2013年3月31日日曜日

メタアナリシス・システマティックレビュー:関節リウマチ:拡張機能障害多く4割弱、心不全リスク高い

25研究、5,836名(うち、関節リウマチ:RA 1,614名)のメターアナリシス、システマティック・レビュー

関節リウマチは心臓の拡張機能障害頻度多く、うっ血性心不全になりやすい
この報告では、RAの37%で、右室拡張機能障害頻度


Diastolic dysfunction in rheumatoid arthritis: A meta-analysis and systematic review.
Aslam F,  et. al.
Arthritis Care Res (Hoboken). 2012 Sep 23.
doi: 10.1002/acr.21861.

RA患者では、
左房径(cm) 差平均 (MD) 0.09, 95% 信頼区間[CI], 0.01 - 0.17 ; p=0.02
左室mass指数(g/m2) MD 6.2, 95% CI, 1.08 - 11.33 ; p=0.02
平均肺動脈圧(mmHg) MD 5.87, 95% CI, 4.36 - 7.38 ; p < 0.0001
等容弛緩時間 isovolumic relaxation time. (IRT) (msec) MD 9.67, 95% CI, 5.78-13.56, p < 0.001
経僧帽弁A波速度(m/sec) MD 0.13 95% CI, 0.07 - 0.18, p < 0.0001

2つの非マッチ化研究除外の2183名サブ解析では、左房 E/A比低下( MD -0.17, 95% CI, (-) 0.09 - (-) 0.25, p < 0.001)あり、それ以外は同様で、心拡張機能障害を示唆

左室駆出率(%)、経僧帽弁E波速度(m/sec)と僧帽弁deceleration timeでは差認めず
 

関節リウマチ患者に関しては、右室機能の評価スクリーニング必要なのでは?
そして、生命予後との関連など、臨床上研究必要
共通寄与要素としての心筋への関与の研究が必要

ランダム化二重盲験研究:漢方の閉経後症候群hot flush効果

漢方とランダム化トライアルはそぐわないなどと屁理屈こねている間に、北米で、漢方のRCT進む ・・・あぁ日本の医療レベル・・・

漢方:ローマ字 中国語 英語
http://www.kampo.ca/kampo-formulas-kanji.shtml

煎じ薬 Er-xian decoction により hot flush 62% vs プラシーボ対照 52%




EXDには、 Epimedii Folium(エレウテロコック ), Curculiginis Rhizoma(金目草・根茎)、Phellodendri Chinensis Cortex(シナキハダ 日本のキハダとは若干異なるらしい)
icariin (I)、 curculigoside (C)、 berberine (B) 成分



ツムラ漢方 では存在しない、本来の漢方的煎じ薬ってことのようだ・・・

A randomized, double-blind, controlled trial of a Chinese herbal formula (Er-Xian decoction) for menopausal symptoms in Hong Kong perimenopausal women
The Journal of The North American Menopause Society
online February 25, 2013.
POST EDITOR CORRECTIONS, 25 February 2013

108名のうち、101名研究完遂
EXDは有意にhot flush軽減率多い
介入群 5.8 (5.0)→ 2.2(3.0) vs 対照 5.0(3.8) → 2.4(2.5) p=0.04

平均(SD) hot flush スコアも同様
介入群 19.6(6.6) → 4.9(7.8)
プラシーボ群 16.6(5.4) → 7.0 (6.4) p=0.02

EXDのプラシーボ優越性はMRS(Menopause Rating Scale)総スコアの改善 p=0.03、Menopause-Specific Quality of Life questionnaire p < 0.01で見られる

血中ホルモンレベルに差を認めず

重大副作用はなく、白血球、腎機能、肝機能は投与前後とも正常範囲内

副作用としての電解質・内分泌系、心電図・心拍・血圧など循環器系影響記載乏しい気がするのだが・・・



EvEffects and Interaction of Icariin, Curculigoside, and Berberine in Er-Xian Decoction, a Traditional Chinese Medicinal Formula, on Osteoclastic Bone Resorptionidence-Based Complementary and Alternative MedicineVolume 2012 (2012), Article ID 490843, 12 pagesdoi:10.1155/2012/490843





膵がん診断:血清メタボロミクス診断:感度 86%、特異度 88%と有望

早期発見困難な代表的がんのひとつ、膵がんに朗報とのこと
http://www.counselheal.com/articles/4625/20130330/new-study-reveals-early-blood-test-detect-pancreatic-cancer.htm

神戸大学・吉田優先生らからの報告で、Serum Metabolomics-Based Diagnostic Approach

gas chromatography mass spectrometry (GC/MS)  での代謝物分析

発表者の診断モデルだと、膵がんに関する感度 86.0%、 特異度 88.1%


Cancer Epidemiol Biomarkers Prev
Published OnlineFirst March 29, 2013; 
doi:10.1158/1055-9965.EPI-12-1033
 




神戸大学メタボロ博士研究室
http://www.med.kobe-u.ac.jp/metabo/


2013年3月30日土曜日

腰椎穿刺・硬膜外留置:超音波で外傷性穿刺

エコーを用いることで、穿刺やカテーテル留置失敗や外傷性穿刺リスク減少
穿刺回数、redirection数減少


Ultrasound imaging for lumbar punctures and epidural catheterisations: systematic review and meta-analysis
BMJ 2013; 346 
doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f1720 (Published 26 March 2013)
Cite this as: BMJ 2013;346:f1720

ランダム化トライアル
1134名、14研究(超音波割り付け群 674、対照群 660)
脊椎穿刺 5研究、硬膜外カテーテル 9研究
失敗率
超音波群 6/624
対照群 44/610 (リスク比 0.21 (95% 信頼区間 0.10 to 0.43), P<0 .001="" p="">

腰椎穿刺・硬膜外のサブグループ解析でもリスク減少は同様   (リスク比 0.19 (0.07 to 0.56), P=0.002)、0.23 (0.09 to 0.60), P=0.003)

超音波画像は、外傷性穿刺リスク有意減少 (リスク比 0.27 (0.11 to 0.67), P=0.005)
穿刺行為数増加  (差平均 −0.44 (−0.64 to −0.24), P<0 .001="" p="" redirection="" to="">



手技を知りたいので、上記論文引用先

Stiffler KA, Jwayyed S, Wilber ST, Robinson A. The use of ultrasound to identify pertinent landmarks for lumbar puncture. Am J Emerg Med2007;25:331-4.

Arzola C, Davies S, Rofaeel A, Carvalho JCA. Ultrasound using the transverse approach to the lumbar spine provides reliable landmarks for labor epidurals. Anesth Analg2007;104:1188-92 (full text)

Figure 1. Ultrasound imaging in the transverse approach shows the spinous process as a hyperechoic signal (bright) immediately underneath the skin, continued as a vertical triangular hypoechoic (dark) acoustic shadow. This image is used to mark the midline of the spine.
(横断アプローチで、椎体をマーク)
 
 Figure 2. Ultrasound imaging in the transverse approach shows the vertebral body, dural sac, ligamentum flavum, and dura mater. This image is used to mark the intervertebral space.
( 横断アプローチで、椎体、硬膜嚢、黄色靱帯、硬膜)

Figure 3. Ultrasound imaging shows measurements with the built-in caliper. Ultrasound depth (UD, in cm) is the expected puncture depth to reach the epidural space from the skin to the inner surface of the ligamentum flavum–dura mater unit.
(皮膚から黄色靱帯・硬膜内部表面までの深さを予測)

Tran D, Kamani AA, Al-Attas E, Lessoway VA, Massey S, Rohling RN. Single-operator real-time ultrasound-guidance to aim and insert a lumbar epidural needle. Can J Anaesth2010;57:313-21.

新規糖尿病薬SGLT-2 カナグリフロジン FDA承認

田辺三菱 TA-7284(カナグリフロジン)にとって、同種先行薬剤がFDA承認をめぐってこけてくれたので、漁夫の利取得中・・・今だけかもしれないが・・・

FDA委員会をパスした報道が1月なされた。
米国FDA : 田辺三菱創薬のSGLT阻害剤カナグリフロジン 同系統薬として初めて承認 2013/01/11
FDA Panel Likes Janssen Diabetes Drug
By Kristina Fiore, Staff Writer, MedPage TodayPublished: January 10, 2013
この記事から、すでに承認受けてるものだと思ってた

あらためて、
First-in-Class Diabetes Drug Wins FDA OK
By Kristina Fiore, Staff Writer, MedPage TodayPublished: March 29, 2013

という報道。

インスリンと関連しない薬剤で、直接ブドウ糖を尿に排泄するということで・・・全く新しい機序なので不安が・・・

J&Jが米国では販売するらしいが、市販後調査が義務づけられている。
・心血管アウトカムトライアル
・骨安全性研究
・2つの小児トライアル
・悪性腫瘍、膵炎重症症例、重度過敏症、光線過敏症、肝障害、妊娠アウトカムのモニタリングプログラム

心血管疾患アウトカムモニタリング必要性が強調されているが、これは、CANVASトライアルで、非有意ながら、心血管系疾患リスク増加が報告されているため。
Matthews DR, et al "The efficacy and safety of canagliflozin (CANA), an inhibitor of sodium glucose co-transporter 2 (SGLT2), added-on to insulin therapy +/- oral agents in type 2 diabetes" EASD 2012.

同種の開発先行薬剤である、dapagliflozinがFDAで乳がん・膀胱がんリスクのため承認拒否されていることも懸念材料の一つ。

ホルモン補充療法で乳がん発症、乳がん死亡率増加:観察研究からも臨床トライアル再現

WHIランダム化トライアルで示唆されたエストロゲン+プロゲスチン併用の乳がん発症及び死亡率増加関連性。一方、乳がん予後良好という多くの観察研究も存在する。
その違いに着眼して、WHI観察研究を用い、WHI臨床トライアルと類似した特性で検討

11年あまりのフォローアップで、エストロゲン+プロゲスチン併用ではやはり、乳がんリスク増加する
年次発症 使用 0.60%、 無使用 0.42% で、ハザード比は1.55(95% CI, 1.41-1.70; p < .001)で、特に閉経時に近いほどリスクが高い ( HR 1.68, 95% CI, 1.52 - 1.86)
一般住民レベルで見ると、乳がん死亡率増加が予測される。感度分析でも再現。


Estrogen Plus Progestin and Breast Cancer Incidence and Mortality in the Women’s Health Initiative Observational Study
JNCI J Natl Cancer Inst (2013)doi: 10.1093/jnci/djt043First published online: March 29, 2013

子宮摘出無し、2年内マンモグラフィー異常なしの41,449の閉経女性
両剤とも使用せず 25,328
両剤とも使用 16121

平均11.3(SD 3.1)年間、 乳がん 2236名
両剤使用は、両剤無使用より、発症率高い
(0.60 % vs 0.42 %, 年間発症率 ; HR 1.55 , 95% CI = 1.41-1.70, p < .001)

閉経直後のホルモン補充療法開始女性では、線型に、閉経期間が短いほど影響が低下する
(p < .001)

乳がん診断後生存率は、併用使用・無使用群とも同等( HR = 1.03 , 95% CI 0.79 - 1.35)

一般住民ベースで、コホートエントリからの評価では、両剤使用では、非使用に比べ、乳がん死幾分増加( HR 1.32, 95% CI 0.90 - 1.93, p = 0.15)、乳がん後の全原因死亡増加 ( HR = 1.65, 95% CI 1.29 - 2.12, p<.001)

結論:WHIランダムトライアルと一致して、エストロゲン+プロゲスチン併用は、乳がん発症リスク増加と関連。併用ホルモン補充診断後予後は非使用者と同様なので、乳がん死亡率増加が予測される。



USPSTF:ホルモン補充療法ベネフィットよりリスクが上回る 2012/05/29
偏った医療情報を広めようとする産経・NHK:ホルモン補充療法・インフルエンザ予防2009年 03月 07日
ホルモン補充療法推進に懸命な産経:日産婦と日本更年期医学会指針記事2009年 04月 03日

2013年3月29日金曜日

メタアナリシス:DPP4阻害剤と心血管疾患リスク

2型糖尿病治療で、しかも、1年足らずに、臨床的重大アウトカム改善効果あり


メトホルミン以外でまともに2型糖尿病に関する大血管に関するイベント改善効果がみられたことは大きい。ACCORDなどで冷え上がった治療意欲を少しは回復させた?
でも、短期観察期間のためか、イベント数が少ないのが気になる、逆に言えば、短期間でも改善効果があるということになるのだが・・・


Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and cardiovascular risk: a meta-analysis of randomized clinical trials.
Monami M, et. al.
Diabetes Obes Metab. 2013 Feb;15(2):112-20.
doi: 10.1111/dom.12000. Epub 2012 Sep 20.

41,959名、70トライアルで44.1週間フォローアップ
Mantel-Haenzelオッズ比は、MACE(重大心血管イベント) 0.71[0.59;0.86]、 心筋梗塞 0.64[0.44;0.94]、 卒中 0.77[0.48;1.24]、 死亡率  0.60[0.41;0.88] であった。



Sitagliptin : ジャヌビア
Vildagliptin:エクア
Saxagliptin:オングリザ(大塚・協和発酵)
Linagliptin:トラゼンタ
Alogliptin:ネシーナ


私の中では・・・ネシーナやジャヌビアって削除薬剤候補
併用可能薬剤増えてきたので、 ジャヌビアにこだわる必要もなくなってきた
ネシーナはばらつき大きすぎ

遺伝子リスクは10代の喫煙行動へ影響を与え、将来の喫煙行動への影響重大

 遺伝子リスクが、将来続く喫煙行動へ影響を与える10代の喫煙行動発症へその影響を加速しているという知見

genome-wide hypothesis-free discovery methodは、成人の重度喫煙者で相関みとめられるlocusの発見につながってる。成人重度喫煙の遺伝的リスク新発見んとリンクする開発プロセスの理解が必要となっている。38年間、前向き、縦軸研究であるニュージーランドのDunedin Multidisciplinary Health and Development Study からの知見

Polygenic Risk and the Developmental Progression to Heavy, Persistent Smoking and Nicotine DependenceEvidence
From a 4-Decade Longitudinal Study
Daniel W. Belsky, et. al.
JAMA Psychiatry. 2013;():1-9. 
doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.736.
Published online March 27, 2013
【序文・意義】  Genome-wide hypothesis-free discovery methods have identified loci that are associated with heavy smoking in adulthood. Research is needed to understand developmental processes that link newly discovered genetic risks with adult heavy smoking.

【目的】成人喫煙GWAで明らかになった遺伝子リスクが、いかに、連日喫煙開始・変容喫煙行動発症、重度喫煙への進行、ニコチン依存症、禁煙への取り組みへの影響するか検討

【デザイン】代表的誕生コホートの38年、前向き、長軸研究

【セッティング】Dunedin Multidisciplinary Health and Development Study ( New Zealand)

【被験者】1037名の男女

【介入暴露】多焦点遺伝子リスクスコアの遺伝子リスク評価。遺伝子リスクスコアは、喫煙定量発現型に関わるメタアナリシスで同定された3つのSNPs

【主要アウトカム・測定】喫煙開始、連日喫煙開始、重度喫煙発症、ニコチン依存症(Fagerström Test of Nicotine Dependence)、禁煙困難度評価
11歳から38歳までの8つの評価

【結果】遺伝子リスクスコアは、喫煙開始とは関連無し
しかし、高遺伝子リスクでは、10代での連日喫煙移行になりやすく、重度喫煙急激発症しやすく、重度喫煙状態長期化、ニコチン依存高頻度みられやすい、ストレス対処のための喫煙への依存しやすく、禁煙試み失敗しやすい。
追加解析にて、2つの成長期発症発現型、すなわち、早期連日喫煙発症、早期重度喫煙発症、これらは、遺伝子リスクスコアと持続的重度喫煙の発現型との相関を介し、明らかになった。遺伝子リスクスコアは、喫煙リスクに関し、家族歴より予測因子として重要。

【結論・新知見】思春期における喫煙行動発症を防止するイニシャチブは、成人での喫煙問題発症に関わる遺伝子リスクを防止することになるだろう。喫煙開始直後の喫煙行動に焦点をあて、また、若年喫煙者研究に焦点を当てることで、将来の遺伝子研究による改善効果が最大限となることだろう

英国:口蹄疫ワクチン開発報告

日本ではもっと騒がれていいのではないか?

googlen news日本語で検索してもこの報道されてないのはおかしい

口蹄疫ワクチン開発の報道
http://www.guardian.co.uk/science/2013/mar/28/scientists-foot-and-mouth-vaccine
http://www.reuters.com/article/2013/03/28/us-footandmouth-vaccine-idUSBRE92Q1BF20130328

Rational Engineering of Recombinant Picornavirus Capsids to Produce Safe, Protective Vaccine Antigen
PLoS Pathog 9(3): e1003255. doi:10.1371/journal.ppat.1003255

ピコルナウィルスは、小型RNAウィルスで、ポリオ、普通感冒、口蹄疫などと関連
recombinant virus-like粒子で、ウィルスゲノムなしで、増殖しない
2つの重大問題として、宿主細胞への毒性を示すpolyprotein precursorの適切な処理のため、proteaseが必要ということと、recombinant粒子は核酸を含むウィルスと比べ物理的に不安定であること。口蹄疫ウィルス(FMDV)では特に問題。新しい方法により、ワクチン製造への改善を行い、抗原性を直接与えるようになったとのこと。



日本からの開発報道がないので、寂しい限り、日本の農業関係・創薬関係技術力ってほんとに一流なのだろうか?


ネット・ウヨさえ騒がない・・・
口蹄疫、アジアから侵入と推定 詳細経路判明せず 2013/03/27 

COGS (Collaborative Oncological Gene-environment Study)

EUベースのconsortiumで、世界160研究グループ、20万名もの遺伝子検査(10万名の乳がん、卵巣がん、前立腺がん患者と、10万名の健康対照)による国際的なメガ共同研究

Collaborative Oncological Gene-environment Study, or COGS

74のDNA新規発見領域 された
 

Press:http://www.cogseu.org

Nature Geneticsでの解説
http://www.nature.com/ng/journal/v45/n4/full/ng.2587.html

COGSによる検出された多くのがんでのPleiotropy(多面作用)とこれまでの研究結果




COGS overview—研究デザイン・特性、発表結果
http://www.nature.com/ng/journal/v45/n4/fig_tab/ng.2587_T1.html
GWAS meta-analysis and validation (Phenotype-cancer subtype and subgroups)
乳がん:ER negative, BRCA1 mutation carriers, BRCA mutation carriers, East Asians
卵巣がん: Serous、 BRCA1 mutation carriers
前立腺がん
Fine-mapping studies of the 5p15 locus
テロメア長
乳がん: ER negative, ER positive, BRCA1 mutation carriers
卵巣がん:Serous、 Serous low malignant potential
前立腺がん
Fine-mapping analysis of the 11q13 locus
乳がん:ER positive






詳細は追記していくつもりだが、GWAは国家レベルというより多国でやらないとお話にならない時代

LDL Friedewald推定式で 70mg/dLの場合過小評価の可能性

【日本の世界標準と異なるLDL直接法臨床利用問題】もついでに強調したい
LDL直接測定法標準化問題が結局は問題だと思うのだが、Friedewald法に頼らざる得ない現状はかわらない。
LDL直接法は臨床の場から消滅すべき 2012/07/04
だが、日本では、LDLコレステロールの特定健診による誤用、それを訂正しようとしない東京大学の某先生をはじめとするクソ官僚側の暴走により、世界的な評価法と異なるLDL評価が臨床の場にはびこってしまっている。

本来、トリグリセライド400mg/dL以上という例外以外は、Friedewald推定式を用いるべきはず。

だが、このFriedewald法ではLDLーCの過小評価可能性があるという論文

かんちがいするアホがいるとこまるのだが、あくまでも、Friedewald式を用いたLDL-Cがその評価の中心で有り、例外事項が増えるという話

Friedewald Estimated versus Directly Measured Low-Density Lipoprotein Cholesterol and Treatment Implications
Seth S. Martin, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2013;():. 

doi:10.1016/j.jacc.2013.01.079
【目的】  Friedewald推定値と、LDL-C直接測定値との比較

【背景】  ルーチンに治療ガイドのためには、LDL-Cは、Friedewald式で大まかに推定されているが、直接測定値とのcompatibilityに関して、比較的少ない検討しかされてない、特に、< 70 mg/dlで、高リスク患者における治療目標とされるレベルにおいて検討が十分と言えない。

【研究手段】  1,340,614 U.S. 米国成人、 vertical spin density gradient ultracentrifugation (Atherotech, Birmingham, AL) による脂質特性profilling化(2009 〜 2011)。 標準診療に従い、トリグリセライド(TG) 400 mg/dL以上(n = 30,174)なら、Friedewald LDL-C推定は行わず、総数として1,310,440名、Friedewald LDL-C < 70 mg/dLは191,333名

【結果】  59±15歳(平均±SD)、女性 52%、脂質のデータ分布はNHANESのそれにマッチ化 。
低LDL-C及び高TG値では、Friedewaldと直接法の差が大きい

Friedewald推定LDL-Cが 70 mg/dL 未満の時
TG 150−199 mg/dL なら、直接法LDL-C中央値のほうが、9.0 mg/dL(5〜95パーセンタイル、1.8−15.4 mg/dL)高い
TG 200-399 mg/dL なら、直接LDL-C中央値のほうが、18.4 mg/dL(5〜95パーセンタイル 6.6-36.0 mg/dL)高い 

Friedewald LDL-C 70 mg/dL未満の患者では、直接測定法 LDL-C 70 mg/dL以上が23%存在する(TG 150-199 mg/dLなら 39%、 TG 200-399 mg/dLなら 59%)

【結論】  Friedewald 推定式は、正確性きわめて必要な場合に、LDL-Cを過小評価する傾向にある。
Friedewald推定で、LDL-C 70 mg/dL未満に分類されるなら、例えばTGが 150 mg/dL以上の場合高リスク群患者で評価につき配慮が必要である

メタアナリシス:総じて食物線維抗摂取は卒中減少は確か、しかし 食物種情報や卒中病型情報不足

Dietary Fiber Intake and Risk of First Stroke
A Systematic Review and Meta-Analysis
Diane E. Threapleton, et. al.
STROKEAHA.111.000151Published online before print March 28, 2013,doi: 10.1161/​STROKEAHA.111.000151

背景と目的—食物線維摂取は前向きに卒中リスク減少と関連するが、出版されたメタアナリシスはない。

研究方法—食物線維摂取と初回出血性卒中あるいは虚血性卒中に関わる健康被験者研究多数の電子化データベース、1990年5月から2012年5月までを検索

結果—米国、北欧、豪州、日本の8つのコホートが登録クライテリア一致。総食事性線維は、出血性+虚血性卒中と逆相関するが、研究間にheterogeneityのエビデンスが一部存在(I2:7g/日あたり相対リスク, 0.93; 95% 信頼区間, 0.88-0.98 ; I2=59%)
可溶性線維摂取、4g/日あたりで、研究間のheterogeneityエビデンス有る状態で、の卒中リスク減少リスクとの相関認めず、相対リスク 0.94 (95% 信頼区間, 0.88-1.01; I2=21%)
不溶性線維、シリアル由来、果物、野菜由来線維と関連する卒中リスク研究は少ない。

結論—食事性線維分大量摂取は、初回卒中のリスク低下と相関。包括的には、食物線維総摂取量増加を推奨支持する内容であった。しかし、由来食物の種類に関わるデータが不足し、線維の種類と卒中の相関に関する結論を曖昧とした。今後、食物線維の種類に注目した研究、そして、虚血性・出血性卒中を区分けした検討が必要
 

2013年3月28日木曜日

C型肝炎ウィルス:アンチセンス・オリゴヌクレオチド miravirsenの第2相試験 ・・・有望

C型肝炎ウィルスのアキレス腱として普遍的に存在する、肝臓内での遺伝子発現のスイッチをオン/オフする蛋白の特定部位位があり、HCVの安定性・propagationは、HCVゲノムと肝臓内発現microRNA-122と機能的相互作用に依存する。増殖・生存・複製に必要なこのメッセンジャー蛋白への結合する機序に関わるmiravirsenは、antisense oligonucleotideであり、高度安定ヘテロ二本鎖内のmature miR-122をsequesterする核酸modified DNA phosphorothioate antisense oligonucleotideをロックし、機能阻害作用を有する。ウィルスはホストを失い、 ウィルスをホームレス化するという例え。

p2研究で、安全性有効性を36名の慢性HCV genotype 1感染患者で検討
ランダム割り付け、miravirsen 3mg、 5mg、 7mg/kg体重 5週間皮下投与
29日間で、18週間後までフォロー


Treatment of HCV Infection by Targeting MicroRNA
Harry L.A. Janssen, et. al.
N. Engl. J. Med. March 27, 2013
DOI: 10.1056/NEJMoa1209026

Miravirsen は用量依存的に、HCV RNA量を減少し、active therapy終了後も持続
HCV RNA量のベースラインからの平均最大減少量(log 10 IU/mL)は、 3mg/kg体重 1.2 (p = 0.01)、5mg/kg体重 2.9 (p = 0.003)、 7mg/kg体重 3.0 (p=0.002)、プラシーボ 0.4減少

治療14週間で、5mg群で HCV RNA 1例認めず、 7 mg群では4例で認めず

上限量副事象認めず、miR-122結合部位のescape mutationも認めない

若年喘息発症:ヒト・ライノウィルス感染と17q21 locusの2つの変異が関与

17p21 locusの変異型と、ウィルス誘発気道喘鳴はともに喘息発症と関連性がある
これら2つの要素の関連性をCOAST・COPSAC誕生コホートで検討

Rhinovirus Wheezing Illness and Genetic Risk of Childhood-Onset Asthma
Minal Çalışkan, et. al.
N Engl. J. Med. March 27, 2013
DOI: 10.1056/NEJMoa1211592

17q21 変異は、ヒトライノウィルス(HRV)喘鳴と、若年期に関連性みとめるが、RSV喘鳴との関連性はみとめず

17q21変異と喘息の相関は、HRV喘鳴症状ありの子供に限定されていて、結果的に喘息リスクの観点から相互関連的有意な影響が示唆される。

さらに、ORMDL3発現レベル、GSDMD発現レベルは、HRV刺激PBMCsで、非刺激PBMCsに比べ増加する。
遺伝子発現は、両条件有る場合、17q21と相関するが、HRV暴露による増加はgenotype特異性は認めない
結論としては、 17q21変異を有する場合、HRV喘鳴状態経験・このlocusの2つの遺伝子発現のある小児では、喘息と相関する。


喘息発症に関わる要素として、気道感染と遺伝的要素の関連性が具現化された。
初めての喘息GWA研究で17q21との関連性が報告(Nature. 2007 Jul 26;448(7152):470-3. Epub 2007 Jul 4.)されている.
このlocusへの関心が高まり、環境要素、たばこ受動喫煙やウィルス感染などとの関連性がこのlocusがらみで注目されている。17q21には、GSDMB、ORMDL3、リンパ芽細胞、CD4:T細胞が関連。

CODIACS Vanguard ランダム化対照トライアル:急性冠症候群・うつへの積極的介入効果

中央管理的積極的うつ対処法の有効性

Centralized, Stepped, Patient Preference–Based Treatment for Patients With Post–Acute Coronary Syndrome Depression
CODIACS Vanguard Randomized Controlled Trial
Karina W. Davidson,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-8. 
doi:10.1001/jamainternmed.2013.915. 

急性症候群2−6ヶ月後うつ症状(Beckうつ調査票 スコア 10以上) 150名
・ 積極治療群は 73例で、電話・インターネット、薬物、両方、いづれでもない問題解決治療手段の患者嗜好の中央管理うつケアを6ヶ月間
・ 対照群は、うつ症状に関する医師の気づき後うつ治療を地域的に行うもの

主要アウトカムは、6ヶ月後のうつ症状変化と総医療コスト

通常治療群より、積極的治療群の方が有意にうつ症状軽減
(群差間、 BDIスコア -3.5, -6.1 〜 -0.7; p=0.01)

コストは、積極治療群の方が高コストだが、包括的医療コストでは差を認めず(寄与因子補正後群間差, -$325; 95% CI, -$2,639 〜 $ 1989; p=0.78)


BAT:非CF性気管支拡張症への長期アジスロマイシン治療は、急性増悪減少させ、QOL生存率改善効果の可能性;だが、薬剤耐性が問題

BAT:非CF性気管支拡張症への長期アジスロマイシン治療は、急性増悪減少させ、QOL生存率改善効果の可能性;だが、薬剤耐性が問題
と合わせ、議論の必要有り

日本の呼吸器系学者たちがのんびりやってるうちに、オランダに先を越されたという感じが否めない

非嚢胞性線維症(non-CF)性気管支拡張症急性増悪患者へのアジスロマイシン持続治療の効果

Effect of Azithromycin Maintenance Treatment on Infectious Exacerbations Among Patients With Non–Cystic Fibrosis BronchiectasisThe BAT Randomized Controlled Trial
Josje Altenburg,  et. al.
JAMA. 2013;309(12):1251-1259.
doi:10.1001/jama.2013.1937. 

BAT (Bronchiectasis and Long-term Azithromycin Treatment)研究

ランダム化二重盲験プラシーボ対照化トライアルで、2008年4月〜2010年9月までオランダの14病院、83名の非CF気管支拡張症、1年前の間に3回以上の気道感染増悪症例

介入:アジスロマイシン 250mg/日 vs プラシーボ 12ヶ月間

プライマリ・アウトカム:12ヶ月間治療中の急性増悪回数
セカンダリ・アウトカム:肺機能、喀痰最近、炎症マーカー、副作用、喀痰スコア、QOL

結果
アジスロマイシン 49名(52%)、 プラシーボ 40(48%)で、修正ITT解析

研究終了時、急性増悪数は アジスロマイシン群 0(中間4分位[IQR], 0-1) vs プラシーボ群 2(IQR, 1-3) p<0.001

急性増悪最低1回発症:
プラシーボ治療 32(80%) vs アジスロマイシン治療 20(46%)
(ハザード比、 0.29 [95% CI, 0.16-0.51])
  
mixed-model analysisでは、2群間の経時的FEV1(予測値比)変化は、 F1.78.8=4.085, p = 0.047) (← 知識不足ため意味不明)
3ヶ月で、アジスロマイシン群 1.03%増加、プラシーボ群 0.10%減少

胃腸系副作用は、アジスロマイシン群 40%、プラシーボ群 5%(腹痛相対リスク(RR), 7.44 [ 95% CI, 0.97-56.88] 、下痢 RR 8.36 [95% CI, 1.10-63.15]
いずれも治療中断必要なし

マクロライド薬剤抵抗性発生率 アジスロマイシン 88%、プラシーボ群 26% 

結論:
非CF気管支拡張成人において、アジスロマイシン12ヶ月連日使用はプラシーボ比較で、感染性急性増悪発生減少させる。QOL改善、生存率改善に寄与するかもしれないが、抗生剤耐性に関しては評価必要



【日本の呼吸器系常識崩壊】非CF性気管支拡張症・エリスロマイシン少量持続療法 軽度急性増悪軽減効果のみで、抗生剤抵抗性増加

 びまん性汎細気管支炎を筆頭にした好中球性慢性気道感染疾患へのマクロライド系少量長期治療は日本が先頭立ってたはずだが・・・マクロライド系長期療法研究って、基礎研究からの話題だけで、エビデンスレベルの臨床的アウトカム研究報告されてない日本の現状はおかしい。

結果的に、こういう種の治験、外国頼み・・・

BLESS Randomized Controlled Trial は、エリスロマイシン少量持続投与トライアルに関するもの

対して、BAT Randomized Controlled Trial は、アジスロマイシン少量持続投与トライアル( 非CF性気管支拡張症への長期アジスロマイシン治療は、急性増悪減少させ、QOL生存率改善効果の可能性;だが、薬剤耐性が問題 )


12ヶ月間ランダム化(1:1)二重盲験プラシーボ対照化トライアル
非喫煙成人・非嚢胞性線維症(non-CF)気管支拡張症成人(前年2回以上感染性急性増悪既往)

エリスロマイシン 400mg/日 と マッチ化トライアル

結果は、エリスロマイシン少量持続療法をこよなく愛する呼吸器系医師にとって必ずしも望ましいものではなかった。急性増悪回数をアウトカムとした場合、0.7回/年の減少効果が認められたが、 1年程度では薬剤抵抗性に関わるpotential riskが問題となる。
「1年間などでなく、数年のより長期で効果出現するはずだ」、「薬剤耐性より薬剤効果の方が大きい」、「より長期・より重大事象アウトカムで比較すべき」との反論もできるだろうが、今のところむなしい。

Effect of Long-term, Low-Dose Erythromycin on Pulmonary Exacerbations Among Patients With Non–Cystic Fibrosis Bronchiectasis
The BLESS Randomized Controlled Trial
David J. Serisier,  et. al.
JAMA. 2013;309(12):1260-1267. 
doi:10.1001/jama.2013.2290
主たるアウトカム測定  プライマリアウトカムは、プロトコール事前定義・呼吸器系急性増悪(PDPEs)/患者の年間平均発生率
セカンダリアウトカムは、共生的マクロライト抵抗性口腔内連鎖球菌、肺機能


結果  679名篩い分け、117名をランダム化(プラシーボ 58名、 エリスロマイシン 59名)、107名(91.5%)研究完遂。
エリスロマイシンは、PDPEsに関し、包括的に有意減少(平均、 1.29   [95% CI, 0.93-1.65] vs 1.97 [95% CI, 1.45-2.48]  / 患者・年; 発生率 [IRR], 0.57 [95% CI, 0.42-0.77]; P = .003)

ベースライン緑膿菌気道感染存在の事前設定サブグループにて(平均差、1.32[ 95%CI, 0.19-2.46]; p = 0.02)

エリスロマイシンは、プラシーボに比較して、24時間喀痰産生量減少 (差中央値, 4.3 g [中間4分位 [IQR], 1 〜 7.8], P = .01) 、肺機能低下緩和( 気管支拡張剤後呼気1秒量絶対差平均, 2.2 %予測値 [95% CI, 0.1% 〜 4.3%]; P = .04)

エリスロマイシンは、マクロライド耐性口腔内連鎖球菌比率増加E (差中央値 , 27.7% [IQR, 0.04% 〜 41.1%] vs 0.04% [IQR, −1.6% 〜 1.5%]; 差, 25.5% [IQR,15.0% 〜 33.7%]; P < .001)

結論・新知見 非嚢胞性線維症気管支拡張症において、エリスロマイシン12ヶ月使用は急性増悪頻度軽度減少し、マクロライド系抗生剤抵抗性を増加させる

2013年3月27日水曜日

若年発症はげは、前立腺がんリスク増加と相関

アフリカ系米国人だけの研究だが、
若年発症禿頭と前立腺がんリスクの関連性があきらか

しかしながら、アンドロゲン代謝との関連性は示せず、消化不良な報告となっている

Relationship of Early-Onset Baldness to Prostate Cancer in African-American Men
Charnita Zeigler-Johnson, et. al.
Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention 2013: 22 589-596

若年発症禿頭は、前立腺がんのオッズと相関[OR = 1.69; 95% 信頼区間(CI), 1.05–2.74]
前頭部禿頭は、進行病期((Gleason 7+.)(OR   = 2.61; 95% CI, 1.10–6.18) 、高grade  (OR = 2.20; 95% CI, 1.05–4.61)腫瘍と相関。
前立腺がん60歳未満診断男性では、前頭部禿は進行病期  (OR = 6.51; 95% CI, 2.11–20.06)、高 grade (OR = 4.23; 95% CI, 1.47–12.14)と相関

喫煙、年齢中央値、病型不問禿頭での相関性を認めた  (P = 0.02)
アンドロジェン関連遺伝子も調査されているが、関連性明確ではなく、加齢と喫煙が関与示唆。

アンドロジェン代謝genotypingデータで、CYP3A43*3 と前立腺がん (OR 0.32, 95% CI 0.15 〜 0.70)との逆相関認める、他のgenotypeとは相関認めず

非はげ若年男性では、以下の3つの要素で、前立腺がん有意相関
家族歴あり: OR 2.04
喫煙歴あり: OR 0.37
CYP3A43*3 genotype: OR 0.21

combo pill(合剤)発展途上国ビジネスについての解説/日本の合剤=先発扱いはおかしい 

combo pill、すなわち、合剤について

Combination Therapy to Prevent Cardiovascular Disease
Richard Smith, et. al.
JAMA. 2013;():1-2. doi:10.1001/jama.2013.3180.

combo pillは、インド、メキシコ、中南米で利用できるようになった。
これは、系統的なスクリーニングのため多くが診断されず、診断されても多くが治療されない。治療利用できず、面倒なレジメンに従う余裕がなく、個別的治療コントロールとは全く異なるやや乱暴な含有量固定化法
ジェネリック製薬製造で可能で費用も安く済み、マーケッティングリソースの少ない発展途上国で利用しやすい、薬剤提供としてやりやすく、製造業にとって多くの利益性がある。そのため、広汎に広がる可能性がある。

一方、従来のエビデンスが利用できないはずで、アウトカム研究なされていない不透明さがある

現在進行形のトライアルとして、TIPS-3と HOPE-3を紹介している。


以下のAHAでの報告
あらゆる薬剤がcombo pillで一つになると、服用しやすくなる。AHAセッションでの報告
抗血小板薬、コレステロール降下薬、降圧剤など併用が多い。
問題は心血管疾患予防に対して、固定用量設定の意義が不明なこと。
高所得国の場合、米国では、約50%がこの種の全薬剤服用が必要。一方、低・中所得国では5−20%とのこと。

2000名の男女(平均年齢62歳)の心血管疾患ありのヨーロッパ、インド住居者対象の15ヶ月間平均フォローアップ
combo pill(アスピリン、スタチン、2剤降圧剤)使用と、通常の剤型使用と比較
combo pillのほうがアドヒアランス1/3改善、血圧・コレステロール値も改善


American Heart Association. 
People more likely to take heart medicines in combo pill: American Heart Association late-breaking clinical trials report.
http://newsroom.heart.org/news/people-more-likely-to-take-heart-240422.
Published November 5, 2012. Accessed January 25, 2013


日本でも、合剤増加してきている。用量を調整しにくいという弊害と名前が覚えにくい。増量・減量のため、単剤併用へ変更が面倒。
日本での合剤特殊事情として、製薬会社にとっては好都合なようで、ジェネリック成分なのに開発コスト激減してるはずなのに先発扱いにできる。
薬品会社の事情最優先にしている現在の薬剤行政の矛盾が表面化する合剤取り扱い。
医療費削減したいのなら、ジェネリック薬価を国際基準にすべきで、「合剤、即、先発」などというのは、厚労省がのたまう「成分同一なら効能効果一緒」という宣言に矛盾する。いんちき薬剤行政が具現化している、日本の薬事行政。

MRIオーダー:頭痛時使用にくらべ、腰椎でのMRI乱用が目立つ 、特に、家庭医に目立つ

MRIの過剰使用が問題になってきているとのこと、頭痛のための椎体検査・頭部へのMRIについて、不適切な検査が頻回かどうか調査し、外来患者への適正な必要性を検討した報告

Overuse of Magnetic Resonance Imaging
Derek J. Emery,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-3. Published online March 25, 2013

Letter報告のため、Medscape(http://www.medscape.com/viewarticle/781381)記事

近年のMRI数は劇的増加してきたが、腰椎MRIと臨床的サイン・症状との関連性は乏しくなってきた。と不要なMRI検査を排除することで有害性リスクを減少させ、コスト削減をすべきと説明。

腰椎、頭部の2つの専門委員会を立ち上げ、専門メンバーが9点スケールで、1−3が不適切、4−6が不明、7−9が適切というポイントでrating評価、それぞれ1000のMRIを検討。

腰椎MRIに関し、適応適切だったのは 443(44.3%)、不適切は285(28.5%)、残り272(27.2%)は適応不明。

家庭医が最も悪い成績で、 MRIスキャンのわずか33.9%で適応適切だったに過ぎず、対して、他の専門医師では58.1%

下肢術後・腰痛については、適切例160/167(95.8%)だったが、スキャン施行のわずか16.7%のみで、残り833例は、意味不明・不適切適応確率は、適切適応とのratingされた確率の3倍となった 。

一方、頭痛に関するMRIオーダーの大多数の82.8%は適切で、不適切9%、不明8.2%





家庭医・総合医が正しい医療をするわけじゃないらしい・・・


腰椎MRIに関する適正使用ガイドライン例
http://www.lni.wa.gov/claimsins/Files/OMD/MedTreat/Imaging/LBchecklist.pdf

日本でもこういうチェックリストが必要と思う


2013年3月26日火曜日

プライマリケアでの誤診の分析:対診時プロセス省略が主な理由

以下の報告を利用して医師たちは誤診をするものとあげつらうものも多いだろう。しかし現実にはそう単純なものではない
診断過程は必ずしも明確なものではなく、科学的解釈も不十分。意思決定には時間的制限・不明瞭差を伴う情報の限界が有り、症状・徴候での診断では経験不足・助言不十分な状況が存在する
という解説記事(http://www.physiciansnews.com/2013/02/26/missed-medical-diagnosis-common-report-faults-poor-doctor-patient-encounters/)を先に紹介する。


Types and Origins of Diagnostic Errors in Primary Care Settings
Hardeep Singh, et al.
JAMA Intern Med. 2013;173(6):418 
doi:10.1001/jamainternmed.2013.2777
目的 プライマリケアでの疾患見逃しの種類や確定診断過誤に関する診断過程を明確にし、そして、記録レビューが将来の調査として寄与する要素を明らかにできるか明確にする

デザイン 診断過誤カルテ記録レビュー(2カ所(高齢者在郷軍人相手が主:site A、より若年者あいての家庭医:site B)での電子カルテベーストリガーにて検知)。トリガーは、患者のプライマリケア指標受診後の計画外受診パターンに基づく

セッティング  A large urban Veterans Affairs facility and a large integrated private health care system.

被験者  プライマリケア受診検知誤診の190ユニーク・インスタンスに焦点を当て、2006年10月1日から2007年9月30日まで

主要アウトカム測定  カルテレビューを通して、指標受診時の症状に関するデータ収集、見逃し診断の種類、プロセスの省略、関連可能性寄与要素、過誤による有害性要素

結果   190例中、68のユニークな診断ミス検出

多くの誤診はプライマリケアでの多い病態であり、肺炎(6.7%)、非代償性うっ血性心不全(5.7%)、急性腎不全 (5.3%)、がん(原発性)(5.3%)、 尿路感染・腎盂腎炎(4.8%)

プロセス省略の多くは、対診時:patient-practitioner clinical encounter (78.9%) だが、紹介に関連するもの(19.5%)、患者関連要素(16.3%)、診断情報のフォローアップ・追跡(14.7%)、診断検査のパフォーマンス・解釈(13.7%)

プロセスの一つ以上で問題なのは、43.7%

対診時のプロセス省略の内容は、主に、病歴聴取(56.3%)、検査(47.4%)、and/or 追加検査ワークアップのための診断検査オーダー(57.4%)。

多くの過誤は中等〜重度有害事象可能性と関連

結論・新知見   今回研究の診断過誤は通常の疾患広汎対象で、しかも有害事象を生じる可能性があるもの。 多くの過誤は、 対診(patient-practitioner clinical encounter)の時のプロセス省略によるものである。これらミスに対する予防介入としては、診断横断的な普通のありふれた寄与要素をターゲット化する必要があり、特に、patient-practitioner encounterに関するデータ集積・合成をターゲット化すべき。



"$1 triton" problemは、日本では簡単・・・全部医者が悪いで済むから・・・

EF低下心不全:スピロノラクトンの効果はNYHA I-IIではネット・ベネフィットありとは言えない

 糖質コルチコイド受容体拮抗剤(MRA)は死亡率減少効果を示すが、無作為比較試験から、ネットのベネフィットは一般化できず、エプレレノン(セララ)は軽症心不全では検討されているが、スピロノラクトンでは検討されてない。スピロノラクトンが死亡率減少をより広汎な同時代対象の心不全・駆出率減少例、特にNYHA I-IIに対しても、ネット・ベネフィット適応できるか?

結論から言えばNo! 

相反する報告もあり
心不全:NYHA Class I、IIでもスピロノラクトンにベネフィット認める  2010年 11月 03日 
 さらに、 エププレレノン投与・EMPHASIS-HF試験 (N Engl J Med 2011; 364:11-21)にかかわらず、ガイドラインでは、NYHA III-IVにのみガイドライン記載であった。

結果的には賢明な選択?
だが、左室機能障害心不全:メタアナリシス:糖質コルチコイド受容体拮抗剤は心血管突然死リスク減少効果 2013/03/26 の件も、ネットベネフィットの一つとして考えなければならない。

Association of Spironolactone Use With All-Cause Mortality in Heart Failure
A Propensity Scored Cohort Study
Lars H. Lund, et. al.
Circulation: Heart Failure. 2013; 6: 174-183 Published online before print February 5, 2013, doi: 10.1161/​CIRCHEARTFAILURE.112.000115 


前向き18,852名(71± 12歳、女性 28%)、NYHA I-IV(駆出率 < 40%)

スウェーデンの登録データ( Swedish Heart Failure Registry 、 2000 〜 2012 )
スピロノラクトン n=6551、 非使用 n=12301
スピロノラクトン治療 propensityスコアを41共役要素から導いた

propensity score補正、propensity scoreマッチ化Cox回帰評価

感度・残存共役要素解析施行、NYHA I-II、III-IVサブグループ分け分析

1年生存率は、治療 83% vs 無治療 84% (log rank p < 0.001)

propensity score補正後、スピロノラクトンハザード比は、1.05 (95% 信頼区間, 1.00-1.11 ; p = 0.054 )

スピロノラクトンはNYHA状態と相互作用がある ( p < 0.001)
NYHA I-IIでは、propensity score補正後、ハザード比は、 1.11( 95% 信頼区間, 1.02-1.21, p = 0.019)

左室機能障害心不全:メタアナリシス:糖質コルチコイド受容体拮抗剤は心血管突然死リスク減少効果





Effects of Mineralocorticoid Receptor Antagonists on the Risk of Sudden Cardiac Death in Patients With Left Ventricular Systolic Dysfunction
A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials
Srinivas R. Bapoje, et. al.
Circulation: Heart Failure. 2013; 6: 166-173 Published online before print February 12, 2013, doi: 10.1161/​CIRCHEARTFAILURE.112.000003











前向きパーキンソン病調査:軽度認知機能障害合併はその後の認知症リスク高いが、

パーキンソン病におけるMCIの意義

住民ベース研究: ノルウェー ParkWest研究

認知症発生率
MCIなしのパーキンソン病の場合、3年後、1000人年あたり20.5例
MCIありのパーキンソン病の場合、3年後、1000人年あたり98.9例
これは確認的な知見だが・・・

”MCI → 認知症”という一方向ではないということも判明し、価値ある知見である。

Prognosis of Mild Cognitive Impairment in Early Parkinson Disease
The Norwegian ParkWest Study
Kenn Freddy Pedersen, et. al.
JAMA Neurol. 2013;():1-7. doi:10.1001/jamaneurol.2013.2110.
 ベースラインでMIC有りのパーキンソン病患者は、MCI無しの場合に比べ、相対リスク 39.2 [ 95%CI, 5.2-296.5](10/32 [27.0%] vs 1/45 [0.75%])
 ベースラインMCIのうち、フォローアップ中正常状態へ回帰 8/37(21.6%)
 1年後受診MCIは認知症発症リスクと相関(認知症発症率 10/36[27.8%] vs 正常認知機能回帰 7/36 [19.4%]
 しかし、ベースライン・1年後受診時持続MCI 22名中、認知症発症10 45.5%)、正常回帰例はわずか2名(9.1%)

単回アセトン呼気分析(SIFT-MS):非代償性心不全評価

リサーチ・レター として報告

Single Exhaled Breath Metabolomic Analysis Identifies Unique Breathprint in Patients With Acute Decompensated Heart Failure
Michael A. Samara,  et. al.
J Am Coll Cardiol. 2013;61(13):1463-1464. 
doi:10.1016/j.jacc.2012.12.033
ion-flow tube mass-spectrometry (SIFT-MS)による呼気アセトン濃度検出
25名の連続患者・非代償性心不全と対照の前向き研究で、 患者群で 811 /pb (vs 対照 187, p = .001)

pentaneでも同様に中央値 40 ppb vs 22 ppb, p = 0.03
 

Selected ion-flow tube mass-spectrometry (SIFT-MS)というのは、定量的マススペクトロメトリと高流量チューブ技術の組み合わせで、呼気分析に最適で、試料準備や校正が不要ということでも簡便性が期待できるとのこと
量産されればうれしい

以上は、呼気アセトン検出が、非代償性心不全の迅速検出に役立つかもしれないというものだが、いわゆる、呼気VOCs測定は時折話題になり、がん呼吸器疾患などの報告が目立つ。
犬によるがん嗅ぎ分け ・・・ 安定的判断可能 2011年 08月 19日
肺がん:組織型の鑑別に においセンサー利用 2010年 01月 14日
呼気中のcondesate pH:喘息急性悪化のみ低下 COPDでみられず 2010年 12月 21日

比べると、心不全評価報告は少ないようだが、呼気アセトンをマーカーとする報告がなされていた。
Exhaled Acetone as a New Biomarker of Heart Failure Severity
Fabiana G. Marcondes-Braga, et. al.
Chest Aug 2012, vol. 142 (2) : 457-466
ethane 、 1-pentane、 isoprene、 acetone、 sulfur-containing compounds (hydrogen sulfide and carbonyl sulfide)が候補で、酸化ストレス後の体がん循環終末としてアセトンなどが表出されると書かれている。

対象疾患の広がりや技術拡大を含め、VOCsの臨床面利用がさらに広がるのかもしれない。

閉経前女性:内臓脂肪増加は骨質劣化と関連

やせが骨粗鬆症や骨折のリスク要素ということから考え、肥満はbone strength(骨強度)に好影響を与えると考えがちだが、肥満関連、特に、内臓脂肪により、骨密度減少そして骨折リスク増加と関わる可能性があることが判明した。

組織レベルでは、中心性肥満閉経前女性では、骨質とstiffness悪く、骨形成速度著明低下。

健康閉経前女性、40歳の骨密度と体幹脂肪DXA測定関連性と、QCT(定量的CT)によるサブセット評価、骨微小構造、stiffness、リモデリング、骨脂肪を標識transiliac bone biopsy評価

Abdominal fat is associated with lower bone formation and inferior bone quality in healthy premenopausal women: a transiliac bone biopsy study
Adi Cohen , et. al.
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism March 20, 2013 jc.2013-1047
BMIは20.1〜39.2 kg/m2
DXA体幹脂肪はBMI、QCT評価内臓脂肪と直接相関(r=0.78, p < 0.001、 r=0.79, p <0.001))

体幹脂肪最小3分位比較で、最大3分位は骨質悪化
骨量骨容積( 20.4 ± 8 vs 29.1 ± 6.1 %; p = 0.01)減少、 stiffness減少 (433±264 versus 782±349 MPa;  p = 0.01) 、cortical porosity(皮質骨密度)高値  (8.8±3.5 versus 6.3±2.4%; p = 0.049)

骨形成速度:Bone formation rate (0.004±0.002 versus 0.011± 0.008 mm2/mm/year;  p = 0.006) は、最大3分位群では64%低下


体幹脂肪は、骨量骨容積・骨形成速度と逆相関 (r=-0.50;  p < 0.01、r = -0.50 ;  p  < 0.001)

体幹脂肪と骨容積の相関性は年齢、BMI補正後も有意差持続


骨形成速度と、破骨細胞・贈骨細胞のturnover誤解されそう・・・

2013年3月25日月曜日

COPD急性増悪:マグネシウムネブライザー投与は有効か?

161名のCOPD急性増悪患者に対し、マグネシウム・ネブライザー投与

これは、マグネシウム注射にて急性重度喘息・COPD急性増悪トライアルに対し気管支拡張効果をみとめること、そして、急性喘息においてマグネシウムネブライザーの若干の気道れん縮改善効果エビデンス(Inhaled magnesium sulfate in the treatment of acute asthma.; Powell C, Dwan et. al. ;Cochrane Database Syst Rev. 2012 Dec)があったため行ったトライアルとのこと

COPDへの気管支狭窄状態改善急性効果を評価

Use of nebulised magnesium sulphate as an adjuvant in the treatment of acute exacerbations of COPD in adults: a randomised double-blind placebo-controlled trial
Thorax 2013;68:338-343 doi:10.1136/thoraxjnl-2012-202225


ニュージーランドの2つの病院で、ネブライザー(サルブタモール 2.5mg:イプラトロピウム 500μg)投与20分後・予測FEV1<50%の症例


等張性硫酸マグネシウム 2.5 ml(151mg/投与あたり)、プラシーボ(生理食塩) 2.5mlを30分間隔3回施行


プライマリアウトカムは 90分後FEV1

116名をランダム化、52名がマグネシウム・アジュバント群へ割り付け
90分後マグネシウム投与FEV1(n=47) 0.78 vs プラシーボ(生理食塩水群) 0.81l
差 -0.026 L(95% CI, -0.15 〜 0.095, p=0.67)

ただでさえ、可逆性のないのに、一秒量で比べても・・・

重症非好酸球性喘息:アジスロマイシン投与は一部臨床指標改善し、重度急性増悪・気道感染悪化を防止

重症喘息患者では、急性増悪・下気道感染リスク増加する。一方、重症喘息は、heterogenousで、好酸球性と非好酸球(主に、好中球性)特性の発現型があり、気道感染例でマクロライド系薬剤によるベネフィットが考えられる。



ということで、重症喘息へのアジスロマイシン二重盲験プラシーボ対照化トライアル

アジスロマイシンは非好酸球性重度喘息悪化にて、一部喘息指標改善し、急性増悪・気道感染悪化数を減少させる

薬剤抵抗性などの課題が残る。


Azithromycin for prevention of exacerbations in severe asthma (AZISAST): a multicentre randomised double-blind placebo-controlled trial
Guy G Brusselle, et. al.
Thorax 2013;68:322-329 doi:10.1136/thoraxjnl-2012-202698


アジスロマイシン(n=55)
プラシーボ(n=54)
(吸入ステロイド、LABAのadd-on治療)

プライマリアウトカムは、重度急性増悪・抗生剤必要な下気道感染26週間期間中
セカンダリアウトカムは、ACQ、AQLQ

6ヶ月間プライマリエンドポイントでは有意差無し
0.75 vs 0.81 (95% CI, 0.61-1.09)

事前設定サブグループ検討として、非好酸球性重症喘息(血中好酸球 200/μL以下)において、アジスロマイシンは有意なプライマリエンドポイント数低値
0.44 vs 1.30 (p-0.013)

アジスロマイシンはAQLQスコア改善するも、ACQスコア、肺機能では有意差認めず

アジスロマイシンは耐用性良かったが、マクロライド系薬剤抵抗性連鎖球菌口腔咽頭キャリア率高めた

慢性心房細動治療:アジア人には新規抗凝固薬推進すべきという宣伝

メーカー・スポンサーなので、眉につばをいっぱいつけて見る必要があるが・・・
http://www.medscape.org/viewarticle/780975


他人種に比べワーファリン関連出血自己頻度多い
理由付けとしては、INR不安定性が高い、遺伝子多様性(CYP2C9遺伝子型との関連性)、ビタミンK epoxide reductase、人種特異的血管特性

RE-LY(dabigatran)


卒中と心房細動の関連は、アジア人種と他の人種では異なる
ワーファリンの出血リスクは、アジア人種に多い
一方、一般的には、新規抗凝固薬の安全性・有効性は、他人種と同様


これ見ると、そろそろ、新規凝固薬採用のタイミングなのだろうか?
それとももうちょと様子を見た方が良いのだろうか?

ダビガトラン(プラザキサ)副作用のゴタゴタ・・・ 2013/03/14
血液凝固阻止剤「プラザキサカプセル」で5人死亡  2011年 08月13日

ガイドラインなどで新規凝固薬剤積極的導入が記載されれば、 使用しやすくなるはず
そのとき、CHADS2スコアのアジア版、例えば、CH2DS2-VACScスコアなどが使用されるのだろうか?
リスク層別化としてHAS-BLEDスコア 利用されるのだろうか?

2013年3月23日土曜日

欧州:プレタール使用制限推奨 

ヨーロッパ薬事関係局である、EMA(European Medicines Agency)は、シロスタゾール含有薬(e.g. プレタール)を、間欠性跛行治療として、リスクの少ない臨床的ベネフィットの明らかな例に限る旨の使用制限を推奨した。
European Medicines Agency recommends restricting use of cilostazol-containing medicines
22/03/2013
http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2013/03/news_detail_001746.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1


重度頻拍性不整脈(頻拍、心拍リズム不整など)、現行不安定狭心症、心発作・バイバス手術既往、2種以上の抗血小板薬剤・抗凝固薬剤使用(アスピリン、クロピドグレルなど)例の使用制限
運動・健康食・禁煙などのライフスタイル変容に関わらず症状改善しない場合のみの使用

シロスタゾール治療に関してはそのたび毎にアポイントをとり、治療評価を行うことを義務づけることを強調している。

シロスタゾールのベネフィットは限定的軽度に関わらず、リスクへの懸念が大きいというもので、スペインのAEMPSがEMAのCHMPへ諮問を求めた結果の推奨

CHMPでは、14,000名の副作用報告・非介入研究4千イベント、臨床トライアルからの副作用特性からの安全性データ検討し、最頻度副作用はやはり動悸と頻脈で、それぞれ5%程度の頻度。シロスタゾールの出血リスク、特にアスピリン・クロピドグレルとの併用時のリスク増加が示唆された。

解説:http://www.theheart.org/article/1521457.do#bib_1


プレタールに関し、TASCなる報告で、”However, since the drug is in the phosphodiesterase III inhibitor class of drugs, it should not be given to patients with any evidence of congestive heart failure because of a theoretical concern for increased risk of mortality. This drug has thebest overall evidence for treatment benefit in patientswith claudication"と書かれてるが、「間欠性跛行治療第一選択薬=プレタール」・「薬物療法は現在のところプレタールのみが有効」という部分のみが医師たちにより強調されている。製薬会社はそれなりの自重があるが、利益相反性に鑑み情けないことである。
そして、「脳梗塞後患者の二次予防」としても、CSPS2はアスピリン比較の二重盲験ランダム化ダブルダミー非劣性試験でにほんでは珍しいまともなトライアルであることは確かだが、リスクベネフィット議論を飛び越してプレタールの宣伝がなされている。

添付文書には、すでに警告として、脈拍数増加・狭心症発現、うっ血性心不全、心筋梗塞、狭心症、心室性頻拍の副作用が記載され、心循環系評価されないままの処方はこの警告非遵守となる。整形外科単科標榜や脳血管疾患医療機関などを含め、使用前評価や使用後の効果判定など徹底されているか?

心不全:ヨード系Iobenguane I 123:心筋交感神経活動性評価FDA承認


AdreView™ (Iobenguane I 123 Injection)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedhealth/PMHT0010753/
http://www.fda.gov/AboutFDA/CentersOffices/OfficeofMedicalProductsandTobacco/CDER/ucm129222.htm


2008年に、褐色細胞腫・神経芽細胞腫の原発性・転移性病変評価のための使用FDA承認されていた。
今回、特定の心不全患者の心筋交感神経innervation評価視覚化使用承認

FDA Approves GE Healthcare’s AdreView™ (Iobenguane I 123 Injection) for Cardiac Risk Evaluation in Heart Failure Patients
http://www.genewscenter.com/Press-Releases/FDA-Approves-GE-Healthcare-s-AdreView-Iobenguane-I-123-Injection-for-Cardiac-Risk-Evaluation-in-H-3ebd.aspx
AdreView は、心筋交感神経innervationシンチグラフィ評価
心不全 NYHA分類II、III、左室駆出率 35%以下で、 H/M(心筋/縦隔)比>1.6が示唆する生存率1−2年評価のための使用であり、役目としては選択的治療、治療反応評価、高リスク群同定のための使用 である。

米国医師たちは将来悲観:減収にあえぎ、早期引退を希望

 日本医師会の主張通りなら、米国も国民皆保険に近くなれば医師たちは喜びそうなものだが・・・ 実際には米国の医師たちは、autonomy喪失と医療報酬減少に悩み、医師会予想と逆のようだ。確かに、皆保険ということで、支払い側の勝手な意向で非合理的に支払いを認めない(医師側から見ると過小支払い、支払い側から見ると過大申告・・・マスメディアは後者の意向だけを報道)わけだから、皆保険破壊すれば、医師側からはautonomyは向上する。医師会も固い頭を柔らかくして、いっそのことTPP推進に回って、皆保険崩壊・医師Autonomy向上を図った方が業界団体として正しい(?)道だと以下の報告をみて思う。

思いっきり医者側の主張になるが、【日本医師会はTPPに猛烈賛成し、皆保険崩壊を歓迎しろ】となる。

そもそも日本医師会の立ち位置の曖昧さにげんなりしている。いったい、政治業界圧力団体なのか?医師としての職能集団なのか?学術団体なのか?
いずれにしても中途半端であほらしくなる・・・






Obamacareと呼ばれる、Affordable Care Act (ACA) :2010年成立の医療改革法
日本では皆保険化と見られているが、実際には、民間主導による医療費抑制・効率化競争 ということで、医療費抑制が予測されている。そして、診療報酬算定・支払いにおける制度改定で、Drフィーの減少が予測されている(参考:http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=931)。

結果 "多くの医師たちが、主にautonomyの低下、収入低下など将来を悲観している"というDelotte Center for Health Solutions 調査報告
しかも、この認識は、年齢、世代、専門性を問わず、横断的傾向であった。
 医師の62%が、今後1−3年での早期引退の意向を示している。


調査回答者の約2/3で、医師・病院は今後集約され、2年後の大規模医療への以降を予測は31%、10名中9名ほどが中規模医療事業者はプライマリケア志向となるだろうと予測。
10名中4名の医師は、2011年から2012年にtake-home pay減少したと報告し、半数以上が10%超減少した。
減収医師たちの間では、10名中4名がACAを批判し、48%は、2012年再度減収するだろうと予測している。
 
その他:
  • Medicare比重は今後1−3年で26%増加と予測
  • 今後1−3年で、医療制度改定が議会通過するとかんがえているのは10名中1名のみ
  • 報酬が変われば、上限が新規にあるいは追加されると予測するのは4名中1名
  • 医師の55%は、病院・医師関係は悪化すると予測。病院の効率的利用スタンダード遵守厳格化リスクに置かれると判断。
  • 米国の医療システムは"A or B"の良好レベルと判断したのは31%だったが、2011年は35%であった。
http://www.deloitte.com/assets/Dcom-UnitedStates/Local%20Assets/Documents/us_chs_2013SurveyofUSPhysicians_031813.pdf

(情報ソース:http://www.medpagetoday.com




これだって、真実なら真逆の行為だと思う(朝日だから、意図的誤報の可能性も大だが・・・、なんせ”「医師会」など”という情報ソースごまかしだし・・・)
製薬企業から医師への金、情報公開延期 医師会側反発で
”製薬会社からの講演依頼多い= 情報整理能力や情報提供スキルのある医師もしくは立場上重要な医師”ってことで社会的ステータスでしょ、なぜ、隠す必要があるのだろうか?

2013年3月22日金曜日

英国GP医:プラシーボ使用かなり一般的 ・・・ 日本の実態は官制正当化impure placebo

プラシーボ自体のベネフィット、有害性、コストに関しては疑念がもたれたままであるが、英国ではプラシーボ使用は一般的である。pureプラシーボでなく、 impure なプラシーボとして 

先に、解説
・pureプラシーボ:pure placeboとは、"substances with no pharmacological effect, e.g. sugar pills: 薬理学的効果のない薬物使用(e.g. sugar pill)
・impure プラシーボとは、"substances with pharmacological effect but not on the condition being treated, e.g. antibiotics in viral infections or vitamins":薬理学的効果はあるが、治療対象には効果の無い薬剤(e.g. ウィルス感染への抗生剤、ビタミンなど)


イギリスのGPに対するWebベースアンケート

1715名のGPに対し、回答率46%、783で、他の米国登録医師でのアンケートも同様だったので一般化を正当化
回答者のうち
12%(95%信頼区間 [CI], 10-15%)で、pureなプラシーボ使用
97%(95%CI, 96-98%)では、 impure なプラシーボを一度は使用

pureプラシーボ使用を回答した1%、 impure なプラシーボ使用を回答した77%(95%CI, 74-79%)で週1回以上使用していると回答。
特定の状況ではプラシーボ使用は倫理的であると多くが回答



Placebo Use in the United Kingdom: Results from a National Survey of Primary Care Practitioners.
Howick J, Bishop F, et al. (2013)
PLoS ONE 8(3): e58247. doi:10.1371/journal.pone.0058247


まともな治験がなされてない大多数の漢方薬全体が impureプラシーボだと思うし、その他の薬剤でも同様に治験上あいまいなものが上梓され続けている日本の薬剤事情を考えれば、英国のプラシーボ使用を非難はできまい。いわば官制正当化プラシーボ。
その上、上気道炎への抗生剤使用やインフルエンザへのクラリスロマイシン投与も、上記定義なら impure placeboと考えれば、日本では、英国より、プラシーボ使用がかなり広汎に行われていとも思われる。

減塩:心血管系への世界的なインパクト

世界的に 塩の取り過ぎ って話・・・


私だけなのだろうか?  英字表記で、sodium (Salt or Sodium chloride)と書かれてるからややこしく感じる。ひょっとして、sodiumと書かれてるのは塩化ナトリウムのことじゃないかと・・・
sodiumと書かれてるとき、塩化ナトリウム:NaClとしてのグラム数なのか、ナトリウム:Naとしてのグラム数なのか・・・

CDCでの記載は・・
「1teaspoon」で「sodium 2,300mg」
「sodium mg → salt mg」換算は、2.5倍し、mgとの標記
「sodium mmol → sodium mg」換算は、23倍し、 mmol標記
「sodium mmol → sodium chloride(NaCl) mg」換算は、 58.5倍し、mg標記
http://www.cdc.gov/salt/pdfs/sodium_qanda.pdf
AHA
「1 teaspoon salt= 2,300mg sodium」と標記

「sodiumは名のごとく、"ナトリウム"として扱い、食塩量換算(mg)なら、2.5倍する」で良さそうだと安心しながら・・・
AHA基準が、食塩 3.75g/日なのには改めて驚く・・・

Whole World Uses Too Much Salt, Study Finds
By Crystal Phend, Senior Staff Writer, MedPage Today
Published: March 21, 2013
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Prevention/38011

以下の発表に基づく記事
"The global impact of sodium consumption on cardiovascular mortality: A global, regional, and national comparative risk assessment"
Mozaffarian D, et al
EPI/NPAM 2013 ; Abstract 28.

WHOスタンダード 2,000 mg、AHAガイドライン・スタンダード 1,500 mg

ナトリウム過剰摂取のインパクトは、2010年だけで230万名の超過死亡との報告

食事ナトリウム摂取の大規模な数の住民データベースへの適応した報告としては初めてとのこと

食品産業・行政府へ、迅速かつ断固としたアクションを行うべきで、減塩は、非感染症疾患領域で最もコスト削減効果のある分野のひとつ

Global Burden of Diseases studyの2007年ー2012年成人ナトリウム摂取247研究の出版・未出版のグループシステマチックレビュー研究で、過半超で尿中24時間ナトリウム測定、残りは食事調査由来。66ヶ国直接データ入手で、74%は米国外。187ヶ国に広がった国レベル・サーベイレベルの要素で、ほぼ全世界を網羅。

6ヶ国でのみWHO上限 2,000mg/日でふるい分けされず、AHA閾値 1,500 mg/日はケニア以外全滅

119ヶ国、88%で、平均で、3,000 mg/日超過というのは注目すべき事態

塩摂取の多い国
中央アジア:平均 5,500 g/日
アジア・太平洋地域高所得国:平均 5,000 g/日
東アジア:平均 4,800 g/日

東サハラ砂漠以南地域は最も平均摂取量が少なく、2,200g
次、中央サハラ以南地域の2,400g、オセアニア 2,500g

米国成人では、3,600 mg/日

これらの塩分摂取報告と107のランダム化対照化トライアルのメタアナリシス結果に基づきMozaffarianは、2010年、ナトリウム 1,000mg/日超過による寄与心血管死亡数を推定し、230万人と推定、冠動脈疾患 42%、卒中 41%とした。

ナトリウム高摂取により最も影響を受ける国
・ウクライナ 2,109死亡/100万成人あたり
・ロシア  1,803
・エジプト  836

塩分摂取寄与心血管死亡高比率国は、フィリピン、ミャンマー、中国で、全体の20%

富裕国・貧民国で国民での塩分摂取減少は異なる影響を与える。

特定の低所得国では、製造業・ロビイストからの減塩に対する反論の影響を受け、国民にアクションを与えにくい状況もある。高所得国では、迅速なアクションをとるべきだが、製造業からのパワーが行政などの方針決定に影響を与える


レビュー:塩と健康・世界の減塩プログラム2009年 05月 28日
ナトリウムJカーブ現象? ナトリウム5g/日程度が最適? 2011年 11月 23日

気になる報告
減塩必ずしも善ではない: 減塩の効果影響 血圧減少するが ・・・ 交感神経系・RAS活性化、脂質特性悪化 2012/04/19

GAO → FDA:サプリメントの害を軽視しすぎと・・・日本なら内閣・総務省あたりが厚労省へ指導に相当すると思うのだが・・・

 私のところが田舎だから特殊なのかもしれないが、テレビをつけるとサプリメントかパチンコ、弁護士・会計士事務所の宣伝が目立つ。 特に、サプリメントの宣伝は夜のゴールデン・プライムタイムには昔はなかったと思うが、かなりの率を占める。薬剤とミスリードを狙ったCMなどもあり 、政府・行政がまともなら、regulationすべきと思うのだが、残念ながらその気配はないようだ。

米国ではどうか・・・日本と違うところは、GAOがまともに機能しているようで、厚労省に当たるFDAを批判し、その批判に対し、ちゃんとコメントしているところ。日本なら行政機関同士のなぁなぁだろうが・・・総務省や内閣府あたりが厚労省に「国民守るためにサプリメント有害事象報告強化しろ」ということになると思うが、総務省や内閣府が特定業者に遠慮してる日本じゃ・・・


http://www.medpagetoday.com/Washington-Watch/FDAGeneral/38010

FDAは、Government Accountability Office (GAO:(連邦)政府監査院((連邦議会の付属調査機関))により行われた研究による、中毒センター自主報告作成
副作用報告(AERs:adversed effect report) programでは、FDAにおいて、その有害性明確にされてなかった

FDAでは、2008−2011の間に6300の副作用報告で、法的要求によるのが71%

一方、2008年−2010年において、中毒センターの報告は1000を超すサプリメント由来の副作用報告で、FDAの同時期報告より多いとGAO解析

当局把握副作用報告が極端に少数で有ることに安全性嫌煙が有り、最大限努力が必要とFDA関係者
薬剤と違い、食事サプリメントの市販前承認は存在せず、せいぜい市販後サーベイランスで、製品安全性モニタリングを要求するのみで、製品と健康安全性を原因関係を把握するのも困難な状況

一般消費者に対し、副作用報告を用い、サプリメント商品の健康問題に関心と理解を持ってもらうことの要求するが、FDAはそのモニターさえされてないとGAO

FDAは1994年サプリメントにregulation開始し、ラベル表示に含有物とその製品保証を要求、2010年製造スタンダードを作成、義務化したが、サプリメント製造会社のパワーの前に、その徹底ははかられてない。

しかしながら、チャンスはあった。例えば、2004年エフェドリン・アルカロイドの安全性懸念で、数名の死亡事例と関連した問題があり、GAOはこの年以前に警告していた。
GAO to FDA: You’re Putting People at Risk
http://www.rodale.com/fda-and-vitamins

米国もサプリメントの有害性懸念に対し行政は及び腰。
 エフェドラの問題は、日本ではまだ未解決な問題どころか、エフェドラ含有薬剤が漢方やその類似として、テレビ宣伝などでばんばん流されている。どっかの国の行政や政府はそれをregulateしようともしていない。エフェドラ含有漢方を感冒・流感や肥満薬として推奨している医師・薬剤師なども存在も大問題。

【長距離商用運転】カフェイン含有物にて交通事故63%減少効果

カフェイン含有物使用と、長距離商用運転者の交通事故リスクの関連性
オーストラリアの症例対照研究報告

運転注意力医事のためには、疲労管理包括的戦略が最優先事項だが、カフェイン添加物は有用な方法であることが改めて判明

Use of caffeinated substances and risk of crashes in long distance drivers of commercial vehicles: case-control study
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f1140 (Published 19 March 2013)Cite this as: BMJ 2013;346:f1140
43%のドライバーがカフェイン含有薬物服用
例えば、茶、コーヒー、カフェイン錠、energy drinkなどを運転覚醒状態保持のため使用と表現

一方、3%だが、非合法覚醒剤、例えば「speed」(アンフェタミン)、「ecstasy」(3,4メチルエネジオキシメタンフェタミン)、コカインを使用

寄与要素補正後、運転手はカフェイン添加物覚醒目的使用は、未使用比較で、交通事故尤度63%減少(オッズ比 0.37、95%信頼区間 0.27−0.50)

だが、energy drinkの問題点は様々報告されている。

FDA:energy drink危険性警告の内容 :日本にも関係あるような・・・2011年 02月 02日  ・・・ とくに、異常量のカフェイン・ソフトドリンクには注意が必要

同じオーストラリアの報告では、非合法薬物・アルコールへのゲートウェイとなる
Energy drinks: health risks and toxicity; Naren Gunja and Jared A Brown
Med J Aust 2012; 196 (1): 46-49.

2013年3月21日木曜日

胸部レントゲンコンピュータ補助診断システム:OnGuard

Lung Cancer Screening with Computer Aided Detection Chest Radiography: Design and Results of a Randomized, Controlled Trial.
Mazzone PJ,  et al. (2013)
PLoS ONE 8(3): e59650. doi:10.1371/journal.pone.0059650

40−75歳、喫煙10 pack-years、1424名登録、CAD胸部レントゲン 710
CTにて追加評価15名のうち、結節確認 4名、肺がん確認 2名
がんの2名は、CAD胸部レントゲンで同定。





CAD versionは、 OnGuard 5.0 (Riverain Medical)
解説
OnGuard™ Chest X-ray CAD

http://www.mikrondigital.com/uploads/media/onguard-technical-bulletin.pdf

11mm未満の結節の71%、11−30mmの28%、31-40mmの12%は検出不能
この診断遅延は、5年生存率の23%低下をもたらす
コンピュータ補助(CAD)技術により、9−30mmの結節を同定し、領域の真ん中に円を描き、自動的にoverlay表示し、患者ファイルに追加イメージを作成する。

RESPECT:卵円孔開存閉鎖術の卒中再発二次予防効果 ・・・ ITT有意差至らず、per-protocolでは有意

980名の患者対象のRESPECTトライアル

卵円孔開存閉鎖術 vs 薬物治療にて、約2.5年間の研究で、ITT分析の結果は、卒中再発リスク 51%減少したが、有意差に至らなかったというもの( HR 0.49 95% CI 0.22-1.11 p = 0.08)


対照群(薬物療法)の治療ドロップアウトが多すぎて、解釈困難に陥った研究になってしまっている。上記グラフをみると、そんなに差が無い気もする・・・言うほどPFO閉鎖療法って効果があるのだろうか?
解説記事(http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Strokes/37991)でも同様の疑問が呈されている。

Closure of Patent Foramen Ovale versus Medical Therapy after Cryptogenic Stroke
John D. Carroll, et. al.
for the RESPECT Investigators


しかし、卵円孔開存閉鎖は、薬物治療より、事前層別per-protocolや、as-treated analysisでは優越性示された。



980名(平均年齢 45.9歳)
薬物療法:抗血小板療法1剤以上 74.8%、ワーファリン 25.2%
2群治療の治療暴露は薬物療法群のドロップアウト率が高く不均等:閉鎖群1375人年 vs 薬物治療 1184人年 p=0.009

問題のITTでは、卒中再発 閉鎖群9名、薬物療法16名
(ハザード比 0.49;95%信頼区間[CI], 0.22-1.11; p=0.08)


空腹時・食後2時間高血糖型は、診断前から心血管系リスク高い

英国の検診後顧的post-hoc解析

糖尿病という病態は多因子・heterogenousな特性を有する疾患という認識であるが、システマティックに層別化した予防、治療はなされてない。空腹時血糖ベース、食後2時間血糖ベースがあるが、その両クライテリアでの心血管リスク、病態での違いを明らかにしようとするもの


Whitehall II研究: 糖尿病への軌道:空腹時血糖、食後血糖、HOMA指数、β細胞機能の変化  2009年 06月 09日
”徐々に血糖が増加し、食後血糖の上がりが空腹時血糖より3年ほど先行してあがる。
HOMAインスリン感受性は診断前5年で急激に低下(→86.7%)

HOMAβ細胞:インスリン抵抗性は、診断前4-3年の間に増加(85.0% →92.6%)そして診断前に減少(→62.5%)"

このときの記載から考えれば、病型というより”食後血糖増加→食後・食前血糖増加”及びインスリン感受性先行性低下・抵抗性亢進が先行するという一連の流れの認識が主流だったようだ。

今回は、病型という認識の記載が気になる。

2型糖尿病の3病型(空腹時・食後2時間両者高値 群、空腹時単独高値 群、食後2時間単独高値 群)で、診断時あるいはその前からの保有する心血管系リスクが異なるという報告。

Trajectories of cardiometabolic risk factors before diagnosis of three subtypes of type 2 diabetes: a post-hoc analysis of the longitudinal Whitehall II cohort study
Kristine Færch, et. al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 21 February 2013doi:10.1016/S2213-8587(13)70008-1

フォローアップ中央値 14.2年、15826人年(1991−2009年)
10308名のうち、6843名を登録、6569名は糖尿病なしのまま
2型糖尿病 274症例 ;空腹時高血糖単独  55名、2時間後高血糖単独 148名、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発  71名
BMI値平均は、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発(BMI 30.9 kg/m2 [SD 5.7])では、空腹時血糖高値 単独群、食後2時間血糖高値 単独群に比べ高値 (28.4 [4.4] p = 0.0009、  27.9 [4.9] p < 0.0001)
平均糖化ヘモグロビンA1c濃度も同様高値 ( 7.4% [1.6] vs 5.9%[0.5] p < 0.001、 5.9% [0.6] p < 0.001)
空腹時高血糖・食後高血糖両者併発群では、空腹時血糖高値 サブグループに比べ中等度以上の心血管軽疾患リスクを有する比率が高い ( p = 0.02)

診断前のβ細胞機能低下の古典的パターンは、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発群でのみ著明。
加え、空腹時高血糖・食後高血糖両者併発では、 単独血糖高値 群(空腹単独、食後2時間単独高値 群)に比べ、診断前の血糖濃度・インスリン抵抗性は加速的高値 

DECODE(The Diabetes Epidemiology Collaborative Analysis of Diagnostic Criteria in Europe )、DECODA(The Diabetes Epidemiology Collaborative Analysis of Diagnostic Criteria in Asia)研究の食後高血糖の意義と矛盾しない報告だが、空腹時高血糖・食後2時間高血糖群と食後2時間高血糖単独群との違いが見られる。

米国:ロタウィルスワクチン後はノロウィルスが乳幼児急性胃腸炎の主役

ロタウィルスワクチン導入後、ノロウィルスが米国内の子供では急性胃腸炎の医療受診の主な原因となりつつ有り、年間100万件の医療機会増加に関連 ( Centers for Disease Control and Preventionの基金研究)

ワクチン後進国日本では、ロタワクチン公費接種一般化せず・・・前の段階
(情報提供の非対称性の極みである・・・朝日読売毎日共同などの”反ワクチン世論誘導によるワクチン接種禍報道”禍は国家的損失・国民の機会損失は膨大である・・・彼らメディアは誰も責任とらない)

Norovirus and Medically Attended Gastroenteritis in U.S. Children
Daniel C. Payne, et. al.
N Engl J Med 2013; 368:1121-1130March 21, 2013
DOI: 10.1056/NEJMsa1206589

ロタウィルス急性胃腸症症例はロタウィルス・ワクチン導入後減少してるそうだ。しかし、ノロウィルス関連急性胃腸症は評価段階である。

病院・ED、外来での5歳未満の急性胃腸症での検査確認ノロウィルス症例のactive surveillance

2009年ー2010年間の3US地域の最低一つ居住小児。便試料でノロウィルス・ロタウィルス検査。
住民ベースのノロウィルス関連急性胃腸症の頻度を計算。医療コスト決定のための支払い記録レビュー。これらのデータを5歳未満の米国民への適応。

2009−2010年の急性胃腸症のうち、ノロウィルス同定 278/1295、21%
2008年 165/742、22%、2010年 113/553、20% p=0.43
健康対照者でも2008年 19/493、4%

2009−2010年の急性胃腸症のうち、ロタウィルス同定 152/1295、12%

2009年の、ノロウィルスによる入院、ED、外来受診対応比率は、5歳未満で、それぞれ1万人あたり8.6、146.7、367.7、2010年では、それぞれ、5.8、134.3、260.1
推定コストは、2009年それぞれ3918ドル、435ドル、151ドル

米国内での2009年、2010年の年間あたりの入院、ED受診、外来受診推定し、1万4千、28万1千、62万7千と推定され、それぞれ年間273百万ドル超に相当する。



米国神経学会:スポーツ震とう対策を地方政府・州に訴え

2013AAN(アメリカ神経学会)年次集会は、スポーツ震とう(振盪)に熱心


AAN:スポーツしんとうガイドライン 2013/03/19
ガイドライン
Summary of evidence-basede guideline update: Evaluation and Development Subcommittee of the American Academy of management of concussion in sports : Report of the Guideline
http://neurology.org/content/early/2013/03/15/WNL.0b013e31828d57dd.full.pdf+html

Neurology group urges states to pass concussion laws
http://www.stltoday.com/lifestyles/neurology-group-urges-states-to-pass-concussion-laws/article_281d55c4-182f-5ca3-a57e-bd8691bd7624.html

米国内では、1年間に推定160万から30万件が生じているとのこと。
AANは州や地方政府に対して、スポーツ関連震とう最小化する法律導入を強く推奨とのこと。
  • アスリート、親、コーチに、アスリートの震とう(振盪)の認識、震とう後の後遺症の可能性の認識を最大に拡大すべき
  • 震とうを疑うアスリートは、だれでも、重症度と無縁に、ゲームや練習中止すべき
  • 神経専門医などのライセンスを持つ医療専門医、震とうへの評価・管理に関し適切に実践訓練を受けた上での者が、若年アスリートのプレー復帰前にその問題をクリアしなければならない。これには、高校の運動連盟によるもの、他の範疇の娯楽リーグなどのものも含まれると認識。
  • 高校・アスリートの運動連盟は、 非医師使用のためデザインされているStandardized Assessment of Concussion (SAC)などのツールを取り入れなければならない。スポーツ震とう評価・管理のためのAANのガイドラインによれば、SACは外傷早期において、震とう存在を正確に同定する可能性がある。



日本では、スポーツ関連でのコーチ監督による生徒・学生・競技選手への虐待が話題になっているが、海の向こうでは、別の話題が・・・

高potencyスタチン治療により4ヶ月間に急性腎障害入院発生率増加の可能性

スタチン服用と急性腎障害の関連性は、服用後1年以内で増加したとの報告があり、カナダからの報告(CNODES;or the CNODES investigators. CNODES: the Canadian Network for Observational Drug Effect Studies. Open Med2012;6:E134-40.でこの懸念浮かび上がっていた。 JUPITERでもその副作用の懸念があった。

 日本では、ロスバスタチン:クレストール 通常10mgまで、家族性20mgまで、アトルバスタチン:リピトール 通常10mg、重症40mgまで、 シンバスタチン:リポバス 通常5mg、重症20mgと添付文書上は記載がある。日本でも、以下の論文定義による高potencyスタチン治療として、クレストール10mg、 リピトール 20mg以上の場合が存在する。

高potencyスタチン治療により4ヶ月間に急性腎障害入院発生率増加の可能性
既存腎障害である、CKDの有無と無縁というのが予測可能性の上で、懸念として浮かび上がる。

Use of high potency statins and rates of admission for acute kidney injury: multicenter, retrospective observational analysis of administrative databases  
Colin R Dormuth, et. al.
Canadian Network for Observational Drug Effect Studies (CNODES)
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f880 (Published 19 March 2013)
目的 急性腎障害と高potencyスタチン vs 低potency スタチン間の相関性定量的評価
デザイン コホート研究・メタアナリシスベースの9つの住民ベース行政データベースの後顧的観察分析研究。ネステッド症例対照デザインによる各データベース被治療解析。スタチン現行・既往暴露の期間ばらつきに対する発生率を高potency、低potencyスタチンを、conditonalロジスティック回帰を用いた比較推定。発生比率は共役高次元propensityスコア項目で補正。
セッティング カナダ7地域、二つのUK・USデータベース
被験者 2 067 639 名(40歳以上、1997年1月1日から2008年4月30日までのスタチン新規使用。急性腎障害入院各人を10対照とマッチ化。
介入 前年にコレステロール低下薬剤されてない場合・ナイアシン処方の場合、薬剤調剤イベントを新規とする。高potencyスタチン治療は、ロスバスタチン10mg、アトルバスタチン20mg、シンバスタチン40mg以上をその定義とする; 他の全てのスタチン治療法を低potencyとする。スタチンpotencyグループを慢性腎不全有無のコホートに分割。
主要アウトカム測定 急性腎障害相対的入院比
結果 200万名超(非慢性腎臓病(CKD) 2,008,003名、慢性腎臓病 (CKD) 49636名)中、特性マッチ化させ、類似potensity score患者で比較。現行治療120日間内で、非CKD患者での急性腎障害入院イベント 4691、CKD患者での入院イベント 1896で、治療開始120日以内の高potencyスタチン服用者では、34%入院率高い  (fixed effect rate ratio 1.34, 95% 信頼区間l 1.25 〜 1.43)。CKD患者での高potencyスタチン服用者では、入院率増加は大きくない(1.10、0.99〜1.23)。  heterogeneity χ2 検定により患者site横断的に確認(注;CKD患者以外全て有意差無しで、全体的に解釈上影響なしのようだ)。
結論 高potencyスタチン使用は低potencyスタチン使用に比べ、入院を伴う急性腎障害発生率増加と相関する。スタチン使用120日で最も強い影響を受けるようだ。
 

2013年3月20日水曜日

18−50歳発症卒中:その後20年間で、標準化死亡比3−4倍

 日本の多目的コホート研究(JPHC研究)からの卒中予測式がメディアなどで報道されている。
 http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3284.html

発症確率では、どんなに健診成績が悪くても、若年者の場合には低く見積もられてしまうために、行動変容に結び付きにくいという問題点があります。そこで、 この研究では「血管年齢」も同時に推定し、血管が加齢している事実をわかりやすく示すことで、健康指導に活用しやすくしました。
これがポイントのようだが、見る限り、NHKをはじめメディアはそのことに触れてない・・・

肺年齢でひどいめにあったから・・・なるべく使わないようにするけど・・・
あなたの肺年齢は78歳ですねぇって、65歳の人に言ったら、著明に若返る方法があるわけでもないのに 、意味の無いこと言うなよと怒られた・・・確かに!)

血管年齢の予測項目見てもさほど改善しそうもない・・・
高血圧治療や糖尿病治療や肥満改善してもさほどスコア改善しそうもない
それで、ほんとに、モチベーション改善につながるのだろうか?

スコア化や「なんたら年齢」で、生活習慣改善するというエビデンスを示して初めて、これらのスコアや「なんたら年齢」が役立つと示せると思う。今のままでは単なるクソ役人押しつけとなんら変わらない。


卒中関係ということで・・・

18−50歳で卒中発症した人は予測死亡率より予後悪い。
標準化死亡比(SMR)で3−4倍というインパクト。

Long-term Mortality After Stroke Among Adults Aged 18 to 50 Years
Loes C. A. Rutten-Jacobs, et. al.
JAMA. 2013;309(11):1136-1144. doi:10.1001/jama.2013.842

18-50歳成人での初回卒中発症後の長期死亡率データ

Follow -Up of Transient Ischemic Attack and Stroke Patients and Unelucidated Risk Factor Evaluation (FUTURE) studyという、オランダ国内年齢・性別マッチ化死亡率比較(1980年1月1日から2010年11月1日)

初回TIA(n=262)、虚血性卒中(n=606)、頭蓋内出血(n=91)を2012年11月1日評価
平均フォローアップ期間は11.1年間(SD, 8.7年間)(中央値 8.3年 中間4分位, 4.0-17.4年)
死亡率を年齢・性別・カレンダー年齢特性で同等一般住民の死亡率と比較

主要アウトカム測定は、30日後生存卒中者の累積20年間死亡率

フォローアップ後、20.0%、192名死亡

30日間生存者のうち、20年間死亡累積率は
TIA 29.4%(95% CI, 16.0%-33.7%)
虚血性卒中 26.8%(95% CI, 21.9%-31.8%)
頭蓋内出血 13.7%(95% CI, 3.6%-23.9%)

観察された死亡率は余命予測より高い(標準化死亡比:standardized mortality ratio [SMR])
TIA 2.6 [95% CI, 1.8-3.7]
虚血性卒中 3.9 [95% CI, 3.2-4.7]
出血性卒中  3.9 [95% CI, 1.9-7.2]


虚血性卒中群において、30日め生存者中の20年累積死亡率は、男性で女性より高い (33.7% [95% CI, 26.1%-41.3%] vs 19.8% [95% CI, 13.8%-25.9%])

SMRは女性で 4.3 (95% CI, 3.2-5.6) 、男性で 3.6 (95% CI, 2.8-4.6)

全ての虚血性卒中病因病型に対し、観察研究死亡率は予測死亡率を上回った。

ASTRONAUTランダム化トライアル:アリスキレンの心不全付加治療の有益性証明されるも・・・

標準治療+アリキレン(直接レニン阻害剤;商品名 ラジレス)付加治療の心不全患者の心血管死亡・心不全入院減少効果

国際二重盲験プラシーボ対照化研究

気になるのは
米国FDA警告:アリスキレン(ラジレス) ACE阻害剤・ARB併用、特に糖尿病に関しては禁忌と・・・ 2012/04/21
この禁忌事項症例が登録されていることと、有効性NNT3%程度という効果が臨床的に真に有益なのかということ


Effect of Aliskiren on Postdischarge Mortality and Heart Failure Readmissions Among Patients Hospitalized for Heart Failure: The ASTRONAUT Randomized Trial
Mihai Gheorghiade, et al.
JAMA. 2013;309(11):1125 doi:10.1001/jama.2013.1954
対象:18歳以上、左室駆出率 40%以下、BNP 400 pg/mL以上 or NT-proBNP 1600 pg/mL、液過剰負荷サイン・症状
北米・南米・ヨーロッパ・アジア(2009年5月〜2011年12月)、2012年6月フォローアップ終了
アリスキレン 150mg →耐用性あれば300mgまで増量継続期間中央値 退院後11.3ヶ月
プライマリアウトカム:6ヶ月、12ヶ月時点での心血管死亡と心不全再入院

1639名をランダム化、1615名を有効性解析コホート(アリスキレン 808、 プラシーボ 807)、平均年齢65歳、平均LVEF 28%、糖尿病 41%、平均 eGFR 67 mL/min/1.73 m2ランダム時、NT-proBNP値は、4239、2718 pg/MLランダム時、利尿剤 95.9%、β遮断剤 82.5%、ACE阻害剤/ARB 84.2%、糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト 57.0%
プライマリアウトカム6ヶ月
アリスキレン服用 24.9%(心血管死亡 77、心不全再入院 153)プラシーボ服用 26.6%(心血管死亡 85、心不全再入院 166) (ハザード比 [HR], 0.92; 95% CI, 0.76-1.12; P = .41)
12ヶ月、イベント率
アリスキレン群 35.0%(心血管死亡 126、心不全再入院 212)
プラシーボ群 37.3%(心血管死亡 137、心不全再入院 224)
(ハザード比, 0.93; 95% CI, 0.79-1.09; P = .36)
アリスキレン群で、高カリウム血症、低血圧、腎障害/腎不全比率多し

事前NT-proBNP値は差あるのでは?結果的には、アリスキレン群の方が心不全状況悪い訳だから解釈上の問題はないとは思うが・・・

プライマリアウトカムのNNT(12ヶ月)2.9%程度の臨床的意義は、高カリウム血症・腎障害悪化という有害性を凌駕したといえるのだろうか?

ASSERTIVE研究:アリスキレンはARBに比べ降圧持続性がある 2012/04/20

医師主導型治験ということで逃げているノバルティス・・・KYOTOなんたら随分宣伝してなかったっけ?

2013年3月19日火曜日

アリストロキア酸:腎障害

アリストロキア酸
アリストロキア酸を含む生薬の現状
 日本の薬局方で認められている生薬にはアリストロキア酸は含まれていません(5)。生薬の場合、名称が同じでも使用部位や植物が国によって異なることが ありますので、海外から健康食品や「いわゆる漢方薬」を個人輸入する場合は注意する必要があります。http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail684.html



The Epidemiology, Diagnosis, and Management of Aristolochic Acid Nephropathy: A Narrative Review
M. Refik Gökmen, et. al.
Ann Intern Med. 19 March 2013;158(6):469-477

【高血圧】クロルタリドン市場撤退は結果的には正解だった?

クロルタリドン(Chlorthalidone)が無くなって久しくなる。ヒドロクロロチアジドに関して、有効性エビデンスきわめて少ないという認識の元、以下の記載した。
日本の循環器科医がアホであるという証明・・・・クロルタリドンの日本での扱い 2011年 03月 29日
今回のクロルタリドンの副作用報告を見ると、結果的には、クロルタリドンの有害性事象は無視できず、市場撤退も仕方なかったのかもしれない。 Chlorthalidone Versus Hydrochlorothiazide for the Treatment of Hypertension in Older Adults: A Population-Based Cohort Study Irfan A. Dhalla, M et. al. Ann Intern Med. 19 March 2013;158(6):447-455
5年間観察Propensity-matched観察コホート プライマリアウトカムは、死亡・心不全入院・卒中・心筋梗塞 安全性アウトカムには低カリウム血症・低ナトリウム血症 総数 29,873名、フォローアップ期間中、プライマリアウトカムは、イベント100人年 クロルタリドン 3.2 ヒドロクロロチアジド 3.4(補正ハザード比, 0.93[95% CI, 0.81 to 1.06]) クロルタリドンは低カリウム血症(補正ハザード比、3.06[CI, 2.04-4.58])、低ナトリウム血症(補正ハザード比, 1.68[CI, 1.24-2.28] 9つのpost hoc解析では、クロルタリドン 12.5、25、50 mgの方が、ヒドロクロロチアジド 12.5、25、50mgより低カリウム入院増加し、統計学的に有意差が6剤比較で見られた。 結果有効性安全性は主要解析でほぼ一致。

慢性腰痛:オステオパシー治療のランダム化対照効果

オステオパシー治療は、Cochrane Back Review Group criterionを超える効果が認められ、安全で、医療費節約的、需要性の良い治療であることが、ランダム化二重盲験sham対照トライアルで認められた。

オステオパシー治療は、慢性腰痛に対し、他の治療補完的効果を認める。

National Institutes of Health–National Center for Complementary and Alternative Medicine and the Osteopathic Heritage Foundationサポート研究



Osteopathic Manual Treatment and Ultrasound Therapy for Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial
John C. Licciardone, et. al.
Ann Fam Med March/April 2013 vol. 11 no. 2 122-129 

非特異的腰痛短期改善・ランダム化二重盲験sham対照化2×2区分デザイン
・osteopathic manual treatment:OMT(n=230)
・ultrasound therapy(UST) :(n=225)
×
・UST(n=233)
・sham UST(n=222)

6回の治療セッションを8週間

ITT解析:12週時点での腰痛・軽度・特定以上改善(ベースラインからの30%、50%改善)測定
セカンダリアウトカム、安全性、治療アドヒアランス評価

 OMTとUSTに統計学的相互関係認めず

12週後、OMT受療患者は、shamOMTより、軽度治療反応(奏功 [RR] = 1.38; 95% CI, 1.16-1.64; P <.001) 、特定以上改善多い (RR = 1.41, 95% CI, 1.13-1.76; P = .002)
 この改善の程度は、中等度effect sizeとしての Cochrane Back Review Group criterionに合致。
背部特異的、一般健康状態、腰痛による労務不能、安全性アウトカム、治療アドヒアランスに関して、OMTとsham OMTに差を認めず

OMT群患者は、研究を通して背部痛にへの満足度高い(p < .001)

背部痛への薬物処方OMT受療患者は、12週後shamOMT群より減少(使用率=0.66、95% CI, 0.43-1.00; p=.048)
超音波治療は有効でなかった

オステオパシーは、ドイツ人医師、Samuel Hahnemann (1755-1843)が基本概念を1700年後半にはじめ、「血流良ければ全てよし」という概念で、ホメオパシー:"homeopathy"は、ギリシャ語のhomoios(similar)+pathos(suffering or disease)に由来する。 疑似科学からスタートしたという部分は否めない。骨格・筋肉のmanipulationにより全ての疾患治癒につながるというもので、どれも科学的支持のないものであった。ハーブ・ミネラル・薬物使用の報告が有り、患者の症状に合わせたmateria medicaと書籍では読んでいる。 Stephen Barrettは、 “Still believed that diseases were caused by mechanical interference with nerve and blood supply and were curable by manipulation of ‘deranged, displaced bones, nerves, muscles—removing all obstructions—thereby setting the machinery of life moving.’ ” と、Quackwatch(Homeopathy: The Ultimate Fake Stephen Barrett, M.D.)。 NCCAM(National Center for Complementary and Alternative Medicine)では、"There is little evidence to support homeopathy as an effective treatment for any specific condition."とかかれ、エビデンスほとんど無いという認識で、米国州毎のライセンス対応がばらばらでregulationされてないという認識である。そのNational Center for Complementary and Alternative Medicine and the Osteopathic Heritage Foundationサポート研究で、エビデンスが示されたのは興味深い。 今後、この報告の評価に関して、様々な意見が出てくるだろうが・・・反論としては、シャム・プラシーボの妥当性やブラインド化の妥当性、客観的指標の存在しないことの意義などが予測される。

AAN:スポーツしんとうガイドライン

エビデンスに基づくガイドラインアップデート要約:スポーツしんとう評価管理
"Summary of evidence-based guideline update: Evaluation and management of concussion in sports: Report of the Guideline Development Subcommittee of the American Academy of Neurology"
Giza C, et al
Neurology 2013.
http://www.aan.com/practice/guideline/index.cfm?fuseaction=home.guideline&guideline=582



解説記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/03/130318151409.htm
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAN/37926

・研究評価されているスポーツの中で、しんとうリスクが最も高いのは、フットボールとラグビーで、次にホッケー、サッカー。若年女性・小児女性ではサッカーとバスケットのリスクが高い。
・しんとう1回以上の既往アスリートは、次のしんとう診断リスクが高い。

・しんとう後10日で、次のしんとう診断リスクがもっともリスク大きい。
・フットボールヘルメットの種類により、他のヘルメット種類と比べ、しんとうに対し防御効果的かどうか明確なエビデンスは存在しない。ヘルメットは適切にフィットされ、持続されなければならない。
・しんとう治療のトレーニングを受けたライセンスを有する医療関係者は、症状経過(特に頭痛、fogginess)、しんとう既往、若年アスリートを調査すべき。これらの要素は、心頭語の回復長期化と関連する。
FREE Online Concussion Training for Coaches from CDC (AAN is a participating organization)
FREE Online Concussion Safety Course for High School and Youth Coaches from the University of Michigan (Endorsed by the AAN)
・職業的アスリートにおける慢性神経行動異常にリンクするリスク要素は、しんとう既往、スポーツ長期暴露、ApoE4遺伝子の存在である。
・しんとうは臨床診断である。 "Symptom checklists, the Standardized Assessment of Concussion (SAC), neuropsychological testing (paper-and-pencil and computerized) and the Balance Error Scoring System " が、しんとう診断・管理の有効なツール

 Concussion Quick Check: Use these materials to help you recognize the signs and symptoms of concussion
Download the Concussion Quick Check Reference Sheet
Download the Concussion Quick Check App
App Store
Google Play

・しんとうの徴候・症状
・頭痛と光・音への過敏性
・反応時間、平衡・協同運動の変化
・記憶、判断、言語、睡眠の変化
・意識消失、"blackout"(10%未満)
疑いがあれば退場を! 運動開始後頭痛などの症状歳出減なら、運動をやめ、医師にコンサルトする。



Additional source: Neurology
Source reference:
Alessi A, et al "Protecting the brain in sports: What do we really know?" Neurology 2013.

パーキンソン病治療:Tozadenant(アデノシン2α受容体拮抗剤) off-time減少効果

American Academy of Neurology's annual meetingでの2題
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AAN/37935

アデノシン2α受容体拮抗剤 tozadenantは、ジスキネジアを併発せず、off-timeを減少する
Olanow C, et al "A phase 2, placebo-controlled, randomized, double-blind trial of tozadenant (SYN-115) in patients with Parkinson's disease with wearing-off fluctuations on levodopa" AAN 2013; Abstract 005.
 ドパミン作動性刺激薬剤にて投与間隔の間に症状コントロール不全状態となる、off timeは比較的作用時間が未時間薬剤による投与量やその回数により生じるもので、利益的効果もwear offさせることとなる。
(追加注記. Wearing off:LDopa奏功時間短縮、服薬後数時間経過すると効果ゲンジャクする現象、No-on/Delayed on:Lドーパでも効果発現見られない現象、 On-off: Lドーパの服薬時間と関係なく良くなったり(on)悪くなったり(off)する
http://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson.html)


Tozadenant は経口選択的アデノシン2α受容体拮抗剤であり、線条体に濃縮し、ドパミン受容体のリガンド反応性を調整する薬剤。受容体遮断で、内在性ドパミンからのドパミン作動活動性をboostし、metabotropic グルタミン酸作動性受容体の活動性阻害するものと考えられている。pIIで、420名の患者に対し、プラセボと1−4種類の投与量12週間Ldopa追加投与にて、修正ITT解析にて、二つの中間量(120 mg×2:1.1時間、180mg ×2:1.2時間、いずれもp = 0.004)で、プラシーボ比較のベースラインからの平均off timeの減少効果を有意に認めた。60mg、240mg×2では有意差認めず


ジスキネジアにより妨げられた "On time" (症状良好コントロール到達)指数化では、ベースラインとの差は認めない
Tozadenantの中間投与量は、Unified Parkinson's Disease Rating Scale (UPDRS) part IIIスコア値の改善と相関し、全投与量はpart Iスコア改善をもたらした。

副作用(治療直結とは必ずしも言えない)ものとしては、ジスキネジア、吐気、dizziness、便秘、パーキンソン病症状悪化、不眠、転倒



ノルエピネフリン・プロドラッグである、droxidopa(Northera)は、lightheadedness、dizzinessの短期改善、起立性低血圧改善を一過性に示したという報告。
Isaacson S, et al "Droxidopa treatment impact on orthostatic symptoms and standing systolic blood pressure in patients with Parkinson's disease (PD) and symptomatic neurogenic orthostatic hypotension (NOH)" AAN 2013; Abstract 010.
神経原性起立性低血圧への薬剤として開発、ノルエピネフリン欠如によるメカニズムへの作用。

197名(225名登録から)をランダム化、プラシーボ、100−600mg×3回、8週間投与

第1週では、lightheadedness、dizzinessの平均スコア改善(p = 0.008)
ところが第8週では、その差は減弱し、傾向のみ(p  = 0.077)

平均収縮期血圧も同様な傾向で、第1週では+6.8 mmHg(P=0.014)だが、8週では+2.2 mmHg P=0.414
転倒率はdroxidopmaで著明に減少(平均 0.38/w vs 1.73/w)統計学的有意差に至らず

頭痛、dizziness、高血圧、吐気、疲労感が治療と関連

NICU看護師スタッフ不足は院内感染増加と関連

 米国のNICUでのガイドライン比較での看護師スタッフの不足の問題
このスタッフ不足が、極低体重児の院内感染オッズ比と関連するとのこと

Nurse Staffing and NICU Infection Rates
Jeannette A. Rogowski, et. al.
JAMA Pediatr. 2013;():1-7.

病院understaffの程度は、ガイドライン比較で、NICU乳児に対しては32%、high-qcuity乳児に対しては92%
平均的staffingガイドライン最低限合致のためには、 乳児あたり 0.11、high-azuity乳児に対しては0.39の追加が必要。

極低体重児感染比率は2008年16.5%、2009年 13.9%

understaffing 標準偏差1増加毎、補正オッズ比は、2008年 1.39(95% CI, 1.19-1.62; P < .001)、2009年 1.39 (95% CI, 1.18-1.63; P < .001)


抗生剤長期乱用は医師のせい

下の論文の趣旨は表題の通りだと思うが、そのままだと、誤解が蔓延すると思う。
あくまでも、老人保健施設のような長期収容施設での話
抗生剤長期使用を7日間超としているが、例えば、軽症・中等症COPD感染増悪に関しては5日間投与で十分という報告はある(Thorax 2008;63:415-422 )が、重症例では抗生剤治療期間の十分なエビデンスはない。そもそも急性増悪2度目以降は、14日超のステロイド・抗生剤使用が推奨されている(ERJ June 1, 2003 vol. 21 no. 41 suppl 46s-53s)

調査対象を軽度・中等症だけの感染症に限定すべきだったと思う。


Prolonged Antibiotic Treatment in Long-term Care
Role of the Prescriber ONLINE FIRST
Nick Daneman, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-10. 
doi:10.1001/jamainternmed.2013.3029.
Published online March 18, 2013
重要性  多くの細菌感染は、7日以下の抗生剤使用で、標準抗生剤使用期間減少化することで、長期ケアでの抗生剤過剰投与を節約

目的  施設入所・処方箋受領者と処方医師間での長期医療での抗生剤治療期間のばらつきと、このばらつきが処方者の好みによるものであるかどうか

デザイン・セッティング  地域的後顧的解析・オンタリオ市・カナダ、2010年の長期ケア施設

被験者 オンタリオの長期医療施設居住中の、66歳以上抗生剤全身投与治療

主要アウトカム測定  居住者・処方医師横断的な抗生剤投与期間
 7日間超過医師治療期間比率を、短期、平均的、長期処方に分類

結果 630長期医療施設66,901名のうち、50,061(77.8% )で抗生剤治療臨床経過(51 540抗生剤治療臨床経過)
 最も多い選択的治療経過は7日間(21,136[41.0%])、7日超過は23,124(44.9%)

20回以上の治療経過を有する、699名の医師 では、治療経過7日超過比率は43.5%(26.9%-62.9%)(range, 0%-97.1%)

処方者の21%で、7日閾値超過処方箋予測比率が高い

患者特性は、短期、平均、長期処方者で同等

mixed logistic modelにて、治療期間の決定因子は医師であり (P < .001)、 75、25パーセンタイル処方箋オッズ比比較で3.84

結論・新知見  長期医療施設での抗生剤治療経過は長期となりやすい。患者特性より処方箋者により影響を受ける。
さらなるトライアルで、抗生剤過剰投与による合併症、コスト、耐性減少のための、抗生剤stewardship intervention(財務管理介入)評価すべき

2013年3月18日月曜日

ドナー肝体外生存24時間可能へ

イギリス Oxford大学開発のデバイスで、ドナー肝臓を24時間体外生存下保存可能となった。現在はアイスボックス冷却で、14時間までしか機能温存できない。
ヒトの体内を再現し、体温保持、酸素化された血液で満たしポンピングされている状況。 糖を燃やし、胆汁産生し続けている状況担っているとのこと。

http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324392804578362574039198146.html

http://www.reuters.com/article/2013/03/15/us-liver-device-transplant-idUSBRE92E0SI20130315

OrganOxと呼ばれる会社での、Oxford大学のspin-offカンパニー

http://www.organox.com/products/

QT/QTc間隔延長薬剤:投与前・投与後心電図検査

薬剤と、QT/QTc延長は定期的に問題となる。心電図判定のタイミングと、その具体的指標について自分なりに調べてみた。
米国FDA警告:ジスロマック・致死的不整脈リスク 2013/03/13
抗うつ薬とQTc延長 2013/02/01
参照値内であってもQT間隔は死亡率と関連する  2011年 10月 25日

QT延長可能性薬剤
http://www.nms.ac.jp/QTdrugs/qtdrug1.htm

https://square.umin.ac.jp/saspe/news/15.pdf
抗不整脈薬 キニジン, ジソピラミド, プロカインアミド, アミオダロン, ニフェカラント, ソタロール, ベプリジル
抗生物質・抗真菌薬 エリスロマイシン, クラリスロマイシン, スパルフロキサシン
向精神薬 アミトリプチリン, ハロペリドール, クロルプロマジン, ピモジド, チオリダジン
抗アレルギー薬 テルフェナジン, アステミゾール
その他 シサプリド, 三酸化ヒ素
N Engl J Med 2004; 350:1013-1022
主たる問題薬剤:ジソピラミド・Dofetilide・Ibutilide・プロカインアミド・キニジン・ソタロール・ベプリジル
他薬剤:アミオダロン・シサプリド・CCB(リドフラジン;米国未市販)・抗菌剤(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、halofantrine、ペンタミジン、スパルフロキサシン)、制吐剤(ドンペリドン、ドロペリドール)、抗精神薬(クロルプロマジン、ハロペリドール、メソリダジン、チオリダジン、ピモジド)、メサドン
Torsades List: http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-01.cfm?sort=Brand_name
可能性薬剤リスト:http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-02.cfm?sort=Brand_name
条件付き可能性薬剤リスト:http://www.azcert.org/medical-pros/drug-lists/list-04.cfm?sort=Brand_name
 添付文書で、”QT”と検索すると929件、”QT間隔”と検索すると152件、うち、「警告、禁忌/原則禁忌」は88件ある


まず基礎的知識として・・・
医薬品による重篤な循環器系副作用として「QT延長症候群」(LQTS)があり、Torsades de pointes(TdP)と呼ばれる致死的な心室頻拍のリスクファクターで薬淵治療上で重要な問題となっている。・・・抗不整脈薬だけでなく、向精神薬、 抗菌薬、分子標的薬などの非循環器系医薬品も含まれる。多くの場合、これらの医薬品による心筋Kチャン ネル遮断作用により、外向きK電流が減少することでLQTSが行き起こされると考えられている。
札幌医学雑誌 79(1-6)13 ~ 19(2010)
http://ir.cc.sapmed.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/5270/1/n0036472X79113.pdf


「非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価」(薬食審査 発1023 第1号 平成21年10月23日 各都道府県衛生主管部(局)長 殿 厚生労働省医薬食品局審査管理課長)
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e14_09_10_23.pdf
承認審査資料の国際的ハーモナイゼーション推進の必要性が指摘されています。このような要請に応えるため、日米EU医薬品規制調和国際会議(以下 「ICH」という。)が組織され、品質、有効性及び安全性を含む各分野で、ハーモナイゼーションの促進を図るための活動が行われているところです。今般、 ICHの合意に基づき、新たに「非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価」(以下「本ガイドライン」 という。)を別添のとおり定めました 
抗不整脈外薬剤でのQT/QTc延長に関し、日米間でネゴシエーションしておこうというお話のようだ。


ただ、”QT/QTc間隔の絶対的上限及びベースラインからの変化の上限値選択に関し一致した見解はない”
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e14_09_10_23.pdf

具体的な上限値例として

QTC間隔絶対値の延長
・QTc間隔 > 450
・QTc間隔 > 480
・QTc間隔 > 500

QTc間隔ベースラインからの変化
・ベースラインからのQTc間隔増加 > 30
・ベースラインからのQTc間隔増加 > 60

治験除外として、QTc> 450msが繰り返し有る場合、TdP危険因子(心不全、低カリウム血症、QT延長症候群家族歴)、QT/QTc延長薬剤併用中である。このような事例では、臨床治験されてないため、リスク可能性があるということになる。

 補正式に関して、Friedericia補正法(QTC=QT/RR0.33、 Bazett補正法(QTc=QT/RR0.5があるが、Bazett補正では、 60/分以下では過小、高心拍では過大補正となる。線型回帰式補正:Framingham補正(QTc=QT+0.154(1-RR))、非線形補正がある。


ちょっと古く、そして、抗不整脈投与という限定的条件だが、中止基準のQT間隔の具体的記載がある。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1k03.pdf
早期発見のポイントは症状と投薬後の心電図検査である。症状としては、頻脈に基づく動悸・めまい・失神がある。ただし、症状が出現してからでは手遅れとなる可能性もあるため、VT やTdP が発生する前に対応すべきである。このためには心電図検査が有用で、とくに抗不整脈薬を投与した場合は 4 日~1 週間後に心電図を記録し、QRS 幅の拡大と QT 延長の有無を確認する薬物によっては 3 週~4 週後に QT 延長が現れることもあるので注意する。具体的には QRS 幅が投薬前に比して 25%以上拡大した場合(たとえば 0.12 秒以上となった場合)や QT 間隔が 0.5 秒以上に延長した場合は投薬量を減量するか、中止する
すなわち、QT延長薬剤に関して、具体的には、
投与前心電図チェック、4日から7日後3−4週間後チェックが義務づけられていると判断すべき
そして、心不全評価、カリウムチェック、QT延長症候群などの家族歴・既往歴チェックが義務づけられていると考えて良いはず


ジスロマックに関しては、米国FDAは、マグネシウム濃度測定を推奨


薬剤投与前心電図チェックすら、公的医療保険審査で認められないことがある。QT延長可能性薬剤の場合は、一律に、投与前、4−7日後、3−4週間後心電図チェックは許可されるべきはず・・・

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