2013年9月30日月曜日

DHA/EPA濃度は、認知機能とその経時的衰弱とは無関係 ・・・ 嘘を言うな→「ぼけない食事」

ぼけないための食事」、「認知症予防のための食事」とかいうのは、嘘 ・・・ 大概、DHA/EPA仮説に基づき暴走している主張・記載だらけ


いいかげんな記載はいい加減やめてほしい


Eating fish may not help with memory, thinking skills
http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/09/25/fish-brain-memory/2864021/

UPI:http://www.upi.com/Health_News/2013/09/29/Omega-3-fatty-acids-may-not-help-retain-brain-function/UPI-10491380470672/


Omega-3 fatty acids and domain-specific cognitive aging: Secondary analyses of data from WHISCA
Eric M. Ammann, et. al.
Neurology 10.1212/WNL.0b013e3182a9584c; published ahead of print September 25, 2013
【目的】 赤血球中DHA・EPAレベルは、65歳以上成人の、ドメイン特異的機能に関して防御的に働くという仮説検証。 
【方法】 閉経後ホルモン治療臨床トライアル酸化認知機能正常2157名女性で、中央値 5.9年間、年次認知機能フォロー。
後顧的コホート研究、ランダム化前、赤血球DHA+EPA値と、以下の関連性評価
a) ベースラインでの認知機能測定値 
b) 時間推移に於ける認知機能変化

以下の7つのドメインによる認知機能・パフォーマンス組み合わせ
・fine motor speed
・verbal memory
・visual memory
・spatial ability
・verbal knowledge
・verbal fluency
・working memor

【結果】 人口統計的、臨床的、行動的指標補正後、初年次認知機能評価バッテリーに対する、横断的認知機能の有意な差は、DHA+EPA3分位高低群で、有意差を認めず
加え、3分位において、認知機能時間推移変化でも有意差認めず

【結論】高齢・認知症無しの女性において、赤血球中DHA+EPA濃度と加齢関連性認知機能減衰関連性認めず

虚血性心疾患:負荷薬剤 アデノシンからregadenoson (Lexiscan) へ?

ASNC(該当medpage http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASNC/


新しい血管拡張剤 regadenoson (Lexiscan)  は、薬剤負荷試験として標準薬であるアデノシンを用いた場合と、同等の予測性を持つという報告。

軽度の副作用、頭痛・消化器系副作用は持つものの、より重篤な副作用である、房室ブロックや気管支れん縮を生じないというベネフィットを持ち、アデノシンにほぼ全て置き換わると期待される報告。

だが、まだ、後顧的単施設研究で有り、寄与要素の可能性がある。


"Comparison of the prognostic value of regadenoson vs adenosine stress SPECT MPI in patients with known or suspected coronary artery disease"
ASNC 2013; Abstract 308-01.
Farzaneh-Far A, et al
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASNC/41944

stress SPECT心筋血流画像検査施行、3698名の連続患者
アデノシン検査された1737名は異なる鍵となる心血管リスク要素を有し、2年間フォローアップ、心血管死 151名、非致死性MI 74名

ベースラインの差を考慮した逆確率加重後の2つの検査群間の心血管死亡確率の差は数%


画像検査の話題、もう一つ

Enhanced Cardiac PET Picks Up More Heart Disease
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ASNC/41942

定量的心筋血流画像検査では、ゴールドスタンダードの血管造影と比較すると、いわゆる多枝血管疾患では、45%ほど過小評価となると、クリーブランドクリニックの研究者
しかし、血管造影疾患の重症度とともに、連続変数として記録され、正常血管 vs 1枝疾患、 1枝血管 vs 2枝疾患、 2枝疾患、 2枝 vs 3枝疾患毎に変化する。
カットオフ値 1.6ml/min/gで、正常患者パターン95%信頼区間外に相当。

Lou JY, et al "Underestimation of severe and extensive CAD by stress-rest cardiac PET: Incorporation of PET-assessed myocardial blood flow values improves identification of multivessel CAD" ASNC 2013; Abstract 211-02.

2013年9月28日土曜日

地中海ダイエット:食品中抗酸化作用は、摂取者ベースライン状況により補正的に働く・・・ サプリメントではそうはいかない

抗酸化作用というのは、カウンターパートがなければ、それ自体が、pro-oxidant(酸化促進)作用をもつ。

抗酸化物質だけを大量にとると酸化促進物質として溜まる 2011年 06月 09日

食品外の人工的サプリメントの怖いところはそれだと思うが、食品に於ける抗酸化作用、Mediterranean Diet、特に、バージンオイルに関しては、摂取者の抗酸化能力により、低活性なら抗酸化亢進的に働き、高活性なら抑制的に働くってところが良いと思う。


Mediterranean diet and non enzymatic antioxidant capacity in the PREDIMED study: Evidence for a mechanism of antioxidant tuning
R. Zamora-Ros, et. al.  on behalf of the PREDIMED Study Investigators
Nutrition, Metabolism & Cardiovascular Diseases
Received 21 July 2012; received in revised form 23 November 2012; accepted 27 December 2012. published online 27 February 2013.


抗酸化作用リッチな食品摂取は、血中 NEAC(non enzymatic antioxidant capacity)増加する。NEACは諸筋注の全ての抗酸化物質が関与し、共同的に働くとし、1年間のMediterranean diet介入にて、その評価を行った。 
血中NEACレベルをベースラインと、介入1年後測定。
1) バージンオリーブ油添加 Mediterranean diet  (MED + VOO)
2) ナッツ油添加 Mediterranean diet   (MED + nuts)
3) 低脂肪ダイエット:対照 
 
FRAP (ferric reducing antioxidant potential) と TRAP (total radical-trapping antioxidant parameter) assayで、血中NEAC測定

血中FRAP指標は、介入1年後
・ MED + VOO [72.0 μmol/L (95% CI, 34.2–109.9)]
・ MED + nuts [48.9 μmol/L (24.3–73.5)]
・control low-fat diet [13.9 μmol/L (−11.9 to 39.8)].

ベースライン血中FRAP濃度最小4分位群被験者では、有意に介入後この指標増加。一方、高濃度4分位群では、減少
同様の傾向が、TRAP値で観察される。



閉塞型無呼吸:cPAP治療の降圧効果 effect sizeは限定的だが、重症ほど効果あり

高血圧の要因としての閉塞型無呼吸は確立しているが、閉塞型無呼吸患者の血圧へのCPAP効果は、減少効果に関しては結論的でなかった。

sham cPAPやプラシーボ錠剤・保存的方法というpassive治療と、口デバイス・降圧剤治療といったactive治療に比較した、 cPAPのeffect sizeを明確にするシステマティック・レビュー。

cPAP治療は閉塞型無呼吸の血圧減少効果を認めるが、そのeffect sizeは比較的軽度。
繰り返す無呼吸エピソード患者ほどcPAPによる降圧効果は期待できる。

EFFECT OF CONTINUOUS POSITIVE AIRWAY PRESSURE (CPAP) ON BLOOD PRESSURE IN PATIENTS WITH OBSTRUCTIVE SLEEP APNEA/HYPOPNEA. A SYSTEMATIC REVIEW AND META-ANALYSIS.
Cristiano Fava;  et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-1115


1614文献中、passive or active治療比較の32RCTで、passiveあるいはactive治療比較
 
対 passive治療の、random effect メタアナリシス、30 RCTs; 1906名で、平均ネット差は収縮期血圧 2.6± SEM 0.5、 拡張期血圧  2.0±0.4 mmHgで、 cPAP治療が両校 p < 0.001。



昼間・夜間データを含む24時間持続血圧研究では、 平均収縮期、拡張期血圧はそれぞれ、 昼で、 2.2±0.7 mmHg 、1.9±0.7 mmHg、 夜間で 3.8±1.0 mmHg 、 1.8±0.6 mmHg


メタ回帰分析にて、ベースラインAHI高値 は、収縮期血圧ネット値減少の程度と相関  (beta±SE: 0.09±0.03)

出版バイアスエビデンス無く、heterogeneityは軽度  (I2=31-34%)

2013年9月27日金曜日

2型糖尿病・第一選択 SU剤でメトホルミン比、死亡率 6割増加

MedPageからの情報で、EASD 2013報告

英国データの後顧的解析で、ファーストラインにメトホルミン使用するのに比較して、SU剤初期治療では、58%ほど全原因死亡率増加させるという報告

 1.58 (95% CI, 1.48-1.68, p < 0.001)

glimepiride(アマリール)、glipizide(Glucotrol)を含む薬剤クラスにおいて2型糖尿病有害事象イベントリスク増加するという、エビデンスがあった。このクラスの薬剤がメトホルミンのサブプランとして使用される場合が存在しており、耐用性不良な場合など、英国では、15%で使用されている。


"Association between first-line monotherapy with sulfonylurea versus metformin and risk of all-cause mortality"
Jenkins-Jones S, et al EASD 2013; Abstract 201.


日本では、2型糖尿病診療に関し、UKPDSなどのエビデンス無視した医療が長く続いてきた。SU剤第一選択とすることを是認すらされてた。日本の糖尿病を指導する立場の、専門医たち、糖尿病診療指導者たちは、なんと罪深いことをやってきたことか・・・

かれらは、今日もメトホルミンの危険性をあおり、一般医家を、エビデンス構築の少ない新薬へ誘導するのに今日も懸命である。試験管内エビデンスをまるで臨床的エビデンスごとくだます講演会で、かれらの懐たんまり。臨床的エビデンスをミスリードしつづける愚かな啓発活動。それにだまされるオーディエンスも、オーディエンスだが・・・

高用量吸入ステロイドはやはり視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA)機能へ影響を及ぼす

メルクのDuleraでの検討で、比較薬はアドエアもどき



HPA axis Effects of Mometasone Furoate/Formoterol Fumarate Versus Fluticasone Propionate/Salmeterol Administered via Metered-Dose Inhaler
Teddy Kosoglou,  et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0505 

66名の軽症・中等症喘息・
ランダム化オープンラベルプラシーボ対照化平行群研究

MDIによる1日2回投与x42日間
・ モメタゾン・フロン酸/ホルモテロール(MF/F) 200 μg/10 μg
・ モメタゾン・フロン酸/ホルモテロール(MF/F) 400 μg/10 μg
・ フルチカゾン・プロピオン酸/サルメテロール (FP/S) 460 μg/42 μg
・ プラシーボ

平均ベースラインコーチゾルAUCは群間横断的に同等。

MF/F 400/10、 FP/S 460/42は、平均血中コルチゾールとして同様 (Geometric mean ratio (GMR) 119%; 90% CI 101%-140%)

MF/F 200/10のコーチゾルAUCへの影響はプラシーボと同様 (GMR 92%; 90% CI 78%-110%)

だが、MF/F 400/10、 FP/S 460/42は、対プラシーボ比較で、血中AUC低下 (GMR 78%; 90% CI 66%-92%、 66%; 90% CI 56%-78%)

全ての治療は一般的に耐用性良好



LABA、ICS、LAMA入り乱れ、配合剤

尿道カテーテル留置:非感染症合併症

 Determining the Noninfectious Complications of Indwelling Urethral Catheters: A Systematic Review and Meta-analysis
John M. Hollingsworth,  et. al.
Ann Intern Med. 2013;159(6):401-410. doi:10.7326/0003-4819-159-6-201309170-00006 

37研究、2868名プールデータ。

マイナー合併症は多い。例えば、尿漏れは、短期では10.6% (95% CI, 2.4% to 17.7%) 、長期留置カテーテル(外来)では52.1% (CI, 28.6% to 69.5%)



重篤な合併症は、尿道狭窄で、短期で 3.4% (CI, 1.0% to 7.0%)

脊髄損傷患者では、gross hematuriaは 13.5% (CI, 3.4% to 21.9%) 。膀胱がん発症 1.0% (CI, 0.0% to 5.0%)




心臓手術患者における、ストレス潰瘍予防薬剤種類と、院内感染肺炎リスク: PPIと院内肺炎

後顧的コホート研究、CABG施行21214名で、PPI  9,830名 vs H2RA 11,384名比較


Type of stress ulcer prophylaxis and risk of nosocomial pneumonia in cardiac surgical patients: cohort study
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5416 (Published 19 September 2013)
propensity score補正後、H2RA比較のPPI治療による肺炎リスク増加あり
(相対リスク 1.19, 95% 信頼区間 1.03-1.38)

instrumental variable analysisにて、PPI使用は、1000名の患者あたり、8.2名(95% 信頼関係 0.5 - 15.9)の肺炎リスク増加と関連


心臓手術後のコモンな合併症、2%−10%にものぼる合併症は、院内肺炎であり、死亡リスク増加をもたらし、その死亡率は20%−50%。制酸治療は、胃内pH増加をもたらし、細菌増殖を生じ、気管内コロナイゼーション、肺炎の原因ともなる。

この種の比較の時は、日本の保険適用用量と、文献用量が異なることである。
本文でも、mgやgram等の表記無いため、日本の臨床実践・臨床的適応には、配慮が必要。

2型糖尿病:プラクティス・ナースによる電話指導 ・・・ 介入改善効果無し

日本でも、看護師の業務拡大ということで、ナース・プラクティショナー(NP)的なものを模索しているようだ。議論は急性期医療重視で進んでいるようだが、真に、臨床的アウトカム改善につながるか、地道な検証も望まれる。

プラクティス・ナースによる電話コーチング介入を、現実のプライマリケア状況に加えたところ、アウトカムに有意な差は出現しなかった。

受け手の拒否的態度を示す例も1/4程度であり、憔悴してしまう症例もある。介入方法の改善で、アウトカム改善するか議論も必要であろう。
電話以外の個別対面指導ではその効果が変わるか?その効率性と同時に検討が必要だろう。


Effectiveness of general practice based, practice nurse led telephone coaching on glycaemic control of type 2 diabetes: the Patient Engagement And Coaching for Health (PEACH) pragmatic cluster randomised controlled trial
Irene D Blackberry  et. al.
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5272 (Published 18 September 2013)

ベースラインでは、介入群、対照群同等。ドロップアウト症例無しだが、attriction rateは両群とも5%。

コーチングセッション数中央値は、236名の介入患者で、3回(IQR 1-5)で、全くコーティングセッション受けなかった比率は、25%(58/236) 
18ヶ月フォローアップ時点で、ベースライン・クラスタリング測定HbA1c補正で、血糖コントロールに有意差認めず(平均差 0.02, 95% 信頼区間 -0.20 〜 0.24, p = 0.84)

各自治体・保健師が健康増進ということで、訪問指導や集団指導している例がある。とんちんかんな指導も多く見聞きをする。一番気になるのは、ジェネリック変更を勧める事例である。本来の目的を逸脱している越権行為と思われるのだが、限度を超えた事例も多く存在する。メトグルコ(先発)しか保険適応のない事例なのに、後発推進する行為などは犯罪的とさえ思える。


うつと糖尿病の組み合わせで、急性心筋梗塞リスク著明増加

うつと糖尿病の関連性は今までも取り上げてきた。
うつと2型糖尿病の両方向性の関係2010年 11月 24日 
糖尿病とうつ2007年 04月 24日 
うつと糖尿病の関係:治療下糖尿で合併頻度増加、未治療糖尿で頻度低下・・・など2008年 06月 18日 
ACCORD-MIND:2型糖尿病患者:うつと、認知機能低下の関連性 http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/08/accord-mind.html

European Association for the Study of Diabetesにて、心筋梗塞合併症を、うつと糖尿病併発による、著明なリスク増加が明らかとなった。

45−64歳女性の心筋梗塞オッズ比は、いづれも存在しない場合に比較して、糖尿病とうつの組み合わせで、オッズ比7.1(95% CI, 6.1-8.2)倍にもなる。
同年齢層の男性では、2.8(95% CI, 2.5-3.2)倍。


"Myocardial infarction in subjects using anti-diabetic and/or antidepressant agents compared to non-users: a nationwide register study in Sweden"
Rådholm K, et al
EASD 2013; Abstract 202.

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/EASDCardio/41896


2013年9月26日木曜日

低血糖予防グルコースセンサーインスリンポンプ:中等度・重度低血糖イベント発生抑制効果

センサーを用いたインスリンポンプ使用により、セットされた閾値以下ではインスリン供給停止することで、重度・中等度低血糖減少させることができる。

Effect of Sensor-Augmented Insulin Pump Therapy and Automated Insulin Suspension vs Standard Insulin Pump Therapy on Hypoglycemia in Patients With Type 1 Diabetes: A Randomized Clinical Trial
Trang T. Ly,  et. al.
JAMA. 2013;310(12):1240-1247. doi:10.1001/jama.2013.277818.


sensor-augmented pump therapy with an automated insulin suspension or low glucose suspension functionは、重大な低血糖期間・頻度を減らすテクノロジーである。
1型糖尿病9名を対象とした、標準インスリン治療と比較した、ランダム化臨床トライアル 
プライマリアウトカムは、重度(低血糖性けいれん・昏睡)と中等度低血糖(治療必要なイベント)組み合わせ頻度。
標準ポンプ法に49名、 low-glucose suspensionに46名に割り付け

平均年齢(SD) 18.6(11.8)歳、糖尿病罹患期間は11.0(9.9)年間。
ポンプ治療期間 4.1(3.4)年間。
重度・中等度低血糖イベントのベースライン頻度は、 pump-only群: 20.7 vs  low-glucose suspension群: 129.6 イベント/100 人・月

6ヶ月後、イベント率は
pump-only群:28 → 16
low-glucose suspension群: 175 → 35

100人・月あたりの補正発生頻度は、前者で 34.2 (95% CI, 22.0-53.3) 、 後者で  9.5 (95% CI, 5.2-17.4) で、頻度発生比率は 3.6 (95% CI, 1.7-7.5; P <.001)

どの群でも糖化ヘモグロビンに差を認めず、前者平均 7.4 (95% CI, 7.2-7.6) to 7.4 (95% CI, 7.2-7.7)、 後者平均 7.6 (95%, CI, 7.4-7.9) to 7.5 (95% CI, 7.3-7.7)

counterregulatory hormone反応は変化認めず

糖尿病ケトアシドーシス、ケトーシスを伴う高血糖のエピソード無し

Serelaxin:腎血流改善効果 ・・・ サブグループ解析でのベネフィット援護射撃?

Heart Failure Society of America年次総会での報告で、腎血流改善効果が報告された。

オリジナルのRELAX-AHF pIIIでは、全原因死亡率減少示されたが、心不全・腎機能障害関連ベネフィットを示せなかった。

pIIとPIIIの組み合わせサブグループ解析では、血中CrとシスタチンC値が登録5日間で改善、腎機能悪化頻度改善効果がday2で見られた報告がなされている。
さらに、最近のpIIIトライアルサブグループ解析では、eGFR 50未満での死亡率減少効果報告。

やぶにらみ的に見れば、あきらめられないため、サブグループ解析必死ともとれるが・・・


"Renal hemodynamic effects of serelaxin in patients with chronic heart failure: main results of a randomized, placebo-controlled, multicenter study"
Voors AA, et al
HFSA 2013; Abstract A2202.

参照:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/HFSA/41868



Medpageには、「serelaxinとは、血管弛緩物質で、臓器血流改善効果」 。妊娠中など自然に産生されるが、男性でも産生されるとも・・・

投与群では、8−24時間渡り、腎血流量ベースラインから29%増加し、プラシーボでは14%と比較(p= 0.038) 

0-24時間でも、増加(31% vs 13% p = 0.0004)、 24−28時間においても (35% vs 16% p = 0.011)


新しいサイトメガロウィルス感染予防薬剤:CMX001

CMX001 to Prevent Cytomegalovirus Disease in Hematopoietic-Cell Transplantation
Francisco M. Marty,  et. al.
for the CMX001-201 Clinical Study Group
N Engl J Med 2013; 369:1227-1236September 26, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1303688

新しい抗ウィルス薬が、同種造血系臓器移植に関わるサイトメガロウィルス感染予防効果有りと、pIIトライアル結果

4ヶ月間・CMX001投与で、プラシーボと比較し、CMV感染発症 10%、ウィルスDNAレベル 37%減少する。
しかも、骨髄抑制・腎臓毒性がない。高用量では、用量依存的な下痢を生じるという報告。


CMX001は経口でバイオアビリティー可能な、acyclic nucleoside phosphonateで、小腸にて吸収、リン脂質として全身へ輸送される。細胞内半減期は長い。

変形性膝関節症:単純に運動指導するより食事で膝圧迫力低下・炎症低下効果、食事・運動併用でさらに効果あり ・・・ インチキ・ロコモ撲滅を

体重過多/肥満成人の変形性膝関節症患者への強化食事・運動介入の効果:関節負荷、炎症、臨床的アウトカム

こういう報告を見ると、臨床整形外科学会って、本来こういう研究を積み重ねて、無・寡動症に真正面から向き合うべきではないか。

「膝が痛いから動かないのか、動かないから膝が痛いのか」というのを問題にするより、食事・運動を共に介入する方がそのベネフィットは大きい。
「ロコモ」なんてインチキ概念普及に懸命になるより、整形外科関連の医者たちがたくさん見ている変形性関節症患者さんたちに真正面から取り組め・・・と、えらそうに言ってみる。

Effects of Intensive Diet and Exercise on Knee Joint Loads, Inflammation, and Clinical Outcomes Among Overweight and Obese Adults With Knee Osteoarthritis
The IDEA Randomized Clinical Trial
Stephen P. Messier,  et. al.
JAMA. 2013;310(12):1263-1273. doi:10.1001/jama.2013.277669
【デザイン・セッティング・被験者】単盲験・ランダム化・18ヶ月間臨床トライアル(2006年7月から2011年4月)
食事・運動介入は、運動群においては施設ベースでなされ、その後自宅ベースプログラムへ移行。454名の体重過多/肥満高齢者居宅成人(55歳以上、BMI 27−41)
疼痛有り・レントゲン上の変形性膝関節症あり

【介入】
強化食事誘導的減量+運動 vs 強化食事誘導減量 vs 運動

【主要アウトカム・測定項目】
mechanistic primary outcome: 膝関節圧迫力・血中IL-6濃度
セカンダリ・臨床的アウトカム:自己報告疼痛(range 0-20)、運動性、健康関連QOL( 0-100)

【結果】
399名(88%)研究完遂。

平均体重減少
・食事/運動 10.6kg(11.4%)
・食事 8.9kg(9.5%)
・運動 1.8kg (2.0%)

18ヶ月後、膝圧迫力は、食事介入で、運動介入より、低下効果あり  (平均比較, 症例数 2487 ; 95% CI, 2393 to 2581 v.s. 症例数 2687 95% CI, 2590 to 2784, pairwise difference [Δ]exercise vs diet = 症例数 200 ; 95% CI, 55 to 345; P = .007)

IL-6濃度は、運動介入(3.1 pg/mL; 95% CI, 2.9 to 3.40 に比べ、食事/運動併用介入でより低下(2.7 pg/mL; 95% CI, 2.5 to 3.0) 、食事介入 でも低下(2.7 pg/mL; 95% CI, 2.4 to 3.0)(Δexercise vs diet + exercise = 0.39 pg/mL; 95% CI, −0.03 to 0.81; P = .007; Δexercise vs diet = 0.43 pg/mL; 95% CI, 0.01 to 0.85, P = .006)

食事単独介入群(4.8; 95% CI, 4.3 to 5.2) 、運動単独介入群(4.7; 95% CI, 4.2 to 5.1)より、食事/運動同時介入群で、疼痛軽減  (3.6; 95% CI, 3.2 to 4.1) 、より機能改善 (14.1; 95% CI, 12.6 to 15.6)( Δexercise vs diet + exercise = 1.02; 95% CI, 0.33 to 1.71; Ppain = .004; 18.4; 95% CI, 16.9 to 19.9; Δexercise vs diet + exercise, 4.29; 95% CI, 2.07 to 6.50; Pfunction < .001)

食事/運動併用群は、又、身体健康関連QOLスコアを、運動群より改善する (44.7; 95% CI, 43.4 to 46.0 v.s. 41.9; 95% CI, 40.5 to 43.2; Δexercise vs diet + exercise = −2.81; 95% CI, −4.76 to −0.86; P = .005)

足下を見ず、巨大バルーンを掲げて、国民・住民に、雑音を大音量で強制するような、集団的利己的行為・・・ ロコモ運動。かつてのパワーリハビリテーションより、立ち回りがずるがしこくなった。

患者の「疼痛」に対して恐怖感を与え、不要な画像検査を大量施行し、鎮痛剤を多種多様、最近ではオピオイド系まで、報酬系に関わる中枢神経系薬剤投与し、簡単には離脱できないような状況にして、非システミックな「リハビリテーション」とはいいいがたい短時間の除痛だけを繰り返す日常臨床を行い続けている、不心得ものとしかおもえないような一部医師たちの存在がいる。自己反省無く、内部批判もないため、外部から批判せざる得ない。

2013年9月25日水曜日

急性頭痛: Ottawaくも膜下出血ルール 

 Ottawa Subarachnoid Hemorrhage, Ottawa SAH, ルール


The presence of any of these high-risk features would prompt diagnostic evaluation in the proposed rules:
Rule 1: 40歳以上, 頸部pain or stiffness, 目撃者の居る意識消失, 労作中発症 
Rule 2: 45歳以上, 救急車搬入, 嘔吐, 拡張期血圧 100 mmHg以上 
Rule 3: 45-55歳, 頸部pain or stiffness, 救急車搬入, 収縮期血圧160 mm Hg 以上


頭痛患者からくも膜下出血除外する3つの意思決定ルールが導かれている。アキュラシー、リライアビリティ、受容性、(例えば、感度、特異性に関する)改善可能性検討

"Clinical decision rules to rule out subarachnoid hemorrhage for acute headache" 
Perry J, et al 

カナダの10の大学関連三次医療ED(2006年4月から2010年7月)、2131名の頭痛患者、1時間内ピークで、神経学的異常認めない患者 

くも膜下出血定義
(1) CTスキャン上くも膜下の血液(2) 脳脊髄液のxanthochromia (3)血管造影所見陽性を伴う、脳脊髄液final tubeでの赤血球 
検討 2131名のうち、くも膜下出血 132名(6.2%)

40歳以上、頸部痛あるいはstiffness、目撃者の存在する意識消失、運動中発症という決定ルールでは、感度  98.5% (95% CI, 94.6%-99.6%) 、特異度  27.5% (95% CI, 25.6%-29.5%)

これに、 “thunderclap headache” (ie, instantly peaking pain) と、 “limited neck flexion on examination” を加えると、Ottwa SAH Ruleとなり、100%(95% CI, 97.2%-100.0%)の感度と特異度 15.3%(95% CI, 13.8%-16.9%)となる。

「発症後1時間内ピークの頭痛、正常神経所見」の急性非外傷性頭痛ED受診患者では、Ottwa SAH Ruleでは、急性くも膜下出血同定上、感度かなり高い 
これらの所見は特異的臨床特徴を有する患者にのみ適応され、ルーチンの臨床診察適応される前に組み込まれる必要のある評価基準である




検診:骨塩定量繰り返し測定は意味が無い

骨塩定量ってのは、何度も繰り返さなきゃならない?

高齢者では骨塩定量による骨粗鬆症検診が推奨されてるが、繰り返すことの意義に関しては不明であり、以下の報告によると、繰り返し骨塩定量測定に関して極軽度のリスク広い上げはあるが、その臨床的意味は無いというもの


骨塩定量繰り返し測定に関する不要論は以前から存在する。
正常骨密度なら15年以上DXA検査しなくてよい ・・・ これへの反論 2013/04/15


Repeat Bone Mineral Density Screening and Prediction of Hip and Major Osteoporotic Fracture
Sarah D. Berry,  et. al.
JAMA. 2013;310(12):1256-1262. doi:10.1001/jama.2013.277817.

Framingham Osteoporosis研究
男性 310名、 女性 492名住民ベースコホート研究
1987−1999年の代替頸部BMD2回測定
平均年齢74.8歳。BMD平均変化(SD)は、- 0.6%/年(1.8%)
フォローアップ中央値は9.6年間で、股関節骨折発症 76名、 重大骨粗鬆症骨折 113名。 
年次BMID/SD減少率は、骨折リスク (hazard ratio [HR], 1.43 [95% CI, 1.16 to 1.78]) 、重大骨粗鬆症骨折(HR, 1.21 [95% CI, 1.01 to 1.45]) とベースラインBMD補正後相関す
10年フォローアップ時点で、BMD変化年間1SD減少は、平均BMD変化に比べ、100名あたりの骨折超過3.9と相関する。

ROC曲線解析にて、ベースラインBMDのモデルに、BMD変化指標を加えることで、パフォーマンスは別にさほど意味あるほど変化はしない。
ベースラインBMDモデルのAUCは0.71(95% CI, 0.65-0.78)、 BMDパーセント変化モデルでは、 0.68 (95% CI, 0.62 to 0.75)

さらに、ベースラインBMDモデルに、BMD変化を加えても、パフォーマンス改善せず (AUC, 0.72 [95% CI, 0.66 to 0.79])

ネット再分類指標を用いると、二度BMD測定を行うと、代替頸部骨折リスクを3.9%95% CI, −2.2% to 9.9%)ほど再分類することになるが、低リスク分類は−2.2%(95% CI, -4.5% to 0.1%)減少する。


運動器系疾患に関して、診断・検査・治療に関して、多岐にわたる疑念が存在する。疑念を払拭するような研究に非積極的な日本の関連団体。むしろ、疑念を無視して、強引に政治的圧力を進めているような団体が中核・・・

2011年の日本のガイドラインでは、「骨密度変化率」を重視する記載がなされているが、果たしてこれが正当かどうか・・・



2013年9月24日火曜日

低・中等度ヒ素暴露でも心血管疾患発症・死亡率増加と関連

Association Between Exposure to Low to Moderate Arsenic Levels and Incident Cardiovascular Disease: A Prospective Cohort Study
Katherine A. Moon, et. al.
Ann Intern Med. Published online 24 September 2013 doi:10.7326/0003-4819-159-10-201311190-00719

背景:ヒ素高濃度長期暴露と、心血管リスク増加との関連性は存在するが、飲水中 100μg/L程度の低濃度から中等度ヒ素レベルの長期暴露は不明


目的:低から中等度ヒ素濃度長期暴露と心血管疾患発症相関関係評価


デザイン: Prospective cohort study.

Setting: The Strong Heart Study baseline visit between 1989 and 1991, with follow-up through 2008.


患者: 3575名のアメリカ系インディアン(45−74歳、男女、アリゾナ、オクラホマ、北・南ダコタ州)

測定: ベースラインの尿中試料における無機・メチル化ヒ素合算を長期ヒ素暴露ののバイオマーカーとして使用。アウトカムは、致死性・非致死性心血管合併症


結果: 致死性・非致死性心血管疾患 総数 1184名。 
ヒ素濃度 最高4分位(15.7超) vs 最低4分位(5.8未満)比較社会住民統計指標・喫煙・BMI・脂質レベル補正ハザード比は、
心血管疾患死亡率 1.65 (95% CI, 1.20 to 2.27; P for trend < 0.001)
冠動脈性心疾患死亡率 1.71 (CI, 1.19 to 2.44; P for trend < 0.001)
卒中死亡率 3.03 (CI, 1.08 to 8.50; P for trend = 0.061)



発症頻度ハザード比
心血管疾患発症 1.32 (CI, 1.09 to 1.59; P for trend = 0.002)
冠動脈性心疾患発症 1.30 (CI, 1.04 to 1.62; P for trend = 0.006)
卒中発症 1.47 (CI, 0.97 to 2.21; P for trend = 0.032),


これらの相関は研究地域によりばらつきがあり、糖尿病、高血圧、腎疾患測定項目補正後その相関は減衰


Limitations: 飲水個別ヒ素レベルの直接測定が行われてない

結論: 低濃度・中濃度ヒ素暴露でも、心血管疾患発症、死亡率と相関


Primary Funding Source: National Heart, Lung, and Blood Institute and National Institute of Environmental Health Sciences.


ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について - 環境省
http://www.env.go.jp/council/former2013/07air/y070-31/mat03-1.pdf


 
発がん性以外の有害性について :発がん性以外のヒトへの有害性に係るいずれの知見も曝露評価が不十分 なこと等から、用量-反応アセスメントを行うことは困難である。また、動物実験データ ではヒ化水素での知見があるが、環境大気中において人がヒ化水素に曝露することは考え にくく、定量評価を行う知見としては不適切と判断した。さらに、動物実験の生殖発生毒 性も報告数が少なく十分な証拠があるとは言えない。このように、吸入曝露による発がん 性以外の有害性に係る適切な低濃度曝露領域における定量的データは、ヒト及び動物実験 ともに得られなかった。

経胸壁心臓超音波検査:適正使用とされるも非効率な検査となる率が高い

経胸壁心臓超音波検査(TTE)は、心臓関連画像検査施行数のほぼ半分を占める。適正使用クライテリア(Appriate Use Criteria)が、患者ケア、健康アウトカム改善のため開発された。 ほとんどのTTEは適正という報告が以前に存在するが、TTEと、AUCTION、臨床的インパクトの関連性は不明だった。

 学術的医療センター施行535名の連続患者での検討で、9割はAUC適正とされるが、治療方針の変化をもたらすのは1/3未満で有り、半数は現行治療の継続というもので、1/5強では変化無し。TTEの適正と区分された場合の31.8%でのみ、TTE施行されるべき状況であ り、今後、高品質医療を担保しながら、適正使用の議論が必要。


TTE 31.8%で、ケアの変化あり、現行治療継続・変化無しが21.3%


2011AUCによると、TTE に関し、 適正 91.8%、不適正 4.3%、 不明 3.9%


ケアの積極的な変化をもたらす状況に関して、適正TTEと、不適正TTEとの、群間差認めず



Appropriate Use and Clinical Impact of Transthoracic Echocardiography
Susan A. Matulevicius,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;173(17):1600-1607. doi:10.1001/jamainternmed.2013.8972.


2013年9月21日土曜日

ペットフードなど含有成分 エトキシキン:パクリタキセルの神経障害抑制作用効果

Ethoxyquin:動物飼料FDA認可成分で、様々な効果があり、pacilitaxelと共に与えたとき、上皮下神経線維障害発症抑制作用が認められ、これは、heat shock protein 90のchaperone活性化を調整し、ATXN2やSF3B2という2つの蛋白濃度への影響を介する、神経防御的作用機序で、Ethoxyquinが、パクリタキセルによる神経障害抑制的に働くよう、2つの蛋白減少をもたらした。

Ethoxyquin prevents chemotherapy-induced neurotoxicity via Hsp90 modulation
Jing Zhu , et. al.
Annals of Neurology
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.24004/abstract


エトキシキン:ethoxyquinは、飼料・ペットフードの抗酸化剤、果実の焼け防止剤、抗菌剤として用いられる、商品名:サントキンなど。
 "非常に安定性が高くて、ビタミンEより安定度が高い、また酸化防止力があります。そして、飼料添加物で許容されており、広く使われているものです。海外に おいては化粧品とか、あるいは農薬その他いろいろなものの酸化防止の用途として使われております。エトキシキンは一部では枯れ葉剤の原料で危険なのではと疑われることもありますが、全く違います。FDAでは、これを使用して動物試験もされているようです。*(http://www11.plala.or.jp/watavets/etox.html)


これが薬剤化するとしたら、週刊金曜日とか、薬害利権団体が、ネタ増えたと喜びそう・・・

自家醸造症候群 → 極めて稀だが、この病名は 医療関係者・司法関係者なども周知必要

これが本当のビール腹、身体の中でビールを醸造し酔い続けていた男性 (http://gigazine.net/news/20130919-auto-brewery-syndrome/)



http://www.cbsnews.com/8301-204_162-57603766/beer-belly-man-becomes-drunk-when-stomach-turns-into-brewery/


論文:
A Case Study of Gut Fermentation Syndrome (Auto-Brewery) with Saccharomyces cerevisiae as the Causative Organism
International Journal of Clinical Medicine Vol.4 No.7(2013), Article ID:33912,4 pages DOI:10.4236/ijcm.2013.47054 

いろいろ報告はあったが、逸話的なのが多く、詳細不明であった。

61歳男性で、Gut Fermentation Syndromeを、糖・炭水化物変化で確認した症例。

抗真菌薬、低炭水化物食にて、この現象消失。

S. cerevisiae治療に関わらず、ヘリコバクターピロリも検出されこの関与も考慮される。


医療上飲酒量のうそ申告は多いが、ひょっとしたらその通りのこともあるのかもしれないし、交通取り締まりや交通事故などの血中アルコールだけの判断では、ひょっとしたらえん罪がごく稀にあるのかもしれない。

30年間に100例足らずの症例だが、short gut syndromeの13歳少女、同様症状3歳の例で、炭水化物高含量フルーツドリンク摂取後飲酒状態の例がある。

失業やえん罪など、社会的なインパクトもあり、この症候群の存在は医療関係者、司法関係者も周知すべき疾患である。

2013年9月20日金曜日

抗肥満薬でウェスト径減少効果

オルリスタット(FDA、EMA承認)、ロルカセリン(FDAのみ承認)より、メトホルミンの方がよりウェスト径減少の可能性があるかもしれないが、現時点で、統計学的有意にウェスト径減少を示したのは、オルリスタットで、肥満治療においてライフスタイル介入と共に使用考慮薬剤といえるとの筆者結論。

The effect of antiobesity drugs on waist circumference: a mixed treatment comparison
M. Chilton et. al.
Diabetes, Obesity and Metabolism
Article first published online: 15 SEP 2013DOI: 10.1111/dom.12198

オルリスタットは、プラシーボ・表陣医療より、6ヶ月、12ヶ月時点でのウェスト径減少
ウェスト径は6ヶ月時点で標準治療比較で -6.96 cm (95% 信頼区間  : -9.93 〜  -4.96 cm)

結果によれば、ロルカセリンは、12ヶ月時点で、他の介入より、ウェスト径を減少
 例えば、プラシーボ比較で -2.45 cm (95% 信頼区間 : - 49.99 〜 0.08)で、この差は統計学的に有意ではなかった。


FDAのみ承認のphentermine と extended-release topiramate 合剤(Qsymia)も含まれず

データは限られているが、メトホルミンも−2.11cm( 95% 信頼区間: -1.00 〜 -3.22 cm)と5ヶ月時点ではオルリスタットよりウェスト径減少。

平均的には、オルリスタット 6.5%、 ロルカセリン 5.4%で、12ヶ月時点での有害事象中断となっている。

大気汚染(ガス状、粒子状物質)と心不全の関連性

急性心筋梗塞と大気汚染の関連性は報告されているが、心不全との関連性は不明であったが、この報告で確認された。

Global association of air pollution and heart failure: a systematic review and meta-analysis
Anoop SV Shah et. al.
The Lancet, Volume 382, Issue 9897, Pages 1039 - 1048, 21 September 2013 

ガス(一酸化炭素、二酸化硫黄、NO2、オゾン)、粒子状物質(PM 2.5、PM 10)と、心不全入院・心不全死亡率の関連性を5つのデータベースで検討

1146文献中、195の文献で、35の参入クライテリアを深くレビュー。
心不全入院・死亡は、一酸化炭素 (10ppmあたり 3.52% ; 95% CI 2.52—4.54)、二酸化硫黄 (10ppmあたり 2.36%; 1.35—3.38)、NO2 (10ppmあたり 1.70% ; 1.25—2.16)と関連するも、オゾンとは相関せず  (10ppmあたり 0.46% ; −0.10 to 1.02) 

粒子状物質濃度は心不全入院・死亡と相関  (PM2.5 10 μg/m3あたり2.12% , 95% CI 1.42—2.82; PM10 10 μg/m3あたり1.63%  , 95% CI 1.20—2.07)

最も強い相関は、暴露日にみられ、PM2.5に関してより持続的影響がある。

米国では、PM2.5 平均 3.9 μg/m3で、7978名の心不全入院予防可能となり、米国ドルとして33万米ドルの医療費節約となる。

スタチン使用と白内障発症リスク

白内障は高齢者の視力低下に多大な影響をあたえる。そのリスク増加は大きな意味を持つのかもしれない。スタチンの抗酸化作用が眼の水晶体へ与える悪影響懸念。

後顧的解析という研究限界はあるが、スタチンに関するリスク・ベネフィット判断する要素が又一つ加わった。

Association of Statin Use With Cataracts
A Propensity Score–Matched Analysis
Jessica Leuschen,  et. al.
JAMA Ophthalmol. Published online September 19, 2013. doi:10.1001/jamaophthalmol.2013.4575


財政年度である2005年の間における医薬品補充ベースの研究
2群にわける
1)スタチン使用者(少なくとも90日スタチン供給をうけてる対象者)
2)スタチン非使用者

46249名を検討対象とし、スタチン使用者13626名、非使用者32623名

プライマリ解析では、propensity score-matched cohort、 セカンダリ解析はCharlson Comorbidity Index (patients with no Charlson comorbidity)に従った合併症なしの患者で白内障リスクを検討。

2年間、4年間、6年間のスタチン使用患者でのセカンダリ解析を繰り返し行い、感度分析施行

プライマリ解析にて、スタチン使用者vs非使用者6972対比較でマッチ化

白内障リスクは、非使用者より使用者で、propensity scoreマッチ化コホートにおいて、高リスク(odds ratio, 1.09; 95% CI, 1.02-1.17)

セカンダリ解析にて、寄与要素補正後、スタチン使用者の非使用者比較リスクは高い (odds ratio, 1.27; 95% CI, 1.15-1.40)

感度分析にてこの関連性確認

2013年9月19日木曜日

INVIGORATE研究:直近1年内急性増悪経験重症COPD インダカテロール(LABA) vs チオトロピウム(LAMA)

40歳以上の12ヶ月重症急性増悪最低1回経験・重症COPD インダカテロール vs チオトロピウム 有効性・安全性比較多施設ランダム化二重ダミー平行群試験

日本での用法用量:インダカテロール(オンブレス)150μg/1日1回、チオトロピウム18μg/1日1回と同じ

要するに、インダカテロールは、スピリーバに対して、1秒量改善に関して非劣性を示し、急性増悪は非劣性を証明できなかった。

 
Once-daily indacaterol versus tiotropium for patients with severe chronic obstructive pulmonary disease (INVIGORATE): a randomised, blinded, parallel-group study
Marc L Decramer ,et. al.
INVIGORATE investigators
The Lancet Respiratory Medicine, Volume 1, Issue 7, Pages 524 - 533, September 2013

ベースラインICS、国別治療バランス層別化 1:1
・インダカテロール (150 μg)
・チオトロピウム (18 μg)
1日1回×52週間

プライマリ及びキーセカンダリ目的は、インダカテロールのチオトロピウム非劣性比較

・プライマリ:FEV1(12週)

・セカンダリ:急性悪化(52週)

per-protocol setにて解析

2009年3月16日から2012年7月5日まで、3444名をランダム割り付け

・インダカテロール 1723
・チオトロピウム 1721

第12週にて、群間推定FEV1差最小自乗平均  −0.011 L (インダカテロール[n=1450] 1.134 L [SE 0.008] vs tチオトロピウム [n=1467] 1.145 L [0.008]; 片側検定 97.5% CI 下限 −0.026 L; p<0 .0001="" br=""> 事前設定非劣性限界 97.5%CI下限 -0.055 Lで、インダカテロールはチオトロピウムに対して非劣性

インダカテロールは、年間化急性増悪率として非劣性認めず;0.79 (インダカテロール, n=1529) versus 0.61 (チオトロピウム, n=1543); ratio 1.29 (片側97.5% CI 上限1.44).

 安全性に関して、有害事象イベント患者数に群間差認めず (インダカテロール 1119 [65%] / 1721、チオトロピウム 1065 [62%] /1718 名)、重大有害事象イベント   (インダカテロール, 263 [15%] /1721  vs チオトロピウム 255 [15%] / 1718 名)


呼吸器疾患、特に、COPD急性増悪がもっとも多い有害事象イベント(COPD: インダカテロール 747 [43%] / 1721 、 チオトロピウム 665 [39%] / 1718 ) 、重度有害事象  (COPD: indacaterol, 147 [9%] /1721 、チオトロピウム 121 [7%] / 1718 名)


非劣性として示された、1秒量としての差が、運動耐用性や運動量に影響を与えることが できるかが一つの問題だろう。

【直腸結腸がん検診】コロノスコピー、便潜血検診効果

明確なエビデンスある検診により重きを置くべきなのに、くそも味噌も同様にあつかう日本のがん行政

下部消化管がん検診にはより重きが置かれるべきだと私は思う

いまだ、そのエビデンスの不明ながんと同様にあつかうべきではない


●ランダム化対照化トライアルによりシグモイドスコピーによる直腸結腸がん減少と死亡率減少が示されているが、これは近位部(より肛門側)がんの減少効果とされている。コロノスコピーと遠位部(より口側)のがんに関わるがん発症効果と死亡率への影響を明らかにした報告

the Nurses' Health Study and the Health Professionals Follow-up Study

Long-Term Colorectal-Cancer Incidence and Mortality after Lower Endoscopy
Reiko Nishihara,  et. al.
N Engl J Med 2013; 369:1095-1105September 19, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1301969

コロノスコピー・シグモイドスコピーは、遠位部直腸結腸がん発症減少。コロノスコピーは、近位部直腸がん発症減少と軽度関連。検診コロノスコピー・シグモイドスコピーは直腸結腸がん死亡率減少と相関し、コロノスコピーのみが近位部直腸がん死亡率減少と関連。
コロノスコピー後5年超過後診断直腸結腸がんと、5年内診断発見のを比較したところ、後者は、CpG island methylator phenotype(CIMP)特性比率高く (multivariate odds ratio, 2.19; 95% CI, 1.14 to 4.21)、microsatellite instability特性比率が高い (multivariate odds ratio, 2.10; 95% CI, 1.10 to 4.02)。


● 便潜血による直腸結腸がん検診は、15−33%もの、同がん死亡率減少効果が大規模ランダム化トライアルで示されている。全原因死亡率への効果、メタアナリシスによる確認をおこなったもの

Minnesota Colon Cancer Control Studyのデータ

直腸結腸がんとしての便潜血検査の効果は、30年後も持続するが、全死亡率への影響認めず、直腸結腸がん死亡率減少効果はポリペクトミー後の効果によるもの

Long-Term Mortality after Screening for Colorectal Cancer
Aasma Shaukat, et. al.
N Engl J Med 2013; 369:1106-1114September 19, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1300720

【ビタミンBサプリメント】限定的対象にて脳血管疾患予防効果あり?

出版バイアスやサンプリングバイアス大いに疑われると思うのだが・・・

脳血管リスクある患者で、特定のグループで、ビタミンBサプリメント脳血管疾患予防効果の可能性ありという報告


Vitamin B supplementation, homocysteine levels, and the risk of cerebrovascular disease ;A meta-analysis
Yan Ji,  et. al.
Published online before print September 18, 2013, doi: 10.1212/WNL.0b013e3182a823cc
Neurology 10.1212/WNL.0b013e3182a823cc
http://www.neurology.org/content/early/2013/09/18/WNL.0b013e3182a823cc.abstract

14のランダム化トライアル、54,913名治験メタアナリシス
一次予防・二次予防、虚血・出血性卒中、致死的卒中発生などサブグループ区別しない状況下で、ビタミンBサプリメント後、ホモシステイン濃度減少(RR 0.93; 95% CI 0.86-1.00 ; p=0.04)
フォローアップ3年以上のサブグループで、シリアル葉酸強化あるいはCKDなど背後無しの状況で、卒中イベント利益性効果有り
eGFR減少CKD患者で、ビタミンBサプリメントを含むトライアルもあり

シアノコバラミン(ビタミンB12)のサブグループ解析を詳細に行い、ビタミンB!"の介入投与、ベースラインB12濃度に関して有意ベネフィット認めず

血圧・ベースライン医薬品層別化にて、卒中リスク減少試用のための収縮期血圧130mmHg超、抗血小板薬少ない状況でベネフィット存在。



2013年9月18日水曜日

閉塞型無呼吸:CPAP治療で顔が良くなる

The Face of Sleepiness: Improvement in Appearance after Treatment of Sleep Apnea
http://dx.doi.org/10.5664/jcsm.2976

14名の男性、6名の女性、平均年齢45±11(SD)歳、ベースラインAHI 26±21

CPAP治療前後比較にて2倍、そのrate増加
・ 機敏そう:alert (p = 0.0053)
・ 若く見え:youthful (p = 0.026)
・ 魅力的:attractive (p = 0.0068)
・ 治療状態を反映:likely to reflect the treated state (p = 0.015).

写真画像測定にて、額部面積減少、眼窩下・頬赤み低下
眼瞼間裂隙狭窄認めず

ベースラインの深いNREM睡眠減少、顔面の赤み減少ともに、alertnessの主観的rating改善につながる。

【軽薄概念・ミスリーディング行為】ロコモ:運動療法介入エビデンス乏しい、 そもそも運動制限を生じる原因は整形外科疾患だけじゃない

この論文読んだときに、【ロコモ】の宣伝に使われるのではないかとの危惧を最初に覚えた。

整形外科系の医師を主体に高齢者の運動器機能障害を病名化しようとする動きがある。とくに、NHKが露骨にその動きに呼応しているようで気色悪い。高齢に伴う運動機能障害は決して筋骨格だけの問題ではなく、特定分野医療だけの問題ではない。メンタルな問題、視覚・平衡機能、中枢神経・末梢神経系を含む神経感覚系、内分泌・外分泌系、消化吸収系、腎機能、心肺機能系など多システムの問題である。特定の医療分野の医師たちが、十分な根拠無く、診断名を仕立て上げ、巨大メディアが後押ししている現状を懸念する。整形外科関連学会の推奨するそれは、質の低い運動器機能回復システムが量的に膨大な日本の医療制度への批判無く、むしろそれを広げようとする動きである。厚労省役人も関与した、かつて跋扈した、パテント利益を具有した【パワーリハビリテーション】商売の模造としかおもえない、この軽薄な動き。



以下のごとく、高齢者の運動機能障害のリスク要素は、運動器系だけでなく、加齢そのもの、多システムから来る低運動という現象、肥満、筋力低下、平衡機能の問題、代謝系疾患の問題でもある。

運動指導などは否定しないし、良いことだが、【ロコモ】という特定の業界団体だけが関与する疾患名を流布することは大問題だと思う。このままでは、特定の業界団体利益にしかつながらず、国民の健康全体をまもることにはならないと思う。


Mobility Limitation in the Older Patient
A Clinical Review
Cynthia J. Brown, et. al.
JAMA. 2013;310(11):1168-1177. doi:10.1001/jama.2013.276566. 


運動機能障害の多頻度リスク要素は、加齢、低運動性、肥満、筋肉強度、バランス障害、糖尿病・関節疾患のような慢性疾患である。
日常において、運動性評価に関して、いくつかのツールが存在する。

理学療法師が運動制限の評価を行い、デバイスによる治療、機能改善介入が行われるなら、理学療法への参照が適切。

運動機能改善目的の治療的運動効果を支持する研究は、ほとんど存在しない。

一応、運動制限を生じる筋力低下・平衡機能障害疾患の改善のための、レジスタンス・バランス運動を支持する強いエビデンスは存在する。

患者の身体環境やその運動デバイス使用適応能力を評価することが大事
(テレビなどを利用して一律な運動を強要するなんざ・・・悪事そのもの)


運動機能低下というのは、生命予後だけじゃなく、質に関わる大事な健康上の問題である。だからこそ、特定の疾患の問題にしてはいけないし、特定の団体の利益誘導のためだけにあってはならない。

低レベルの運動リハビリテーションに関し、その敷居をかなり低くした業界団体は、エビデンス構築をおざなりにして、宣伝・広報だけを先行する。荷担する公共放送事業。


整形外科関係の医師たちは、恥も外聞も、捨てて、「ロコモ」暴走するなんらかの理由でもあるのだろうか?

e.g.
 「記事の中身はロコモと関係ない腰痛の内容なのにあえてロコモティブシンドロームと表題化」する愚
2012. 12. 28
日経メディカル2012年12月号特別編集版「ロコモティブシンドロームと骨折予防」【診療アップデート】転載
腰痛の診断と治療―新しい診療ガイドラインから
白土 修(福島県立医科大学会津医療センター準備室整形外科教授)

米国行政:家畜への抗生剤規制へ向けた動き ・・・ 業界団体の圧力跳ね返す根拠不明のまま

http://www.cdc.gov/drugresistance/threat-report-2013/

米国では、毎年、薬剤抵抗性細菌に200万人罹患、少なくとも2万3千名死亡と、連邦レベル権威者が確認した報告

2007年CDC推定の約10万人という病院発症感染症死亡推定など、以前推定より死亡者数は少ない。今回のは底値であり、雑音の少ない数値で、主観的数字であり、直接薬剤耐性最近感染での死亡のみ計算したものと、CDCのトップである Steven L. Solomonが述べている。

農場近隣、土壌からのMRSAについても検討されてない


Report links antibiotics at farms to human deaths
Carolyn Lochhead
Updated 10:58 pm, Monday, September 16, 2013
http://www.sfgate.com/health/article/Report-links-antibiotics-at-farms-to-human-deaths-4819492.php

CDCは、家畜への抗生剤ルーチン使用と、細菌抗生物質耐性に関する関連性を確信する報告を行った。1960年代以降家畜への抗生剤過剰投与と細菌薬剤抵抗性の関連が疑われていたが、薬剤・家畜生産関連の要請により、連邦議会は、FDAの努力を無駄にして、その使用制限を後戻りさせてきた。
2012年4月当局は、薬剤メーカーへ動物への成長促進目的抗生剤使用を自主的にストップさせるよう依頼したが、最終規則にまとめられなかった。ルーチンの感染症尾某に関しても当然制限できていない。畜産関連業者にとっては、歩留まり改善のため死活問題という都合もあるのだろう。飼育コスト増大への抵抗への対策として十分な根拠が必要という次第。

Natural Resources Defense Councilというサンフランシスコの環境グループは、家畜への成長促進効果のための抗生剤使用制限にむけFDAに訴求している。第2回巡回裁判前までペンディング状態とのこと。



2つの記事を見ても、家畜・薬品会社のロビイスト活動へ楔を打ち込むような根拠を得てないというイメージしか感じ荒れなかったが、当局は聞き取り調査を続けるようである。

畜産盛んな地域で医業を行ってるが、抗生剤耐性特異的というイメージはないが、細菌検査ラボが地域的データを公表してくれれば公衆衛生上の意味はあるのかもしれない。


2013年9月17日火曜日

【健全なライフスタイル変化により細胞変化】テロメア長・延長へ

全般的なライフスタイル改善により、前立腺がん低リスク判明組織内のテロメラーゼ活性とテロメラーゼ長改善する

食事、運動、ストレスマネージメント、社会的サポートという包括的介入プログラム


ベースラインからの相対的テロメア長延長は、介入後、テロメア/single-copy gene比(T/S単位)長 中央値(IQR 0.05-0.11)延長。
しかし、対照群は減少  (−0·03 T/S units, −0·05 to 0·03, 差 p=0·03)

2群からのデータを組み合わせたところ、ライフスタイル・アドヒアランス変化は年齢補正後の相対的テロメア長と有意相関し、フォローアップでの長さとも有意相関 (ライフスタイル変容アドヒアランススコア改善%比率毎  T/S units increased by 0·07, 95% CI 0·02—0·12, p=0·005) 
5年後、ライフスタイル介入群では、テロメラーゼ活性は0.25低下 (—2·25 to 2·23) 。対照群では1.08低下 (relative risk 0·93, 95% CI 0·72—1·20, p=0·57)。



"Effect of comprehensive lifestyle changes on telomerase activity and telomere length in men with biopsy-proven low-risk prostate cancer: 5-year follow-up of a descriptive pilot study"
 Ornish D, et al
Lancet Oncol 2013; DOI: 10.1016/S1470-2045(13)70366-8. 


テロメア長 減少率改善ではなく、延長


コリンエステラーゼ阻害剤やメマンチンのMCIへの効果エビデンスありません

軽度認知障害、MCIを、軽度認知症と訳しているところもある。意図的なのかわからないが、過剰投薬につながる誤訳

営業活動が狭まれてるためか、MRたちの製品紹介に関してだましの手口が巧妙化していると感じることが多い。特に認知症薬剤と骨粗鬆症薬剤、OAB、機能的胃腸症などの製薬会社の宣伝・・・異常なのが多くなったなぁ。直接生命と関わらない薬剤ということを無視して、異常な宣伝を行う連中(e.g.  【骨粗鬆症診療】企業人としては正しいのかもしれないが、医療関係に関わってほしくない医療情報担当者 )


Efficacy and safety of cognitive enhancers for patients with mild cognitive impairment: a systematic review and meta-analysis
Andrea C. Tricco, et. al.
First published September 16, 2013, doi: 10.1503/cmaj.130451
CMAJ September 16, 2013 cmaj.130451 


cognitive enhancerという過剰宣伝薬剤、コリンエステラーゼ阻害剤・メマンチンは、認知症治療薬剤として使用認可されているが、MCIへの効果は現時点で不明。有効性・安全性のシステマティックレビュー記事
15554タイトル、1384フルテキスト記事をスクリーン師、8つのRCt、3つの会社関連の報告

Cognitive enhanceは、認知機能への効果有意差認めず
・Mini–Mental State Examination: 3 randomized clinical trials [RCTs], mean difference [MD] 0.14, 95% 信頼区間 [CI] –0.22 to 0.50
・Alzheimer's Disease Assessment Scale — cognition subscale: 3 RCTs, standardized MD –0.07, 95% CI–0.16 to 0.01])
・機能 (Alzheimer's Disease Cooperative Study activities of daily living inventory: 2 RCTs, MD 0.30, 95% CI –0.26 to 0.86) 
Cognitive enhancerは吐気、下痢、嘔吐に関してプラシーボより高リスク。



直接生命に関わらない薬剤が多く出現している。骨粗鬆症薬剤とか、認知症関連薬剤などは特にマーケット規模が大きいわりに、真の効果に疑問をもつ。
「あんた、認知機能に問題があるからアリセプトだしとくね」、とか、「骨粗鬆症だから骨粗鬆症の薬出すね」とか、日本だけじゃなく世界中でやられていると思うと・・・
認知症診断根拠や骨粗鬆症診断根拠をレセプト必須にすれば過剰投薬制限できると思うのだが・・行政のやる気次第

にきびガイドライン:公平性疑念

Pediatrics誌・別刷 

Evidence-Based Recommendations for the Diagnosis and Treatment of Pediatric Acne
Pediatrics Vol. 131 No. Supplement 3
pp. S163 -S186  (doi: 10.1542/peds.2013-0490B) 


ガイドライン原稿記載の15名委員のうち13名が関連する会社からのコンサルタント・講演報酬を受け取っていた、ガイドライン開発機構そのものが関連団体から98%もの費用を捻出してたわけで、まぁ公平性に疑念が残るのは当たり前。

特に、American Acne and Rosacea Society (AARS) とGalderma Laboratoriesの関連。52万8千米ドルをAARSは受領。

日本の学会出版ガイドラインも、最終的には、製薬会社の強制購入させて捻出させてる部分もある訳で、このにきびガイドラインだけじゃなく、臨床ガイドラインのあり方自体に問題がある訳で・・・


ガイドラインでは、年間1700米ドルもの処方薬剤推奨している一方、benzoyl peroxideはOTC製品で年間80米ドル未満のコストで有効性が確認されている。

疑念を主張する、JAMA誌前エディター、Catherine DeAngelisというJohns Hopkins School of Medicine小児科教授
http://www.medpagetoday.com/Pediatrics/GeneralPediatrics/41618






学会ガイドライン出版団体の寄付金詳細公表されるべきで、利益相反、透明性担保されるべきだろう。テレビCMでよく見聞きする、「なんたら学会推奨」と表示される場合、特に、その必要性を感じる。

2013年9月14日土曜日

虫歯があると、頭頸部扁平上皮がんリスク少ない?


症例対照研究なので、寄与要素十分補正されているかは疑問ではあるが、

Dental Caries and Head and Neck Cancers
Mine Tezal, et. al.
JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. Published online September 12, 2013. doi:10.1001/jamaoto.2013.4569


620名、症例399、対照221
症例では、有意に、う歯数少なく (1.58 [2.52] vs 2.04 [2.15]; P = .03)、歯冠すくなく(1.27 [2.65] vs 2.10 [3.57]; P = .01)、歯内治療少ない (0.56 [1.24] vs 1.01 [2.04]; P = .01)、歯充填すくない (5.39 [4.31] vs 6.17 [4.51]; P = .04)
しかし、対照群にくらべ歯喪失は多い (13.71 [10.27] vs 8.50 [8.32]; P < .001


decayed(う歯), missing(喪失歯), filled teeth(充填歯) (DMFT)での有意差認めず

診断時年齢・性別・婚姻状態・喫煙状態・アルコール使用補正後、う歯,歯冠、歯内治療の三分位最高位は最低位に比べHNSCC(頭頸部扁平上皮がん)少ない( オッズ比 [OR], 0.32 [95% CI, 0.19-0.55]; P for trend = .001、 0.46 [95% CI, 0.26-0.84]; P for trend = .03、 0.55 [95% CI, 0.30-1.01]; P for trend = .15)


喪失歯は、寄与要素補正後、HNSCCとの相関性認めず

ワクチン接種非遵守と小児百日咳の強い関連性

undervaccination(ed)の定義: defined as the number of doses of DTaP vaccine that was either missing or delayed by the index date

この言葉をワクチン未接種と訳しているところがあるが、むしろワクチン規則非遵守といった方が正しいだろう


Association Between Undervaccination With Diphtheria, Tetanus Toxoids, and Acellular Pertussis (DTaP) Vaccine and Risk of Pertussis Infection in Children 3 to 36 Months of Age
Jason M. Glanz,   et. al.
JAMA Pediatr. Published online September 09, 2013. doi:10.1001/jamapediatrics.2013.2353
百日咳72例のうち、入院12例、百日咳診断の日までにDTaPワクチンundervaccinated 34例

288名のマッチ化対照のうち、64(22.2%)でDTaPのundervaccination

undervaccinationは百日咳と強い相関。

DTapワクチン3、4回投与に対応する、小児undervaccination例では、年齢に応じた適切なワクチン接種症例より、それぞれ、百日咳診断機会として18.56倍(95% CI, 4.92-69.95)、 28.38(95% CI, 3.19-252.63)倍多い。




百日咳以外にも、反ワクチン運動のネガティブな部分ってのは、なかなか報道されない日本。
左翼系運動とリンクした反ワクチン運動の根は深い。

そして、日本では、筋肉注射になれてない医師たちの稚拙な技倆による疼痛に起因する有害事象により、HPVワクチンが消滅しようとしている

2013年9月13日金曜日

【スタチン不耐性】あきらめるな

Treatment strategies in patients with statin intolerance: The Cleveland Clinic experience.
Mampuya WM, Frid D, et. al.
Am Heart J. 2013 Sep;166(3):597-603. doi: 10.1016/j.ahj.2013.06.004. 
Epub 2013 Aug 5.


【背景】スタチン治療は高脂血症治療有効。だが、スタチン耐用困難な例が多い。この研究では、スタチン治療非耐用患者の治療戦略レビューし、間欠的スタチン投与にフォーカスを当てた研究。

【メソッド・結果】
カルテ1605名の後顧的解析( Cleveland Clinic Preventive Cardiology Section 、スタチン非耐用、1995年1月から20103月、最低6ヶ月フォローアップ患者)
脂質特性、LDLコレステロール達成、スタチン耐性度を分析
スタチン不耐性経験の72.5%は、31ヶ月フォローアップ中央期間にてスタチン耐用可能。
間欠的スタチン投与患者(n=149)では、連日投与群に比べ、LDLコレステロール低値 (n = 1,014; 21.3% ± 4.0% vs 27.7% ± 1.4%, P < .04)
しかし、スタチン中断群(n=442)に比べ、有意にLDL-C減少率高い (21.3% ± 4.0% vs 8.3 ± 2.2%, P < .001)、そしてLDL-CATPIII目標達成比率高い  (61% vs 44%, P < .05)
連日・間欠スタチン投与群では、8年時点での全原因死亡率減少傾向 (P = .08)

【結論】
スタチン非耐用の多くの患者では、スタチン継続可能となり得る。間欠的スタチン投与戦略で有効なオプションとなる患者がいて、LDL-C減少をもたらし、目標達成率も高率。

老人機能障害予防ケアプログラム ・・・ 効果証明できず

すばらしいお題目でも、それは、効果を保証する訳ではない。


 "Prevention of Care” (PoC) approachは、テーラーメイドプラント、定期的評価・フォローアップを含む多次元的評価と学際的なケア

要するに、日本の介護制度の予防給付みたいなもの

Effectiveness of interdisciplinary primary care approach to reduce disability in community dwelling frail older people: cluster randomised controlled trial
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5264 (Published 10 September 2013)


プライマリアウトカムを障害の程度としてGroningen Act
ivity Restriction Scaleで評価
セカンダリアウトカムをうつ症状、社会的サポート介入、転倒不安、社会参加


介入群 193、対照群 153

多変量解析にて、障害の程度に関するアウトカム、セカンダリアウトカムに有意差認めず


日本の介護制度は、官僚に都合良いように、牛耳り、hard scienceや科学的分析などまったく近づけさせない、いんちき制度・・・予防給付を打ち切るならその根拠をみせてほしいものだが・・・その気も無いのだろう・・・給付じり貧で、保険料だけ徴収する介護保険制度

経口避妊薬の種類と、静脈血栓リスク




Different combined oral contraceptives and the risk of venous thrombosis: systematic review and network meta-analysis
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5298 (Published 12 September 2013)

観察研究、プライマリアウトカムは、致死的・非致死的静脈血栓症(深部静脈血栓、肺塞栓)、少なくとも10イベントを含む出版報告のnetwork meta-analysis

出版 3110から、25記事、26研究、
非使用者の静脈血栓症イベント数 1万人年あたり 1.9、3.7で、以前の報告では 1-6で一致。
経口避妊薬使用組み合わせでは、静脈血栓リスクは、非使用者に比較して増加(relative risk 3.5, 95% 信頼区間 2.9 to 4.3).

含有成分経口避妊薬の静脈血栓相対リスクは、  ethinylestradiol 30-35 µg 、gestodene、desogestrel、cyproterone acetate、 drospirenoneで同様で、levonorgestrel組み合わせより50−80%ほど高い。

含有ethinylestradiolの用量依存性が、gestodene、desogestrel、levonorgestrel組み合わせでみられ、特に高用量ほど血栓症リスクが高い。





http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/guideline01feb2006.pdf
OC使用によってVTEリスクは3~5倍増加するが、エチニルエストラジオール(EE)の用量との関連は不明である。デソゲストレル含有OCはノルエチステロンまたはレボノルゲストレル含有OCより VTEリスクが約2倍高値である。
プロゲストーゲンの種類とVTEリスクとの関連を指摘する研究もあ るが、バイアスによって生じた可能性を否定できない。リスクを相対的数値で示すと、絶対的 数値で示すよりも不安を抱かせることになる。
OC非服用者の絶対的VTEリスクは低値である(女性10 万人当たり年間5例)。 
レボノルゲストレルおよびノルエチステロン含有OCの使用でVTEリスクは女 性10万人当たり年間15例まで増加し、デソゲストレルOCでは女性10万人当たり年間25例まで増加
VTEは生殖年齢の女性では稀であり、OCの使用によってVTEのリスクは5倍まで増加するという ものの絶対危険度は低い。妊娠時のVTEリスクは女性10万人当たり年間60例である。

「飲水奨励」する軽薄な米国ファーストレディ

テレビを見れば、まるで、熱中症予防の主体が飲水であるかのような情報の垂れ流し・・・ ローカルニュースであったが、運動会練習で中学生熱中症発症多数例だした、ある市の教育委員会「教師に対して、生徒が休み時間中に飲水したことを確認するよう指示をだした」という。熱中症予防の主眼は、熱順応であるべきで、「熱中症≠脱水」。

米国・労働省職業安全衛生局にみる熱中症予防キャンペーン 「熱順応」重視、教育・相互監視重視 ・・・ 日本では軽視されてるのでは? H23/07/19 

日本・厚労省に大いに問題がある。日本の教育の現場にも米国・労働省のようなまともな対策が望まれる


熱中症対策の話ではないが、米国大統領夫人も、へんなアピールしているらしい。

「Drink Up program」というらしいが・・・

First lady's push to drink more water draws criticism
http://www.usatoday.com/story/theoval/2013/09/12/obama-michelle-drink-water-project-politico/2803417/

科学的データとして存在せず、hard scienceに基づかない迷信・妄想であると専門家のコメント。そして、公衆衛生上に悪影響を与える懸念。
"There really isn't data to support this," said Stanley Goldfarb, a professor of medicine at the University of Pennsylvania. "I think, unfortunately, frankly, they're not basing this on really hard science. It's not a very scientific approach they've taken. ... To make it a major public health effort, I think I would say it's bizarre." 
Goldfarb also told Politico: "The idea drinking water increases energy, the word I've used to describe it is: quixotic," he said. "We're designed to drink when we're thirsty. ... There's no need to have more than that."



ファーストレディーが、いんちき水商売を促進しかねないメッセージ発信をすることに対する非難、それが、メディア発信されている。米国メディアの健全性を評価したい。


“水”商売屋さんたちが、この軽薄なファーストレディの妄言を利用しなければ良いのだが・・・


今日も、テレビ・ラジオ・新聞で 妄想的メッセージが垂れ流される日本。


日本でも、何代か前のファーストレディも宇宙人という妄想を流して多様な気もするので、米国の悪口は言えないが・・・

うつに対する運動効果 ・・・ 現時点で、確立エビデンス認めず

“うつ→身体活動性低下”ということは想定されるが、“運動活動性増加目的介入→うつ改善”は証明されてない。

Exercise for depression
Gary M Cooney , et. al.
Editorial Group: Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Group
Published Online: 12 SEP 2013
2013 The Cochrane Collaboration.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD004366.pub6/abstract

参照クライテリア合致 39トライアル、2326名。37のメタアナリシスデータ
多くのトライアルでバイアス多くの源あり、ランダム化適切なのは14研究、ITT 15、 盲目化評価12 
無治療あるいは対照群介入比較 35トライアル、1356名
うつプライマリエンドポイント、差標準化平均:standardised mean difference (SMD)は、 -0.62 (95% 信頼区間 (CI) -0.81 to -0.42)で、臨床的効果としては中等度
heterogeneity中等度  (I² = 63%)

適切な割り付け目隠しの6トライアル、464名、ITT解析、盲験化アウトカム評価では、pooled SMDは統計学的に有意ではない  (-0.18, 95% CI -0.47 to 0.11)

8トライアルプール化データ、377名では、気分に関する長期フォローアップでは運動に良好な効果軽度 (SMD -0.33, 95% CI -0.63 to -0.03)

受容性報告 29トライアル、ドロップアウト数評価で、リスク比 1.00(95% CI 0.97-1.04)
3つのトライアルでQOL報告、コスト報告無し、6つで有害事象報告

心理療法併用6トライアル、189名にて、有意差認めず (SMD -0.03, 95% CI -0.32 to 0.26)

薬物治療併用運動療法4トライアル、300名では、有意な差を認めず (SMD -0.11, -0.34, 0.12)

運動は、光線療法より有効という報告1つ  (n = 18) (MD -6.40, 95% CI -10.20 to -2.60)



2013年9月12日木曜日

強迫性障害:SRI付加治療としての暴露・儀式回避行動療法

脅迫性障害への行動療法としては、exposureとritual (response) prevention(EX/RP)、すなわち脅迫概念・行為のきっかけとなった事象への暴露と、儀式回避介入がなされる。

EX/RPをSRI治療に加えることは、リスペリドンや薬剤プラシーボより治療効果優れる。


Cognitive-Behavioral Therapy vs Risperidone for Augmenting Serotonin Reuptake Inhibitors in Obsessive-Compulsive DisorderA Randomized Clinical Trial
Helen Blair Simpson, et. al.
JAMA Psychiatry. Published online September 11, 2013. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.1932

文献意味:強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder, OCD)は、WHOによる障害性疾患一つで、SRIはFDAからその治療として承認された唯一薬剤。SRI単独ではその最低限の効果でさせ達成困難。そのような症例に対してガイドラインでは向精神薬やexposureやritual prevention(EX/RP)を含む認知行動療法を加える


目的:筆者等の認識によればOCD成人への、2つのSRI augmentation戦略 vs pill placeboの効果比較


デザイン・セッティング・被験者:OCDや不安障害特化した、2つの学術的外来研究クリニックでのランダム化(2007年1月−2012年8月)
登録前12週最低限以上治療的SRI投与にかかわらず、中等度重症以上のOCD患者(18〜70歳)あれば登録
163名のうち、100名をランダム化(risperidone n=40; EX/RP n=40; プラシーボ n=20)、86名がこのトライアル完遂


介入:同量SRI継続のとき、8週間 リスペリドン(up to 4 mg/d)、EX/RP(17セッション/2週間)、ピル・プラシーボ比較


独立評価者が4週間毎


主要アウトカム:Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale (Y-BOCS): OCD重症度


結果:EX/RPへの割り付け患者は、mixed-effects modelに基づく、8つのY-BOCSスコアは有意減少  (vs risperidone: 平均 [SE], −9.72 [1.38]; P < .001 vs placebo: 平均 [SE], −10.10 [1.68]; P < .001)

リスペリドン患者は、プラシーボ患者とは有意差認めず (mean [SE], −0.38 [1.72]; P = .83)


EX/RP患者の反応がより多く (Y-BOCS score decrease ≥25%: 80% for EX/RP, 23% for risperidone, and 15% for placebo; P  < .001)、 EX/RP患者では最小の症状となる例が多い  (Y-BOCS score ≤12: 43% for EX/RP, 13% for risperidone,  5% for placebo; P = .001)


EX/RPを加えた場合は、プラシーボ・リスペリドンより、insight、functioning、QOL改善優越性


性腺ステロイドホルモンと体組成・筋肉量、性機能の関連性 → 男性でも低エストロゲンが問題

数百万のレベルで、テストステロン治療され、処方数は毎年増加しているとのこと。1993年と2000年で5倍も増加。一方で、健康若年成人のテストステロン濃度2SD未満という基準値への疑念もある(http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/04/blog-post_1951.html)。男性の循環血中エストラジオールの80%はテストステロンの芳香族化(aromanization)によるもの。血中テストステロン濃度減少はエストラジオール不足とともに生じる。にもかかわらず、アンドロゲンのみの評価されており、併存するエストロゲン不足への評価がなされてなかったため、以下の一見奇異な介入試験が行われた。

一刀両断:Gordian Knotとエディトリアルで評価されている研究


テストステロン・エストラジオール抑制と、テストステロン投与、テストステロン→エストラジオール転換抑制の介入


テストステロン投与による用量明記研究で、血中レベルと関連した、体組成、筋肉量、性機能への効果が判明したという結論。

テストステロン低値が問題じゃなくてエストロゲン低値が問題なのだという解釈も可能。
http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/GeneralEndocrinology/41551

エストロゲン不足は男性性腺機能障害でも鍵である


Gonadal Steroids and Body Composition, Strength, and Sexual Function in Men Joel S. Finkelstein, et. al.
N Engl J Med 2013; 369:1011-1022September 12, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1206168
【序文】 テストステロン欠乏診断への現行アプローチでは、様々なテストステロン濃度からの生理学的変化を反映せず、臨床的所見へのテストステロン不足、エストラジオール不足か、その両者の影響かも考察できない。

【方法】 ゴセレリン酢酸塩(内因性テストステロン・エストラジオール抑制)投与した、20-50歳の健康男性 ・プラシーボ ・テストステロン・ゲル連日 1.25g、 2.5g、 5g、 10 g 16週間投与 他の健康男性 202名に対し、ゴセレリン酢酸塩、プラシーボゲル、テストステロンゲル、アナストロゾール(テストステロン→エストラジオール転換阻害)投与 プライマリアウトカムを体脂肪・除脂肪体重比率 皮下・腹部内部脂肪容積、大腿部筋肉面積・強度、性機能も評価

【結果】 アナストロゾール無しの場合、プラシーボ。テストステロン 1.25、2.5g体脂肪比率増加(平均テストステロン濃度, 44±13 ng /dL, 191±78 ng /dL 337±173 ng /dL) アナストロゾール無しでは、除脂肪体重・大腿筋面積は、プラシーボ・テストステロン1.25 g投与群で減少 下肢プレス筋力は、プラシーボ群でのみ減少。一般に、性的欲求は、テストステロン投与減少と共に減少。
【結論】 テストステロン量が、除脂肪体重、脂肪体重、筋力、性的機能に対して、男性では必要。 アンドロゲン不足は、除脂肪体重、筋肉サイズ、筋肉量減少の説明となり得る。 エストロゲン欠乏は、おもに体脂肪増加と関連 両ホルモンは、性機能減少に寄与する 性腺機能低下の評価管理がこれらの変化へのアプローチ方法として示唆される。



だが、この種の性ホルモン介入がすべての臨床的アウトカムを改善させるというエビデンスは存在しない

【米国】中年男性向きテストステロン処方乱発:ベネフィット・基準曖昧な中・・・ 疲労だけで処方も・・・ 2013/01/05

男性更年期のアンドロゲン補充療法・・・・エビデンス無し、リスク可能性大 2004年 05月 06日


NEJM報告は性ホルモン治療是認説に偏ったように思えるのだが・・・

システマティック・レビュー、メタアナリシス:深部静脈血栓二次予防:抗凝固・抗血小板 

Efficacy and safety outcomes of oral anticoagulants and antiplatelet drugs in the secondary prevention of venous thromboembolism: systematic review and network meta-analysis BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5133 (Published 30 August 2013) Cite this as: BMJ 2013;347:f5133 【目的】静脈血栓塞栓二次予防のための種々経口抗凝固薬の有効性安全性要約比較T (dabigatran, rivaroxaban, apixaban, and vitamin K antagonists) and antiplatelet agents (acetylsalicylic acid) 【研究デザイン】 Systematic review and network meta-analysis. 【データベース】 Medline (1950 to present)、Embase (1980 to present)、Cochrane Register of Controlled Trials using the OVID interfaceからデータ収集と、手作業による直近のジャーナル 【レビュー方法】  静脈血栓塞栓二次予防のための抗凝固薬、抗血小板薬、プラシーボ・観察研究 再発性静脈血栓塞栓および重大出血を選択アウトカムとする 2名のレビューアが独立して標準化形態にて外部データ抽出 【結果】研究参照クライテリア合致12 論文、有効性評価 11,999名、 安全性評価 12,167名 全治療で、再発性静脈血栓塞栓リスク減少 プラシーボ、観察比較で、ビタミンk拮抗剤・標準化補正投与量(目標INR 2.0-3.0)にて、リスク差最も大きく (odds ratio 0.07; 95% 信頼区間l 0.03 to 0.15)、アセチルサリチル酸が最もその差が小さい (0.65; 0.39 to 1.03) 出血リスクはビタミンK拮抗剤・標準化投与量で、プラシーボ・観察対照比較で高く  (5.24; 1.78 to 18.25) 致死的再発性静脈血栓塞栓及び致死的出血は稀。 詳細化サブグループ、個別患者レベルのデータは参照できず 【結論】 この解析で検討された全ての抗凝固薬・抗血小板剤は、プラシーボ・観察対象に比べ、静脈塞栓血栓症の再発減少 しかし、アセチルサリチル酸はそのリスク減少効果最も少ない。 標準補正投与・ビタミンK拮抗剤は、再発性血栓塞栓リスク減少最も効果があるが、重大出血リスクも又最も高い。

ASTONAUT研究事前層別化サブ解析:非糖尿病存在下駆出率低下型心不全入院:ラジレスは重大イベント減少、バイオマーカー改善

ゼチーアと同様、がっかり薬剤のアリスキレンという個人的イメージだが、臨床的アウトカムに関する改善が糖尿病存在せずという条件下で認められた。 駆出率低下型心不全による入院となった非糖尿病患者(n=953)では、耐用性良好で、退院後アウトカムとバイオマーカー特性改善効果を示すという、ASTRONAUT事前層別化サブ解析 エンドポイントは、心血管死・心不全入院6ヶ月内、12ヶ月内イベント バイオマーカーはNT-proBNPなど Effect of aliskiren on post-discharge outcomes among diabetic and non-diabetic patients hospitalized for heart failure: insights from the ASTRONAUT trial Eur Heart J (2013) doi: 10.1093/eurheartj/eht342 First published online: September 2, 2013 アリスキレンの心血管死亡・心不全入院6ヶ月内イベントは、ベースラインの糖尿病有無で有意に影響されず (P = 0.08 for interaction)。12ヶ月時点では統計学的有意に到達r (non-DM: HR: 0.80, 95% CI: 0.64–0.99; DM: HR: 1.16, 95% CI: 0.91–1.47; P = 0.03 for interaction) 12ヶ月時点での全原因死亡率リスクは、アリスキレンにより、糖尿病存在下で有意に異なる  (non-DM: HR: 0.69, 95% CI: 0.50–0.94; DM: HR: 1.64, 95% CI: 1.15–2.33; P < 0.01 for interaction) 非糖尿病状態では、アリスキレンはプラシーボ比較で6ヶ月後NT-proBNP、12ヶ月後血中トロポニン I、アルドステロン減少。 糖尿病患者では、アリスキレンは血中トロポニンIとアルドステロンをプラシーボ比較で1ヶ月時点後のみ減少。6ヶ月以上だと血中カリウム 6mmol/L以上となるリスクがアリスキレンにより糖尿病存在で増加する Among diabetic patients, aliskiren reduced plasma troponin I and aldosterone rela (non-DM: HR: 1.17, 95% CI: 0.71–1.93; DM: HR: 2.39, 95% CI: 1.30–4.42; P = 0.07 for interaction)

2013年9月11日水曜日

メトホルミンは高血糖下細菌増殖抑制効果をもたらす

高血糖は呼吸器系黄色ブドウ球菌感染促進的に働き、メトホルミンは気道上皮への血糖移動に影響を与え、高血糖誘起性細菌増殖を抑制する可能性。メトホルミンは、故に、気道感染予防に関して付加的価値がある可能性がある。 Metformin reduces airway glucose permeability and hyperglycaemia-induced Staphylococcus aureus load independently of effects on blood glucose Thorax 2013;68:835-845 doi:10.1136/thoraxjnl-2012-203178

左脚ブロック所見時の心筋梗塞診断:Sgarbossaクライテリア

左脚ブロック患者でST上昇型急性心筋梗塞を正確に同定することは困難

2004年ガイドラインによる推奨では偽陽性カテーテルラボ使用が頻回になされることとなった。2013年STEMIガイドラインでは、ドラスティックな変化があった。

Sgarbossa electrocardiography criteria

スコア 3以上で、急性心筋梗塞・血管造影確認急性冠動脈閉塞の特異性98%、 PPV高度とのこと


Qiangjun Cai, et. al.
American Heart Journal Volume 166, Issue 3 , Pages 409-413, September 2013




http://en.ecgpedia.org/wiki/MI_Diagnosis_in_LBBB_or_paced_rhythm

・ QRS positive誘導のST上昇 > 1mm (concordance in ST deviation) (score 5)
・ V1-3のST低下 > 1 mm (concordance in ST deviation) (score 3)
・ QRS negative誘導のST上昇 > 5 mm (inappropriate discordance in ST deviation) (score 2)


http://lifeinthefastlane.com/ecg-library/basics/sgarbossa/




糖尿病:メトホルミン使用と認知パフォーマンス低下相関 ビタミンB12不足・カルシウムでの補正の可能性

late onset Alzheimer's disease(LOAD)と2型糖尿病の関連性は疫学的にはその存在が明らかとなっている。原因的・メカニズムに関しては不明( 2012;30 Suppl 2:S185-98. doi: 10.3233/JAD-2012-111433.)。

認知機能低下に関しては、低血糖、SU剤との関連性などが取りざたされてきたと思うのだが、メトホルミンとの関連性は、突発的で奇異な印象をもつ

Increased Risk of Cognitive Impairment in Patients With Diabetes Is Associated With Metformin
Diabetic Care 
Published online before print September 5, 2013, doi: 10.2337/dc13-0229 Diabetes Care September 5, 2013 

メトホルミン、血中ビタミンB12、カルシウムサプリメントと、糖尿病関連認知機能障害に関する検討 
アルツハイマー病 480名、MCI 187名 
糖尿病なし群より、糖尿病のある場合、認知パフォーマンス悪化( n=1228 , 補正ハザード比 1.51 [95% CI 1.03-2.21]) 
糖尿病患者内で、認知機能悪化はメトホルミン使用と相関( 2.23 [1.05-4.75) 
年齢・性・教育レベル・うつ病歴、血中ビタミンB12、メトホルミン使用補正後、カルシウムサプリメント服用は認知機能パフォーマンス改善と相関(0.41 [0.19-0.92])


重度アルコール性肝炎 ペントキシフィリン生存率改善認めず ・・・ ただ、検出パワー不足治験

この治験、プライマリエンドポイントに関して検出パワー不足

多施設・ランダム化二重盲験臨床トライアル

270名のベルギー・フランスの病院での18−70歳の、重度飲酒(黄疸3ヶ月前から存在し、Maddreyスコア 32以上)

プレドニゾロン 40mg/日+pentoxifilline 400mg×3回/日 (n= 133)
vs
プレドニゾロン 40mg/日+プラシーボ (n=137)
いずれも28日間
ITT解析にて、6ヶ月生存率有意差認めず

Prednisolone With vs Without Pentoxifylline and Survival of Patients With Severe Alcoholic Hepatitis
A Randomized Clinical Trial
Philippe Mathurin,  et. al.
JAMA. 2013;310(10):1033-1041. doi:10.1001/jama.2013.276300.


脳循環改善薬として存在していたトレンタール・・・ この種の効能で復活もあるかもしれないと思っていたが・・・

レスピマット vs ハンディヘラー :非劣性評価にてレスピマット安全性確認

べーリンガーってのは、日本を小馬鹿にしている会社ってのだけは、日本無視のコメントではっきりしている。英文では有害性事象記載を自社ページで記載したが、日本べーリンガーは終始説明せず。有害性に関する日本語翻訳もせず、一般医療関係者にも説明無し放置し続けてきた。ノバルティスが問題なっているが、それ以上の問題企業だと思う。
メタアナリシス:スピリーバ・レスピマットの終焉:死亡率増加あらためて明らかに 2012/10/17
日本呼吸器学会のおえらいさんたちは、おえらいさんたちは、患者さんたちの安全性よりこの企業の言い訳に終始してたという、実に、現日本の象徴的経緯


一応、レスピマットを回避する主たる理由はなくなったので、本格的に使用することにするが、この会社への不信感と、呼吸器学会のおえらいさん方への疑念だけは印象として残る。


Tiotropium Respimat Inhaler and the Risk of Death in COPD
Robert A. Wise, M    ,et. al.
for the TIOSPIR Investigators
NEJM    September 8, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1303342

COPD17,135例の無作為二重盲験
レスピマットの有効性安全性に関して、ハンディーヘラー vs レスピマットの非劣性比較
プライマリアウトカムは、死亡リスク(非劣性;レスピマット 5または2.5μg vs ハンディーヘラー)と初回増悪リスク(優越性; レスピマット 5μg vs ハンディーヘラー)
さらに心血管系安全性(安定心疾患を含む)の評価

フォローアップ平均2.3年間
レスピマットは、ハンディーヘラー比較の死亡リスクに関して非劣性  (Respimat at a dose of 5 μg vs. HandiHaler: hazard ratio, 0.96; 95% confidence interval [CI], 0.84 to 1.09; Respimat at a dose of 2.5 μg vs. HandiHaler: hazard ratio, 1.00; 95% CI, 0.87 to 1.14)

初回急性増悪リスクに関して優越性認めず(Respimat at a dose of 5 μg vs. HandiHaler: hazard ratio, 0.98; 95% CI, 0.93 to 1.03)

死亡原因と主要心血管副事象イベントは、3群同様。

2013年9月10日火曜日

死亡前2年間の介助必要身体障害頻度:高齢ほど多く、女性に多い

米国は人口減少・高齢化の問題を移民で薄めてはきたものの、やはり、高齢者の介助必要状況の問題が浮かび上がってきている。
http://newoldage.blogs.nytimes.com/2013/07/08/high-disability-rates-persist-in-old-age/?_r=0





Disability During the Last Two Years of Life
Alexander K. Smith, M , et. al.
JAMA Intern Med. 2013;173(16):1506-1513. doi:10.1001/jamainternmed.2013.8738.

死亡前2年間の、着衣・脱衣、入浴、食事、移動・移乗、居室内移動、トイレ移動といった日々の生活に手助け必要する状況である障害の状況報告

米国内調査で、8232名、平均年齢 [SD] 79[11]、女性 52% 
死亡前2年間の障害出現比率は28%(95% CI, 24%-31%)
死亡前1ヶ月間の頻度は56%(95% CI, 52%-60%)

高齢死亡では、死亡前2年間の、より障害頻度多く、50−69歳 14%、 70−79歳 21%、 80−89歳 32%、 90歳以上 50% p < 0.001 
年齢補正後、女性で、死亡前2年間の障害頻度が多い ( 32% [ 95% CI, 28-36%] vs 21% [95%CI, 18%-25%] p < 0.001)


障害と死亡率の関連性は相互的であり、死亡前の身体状況では、自立に対し手助けが必要な状況となる蓋然性は高い。そのための介護保険ではあるが、日本では認知症に特化した、いびつな介護判定と給付の矛盾を感じることが多い。


骨粗鬆症椎体骨折への脊椎強化治療への効果報告は選択バイアスが多く、効果不明

spinal augmentation、脊椎強化治療で、具体的には、椎骨形成術(kyphoplasty)や椎体形成術(vertebroplasty)のこと

骨粗鬆症椎体骨折への脊椎強化治療への効果報告は選択バイアスが多く、効果不明

Major Medical Outcomes With Spinal Augmentation vs Conservative Therapy
Brendan J. McCullough,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;173(16):1514-1521. doi:10.1001/jamainternmed.2013.8725.

【重要性】
骨粗鬆症椎体圧迫骨折へのspinal augmentation (vertebroplasty or kyphoplasty) の症状へのベネフィットは議論様々。医療支払い住民ベース研究にて保存治療に比べ、spinal augmentationによる死亡率有意減少の報告がある。しかし、非ランダム化状況であり、選択バイアスの可能性があり、結果に影響を与えていると考えられる。

【目的】  骨粗鬆症椎体骨骨折治療としてのspiral augmentationと保存治療の重大医療アウトカム比較。付加的に、施行前アウトカムを用いた選択バイアスの評価及びpropensity score analysisを行った。

【デザイン・セッティング・被験者】   椎体骨骨折新規診断のメディケア報酬請求後顧的解析(2002-2006 年)、30日、1年アウトカムを比較
・spinal augmentation (n = 10 541)
・保存治療 (control group, n = 115 851)
アウトカム比較は、患者住民統計指標補正・合併症状況補正の従来の多変量解析
9017対マッチ化propensity scoreを検討し、同じアウトカムを比較

【介入暴露】   Spinal augmentation (vertebroplasty or kyphoplasty) vs 保存治療

【主要アウトカム・測定項目】   死亡率、 重大合併症、医療リソース利用

【結果】   既存共役因子補正後、対照群より、augmented群で、有意に、死亡率低い (5.2% vs 6.7% at 1 year; ハザード比, 0.83; 95% CI, 0.75-0.92)
しかし、介入する以前のaugmented群患者群、すなわち、施行前サブグループ群と呼び、この群では、医学的合併症率が、対照群に比べ、骨折後30日間で少ない (6.5% vs 9.5%; odds ratio, 0.66; 95% CI, 0.57-0.78)、これは、医学的重症度が元々低かったことを意味する。

より選択バイアス斟酌したpropensity score後、1年死亡率は両群で有意差認めなくなる。
さらに、1年後重大医学合併症は2群同様で、医療リソース(入院、ICU利用、高次ナーシング施設)利用は増える。

【結論・知見】  選択バイアス斟酌後、spinal augmentationでは、死亡率改善認めず、重大医学的アウトカム改善も認めない。それどころか、医療リソース利用が増加する。
これは、診療報酬要求データ解析にて、認知されてない寄与要素補正後ミスリーディング結論に着眼した結果の報告である。



日本の診療報酬体系もこれくらいの寄与要素補正したデータで検討しなきゃ・・・

整形・運動系機能的疾患治療・診断にも、選択バイアスが深く関与した知見が多い

離乳補助食品って・・・意味が無い

4ヶ月齢以降を狙いとした甘味・ソフト・スプーン食が、英国の乳児食マーケットとして跋扈しているらしい。これらは栄養の密度増加されておらず、味覚・内容も乳幼児食としてはふさわしくないという結論。

甘み強調され、栄養的付与ベネフィットは少ない。
400を超える補完固形食の検討の結果
ソフト・スプーン食 79%
甘みづけ 65%
母乳と同様のエネルギー密度(282KJ/100G VS 283 KJ/G)

さらに、製品取り扱いの会社は、4ヶ月での付与宣伝しているが、実際には離乳期であり、意味が無い。既成離乳食は栄養付加の意味がなく、単に年齢に応じて離乳を勧めるべきと研究者。

Garcia AL, et al "Nutritional content of infant commercial weaning foods in the U.K." Arch Dis Child 2013; DOI: 10.1136/archdischild-2012-303386.
http://press.psprings.co.uk/adc/september/adc303386.pdf


乳がん検診:若年推奨へ?

現行・米国では、高リスク以外では、50歳以降の女性に、50−74歳女性に対し隔年と推奨となっている。

ハーバード大学、 Blake Cadyらは、7301名の乳がん症例、2007年までフォロー
死亡例509名のうち、71%が定期乳がん検診を受けてなかった。50歳未満で50%が乳がん死し、13%が70歳以降。診断年齢中央値は49歳で、他のがんの診断年齢中央値は72歳。

40歳以上で毎年定期マンモグラフィー検査うけることが最大のベネフィットをもたらすという主張。

the Journal Cancer誌 9月9日オンライン掲載

ただ、米国癌学会Press Releaseにも書かれてない

U.S. study urges more breast cancer screenings in younger women
English.news.cn   2013-09-10 05:37:35
http://news.xinhuanet.com/english/health/2013-09/10/c_125354919.htm


foxnews:
http://fox4kc.com/2013/09/09/study-suggests-mammograms-for-women-under-50/


日本のマスメディアってのは、暴走するのが定番。TBSの映画宣伝が一番ひどかったが、若年女性でも乳がん検診推奨しているかのごとき、テレビ番組が続いていた。検診若年化がた年齢層別化の話全くなく、質の低い情報の垂れ流しが続くテレビ・ラジオ・・

総務省がちゃんと仕事してないから

2013年9月9日月曜日

肺機能急激減少例はCOPDリスク要素で、ACE阻害剤で防御的?

ACE阻害剤は咳嗽という副作用があるが、一秒量減少に対して防御的に働き、心血管疾患・高血圧・糖尿病合併の場合ほどのその防御効果朗かというのは興味ぶかい。一つの可能性は左室機能障害への好影響であるが、この報告では、FVC減少とは相関無く、一秒量との関連性のみ示されており、非閉塞性肺疾患への影響ではない。Angiotensin IIが肺で高濃度で有り、何らかのproinflammatoryな影響を与えている可能性がある。


Rapid Lung Function Decline in Smokers is a Risk Factor for COPD and is Attenuated by ACE Inhibitor Use
Hans Petersen,  et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0799

喫煙はCOPDの最も重要な原因だが、ホスト要素に関しては、FEV1急激減少との関係、COPD発症リスクに関係は不明。FEV1減少例と他の例でCOPDリスクを比較し、急激減少者への薬物の影響を検討する

最低3年繰り返しスパイロメトリー施行長軸的Lovelace Smokers Cohort、平均フォローアップ5.9年間

急激低下( > 30 ml/年)、 通常減少 (0-29.9 ml/年)、 無減少(>0 ml/年)で分類


急速低下例、32%。
ベースラインでスパイロメトリー異常のない喫煙経験者において、FEV1急激低下群は、COPD発症のリスク増加と相関。

ベースラインでのACE阻害剤使用は、急激減少に予防的影響有り、特に、心血管疾患、高血圧、糖尿病合併の場合(OR 0.48; 0.48-0.12; p 0.02以下)

電子タバコ:禁煙補助具としての優越性はっきりせず ・・・ 

電子タバコ e-cigaretteに関する話題を見聞きするようになった。米国では、喫煙者5名に1人がこれを使用しているという状況。日本でも、軽薄なマスコミやお笑い吉本タレントが当初禁煙補助としてあおったことがあり、確実にひろがってる印象をもつ。

E-Cigs: Is It Safe to Vape?
http://www.medscape.com/viewarticle/809967
米国FDAのデータから、電子タバコ上記にはpolyethylene glycolが含まれ、これは、発がん性・毒性化学物質であり、すくなくとも2種の電子タバコから検出されている。さらに、Tabacco Cotrol誌上の報告では、通常タバコに比べ9−450倍低レベルだが毒性物質が含まれる。CDCは電子タバコが禁煙補助道具となり得るかは不明としている。
・Goniewicz ML, Knysak J, Gawron M, et al. Levels of selected carcinogens and toxicants in vapour from electronic cigarettes. Tob Control. 2013 Mar 6. [Epub ahead of print]

Lancetの報告でもやはり電子タバコの禁煙補助としての優越性は不明のままであった。

なぜか、Medpageでは、禁煙補助に役立つかもしれないという肯定的コメントになっているが、原文では決して肯定的ではない!

Electronic cigarettes for smoking cessation: a randomised
controlled trial
Published OnlineSeptember 7, 2013
 http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(13)61842-5
http://download.thelancet.com/flatcontentassets/pdfs/PIIS0140-6736(13)61842-5.pdf
18歳以上、禁煙希望者へのプラグマティック・ランダム対照化優越性トライアル
人種・性別・ニコチン依存レベル層別化
ニコチン 16mg、電子タバコ、ニコチンパッチ 4 : 4 : 1とプラシーボ電子タバコ(ニコチン含有せず)
プライマリアウトカムは、生化学的に6ヶ月間禁煙状態確認(eCO < 10 ppm)
647名をランダム化
・ニコチン入り電子タバコ 289
・ニコチンパッチ 295
・プラシーボ電子タバコ 73
ITT解析にて、禁煙状態確認比率 それぞれ 7.3%(21/289)、 5.8%(17/295)、 4.1%(3/73)
(risk difference for nicotine e-cigarette vs patches 1·51 [95% CI –2·49 to 5·51]; for nicotine e-cigarettes vs placebo e-cigarettes 3·16 [95% CI –2·29 to 8·61])
筋0,
対ニコチンパッチ・プラシーボ電子タバコ比較しての、ニコチン電子タバコの禁煙達成率の優越性、検出パワー必要未満で、十分な優越性を見いだせなかった。
副事象に関する有意差認めず(137 vs 119 vs 36)


結論としては、電子タバコは、ニコチン含有有無関連無く、禁煙補助効果はあるものの限定的。短期的副作用は少ない。たばこコントロール状の電子タバコ使用に関して意義いまだ明確でない。包括的ベネフィットや有害性を個別・集団レベルで検討が必要。



某禁煙学会のなんたら長とよばれるひとが、電子タバコを禁煙補助具としてまぁいいじゃないかという、エビデンスに基づかない主張をしてるのを目にしたことがあるが・・・この「学会」ってホントに・・・

2013年9月8日日曜日

胸水:滲出性診断 LDH → SF-A → SF-P



Improving the predictive accuracy of identifying exudative effusions
Carlos E. Kummerfeldt, et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-1142


多変量解析にて
・ LDH (odds ratio 14.09 [95% CI, 2.25 〜 85.50])
・ SF-A (odds ratio 7.16 [95% CI, 1.24 〜 41.43])
・ SF-P gradients (オッズ比 6.83 [95% CI, 1.56 〜 27.88])
 AUC of 0.92 (95% CI, 0.85 to 0.98)


2013年9月7日土曜日

Obesity Paradox ・・・肥満症とは体重という一次元物差し判断できるほど単純なものではない

European Society of Cardiologyでのプレスカンファレンスで、Obesity Paradoxに関する4つの研究に注目が集まったそうだ。

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ESC/41400

・腹部肥満
急性心筋梗塞後のフランス人生存者( French FAST-MI registry)で、ウェスト径を用いた腹部肥満指標がその予後推定として、BMIより優越
BMI 22未満では死亡リスク増加、 35以上でも増加。この中間群ではリスク関連性認めず
どのBMIカテゴリー群でもウェスト径は最大4分位は44%ほど5年死亡率増増加 (HR 1.44, 95% CI 1.16-1.79)
(Tabassome Simon, MD, of Hôpital Saint Antoine in Paris)

・ 高血圧・脂質異常・ブドウ糖代謝異常が若年女性・心発作/虚血性卒中ではBMIと関連せずリスク要素
BMIよりメタボリック疾患を有する若年女性(年齢中央値 30.5歳、妊娠可能女性 262,489名、心血管疾患既往無し)はその心発作・虚血性卒中に対して予後推定となりえると、デンマークの大規模研究結果。BMIで4グループ分けし、(高血圧、ブドウ糖代謝疾患、コレステロール異常を含む)メタボリック疾患有無でも群別する。 5.5年フォローアップ中央期間で、心筋梗塞・虚血性卒中は、正常体重・メタボリック疾患無しの女性でもっとも少ない。メタボリック疾患一つでも持つ場合、最小群と比較した結果、BMI値に関連せず、この場合がリスクが高い。
(Michelle Schmiegelow, MB, of Gentofte Hospital in Copenhagen)


・BMI低下は心疾患リスク増加と関連する
ノバルティス関連の一つ、Nagoya Heart Studyからも、高血圧・糖尿病患者で、body mass最小群で心血管イベント最大という報告。ディオバン/アムロジピンのランダム化トライアルで、BMIと心血管リスクを検討。BMIで、1,105名を、<23 1.5="" 2.3="" 2.8="" 4.6="" nbsp="" p="">(Takanori Nagahiro, MD, of Nagoya University Hospital in Japan)


・ 心疾患女性では体重減少が死亡リスク増加と関連する
血管造影確認心疾患女性1685名後顧的検討で、正常体重女性で、体重減少定義1年間に2kgで、リスク増加する。
( Aziza Azimi, MB, of Gentofte Hospital in Copenhagen.)



肥満症とは、多次元的疾患であり、体重などはその一つの指標にすぎない。一つの次元だけで予後推定できるほど単純なものではないということは確か。体組成、他のリスク要素が複雑に関与するものと思われる。

肥満をひとつの疾患として、米国では、定義してしまったが・・・それは軽薄だったのではないか


肥満は依存症という病気? 2013/07/17
【健康的肥満?】代謝的に健康な肥満者:それは炎症レベルに左右される  2013/08/28

急性腎障害(AKI)指標としての血中NGAL

急性腎障害(AKI : acute kidney injury)はAKINによる急性腎不全診断基準にもとづき、急性腎不全より、より早期の、より軽度の腎障害を検知することの努力に起因する。
GFRでの診断基準は「48時間以内での血清Cr値の変動0.3 mg/dL上昇、基礎値の1.5倍上昇」・尿流量基準では「減少が0.5ml/kg×6時間以下」というリアルタイム判断にはほど遠い基準であるため、迅速判断できる検査値が望まれている。


Plasma NGAL for the Diagnosis of AKI in Patients Admitted from the Emergency Department Setting
Karina Soto ,et. al.
Clinical Journal of the American Society of Nephrology (CJASN) 
Published online before print September 2013, doi: 10.2215/​CJN.12181212CJASN September 2013 CJN.12181212
前向きコホート研究、ED入室 616名を、AKI、一過性azotemia、安定CKD、性状機能として臨床分類
血中neutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL)値を、重症度指標として評価

パフォーマンス評価をHosmer–Lemeshow goodness-of-fit test、 area under the receiver operating characteristic curve、net reclassification improvement、integrated discrimination improvement、 predictiveness curveで検討。

AKI分類 21%

AKI群は、 血中NGAL中央値高い(種々時点 146-174 ng/ml)

AKI重症度進むにつれ増加 (Acute Kidney Injury Network 分類 2超 207–244 ng/ml for Acute Kidney Injury Network classification stage>2)

AKI診断のための血中NGAL判別能は、重症度進むにつれ改善 (area under the curve, 0.77–0.82 at various time points、area under the curve, 0.85–0.89 for AKIN>2)

正常機能・一過性azotemiaとAKI判別  (area under the curve, 0.85 and 0.73, respectively)

血中NGALに応じて、AKIリスクを3つの群に分類 (low, moderate [i.e., the gray zone], and high)

高リスク血中NGAL値はAKIリスク10倍  I (odds ratio, 9.8; 95% 信頼区間, 5.6 to 16.9)

血中NGALを臨床モデルに加えることで、ネットの再分類能力改善 94.3%、集約的判別性0.122となる








参考
http://www.city.fukuoka.med.or.jp/kensa/ensinbunri/enshin_71_x.pdf
〔Neutrophil gelatinase-associated lipocalin(NgalまたはLCN2)〕
Ngalはヒト好中球分泌顆粒から分泌された25kDaの蛋白で、AKIでは、血清クレアチニン濃度の上昇に伴って血中・ 尿中Ngal濃度が上昇する。開心術後の小児や大人でAKIが起こる場合、術後2~4時間後に尿中Ngal濃度の一過 性上昇を認め、1~3日後に血清クレアチニンが術前の1.5倍以上増加することから、腎障害を早期の段階かつ高い確 率で予測できる優れたマーカーである。また、血中・尿中Ngalの増加は、腎移植後のdelayed graft function、造影剤 腎症、救急外来やICUでの各種AKIなどの早期診断にも有用である。血中・尿中Ngalが増加する病態はAKIに限られ ないが、AKIにおいて超早期に大きく濃度が増加することが特徴で、新規バイオマーカーのなかでも特に世界的に研究 が進んでいる。


GSKからの新しいLABA/LAMA1日1回投与製剤 ・・・ FDA reviewにて安全性懸念払拭できず

FDA reviewでは、COPD1日1回治療薬(Anoro Ellipta: LABAとしてのvilanterol 25 mcg/LAMAとしてのumeclidinium 62.5 mcg)の安全性結論は困難、特に、心血管系への影響は払拭できないという。一方、有効性に関しては、さほど疑問が呈されていない。
プラシーボ対象比較で、169日後、

PULMONARY ALLERGY DRUGS ADVISORY COMMITTEE MEETING
FDA Briefing Document September 10, 2013
NDA 203-975: umeclidinium and vilanterol inhalation powder for the long-term, once-daily maintenance treatment of airflow obstruction in patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD)
 http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/Pulmonary-AllergyDrugsAdvisoryCommittee/UCM367411.pdf



umeclidinium/vilanterol (Anoro Ellipta)
GSK日本でも承認申請:http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2013_01/P1000781.html 

LAMAである、Umeclidiniumは、5月に吸入ステロイドであるfluticasone furoate(Bero Elipta)との合剤としてのみ認可され、単一薬剤としては承認されてなかった。

GSKが、急性増悪病歴のあるCOPD患者の急性増悪軽減適応として、マーケット準備された薬剤。

12ヶ月安全性トライアルでみられなかった非致死性心筋梗塞に関するイベント・バランスに疑念が呈された。心電図、Holterでも異常発生率ばらつきがあった。
GSKに問い合わせしているところだそうだ。


LAMA全般へも安全性疑念を感じざる得ない。スピリーバ・レスピマットの安全性に関して一定の見解がだされる頃・・・

2013年9月6日金曜日

若年時運動不足はてんかん痙攣将来リスク要素

寄与要素完全補正されているか、微妙な報告のように私には思えるが、一応、表題ごとき筆者らの意見。

Cardiovascular fitness and later risk of epilepsy
A Swedish population-based cohort study
Jenny Nyberg,  et. al.
Neurology 10.1212/WNL.0b013e3182a4a4c0










オリゴデンドロサイトやその前駆細胞への覚醒・睡眠の影響 ・・・ 睡眠は神経保護的

Wisconsin大学 Chiara Cirellらは、ミエリン合成細胞、オリゴデンドロサイト前駆細胞: oligodendrocyte precursor cells (OPCs)の合成率が睡眠中高まることをマウスで示した。R


覚醒時にはグルタミン酸作動性伝達活動性高くなり、オリゴデンドロサイトやOPCsへの睡眠覚醒の影響が考えられたため、 translating ribosome affinity purification technology を用いマウスでのmicroarray analysisと組み合わせ、オリゴデンドロサイトの遺伝子wide特性を、覚醒時、睡眠時、強制覚醒時検討。
オリゴデンドロサイトの翻訳リボソーム数百に睡眠時覚醒時発現ばらつき認め、燐脂質合成、ミエリン化、OPC合成促進へ睡眠中亢進することが示された。一方、アポトーシス、細胞性ストレス反応、OPC分化が覚醒中高まった。

要留守に、EM睡眠中この合成が高まり、覚醒強制時は逆に細胞死やストレス反応が生じる。例えば、睡眠障害が多発性硬化症の症状悪化をもたらし、ミエリン合成を阻害するこtもお示唆され、免疫システムによりミエリン被覆を阻害し攻撃破壊することが示唆される。

Effects of Sleep and Wake on Oligodendrocytes and Their Precursors
The Journal of Neuroscience, 4 September 2013, 33(36): 14288-14300; doi: 10.1523/​JNEUROSCI.5102-12.2013


ゲーム必ずしも悪ではない・・・ 高齢者マルチタスク機能向上に役立つ

テレビみれば、ステレオタイプに、ゲーム批判

テレビ視聴の方が一方的受動的影響受けるので、悪影響の方が大きいはずなのに・・・
テレビというのは、馬鹿が作り、馬鹿がみるものというのは正しいのだろう。




解説記事
A Racing Game to Rejuvenate the Brain?



Gaming improves multitasking skills
Study reveals plasticity in age-related cognitive decline.
Alison Abbott 04 September 2013
http://www.nature.com/news/gaming-improves-multitasking-skills-1.13674

カリフォルニア大学、脳科学者 Adam Gazzaleyの研究

NeuroRacerというゲームが高齢者のマルチタスク能力改善に役立ち、連日行うことで、6ヶ月後もその機能維持するという報告。
 60歳以降年齢とともに、マルチタスク機能低下することが確認され、60歳〜85歳、30名の被験者にて4週間のトレーニング期間をもうけ、その後、能力向上に応じて難易度を上げていく。

working memoryと注意維持など能力改善した。
ゲーム中脳波脳活動性評価し、prefrontal cortexの活動性増加し、これが、タスク時注意力維持改善と関連すると思われる。



【肥満・やせは遷る】肥満・やせ不一致双生児研究:マウスへ腸内細菌投与・・・肥満からの腸内細菌繁殖は肥満をもたらし、やせからはやせ

肥満必ずしも兄弟一致する訳ではなく、腸内微生物とその相違についての考察がなされた。マウスへ双生児からの細菌移植繁殖させた場合、肥満双生児からの細菌繁殖マウスでは太り、やせ双生児からの細菌移植ではマウスはやせる。


ヒト腸内細菌の構造的・機能的性状が生理的状況・病的状況へ役割を果たすという報告が最近確立しつつある。ただ、乳酸菌必ずしも全て善ではなく、プロバイオティックス特異的な部分も報告されている。
プロバイオティクス:アトピー関連検査に効果あるも、喘息・喘鳴に効果無し ・・・ 悪化菌種も存在 2013/08/23




Gut Microbiota from Twins Discordant for Obesity Modulate Metabolism in Mice
Science 6 September 2013: Vol. 341 no. 6150
DOI: 10.1126/science.1241214
http://www.sciencemag.org/content/341/6150/1241214
【方法】
germfreeマウスをグループ分けし、便細菌比培養にてコロニー化し、4つの双生児ペア、肥満性一致しないペア、肥満(Ob)、やせ(Lo) co-twinから培養集積。
低脂肪・植物多価サッカライド豊富な餌をすわせ、飽和脂肪酸・果物野菜をNHANESベースから3分位上位・下位反映餌2つに一つを与える。
Ln、Obマウスを、コロナイゼーション後、5日間共生させる。
体組成変化は、定量的MR定義。microbiota、microbiome構造、遺伝子発現、代謝を  6S ribosomal RNA profiling、 whole-community shotgun sequencing、RNA-sequencing、 mass spectrometryで評価。
Host gene expression と metabolism も特性評価。

【結果】
Ob(肥満) co-twins便微生物のインタクト非培養・培養細菌により、Ln(やせ)コミュニティー由来のそれより、BMI、adiposity増加。

体組成の違いは、単鎖脂肪酸発酵(Lnにて増加)、分岐鎖アミノ酸代謝(Obにて増加0)の違いと相関、胆汁酸の種類の微生物による変化(Lnでは増加し、宿主farnesoid X受容体シグナル化のdown-regulationを伴う)と相関。

LnとObマウスを共生させることで、肥満・体増加発症予防をObケージの共生者にもたらし、微生物代謝特性がやせ状態のそれにtransformする。

LnからOb微生物へのBacteroidaleメンバーの浸潤とtransformationは相関。

浸潤と発現型rescueは食事依存的で、飽和脂肪酸米国摂取量下位3分位、果物・野菜上位3分位の食事に相当した場合に生じる。しかし、飽和脂肪酸上位3分位、果物・野菜下位3分位の食事相当では生じない。

これらの結果、食事と微生物の、伝播性・修正性相互作用は、ホストのbiologyに影響を与える。 



肥満は大規模社会ネットワークを通じて“感染”し広がる  2007年 07月 26日
 
肥満・糖尿病は隣人から感染する? : 高貧民地域から低貧民地域への引っ越しで糖尿病・肥満減少 2011年 10月 21日 

【スタチンと認知症】ESC: アトルバスタチンなど脂溶性スタチンが主に認知症抑制に働く

Medscape Medical News > Conference News
Statins Linked to Reduced Dementia
Sue Hughes Sep 05, 2013
http://www.medscape.com/viewarticle/810525


スタチンは用量依存的に認知症減少をもたらす

スペインの大学病院からの58,000名対象研究報告と、台湾からの報告で心房細動5221名対象の報告

いずれもスタチン未使用者での認知症発症減少報告


前者は・・・

Table. Risk for Dementia With Various Statins by Dosage Tertiles
Statin Lowest-Dose Tertile (Hazard Ratio) Mid-Dose Tertile (Hazard Ratio) Highest-Dose Tertile (Hazard Ratio) P Value for Trend
Atorvastatin 0.680 0.543 0.305 <.001
Rosuvastatin 0.365 0.134 0.129 .011
Fluvastatin 0.971 0.578 0.255 .058
Simvastatin 0.747 0.664 0.510 .064
Pravastatin 0.662 0.933 0.491 .422
Lovastatin 1.382 0.930 1.626 .116
All statins 0.923 0.806 0.311 <.001



後者は、心房細動患者の第2研究では、6年フォローアップ
認知症発症 スタチン投与群 2.1% vs 対照群 3.5%(p = 0.002)
オッズ比として、0.565で、男性、CHADS2スコア低いほど減少効果認める



リピトール(アトルバスタチン)は有意差あり
クレストール(ロスバスタチン)は有意差無し

脂溶性であるアトルバスタチンの優位性あり
他の脂溶性シンバスタチン、フルバスタチンも惜しいのでやはり脂溶性スタチンが優位?

クレストールは、肝細胞以外トランスポーターがないことを考えればがんばってる方?

参照:http://koccr.ame-zaiku.com/dousyudoukouyaku29.html

2013年9月5日木曜日

毎日新聞・脳脊髄圧減少症記事:"交通外傷やスポーツと関連"とねつ造?

脳脊髄圧減少症に関して、まともな臨床トライアルがない以上、ブラッドパッチ有効性を含め診断名の存在まで疑念を持っている。

ICHD-IIIドラフトに記載されているのは、頭痛の原因としての「脳脊髄圧減少症」の記載であり、しかも、交通外傷などとの関連性が明記されていない「特発性脳脊髄圧減少症」の話である。

毎日新聞記事の『日本では「交通事故やスポーツの衝撃などで発症した減少症が見逃されてきた。第2版は患者を見逃す間違った基準だ」と批判されてきた』という記事内容に疑念を持つ。



ICHD-IIIのドラフト
The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (beta version)
http://cep.sagepub.com/content/33/9/629.full

7. 非血管性頭蓋内疾患関与頭痛
 7.2.1 Post-dural puncture headache
 7.2.2 CSF fistula headache
 7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension

以下に、交通外傷後の頭痛に関して、果たして、これで記載されていると言えるのだろうか?
脳脊髄液(cerebrospinal fluid)記載は、37ヶ所であり、頭蓋内圧亢進や脳脊髄液リンパ球増加症である。これらは、交通外傷と必ずしも結びついてない





「特発性」脳脊髄圧減少関連性頭痛に関する原文は・・・
Previously used terms:
Headache attributed to spontaneous low CSF pressure or primary intracranial hypotension; low CSF-volume headache; hypoliquorrhoeic headache.
Description:
Orthostatic headache caused by low cerebrospinal fluid (CSF) pressure of spontaneous origin. It is usually accompanied by neck stiffness and subjective hearing symptoms. It remits after normalization of CSF pressure.
Diagnostic criteria:
  1. Any headache fulfilling criterion C
  1. Low CSF pressure (<60 and="" csf="" evidence="" imaging="" leakage="" li="" mm="" of="" on="" or="">
  1. Headache has developed in temporal relation to the low CSF pressure or CSF leakage, or has led to its discovery
  1. Not better accounted for by another ICHD-3 diagnosis.

Comments:7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension cannot be diagnosed in a patient who has had a dural puncture within the prior month.
The headache in patients with spontaneous CSF leaks or spontaneously low CSF pressure may resemble 7.2.1 Post-dural puncture headache, occurring immediately or within seconds of assuming an upright position and resolving quickly (within 1 minute) after lying horizontally. Alternatively it may show delayed response to postural change, worsening after minutes or hours of being upright and improving, but not necessarily resolving, after minutes or hours of being horizontal. Although there is a clear postural component in most cases of 7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension, it may not be as dramatic or immediate as in 7.2.1 Post-dural puncture headache. The orthostatic nature of the headache at its onset should be sought when eliciting a history, as this feature may become much less obvious over time.
Although autologous epidural blood patches (EBPs) are frequently effective in sealing CSF leaks, the response to a single EBP may not be permanent, and complete relief of symptoms may not be achieved until two or more EBPs have been performed. However, some degree of sustained improvement, beyond a few days, is generally expected. In some cases, sustained improvement cannot be achieved with EBPs and surgical intervention may be required.
In patients with typical orthostatic headache and no apparent cause, after exclusion of postural orthostatic tachycardia syndrome (POTS) it is reasonable in clinical practice to provide autologous lumbar EBP.
It is not clear that all patients have an active CSF leak, despite a compelling history or brain imaging signs compatible with CSF leakage. Cisternography is an outdated test, now infrequently used; it is significantly less sensitive than other imaging modalities (MRI, CT or digital subtraction myelography). Dural puncture to measure CSF pressure directly is not necessary in patients with positive MRI signs such as dural enhancement with contrast.
The underlying disorder in 7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension may be low CSF volume. A history of a trivial increase in intracranial pressure (e.g. on vigorous coughing) is sometimes elicited. Postural headache has been reported after coitus: such headache should be coded as 7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension because it is most probably a result of CSF leakage.
Comments:
7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension cannot be diagnosed in a patient who has had a dural puncture within the prior month.
The headache in patients with spontaneous CSF leaks or spontaneously low CSF pressure may resemble 7.2.1 Post-dural puncture headache, occurring immediately or within seconds of assuming an upright position and resolving quickly (within 1 minute) after lying horizontally. Alternatively it may show delayed response to postural change, worsening after minutes or hours of being upright and improving, but not necessarily resolving, after minutes or hours of being horizontal. Although there is a clear postural component in most cases of 7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension, it may not be as dramatic or immediate as in 7.2.1 Post-dural puncture headache. The orthostatic nature of the headache at its onset should be sought when eliciting a history, as this feature may become much less obvious over time.
Although autologous epidural blood patches (EBPs) are frequently effective in sealing CSF leaks, the response to a single EBP may not be permanent, and complete relief of symptoms may not be achieved until two or more EBPs have been performed. However, some degree of sustained improvement, beyond a few days, is generally expected. In some cases, sustained improvement cannot be achieved with EBPs and surgical intervention may be required.
In patients with typical orthostatic headache and no apparent cause, after exclusion of postural orthostatic tachycardia syndrome (POTS) it is reasonable in clinical practice to provide autologous lumbar EBP.
It is not clear that all patients have an active CSF leak, despite a compelling history or brain imaging signs compatible with CSF leakage. Cisternography is an outdated test, now infrequently used; it is significantly less sensitive than other imaging modalities (MRI, CT or digital subtraction myelography). Dural puncture to measure CSF pressure directly is not necessary in patients with positive MRI signs such as dural enhancement with contrast.
The underlying disorder in 7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension may be low CSF volume. A history of a trivial increase in intracranial pressure (e.g. on vigorous coughing) is sometimes elicited. Postural headache has been reported after coitus: such headache should be coded as 7.2.3 Headache attributed to spontaneous intracranial hypotension because it is most probably a result of CSF leakage.




脳脊髄液減少症:国際頭痛分類の基準変更 患者数拡大へ
毎日新聞 2013年09月05日 07時29分
http://mainichi.jp/select/news/20130905k0000e040186000c.html
 頭痛診断の世界的な解説書と位置づけられる「国際頭痛分類」が改定され、「脳脊髄(せきずい)液減少症」の診断基準が、対象となる患者が拡大される方向に変更されたことが分かった。国内で交通事故などの外傷によってどのくらい患者が発症するのかが注目されてきたが、診断基準の見直しは、事故の補償を巡る訴訟にも大きな影響を与えそうだ。【渡辺暖】 
 国際頭痛分類は、世界的な頭痛の研究者が作る「国際頭痛学会・頭痛分類委員会」が策定するさまざまな頭痛の診断基準。今回は、2004年に発表された第2版が改定され、第3版が策定された。
 脳脊髄液減少症研究会世話人の美馬達夫医師によると、第3版の大きな特徴は▽頭を上げていると頭痛が悪化するまでにかかる時間を診断の条件としなかった▽第2版は「ブラッドパッチ」という治療法で、発症原因別に「72時間以内」や「7日以内」に頭痛が消えることを診断の条件にしていたが、第3版は、治療後に頭痛が消えるまでの期間を条件にしなかった−−ことだ。
 日本では「交通事故やスポーツの衝撃などで発症した減少症が見逃されてきた。第2版は患者を見逃す間違った基準だ」と批判されてきた。一方、交通事故の補償を巡って被害者と加害者側との間で訴訟が相次ぎ、判決は、第2版の基準に合致しないことなどを理由に、減少症の診断の多くを退けている。
 厚生労働省研究班のメンバーでもある篠永正道・国際医療福祉大熱海病院教授は「第2版が、頭痛の悪化やブラッドパッチの効果に関して設けていた時間的な条件は、裁判でも研究班の議論でも、大きな重しになってきた。重しがとれたことで状況は一変すると思う」と話し、適正な診断が広がり救済される患者が増えることに期待を寄せる。


いままでのTBSの放送内容や、毎日新聞記事の経緯をみれば、TBS・毎日新聞のこの疾患への思い入れは・・・想像できる範囲内であるが・・・

「むち打ち症―交通事故で被害、実は脳の髄液漏れ 加害者側相手、全国で訴訟相次ぐ」『毎日新聞』2005年5月17日

『むち打ち症』=『脳脊髄圧減少症』とミスリードを試みる毎日新聞 および TBS

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note