、NとNSs proteinという2つの蛋白をencodeし、62-bp intergenic regionで反対側で分離する。

phylogenetic analysisで、Sandfly fever group (Rift Valley fever virus, Punta Toro virus, Toscana virus, Massila virus, and Sandfly fever Sicilian virus) とUukuniemi groupとほぼequidistant。

phlebovirusuの3番目のprototypeであることが示唆される。
SFTSVは、他のphrebovirusとは類似アミノ酸配列があるが、異なる部分が有り、区別される。
SFTSVのRNA依存RNA polymeraseとglycoproteinは
Both RNA-dependent RNA polymerase and glycoproteins of SFTSV are slightly more closely related to counterparts in Uukuniemi virus.

SFTSVのN protineは、Rift Valley fever virusと41.1%の類似性
S segmentをencodeするNSs protinのアミノ酸は、他のpholevirusと11.2から16.0%の類似性を示す。



リフトバレー熱:自然界では、主にヤブカ属の蚊と牛や羊の間で感染環が維持されている。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-37.html

ワクチン開発 → Building a better Rift Valley fever vaccine
University of Texas Medical Branch researchers have significantly improved an existing experimental vaccine for Rift Valley fever virus, making possible the development of a more effective defense against the dangerous mosquito-borne pathogen.

Uukuniemi:ウークニエミウィルス

急性重度栄養障害(SEM)への抗生剤投与 死亡率・回復率改善

世界的にみれば、小児の合併症・死亡率に広く寄与しているSevere Acute Malnutrition(SAM)

正式日本語名があるのかもしれないが、急性重度栄養障害とした。
Management of severe acute malnutrition in children. Lancet. 2006 Dec 2;368(9551):1992-2000.
 体重/身長比中央値 あるいは National Centre for Health Statistics 平均参照値 SD以下 70%以下、栄養障害由来両側瘢痕性浮腫、または、上腕中間径 1−5歳で110mmと定義
 世界で毎年100−200万人罹患。
SAM症例は偏在的で、入院収容不能で、治療の限界あり、致死率20−30% 、医療カバー10%未満。
新鮮・既成・治療的食品およびサービスへのアクセスの量的増加プログラムによりコストを適切に軽減できる。合併症なきSAMは外来治療可能。
多くの報告で重症栄養障害による入院の子供の場合重大な感染症頻度が高い。この観察結果にて、外来治療ルーチン抗生剤使用が推奨されている。
この方針に対して、不要かつ、有害であるという指摘もあった。



マラウイ国 6−59ヶ月齢ランダム化二重盲験トライアルで、このSAMへの抗生剤投与は、回復率改善し、死亡率改善に役立つことが判明した

Antibiotics as Part of the Management of Severe Acute Malnutrition
Indi Trehan,  et. al.
N Engl J Med 2013; 368:425-435January 31, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1202851

治療的規制食品投与とともに、SAM症例に対し
・アモキシシリン
・セフジニル(セフゾン)
・プラシーボ
の7日間
プライマリアウトカムは:栄養回復率と死亡率

SAM症例2767名登録

回復率 アモキシシリン群 88.7%、 セフジニル群 90.9%、 プラシーボ 85.1%
プラシーボ比較の治療失敗相対リスクは、アモキシシリン群に対し 1.31、95%信頼区間 1.04−1.68、 セフジニル群に対し 1.64、95%信頼区間 1.27−2.11

死亡率に関して、それぞれ、4.8%、4.1%、7.4%

死亡相対リスクは、
プラシーボ vs アモキシシリン 1.55、95%信頼区間 1.07−2.24
プラシーボ vs セフジニル 1.80、95%信頼区間 1.22ー2.64

2013年1月30日水曜日

前立腺がんをへらすには・・・PSA検査をへらすか、異常とする閾値を高めること


BMJのレビューで、なるべく、原文通りに逐語訳してみた。

CLINICAL REVIEW
Prostate cancer screening and the management of clinically localized disease
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f325 (Published 29 January 2013)
要点
・加齢者の増加が、前立腺がん発症にとって最も重要な要素
・前立腺がん発症数を減らす有効な手段はPSA検診を減らすか、異常とする閾値を高めに設定すること
・PSA採血結果により発見された前立腺がんは多くは前立腺がんによる死亡率減少効果は小さく、重大な診断上・治療上の有害性を引き起こしている。
・医師は、前立腺がんへのPSA検診に反する推奨を行うべき
・PSA血液検査による前立腺がん検診検査により同定された前立腺がん男性の多くは本来健康上の問題を生じない(過剰診断)が、ほとんどが早めに治療されすぎている(過剰治療)



U.S. Preventive Services Task Force:前立腺がんPSA検診推奨せず 2012/03/22

レビュー:PSAベース前立腺がん検診 ・・・ 死亡率減少にちっとも役立たないという結論 2011年 12月 07日

前立腺癌検診20年:死亡リスク差認めず 2011年 04月 01日


政治家や事業家の中に、”検診=すべてよいこと”と表明している連中がいる。
勘違いなのか、利己的な解釈なのか・・・ わからないが・・・

こわいことに、日本ではそれが、行政の施策となりつつあること・・・   ある政党がひどい。ここは功利主義的考え・・・ゼロ

検診とは、功利的考えでやるものなのよ 政治家さんたち、行政マンたち

認知症関連:アミロイド斑検知用florbetapir PETの適正利用ガイドライン


florbetapir PETについて・・・


florbetapir PET知見:アミロイド斑はやはり正常・MCIでもその後の認知機能低下・認知症発症を予測する 2011年 07月 20日



florbetapir (Amyvid)などのFDA承認のβアミロイド蛋白プラーク画像化技術の使用は、比較的小規模対象に限定すべきと、"Alzheimer's Association and the Society for Nuclear Medicine and Molecular Imaging"の新しいガイドライン

Appropriate use criteria for amyloid PET: A report of the Amyloid Imaging Task Force, the Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging, and the Alzheimer's Association
Keith A. Johnson et. al.
Alzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Associationpublished online 28 January 2013. 


アミロイドプラークがないことが証明されれば家族歴を有する人たちの不安を払拭できるが、それは不適とされた。

これを含め、以下の目的での利用はその評価もあいまいということで不適切。
・認知症重症度判定
・家族歴やAPOE ε-4などアルツハイマー病関連genotypeを有する無症状者の評価
・認知障害患者レポートは臨床的診断として確立してない
・優性遺伝子異常キャリア疑い患者のgenotypingの代替利用
・リスク要素のない無症状者リスク評価(被験者の不安だけがその理由での使用禁止)
・非医用目的(雇用、保険査定、運転能力評価など)

適切な被験対象は
・持続性、あるいは進行性、理由不明の軽度認知障害
・非典型的臨床経過あるいは、病因混在のための、アルツハイマー病の臨床診断可能性ある場合
・65歳未満発症の進行性認知症

急性心筋梗塞直後禁煙治療薬ブプロピオン使用:安全性はあるが、効果に乏しい

死ぬような目に遭っても、たばこをやめられないという現実

急性心筋梗塞直後でもブプロピオンは安全に使用できそうだが、いかんせん効果が乏しい。

Bupropion for Smoking Cessation in Patients Hospitalized With Acute Myocardial InfarctionA Randomized, Placebo-Controlled Trial
Mark J. Eisenberg, et. al.


急性心筋梗塞(AMI)喫煙者に禁煙を試そうというもので、ブプロピオンを入院中の安瀬婦負と1年後禁煙改善を検討するもの

多施設二重盲験プラシーボ対照ランダム化トライアル
9週間のブプロピオン投与とプラシーボ投与にて、12ヶ月フォローアップ

392名をランダム割り付け(平均年齢 53.9±10.3歳)、男性 83.5%、ST上昇型心筋梗塞 64.9%
喫煙期間 32.9±12.4年間、23.2±10.6本/日

12ヶ月目に禁煙率は、ブプロピオン 37.2% vs プラシーボ 32.0%
(p=0.33、 中央値差補正後%差)
持続禁煙率に関し、それぞれ、26.8% vs 22.2%(p_0.34)

重大心血管副作用率は同様(13.0% vs 11.0%)(p=0.64)

結論としては、急性心筋梗塞後12ヶ月後やはり2/3は喫煙復帰
ブプロピオンは耐用性はよく、心筋梗塞直後でも安全。
だが、効果は乏しい

2013年1月29日火曜日

FDA:ジヒドロコデイン制限するよう助言決定

FDA委員会、ジヒドロコデイン(Hydrocodone)の大幅制限を要請
http://www.medscape.com/viewarticle/778275

安全・リスク管理助言委員会はジヒドロコデインを、Controlled Substances Act to Schedule (規制物質法) III 薬剤として再分類するのが望ましいと19:10で賛成多数の投票結果。

医師や大衆に対し、ジヒドロコデインが乱用の可能性があると強いメッセージを提示したことになる


対して、OTC(一般用医薬品)中の、”リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン”を放置したまま、ネット販売実質解禁になってしまった日本。

英国MHRA:コデイン・ジヒドロコデインOTC販売規制 ・・・ 日本でも強化が必要では?  2009年 09月 05日

米国小児科学会:小児・青年2型糖尿病ガイドライン

American Academy of Pediatricsの小児・青年期の2型糖尿病ガイドライン

いまや、こどもでも糖尿病の1/3は2型糖尿病らしい

CLINICAL PRACTICE GUIDELINE
Management of Newly Diagnosed Type 2 Diabetes Mellitus (T2DM) in Children and Adolescents
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2013/01/23/peds.2012-3494.full.pdf

ケトーシスや極端な高血糖の場合、2型か1型かを明らかにすることができないことが多い。
1型関連抗体陽性時の場合特に診断困難

2型糖尿病の場合は、ライフスタイル変容と、メトホルミンの第一選択が推奨され
18歳未満ではメトホルミンとインスリンは2薬剤の時のみ推奨
成人と同様、糖化ヘモグロビンで評価、7%未満をターゲットとする

自己血糖は、SU剤もしくはインスリン使用時にすすめる(日本はインスリン時のみ)
インスリン時は3回以上、非インスリン時はそれより少なく
70−130mg/dLを目標とする

栄養相談はPediatric Weight Management Evidence-Based Nutrition Practice Guidelinesby ( Academy of Nutrition and Dietetics)

ワクチン後進国の日本には関係ないが・・・米国ワクチン推奨スケジュール

ワクチン後進国の日本には関係ないが・・・

Committee on Infectious Diseases
"Recommended childhood and adolescent immunization schedule -- United States, 2013"  
Pediatrics 2013; DOI: 10.1542/peds.2012-3706.


Annals of Internal Medicine
Advisory Committee on Immunization Practices "Recommended adult immunization schedule: United States, 2013" Ann Intern Med 2013; 158.

年齢群ごとの推奨(黄色:全員への推奨、紫:リスク保有にて推奨)


妊娠や基礎疾患ごとの推奨

高齢女性’心疾患は非健忘性軽度認知障害と強く関連する

高齢女性において、心疾患は軽度認知機能異常のハザード比3倍ほど関連する
しかも、非健忘性軽度認知障害と関連するという知見


Cardiac Disease Associated With Increased Risk of Nonamnestic Cognitive ImpairmentStronger Effect on Women
Rosebud O. et. al.


心臓疾患と健忘性軽度認知障害(amnestic, aMCI)および非健忘性軽度認知障害(nonamnestic, naMCI)

1450名のベースラインでのMCIおよび認知症なしの被験者

心臓疾患はnaMCIのリスクと相関(ハザード比 1.77 95%CI 1.16-2.72)

しかし、性別での相関あり
心臓疾患は、女性においてnaMCIのリスク増加と相関(ハザード比 3.07(95%CI 1.58-5.99)
男性ではみられない(ハザード比 1.16 95%CI 0.68-1.99)

心疾患は、aMCI、naMCI病型相関せず


レビー小体病や前頭側頭型認知症と関連性があるといわれるnaMCIとの関連性指摘されているが、病因的な関連性が示唆された。

終末期において、植え込み型除細動作動offしたいというICD患者は7割

麻生報道(http://goo.gl/BszjG)をみると、日本のマスコミは終末期ケア議論をあえて避けてる・・・

医療関係者のブログや集まりでは、おおかたが麻生発言の一部に共感をもつという感じなのに・・・

功利的考え方に慣れてないのは、マスコミの方・・・

終末期において、植え込み型除細動(ICD)作動をきってくれと願う(possibly or definitely)のは91名のICD患者の71%

平均植え込み期間は4年で、29%がショック作動経験をもつ

で、どの状況が終末期かと問うと・・・
・永遠に床上
・永遠に記憶障害
・人工呼吸利用継続
・進行した治癒不能疾患




それぞれの状況で聞くと、離床不能では24%、進行治癒不能疾患状態では61%

Patient Preferences for Deactivation of Implantable Cardioverter-Defibrillators ONLINE FIRST
John A. Dodson, MD; Terri R. Fried, MD; Peter H. Van Ness, PhD, MPH; Nathan E. Goldstein, MD; Rachel Lampert, MD
JAMA Intern Med. 2013;():1-3. doi:10.1001/jamainternmed.2013.1883. 

ICD作動オフなどの意思決定困難な判断は、時間を十分かけて、情緒的に安定した時に意思決定をしておくことが必要と記載されている。

小児片頭痛:プラシーボ有効な事例が数多く存在

1999年に行われたrizatriptan治験は、プラシーボ比較で、32.2%の有効性だったが有意差認めず(p=0.47)で、2011年公表の2回目の研究ではプラシーボ反応者を除外し、有効性エビデンス認められた。

小児片頭痛では、プラシーボ反応性のある一群が明らかに存在することは確か

Migraine therapeutics in adolescents: a systematic analysis and historic perspectives of triptan trials in adolescents"
Sun H, et al
JAMA Pediatr 2013; DOI: 10.1001/jamapediatrics.2013.872.
片頭痛予防 21トライアルのメタアナリシス

プラシーボ服用は有意に月間頭痛数を減少する:月間 5.6 → 2.9(95%信頼区間 1.66から4.98)p=0.03

プラシーボより効果があるのは、 topiramate ( - 0.71(95%信頼区間 -1.19 から -0.24))と trazodone (−0.60 (95%信頼区間 −1.09 から −0.11))のみ

前者は抗けいれん薬、後者は抗うつ薬(レスリン)として用いられている
 53%から57.5%

"Pharmacologic treatment of pediatric headaches: a meta-analysis"
El-Chammas K, et al
JAMA Pediatr 2013; DOI: 10.1001/jamapediatrics.2013.508.


片頭痛緩和治療で、トリプタンの7つのランダム化トライアルで、
これで、プラシーボは奏功率53%から57.5%
しかし、一つは、プラシーボによる早すぎる緩和報告を除外していて、奏功率が30.6%と低下してるものがある

"No evidence of efficacy or evidence of no efficacy"
Aarruda M JAMA Pediatr 2013; DOI:10.1001/jamapediatrics.2013.1105.

小児片頭痛の薬物治療はエビデンス不足というだけで、治療選択をせばめてはいけないというエディトリアル
トライアルの中で10ほどは、activeな比較薬物(アスピリン、プロプラノール、自費泥エルゴタミン)も含まれていたと薬物治療側の弁護展開


重症乳幼児への連日クロルヘキシジン浴は細菌血症に有効

重症乳幼児への連日クロルヘキシジン浴は細菌血症に有効

"Daily chlorhexidine bathing to reduce bacteraemia in critically ill children: A multicentre, cluster-randomised, crossover trial"
Milstone A, et al. 
Lancet 2013; DOI: 10.1016/S0140-6736(12)61687-0.


細菌血症は重篤な子供では死亡率・合併症率上重要。標準的な沐浴と比較したクロルヘキシジン・グルクロン酸塩による沐浴の比較

非盲目クラスターランダム化2期間交差トライアル
プライマリアウトカムは、細菌血症エピソード

2日未満の滞在ということで1521名入院患者除外、14名が拒否
4947名をITT解析

CHG浴  (3.52 per 1000 日間, 95% CI 2.64—4.61) vs 標準  (4.93 / 1000 日間, 3.91—6.15; 補正発生率比 [aIRR] 0.71, 95% CI 0.42—1.20)で、有意差なし

Per-ProtocolではCHG浴で細菌血症発生率比低下 (3.28 /1000 日間, 2.27—4.58 vs 4.93 / 1000 日間, 3.91—6.15; aIRR 0.64, 0.42—0.98).



クロルヘキシジン浴がMICUの感染予防に役立つ  2009年 08月 31日

人工呼吸患者肺炎予防:歯磨きは無効、クロルヘキシジンは有効 2009年 09月 04日

米国内流行のノロウィルス:新しいウィルス種 GII.4 Sydneyが過半・・・

昨年米国内で流行したノロウィルス感染症は、GII.4 Sydney という新しい種類で、sapportive care以外治療法もなく、ワクチンもない

MMWRによれば、2012年9月から12月までの266流行中141でこの新しいウィルス種だったとのこと

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6203a4.htm

きわめてビルレンスの高いノロウィルス種で、2012年3月オーストラリアシドニーで発見された種類。
米国内では、GII.4 New Orleansもまだ流布しているとのこと。


高齢者や基礎疾患ありで怖いのは院内感染ということで、マスコミが話題にして、新しいノロウィルス種ということを問題にすることなく、罪のあるのは医療関係者と医療機関とする日本の風潮。日本のメディア文化は、悪人を作りたがる。


2013年1月28日月曜日

ゲータレードから臭素化油を除去するらしい

スポーツドリンクの草分けであるゲータレード(Gatorade)
毒々しい 色合いもあるのか、日本ではメジャーになりきれなかったイメージがある

ゲータレードから、臭素化油を除くという報道

brominated vegetable oil:臭素化油

臭素化油
Brominated Vegetable Oils are used as stabilizers to prevent the citrus flavoring oils from floating to the surface in beverages. Brominated Vegetable Oil may be derived from soybean or corn.

“ 柑橘系芳香が表面への流出するのを防止するための安定剤、大豆やコーン由来”

表面への集積防止としての乳化剤としての使用をやはり、Gatoradeも行ってるようである。


Gatorade Removing Controversial Vegetable Oil Ingredient
Published January 27, 2013
Fox News Latino


Read more: http://latino.foxnews.com/latino/health/2013/01/27/gatorade-removing-controversial-vegetable-oil-ingredient/#ixzz2JEBChnRW



 


一般消費者の添加物への関心は、生産業者も無視できなくなってるようだ。


高齢者では、アスパルテームなどの人工甘味料飲用で“うつ”増加 H25/01/09
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/01/blog-post_7842.html


特保ペプシ:科学的根拠が薄いのに日本国行政が認め推奨したと全米が驚いた H24/11/19
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/11/blog-post_19.html


非栄養甘味料:AHA・ADA ステートメント ・・・ 上乗せして使っても効果無いよ! H24/07/11
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/07/ahaada.html

““カロリー・ゼロ商品”と消費をあおっても、減量につながらない”

ダイエットソーダ連日飲用だと卒中リスク5割増し 2011年 02月 10日
http://intmed.exblog.jp/12085795/

加齢による記憶力低下:電気刺激による徐波睡眠改善で直せる?

電気刺激による、徐波睡眠の質の改善で、加齢による記憶力低下を、改善させるかもしれない・・・

加齢による記憶力低下に関する研究において、脳の経年的構造変化は、睡眠の質に関係して生じること、長期記憶蓄積鈍化に関わることを見いだした

前頭前皮質の容積は、年齢とともに減少し、睡眠の質維持に役割を果たし、新規記憶の固着のために必須の部分と以前の研究で判明していた。
Berkeleyのカリフォルニア大学の今回の研究で、睡眠関連記憶障害と脳の構造異常との関連が明らかとなった。

加齢による記憶力減衰は一方向で、睡眠の改善、特に、正常睡眠の1/4にあたる徐波睡眠期に関係する。この方向は非可逆性だが、高齢者の深い睡眠を改善する電気刺激実験、前頭前皮質部への電極を装着し、刺激することで、高品質徐波に似せることができる。
結果、記憶機能改善を一部示した。

Cued memory reactivation during sleep influences skill learning
James W Antony,    et. al.
Nature Neuroscience 15, 1114–1116 (2012) doi:10.1038/nn.3152

2013年1月26日土曜日

葉酸サプリメント:がん発生増加リスク否定

1年程度なので、長期安全性に関しては、完全否定というわけではないとのこと
妊娠期の葉酸投与の安全性を支持するというスタンス


Effects of folic acid supplementation on overall and site-specific cancer incidence during the randomised trials: meta-analyses of data on 50 000 individuals
The Lancet, Early Online Publication, 25 January 2013 doi:10.1016/S0140-6736(12)62001-7
1998年以降、妊娠女性の葉酸欠乏と子供の脳・脊髄異常緩和のための葉酸投与を米国・カナダでは要求しているが、がんリスク増加懸念されていた。実際、西欧ではこのため、がんリスク軽度増加を懸念し葉酸投与に消極的。

少なくとも1年の治療期間の2011年前の前トライアルを検討
メタアナリシスにて49,621名13トライアル
・心血管疾患頻度のためのトライアル10(n=16969)
・直腸大腸腺腫患者のトライアル3(n=2652)

加重平均スケジュール治療5.2年間
葉酸割り付け群は、プラシーボ群の4倍 (葉酸割り付け群 57·3 nmol/L  vs  プラシーボ群 13·5 nmol/L )
しかし、包括的がん発生率に有意差なし(葉酸割り付け群 1904   vs  プラシーボ群1809 , RR 1·06, 95% CI 0·99—1·13, p=0·10)
期間長期化での傾向強化認めず

13の個別トライアルに有意なheterogeneity認めず(p=.13)
さらに、葉酸サプリメントによる、大腸、前立腺、他特異的部位のがんに効果認めず

 
人騒がせな論文で、邪魔(jama)になった報告
JAMA. 2009 Nov 18;302(19):2119-26. doi: 10.1001/jama.2009.1622.
Cancer incidence and mortality after treatment with folic acid and vitamin B12.

作用機序の説明は、”核酸生合成・DNA複製・メチル基に必須で、細胞増殖・修復と関連する”。不足も発がん性に、過剰投与もがん増殖促進的にはたらくのではないかという懸念があると記載されている。

机上の発想が疫学調査で疑いが濃厚となったため、欧州は自粛傾向であったということ。

日本の産婦人科学会って、ホルモン補充療法に異常なほど熱心だけど、これに関してあまり熱心じゃない

産婦人科診療ガイドライン;産科編 2011
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2011.pdf
神経管閉鎖障害と葉酸の関係について説明を求められたら(p51)
”・・・期待できる”の記載のみで、推奨するとは書いてない。
そして、発がん性に関してはコメント見当たらない

2013年1月25日金曜日

地域的効果:ロタウィルスワクチン接種後、病院便検体ロタウィルス検出頻度減少

インフルエンザウィルスでもいわれることだが、
 インフルエンザワクチン ユニバーサル使用による抗生剤使用減少効果 2009年 08月 24日


インフルエンザワクチン義務化・廃止・任意化と学級閉鎖・病欠変化 2011年 06月 21日

小児思春期ワクチン接種で、地域のインフルエンザ半減 2010年 03月 10日

 小児へのワクチンはコミュニティー内の病原体循環を減らすことで、非ワクチン接種者へのベネフィットになる。


地域でのロタウィルスワクチン接種後、ある病院でのロタウィルスの出現頻度減少効果、およびそのウィルス・遺伝子型に変化が認められた


Indirect Protection of Adults From Rotavirus by Pediatric Rotavirus Vaccination
Clin Infect Dis. (2013) doi: 10.1093/cid/cis1010 First published online: January 23, 2013



ロタウィルスワクチンでも同様に効果が認められたという報告

シカゴのNorthwestern Memorial Hospitalで得られた検体を利用した報告
Rotaclone enzyme immunoassayで、便細菌培養のため採取した検体チェック

prepediatric impact era (2006–2007) と pediatric impact era (2008–2010)を比較


5788便検体のうち、4725が検討クライテリア合致、3530(74.7%)をロタウィルス検査のため保存

便検体からのロタウィルス出現頻度は、4.35%から2.24%へ減少
(相対減少率 48.4%;p=0.0007))

外来、入院患者でも同様の減少

年ごとの変動が、循環中ロタウィルス遺伝子型で見られた(ウィルス種 G2P[4] 24%、G1P[8], 22% 、 G3P[8], 11%、 G12P[6] 10%)

ロタウィルスが得られた成人の約30%は免疫不全状態

急性前縦靱帯損傷:再建術を急ぐ必要はない ただs、構成的リハビリテーションが前提

運動活発な若年層での前十字靱帯損傷は多く、重度の膝損傷ともなりえる。手術的再建・リハビリテーションの短期・長期アウトカムへの影響が話題となっていたとのこと。

ドロップアウトの少ない、高品質のランダム化トライアルでこの検討がなされ、早期手術介入+リハビリテーションは必ずしも、リハビリテーション+その後オプションとしての再建術に対して優れてるわけではないことがわかった。

Treatment for acute anterior cruciate ligament tear: five year outcome of randomised trial
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f232 (Published 24 January 2013)
Cite this as: BMJ 2013;346:f232

Richard B Frobell, et. al.

活動性若年者の急性前十字靱帯損傷:acute anterior cruciate ligament (ACL) tearへの、リハビリテーション+早期ACL再建とリハビリテーション+オプション的後期ACL再建の比較

121名の若年、活動性ありの成人(平均年齢 26歳)事前の非外傷性膝疾患による急性ACLの5年のフォローアップ


介入は、同様の構成的リハビリテーション

リハビリテーションに加え、
62名 早期にACL再建
59名 オプションとしての必要に応じての遷延的ACL再建


30名(51%)がオプションとしてのACL再建

KOOS4スコアはベースラインから5年後
・早期ACL再建群 42.9点
・オプションACL再建群 44.9点
(群差 2.0点、95%信頼区間 −8.5 to 4.5;  P=0.54 ベースライン値補正後)

5年後KOOS4スコアの群差認めず(p=0.45)、同様にKOOSサブスケール、SF-35、Tegner活動性スケール、指標膝のレントゲン上の変形性関節症に差を認めず

関節半月手術数、その手術となる比率イベントまでの期間に差認めず

急性期治療による解析も同様であった

2013年1月24日木曜日

米国2つの調査:以前も現代も喫煙の死亡リスクは巨大で、深刻な公衆衛生問題

アメリカ国内研究だが、下段のごとく日本でも、死亡への関与は同等と考えられる。
一つは、1980年代、1990年代から2004年までのコホートで、原因を問わない死亡リスクは、非喫煙者に比べ、喫煙者では3倍程度で、男女とも同様ということ。
もう一つの研究は世代別同時性比較分析で、死亡相対リスクやはり3倍弱という結論。

Jha P, et al "21st-century hazards of smoking and benefits of cessation in the United States" N Engl J Med 2013; 368: 341-350.
1980年代の研究から、米国民では、35−69歳の男女の死亡原因の25%が喫煙のためと想定された。
1997−2004年の11万4千名弱の男性、8万9千名弱の女性の統計での推定
25−79歳で、非喫煙者の約3倍の死亡率(全原因)(女性 ハザード比 , 3.0; 99% 信頼区間 [CI], 2.7 to 3.3; 男性 ハザード比, 2.8; 99% CI, 2.4 to 3.1)

超過死亡の多くが悪性腫瘍、血管系、呼吸系、喫煙が原因となり得るその他疾患であった
25−79歳の生存確率は、非喫煙者で、現行喫煙者の約2倍  (70% vs. 38% among women and 61% vs. 26% among men)

余命は現行喫煙者は、非喫煙者に比べ、10年を超して短縮する

25−34歳、35−44歳、45−54歳で禁煙した成人は、喫煙継続者に比べ、それぞれ、約10年間、9年間、6年間余命がのびる。





Thun M, et al "50-year trends in smoking-related mortality in the United States" N Engl J Med 2013; 368: 351-364.
米国では、20世紀において、喫煙による疾患リスクは、まず男性で、次に女性で膨大化した。どの程度のリスクだったのか?

現行喫煙者の非喫煙者比較相対リスクとして、肺がん死は、男性において、1960年代 2.73、1980年代 12.65、現在のコホート 25.66

同時コホートで、男女現行喫煙者はともにCOPD (男性 25.61 、 女性 22.35)、虚血性心疾患(男性 2.50 、女性 2.86 )、卒中(病型問わず) (男性 1.92 、女性  2.10)、全原因組み合わせ (男性 2.80 、女性 2.76)

ほぼ全年齢層で男性喫煙者によるCOPDによる死亡率が増加し続け、喫煙の期間・暴露強度の層別ごとに応じた増加である。

55−74歳の男性、60−74歳女性において、全原因死亡率は現行喫煙者では非喫煙者の少なくとも3倍。
禁煙はどの年代でも劇的に死亡率を減少させる


Additional source: New England Journal of Medicine
Source reference:
Schroeder S "New evidence that cigarette smoking remains the most important health hazard" N Engl J Med 2013;368: 389-390.

上記2つのエディトリアル:米国の喫煙と健康の状況を死亡率の時間経過トレンドで示した報告を解説し、喫煙がやはり巨大な公衆衛生上の問題ということを示している。とくに、女性の肺がん死が乳がん死を上回ることと治療困難さを考え憂慮と対策を助言している。

日本でも同様

前向きコホート:日本でも喫煙者は10年ほど生命予後短くさせる・・・ 以前の報告は若年喫煙少なかった時代のデータが主 2012/10/25


こういう疫学的調査を無視したい人は結局は無視する。問題は、行政や政治家がまともにこの公衆衛生上の問題をいかに正面から取り組むかである・・・日本じゃ期待できないけど・・・

 
追記
Google newsをみると取り上げてる、在京新聞社 産経のみ・・・ これで公共性があるといえるのだろうか? 朝日・毎日・読売って、JTの方しかみてないんだろうなぁ

禁煙、まだ間に合う? 40歳までなら余命正常化
MSN産経ニュース      
米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」電子版は24日、40歳前後までに禁煙に成功した人は、喫煙により縮んだ平均余命を、非喫煙者並みに取り戻せるとする米国やカナダの専門家による研究結果を掲載した。 喫煙者の平均余命は、喫煙したことがない人に ...


禁煙、まだ間に合う? 40歳までなら余命正常化
千葉日報     
喫煙者の寿命は10年以上短く
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版    


2009パンデミックインフルエンザ:妊娠中ワクチンの胎児への安全性確認

2009年インフルエンザA1N1パンデミックのとき、妊娠女性が重症インフルエンザリスク状態となった。妊娠中のワクチン投与の安全性に逸話的に関心が高まったための調査とのこと。

インフルエンザによる胎児死亡リスク増加確認とともに、ワクチンの安全性確認

Risk of Fetal Death after Pandemic Influenza Virus Infection or Vaccination
Siri E. Håberg, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:333-340January 24, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1207210

ノルウェーの国内登録データを利用し、Cox比例ハザードモデルで胎児死亡ハザード比を算出
登録妊娠117347(2009−2010)
胎児死亡は1000出産あたり4.9
パンデミック期間中、妊娠女性の54%が第2、第3トリメスターでワクチン接種と記載
妊娠中ワクチン接種は実質的にインフルエンザ診断リスク減少(補正ハザード、 0.30; 95% 信頼区間 [CI], 0.25 to 0.34)

インフルエンザ臨床診断女性のうち、胎児死亡リスクは増加 (補正ハザード比, 1.91; 95% CI, 1.07 to 3.41)

胎児死亡リスクは妊娠中ワクチンで減少、しかしこの減少は有意差認めず (補正ハザード比, 0.88; 95% CI, 0.66 to 1.17).



だが、反ワクチングループは、有効性が確認されなかったと喧伝するに違いない

2013年1月23日水曜日

LoDoCoトライアル:コルヒチン 二次予防効果

ケアネットでは、この論文のAHA発表分・・・紹介されてるようだ・・・

日本でほとんど報道されなかった驚愕のインパクト、冠動脈疾患の二次予防に対するコルヒチンに迫る!
http://www.carenet.com/news/general/carenet/33017
 
なかなかの衝撃ぐあいではある・・・


Low-Dose Colchicine for Secondary Prevention of Cardiovascular Disease
Stefan M. Nidorf, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2013;61(4):404-410. doi:10.1016/j.jacc.2012.10.027

前向きランダム化交叉盲検エンドポイントデザイン

532名の安定冠動脈疾患(アスピリン and/or クロピドグレル 93%、スタチン 95%服用)

コルヒチン 0.5 mg/日と、非コルヒチン投与で、中央値3年間経過フォロー

プライマリアウトカムは急性冠症候群、院外心停止、非心臓代謝性虚血性卒中

プライマリアウトカム
・ コルヒチン群 15/282
・ 対照群 40/250
ハザード比 0.33 95%信頼区間 0.18-0.59 P<0.001
NNT 11

事前選別セカンダリon-treatment解析で、32名(11%)を除外(腸管不耐症による30日以内中断、治療開始しない7例除外)でプライマリアウトカムは 4.5% vs 16%
ハザード比 0.29;95%CI 0.15-0.56;P<0.001)


Freedom from the primary outcome (acute coronary syndrome, out-of-hospital cardiac arrest, or noncardioembolic ischemic stroke) by treatment. CI = confidence interval; HR = hazard ratio.

“post-hospital syndrome”:高齢者では入院が次の入院を誘発する



心不全、急性心筋梗塞、肺炎入院後30日めの再入院率減少のための戦略ガイド改善のため、再入院診断、再入院タイミング、患者年齢、性別、人種の検討が必要。
2007-2009年のmedicare fee-for-service(個別医療費用)解析


特定の高齢者は、入院をすると、退院後も次の入院を生じやすい

老人は一度入院すると新しい病気を引き起こし、退院後数日から数週間後して再入院を生じる。5分の1程度が退院後30日以内に再入院となる。


これが新しい知見だという(http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/01/22/patients-post-hospital-syndrome/1853813/)

彼らは、“必ずしも初回入院病名再燃ではなく、多くの場合は、新しい問題が生じたためであり、入院というトラウマから生じたもの”と表現している。
たとえば肺炎入院から始まった患者は、退院後体力低下し、転倒し、骨折を生じやすくなる。

いわば、“post-hospital syndrome”と名付けられるかもしれないと・・・


Diagnoses and Timing of 30-Day Readmissions After Hospitalization for Heart Failure, Acute Myocardial Infarction, or Pneumonia FREE
Kumar Dharmarajan,  et. al.
JAMA. 2013;309(4):355-363. doi:10.1001/jama.2012.216476.

2007年から2009年

退院後30日め再入院比率、累積期間(day 0-3、0-7、0-15、0-30)で生じる最頻度再入院病名、そして連続入院期間(day 0-3、4-7、8-15、16-30)で調査
再入院診断病名毎の再入院までの期間
人種的特性、再入院診断名、タイミングとの関連を検討


・心不全入院 1,330,157の後、30日めの再入院 329,308を認めた(再入院率 24.8%)
・急性心筋梗塞入院  548 834の後、30日目再入院 108,992 を認めた(再入院率 19.9%)
・肺炎入院 1,168,624の後、30日目再入院 214,239を認めた(再入院率 18.3%)


これらの病態全体での再入院比率では、心不全入院を指標とする場合 35.2%、同様に、急性心筋梗塞入院を指標とする場合 10.0%、肺炎入院指標では 22.4%。

すべての30日内再入院のうち、15日以内が多く、心不全コホート 61.0%、急性心筋梗塞コホート 67.6%、肺炎コホート 62.6%

再入院診断の多様なスペクトラムは退院後の累積・連続期間でも同様に広汎。
30日間の再入院中央値は心不全 12日、急性心筋梗塞 10日、肺炎 12日
これらは、共通の再入院診断となる。
再入院診断やタイミングは年齢、性別、人種に関してばらつきなし




現場の人間なら知ってることだと思う。厚労省の役人や政治家や“国民会議”の出席者は知らない。


この“病院による入院誘発症候群”は、再入院による入院料費用の逓減ということで、再入院を受け入れた病院側にペナルティーが行く・・・

慢性腎臓病: 副甲状腺ホルモン高値は心機能バイオマーカー、左室心筋量増加と関連をもつ

ビタミンD(25(OH)D)はこのコホートの場合は心血管バイオマーカー・左室心筋量と関連せず

慢性腎臓病患者のみに見られる現象として、PTH高値の場合のBNP、心筋トロポニン、左室容積量の増加が見られた。


Relation of Vitamin D and Parathyroid Hormone to Cardiac Biomarkers and to Left Ventricular Mass (from the Cardiovascular Health Study).
Am J Cardiol. 2013 Feb 1;111(3):418-24. doi: 10.1016/j.amjcard.2012.10.021. Epub 2012 Nov 17.
ビタミンDと副甲状腺ホルモン(PTH)は、腎疾患患者及び一般の心血管健康への影響を与えるかもしれない。
血中25(OH)DとPTH濃度の、心臓構造・機能としての生化学、心電図、心エコー上の相関をCardiovascular Health Studyで検討

ベースラインで心血管疾患無しの2312名の被験者
73.9±4.9歳、女性 69.7%、CKD 21%(GFR<50ml blockquote="">
血中25(OH)Dとintact PTH濃度をmass spectrometry と 2-site immunoassayで測定

NT-pro-BNP、心トロポニンT、心電図伝導異常、左室容積量・拡張能の心エコー上の測定値をアウトカムとする

補正25(OH)D値は、生化学、伝導、心電図アウトカムと関連せず

CKD患者において、血中PTH≧65 pg/mlは、NT-porBNP、心トロポニンT、左室容積量と相関する

回 帰係数: 120 pg/ml (95% 信頼区間 36.1 to 204), 5.2 pg/ml (95% 信頼区間 3.0 to 7.4), and 17 g (95% 信頼区間 6.2 to 27.8) (p <0 .001="" br="">
正常腎機能者では、PTHはアウトカムと関連せず

結論:CKD老人において、PTH過剰状態はNT-proBNP、心筋トロポニン、左室容積量と相関する。
PTHの心血管健康状況との関連性、心疾患予防との関連性を示唆する知見が得られた

入院前ビタミンD欠乏・不足は、冠動脈バイパス手術の90日目の死亡率増加と関連

CCMの話題で、またかのビタミンDと心血管疾患リスクについての話・・・寄与要素補正が後顧的報告のため重要

そして、ビタミンDサプリメント投与の是非に関してはこれでは結論は出ないことも重要


後顧的コホート研究
入院前25(OH)D欠乏はCABG後の死亡率と相関する

日本ではなく、ボストンのBrigham and Women's Hospitalの報告らしい


Moromizato T, et al "Pre-hospital serum vitamin D levels and mortality following coronary artery bypass grafting" SCCM 2013; Abstract 38. 
http://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/2012/12001/38___Pre_Hospital_Serum_Vitamin_D_Levels_and.41.aspx


入院前25(OH)D欠乏は90日死亡率の予測因子となる

非欠乏者にくらべた時のCABG後90日めの死亡率オッズ比
欠乏  OR = 5.80 (95%CI, 1.33-25.21;p=0.02)
不足  OR = 4.17 (95%CI, 1.10-15.77;P=0.04)

年齢、性別、人種、急性腎障害、急性心筋梗塞、CABG前ヘマトクリット値、GFR、Deyo-Charlson index補正後も90日目死亡率有意予後因子として維持
欠乏 補正OR = 5.61 (95%CI, 1.17-26.9;p=0.03)
不足 補正OR = 3.87 (95%CI, 0.98-15.24;p=0.05)

ビタミンDと死亡率の相関は、心肺バイパス、合併弁膜症手術、再手術状態で、境界的に寄与を認めなかった



ビタミンD濃度と心血管疾患リスク: 血中濃度に閾値存在 25(OH)D濃度測定が必要・・・ 2012/11/17

PHSII: マルチビタミン 心血管疾患予防効果認めず 2012/11/06

食道癌に関し、化学療法がセカンドラインとして有効かもしれない

食道癌に関し、化学療法がセカンドラインとして有効かもしれない

症状治療のみにくらべ、セカンドラインであるドセキタキセルを用いた化学療法で40%もの生存率改善する(全般生存期間 5.2ヶ月 vs 3.6ヶ月)という報告

腫瘍型、年齢、性別問わず、ベネフィット持続

Ford H, et al "Cougar-02: A randomized phase III study of docetaxel versus active symptom control in advanced esophagogastric adenocarcinoma" GiCS 2013; Abstract LBA4.

Hugo Ford, MD, (Addenbrooke's Hospital in Cambridge )らが、“Gastrointestinal Cancers Symposium”に先立ち、プレスブリーフィング。

情報ソース:
http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/OtherCancers/36958

外部審査・ある程度の対象数により、ARDSへのオシレーション換気治療効果否定的

ARDSは"volume swing"あるいは"pressure swing"にて悪化するということで、理論上は高頻度オシレーション換気(HFOV)は肺保護的で有効なはずということで、ズーとこの話題続いてきた。

システマティックレビュー・メタアナリシス:急性肺障害・ARDSに対するオッシレーション法 2010年 06月 11日
ただ、以下の論文の序文にあるごとく、“ゴミを寄せ集めてもゴミ” といったら失礼か・・・


 high-frequency oscillatory ventilation (HFOV)がARDS患者の死亡率減少するという以前の報告があったが、外部比較機関のない評価であり、サンプルサイズも少なく、エビデンスというのは限界があった。

今回、1200名モノ患者を比較し、よりエビデンス高品質レベルで検討

High-Frequency Oscillation in Early Acute Respiratory Distress Syndrome
Niall D. Ferguson, et. al.
for the OSCILLATE Trial Investigators and the Canadian Critical Care Trials Group
New Engl. J. Med. January 22, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1215554

データモニタリング委員会推奨にもとづき、1200名の患者をランダム化予定で、548名で早期終了。

2つの研究群ともベースライン良くマッチ

HFOV群はHFOVを期間中央値3(中間四分位:IQR 2-8)日間
加え、対照群の273名中34名が不応性低酸素血症のためHFOVを施行

入院死亡率は、HFOV群 47%、対照群 35%(死亡相対リスク HFOV, 1.33; 95% 信頼区間l, 1.09 to 1.64; P=0.005)。死亡率の差は、酸素化・呼吸コンプライアンスのベースライン異常値と独立していた。

HFOV群患者は対照群よりミダゾラム投与量多く (1日199 mg [IQR, 100 to 382] vs. 1日141mg [IQR, 68 to 240], P<0.01)
HFOV群では昇圧剤使用が多く (91% vs. 84%, P=0.01) 、長期間使用となった (5 days vs. 3 days, P=0.01)


人工換気維持のため使用せざる得なかった薬物の有害性のため、オシレーションのベネフィットが生かせなかったいう解釈もできる。・・・となると、今後もHFOVの研究は続くだろう・・・

人工呼吸遷延患者の離脱方法:気管切開カラー vs Pressure Support :死亡率差なく、前者が離脱期間短い

人工呼吸離脱困難例を集めて離脱を勧める医療機関が日本でも必要なのでは?

日本では入院長期例は療養型に移行され、人工呼吸離脱させようとする経済的インセンティブがない。 結果的に、医療費の無駄遣いとなるのが、今開かれている“国民会議”とやらでは、医療の専門家不在なためそういう提言望めず、ひたすらコストカッターだけの主張の場となっている。一方で、麻生副総理の表現法はともかく、発言の趣旨がが医療に功利的な議論をという提言なら医療関係者は歓迎だと思う。リビングウィルや高度認知症への胃瘻問題などが具体例と挙げられるだろう。表層的人権をもてあそぶマスコミの馬鹿どもは言葉尻を捉えて批判してるが、せっかくの議論の機会を失わないで欲しい
第3回 社会保障制度改革国民会議  平成25年1月21日(月) 
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokum    

横道にそれたが・・・


“人工呼吸離脱困難・長期例”を集めて工呼吸離脱(ウィーニング)するlong-term acute care hospitals (LTACHs)という施設、そこでの方法の研究


この研究で、3つの新しい知見が得られたと著者ら
1)気管切開カラー群で、Pressure Suppot(PS)群に比べ、ウィーニングを迅速に達成できた
2)スクリーニング段階での失敗によりウィーニング手段の影響が異なる。早々にウィーニング失敗した群(0-12時間)ではその影響はみられないが、後々に失敗した群(12-24時間)では、PSより気管切開カラーの方がウィーニング時間が短くて済む。
3)PS群も気管切開カラー群も生存率(6ヶ月、12ヶ月)同様。


Effect of Pressure Support vs Unassisted Breathing Through a Tracheostomy Collar on Weaning Duration in Patients Requiring Prolonged Mechanical Ventilation:  A Randomized Trial  
Amal Jubran, et. al.
JAMA. Published online January 22, 2013. doi:10.1001/jama.2013.159


21日間超の遷延した人工呼吸管理患者はを、長期急性期病院(long-term acute care hospitals (LTACHs))でウィーニングすることが多いが、最も有効なウィーニング手段は検討されてない。

Pressure Support(PS)と、気管切開カラーを用いた非補助呼吸を比較。

2000-2010年、ランダム研究
500名のスクリーニング5日間を経て検討、316名を不耐性とし、PS 155名、気管切開カラー 161名とランダム割り付け
6-ヶ月、12-ヶ月の生存率を決定
プライマリアウトカムはウィーニング期間。セカンダリアウトカムは6、12ヶ月後の生存

316名の内、脱落 4名、研究に含まず。
PS 152名のうち、ウィーニング 68(44.7%)
気管切開カラー群160名のうち、ウィーニング 85(53.1%)、死亡 16(10.0%)

ウィーニング期間中央値は気管切開カラー仕様で短い (中間四分位(IQR) 気管切開カラー群 15 日間; 8-25 vs PS群 19日間; IQR, 12-31), P = .004


ベースライン寄与要素補正後、ウィーニング成功率ハザード比はPS群より気管切開カラー群で高い  (HR, 1.43; 95% CI, 1.03-1.98; P = .033)


Figure 2. 人工呼吸残存比率(PS vs 気切カラー群)

Figure 3. 人工呼吸残存比率(5日間スクリーニング不成功群中の比較:PS vs 気切カラー群)


12-120時間のスクリーニング施行にて不耐性患者群では、気管切開カラー使用は、PS群より迅速にウィーニング達成 (HR, 3.33; 95% CI, 1.44-7.70; P = .005)

一方、0-12時間内スクリーニング施行不耐性群では、ウィーニング時間は、2つの方法とも同等。

死亡率は、PS群及び気管切開カラー群とも、6ヶ月、12ヶ月で同等 ((55.92% vs 51.25%; 4.67% 差, 95% CI, −6.4% to 15.7%) 、(66.45% vs 60.00%; 6.45% difference, 95% CI, −4.2% to 17.1%))


結論:人工呼吸遷延的必要・単一機関長期ケア施設治療患者において、気管切開下非アシスト呼吸が、Pressure supportに比べ、短期的にウィーニング期間中央値短い。しかし、生存率は同等であった。

2013年1月22日火曜日

H.ピロリ除菌:シーケンシャル法が除菌率成功率高い

ヘリコバクター・ピロリ除菌法として、シークエンシャルにやるほうが成績が良い

Sequential versus triple therapy for the first-line treatment of Helicobacter pylori: a multicentre, open-label, randomised trial
Jyh-Ming Liou et. al.
The Lancet, Volume 381, Issue 9862, Pages 205 - 213, 19 January 2013

sequential治療10日間、14日間 vs 14日間3剤併用
1:1:1
・ sequential treatment (7日間 lansoprazole 30 mg + amoxicillin 1 g → 次の7日間lansoprazole 30 mg+clarithromycin 500 mg+metronidazole 500 mg;すべて×2回/日)
これの10日間 (S-10) or 14日間 (S-14),

・ 3剤14日間 (T-14; lansoprazole 30 mg+amoxicillin 1 g+clarithromycin 500 mg ×14日間;すべて ×2)


除菌率
S-14群 90.7% (95% CI 87.4—94.0; 272 / 300 )
S-10群 87.0% (83.2—90.8; 261 / 300 )
T-14群 82.3% (78.0—86.6; 247 / 300 )

治療有効性は、T-14群に比べS-14群で良好
(ITT解析でも、perprotocolでも有意で、NNTはそれぞれ 12.0 [95% CI 7.2—34.5]; p=0.003) 、13.7 [8.3—40], p=0.003)

群間の副作用イベントの有意差認めず

ABC研究;高齢者の聴覚異常は認知機能低下・認知障害発症と関連

聴覚障害の存在は、どの後の認知機能障害発症と直線的に関連する。


Hearing Loss and Cognitive Decline in Older Adults
Frank R. Lin, MD,  et. al.
for the Health ABC Study Group
JAMA Intern Med. 2013;():1-7. doi:10.1001/jamainternmed.2013.1868.
平均年齢77.4歳、1984名の Health ABC Study


認知機能低下無し (Modified Mini-Mental State Examination [3MS] score, ≥80) の被験者
6年間フォローアップ  
聴覚障害を最良耳で、4kHzで0.5と純音平均閾値で定義
トータルで、1162名のベースラインでの聴覚障害  (pure-tone average >25 dB)
この群の3MS・ Digit Symbol Substitution test score年次減衰率は、正常聴覚のヒトに比べ減少率41%、32%急激。

3MSでは、年次変化は −0.65 (95% CI, −0.73 to −0.56) vs −0.46 (95% CI, −0.55 to −0.36)ポイント/年(P = .004)

Digit Symbol Substitution testでは、年次スコア変化は −0.83 (95% CI, −0.94 to −0.73) vs −0.63 (95% CI, −0.75 to −0.51) ポイント/年 (P = .02)


正常聴覚に比べ、ベースラインの聴覚障害のある人は、認知機能障害のリスク増加24% (hazard ratio, 1.24; 95% CI, 1.05-1.48)

認知機能減少率、認知障害発症頻度リスクは線形的に個別の聴覚障害と相関した。




家族と食事してると、耳が遠くなってることに気付き、会話に入れなくなってると・・・自分の親。
ある日、自分で決断し、補聴器を買った。その後、家族内の会話に自然と入り込むことができてると満足しているのを見るにつけ、それまでの疎外感に気付いあげられなかった。

そういう経験を想い出した報告。

ワクチンスケジュール未遵守小児 ・・・ 受診回数少なく、入院リスク増加の可能性 

 ワクチン接種を受けないということではなく、接種予定日を1日以上怠ったというもの。

 日本では、左翼運動を主体とした一部団体と、それを正当であるかのごとくねじまげた報道を繰り返していた。それは1980年代後半から21世紀となっても続いていた。そのため、ワクチンスケジュール未遵守に関して国民も寛容だし、医師にも遵守させようとする危害が少ない。

 話をもどすと、日本に比べると厳しいようだが、ワクチンスケジュール遵守率は49%というもので、日米のスタンスの違いに驚く。
 その米国でも、10%以上で、特定の予防接種間隔を遅らせたり、摂取量を減らしたり、代替ワクチンを要求するなどの行動を示すとのこと。専門家や政府からはその安全性を危惧されている。


 後ろ向きコホートで、これらの安全性の検討をするため、後ろ向きながら分析を行った。
ワクチンスケジュール未遵守の場合、受診率が少ないが、入院率が高い(IRR 1.21)ことがわかった。一方、親の選択でワクチンスケジュール未遵守の場合、救急受診や入院率が少ない。予防接種遵守に拒否的な両親を持つ子供と、そうでないこともでは有意差は認めなかった(有意さが無い)。


A Population-Based Cohort Study of Undervaccination in 8 Managed Care Organizations Across the United States
Jason M. Glanz, et. al.
JAMA Pediatr. 2013;():1-8. doi:10.1001/jamapediatrics.2013.502.


後顧的マッチ化コホート研究:2004-2008年出生児

2-24ヶ月のワクチン接種未遵守小児のパターンと傾向を調査
ワクチン接種未遵守小児と年齢的に適正なワクチン接種済み小児で、医療利用パターンの比較。

Vaccine Safety Datalinkの8つのマネージドケア機構

ワクチン記録を用い、ワクチン接種未遵守日数平均を算出
・ 理由が有りで、ワクチン接種出来なかった子供を1とし
・ 親の選択で、ワクチン接種しなかった子供を1とし
2つのマッチ化コホートを作成

他条件により年齢適正ワクチン接種マッチ化


2004-2008年誕生の323247名の子供で、24ヶ月例以前で、1日のワクチン接種未遵守率 48.7%

ワクチン未遵守頻度及び未遵守特異的パターンは時と共に増加 (P < .001)

マッチ化コホート解析で、未遵守小児は、年齢的に適正なワクチン接種遵守小児に比べ、外来受診数が少ない (incidence rate ratio [IRR], 0.89; 95% CI, 0.89- 0.90).

逆に、未遵守小児は、入院率が多い  (IRR, 1.21; 95% CI, 1.18-1.23)

二次マッチ化コホートでは、両親によるワクチン未遵守子供は外来受診率が少なく  (IRR, 0.94; 95% CI, 0.93-0.95)、救急外来数も少ない(IRR, 0.91; 95% CI, 0.88-0.94)

ワクチン未遵守比率増加し、未遵守小児はワクチン適正接種児童に比べ医療利用パターンが異なるようである


左翼運動家達は、おそらく、両親選択によるワクチンスケジュール未遵守が、遵守群に比べ有意さが無いことだけにフォーカスし、ワクチン無効論を展開することだろう

最終的には、科学的エビデンスを構築し、両親がその効果を理解出来るようになることが一番だが、あやまったプロパガンダに洗脳された日本国民のほとんどが、正しくワクチンスケジュール遵守できるまでは道は遠い。



親のワクチン拒否にどう対応するか! 2009年 10月 22日

ワクチン拒否者について 2009年 05月 07日


アスピリン使用と加齢黄斑変性症の関連性・・・ 

オーストラリアの研究で、15年間の前向きコホートデータ解析加齢黄斑変性症(AMD)で、アスピリン定期使用との関連性指摘された。

他の研究報告とは必ずしも一致してないこと。しかしながら、可能性があるとしたら、高コストな副作用でありコスト効用から考え直さないといけない可能性もあり、アスピリンが心血管疾患二次予防として広く用いられていることから困惑気味。


前向き研究で今後検討しなければならないことは確かなようだ。

The Association of Aspirin Use With Age-Related Macular Degeneration ONLINE FIRST
Gerald Liew,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-7. doi:10.1001/jamainternmed.2013.1583.

2389名のフォローアップデータ
アスピリン定期使用 257(10.8%)
血管新生AMD 63(24.5%)

アスピリン定期使用では血管新生AMD発症多い
アスピリン定期使用 9.3%
アスピリン定期未使用 3.7%

年齢、性、喫煙、心血管病歴、収縮期血圧、BMI補正後、アスピリン定期使用は、血管新生AMD発症リスク高い (オッズ比 [OR], 2.46; 95% CI, 1.25-4.83)

用量依存関連性認める  (multivariate-adjusted P = .01 for trend)

アスピリン使用は、地図状萎縮発生頻度とは関連せず (多変量補正 OR, 0.99; 95% CI, 0.59-1.65).

2013年1月21日月曜日

過活動性膀胱にも、ボトックス?

過活動性膀胱治療にもボトックス承認 ・・・ 米国FDA

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm336101.htm

抗コリン作動薬内服反応不応もしくは使用不能過活動性膀胱へのBotox (onabotulinumtoxinA)使用承認

1106名の過活動性膀胱症状ありの被験者に対する2つのトライアルから承認
プラシーボ治療比較で、1日あたり1.6回から1.9回の尿失禁数減少
ボトックス治療患者はプラシーボに比較して30ml程度の蓄尿量増加

治療効果は、少なくとも12週間継続

副作用は多いのは、尿路感染、有痛排尿、排尿後膀胱内不完全残量

アルツハイマー病 A4トライアル :抗アミロイドMAb治験失敗後あらたなトライアル

抗アミロイドモノクローナル抗体(MAb)であるSolanezumabトライアル失敗後どうなったか?
イーライリリーの、8月のEXPEDITIONトライアル(抗アミロイド薬:solanezumab)は有意なベネフィットを示せなかった。モノクローナ ル抗体であるBapineuzumab もまた、rogue proteinターゲット薬だったが、結果が得られてない。
アルツハイマー病:“アミロイド仮説” EXPENDITIONトライアル実質失敗と その他の動き 2012/12/21


2つのトライアルの動きが書かれていた

“the 7th Annual Human Amyloid Imaging conference”で、Anti-amyloid Treatment in Asymptomatic Alzheimer’s Disease (A4)を公表:(解説 http://www.alzforum.org/new/detail.asp?id=3379 )
・ 70-85歳・βアミロイドプラーク高レベルPET測定、認知機能徴候無しを対象とした、1000名患者、3年、NIH基金トライアルで、高リスク無症状患者向けトライアルで認知機能障害発症前に発症抑制効果があるかを確認するもの


一方、リリーは・・・
・ "Presymptomatic" AD Trial:
軽度・中等度患者へのトライアル失敗の後、リリー社は、軽度症状アルツハイマー病を分離してトライアルを企てている。


情報ソース: http://www.medpagetoday.com/PublicHealthPolicy/MedicalEducation/36927



頭痛:イオン注入式スマトリプタン(Zecuity)投与FDA承認

sumatriptanをiontophoretic transdermal system (patch)(イオン泳動的経皮注入システム)により投与するZecuity TM(http://www.zecuity.com/,  NuPath( http://www.nupathe.com/)) を「前兆有無に関わらない頭痛」に対して、FDA承認


スマトリプタン 6.5mgを4時間まで注入可能となる



http://www.businessweek.com/ap/2013-01-18/ahead-of-the-bell-nupathe

2013年1月19日土曜日

インフルエンザ:クラリスロマイシンをまるで臨床上確定的なごとくテレビで主張する研究者・・・

クラリスロマイシンのインフルエンザへの効果について、ヒトでの高品質エビデンスはないはず。

だが・・・

ある感染症研究者が「ある種の抗生剤が小児のインフルエンザ抗体産生に役立つ」として、フジテレビの朝のワイドショーである「土曜めざましテレビ」で、それを、紹介していた。

確かに、以下のような、実験的事項は存在する
Oral clarithromycin enhances airway immunoglobulin A (IgA) immunity through induction of IgA class switching recombination and B-cell-activating factor of the tumor necrosis factor family molecule on mucosal dendritic cells in mice infected with influenza A virus.
Takahashi E, et. al. J Virol. 2012 Oct;86(20):10924-34.

Clarithromycin inhibits type a seasonal influenza virus infection in human airway epithelial cells.
Mutsuo Yamaya, et. al. Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 

だが、これらは、臨床上の意義・有害性を担保する研究ではない。


基礎医学的事項だけで、実際の臨床上の効果を宣伝するって行為
時に、テレビで見受けるが、R1の時もそう思ったが、医療関係者全般の評価を下げる行為だと私は思う。

「R1」は二重盲検されてないもともとエビデンスレベルの低い研究で、共役補正などレフリーのいる雑誌に掲載されてるわけでもないのに、メディア露出先行で、ステマ逃げ切りをねらったという意味で悪質だった。

今回のは、「基礎研究」の成果を、「臨床研究」とミスリードする別の意味で悪質な宣伝行為と思う。


インフルエンザ流行期には、その情報ニーズが勃発的に高まる。そのときに、このような宣伝行為が出現するのは必然性があるのかもしれない・・・


クラリスロマイシンなどの抗菌剤は世界的にも乱用とその耐性が問題となっている。基礎研究者はその危機感がたりないから無責任な発言をするのかもしれない。



Flu Epidemic: Fact or Fiction?
By Chris Kaiser, Cardiology Editor, MedPage Today
Published: January 19, 2013
http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/Vaccines/36924

インフルエンザに関わる、現実の流行や、人々の不安につけ込む様々なフィクションなど議論がなされている

流行期ほど、医療関係者の情報発信には抑制的でかつ、信頼性のある情報が求められる。
“これを機に、自己主張や宣伝を行う”などという行為は厳に慎むべき。
 

【警察庁】 人口比無視してなぜ自殺統計発表した? 

マスコミの報道って不思議なことが多い

たとえば、この報道・・・

自殺者 15年ぶり3万人下回る 1月17日 11時35分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130117/k10014857201000.html

 年間の自殺者は平成10年以降3万人を超え続け、ピーク時の平成15年には3万4000人余りに上りましたが、今回、平成9年以来、15年ぶりに3万人を下回りました。
内訳は、男性が1万9216人、女性が8550人で、都道府県別では、自殺者が最も多いのが▽東京都で2760人で、前の年より360人(-11.5%)減りました。
次いで多いのが▽大阪府の1720人で204人の減少、▽神奈川県が1624人で228人の減少、▽埼玉県が1549人で118人の減少などとなっています。
一方、最も少なかったのは▽鳥取県で130人、次いで▽徳島県が164人▽島根県が168人などとなっています。

年齢や原因・動機の内訳を去年11月までの統計で見ると、▽60代が全体の18%と最も多く、次いで▽40代と50代がそれぞれ17%、▽30代が14%となっています。


人口ばらつきあるんだから、 都道府県毎の絶対数で比較してどうすんだ?・・・って誰しも思ったはず。

他のテレビ局、新聞も同様の報道をしている。



人口比で割れば・・・以下の順位となるはず(人口統計時点で順位多少変動有るかも・・・)

自殺者人口比率で言えば、「東京都」・「大阪」・「神奈川」・「埼玉」の代わりに、「山梨」・「新潟」・「秋田」・「高知」・「宮崎」あたりに注目すべきだと思う。

また、自殺者の人口比率が少ないのは、「島根」や「鳥取」、「徳島」の代わりに、「京都」・「香川」・「神奈川」・「広島」が注目されるべき


「内閣府の統計」
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/link/keisatsutyo.html


これはリンクできず

入手できたのはこちらの方・・・
http://www.npa.go.jp/toukei/index.htm#safetylife


わざとまどろっこしくやってるのか・・・???


統計の公開の仕方とか、マスコミ経由の報道とか・・・いろいろ不自然



こんな統計しか発表されないんじゃ日本の自殺の分析困難では?
米国:若年(13-18歳)の自殺行動 2013/01/10
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/01/13-18.html

子供の自殺による親への影響と、親の事前的条件 2013/12/11
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/12/blog-post_9962.html

親の死の影響:自殺企図リスク増加のタイミング 2013/12/11
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/12/blog-post_11.html

医師の自殺:不適切な薬剤選択や治療が自殺リスクとしてあげられる 2012/11/15
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/11/blog-post_8953.html

精神疾患は、高死亡リスク予後 2012/08/09
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/08/blog-post_4965.html

“精神的苦痛”の死亡率への影響は、量反応的・・・予後, 心理 2012/08/08
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/08/blog-post_9562.html
自殺者減少すれば、政府のおかげと政府に尻尾を振るひとも

日本:2009年→2010年自殺減少:政府キャンペーンの効果との主張? Lancet掲載 2012/04/06




都道府県 死亡者数 人口(千人) 人口(10万)あたり自殺数
1 19 山梨 278 857 3.24
2 15 新潟 700 2,362 2.96
3 05 秋田 315 1,075 2.93
4 39 高知 212 758 2.80
5 45 宮崎 307 1,131 2.71
6 03 岩手 353 1,314 2.69
7 02 青森 356 1,363 2.61
8 10 群馬 508 2,001 2.54
9 09 栃木 504 2,000 2.52
10 06 山形 292 1,161 2.52
11 41 佐賀 212 847 2.50
12 43 熊本 446 1,813 2.46
13 35 山口 346 1,442 2.40
14 38 愛媛 337 1,423 2.37
15 01 北海道 1296 5,486 2.36
16 16 富山 257 1,088 2.36
17 21 岐阜 488 2,071 2.36
18 44 大分 279 1,191 2.34
19 40 福岡 1186 5,079 2.34
20 46 鹿児島 394 1,699 2.32
21 07 福島 452 1,990 2.27
22 17 石川 264 1,166 2.26
23 18 福井 181 803 2.25
24 20 長野 479 2,142 2.24
25 31 鳥取 130 585 2.22
26 22 静岡 829 3,749 2.21
27 28 兵庫 1224 5,582 2.19
28 04 宮城 508 2,327 2.18
29 32 島根 155 712 2.18
30 25 滋賀 306 1,414 2.16
31 11 埼玉 1549 7,207 2.15
32 08 茨城 627 2,958 2.12
33 36 徳島 164 780 2.10
34 13 東京 2760 13,196 2.09
35 30 和歌山 207 995 2.08
36 24 三重 384 1,847 2.08
37 12 千葉 1242 6,214 2.00
38 42 長崎 283 1,417 2.00
39 33 岡山 381 1,941 1.96
40 23 愛知 1454 7,416 1.96
41 27 大阪 1720 8,861 1.94
42 47 沖縄 267 1,401 1.91
43 29 奈良 263 1,396 1.88
44 34 広島 514 2,855 1.80
45 14 神奈川 1624 9,058 1.79
46 37 香川 176 992 1.77
47 26 京都 464 2,632 1.76
























































































































































































































































記者クラブって絶大なる力を持ってるんだなぁ。

徐放ナイアシン製剤:“検査結果改善≠イベント改善効果”

メルク社は、HPS2-THRIVE trialの予備的結論に基づきヨーロッパから、“Tredaptive (niacin/laropiprant)”撤退を決定。
http://www.medpagetoday.com/cardiology/dyslipidemia/36812



この薬剤は、“ 徐放性ナイアシンと、ナイアシン治療によるほてりを抑制するDP-1選択的阻害剤ラロピプラントの合剤”


HDL増加・LDL低下という薬剤効果みたが、臨床的効果と乖離し、むしろ、主要血管イベント(冠動脈死、非致死的心発作、卒中、血管再建術)増加をスタチン単独使用に比較してもたらした。



トライアル自体は25673名(ヨーロッパ14741名、中国10932名)
フォローアップ中央値3.9年



日本で上市されている“ニコチン酸系製剤”
コレキサミン錠200mg(ニコモール)
ペリシッド錠125・250mg(ニセリトール)

これら薬剤も、心血管イベントに関わる臨床的有効性証明できなければ、市場から撤退してもらった方が良い。

2013年1月18日金曜日

糖の取り過ぎでも太る ・・・“糖は肥満と関係ない”というのは誤り


こういう記載のサイトがある・・・
砂糖は嗜好性が強いので、肥満の原因といわれることがありますが、カロリーはそれほど高くなく、単位あたりで比較しても脂肪の半分以下です。さらに、砂糖には食欲をおさえる働きがあり、この点でも、肥満とは関係ないことがわかっています。
時に、テレビ・ラジオ・新聞・週刊誌で、こういう主張を見聞きすることがある。


これは真実なのだろうか?


 “(砂糖)が肥満と関係ない”というのは誤り である。


以下のシステマティック・レビューに元づき記載すれば・・・
“肥満と砂糖は関係ある” というのは事実

ただ、他の栄養素と等エネルギー比較すると、肥満(脂肪量)への影響は同じ

正しくは、“糖も他の栄養素と同様肥満と関連する”と記載すべきである




システマティック・レビュー&メタアナリシス

糖摂取量増えるほど脂肪量は増加する。ただ、他の主要栄養素とエネルギー等価交換において、脂肪量は増えないので、基本的には食事量が増えるためと考えられる。

Dietary sugars and body weight: systematic review and meta-analyses of randomised controlled trials and cohort studies
BMJ 2013; 346 doi: (Published 15 January 2013) Cite this as: BMJ 2013;346:e7492

トライアル7895中30、コホート研究9445中38を登録

アドリブ食(食事摂取に厳しい制限せず)成人トライアルにおいて、食事中の糖摂取量減少は体重減少と相関 (0.80 kg, 95% 信頼区間 0.39 ~ 1.21; P<0 .001=".001" br="br">糖摂取量増加は、体重増加と相関する (0.75 kg, 0.30 ~ 1.19; P=0.001)

他の炭水化物を食事性糖の等エネルギー交換にて、体重の変化を示さない (0.04 kg, −0.04 to 0.13)

小児のトライアルにおいて、糖加糖食事・飲料減少を勧めている場合、被験者のコンプライアンス悪く、これらのトライアルでは体重の包括的変化認めず。

しかし、前向き研究の1年後糖甘味飲料摂取相関に関し、糖摂取最大摂取群/最小摂取群比較の、過体重・肥満となるオッズ比は1.55(1.32-1.82)

1つのメタアナリシスではheterogeneity有意に存在し、複数のトライアルではバイアスが存在したが、感度分析では、この傾向は一致し、除外後も相関性存在。





成人体脂肪量測定:糖摂取減少の効果




 


成人体脂肪測定量:糖摂取増加の効果



 


糖を他の炭水化物・主栄養素類へ等エネルギー交換の影響





小児体脂肪量:食事性糖摂取減少効果





小児体脂肪量と糖摂取の相関性





でも、bioelectrical impedance analysis (BIA)ってほんとに信頼できるのだろうか?

太り気味の方が死亡率は低い ・・・ 解釈は単純ではない

ちょっと太り気味の方が死亡率は低い ・・・ってことなのだが、エディターでは、そういう単純なものではないと考えてるようだ。交絡要素の可能性を示唆している。


 Association of All-Cause Mortality With Overweight and Obesity Using Standard Body Mass Index CategoriesA Systematic Review and Meta-analysis
Katherine M. Flegal, et. al.
JAMA. 2013;309(1):71-82. doi:10.1001/jama.2012.113905.


正常体重(BMI 18.5~25以下)比較のRandom-effects summary 全原因死亡 HRs
overweight (BMI  25~30未満): 0.94 (95% CI, 0.91-0.96)
obesity (BMI  30以上):1.18 (95% CI, 1.12-1.25)
grade 1 obesity (BMI  30~35未満):0.95 (95% CI, 0.88-1.01)
grades 2 / 3 obesity (BMI  35~、40以上):1.29 (95% CI, 1.18-1.41)

適正補正考慮された体重・身長に限定した場合に一致した所見

現実測定に比べ、自己報告体重・身長の場合の方が、ハザード比高い


grade 2/3の肥満では、全原因死亡率は高い
grade 1の肥満では死亡率増加とは関連せず、過体重はむしろ全原因死亡率低下を示す。
事前定義標準BMIにて研究間比較を調整した。


Only Substantial Obesity Is Associated with All-Cause Mortality
In a meta-analysis, being modestly overweight was somewhat protective.
http://general-medicine.jwatch.org/cgi/content/full/2013/117/1?q=etoc_jwgenmed
米国、ヨーロッパ、オーストラリアの288万名、27万件の死亡事象を含む97研究のまとめで、体重カテゴリーを標準化したもの。

“肥満と死亡との関連性の過剰補正もなく、年齢、性別、喫煙状態の過小補正もない”


疑問点がうかぶのは、軽度過体重から肥満の場合、早期死亡増加の関連性が、以前の報告であったこと。
エディターは、BMIに関して住民統計学的データ、人種、脂肪蓄積、心血管系フィットネスの独立した関連性を斟酌してなかったことに着眼している。
医療に関しては、合併症・QOL低下に関わる死亡率を取り組まなければならない。
体重やBMIは有益だが、カウンセリング上はそれだけでは不完全だ。


テレビやラジオなどで、物知りが押した解説者が「ちょっと太り気味の方が長生き」なんて講釈たれそうな話題ではある。テレビって、ものごとを断定的にするほうが好まれる。テレビや出版業界からは慎重な物言いはきらわれるから極論する方が取り上げられやすい。

悪性黒色腫診断スマホ・アプリの診断正確性 ・・・ 


皮膚病変を写真で判断するスマートフォンアプリの評価

4つのスマートフォンアプリ


 Diagnostic Inaccuracy of Smartphone Applications for Melanoma Detection
Joel A. Wolf, et. al.
JAMA Dermatol. 2013;():1-4. doi:10.1001/jamadermatol.2013.2382.

感度は、6.8%から98.1%
特異度は、30.4%から93.7%
PPVは 33.3%から42.1%
NPVは、65.4%から97.0%

最も感度の高いメラノーマ診断アプリは専門医資格をもつ皮膚科医師への転送及び診断アプリであったというオチ

もっともだめなのは、画像診断自動アルゴリズムによるもの

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note