2012年11月30日金曜日

超高齢者・85歳以上の高血圧・脈圧増加は、障がいADL・認知機能減弱を予防する ・・・ 高血圧・脈圧拡大の防御的作用

85歳以上の高齢者の高血圧・脈圧増加は、神経可塑性などにベネフィットがあるのでは?


血圧、脈圧があるほど、ADL障がい指数、認知機能スコア減少率鈍化するという報告。


High Blood Pressure and Resilience to Physical and Cognitive Decline in the Oldest Old: The Leiden 85-Plus Study
Behnam Sabayan et. al.
Am Geriatr Soc 60:2014–2019, 2012.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1532-5415.2012.04203.x/abstract


超高齢者である85歳以上では、収縮期血圧と脈圧増加は、ADL障がいスコア低値と相関(both P = .01)。
    

同様に、収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧高値ほど、MMSEスコア高値と関連 (all P < .05)

85歳から先は、85歳時点の収縮期血圧高値(p< .001)、平均血圧高値(p=.01)、脈圧高値(p=.003)ほど、ADL障がいスコア年次増加は、減弱する。

同様に、85歳時の収縮期高値(p=.03)、脈圧高値(p=.008)ほど、MMSEの年間減少の減弱と関連

追加解析すると、血圧高値と年次MMSEスコア減少減弱の関連性は、ADL障がい高度な例で特に影響がある。


高齢者の降圧治療はやはり別立てが必要なのだろう。

高齢者:降圧剤治療後45日間は股関節骨折リスク4割増加 2012/11/21

検診健康チェックにベネフィット認めず、健康アウトカムに関係しない病名数増やすだけ?

検討されたのは、検診というより自己申告健康チェックのようだ。

ほぼ意味なしという結論、むしろ、受診数を増やし、ネット・ベネフィットのない診断名を増やすだけという話

Cochrane RCTのシステマティック・レビュー&メタアナリシス

16トライアル検討のうち、14のアウトカムデータ、182880登録者を最終検討


General health checks in adults for reducing morbidity and mortality from disease: Cochrane systematic review and meta-analysis
BMJ 2012; 345 (Published 20 November 2012)
 http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7191
Cite this as: BMJ 2012;345:e7191
健康チェックは、一般住民検診による健康チェックで、1つ以上の疾患・1臓器異常のリスク要素のチェック
9トライアルでは、総死亡率(死亡数 11940)データあり、リスク比 0.99(95%信頼区間 0.95 0.95-1.03)
8トライアルでは、心血管死亡率データあり(死亡数 4567 )、 リスク比 1.03 (0.91 to 1.17)、
8トライアルでは、がん死亡率 (死亡数 3663 )、リスク比 1.01 (0.92 to 1.12)




サブグループと感度解析ではこれらの所見不変。


健康チェックは、合併症、入院、障がい、不安、受診数増加、欠勤に関してベネフィット効果認めず、しかし、すべてのトライアルで同じ結果というわ けでは無かった。一つのトライアルでは、20%も診断が増加し、自己申告慢性疾患数増加し、高血圧・高コレステロール血症頻度増加の報告があった。4つの うち2つが降圧剤使用であった。
健康状態自己報告に関し、ベネフィット少なく、それはバイアスも存在する可能性があった。



    地域や職域のリスクハザードを考えた検診を除き、一般健康ちぇっkは死亡率や合併症を減少させない。心血管疾患やがん原因減少と関連しない。
    それどころか、診断数を増やし、有害無益な診療(検査・投薬)をもたらす可能性がある。

    社会の高齢化に伴う社会保障費の増大と良いながら、科学的エビデンスのない「公的検診」が義務化され、膨大な医療費の無駄遣いにつながる「人間ドッグ」を放置している日本社会。
    ほんとに、社会保障費の無駄を削減するのなら、科学的エビデンス確立したもの以外の検診は排除すべき。「検診が医療費を削減するという確固たるエビデンス」なんて存在しない。

    リスク層別化されない検診は、有害であり、血税や社会保障費を無駄にするものである。検診で飯食ってる人間だけが利益になる馬鹿な日本の仕組みを変えるべき。

    子供肥満度予測:両親BMI、母職業、妊娠中喫煙、生下時体重

    “父母のBMI、家族数、母親の職業的カテゴリー、妊娠期喫煙、生下時体重 ”で16歳までの体重増加を予測。


    Imperial College London研究者開発の肥満予測式
    http://files-good.ibl.fr/childhood-obesity/



    Morandi A, Meyre D, Lobbens S, Kleinman K, Kaakinen M, et al. (2012) Estimation of Newborn Risk for Child or Adolescent Obesity: Lessons from Longitudinal Birth Cohorts. PLoS ONE 7(11): e49919. doi:10.1371/journal.pone.0049919
     http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0049919



    たった2分程度で、子供の肥満予測


    修正できるところは、妊娠中喫煙、父母が極力やせる ・・・ 

    頚髄損傷:TMSにより手指機能改善


    この論文要約だけでは何のことやら・・・


    経頭蓋磁気刺激法(TMS: Transcranial magnetic stimulation)
    http://ja.wikipedia.org/wiki/経頭蓋磁気刺激法

    これによりニューロン信号タイミングテーラー化し改善をめざす

    19名の頚部脊髄損傷患者と14名の年齢補正対照比較で、TMSにより、運動ニューロンdischarge前のタイミングに、内在手指筋肉内の皮質脊髄路・運動ニューロンシナプスの下行・末梢(小さな陰性電位線維斉射:volley)が到達するようテーラー化すると、85分までに手指機能が改善するというもの
    http://www.medpagetoday.com/Neurology/GeneralNeurology/36174

    "Motor recovery after spinal cord injury enhanced by strengthening corticospinal synaptic transmission"
    Bunday KL, Perez MA
    Curr Biol 2012; DOI: 10.1016/j.cub.2012.10.046.

    皮質脊髄路は、動物・ヒトの頚髄損傷後(spinal cord injury (SCI)) 運動機能回復の重要な標的。自発運動出力は皮質脊髄軸索と脊髄運動ニューロン間のシナプスの機能効率に依存し、ニューロン・スパイクの至適タイミングにより調整される。
    非侵襲的な方法で、内在手指筋肉内の皮質脊髄路・運動ニューロンシナプスの下行・末梢(小さな陰性電位線維斉射:volley)の最適な到達タイミングにするteilor化プロトコール開発。
    運動ニューロン放電前に、前シナプスvolley到達させることで、皮質脊髄路の伝達や手の自発運動アウトプットを促進することができた。
    逆順とsham刺激では、自発運動アウトプット・電気生理学的アウトカムに影響を与えないか、減少さえした。
    これらの結果、残存皮質脊髄・運動ニューロンシナプスのスパイク・タイミング依存的可塑性により脊髄損傷後の運動機能回復のメカニズムとなることが示された。
    残存皮質脊髄・運動ニューロンシナプスへのmodulationは、皮質脊髄路を障害する運動疾患で、自発運動アウトプット促進的な新しい治療目標となる。

    初回妊娠時「妊娠高血圧腎症」(×子癇前症)であっても次回妊娠時そのリスクは増加しない

    pre-eclampsiaを「妊娠高血圧腎症」と表現し、「子癇前症」と表現しなければ、以下の内科医のような発言がテレビで発せられることはなかったのかもしれない。重篤な事態が生じた後だけを問題にするのでは無く、妊娠時の管理学習の問題が注目されたはず。

    おおたわ史恵「奈良 大淀病院妊婦死亡は産科医のミス」
    http://www.youtube.com/watch?v=23UtzBF-rzw

    参考:http://ameblo.jp/med/entry-10019702050.html

    「妊娠高血圧腎症」となれば、妊娠時の管理が重要であったことは、無能な内科医でも自明となるから・・・

    テレビ出演多く行っているようだが、反省するところはないと思ってるのだろうか?



    以下のノルウェーの統計はほぼ全数統計なので信頼性が高い。

    初回「妊娠高血圧腎症」女性の心血管死は2回目以降の出産時にそのリスクが有意に増加することはなさそうだ。


    初回「妊娠高血圧腎症」を経験した女性に、希望が持てる報告である。


    Cardiovascular mortality after pre-eclampsia in one child mothers: prospective, population based cohort study
    BMJ 2012; 345 doi: (Published 27 November 2012)
    http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7677
    Cite this as: BMJ 2012;345:e7677
    前向き住民ベースコホート(ノルウェーの Medical Birth Registry )

    の836,147名の1967-2001年初回単胎児出産ノルウェー人女性をフォロー
    2009年までに約23,000名死亡、うち、3891名は心血管死亡


    pre-eclampsia(○「妊娠高血圧腎症」、×子癇前症)と心血管死亡との相関を、Cox比例ハザードモデルに基づくハザードモデル推定
    ハザード比は、妊娠教育(3カテゴリー)、初回出産母体年齢、初回出産年で補正


    早産・妊娠高血圧腎症に伴う、女性に於ける心血管死亡率は、単一児出産後9.2%、2児以上出産時は1.1%と減少。
    満期産妊娠高血圧腎症では、その死亡率は、2.8%、1.1%となる。

    初回妊娠時妊娠高血圧腎症を有する女性では、それを有さない場合に比べ、心血管死亡高率 (満期産・妊娠時高血圧腎症後では補正ハザード比 1.6 (95% 信頼区間 1.4 to 2.0) 、早産・妊娠時高血圧腎症後は3.7 (2.7 to 4.8)

    生涯一度のみの妊娠女性において、心血管リスク増加は、多児子供をもつ女性より、心血管疾患死亡リスクは増加(満期産・妊娠時高血圧腎症後 3.4 (2.6 to 4.6) ; 早産・妊娠時高血圧腎症後 9.4 (6.5 to 13.7))

    心血管死リスクは、次の子供をもうけようとする、初回妊娠時高血圧腎症女性においては、心血管死亡リスクは軽度増加のみ (満期産・妊娠時高血圧腎症 1.5 (1.2 to 2.0) ; 早期産・妊娠時高血圧腎症 2.4 (1.5 to 3.9)

    再発・妊娠時高血圧腎症に関するエビデンスは少ない。

    初回妊娠時高血圧腎症を経験した、2回以上の出産女性の全原因死亡率は増加せず、早期産・妊娠時高血圧腎症例でも同様  (1.1 (0.87 to 1.14))


    診療の基本 A Standard for Medical Care and Clinical Practice
    妊娠高血圧症候群 Pregnancy Induced Hypertension
    http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5805-061.pdf

    2012年11月29日木曜日

    シャープ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

    メモ代わり・・・


    平成24年11月28日
    シャープ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
    http://www.caa.go.jp/representation/pdf/121128premiums_1.pdf
    ア 表示の概要
    (ア) 表示媒体
    カタログ及び自社ウェブサイト
    (イ) 表示期間
    平成22年10月頃から平成24年4月頃までの間
    (ウ) 表示内容
    「プラズマクラスターだからできることがあります。掃除機の中も、お部屋の中も、清潔・快適。」、「ダニのふん・死がいの浮遊アレル物質のタンパク質を分解・除去」等と表示。


    イ 実際
    対象商品は、その排気口付近から放出されるイオンによって、対象商品を使用した室内の空気中に浮遊するダニ由来のアレルギーの原因となる物質を、アレルギーの原因とならない物質に分解又は除去する性能を有するものではなかった。


    正極性と負極性のクラスターイオンによる細菌不活化メカニズム
    シャープ技報 第94号・2006年8月
    http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/29/pdf/94_05.pdf
    細菌にクラスターイオンが衝突して,正極性クラスターイオンH+(H2O)mと負極性クラスターイオンO2-(H2O)n が細菌の表面上で反応,非常に活性が高いOHラジカルが生成される。この活性種は細菌表面の膜タンパク質と反応してタンパク質を断片化する。そして細菌の表面膜に穴が開くことにより,細菌が膜機能不全を引起し死滅する。また,細菌内部の細胞質タンパク質およびDNAには影響を及ぼさずに表面膜のみを構造的に破壊している。図12はイオンを2時間照射したときの大腸菌の透過型電子顕微鏡写真を示す。イオンを照射することにより,膜が破れ内部が流出していることが観察された。

    閉ざされた実験系で示された結果を基に効果をおおっぴらに宣伝する方法に少しだけメスが入ったということのようだ。


    イオン関係はQuack的要素が昔から多い。シャープは、慎重な販売戦略を行うべきだったのに、事実と乖離した宣伝を行ってしまった。結果、多くの顧客を失うこととなるだろう。



    家庭用オゾン発生器業者側の勝手な言い分
    2009年 10月 24日
    http://intmed.exblog.jp/9147372/
     ↑
    ”家庭用のオゾン発生器から排出されるオゾンに関する規制や基準はなく、高濃度のオゾンが大量に発生している”恐れがあるのに、業者側コメント「テストしていない家庭用オゾン発生器までもが、不適切との誤解を与えかねないと思います。」と反論。


    高濃度オゾン、家庭用発生器から
    2009年 08月 27日
    http://intmed.exblog.jp/8872948/
     ↑
    オゾン発生機器の危険性は、マイナスイオン発生器と称するものが実はオゾン発生器だったり、その危険性を指摘したが、やっと、国民生活センターが思い腰を上げてくれた?


    感染症専門家は有害性に無頓着
     ↓
    結核感染予防・発症予防:紫外線とマイナスイオン効果有り・・・有害性の論述無し
    2009年 03月 17日
    http://intmed.exblog.jp/8073799/


    都の対処より、国・国民生活センターの対応は遅れていた
     ↓
    「マイナスイオン商品」根拠なしも、都が文書指導
    2006年 11月 28日
    http://intmed.exblog.jp/4762920/

    NHKが放送した”糖尿病が手術で治る” ・・・ 明らかに間違い

    肥満・減量手術で、すべての症例で、糖尿病が寛解するとは限らない。





    肥満手術で、すべて解決なんてことは絶対に考えてはならない。


    A Multisite Study of Long-term Remission and Relapse of Type 2 Diabetes Mellitus Following Gastric Bypass
    Obesity Surgery November 2012
    http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11695-012-0802-1

    後顧的研究


    対象:1995-2008年の胃バイパス手術施行2型糖尿病患者(未コントロール群、薬物コントロール群)4434名


    結果:術後5年内に完全な糖尿病寛解は、全体では、68.2%(95%信頼区間[CI] 66-70%)
    内、35.1%(95%CI、32-38%)で、糖尿病再悪化。
    寛解期間中央値は 8.3年。
    完全寛解・再発の有意な余所禁止は、術前血糖コントロール不良、インスリン使用、長期糖尿病歴。
    術後体重軌跡は、新規寛解例、再発例、寛解維持例で、有意に異なる。


    結論:2型糖尿病成人において、胃バイパス手術は、2型糖尿病寛解期間を多くの症例で延長するが、重度肥満糖尿病全般ではない。1/3程度が、初回寛解から5年以内に再発する。糖尿病再発のメカニズム検討が必要。


    NHKってこんないんちき放送してたんだ
     ↓
    2012年11月12日 (月)「糖尿病が手術で治る!?」
    http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/137578.html


    NHKは、特定の医師たちと、特殊なつながりをもち、放送をステマとして利用し、彼らの出版利益や営業利益の手伝いをしている。それどころか、関連会社のNHK出版を利用して、関係者の利益を上げている。受信料を巻き上げてる公共放送のあるまじき行いの数々。


    受信料を巻き上げている以上、NHK会長、少なくともNHKの幹部は、受信料を支払ってる人から公平に互選されるべき・・・




    さらに、こんなことも


    NHKがんワクチン報道がダメな訳(2012年11月18日)
    http://togetter.com/li/409474

    日本人から受信料を引っぺがし、いんちき報道を行い、医療の現場に混乱をもたらす・・・NHKという組織


    NHKスペシャルがんワクチンに対するコメント
    http://nkatsuma.blog.fc2.com/blog-entry-485.html
     問題点
    1. がんワクチンに対して、過剰な期待をさせるような報道をしたのではないかという点
    2. 「治験」というものが正しく伝わらなかったのではないかという点
    3. 現在、日本でがん診療の現場で行われている免疫治療の実態を指摘しなかった点

    抗血小板治療:冠動脈ステント時、血小板モニタリングはアウトカムに影響与えない

    冠動脈ステント植え込み時、血小板機能モニタリングは、その後のアウトカムに影響を与えない。

    Bedside Monitoring to Adjust Antiplatelet Therapy for Coronary Stenting
    Jean-Philippe Collet, et. al.
    for the ARCTIC Investigators
    N Engl J Med 2012; 367:2100-2109November 29, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1209979

    38施設の予定冠動脈ステント施行 2440名

    2群割り付け
    ・血小板機能モニタリング(抗血小板治療反応性不良患者での薬物補正)
    ・通常ケア(モニター・薬剤調整無し)

    プライマリエンドポイントは、死亡、心筋梗塞、ステント血栓、卒中、ステント挿入後1年内の緊急血管再建の組み合わせ

    ステント挿入前にカテーテルラボで、モニター群では、VerifyNow P2Y12とアスピリンPOC検査を行う、そして、外来クリニックで2-4週後再検査。

    モニター群では、クロピドグレル服用(34.5%)、アスピリン服用(7.6%)患者で血小板反応性高度の場合は、glycoprotein IIb/IIIa inhibitorと共に、クロピドグレル、プラスグレル、アスピリンを追加。

    プライマリエンドポイントは、モニター群 34.6%、通常ケア群 31.1%
    (ハザード比, 1.13; 95% 信頼区間 [CI], 0.98 to 1.29; P=0.10)

    主要セカンダリエンドポイントである、ステント血栓・緊急血管再建術は、モニター群 4.9%、通常ケア群 4.6%
    (ハザード比, 1.06; 95% CI, 0.74 to 1.52; P=0.77)

    重大出血イベント発生率は両群差認めず

    FDA承認: 全く新しい薬理作用の新規抗結核薬:ベダキリン

    bedaquiline (Sirturo)
    http://en.wikipedia.org/wiki/Bedaquiline


    他の抗抗酸菌薬には存在しないメカニズムである、マイコバクテリアのエネルギー産生阻害作用

    FDA助言委員会は、有効性に関しては、全会一致、だが、安全性に関しては11/28(水)11-7で、この薬剤の安全性を支持した

    New Type of TB Drug Deemed Safe by FDA
    By David Pittman, Washington Correspondent, MedPage Today
    Published: November 27, 2012
    http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/Tuberculosis/36127


    New Type of TB Drug Wins FDA Panel Support
    By David Pittman, Washington Correspondent, MedPage Today
    Published: November 28, 2012
    http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/Tuberculosis/36153

    脱落率が高い研究で、第1次が44%(プラシーボ54%)、第2次が32%(プラシーボ35%)のため、このような結果となったようだ。
    薬剤のためというより、研究手法がお粗末ということのようだが、"十分に安全性"とは言えず、"実質的安全"を問う諮問となったようだ。

    多剤耐性結核治療の出現により、期待される薬剤であっただけに、ちょっと残念。
    1970年以降、新しい機序の抗結核薬承認されてない。

    死亡例はいないが、60%に非重症副作用あり、神経系、胃腸障害が多かった。
    有効率は8週間治療トライアルで、喀痰培養陰性は、21名中47%超、プラシーボは8%(p=0.004)。有効性2年間継続。
    だが、24週後、bedaquline群 81%、プラシーボ 65%(p=0.293)
    現在治験継続中とのこと
    QT延長に関して、併用薬剤との関連が考えられている。

    bedaquline は速放性錠剤で、400mg/日3週間、後、週3回200mgで22週まで投与

    電子カルテ普及に伴い、”SOAP" から ”APSO”へ?

    伝統的に、カルテのフォーマットとして、SOAP noteが勧められてきた。

    http://en.wikipedia.org/wiki/SOAP_note

    ・ Subjective componet:はじめに主訴(Chief Complaint : CC)ありき、現病歴(History of Present Illness : HPI)、極力患者自身の言葉を用いた記録。特徴的症状および診断否定に役立つ徴候を含む。全身のレビューとなる所見。既往歴、手術歴、家族歴、社会歴、現行服薬内容、アレルゲンなど

    ・ Objective componet : バイタルサイン、身体所見、検査結果

    ・ Assessment : 診断、思考過程・意思決定を含む内容 
    (鑑別診断を含む、徴候・診断の簡略的書き方が必要)
    ;POMR(Problem Oriented Medical Record)で記載する場合は、プロブレム番号やheading・subhedingをassesumentに記載

    ・ Plan : 患者の問題点へ治療予定を記載(検査オーダー予定、レントゲン検査予定、紹介、施行済み医療行為・薬物投与・教育など



    米国の情報をみると、ITと医療に関しては、 EMR(Electronic medical record)あるいはEHR(Electronic health record)、PHR(Personal health record)といった、いわゆる電子カルテに関して、現場のニーズを踏まえた著作物・主張が目立ちはじめている。

     日本の行政施策は、“e-Japan”と称し、医療業界からのニーズを無視して、産業界の飯の種となるべく、無理矢理かつ非効率的に進められている。ソフ トバンク、NECや富士通などの言い分だけで動くのではなく、データマイニング・トランスレーショナルリサーチの将来性を見越し、統一化したフォーマット 作成が必要。電子カルテ導入しても他の業者への変更困難で、移行のため、多額の資金が必要という不可解な状況があり、それが一定以上の規模の医療機関への EMRの普及を妨げている実態がある。

    EMRの将来性を期待するなら、各医療機関への導入は、国が負担し、そのサービス構築には現場のニーズが最優先されるべきなのである。


    現場ニーズを優先する米国のEMRsでも、それほど満足度は高くないようだ。
    多忙な現場で、SOAPのようなシステムは冗長で、速読性に乏しく、評判が悪い。

    カルテの3つの要素は
    1:患者病歴・検査身体所見・評価・ケアプランの文書化
    2:公文書的側面
    3:診療報酬請求の原本
    である。

    現場では、この要素をすべて満たし、速読性に優れたシステムが望まれる。


    “SOAP”noteは、ロジック作成上自然だが、他者がみるには、速読性に欠ける。


    “APSO”noteに置き換えることで、効率よく、記録をレビューできるという話が広がっているという話。


    APSO notes: Improving the Readability of EHRs
     http://www.ucdenver.edu/academics/colleges/medicalschool/departments/medicine/GIM/education/ContinuingEducation/Documents/TMC%202010-2011/12-7-2010_LinCT.pdf

    APSO needs to replace SOAP in EMRs
    http://thehealthcareblog.com/blog/2010/04/11/apso-needs-to-replace-soap-in-emrs/

    SOAP vs. APSO
    http://cmiowiki.wikispaces.com/SOAP-APSO

    Benefits and risks of SOAP

    Benefits: SOAP は従来やりかたで、馴染まれている。このフォーマットの文書化は患者評価の従来の流れである 
    Risks: 臨床医が求める情報は、AssessmentとPlanであり、それが文書の最後となっているため、クリックやスクロールを文章最後の行まで行わないとならないため、臨床に遅れと小さなフラストレーションをもたらす。

    Benefits and risks of APSO

    Benefits: APSO は、もっとも関連性のある情報を、迅速に見いだせ、時間短縮を医療者にもたらす 。このフォーマットにより、“A/P”部分に文書作成の重点化をもたらされるかもしれないのもう一つのベネフィット。“A/P”から開始することで重要点が強調される。これにより、医師は、明瞭な、簡明な思考となるよう努力する。
    Risks: APSOは、新しいためなじみが無く、改良が必要。
     


     電子カルテならではのフォーマットの話・・・表示順番が簡単に変えられるということで・・・と、最初思ったのだが、どうも、思考過程までAPSOと考えてるようだ・・・

     他者の速読性・読みやすさのための記録形式である。記録としてはAPSOが優れていると思うのだが、思考過程としては、やはり、患者主訴orientedでなければならないと私は思うのだが・・・

    2012年11月28日水曜日

    脂質異常症中高年:運動+スタチンは、それぞれ単独より、死亡リスク減少効果有り

    運動、スタチン治療ともに、脂質異常症を有する中年・高齢者の死亡リスクを減らすわけだが、スタチン治療と運動量増加は、それぞれ単独より、さらなる死亡リスク減少をもたらす。


    Interactive effects of fitness and statin treatment on mortality risk in veterans with dyslipidaemia: a cohort study
    The Lancet, Early Online Publication, 28 November 2012

    10,043名の登録者(平均年齢 58.8歳、SD 10.9歳)
    フォローアップ中央値10.0年(IQR 6.0-14.2)年間で、2318名死亡、平均年間死亡率は1千あたり22

    死亡リスクは、スタチン服用群 18.5%(935/5046) vs 非服用群 27.7(1386/4997)(p<0.0001)
    スタチン服用者のうち、死亡率はフィットネスにより減少
    9MET超(n=694)の高運動量の場合は、5MET以下の低運動量(HR 1; n=1060)に比べ、ハザード比は、0.30(95%CI 0.21-0.41 ;p<0.001)
    スタチン非服用の場合は、最小運動量(n=1024)HRは 1.35 (95% CI 1.17—1.54;p<0.001)

    ジゴキシン:心房細動に於ける死亡リスク増加をもたらす!

    “ジゴキシン”は、ほんとうは“ヂゴキシン”が正しい訳か・・・ それと、ジゴキシンは、周期的に悪者になるなぁ わたしが医者になって3周期眼くらいでは?

    ジゴキシンは、心房細動の“心拍コントロール”治療として用いられているが、心房細動患者での死亡率を増加するという報告。

    全死亡率で41%増加と関連するという報告


    ジゴキシン自体が死亡率増加に関与するか、合併症故に死亡率が高い状況でのより重症例処方だからか不明で、心房細動患者のジゴキシンと死亡率の関連検討目的が必要であったと序文。

    Increased mortality among patients taking digoxin-analysis from the AFFIRM studyEur Heart J (2012) doi: 10.1093/eurheartj/ehs348 First published online: November 27, 2012

    ジゴキシンと死亡率の相関をAF Follow-Up Investigation of Rhythm Management (AFFIRM) trial登録患者で、多変量Cox比例ハザードモデル評価。

    検討は、全患者と、心不全(HF)の有無(駆出率<40 br="br">
    ジゴキシンは全原因死亡率増加と相関 [estimated hazard ratio (EHR) 1.41, 95% 信頼区間 (CI) 1.19–1.67, P < 0.001]、同様に、心血管死亡率増加と相関  (EHR 1.35, 95% CI 1.06–1.71, P = 0.016)、不整脈による死亡率増加とも相関(EHR 1.61, 95% CI 1.12–2.30, P = 0.009)

    全死亡率は、心不全の有無にかかわらず、ジゴキシンにより増加 (心不全無し EHR 1.37, 95% CI 1.05–1.79, P = 0.019 、 心不全有りEHR 1.41, 95% CI 1.09–1.84, P = 0.010)

    全死亡、心血管死亡に関しジゴキシン-年齢有意相関なし (P = 0.70、P = 0.95)


    血中濃度評価での検討となるランダム化トライアル( DIG study [N Engl J Med 1997; 336: 525–533],)では、negative effenct認めてない。
    上記報告との整合性に関して、まだ議論が必要だろう。

    神経ホルモン・inotropicな異常はジゴキシンで改善する部分はあるだろうが、それ以上に、安全閾値が狭いことで、心室性不整脈・重度徐脈性不整脈をもたらす危険性があると筆者らは述べている。
    未検討共役要素による過剰推定の可能性もある。 感度分析でも一定程度以上の大きな影響が見られたため、やはり、重く受け止めるべきであろうとのこと。


    虚血証拠のない心原因死亡は最終受診日のジゴキシン使用の56%と多い  (37% versus ジゴキシン無し27% , P=0.007)。がん、肺、非心原性原因死に関してはジゴキシン使用とは関連せず。


    標準臨床ケア、正確なジゴキシン利用アドヒアランス期間がルーチンに記録されてない研究のため正確なメカニズム推定困難。

    あくまでも可能性であるが、ジゴキシン濃度の厳格な検査が必要。

    参考:http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Arrhythmias/36135

    “ジゴキシンは最小量にしてるので血中濃度測定を怠り気味”の場合は、あらためて注意が必要だろう。公的医療保険監視側にも、この情報は重要だろう。悪徳査定は患者にリスクを与える。

    左室駆出率温存型心不全:RAS拮抗治療の根拠は不充分

    駆出率温存型心不全(Heart failure with preserved ejection fraction (HFPEF))
    駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction (HFREF))



    駆出率がさほど落ちてない心不全に対する治療戦略はまだ確定的ではない


    以下の報告の結論は、心不全(駆出率温存型)の治療検討において、ACE阻害剤、ARB(RAS拮抗剤)の3つのランダム化トライアルの検討によれば、いづれも、プライマリエンドポイントに達せず、選択バイアスがあり、検知パワー不足と判断された。

     Association Between Use of Renin-Angiotensin System Antagonists and Mortality in Patients With Heart Failure and Preserved Ejection Fraction
    Lars H. Lund, et. al.
    JAMA. 2012;308(20):2108-2117. doi:10.1001/jama.2012.14785.
    2000-2011年のSwedish Heart Failure Registry(64病院・84外来クリニック 41 791 登録患者)の前向き検討

    HFPEF 16216名(駆出率 40%以上、平均[SD]年齢 75[11]歳、女性 46%)のうち、RAS拮抗剤治療(n=12,543)、非治療(3,573)

    RAS拮抗剤使用Propensity scoreは43変数を導びいた。

    RAS拮抗剤と全死亡率の相関を、1:1の年齢・propensity scoreマッチ化コホートと、連続共変数としてのpropensity scoreで補正した全体コホートで評価

    一致性評価のため、HFPEF患者をRAS拮抗剤投与量に従い、年齢・propensity scoreマッチ化解析し、HFREF(EF<40 br="br">
    主要アウトカムは、全死亡率


    マッチ化HFPEFコホートで、1年生存率は、治療群 77%(95%CI、75-78%)、 非治療群 72%(95%CI 70-73%)
    ハザード比  0.91 (95% CI, 0.85-0.98; P = .008)

    全HFPEFコホートでは、1年間粗生存率は、治療群 86% (95% CI, 86%-87%)、 非治療群  69% (95% CI, 68%-71%)
    propensity score–補正 HR  0.90 (95% CI, 0.85-0.96; P = .001)


    HFPEF投与量解析
    目標投与量50%以上の場合の、対無治療比較HRは、 0.85 (95% CI, 0.78-0.83) (P < .001)
    目標投与量50%未満の場合の、対無治療比較HRは、 0.94 (95% CI, 0.87-1.02) (P = .14)

    年齢・propensity scoreマッチ化HFREF解析で、HRは 0.80 (95% CI, 0.74-0.86; P < .001)

    アルドステロン拮抗剤:拍出量低下心不全患者への退院時処方は必ずしも死亡率低下せず 

    退院時アルドステロン拮抗剤処方の適応は慎重に
    とくに、駆出率低下心不全高齢者は良い適応だが、退院後カリウム値チェックを!

    ・・・ということか!

    時にみられる、退院時30日処方どころか、60日処方というぶったげた退院処方は、一般論としても批難されるべきだろう!


    以下の論文の結論は・・・

    アルドステロン拮抗剤退院時開始は、死亡率・心血管疾患原因再入院改善効果と関連せず。 だが、心不全・駆出率低下高齢者においては心不全再入院改善効果を示す。 高カリウム血症による再入院リスク増加が有意である。”

    駆出率正常型では無く、低下した心不全患者へのアルドステロン拮抗剤の臨床的エビデンスの問題


    Associations Between Aldosterone Antagonist Therapy and Risks of Mortality and Readmission Among Patients With Heart Failure and Reduced Ejection Fraction
    Adrian F. Hernandez, et. al.
    JAMA. 2012;308(20):2097-2107. doi:10.1001/jama.2012.14795.

    登録クライテリア合致5887名で、平均年齢 77.6歳、退院時アルドステロン拮抗剤使用者は18.2%、1070名

    累積発生頻度 3年後
    死亡 治療群 49.95 vs 51.2% (P=.62)
    心血管再入院 63.8% vs 63.9% (P=.65)
    心不全再入院 38.7% vs 44.9% (P< .001)

    30日時点高カリウム血症再入院 2.9% vs 1.2%(P<.001)
    1年内再入院  8.9% vs 6.3% (P = .002)

    治療確率の逆加重法後、死亡率は有意差認めず (hazard ratio [HR], 1.04; 95% CI, 0.96-1.14; P = .32)、同様に、心血管再入院 (HR, 1.00; 95% CI, 0.91-1.09; P = .94)にも有意差認めず


    心不全再入院は、3年後治療患者において低率 (HR, 0.87; 95% CI, 0.77-0.98; P = .02)
    高カリウム血症関連再入院は、アルドステロン拮抗剤により、30日後 (HR, 2.54; 95% CI, 1.51-4.29; P < .001)、1年後 (HR, 1.50; 95% CI, 1.23-1.84; P< .001)と高率



    "inverse weighting"とは、IDW(Inverse Distance Weighting):逆距離加重法のことだろうか?



    スピロノラクトンだけじゃなく、“ACE阻害薬・ARB投与で、血中AII濃度は抑制できていても、血中アルドステロン濃度が減少しないというエスケープ現象が知られているが、エプレレノンの併用でこの問題が回避できる可能性がある”ということでセララが宣伝されているがやはり注意が必要だろう。

    現に、ベネフィットリスクバランスがとれているか、今一つ、臨床で、吟味が必要と思う。

    2012年11月27日火曜日

    アメリカ小児科学会:10代緊急避妊に関する推奨報告


    AAP Recommends Emergency Contraception Be Available to Teens
    11/26/2012 For Release: November 26, 2012
    http://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/Pages/AAP-Recommends-Emergency-Contraception-Be-Available-to-Teens.aspx


     多くの10代で無防備な性行が行われ、避妊の失敗などがある。さらに10%程度まで性的暴行の被害がある。
     無防備・低防備性行後120時間内に、Plan B、Next Choiceなどを服用し緊急避妊がなされる。
     AAPは、妊娠防御のための緊急避妊必要性が有る場合、小児科医は、カウンセリング、処方上重要な役割をもつ。
     緊急に人はSTD防止には役立たない、STD検査の重要性を説く必要もある。
     保険カバー、緊急避妊のアクセスについてアドボケートするよう、小児科医に推奨している。




    17歳以上は処方箋無しに入手可能、17歳未満は処方箋が必要

    PlanB One-Step
    http://www.planbonestep.com/

    Next Choice
    http://www.mynextchoice.com/


    日本では・・・

    ノルレボ錠0.75mg
    http://www.aska-pharma.co.jp/iryouiyaku/norlevo/index.html
    (適正使用に関するあすか医療用医薬品情報サイト)
    効能又は効果/用法及び用量
    緊急避妊  
    効能又は効果に関連する使用上の注意 1. 本剤投与により完全に妊娠を阻止することはできない(【臨床成績】の項参照).2. 本剤は,避妊措置に失敗した又は避妊措置を講じなかった性交後に緊急的に用いるものであり,通常の経口避妊薬のように計画的に妊娠を回避するものではない(「重要な基本的注意」の項参照).  
    用法及び用量
    性交後72時間以内にレボノルゲストレルとして1.5mgを1回経口投与する


    関係学会というと、日本では、産婦人科学会だろうか?

     緊急避妊法の適正使用に関する指針 平成23年2月
    日本産科婦人科学会編
    http://www.jsog.or.jp/news/pdf/guiding-principle.pdf

    この指針見ると、やっぱり産婦人科以外、手出ししにくいと思う

    交通環境汚染(NO2、PM)は自閉症増加と関連 ・・・ 車を追い出せば自閉症半減?


    ひょっとしたら、交通公害による二酸化窒素(NO2)や微小粒子(PM)が自閉症と関連するかもしれないという報告。

    車を住居地から追い出せば、自閉症半減?

    Car Emissions May Hike Autism Risk
    http://www.medpagetoday.com/Pediatrics/Autism/36111
     


    胎生期中の交通関連大気汚染暴露最大4分位において、最小比較で補正オッズ比 1.98;95%信頼区間:CI 1.20-3.31)
    さらに、生後1年の暴露では、3.10;95%CI 1.76-5.57

    NO2と2.5μm-10μm直径未満の粒子と胎生期暴露の関連が示された。


    Traffic-Related Air Pollution, Particulate Matter, and Autism
    Heather E. Volk, et. al.
    Arch Gen Psychiatry. 2012;():1-7. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.266.

    住民ベースの症例対照研究で、カリフォルニアの Childhood Autism Risks from Genetics and the Environment study登録者における、自閉症データ、及び、対照データ比較。
    出生届から母の住所を、住居歴から住所を求め、トリメスター毎、子供1歳までの暴露を推定。
    line-source air-quality dipersion model    で、各ロケーションでの大気汚染推定。

    自閉症の子供は、対照と比較し
    胎生期交通関連汚染度最高4分位が多い (AOR, 1.98 [95% CI, 1.20-3.31])
    生後1年間でも同様 (AOR, 3.10 [95% CI, 1.76-5.57])

    NO2地域暴露、PM2.5、PM10未満地域暴露も共に、
    胎生期暴露と自閉症相関 (NO2暴露: AOR, 1.81 [95% CI, 1.37-3.09]; PM2.5暴露: AOR, 2.08 [95% CI, 1.93-2.25]; PM10暴露: AOR, 2.17 [95% CI, 1.49-3.16)
    生後1年間でも同様 (NO2暴露: AOR, 2.06 [95% CI, 1.37-3.09]; PM2.5暴露: AOR, 2.12 [95% CI, 1.45-3.10]; PM10暴露: AOR, 2.14 [95% CI, 1.46-3.12])

    すべての地域汚染推定値は、全妊娠期間推定値分布の標準偏差の2倍にスケール化した。


    自閉症と喫煙の関係 ・・・ 病型毎影響差あり? 2012/05/01

    代謝性グルタミン酸受容体(mGluR5)NAM GRN-529 :自閉症ラットモデルで効果証明 2012/04/26

    遺伝子異常と自閉症リスク 2008年 01月 10日

    高齢の父親はその子孫に遺伝子変異を伝えやすい。 たとえば、自閉症、統合失調症など 2012/8/25

    自閉症:ペット入手が向社会的行為改善をもたらす 2012/08/02

    脳しんとう:FA高値は神経可塑性を示し、その後の予後改善と関連する



    単一施設の症例対照研究


    MRI上の “high-resolution diffusion tensor imaging” (超高分解能拡散テンソル画像による皮質下白質トラクトグラフィー:TDI)による分析

    軽度頭部外傷(TBI)において、Fractional anisotropy(FA)で予後判定できるか?


    Rosenbaum SB, et al "Abnormally high ansiotropy predicts health related quality of life and post-concussive symptoms at one year post mild TBI" RSNA 2012.
    http://www.rsna.org/Attendees.aspx

    参考:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/RSNA/36108


    頭部外傷後1年、脳振盪後症状評価アンケート (via the Rivermead PCS Questionnaire [RPQ]) とHRQOL(via the Sickness Impact Profile [SIP])施行

    包括すると、全患者でFA異常高値領域検知し、その値に高低がある。しかし、FA異常高値患者は、脳振盪後症状少なく、HRQOL良好。

    高値は、脳しんとう症状改善予測として有意(p=0.01)で、QOLアウトカムも良好(P=0.024)、心理的機能も良好(p=0.007)

    このことは、脳は脳卒中後補正しようと働き、それがFA高値ということになり、神経可塑性の現れということになると筆者らは述べている。



    サッカー:脳しんとう未満微小打撃繰り返しの脳影響 ・・・ 画像化(TDI)  2012/11/14

    住民ベース:心房細動発症にて心室頻拍発症促進?

    住民ベース研究

    心房細動発症は、心室頻拍などによる心臓突然死や冠動脈疾患発生と関連する


     Atrial Fibrillation and the Risk of Sudden Cardiac DeathThe Atherosclerosis Risk in Communities Study and Cardiovascular Health Study ONLINE FIRST
    Lin Y. Chen, et. al.
    Arch Intern Med. 2012;():1-7. doi:10.1001/2013.jamainternmed.744.

    背景  心房細動(AF)は心臓突然死(SCD: sudden cardiac death)リスク増加と関連するか一般住民レベルでは不明であった。この関連性を2つの住民ベースコホートで検討。

    研究方法  Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Studyにおいて、ベースライン(1987-1989年)から2001年12月31日までの15439名の登録者(ベースライン年齢 45-64歳; 女性 44.2%; 黒人 26.6%)解析
    Cardiovascular Health Study (CHS)では、5479名の登録者(第1コホート 1989-1990;第2コホート 1992-1993)(ベースライン年齢 65歳以上; 女性 58.2%; 黒人 15.4%) 2006年12月31日まで
    プライマリアウトカムは、医師補正SCD(定義 突然の、心室性頻拍によると想定される無拍動)
    セカンダリアウトカムは、非-SCD、すなわち、SCDクライテリアに合致しない冠動脈疾患
    Cox比例ハザードモデルでAFとSCD/NSCDの関連性を評価、その際は住民統計指標や心血管リスク要素を補正

    結果  ARIC研究において、フォローアップ期間中(中央値 13.1年間)AF 894、 SCD 269、 NSCD 233
    SCD発症粗頻度は、1千人年あたり AFあり 2.89、 AFなし 1.30
    AFありの多変量ハザード比(HRs)(95%CIs)は、SCD 3.26(2.17-4.91)、 NSCD 2.43(1.6-3.71)

    CHSコホートでは、フォローアップ期間中(中央値 13.1年間)AF1458、SCD 292、NSCD 581
    SCD発症粗頻度は、1千人年あたり AFあり 12.0、 AFなし 3.82
    AFありの多変量ハザード比(95%CIs)は、SCD 2.14(1.60-2.87)、 NSCD 3.10(2.58-3.72)

    AFありのメタアナリシスHRs(95%CIs)は、SCD 2.47(1.95-3.13)、NSCD 2.98(2.52-3.53)

    結論  一般住民においては、AF発症は、SCDとNSCDのリスク増加と関連する
    AF患者のSCD予測因子についてさらなる研究が必要



    ARIC研究では、両群の年齢、人種、性別、心血管リスク因子、および心房細動発症診断までの期間補正後も相関性維持。NSCDのリスク増加に関して、β遮断剤、ジゴキシン、抗不整脈などの使用補正後にのみ相関性有意。  

    心房細動と心臓突然死、両病態のリスク要素が関連しているために生じた相関性とのみは説明出来ないと筆者ら。

    心房細動発症そのものが、心室性頻拍を促進するのだという考えに基づいている。

    CHSコホートでは、左室駆出率補正でわずかしか相関性補正されなかったが、 ARICコホートの左室駆出率測定サブグループで、左室駆出率低下を補正した場合、心臓突然死14倍にリスク相関増強し、心房細動発症とHSCDリスクは11倍に増強された。
    両コホートとも、男性で同様のリスク増加を示し、リスクはARICコホートのサブグループ被験者男性で強く、CHSでは観察されなかった。

    この研究の限界は無症状例、外来ベースマネージメントを対象として拾えてない。入院が発生しない限り心房細動やイベントを収集できてないということ。

    2012年11月26日月曜日

    医師会がエパデールOTCに反対する理由が分からない・・・

    日本医師会、生活習慣病の自己管理懸念―エパデールOTC化で見解
    http://www.qlifepro.com/news/20121126/self-management-concerns-of-lifestyle-related-diseases-sefaranchin-of-the-otcs-view.html

    医師会側のOTC化反対理由は、

    ・ "「生活習慣病の患者が自己判断で医薬品を使用することは非常に危険。エパデールを認めれば、アリの一穴になる可能性がある」と懸念"

    。 “医薬品は医師の管理下で服用すべき」とし、安易な購入が食事・運動療法の取り組みを後退させ、結果的に症状の発現や悪化につながると懸念を示した。”

    今更、OTC反対しても・・・


    そもそも、EPAの動脈硬化疾患への臨床効果に疑問があるわけで、医薬品として維持するほうが、問題なのでは?

    システマティック・レビュー:ω3多価不飽和脂肪酸は死亡率・心血管系リスク減少と関連せず 2012/10/31
    http://kaigyoi.blogspot.jp/search?q=EPA#!/2012/09/blog-post_3104.html


    不整脈予防のためのアップストリーム治療と宣伝もされたが、いつまでも、まともなエビデンスなんて出てこない。
     


    科学的エビデンス無視した、トクホを野放しにしている現状を考えれば、既に、“蟻の一穴”は既成事実

    参考:横行する「トクホ」食品の嘘普遍的でない「健康効果」
    http://www.sentaku.co.jp/category/culture/post-1809.php

    “ トクホの申請に必要なことは、実験手法が科学的であることだけだ。効能については、誰にでも確認できる普遍的なものは求められていない”

    具体的事項とみれば、某メーカーのトクホ・サプリの宣伝資料を見ると、現況最強降圧剤を凌駕する効果が示されている矛盾を国(消費者庁、厚労省・・・)は放置している。


    で、こういう事態がおきる  
     ↓
    特保ペプシ:科学的根拠が薄いのに日本国行政が認め推奨したと全米が驚いた 2012/1119
    http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/11/blog-post_19.html#!/2012/11/blog-post_19.html

    TPPとやらで、”トクホ”とか無くなれば・・・ TPPとやらも良いのかもしれない
    日本の文化は崩壊するけど・・・ 無くなっても良い文化=”トクホ”と“産官学癒着”

    治療抵抗性高血圧:心血管死、卒中増加

    治療抵抗性高血圧(Resistant hypertension) を、利尿剤を含む3剤以上の薬剤を使用してもなお、ベースライン 140/90 mmHg以上の血圧(糖尿病、腎障害の場合は130/80以上)と定義

    その比率は、international REACH (Reduction of Atherothrombosis for Continued Health)研究で、12.7%

    治療困難患者は、4年間フォローアップにて、心血管疾患死亡、心筋梗塞、卒中、有意に増加 (18.9% versus 14.2%; HR 1.11, 95% CI 1.02 ~ 1.20)


    Resistant hypertension: a frequent and ominous finding among hypertensive patients with atherothrombosis
    Eur Heart J (2012) doi: 10.1093/eurheartj/ehs368 First published online: November 9, 2012
    http://eurheartj.oxfordjournals.org/content/early/2012/11/08/eurheartj.ehs368.abstract

    プライマリアウトカムは、4年時点での、心血管死、心筋梗塞、卒中の組み合わせで、53530名の高血圧患者を含む

    治療抵抗性高血圧頻度は 12.7%
    (3剤 6.2%、 4剤 4.6%、 5剤以上 1.9%) (平均: 4.7 ± 0.8)


    利尿剤に追加前提で話を進めると
    ACE阻害剤/ARB 90.1%、β遮断剤 67.0%、カルシウム拮抗剤 50.8%の順に使用頻度多い。

    治療抵抗性高血圧患者はプライマリエンドポイント多変量解析リスク[ハザード比(HR) 1.11, 95%信頼区間(CI) 1.02-1.20; P=0.017]
    非致死的卒中リスク増加 (HR: 1.26; 95% CI: 1.10–1.45; P = 0.0008)
    うっ血性心不全入院も多い (P < 0.0001)
    3剤以下の患者に比べ、5剤以上の患者はプライマリエンドポイント補正リスク高い (P = 0.03)



    研究の問題点として、選択バイアスの可能性指摘され、使用薬剤名不明、特異的作用の関与不明などが問題。

    日本では、β遮断剤の出番が少ない
    http://www.jhf.or.jp/a&s_info/guideline/kouketuatu.html
    故に、“利尿剤+ACR阻害剤/ARB+CCB”となることが多い。

    次の一手はどの薬剤を追加するか、“アルドステロン・エスケープ”など理論宣伝は派手だが降圧効果は今一つのアルドステロン阻害作用薬剤か、副作用で話題のラジレスか・・・







    降圧剤ARB:癌促進性関連? エポキシエイコサトリエン酸  2011年 12月 20日

    システマティック・レビュー:障がいと暴力行為

    成人の約15%が障がいを持つ、暴力リスク頻度が多いと多く報告されている。
    しかし、この問題での定量的研究は乏しい。

    そこで、障がい成人での定量性報告


    精神疾患群での暴力リスクが目立つが、全般的に、暴力性リスク増加は存在する

    Prevalence and risk of violence against adults with disabilities: a systematic review and meta-analysis of observational studies
    The Lancet, Volume 379, Issue 9826, Pages 1621 - 1629, 28 April 2012


    リファレンス 10663のうち、26を除外、21557が障がい者関連データ

    暴力頻度のメタアナリシスとして適するとした21の研究、暴力リスクに関する10のメタアナリシス


    身体的、性的、 親密関係者間の直近の暴力頻度は、
    メンタル疾患群 24.3%(95%CI 18.3-31.0)
    知的障がい群 6.1%(95% CI 18.3-31.0)
    特異的障がい群 3.1%(2.5-4.1)


    多くの頻度推定に関してheterogeneityを認める( I2 >75%)

    累積リスク推定に関して、不確定さ大きい。

    すべての研究とりまとめとして非障がい者と比べると 暴力リスクの累積粗オッズ比は、1.50(95% CI 1.09-2.05)
    内訳
    非特異的障がいでは 1.31(0.93-1.84)
    知的障がい 1.60(1.05-2.45)
    メンタル疾患 3.86(0.91-16.43)






    気分の処理や対人関係処理がうまくいかないことなど関連すると思うが、 犯罪率だけで議論されている日本では、この問題が表にでることが少ない。暴力行為被害側人権配慮の問題はとりあげられることは少ない。

    男性思春期:筋力のない人は若年死の可能性高い

    100万人コホート研究:男性思春期の筋力と、若年死亡の関連性

    Muscular strength in male adolescents and premature death: cohort study of one million participants
    BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7279 (Published 20 November 2012)


    【結果】
    24年フォローアップ中央値24年、26145名の死亡
    自殺が最も死因として多く、22.3%
    心血管疾患 7.8%、 がん 14.9%

    思春期では、膝進展力・握力評価の筋力強力なほど、全原因死及び心血管による早期死のリスクを20-35%ほど低下(BMI、血圧ど独立)

    がん死亡率に関しては死亡率との関連性認めず

    筋力強い思春期の子供は自殺死20-30%リスク軽減、そして、精神疾患診断(統合失調症、気分障害)16-65%リスク軽減

    筋力最小10分位思春期成年は、様々な原因での死亡リスクが最も高くなる。

    全原因死亡率(10万人年あたり)は、最弱、最強で、122.3 vs 86.9の差がある

    心血管疾患に関しては9.5 vs 5.6 
    自殺死亡率では 24.6 vs 16.9


    【結論】筋力が弱い思春期成年は、若年期の主要死亡原因すべてのリスク要素となっており、その全原因死亡率へのeffect sizeは、確立したリスク要素であるBMIや血圧と同等

    その後の若年死につながるリスク要素として、肥満、高血圧とならび、心肺系負荷運動量の不足が候補として注目されている。取り組まなければならない課題としてその要素を明瞭化することが重要ということでの研究とのこと



    2012年11月22日木曜日

    米国乳がん検診 :過剰診断 毎年七万名、総数130万名に及ぶ ・・・

     乳がん検診は早期乳がんを発見はするが、その1/3は命に関わらない疾患で過剰診断といわれても仕方が無い。そして、進行癌を減らしたかというと微妙・・・という、あらためてがん検診へ疑念をもたせる報告
     

    結論から言えば、乳がん検診マンモグラフィーで、早期乳がんを多く発見してはいるが、進行期となった状態のがん診断数は減少していない。新規乳がんの31%が過剰診断であり、腫瘍そのものが致死的なものかどうかもはっきりしていない。


    Effect of Three Decades of Screening Mammography on Breast-Cancer Incidence
    Archie Bleyer, M.D., and H. Gilbert Welch, M.D., M.P.H.
    N Engl J Med 2012; 367:1998-2005 November 22, 2012
    DOI: 10.1056/NEJMoa1206809

    【背景】
    検診とは、生命を脅かす疾患を治癒ステージである早期の状態を多く発見し、最終的には死亡率減少を目的とするもの。
    故に、有効ながん検診プログラムとは、1)早期発見されるがんの数を増やすこと、2)進行期のがん発見の数を減らすことの2つが必要

    【方法】
    40歳女性での、早期乳がん(非浸潤性乳管がん(いわゆる DCIS) と 局所疾患(localized disease))と進行期乳がん(領域性(regional)と (distant disease))発生率"Surveillance, Epidemiology, and End Results"1976-2008年のトレンドデータ

    【結果】
     米国での 検診マンモグラフィー導入は早期乳がん数が2倍となった。
     女性10万人あたり 112 → 234例 (絶対的増加 10万人あたり 122例)
      


    同時に、

     進行期乳がんは減少
     女性10万人あたり 102 → 94例(絶対的減少 10万人あたり 8例)

     疾患の広がりは一定と仮説すると 、早期がん診断により、進行癌予防を防いだのはわずか122例中8例のみとなる。

     ホルモン補充療法による一過性のがん超過リスク除外し、40歳未満の発生率傾向補正すると、乳がんの過剰診断と推定される。

    たとえば、臨床的症状出現するはずのない疾患を検診でみつけて喜んでる状態など

    その数は直近30年間で130万人の米国女性に及ぶ。

     筆者らは、2008年の乳がん過剰診断は7万名超と推定し、全乳がんの31%に相当すると推定している。

    【結論】
     早期乳がん数は検診のおかげで増加したが、マンモグラフィー検診による進行癌の発生率眼症させてるか、その効果はほとんど境界的。
    その影響は一定ではないが、新規乳がん診断の三分の一近くが過剰診断であり、検診が健康状況の良いときに行われ、乳癌死に影響を与えないという不均衡の存在が示唆される。 



    日本の行政は、“検診=進行がん減少・がん死減少”と決め込んで、税金垂れ流しを続けている。やたらと口数が多い中身空っぽの特定の政治家などが確かにうるさいのだろうが、効果に疑問点のある検診を洗い直すべきである。・・・ 子宮頚部がん、下部消化器系がんしかのこらない気がするが・・・


    がん検診で過剰診断された方々は、がんといわれたことに悩み、精密検査のため仕事や家事がおろそかになり、家族に心配をかけることを悩み、趣味や仕事に集中できない・・・多大な遺失利益を生じる。 ・・・そういうことがさっぱり分かってない人たちが多すぎる

    税金垂れ流しであり、特定業者・医療者だけが仕事にありつくだけのマイナス部分をもつ事業だということも認識しろ! 

    2012年11月21日水曜日

    糖尿病検診の意義薄い ・・・ 某国は検診むちゃくちゃやってるが・・・

    日本の検診システムってのは、地域住民検診・職域検診から“人間ドック”まで非科学性の集大成

    臨床的アウトカム改善が証明された検診サービスなど存在せず、提供側がやりたいことやおもいつきをやり、臨床的アウトカムの実証存在しない。

    もともと根拠無きメタボ健診は、今、地域によっては、糖尿病検診、CKD検診に化けている。

    CKDそのものが否定的な流れなのに・・・
    USPSTF勧告:CKD検診ベネフィット・リスク結論づけできず 2012/08/28

    慢性腎臓病(CKD) 検診・治 療は エビデンスに乏しい メタボ+CKD検診なんて詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ  2012年4月19日



    糖尿病検診に関して・・・ハードなアウトカムを指標にすればその意義は薄い


    「UKの大規模サンプルでは、リスク増加状態にある2型糖尿病検診は必ずしも全原因死亡率、心血管疾患、糖尿病死亡率減少と相関しない。検診のベネフィットは小さく、限定されるべきである。」

    Screening for type 2 diabetes and population mortality over 10 years (ADDITION-Cambridge): a cluster-randomised controlled trial
    Rebecca K Simmons et. al.
    The Lancet, Volume 380, Issue 9855, Pages 1741 - 1748, 17 November 2012


    東イングランドでなされたプラグマティック平行群、クラスターランダム化トライアル

    強化的多区分治療
    ・糖尿病診断(n=15)
    ・検診+国内ガイドラインに従ったルーチン糖尿病ケア(n=13)
    ・非検診対照群 (n=5)

    40-69歳(平均58歳)の20184名、次善評価リスクスコアによる未糖尿病診断高リスク状態対象者

    検診は、段階的プログラム
    ランダム毛細血管血糖、HbA1c、空腹時毛細血管血糖、確定のためのOGTT

    プライマリアウトカムは、全原因死亡率

    検診実施は、16047名の高リスク対象者
    強化検診プログラムへ参加呼びかけ 15089(94%)、受診 11 737 (73%)、糖尿病診断 466 (3%)
    対照 4137

    フォローアップ184057人年中(期間中央値 9.6年[IQR 8.9—9.9])

    検診群 1532名

    対照群 377名

    (mortality hazard ratio [HR] 1.06, 95% CI 0.90—1.25)

    心血管疾患 (HR 1.02, 95% CI 0.75—1.38)、 がん (1.08, 0.90—1.30)、糖尿病関連死亡率(1.26, 0.75—2.10)

    高齢者:降圧剤治療後45日間は股関節骨折リスク4割増加

    睡眠薬と違い、特定の薬剤ということではないようだ 

    アステラスとベーリンガーの違いは無いってのは冗談だが・・・




    降圧剤開始高血圧老人は、開始後45日間で、股関節骨折リスク43%増加する
    (頻度相対リスク 1.43;95%信頼区間 1.19-1.72)

    The Risk of Hip Fracture After Initiating Antihypertensive Drugs in the Elderl
    Debra A. Butt, et. al.
    Arch Intern Med. 2012;():1-6. doi:10.1001/2013.jamainternmed.469.

    降圧治療開始後、起立性低血圧生じ安くなり、めまい、ふらつき、失神さえ生じる。その結果、転倒・骨折リスク増加することが考えられる。

    平均年齢81歳(女性 81%)、股関節骨折既往 6%
    10年間調査、1463名の大腿骨近位骨折

    一般的に、すべての降圧剤種類で、IRR 1.33-1.58
    ACE阻害剤 1.53 95%CI 1.12-2.10
    β遮断剤 1.58 95%CI 1.01-2.48

    ACE阻害剤(カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル)は、初期投与低血圧が記載され、静脈拡張に伴う静脈プーリングが著明となり、心拍出量低下、過度の低血圧を生じるものと思われる。

    β遮断剤はアゴニスト・アンタゴニストともβ受容体数減少のため、高齢者にはもともと有効性乏しい。しかしながら、副作用は生じ安い。

    日本で頻用されているARB、CCBに関しては検討が乏しい。



    医家としては、高齢者の降圧剤治療開始時、転倒リスクに言及しておくことが必要

    マイスリーは、転倒の独立した危険因子 ・・・ 即刻対処必要

    後顧的コホートだが、マイスリー使用は転倒の独立した増悪要素であるという報告で、臨床上重大な報告。

    Zolpidem is independently associated with increased risk of inpatient falls†
    Bhanu Prakash Kolla et. al.
    Journal of Hospital Medicine Early View (Online Version of Record published before inclusion in an issue)

    ゾルピデムの処方発行され、薬剤受領した患者の転倒発生率
    処方発行されたが受領してない患者に比べ、有意に高率
    (n = 4962 vs n = 11,358) (3.04% vs 0.71%; P < 0.001)


    ゾルピデム使用は年齢・性別・不眠・せん妄・ゾルピデム投与量・Charlson comorbidity index、Hendrich's fall risk score、視覚異常、歩行異常、認知症/認知障害補正後も、転倒リスクと相関存在  (補正オッズ比 [OR] 4.37, 95% 信頼区間 [CI] = 3.34–5.76; P < 0.001)

    さらに、転倒経験ありのゾルピデム服用患者は、年齢・オピオイド・抗うつ・鎮静抗うつ薬、向精神薬、ベンゾジアゼピン、抗ヒスタミン使用に関して、他の転倒成人入院患者と差は認めなかった・・・すなわち、ゾルピデム使用自体が転倒リスク。


    また、アステラスか・・・

    “もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)”・“中途覚醒時記憶障害”に関しての情報提供はあったが、転倒リスクの情報提供はないはず。

    この会社は、この製品を、「筋弛緩作用が少なく、依存性が軽減された」高齢者に望ましい睡眠薬と宣伝していた前科がある。その宣伝文句に従い、全国の医師たちは多くの高齢者に処方しているはず・・・ その後、転倒リスクが高いという安全性情報を我々医師たちは聞かされてない。

    ウェブ上でも、マイスリーと転倒増加に関する情報存在する。“マイスリー 転倒”でググればすぐ分かる。安全性情報を隠匿しているといわれてもしかたないのではないか・・・

    この会社の前身の“藤沢・・・”に、SSRIと上部消化管出血リスクに関する情報を 求めた際、その場でそのような事実は無いとMRが断言した。このような会社なのである。

    SMART療法のいんちきプロパガンダと同様の悪行と私は思うのだが・・・

    喘息:アクションプランなしのケアは臨床的アウトカム、医師患者関係の質悪化につながる 2012/11/09

    呼吸器系吸入薬剤営業:“医師は、製薬会社のパートタイム営業マンであってはならない” 2012/11/19


    まぁ こういうことって、アステラスだけでは無く、すべての製薬会社に共通することですけどね・・・

    2012年11月20日火曜日

    胸水量簡易CT判断法

    胸水が軽度なのか、中等度なのか、大量なのか、迅速に、判断するには鎖骨線上での最大長を4分割して判断すれば良い・・・とのこと。

    救急外来とかかなり便利だろう・・・


    A New Simple Method for Estimating Pleural Effusion Size on Computed TomographyMatthew P. Moy1, et. al.
    CHEST. 2012 doi:10.1378/chest.12-1292


    CTによる軽度、中等、大量胸水分類は、鎖骨中央線での前後(AP)四分位と最大AP深度長での評価がベスト。
    意思決定ルールに従うとすると、第1AP四分位なら軽度、第2AP四分位なら中等度、第3・第4四分位なら大量と判断すればよい

    ボーダーラインの場合、AP深度長の軽度・中等度区分上限はそれぞれ3cm、10cm



    定量評価項目
    (1) 圧迫性無気肺の程度(無、亜区域、区域、多区域、葉、多葉)
    “葉性"圧迫性無気肺には、複数の葉の区域性無気肺の組み合わせも含み、この場合は“葉性"圧迫性無気肺と同等とする

    (2)最大AP(前後)四分位、 胸水の見られる前方最大四分位として測定
    (図 1)胸水最大量部位片側横隔膜側の上方軸性イメージ


    (3)解剖学的ランドマーク利用最大頭尾長(同側下部肺静脈、横行右肺動脈、気管分岐部、大動脈弓、肺尖部)
    (4)major fissureの胸水 (5) 縦隔シフト、 (6) 主たる肺底部位置

    定量特性
    (1) 完全無気肺区域数
    (2) 頭尾部長(cm)
    (3) 片側横隔膜上方軸性イメージで、最大AP深度長(cm)図3
    ; (a) 鎖骨中央線、 (b) 最大AP dimension


    血圧; コーヒーの影響についてのシステマティック・レビュー&メタアナリシス

     カフェインの急性の影響はあるが、長期的影響のエビデンスは存在しないらしい


    最近、コーヒーを健康面で肯定的に捉える方向性が目立つ
    コーヒー:飲料で総死亡減少・各原因死亡減少 ;喫煙にて効果消去 2012/3/17

    カフェインの短期的昇圧反応への危惧がもたげるわけで、コーヒー関連業者には援軍となる報告になる ・・・ でも、報告検討数が少なく、眉につばつける必要がありそう


    The effect of coffee on blood pressure and cardiovascular disease in hypertensive individuals: a systematic review and meta-analysis
    Arthur Eumann Mesas, et. al.
    Am J Clin Nutr October 2011 vol. 94 no. 4 1113-1126

    急性の影響(http://ajcn.nutrition.org/content/94/4/1113/T1.expansion.html)として、カフェイン200-300mgで、平均的に、収縮期 8.1mmHg(95% CI, 5.7 - 10.6mmHg)、拡張期 5.7 mmHg (95% CI, 4.1 - 7.4 mmHg)増加

    3時間以上継続する



    2週間での長期研究では、脱カフェインコーヒーと比較しても増加は認めない

    収縮期血圧への影響


    拡張期血圧への影響



    【結論】
    高血圧患者において、カフェイン摂取は急性の血圧増加反応(3時間以上)を認める
    しかし、コーヒー長期摂取と血圧増加の関連性、習慣性コーヒー摂取と心血管疾患リスク増加の関連性いずれのエビデンスもそれを支持しない。



    カフェインとエストロゲンの関係 ;人種的差 ;緑茶は人種横断的にエストロゲン増加へ 2012/01/27

    労作性呼吸苦:中枢性オピオイドの効果? 末梢性オピオイド否定研究

    オピオイド受容体は、広く、中枢神経(CNS)系及び、細気管支・肺胞壁を含む末梢性感覚神経終末に広く発現する。
    息切れ時、内在性オピオイドにより中枢性、末梢性へ調整的影響を与えるかは不明。
    βエンドルフィンの血中増加が息切れに影響を与えるか、気道系の末梢性オピオイド受容体結合の推定的効果を検討したもの

    このことが分かってなかったから・・・最初何のことかと思った
    ケトコナゾールはコルチゾール合成抑制する。この薬剤のHPA系抑制効果は、HPA系を活性化し、corticotrophin-releasing hormoneは、POMC遊離刺激する視床下部から分泌される。POMC-由来ペプチドは、βエンドルフィンやACTHの血中分泌を促すよう、その機能を貫く。さらに、ケトコナゾールによる視床下部ニューロンからCNSへの内因性オピオイド遊離はされない。

    中枢性と末梢性オピオイド刺激を区分け出来る薬理作用を利用した実験とのこと


    Effect of Increased Blood Levels of Beta-endorphin on Perception of Breathlessness
    Donald A. Mahler1, et. al.
    CHEST. 2012 doi:10.1378/chest.12-1541
    COPD20名で、βエンドルフィン、ACTH測定
    ケトコナゾールとプラシーボを経口投与し、吸気付加抵抗( resistive load breathing  :LB)を加えたときの毎分息切れ程度を評価。

    コルチゾール合成阻害することで、ケトコナゾールは有意にβエンドルフィン、ACTH増加をもたらした。
    RLB中の息切れ強度・不快度数、耐容時間数の介入群差は認めず


    内在性オピオイドに影響を与えない、ケトコナゾールによる末梢性オピオイド活性化では、労作性呼吸困難軽減効果認めない。このことは、オピオイドの呼吸困難軽減効果は、中枢性オピオイドの作用が主と考える。ただ、末梢性オピオイドへ与える影響が、この程度のオピオイドの変化量では起きなかった可能性もある。

    2012年11月19日月曜日

    特保ペプシ:科学的根拠が薄いのに日本国行政が認め推奨したと全米が驚いた


    Pepsi Unleashes So-Called ‘Fat Blocking’ Soda on Japan
    by Steve Williams
    November 18, 2012


    Read more: http://www.care2.com/causes/pepsi-unleashes-so-called-fat-blocking-soda-on-japan.html#ixzz2CeZJ3rjS



     There’s just one problem. Most of Pepsi Special’s reported benefits aren’t backed up by science.



    難消化性食物線維は脂肪の体内取り込みを阻害せず、遅れるだけ・・・

    体重減少に関して効果がある? ・・・ あったとしてもわずか。

    サントリーはこの新しいペプシに糖・コーンシロップの正確な含有量を公表してない。それ相応の量が含有されていることが想定される。

    “飲まない場合より、糖の取り込みが減ってなければ、健康に良いとは言えない”はずなのに、糖などが付加されても、健康に良いと、メーカーが言い張り、政府がそれに“トクホ”と消費促進を勧める。

    “不健康な食品に人工物を加えただけ”で、 “putting lipstick on a pig.”(豚に口紅をつけて化粧したようなもの)と、Dr. Melina Jampolis(physician nutrition specialist / CCNhealth expert)は手厳しい。

    確かに、自然食品のオート麦、大麦、アブラナ科野菜、種子類、リンゴの皮などはコレステロール吸収抑制効果があるが、 合成繊維成分ではそのエビデンスは存在しないと述べている。

     

    トクホとは・・・日本のいんちき行政の象徴 このいんちきを指摘しない消費者庁も税金の無駄遣い省庁

    注) なお、タイトルの全米が・・・は、トクホなみに大げさです。個人の感想であり、個人の経験で有り、実際の感想とは違う場合があります。

    夜中のPC/iPad操作、テレビ視聴・・・ ipRGCを介し、うつ、学習能力低下、ストレス増加・・・

    テレビが一番悪いと思うのだが・・・ iPadがやり玉に挙がってる・・・


    Aberrant light directly impairs mood and learning through melanopsin-expressing neurons
    Tara A. LeGates, et. al.
    Nature(2012)doi:10.1038/nature11673 Received 04 April 2011 Accepted 11 October 2012 Published online 14 November 2012 

    照明の概日リズムを不規則とした場合、コルチコステロン濃度が全体的に増加し、うつ様症状や、海馬などの機能低下をもたらす


    解説:
    http://www.sciencedaily.com/releases/2012/11/121114133921.htm


    マウスの実験で、典型的な21世紀型生活である、夜間の照明、コンピュータやiPadなどからの光の影響で、うつや学習障害が生じる危険性が示唆された。

    Hattarらのチームは、齧歯類に3.5時間光を当て、3.5時間暗所と繰り返し、動物モデルうつ症状を示した。砂糖・遊び探求動作などの減少。タスク達成時間の延長など。
    学習問題場面での、コーチゾル増加し、ストレスの存在が示唆された。

    神経節細胞の1-3%に存在する、視交叉上核への直接投射. 経路を有する ipRGCs(intrinsically photosensitive retinal ganglion cells)が光線により活性化し、気分、記憶、学習に関与する脳の部位に影響を与えることが分かった。
    この部分はマウスと人はほぼ類似しており、人間にも即この知見は適応されると・・・


    呼吸器系吸入薬剤営業:“医師は、製薬会社のパートタイム営業マンであってはならない”

    喘息と診断しながら、テオフィリン徐放錠と長時間作用性β刺激剤単独吸入剤“ オーキシス”処方された患者を診たときには口あんぐり・・・スパイロメトリーされたことなく診断根拠もはっきりしないまま、新薬発売時から処方されていたとのこと・・・ オーキシスはCOPDにしか適応無く、なんらかの勘違いで処方され続けていたと思われる。この事例は医師の無知が主原因だろうが、製薬会社のプロモーションにも問題は無いのだろうか?


    COPD、喘息・・・ 増え続ける疾患患者数、それに伴い、製薬会社の営業は盛んになる一方・・・商業主義がすべて悪いわけではないが、情報の非対称性があることを医師たちは認識しなければならない。


    呼吸器系吸入剤に関し、さまざまな疑念が生じている・・・どこもまともに取り上げず、呼吸器系学会の連中もほぼスルー状態・・・


    オンブレス(インダカテロール吸入)の用法設定の不思議さ(2011/10/21)
    http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/11/12lab.html



    アストラゼネカ・あすてらす製薬が推奨するシムビコートのSMART療法は、患者の気分次第で吸入量を決定するというもので、この療法の根拠論文は重症者が多いにもかかわらず、日本で承認された用法用量をみると“軽症・中等症”のみしか使用できない

    そういう矛盾に答えない製薬会社

    喘息:アクションプランなしのケアは臨床的アウトカム、医師患者関係の質悪化につながる 2012/11/09
    http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/11/blog-post_9.html





    吸入ステロイド・LABA(長時間作用性β刺激薬)合剤の適正使用に関する懸念の記事がMedpageに記載されている。

    Advair: How Safe Is This Drug? By MedPage Today Staff
    Published: November 18, 2012
    http://www.medpagetoday.com/AllergyImmunology/Asthma/36000
    &
    http://www.jsonline.com/watchdog/watchdogreports/advair-boomed-amid-health-risks-264ct6q-179834881.html

    批判の対象は、日本では“アドエア”として使用している"Advair"・・・
    成分開発にさほど金かけず、合剤として、金のなる木を作ったGSK

    2001年米国で発売、2007年には毎年40億米ドル超の売り上げ
    だが、小児に関する懸念、過剰投与に関する危惧そういうものがわき上がっている。

    FDAに報告された副作用解析データでは、長時間作用型β刺激剤は、2004年から2011年まで1900の喘息死と関連しているという。しかも製薬会社からの報告のため、過小報告の可能性がある。

    潜在的リスクの可能性がおおっぴらになったのは、 Journal Sentinel/MedPage Today のレビュー

    2011年英国の喘息ガイドラインではLABA使用時は、必ず固定容量ICS/LABA吸入としている(http://thorax.bmj.com/content/early/2012/11/12/thoraxjnl-2012-202483.extract)。これは、不安定喘息でICS併用すること無く使用されることを懸念してのもので、喘息死リスク増加と直結する可能性があったため。

    だが、ICS/LABA合剤は安全といえるか?
    合剤での死亡リスク増加のエビデンスは認めないことになっているが、

    本来、アドエア合剤や類似合剤は、重症の治療反応性の悪い症例に、限定されるべきものだが、2010年の時点で、初回治療での治療は、併用が2/3を占める状況にある。

    2010年大規模安全性トライアル承認時、数千のうち数十人をリスク状態にさらすようなトライアルアー非倫理的とした委員もいた。個人の自己判断不能な子供では特に倫理的に危険と述べている。具体的には、4-11歳6200名の小児トライアルが含まれる。本体は、12歳以上の46800名の研究で、2017年までは完遂不能とされている。

    いずれにせよ、安全性担保無き、ICS/LABA合剤ということになる。FDAは適正使用時のみ、合剤はそのベネフィットがうわまわるとFDAのLiscinskyは述べている。


    Advairを含む薬剤販売促進に関し30億ドルの支払い合意となった裁判資料で、GSKは処方決定へ不適切な方針や活動を行っているという。
    軽症喘息に対しても第1選択としての主張をプッシュしていることも含まれている。
    行政に影響をもつ地位をもつ医師たちとの金銭関係などが明らかにされている。


    “医師は、製薬会社のパートタイム営業マンであってはならない”
    "Physicians should not be part-time drug salesmen," Campbell said.
    (ハーバード医学スクール、准教授)

    利益相反に関わる豊富な利益提供があると述べている。



    日本では、ホクナリンテープをLABAと称して宣伝するパートタイム営業マンがいるようだが・・・

    2012年11月17日土曜日

    ビタミンD濃度と心血管疾患リスク: 血中濃度に閾値存在 25(OH)D濃度測定が必要・・・

    閉経後女性骨折予防防止のためのカルシウム・ビタミンDサプリメント使用しないよう推奨へ・・・ 2012/06/13

    このUSPSTFの推奨は、過剰投与の存在・危険性が念頭にある。


    “閾値効果”、すなわち、特定の値を超すと心血管リスクが逆方向となる可能性・・・ビタミンDに関するメタアナリシスでそのことが示された。

    やはり、ビタミンD補充するにしても、血中濃度測定が望ましいと思われる。

    Circulating 25-hydroxy-vitamin d and risk of cardiovascular disease. A meta-analysis of prospective studies.
    Wang L, Song Y, Manson JE, et al.
    Circ Cardiovasc Qual Outcomes 2012; DOI:10.1161/CIRCOUTCOMES.112.967604.

    【背景】
    ビタミンD濃度は心血管疾患(CVD)リスクと関連している。しかし、心血管健康ベネフィットの25OHビタミンD(25[OH]-vitD)濃度至適値に関しては不明

    【方法・結果】
    1966-2012年の、25(OH)VitD濃度とCVDリスク比較の前向き研究 、MEDLINE・EMBASEから調査
    クライテリア該当24文献、独立19研究、6123のCVD症例/65994被験者 メタアナリシス

    最低・最高25(OH)VitD濃度カテゴリー比較プール化相対リスク  
    総CVDイベント 1.52(95%信頼区間、1.30-1.77)
    CVD死亡率 1.42(95%信頼区間 1.19-1.71)
    冠動脈疾患 1.38(95%信頼区間 1.21-1.57)
    卒中 1.64(95%信頼区間 1.27-2.10)
     ベースラインCVDありの患者を除外したものに限定された時、そして、季節性補正・共役要素補正の時に、有意で、強力な関連性を示した。

    fractional polynomial spline regression analysis(おそらくMFP解析)で、ビタミンD濃度とCVDの連続性の関連性が示された。

    単相性に25(OH)ビタミンD濃度60 nmol/Lまでは、濃度減少と共に、CVDリスク増加
    25nmol/L減少毎に相対リスク1.03(1.00-1.06)

    【結論】-
    メタアナリシスにより、25(OH)ビタミンD濃度が低いほど、20-60nmol/Lの間は、線形に、CVDリスク増加と関連
    60 nmol/L超のときの関連性を今後調査する必要がある。



     VITAL研究:ビタミンDサプリメント大規模研究 2010年 12月 28日


    メタアナリシス: ビタミンD±カルシウムサプリメント:癌・骨折予防 2011年 12月 26日

    ビタミンDは20~60 mmol/Lあたりまで線形に関連し、 60 nmol/Lを超過すると心血管リスク増加の可能性。

    2012年11月16日金曜日

    中枢性神経変性疾患患者の呼吸筋トレーニングのシステマティックレビュー

    中枢性神経変性疾患患者の呼吸筋トレーニングのシステマティックレビュー

    パーキンソン病・多発性硬化症 に関して呼吸機能パラメータの改善効果を認めた

    Respiratory muscle training for respiratory deficits in neurodegenerative disorders: A systematic review
    Alvaro Reyes et. al.
    CHEST. 2012 doi:10.1378/chest.12-1442


    検討に値するのは、わずか19研究のみ

    そして、Quality評価チェックリスト存在したのは6/16のみで、そもそも研究解析は10研究

    チャンピックス:重大な心血管疾患リスクとは関連なさそう

    バレニクリンの心血管安全性への関心が高まっている、若干非致死性心筋梗塞、血管再建術、末梢動脈疾患などのリスクが 高まるのではないかという安全性懸念
    有意差のあるものではなかったが、FDAは安全性委員会で検討がなされた。

    メカニズムとして、脳幹からの副交感神経アウトプットにmodulationを生じ、心臓、カテコールアミン、そして、プロトロンビンへの影響が考えられた。

    Use of varenicline for smoking cessation and risk of serious cardiovascular events: nationwide cohort study
    BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7176 (Published 8 November 2012)
    デンマーク(2007-2010)の国内病歴コホート研究

    バレニクリン新規使用(n=17926)、ブプロピオン(n=17926)

    Cox回帰を用い、心血管イベントハザード比(propensity scoreマッチ化)を推定
    6ヶ月後プライマリアウトカムとして、急性冠症候群、虚血性卒中、心血管死亡として組み合わせ


    重大心血管イベント
    バレニクリン使用 57(1000人年 6.9)
    ブプロピオン使用 60(1000人年 7.1)
    重大イベント・ハザード比 0.96(95%信頼区間 0.67-1.39)


    バレニクリンは急性冠症候群リスク増加と関連せず (1.20, 0.75 to 1.91)、同様に、虚血性卒中(0.77, 0.40 to 1.48)、心血管死(0.51, 0.13 to 2.02)と関連せず

    サブグループ分析で、心血管疾患病歴有無間で主要重大心血管イベントリスクは有意で無い(1.24 (0.72 to 2.12) vs 0.83 (0.51 to 1.36); P=0.29)

    神経筋疾患気切:発語システム上のPEEP圧設定は患者任せで良い

    神経筋疾患による在宅人工呼吸患者で、気管切開人工呼吸依存患者のautonomyのためにも、呼気PEEPを利用した発語システム導入は望ましい。

    たとえば・・・
    http://www.passy-muir.com/what_is


     以下のトライアルは、ResMedのシステムらしい


    PEEP値を補正しなければならないのだが、それは、患者主導の評価で良いという話。sそして、患者コントロールPEEPは、高度PEEPにて呼吸系トレランス良好で、有意に会話機能の改善をもたらす。

    Effect of patient-controlled PEEP on the speech of ventilated tracheostomized neuromuscular patients
    Marine Garguilo et. al.
    CHEST. 2012 doi:10.1378/chest.12-0574
    上気道での呼気が十分可能なレベルのPEEPを、Optimal PEEP-level(PEEPeff)と定義

    12名の神経筋疾患人工呼吸依存患者

    PEEPなし、中間PEEP(PEEP50)で、会話、スパイロメトリーデータを検討
    流量・気道圧測定
    マイクロホーンスピーチ記録で、理解度評価、知覚認識スコア、韻律評価を含む発語定量的測定・質的評価のためにPEEP条件を盲目化したスピーチ療法士が行う

    文書読み時間、発声気流量、発声時呼吸サイクルの利用、スピーチの快適さのいずれも、PEEP増加にて改善、しかし、定量的パラメータは不変であった。

    スピーチ中の上気道活用時の呼気量増加のため、生じた効果と思われ、9名全員で呼吸回数増加も生じていた。

    PEEP10.0[9.5-12.0]cm水柱でも、呼吸快適性は不変

    ECCO2R法:簡易体外循環CO2排泄システム ・・・ 高炭酸ガス血症COPD患者

    Extracorporeal CO2 removal (ECCO2R) technique

    機器名は、Hemolung® Respiratory Assist System, ALung Technologies, Inc.
    http://www.alung.com/respiratory-solutions/hemolung-ras/

    簡素な体外循環で、小さな静脈カテーテル:15Frのカテーテル挿入   、透析類似テクニックで可能



    A novel extracorporeal CO2 removal system: Results of a pilot study in COPD patients with hypercapnic respiratory failure
    Nausherwan K. Burki,  et. al.
    CHEST. 2012   doi: 10.1378/chest.12-0228

     low flow ECCO2R systemで、

    システム内血流は 430.5±73.7 ml/min
    ECCO2R  82.5±15.6 ml/min
    時間経過で変動認めず

    侵襲的換気をGroup1患者(n=7;侵襲的人工換気必要尤度高い非侵襲的人工呼吸患者)で避けられ、Group2(n=2; 非侵襲的人工呼吸管理離脱不能例)患者では離脱
    PaCO2 は、78.9±16.8 mmHg → 65.9±11.5mmHg有意に減少 (p<0 .003=".003">
    Group 3(n=11; 侵襲的人工呼吸管理・離脱不能例)では、3名離脱可能、3名は侵襲的人工換気3名減少、1人がカテーテル挿入に伴う後腹膜出血で死亡




    あくまでパイロット研究

    長期人工呼吸離脱手段として、あるいは、侵襲性人工換気回避手段として、利用が画策されている

    はたして、リスクベネフィットはあるのか・・・適応条件の吟味、リスク軽減法の模索段階といったところか・・・

    2012年11月15日木曜日

    医師の自殺:不適切な薬剤選択や治療が自殺リスクとしてあげられる

    医師203名を含む、31636名の自殺データを利用し、多変量ロジスティック解析を行い、精神疾患や職業上の問題との関連があることを示した。


    医師は、非医師に比べ、3倍の自殺リスク

    医師では、他の職業者より、精神疾患有意では無いが多い傾向(46% vs 41%)、現行うつ気分も同様(42% vs 39%)

    自殺医師たちは、向精神薬、ベンゾジアゼピン、バルビタール酸服用が多い(p<0.005)
    ・ 向精神薬 オッズ 28.7
    ・ ベンゾジアゼピン 21.0
    ・ バルビタール酸 39.5
     抗うつ薬服用少ない(OR 1.31、p=0.263)


    医師では、アルコール・薬物乱用は少ない(14% vs 23% p=0.004)
    自殺時高度アルコール血中レベル状況は、少ない(OR 0.56 p=0.032)


    不適切な薬物治療を含む治療が、自殺リスク増加と関連しているかもしれない。

    "Details on suicide among US physicians: data from the National Violent Death Reporting System"
    Gold KJ, et al
    Gen Hosp Psychiatry 2012; DOI: 10.1016/j.genhosppsych.2012.08.005.





    アルツハイマー病と関連する、Trem2遺伝子異常

    GWA解析で見いだされた遺伝子異常


    Variant of TREM2 Associated with the Risk of Alzheimer's Disease
    Thorlakur Jonsson, et. al.
    November 14, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1211103

     triggering receptor expressed on myeloid cells 2 (TREM2)をエンコードする遺伝子の稀なミスセンス遺伝子 (rs75932628-T)が、アルツハイマー病の有意な関連があるR47H substitutionの予測因子 (オッズ比, 2.92; 95% 信頼区間 [CI], 2.09 ~ 4.09; P=3.42×10−10)

    85歳対象者の0.46%という遺伝子頻度で稀。



    Trem2 (トレム2)遺伝子と呼んでる
    http://youtu.be/S3C74kTvcC8

    今までは、アミロイド斑の研究画種だったが、あらたな原因候補発見、炎症との関わりも示唆されたとのこと

    心血管疾患既往患者: 瞑想法により心血管アウトカム改善

    AHAの Circulation:Cardiovascular Quality and Outcomes誌掲載

    Maharishi Mahesh Yogi (1918–2008):マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーに由来する、瞑想法で、一時期企業でも“瞑想研修”と題して、企業福利厚生で行われていた。
    オフィシャル: http://www.tm.org/


    超越瞑想:Transcendental Meditation (TM) programは、心血管リスク要素、候補的エンドポイント、死亡率へ改善効果をもたらすという報告。


    Stress Reduction in the Secondary Prevention of Cardiovascular Disease
    Randomized, Controlled Trial of Transcendental Meditation and Health Education in Blacks
    CIRCOUTCOMES.112.967406 Published online before print November 13, 2012, doi: 10.1161/​CIRCOUTCOMES.112.967406
    黒人の心血管系疾患率は異常に高い。心理・社会的ストレスがこの乖離を生んでるのではという仮説。心血管リスク要因、候補エンドポイント、死亡率改善効果がもたらされたという、今までのTMプログラムを用いたストレス軽減トライアル報告がある
    201名の冠動脈疾患を有する、黒人男女ランダム化対照化トライアル
    TMプログラムにランダム割り付け
    プライマリエンドポイントは、全死亡・心筋梗塞・卒中組み合わせ
    セカンダリエンドポイントは、心血管死亡・血管再検・心血管入院、血圧、心理・社会的ストレス要素・ライフスタイル行為

    フォローアップ平均5.4年間

    TM群では、プライマリエンドポイントは、48%リスク減少(ハザード比, 0.52; 95% 信頼区間, 0.29–0.92; P=0.025)
    同様に、セカンダリエンドポイント24%リスク減少t (ハザード比, 0.76; 95% 信頼区間, 0.51–0.1.13; P=0.17)

    収縮期血圧 4.9mmHg(95%信頼区間 -8.3~-1.5mmHg, p=0.01)、怒り表現(p<0 .05=".05" blockquote="blockquote" nbsp="nbsp">
    アドヒアランスは生存率と関連

    結論としては、選択心身相関、TMプログラムは、冠動脈疾患に対し、有意に死亡率、心筋梗塞、卒中のリスク減少を認め、これらは降圧効果、心理・社会的ストレス要素減少と関連するというもの



    ハードなアウトカムと思われるが、かなりの効果が示されている。


    ただ、瞑想のアウトカム改善効果、単に薬剤コンプライアンス改善効果だけの可能性もあるのだが・・・
     ↓
    高血圧への瞑想法の有効性 ・・・ 薬剤服用遵守性改善だけの効果? 2012/11/05

    上述のCCOQ誌掲載論文では、心理的ストレスと結びつけたがってるようにみえるがどう反論する?




    瞑想訓練、運動は急性上気道感染予防効果あり 2012/07/12

    瞑想:マインドフルネス・トレーニング 過敏性腸症候群に有効  2011年 05月 13日

    恐怖症性不安障害女性はテロメア長短い 2012/07/14

    心不全:薬物アドヒアランス・アウトカム:計画的行動理論に基づく介入 2012年 01月 09日


    オキシトシン: うわき防止ホルモン・貞節保持ホルモン・一夫一婦制度保持ホルモン・・・

    “視床下部で作られ下垂体から分泌されるオキシトシンは、労働をいとわず、世話を熱心にし  良両親・子供間のつながりを強くし、いわゆる、 "cuddle hormone" (抱擁ホルモン)とよばれている。” ← 初めて知った。


    The Journal of Neuroscienceに掲載
    Oxytocin Modulates Social Distance between Males and Females
    The Journal of Neuroscience, 14 November 2012, 32(46): 16074-16079; doi: 10.1523/​JNEUROSCI.2755-12.2012

    プレスリリース解説:Hormone affects distance men keep from unknown women they find attractive Finding suggests oxytocin may promote fidelity (http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-11/sfn-had111312.php )


    ヘテロ性癖男性 86名(25歳程度)にオキシトシン鼻スプレーを投与、その影響をみた研究

    オキシトシン投与男性では、女性からの距離間を28-30インチが望ましいと答え、プラシーボの場合は20-24インチが望ましいとした。


    René Hurle­mann (University of Bonn)主導研究で、オキシトシンのcommitted relationship(貞節関係)への影響、すなわち、未知の女性へアプローチあるいはアプローチされたとき、その貞節関係に無い魅力的女性への距離をより大きくとることが判明した。
    独身男性ではオキシトシンは影響を与えなかった。

    具体的には、非独身男性では、オキシトシン投与にて、貞節関係以外のの女性との距離を10-15cmながく置こうとする。

    オキシトシンは、鼻スプレー投与で行われている。
    健康状態にある異性性的志向の有る男性へ鼻スプレーで、オキシトシンとプラシーボ投与。
    45分後、魅力的な女性実験者を紹介され、その実験者は研究ボランティアに近づいたり離れたりする。実験者がどの程度の距離が適切かを質問し、その距離を指標とする。

    動物実験では、一夫一婦制度の鍵のホルモンとして同定されていた。ヒトにも同様の効果があることが示されたとしている。


    Oxytocin facilitates protective responses to aversive social stimuli in males.
    Striepens N, et. al.
    Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Oct 30;109(44):18144-9. (pubmed) 
     


    浮気防止ホルモン、一夫一婦制堅持ホルモン、つがい維持ホルモン・・・ 


    軸性脊椎関節炎にレントゲン所見有無にかかわらず抗TNF製剤有効

    軸性脊椎関節炎(Axial SpA : axial spondyloarthritis)
    参照:http://fibro.jp/axialspa.pdf




    http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ACR/35954 から・・・

    tumor necrosis factor (TNF) inhibitorである セルトリズマブペゴール(certolizumab pegol, CDP870, tradename, Cimzia)により有意な改善を認めた。レントゲン的形状の有無にかかわらず・・・

    画像上仙腸骨炎を示す症例を含む強直性脊椎炎の診断を要求する中、certolizumab pegol400mg×月1回投与はプラシーボ比較に対し、20%の改善が63.6%でみられた(P<0 .001=".001" br="br" placebo="placebo" versus="versus">そして、レントゲン上の軸性脊椎関節炎を有さない場合にも、62.7%で見られた。

    セルトリズマブペゴールは、米国内では関節リウマチ・クローン病で承認されてるが、軸性脊椎関節炎の広域カテゴリー領域では承認されず、特にレントゲン上の仙腸骨炎ない場合は承認されてなかった。

    Landewé R, et al "Effect of certolizumab pegol on signs and symptoms of ankylosing spondylitis and non-radiographic axial spondyloarthritis: 24 week results of a double blind randomized placebo-controlled phase 3 axial spondyloarthritis study" ACR 2012; Abstract 777.

    2012年11月14日水曜日

    サッカー:脳しんとう未満微小打撃繰り返しの脳影響 ・・・ 画像化(TDI) 



    有症状脳しんとう既往の無いプロ・サッカー選手でも、閾値未満の脳への振とう的影響が繰り返し生じている。その結果、白質への形態的変化を生じている。


    MRI上の “high-resolution diffusion tensor imaging” (超高分解能拡散テンソル画像による皮質下白質トラクトグラフィー:TDI)による分析



    "White matter integrity in the brains of professional soccer players without a symptomatic concussion"
    Koerte I, et al
    JAMA 2012; 308: 1859-1861.


    いままでの報告でも、繰り返す外傷性頭部外傷で、長期悪影響出現の報告が有り、白質密度を含めた検討もあった。しかし、脳しんとう以下のくりかえす微小打撃からの影響は不明であった。

    12名のエリートレベルの右利き男性サッカー選手と、対照として11名の年齢別競技選手レベルの水泳選手と比較。

    対象者は、平均年齢21.4歳で、9年超のトレーニング歴、有症状脳しんとう歴なく、神経精神疾患を有さない

    軽度外傷脳障害、軸索・ミエリンの病態のマーカーとして拡散テンソル画像(FA:fractional anisotropy 、 mean diffusivity)を測定


    年齢・訓練期間補正後、サッカー選手では、右眼窩前頭皮質白質、脳梁の神経膝・前方区域のradial diffusivity増加観察され、両側下前頭後頭束、両側視放線、両側前帯状回、右前、右上、両側放線冠、右内包前脚、右外包、右上前回の神経線維を含む変化である(P<0 .05=".05" br="br"> 
    軽度頭部外傷患者にみられる radial diffusivityの広汎な増加が観察され、脱髄の可能性が示唆される。

    サッカー選手は、脳梁のaxial diffusivity高度であるが、FA、mean diffusivityの群間差は見られない。神経放射線医は脳の構造的異常を認めない。





    RSNA報告: サッカーと脳障害画像診断証拠  2011年 11月 30日 

    頭をつかうスポーツは頭が悪くなる? 2004/05/12
    頭をつかうスポーツは頭が悪くなる 続編 2004/07/03


    ボクシングなどの格闘技スポーツで検討して欲しい

    文明国ではボクシングは追放されなければならない(2005年08月23日)
    ヘッドギアしてもボクシングは頭に悪い (2006年09月12日
    アマチュア・ボクシングによる慢性外傷性脳損傷の存在:否定的論文なのだが・・・ 2007年 10月 05日


    ボクシングでは随分前に行われているが、神経解剖的所見に乏しい・・・
    Distribution of microstructural damage in the brains of professional boxers: A diffusion MRI study
    Journal of Magnetic Resonance Imaging Volume 24, Issue 3, pages 537–542, September 2006
    深部白質のFA減少、皮質灰白質にADC減少



    がん既往のある男性ではマルチビタミンでがん発生減少するかも・・・

    マルチビタミンだからといって、有益性だけを考えてはいけない。相手無きフリーラジカル・スカベンジャー作用の有害性も考えられる。
    閉経後女性:サプリメントで死亡リスク増加 マルチビタミン、ビタミンB6・・・(カルシウムは例外) 2011年 10月 11日
    がん既往のある場合の男性ではマルチビタミンは、がん発症減少と関連するかもしれない。

    Multivitamins in the Prevention of Cancer in MenThe Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial FREE
    J. Michael Gaziano, et. al.
    JAMA. 2012;308(18):1871-1880. doi:10.1001/jama.2012.14641.

    大規模ランダム化二重盲検プラシーボ対照化トライアル (Physicians' Health Study II) 、米国医師 14 641名(50歳以上(平均[SD] 64.3[9.2]歳)、ランダム割り付け時がん病歴1312名

    マルチビタミン 1997年開始、フォローアップ2011年6月1日まで

    フォローアップ中央値(IQR) 11.2(10.7-13.3)年間、2669名のがん確認、前立腺癌1373、直腸結腸がん210名
    プラシーボ比較で、マルチビタミン連日服用男性は有意にがん全体の発生率減少
    (1000人年あたりマルチビタミン 17.0、プラシーボ群 18.3 イベント; ハザード比 [HR], 0.92; 95% CI, 0.86-0.998; P = .04)

    前立腺がん、直腸結腸がん、部位特異的がんでは、マルチビタミン連日服用での有意な影響なし
    前立腺がん 1000人年あたりマルチビタミン 9.1、プラシーボ群 9.2 イベント; ハザード比 [HR],  0.98; 95% CI, 0.88-1.09; P = .76
    直腸結腸がん 1000人年あたりマルチビタミン 1.2、プラシーボ群 1.4 イベント; ハザード比 [HR],  0.89; 95% CI, 0.68-1.17; P = .39

    がん死亡率リスクで有意差認めず(1000人年あたり マルチビタミン 4.9、プラシーボ 5.6、HR, 0.88; 95% CI, 0.77-1.01; P = .07

    ベースラインでがん既往の有る場合の1312名の男性で、マルチビタミン連日使用は、がん全体で減少と関連する (HR, 0.73; 95% CI, 0.56-0.96; P = .02)
    しかし、がん既往の無い場合の13329名の男性では有意で無い(HR, 0.94; 95% CI, 0.87-1.02; P = .15; P for interaction = .07).






    PHSII: マルチビタミン 心血管疾患予防効果認めず 2012/11/06

       
    骨折・がん・心筋梗塞・死亡組み合わせリスク最小ビタミンD濃度閾値はどの程度か?

    2012年11月13日火曜日

    NYC:トランス型脂肪酸対策でトランス型脂肪酸も、飽和脂肪酸との合算も減少

    関東近辺の大部分で放送されているテレビ番組のせいだと思うが、twitterで「トランス型」脂肪酸が多くtweetされている。
    その中に、「トランス型脂肪酸を減らしたら飽和脂肪酸が増えた」というウェブ情報を含む内容が多くRTされている。

    科学無視のトランス脂肪酸批判  思わぬ弊害が表面化”などとかかれているが・・・
    これは、嘘・・・

    Ann Int Med.誌上に公表された報告では、飽和脂肪酸増加に統計学的有意差無く、ネット量で低下が示されている。

    どちらが科学無視なんだか・・・

    “トランス型脂肪酸”含有量の表示をさせて、後は、消費者に選択させる・・・ それの何が悪いのだろうか?某Webサイトの趣旨は “知らしむべからず”にすぎない。企業にとって余計な手間をかけさせるなということなのだろうか? 市民団体の行動に対しては私も言いたいことが山ほどあるが、消費者がその食品の内容を知りたいってことがそんなにわるいことなのだろうか?





    2006年、ニューヨークの地域レストランでのトランス型脂肪酸削除キャンペーン法制化

    トランス型脂肪酸はニューヨークから出て行け! 2007年 05月 17日

    その後、どうなったか・・・

    ネットでの“飽和脂肪酸+トランス型脂肪酸”総量も減少している。



    Change in Trans Fatty Acid Content of Fast-Food Purchases Associated With New York City's Restaurant Regulation: A Pre–Post Study
    Sonia Y. Angell, et. al.
    Ann Intern Med. 17 July 2012;157(2):81-86

    トランス型脂肪酸は、1回利用あたり平均2.4g(95%CI -2.8~-2.0g)減少、飽和脂肪酸は軽度増加 0.55(95%CI CI, 0.1 ~ 1.0 g; P = 0.011)

    トランス型脂肪酸+飽和脂肪酸合算で、1.9g減少(CI、 −2.5 ~ −1.2 g; P < ; 0.001)

    1000kcalあたりの平均トランス脂肪酸は2.7g(CI, −3.1 ~ −2.3 g; P < 0.001)減少。

    購入時トランス型脂肪酸0gの比率は32%から59%へ増加。

    レストランの存在する近隣の貧困率とこの影響は多変量解析では変化認めない。





    健康に悪いトランス型脂肪酸を”健康への影響小”とする政府・メディア 2012/02/22

    閉経後女性:トランス型脂肪酸摂取増加と卒中リスク増加 ・・・ 一部アスピリンが軽減?  2012/03/01

    母体トランス型脂肪摂取による授乳児体脂肪増加 2010年 09月 30日



    脂質サブクラス値測定は空腹時でなくてよい

    経験上、納得できないところがあるけど、そういうことらしい


    "Fasting time and lipid levels in a community-based population: A cross-sectional study"
    Sidhu D, et al
    Arch Intern Med 2012; DOI: 10.1001/archinternmed.2012.3708.
    http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1391022

    【背景】  現行ガイドラインでは、総脂質・脂質サブクラスは、空腹状態(最終食事から8時間超)で測定すべきと推奨されている。しかし、最新の研究では、被空腹時脂質特性変化は食事摂取による反応最小で、副事象アウトカム測定に関しては空腹時測定より優れてるかもしれないことも示唆されている。

    この研究の目的は、空腹時と脂質値の関連を検討

    【方法】  検査データ、空腹期間(時間で)、脂質結果を含む横断的調査を2011年大規模地域ベースコホートで6ヶ月間施行
    データは、カルガリー州及び周辺地域(人口140万人)の単独の検査提供サービス Calgary Laboratory Services(Calgary Alberta, Canada)から入手
    メインアウトカム測定は、1-16時間までの空腹時間でのHDL、LDL、総コレステロール、トリグリセリド
    個々年齢での差を補正後、線形回帰モデルを用い、様々な空腹時間におけるコレステロールサブクラスの平均値を推定

    【結果】  総数20万9千180名(女性 11万1048名、男性 9万8千132名)検討
    総コレステロール、HDLコレステロールの平均値は、種々空腹期間に於ける個別的差少ない。
    平均計算LDLコレステロールにおいて、様々な空腹期間での患者群で、軽度10%までのばらつきを示し、平均中性脂肪値では20%までのばらつきを示す。

    【結論】  空腹時間は、地域住民ベースでは、脂質サブクラスとの関連性は軽度で、空腹時ルーチン脂質検査は大まかに言えば不要。







    Discussionに書かれてるとおり、個別の食事内容での検討されておらず、検診の場に限られた話ということ。アポリポ蛋白B100、A-1、B100/A1比など検討されてない。空腹時/食後脂質特性と予後関連に関しての研究報告でないことなど・・・この報告の限界が示されている。

    一方、食事後脂質特性はインスリン抵抗性と関連し、食後脂質・リポ蛋白クリアランス悪化と関連する指標でもある。故に高トリグリセリド血症はインスリン抵抗性の優れた指標ということになる。

    いずれにせよ、食後脂質値に関して、一定の評価指標が必要となるだろう。

    2012年11月12日月曜日

    強皮症:ACE阻害剤使用は慎重に・・・

    American College of Rheumatologyの年次総会報告

    ACE阻害剤使用は、非使用に比べ、1年間死亡率倍となるという報告
    ベースライン補正後HR 2.42 (95% CI 1.02 to 5.75, P=0.046)


    Hudson M, et al. "Does the use of angiotensin converting enzyme inhibitors prior to scleroderma renal crisis affect prognosis? results of the International Scleroderma Renal Crisis Survey" ACR 2012;abstract 728.

    情報ソース:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ACR/35884




    これでは、強皮症腎クリーゼ予防的に働くという主張だったのだが・・・
     ↓
    Prognosis of scleroderma renal crisis: a long-term observational study
    Nephrol. Dial. Transplant. (2012) doi: 10.1093/ndt/gfs317 First published online: August 1, 2012



    ACE阻害剤使いにくくなった・・・ ARBはどうなのだろう?

    睡眠障害:神経発達障害子供へのメラトニンの効果

    神経発達障害児(3-15歳)の睡眠障害へのメラトニンの効果(12週間)


    Melatonin for sleep problems in children with neurodevelopmental disorders: randomised double masked placebo controlled trial
    BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e6664 (Published 5 November 2012)

    メラトニンは、睡眠日記記載測定総睡眠時間(n=110)を22.4分(95% 信頼区間 0.5 ~ 44.3 分) 増加、actigraphy測定睡眠時間(n=59)を 13.3 (−15.5 to 42.2) 分 増加。

    メラトニンは睡眠日記測定睡眠 (−37.5 分, −55.3 to −19.7 分) 、actigraphy測定 (−45.3 分, −68.8 to −21.9 分) による入眠遅延を減少させた

    メラトニンは、この入眠遅延減少効果は、もともと入眠遅延の長い子供にとくに効果が認められた(P=0.009)

    メラトニンはプラシーボ比較で覚醒時間早期化(29.9 分, 13.6 to 46.3 分)

    子供の行為・家族の機能的アウトカムは若干改善し、メラトニン使用に効果が見られた。
    副事象は軽度で対照群と同等。



    メラトニン徐放もしくはメラトニンアナログとの比較が必要と結論で書かれている。



    鼻アレルギーのための鼻スプレーも合剤

    季節性アレルギー性鼻炎に対し、ステロイド、抗ヒスタミン剤単独より合剤の方が効果あったという・・・


    "Efficacy of MP29-02 (intranasal azelastine/fluticasone propionate) compared to commercial and non-commercial formulations of azelastine hydrochloride and fluticasone propionate for the treatment of seasonal allergic rhinitis (SAR)"
    Carr W, et al.
    ACAAI 2012;abstract P328.

    承認のためのFDAからの要求に応えた治験結果

    フルチカゾン50mcg+アゼラスチン 137mcg合剤1日2回点鼻
    http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ACAAI/35883


    http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/DevelopmentResources/UCM304582.pdf

    2012年11月11日日曜日

    ぶどう糖のうがいは、自己コントロール改善をもたらす ・・・ 

    自己コントロールパフォーマンスを、レモネード糖化飲料と、Splenda-sweetened lemonade(カロリーなし甘味料)によるうがいで比較。

    タスクは、統計学本のページを熟読するもの、その後、スクリーンに点滅する様々な言葉の色の名前をスペルアウトする、Stroop効果試験を行うもの

    The Gargle Effect: Rinsing the Mouth With Glucose Enhances Self-Control Psychological Science 0956797612450034, first published on October 22, 2012 

    “資源不足モデル”によると、自己コントロールは作業期間後欠如したリソース不足による。
    自己コントロールはブドウ糖代謝に依存し、ブドウ糖補給は自己コントロールリソースを満たすことことで、一致したエビデンスが存在する。
    5つの実験で、口腔内のブドウ糖が自己コントロール不足による有害的影響に対し効果を認めるか、代替的仮説を検証した。
    ブドウ糖口腔洗浄を、プラシーボとしての人工甘味料比較で比べると、欠如後の自己コントロール改善をもたらす。
     研究1−3で、タスク施行困難被験者で、ブドウ糖口腔洗浄を受けた後、自己コントロールタスクに対しプラシーボ口腔洗浄に比較して、優位な影響をもたらした
    研究4−5で、これらの所見が再現され、さらに、ブドウ糖口腔洗浄は、非衰弱被験者には、影響認めなかった。

    自己コントロールのブドウ糖補給への影響として、メタボリックメカニズムより神経的な影響が考えられる。

    Glucose Mouth Rinse Really Does Enhance Self-Control
    http://www.psychologicalscience.org/index.php/news/glucose-mouth-rinse-really-does-enhance-self-control.html#.UJ9ciIXjGu4


    Self-control need a boost? Gargle sugar water, researchers say
    http://www.boston.com/lifestyle/health/2012/11/09/self-control-need-boost-gargle-sugar-water-researchers-say/4Fw3dY48OJNUmSgrSNU0pI/story.html

    ブドウ糖は、情緒的な部分を促進し、目的への注意を喚起し、周辺の変化への注意喚起をもたらす ・・・ 機序はなんだかよくわからない

    2012年11月10日土曜日

    システマティックレビュー;変形性膝関節症による疼痛への理学療法

    変形性関節症は運動障害の主たる原因である。非手術的治療として最初のステップが理学療法。
    それに関わるシステマティック・レビュー

    Physical Therapy Interventions for Knee Pain Secondary to Osteoarthritis: A Systematic Review
    Shi-Yi Wang et. al.
    Ann Intern Med. 6 November 2012;157(9):632-644

    84RCTのメタアナリシス
    13の疼痛介入1 (58 RCT)
    肺機能 (36 RCT)
    運動機能障害 (29 RCT)


    メタアナリシスとして・・:・

    弱度エビデンスで、好気的(11 RCT) 、水柱(3 RCT)運動で運動機能改善、好気的運動(19 RCT)、強化運動(17 RCT)、超音波(6 RCT)にて疼痛軽減・機能軽減が示された。

    Comparative Effectiveness of Physical Therapy Interventions in Adults With Knee Osteoarthritis

    いくつかの個別RCTにて、好気的運動による疼痛・運動機能に対し臨床的に意義有る改善の報告が見られた。

    他のPT介入では、持続的ベネフィットを認めず

    個別的RCTでは、好気的運動、水柱運動、強化運動に関して同様のベネフィットが示されている。
    副事象は通常無く、持続治療からの被験者ではっきりしない






    電気刺激法;“Electrical Stimulation”に関して、短期効果はあるが、3ヶ月時点で怪しくなる。
    ・・・除痛介入に関する保険診療打ち切りの目安では?


    糖尿病初期治療:SU剤はメトホルミンに比べ心血管リスク増加させる

    日本の糖尿病専門家達が如何に誤った選択をしてきたか・・・ 
    彼らは、UKPDSトライアルを無視し、ビグアナイド系薬剤の危険性だけを過剰に意識して、SU剤に偏った治療を推進し続けてきた。



    糖尿病死亡の多くは心血管死である。血糖コントロール選択閾値と関連する心血管イベントリスクの関連性は評価されているが、糖尿病薬特異性は明らかでない。
    プラシーボやacitve comparator比較して、チアゾリジン系薬剤のCVDリスク増加が認められている。


    メトホルミン・SU剤は未だはっきりしてなかった。


    この報告にて、心血管系リスクを考えれば、治療開始薬剤は、メトホルミンということになる。


    Comparative Effectiveness of Sulfonylurea and Metformin Monotherapy on Cardiovascular Events in Type 2 Diabetes Mellitus: A Cohort Study FREE
    Christianne L. Roumie,  et. al.
    Ann Intern Med. 6 November 2012;157(9):601-610

    治療開始症例253690名(SU剤 98665名、 メトホルミン 155025名)のうち、複合粗発生率は
    SU剤 1000人年あたり 18.2
    メトホルミン 1000人年あたり 10.4
    (補正ハザード比[aHR] 1.21[CI 1.13-1.30]

    結果は、CVD病歴、年齢、BMI、アルブミン尿サブグループにおいて、glyburide(aHR, 1.26 [CI, 1.16 to 1.37]) 、glipizide (aHR, 1.15 [CI, 1.06 to 1.26])でも同様
    propensity scoreマッチ化コホート解析、感度分析でも同様。




    Examination of the proportional hazards assumption using log(log survival) plots.




    現在日本の糖尿病診療は、DPP-4阻害剤偏重になりつつある。
    臨床的アウトカム結果が未だ確立してないにもかかわらず・・・

    日本では、EBMが根付かなかった・・・

    2012年11月9日金曜日

    FDA辛くも承認: 超持効型溶解インスリンアナログ インスリン デグルデク

    次世代の超持効型溶解インスリンアナログ インスリン デグルデク(IDeg)およびIDegと超速効型インスリンアナログ インスリン アスパルト(IAsp)との配合製剤であるインスリン デグルデク/インスリン アスパルト(IDegAsp)(参考:http://www.novonordisk.co.jp/documents/article_page/document/PR_11_07.asp)

    insulin degludec (Tresiba)
    insulin degludec/aspart(Ryzodeg)

    FDA諮問委員会が8:4というところが気にかかる

    通常ならこの種の薬剤は圧倒的多数の承認になるはずなのに・・・

    24時間持続のはずのランタス・レベミルがそれ以下のパフォーマンスしか無いため、変わる薬剤が必要であることは認識されているはず、だが、それ以上に心血管疾患リスクに対する懸念があるということらしい
    http://www.medpagetoday.com/Washington-Watch/FDAGeneral/35854


    FDA資料
    http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/EndocrinologicandMetabolicDrugsAdvisoryCommittee/UCM327017.pdf

    Insulin Degludec/Insulin Aspart Administered Once Daily at Any Meal, With Insulin Aspart at Other Meals Versus a Standard Basal-Bolus Regimen in Patients With Type 1 Diabetes: A 26-week, phase 3, randomized, open-label, treat-to-target trial
    Irl B. Hirsch, et. al.
    Diabetes Care November 2012 35:2174-2181; published ahead of print August 28, 2012



    資料を見ると、MACE(心血管疾患重大副作用)に関し軽度だがリスク増加が見られている。

    製薬会社の言い分だけを聞くのでは無く、心血管疾患リスクに関して、臨床医は、留意しておく必要がある・・・ってこと

    喘息:アクションプランなしのケアは臨床的アウトカム、医師患者関係の質悪化につながる

    Asthma action plan (AAP)こそ、喘息ガイドラインの根幹だと思うが、

    シムビコートという薬剤のSMART療法などといういい加減な吸入指導を製薬会社(特に、アステラス)が勧めるため、なんだか、むちゃくちゃになってきた昨今の喘息治療の体系。

    身近で見聞きする限り、製薬会社側の薬剤宣伝にかなり問題が有ると思う

     初診患者や、重症度判定もなされて無い患者や、自覚症状と呼吸機能上重症度や臨床重症度に乖離ある患者では、SMART療法を導入することは困難なはず ・・・

    なのに、患者任せの薬剤投与がなされている事態を見聞きしている。



    自覚症状だけで、吸入量を患者意志だけで決定するというなら、アクションプランを義務づけるべき


    以下の報告は、 アクションプラン無しの指導は、女性において、 ・医師との十分な話し合いが行われてない ・処方薬剤遵守性低下 ・ピークフロー測定がなされない ケア満足度も低く、医師・患者の関連性、臨床的アウトカム低下にもつながる・・・というもの

    Asthma Action Plans and Patient Satisfaction Among Women With Asthma
    Minal R. Patel, et. al.
    CHEST. 2012;142(5):1143-1149. doi:10.1378/chest.11-1700

    製薬会社のいうがままの、呼吸器系医師たちに最大の問題があるとは思いますがね・・・


    SMART療法の臨床的効果の急性悪化数減少効果は、急性増悪回数比較で、対照維持療法 0.5に対し、0.3回、すなわち、0.2回/年の程度の差しかない。

    心血管系のアウトカムは、“死亡・血管再建・集中治療入院”などのハードなアウトカムだが、このイベントは、かなり柔らかな、予定外受診というイベントを含むのである。そんなイベントが1年に0.2回減少は野放図な薬物乱用の免罪符とはなり得ない。


    Barnes先生が批判をまとめている
    Review:Single maintenance and reliever therapy (SMART) of asthma: a critical appraisal  Thorax 2010;65:747-752 doi:10.1136/thx.2009.128504 Kenneth R Chapman ,Neil C Barnes, Andrew P Greening, Paul W Jones, S Pedersen
    SMART療法の意義を述べた報告には
    ・ 患者選択に偏りが有り
    ・ 対象者に関し喘息コントロール不良な患者が多い(日本のシムビコート保険適応用法用量では軽症・中等症持続型しか対応できないという矛盾 →日本でのSMART療法容認するエビデンスにはなり得ない)
    ・ 患者自己判断にたより過ぎておりレスキュー使用のタイミングや用量などの統一性に疑問がある。

    そしてなにより長期安全性が確認されてない。また、喀痰中好酸球増加が示され、抗炎症効果が十分かに疑念が残るなど・・・


    百歩譲って、SMART療法をおこなうのなら・・・ 保険適応から軽症~中等症事例のみに限るべきで、、薬剤アドヒアランス良好例、正当な喘息重症度自己評価可能な事例のみで行うべき

    その際は、かならず、アクションプランを提示し、同意を得ておくこと

    不適切例は、
    ・ 初診
    ・ 病型・重症度判定固定されてない症例
    ・ 重症・気道狭窄・肺機能不安定例
    ・ アドヒアランス不能例、定期受診なされない例
    ・・・と想定される。

    システマティック・レビュー:オンブレスはスピリーバ、1日2回LABAより臨床効果あるというが・・・

    オンブレスという薬剤;

    COPD:インダカテロール vs チオトロピウム  ・・・ 毒 v 毒?  2011年 10月 21日

    インダカテロールCOPD適応承認: 用量減らし、FDA承認の見込み 2011年 03月 08日 

    "米国 75mg/日のみ承認なのに、日本では150mg/日という、いまだかつてない用量設定"で販売されている薬剤


    以下のシステマティック・レビューは、インダカテロール150μg/日以上を対象としており、上記安全性に関する疑問を払拭するものではない。


    Comparison of Indacaterol With Tiotropium or Twice-Daily Long-Acting β-Agonists for Stable COPD: A Systematic Review
    Gustavo J. Rodrigo et. al.
     CHEST. 2012;142(5):1104-1110 doi:10.1378/chest.11-2252
    インダカテロールの安全性・有効性を
    チアトロピウム やbid 長時間持続型β2アゴニスト(TD-LABAs)と比較のシステマティック・レビュー
    5トライアル(被験者 5920)を検討

    チアトロピウム比較で、インダカテロールは、統計学的・臨床的に有意な、rescue医薬品使用や呼吸困難度減少認めた
     (最小臨床意義差:minimal clinically important difference [MCID]であるtransitional dyspnea index [TDI]の43%増加;  number needed to treat for benefit [NNTB] = 10)

    加えて、健康状態MCIDははチオトロピウムよりインダカテロールの方が到達度が高い (OR = 1.43; 95% CI, 1.22–1.68; P = .00001; NNTB = 10)

    インダカテロール治療終了時には、Trough FEV1に関し、TD-LABAより有意に高くなる (80 mL, P = .00001)

     同様に、インダカテロールは、TD-LABAより呼吸困難土改善をもたらす (MCID到達TDI尤度 61%増加, P = .008) 、健康状態改善 (MCID到達SGRQ尤度 21%増加, P = .04)

     インダカテロールは、比較薬剤2群と安全性・忍容性同等。


    この薬剤を使えない理由は、75-300μg/日と用量設定の各国ばらつきがあること

    長期安全性への懸念 そして、治験に喘息コンポーネントを有する対象者を多く含むのではないかという疑念

    死亡率や心血管イベントを臨床的アウトカム指標として使う心血管疾患と違い、ソフトな臨床的指標でしか検討されてない呼吸器疾患薬剤・・・真の安全性・有効性が語られるのはいつの日か?

    今の現状では、呼吸器医が、循環器医よりレベル低いと言われてもしかたがない。

     製薬会社への疑念が日に日に増す昨今、今日も、全国で薬剤販売促進講演会が行われているのだろう・・・

    2012年11月8日木曜日

    寒冷地・温暖地域関係なく、冬季は心血管死亡率増加

    比較的しられた事実だと思う・・・


    Schwartz B, Kloner RA "Seasonal variation in cardiac death rates is uniform across different climates" AHA 2012.
    http://www.abstractsonline.com/plan/ViewAbstract.aspx?mID=2974&sKey=3341df2d-3c73-4c22-8c59-bd53f81f164a&cKey=9201f683-6795-4bf0-9d01-787fda2d7f5f&mKey={14145D5B-F96B-4354-8237-8F0937744BA4}

    寒冷地域、温暖地域関係なく、すべての地域で、冬季の死亡率増加は一貫している。

    ペンシルバニア・マサチューセッツ州を寒冷地代表とすれば、寒冷地域に影響が大きいとすれば冬季死亡率が急増するはずなのだが、地域特異的では無かった。

    いかなる理由で、冬場の心血管死亡率増加がもたらされるか、筆者らの考察
    ・寒冷による血管収縮
    ・冬季日照不足によるビタミンD不足
    ・冬場の身体活動低下













    冬季のインフルエンザなどウィルス感染など感染の影響は?

    がん患者でのスタチン使用はがん関連死減少効果を認める

    がん患者でのスタチン使用は、がん関連死減少と関連。

    Statin Use and Reduced Cancer-Related Mortality
    Sune F. Nielsen, et. al.
    N Engl J Med 2012; 367:1792-1802November 8, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1201735

    スタチン非使用比較のスタチン使用の多変量補正ハザード
    ・全原因死亡  0.85 (95% 信頼区間 [CI], 0.83 to 0.87)
    ・がん死  0.85 (95% CI, 0.82 to 0.87)


    連日スタチン使用(推定1日平均平均維持投与量)に従う推定死亡ハザード比
    ・一日投与量 0.01から0.75の場合 0.82 (95% CI, 0.81 to 0.85)
    ・一日投与量 0.76-1.50の場合  0.87 (95% CI, 0.83 to 0.89)
    ・一日投与量 1.5超の場合  0.87 (95% CI, 0.81 to 0.91)

    同様に、がん死ハザードはそれぞれ、0.83 (95% CI, 0.81 to 0.86)、 0.87 (95% CI, 0.83 to 0.91)、 0.87 (95% CI, 0.81 to 0.92)

    スタチン使用者におけるがん関連死亡率減少効果は、13種類のがんで見られた。


    コレステロールは、ほ乳類細胞膜の基本的構成成分で、細胞増殖に欠かせない。スタチンは内因性コレステロール産生を阻害し、蛋白プレニル化反応を抑制する(プレニル化を受けるRasタンパク質はがんの進行に大きな役割を果たす。このことは、プレニル化を引き起こす酵素の阻害剤が腫瘍の成長に影響を与えられる可能性を示唆する)。
    スタチン使用により、細胞増殖、migrationに影響を与えることが考えられる。

    癌細胞増殖は、がん増殖・転移が見られ、結果、がん死を生じる。コレステロール利用率減少は増殖抑止をもたらし、癌細胞のmigration低下をもたらす。スタチンによるdownstream産生産物減少は癌再発リスク減少を示すかもしれない。細胞レベルでは、細胞周期進行を抑制し、癌細胞の放射線感受性を増加させる可能性がある。
    以上が、エディトリアルに書かれている機序

    2012年11月7日水曜日

    ホモ接合体抗コレステロール血症治療薬: mipomersen と Lomitapide

    アンチセンスオリゴ核酸阻害剤 mipomersen( antisense oligonucleotide inhibitor ;Gezyme社製)はFHに対しFDA承認されている。
     http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/EndocrinologicandMetabolicDrugsAdvisoryCommittee/UCM323927.pdf

    Efficacy and Safety Study of ISIS 301012 (Mipomersen) as Add-on in Familial Hypercholesterolemic Subjects With Coronary Artery Disease (RADICHOL II) http://clinicaltrials.gov/ct2/show/results/NCT00706849


    Lomitapide( microsomal triglyceride transfer protein inhibitor ) も作用機序違うが、承認
    http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/DrugsEndocrinologicandMetabolicDrugsAdvisoryCommittee/UCM323841.pdf 

    こちらは、Lancetに論文報告

    Efficacy and safety of a microsomal triglyceride transfer protein inhibitor in patients with homozygous familial hypercholesterolaemia: a single-arm, open-label, phase 3 study
    The Lancet, Early Online Publication, 2 November 2012 doi:10.1016/S0140-6736(12)61731-0

    40歳前の高血圧でも、記憶関連の脳の異常をもたらす

    40歳程度から既に高血圧の記憶機能に関する脳の部位へ悪影響出現しているという報告

    Effects of systolic blood pressure on white-matter integrity in young adults in the Framingham Heart Study: a cross-sectional study
    The Lancet Neurology, Early Online Publication, 2 November 2012 doi:10.1016/S1474-4422(12)70241-7Cite or Link Using DOI

    三世代コホート4095名(平均年齢 39.2歳、SD 8.4歳)、脳MRI検査(2009年6月から2010年6月)
    年齢は、ほぼすべての白質voxelの区域的Fractional anisotropy(FA)減少と、平均拡散能(mean diffusivity: MD)増加に関連
    年齢は独立して、灰白質容積減少と関連。

    収縮期血圧増加は線形に区域的FA減少と関連し、MD増加と関連、特に脳梁前部、下方前頭後頭束、視床下部から上前頭回へ投射する線維で目立つ灰白質容積減少と強く関連し、特に 側頭葉内側表面のBrodmann's area 48、側頭回中部のBrodmann's area 21 で萎縮が目立つ。


    拡散テンソル画像には、異方性の強さの指標としての fractional anisotropy (FA)と、水分子の拡散方向とは無関係に水分子の拡散の程度を測定する平均拡散性(mean diffusivity)が含まれる。FAが代表的であるが、その値は0から1の間であり、異方性が強いほど1に近づく。ALSを含めて種々の病的状態で細胞、線維構築が破壊されると異方性は低下する。
    http://www.als.gr.jp/staff/document/rinsyo/rinsyo_16.html

    合剤はすばらしい・・・ アドヒアランス改善  ;でも、臨床的効果そんなにないぞ!

    糊でひっつければ合剤なんて簡単にできそうなものだが・・・

    FDC(fixed dose combination):アスピリン・スタチン・2種類の降圧剤の合剤

     FDCに2種類を準備比較
    1) アスピリン75mg +シンバスタチン40mg+リシノプリル40mg+アテノロール50mg
    2) アスピリン75mg +シンバスタチン40mg+リシノプリル40mg+ハイドロクロロチアジド12.5mg

    Use of a Multidrug Pill in Reducing Cardiovascular Events (UMPIRE)
    http://my.americanheart.org/idc/groups/ahamah-public/@wcm/@sop/@scon/documents/downloadable/ucm_446307.pdf

    プライマリアウトカムは、アドヒアランス

    結論は、FDC アドヒアランス 86%、通常ケア 65%



    アドヒアランス改善しても、臨床的効果の差はそんなにでない・・・

    ALTITUDE試験:ラジレス 2型糖尿病で有用性認めず それどころか 有害

    心血管・腎障害高リスク2型糖尿病患者のRAS系遮断剤にラジレス(アリスキレン)を追加することを容認できず、危険ですらあるという報告。

    今年前半の警告や禁忌事項につながったALTITUDE試験結果

    Cardiorenal End Points in a Trial of Aliskiren for Type 2 Diabetes

    Hans-Henrik Parving, M.D., D.M.Sc., Barry M. Brenner, M.D., Ph.D., John J.V. McMurray, M.D., Dick de Zeeuw, M.D., Ph.D., Steven M. Haffner, M.D., Scott D. Solomon, M.D., Nish Chaturvedi, M.D., Frederik Persson, M.D., Akshay S. Desai, M.D., M.P.H., Maria Nicolaides, M.D., Alexia Richard, M.Sc., Zhihua Xiang, Ph.D., Patrick Brunel, M.D., and Marc A. Pfeffer, M.D., Ph.D. for the ALTITUDE Investigators
    November 3, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1208799
    http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1208799?query=nephrology



    米国FDA警告:アリスキレン - /2012/04/


    EMA ラジレス(アリスキレン)禁止推奨:ACE阻害剤・ARB使用併用時の糖尿病もしくは中等以上腎障害 2012/02/18

    【厚労省】ACE阻害剤・ARB投与の糖尿病患者、ラジレス禁忌に設定
    http://www.yakuji.co.jp/entry26631.html


     厚生労働省はノバルティスファーマの高血圧症治療「ラジレス」(一般名:アリスキレンフマル酸塩)について、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を投与中の糖尿病患者を「禁忌」とする添付文書の改訂を通知した。

     腎機能障害を伴う2型糖尿病患者を対象とした国際共同臨床試験「ALTITUDE」の中間解析で、有害事象の発現頻度が高まる結果が出たことを受けたもので、欧州では2月に同様の措置が講じている。

     厚労省は専門委員の意見も踏まえて添付文書を改訂する必要があると判断した。ただし、ACE阻害剤やARBを含む他の降圧治療で血圧コントロールが著しく不良な患者は禁忌から除く。また、腎機能障害のある患者への投与に対する注意も「重要な基本的注意」に追記する。

    医療機関の方々・・・製薬会社から、このトライアルの報告ありましたか?・・・ 効果だけ宣伝して、有害性情報提供してないのなら情報の非対称性促進する会社です。・・・“スピリーバ・レスピレーターマット”・・・

    noteへ実験的移行

    禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note