2013年8月31日土曜日

COPD:テストステロン低値となりやすいが、補充療法効果エビデンスは不十分

低テストステロン値が、可逆性となりえる機能障害、衰弱のリスク要素とする考え方もある。ホルモン補充療法を正当化する考え方。フィットネスアウトカムやQOL、生存率まで考えれば絶対的に使用すべきという状況にはまだ無いと思う。

COPD患者に於ける、内在性テストステロン値と、テストステロン治療の運動能力・HRQoLアウトカム効果をシステマティックに評価試み

Endogenous testosterone level and testosterone supplementation therapy in chronic obstructive pulmonary disease (COPD): a systematic review and meta-analysis
Evan Atlantis , et. al.
BMJ Open 2013;3:e003127 doi:10.1136/bmjopen-2013-003127

9つの観察研究、COPD男性 2918名は、対照比較で、テストステロン値低い  (weighted mean difference was –3.21 nmol/L (95% CI −5.18 〜 −1.23))

6つのRCT、287名では、ピーク筋力とピーク心血管フィットネスアウトカム研究5つあり、HRQoLアウトカム研究3つ

テストステロン治療は、ピーク筋力改善(標準化平均差 (SMD) was 0.31 (95% CI 0.05 〜0.56))、ピークworkload  (SMD  0.27 (95% CI 0.01 〜 0.52))   (プラシーボ比較は1つ除いて全て)で効果。

しかし、peak VO2  (SMD 0.21 (95% CI −0.15 〜 0.56)) 、 HRQoL (SMD   –0.03 (95% CI −0.32 〜 0.25))では効果認めず

結論としては、COPD患者では、テストステロン低値となりやすい。
しかし、テストステロン補充療法により運動能力アウトカム改善、すなわち、ピークの筋力、ピークの運動量増加を示す可能性はあるが、そのエビデンスは貧弱。

COPDと閉塞型無呼吸: CPAP使用するほど死亡率減少

Stanchina ML; Welicky LM; Donat W; Lee D; Corrao W; Malhotra A. Impact of CPAP use and age on mortality in patients with combined COPD and obstructive sleep apnea: the overlap syndrome. J Clin Sleep Med 2013;9(8):767-772.

オーバーラップ症候群って、喘息・COPD併発状態を表す意味でも用いられているが、この場合は、COPDと閉塞型無呼吸(OSA)

10,272名のpost hoc解析、COPD 1,112名、 OSA 2,284名
併発のオーバーラップ症候群 227名で、死亡 17名

多変量解析にて、死亡率に関連する独立因子は、CPAP使用と年齢(HR 0.71、1.14, p < 0.001、 0.002)

CPAP使用時間長いほど、死亡率減少
年齢はCPAP使用と相関せず

後顧解析なので自ずと研究解釈に限界

TIOSPIR研究:スピリーバはミスト、ドライパウダーとも、死亡率・心血管イベント同等

"Tiotropium Respimat inhaler and the risk of death in COPD"
Wise RA, et al
N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMoa1303342.


スピリーバのミストバージョンは、ドライパウダーと、死亡率・心血管イベントにおいて、安全性同等という TIOSPRIRトライアルの結果


情報ソース:http://www.medpagetoday.com/Pulmonology/SmokingCOPD/41290
メディア:http://www.bloomberg.com/news/2013-08-30/boehringer-s-respimat-inhaler-meets-safety-goal-in-study.html

メディアでは、べーリンガーのスピリーバ・レスピマットは安全性目標を満たしたと報道している。


そもそも、スピリーバ・ドライパウダーを主な対象としていたUPLIFT研究で、「死亡率減少・心血管イベント減少」効果が示されている。故に、ミストも安全ですよという執筆者の意向。

ただ、UPLIFT研究において、「死亡率・心血管イベント」は、セカンダリエンドポイントであり、これを強調しすぎるのは問題であり、UPLIFT研究はスピリーバの安全性をプライマリエンドポイントで示した報告ではない。「消防署の方からと偽る消火栓詐欺と同じやり方」と似ている。

ロジックはこうだ。
「UPLIFTでスピリーバ・ドライパウダーの死亡率減少・心血管減少が示された」

「スピリーバ・ドライパウダーとスピリーバ・レスピマットは安全性上は同等」

「故に、スピリーバ・レスピマットは、死亡率・心血管イベント上安全」
三段論法詐欺

そもそも、この種の報告が出る理由は、BMJメタアナリシスにより、パウダーとミストは別薬剤として扱うべきと主張されるほど安全性に疑問が投げかけられていることが発端。
52%ほどレスピマットで包括的死亡率増加懸念されている製剤である(あった)

スピリーバ・レスピマットの安全性疑惑: メタアナリシス 死亡率52%増加2011年 06月 15日

呼吸器学会のお偉いさんたちはこの話題を概してスルーするところが、滑稽。


UPLIFTのセカンダリアウトカム結果を持ち出して、間接的に安全・・・というのはちょっといただけない。

その種の主張を講演会でするお偉いさんが居たら・・・アホ認定で良いと思う。


スピリーバ・レスピマットを含む、LAMA、LABA全体への安全性懸念払拭というにはほど遠いと思うのだが・・・

2013年8月30日金曜日

時差ぼけ:CRTC1-SIK1経路と、概日リズムのずれ

The CRTC1-SIK1 Pathway Regulates Entrainment of the Circadian Clock
Cell, Volume 154, Issue 5, 1100-1111, 29 August 2013

 網膜のphotoreceptorにて、太陽下日中、概日システムを同調する。この光によるリセット、photic resettingは、cAMP response element binding protein (CREB)-介在視交叉上核(SCN)Per遺伝子のupregulationを生じる
 この経路の詳細は不明で、数日の時間帯へ同調するのに数日かかる理由は不明であった。
 SCNでの光調整性transcriptome解析により、脳内時計リセットでの salt inducible kinase 1 (SIK1) と CREB-regulated transcription coactivator 1 (CRTC1)が重要な役割を果たすことが判明した。
 順応刺激ににより、CRTC1をCREBの共活性化に導き、Per1やSik1の発現にも関与する。
 SIK1は、さらに、CRTC1のリン酸化、不活性化により、脳内時計をシフトする。
 視交叉上核内のSik1のノックダウンにより、行動時相のシフト増加し、急激な-再同調後、実験的時差ぼけを生じる。
 SIK1がネガティブフィードバックをもたらし、体内時計の光による調整を阻害する働きをもつ。この経路が、概日リズム調整のターゲットとして有望かもしれない。




the Lancet 肺がん特集

the Lancet 肺がん特集
http://www.thelancet.com/series/lung-cancer


Management of non-small-cell lung cancer: recent developments
Martin Reck, David F Heigener, Tony Mok, Jean-Charles Soria, Klaus F Rabe
 ・内視鏡的縦隔ステージング(気管支内超音波と内視鏡超音波でによるステージング)改善とNSCLC診断アルゴリズム組み入れ
  ・手術はNSCLC stage IとIIでは標準治療で、新しい組織sparing技術開発がなされている
  ・医学的不適患者では、ステレオスタティックな放射線治療が有効で、手術代替療法としてtolernce改善
   ・プラチナ・ベースのアジュバント化学療法は、NSCLC stage II、IIIa 手術例で生存率改善
   ・同時施行のChemoradiotherapyは、局在性進行期NSCLC患者の治療標準。
 ・プラチナ・ベース化学療法は、転移性NSCLC患者の生存予後改善
    ・NSCLC患者は、EGFR変異、anaplastic lymphoma kinase再配列の存在を放火すべきで、それにより有効性の違い予測


Genetics and biomarkers in personalisation of lung cancer treatment
Rafael Rosell, Trever G Bivona, Niki Karachaliou
・肺がんは重篤な疾患で、化学療法ではベネフィット限定的で、生存期間も一般には限定される。
・遺伝子PCRやsequencingにて、肺腺癌のある程度の比率で、driver変異同定可能となったが、多くのdriver変異はまだ同定されてない。
・EGFR変異のみ肺腺癌ではユニバーサルに認められており、EGFR tyrosin kinase阻害剤がこれらの主な治療手段である。KRAS変異は、その頻度は多いが、臨床トライアル上特異的治療がなされる。 MAP2K inhibitor+docetaxelの併用が、optimum synthetic lethal approachとして示唆されるエビデンスが示された。 EML4—ALK translocationはcrizotinibに反応するが、スクリーニングとしてはまだばらつきがある。 ROS と RET translocationにはさらなる分子学的refinementが必要で、臨床トライアル途上。
・扁平上皮がんにおいて、FGFR1がバイオマーカーとして可能性あり、しかし、臨床トライアルは少なく途上、診断方法の標準化が必要。
・抵抗性メカニズム・予測バイオマーカー同定必要。
・連続再生検からの腫瘍のdeep sequencing analysisで、signaling pathway変化を発見し、新しいdriver変異の発見の可能性が有り、それが個別化治療につながるだろう。


Prospects for population screening and diagnosis of lung cancer
John K Field, Matthijs Oudkerk, Jesper Holst Pedersen, Stephen W Duffy
・肺がんは極度に予後が悪く、全体的には、米国内5年生存率16%、英国では、男性7.8%、女性 9.1%。
・肺がん死亡率減少達成のため、重大ながん発見stage shiftが必要で、CT検診で可能かも。
・肺がん検診の組み入れ方針は、リスク層別化、年齢範囲、直径・volumetric analysisを用いたCT indeterminate nodule protocol、CT発見結節臨床的workup、治療オプション、年次・隔年検診、明確な期間設定された検診、コスト効果に基づくものであるべき。
・肺がん発症リスク高い個人の選別が、国内検診プログラム組み入れ成功の鍵。
・検診発見肺結節管理は将来、3D測定に基づくvolumetric評価ベースとなるだろう、これは2D直径測定より正確性・再現性に優れている
・肺がんCT検診は外科医に新しい世界を与える、非悪性CT発見結節が多数出現するわけで、外科医はCT検診プログラムにとっても重要な役割を果たすこととなる。
・もし眼検診が国内医療サービスとして適切と判断されるなら、コスト効果が重大な問題で、特に検診回数が重要で、隔年検診が特に関心事となっている。
・ヨーロッパのランダム化トライアルが進行中であるが、検診頻度などのtactical な問題が検討され明らかにされるべきであろう。

Respiratory infections in patients with cystic fibrosis undergoing lung transplantation
Leonard J Lobo, Peadar G Noone

Lung cancer: potential targets for immunotherapy
Eric Tartour, Laurence Zitvogel

トランスサイレチン・アミロイドーシス:siRNAにてトランスサイレチン減少 ・・・ 概念実証実験

Proof-of-Concept : 概念実証 の実験という側面も、治療ターゲットとなり得る可能性示唆


Transthyretin amyloidosis (参照;アミロイドーシスの分類)は、肝細胞由来のトランスサイレチン・アミロイドーシスで、末梢神経や心臓へ蓄積。治療アプローチとしてRNAi(interference)が用いられれ、トランスサイレチン産生減少の可能性

この報告は、脂肪ナノ粒子包埋カプセル化siRNAを用い、一世代のALN-TTR01、ALN-TTR02で検討。
単一用量、プラシーボ対照化p1トライアル

ALN-TR01(0.01 - 1.0 mg/kg体重)を32名のトランスサイレチン・アミロイドーシス患者で用い、ALN-TR01 (0.01-0.5 mg/kg体重)を17名の健康ボランティアで評価

両群とも、トランスサイレチン濃度が迅速に用量依存的、永続的に見られた。

投与7日後、トランスサイレチンを40%ほど減少させ、2世代めのsiRNAでは、健康ボランティアで87%減少させた。



"Safety and efficacy of RNAi therapy for transthyretin amyloidosis"
Coelho T, et al
N Engl J Med 2013; 369: 819-829.

【果物と糖尿病リスク】週3サービング増加で2%リスク減少、だが全部ではない 果汁ジュース・ネットメロンはよりリスク増加



くだものがすべからく全て糖尿病発症リスク減少をもたらすわけではない種別効果があり、むしろ、リスク増加の果物も存在、ジュースもリスク増加させ、果汁ジュース=健康に良いというのは妄想かもしれない

米国医療従事者前向き長軸コホート
・ NHS(1984-2008)、NHS(1991-2009) 66,105名の女性
・ Fhealth Professionals Follow-up Study(1986-2008) 36,173名の男性

リンゴ、グレープ、ブルーベリーなどでは特に食すほど、2型糖尿病リスク減少する。
週毎3サービング加えることで、2%ほど糖尿病リスク減少

だが、フルーツジュースは有意に糖尿病発症リスクを8%増加させ、特に網メロンは10%糖尿病発症リスク増加させる。


Fruit consumption and risk of type 2 diabetes: results from three prospective longitudinal cohort studies
Isao Muraki, et. al.
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5001 (Published 29 August 2013)






今まで、総じて、果物摂取を推奨されているが、これは、mixed effectを見ていた可能性がある。例えば、食物線維の種類、アンチオキシダント、植物化学物質(pythoestrogenなど)の差があり、果物の種類による身体への影響差は当然なのかもしれない。むしろ、果物だから全て良好な効果をもたらすという証拠なんて何処にもなかったのだ。

causal linkは不明だが、リンゴやグレープ、他の果物の皮にある物質に耐糖能効果があることなども考察されている。だが、人工的にワックスされた市販品の存在や、皮に含まれるポストハーベスト農薬や、出血性腸炎などの有害性懸念もあることも・・



BBC
http://www.bbc.co.uk/news/health-23880701

ジュースについて注目
軽度だが、2型糖尿病リスク増加認める
フルーツ全部と、フルーツジュースの比較
例えば、フルーツジュースを、ブルーベリーに置き換えると、2型糖尿病リスク33%減少、同様に、グレープフルーツ・レーズン 19%、 リンゴ・なし 13%、 フルーツ組み合わせ 7%減少。

オレンジや、もも、プラム、杏などは、フルーツジュースと同様。

筆者等は、ジュース化することで、吸収速度増加し、インスリン対応が追っつかないのではないかと・・・

できるだけ、ジュースじゃなくて、果物として摂るようにアドバイスしている。



サービング計算
http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/use/rule.html

・果物は、主材料果物の重量 約100g


・主食は、主材料穀物由来炭水化物の重量 約40g
・副菜は、主材料の野菜・きのこ・いも・豆類(大豆以外)・海藻類の重量 約70g
・主菜は、主材料の魚・肉・卵・大豆・大豆製品由来蛋白質 約6g
・牛乳・乳製品は、主材料の牛乳・乳製品由来カルシウム 約100mg

故に、果物週毎3サービング増やすことは、比較的容易に思える



静岡県のあ独立行政法人の研究所らしいところでは、みかんが特に糖尿病抑制に良いと、バイアスのかかった報告をマスメディアを使って流してますが・・・まぁ否定はしないけど、より効果のあるものがある。

ネットメロンって高いだけ・・・

2013年8月29日木曜日

ブロッコリー・スルフォラファン 変形性関節症抑制の可能性

Sulforaphane represses matrix-degrading proteases and protects cartilage from destruction in vitro and in vivo 
Rose K Davidson ,et. al.
Arthritis & Rheumatism DOI: 10.1002/art.38133

ブロッコリー中のSulforaphane (SFN)、これをマウスに食させると軟骨の障害を抑え、変形性関節症の症状を抑えたという報告。

SNFは、ヒト関節軟骨細胞(HACs)のサイトカイン誘導metalloproteinase発現を抑制、線維芽様滑膜細胞(FLS)も同様に抑制。
SFNは、独立してNrf2(nuclear factor (erythroid-derived 2)-like 2)やhistone deacetylase活性と独立して、metalloproteinase発現調整のため働くが、JNKやp38MAP kinase活性遷延化をmediateする。
SFN は、NF-κBシグナリングを減弱させる、これはHACsのDNA結合抑制と、いくつものNF-κB独立遺伝子の発現抑制を伴う。
SFNは、サイトカイン誘導性牛鼻軟骨破壊を、プロテオグリカン・コラーゲンbreakdownのレベル(サイトカイン単独では10μM)で抑制
SFN豊富な食事は、DMM変形性関節炎ネズミモデルでの、関節炎スコア改善し、早期のDMM-誘導遺伝子発現変化を同時にブロックする。

オブリーン錠(一般名:セチリスタット)新薬承認  肥満治療薬といいながら、軽度の体重減少効果のみ

今更ながらだが・・・

世界初承認となる肥満症治療薬オブリーン錠(武田薬品)
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/44802/Default.aspx
オブリーン錠120mg(セチリスタット、武田薬品):「肥満症(ただし、2型糖尿病および脂質異常症を共に有し、食事療法・運動療法を行ってもBMIが25以上の場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。世界初承認で、欧州では承認申請中。

武田薬品 「セチリスタット」を国内申請、初のリパーゼ阻害剤
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=39705


オブリーン錠(一般名:セチリスタット)

治験では、"BMI25以上、糖尿病や脂質異常症を合併している肥満症患者"対象

cetilistatの申請にあたり、2型糖尿病および脂質異常症を合併した肥満症患者を対象に、本薬の有効性および安全性を検討した52週のプラセボ対照試験、安全性を検討した24週および52週の非盲検試験の合計3本の臨床第3相試験を実施しました。その結果、52週のプラセボ対照試験において、本薬(120mg×3/日)投与群は、主要評価項目である平均体重変化率について、プラセボ投与群と比較して有意な改善(本薬投与群-2.776% vs プラセボ投与群-1.103%)を示すとともに、副次評価項目であるHbA1cとLDLコレステロールの変化について、プラセボ投与群と比較して有意な低下を示しました。また、いずれの試験においても、本薬の良好な安全性および忍容性も確認されました。

プラシーボ比較で、1.5%程度の体重減少効果 ・・・ 現在体重60kgで、- 0.9 kgの効果 屁の突っ張りになるのか? HbA1c低下・脂質特性改善の方が評価されたと考えるが説明を待ちたい。

適応は、「糖尿病且つ脂質異常血症を有し、食事療法・運動療法前提」ということでwindowを狭くする意向も見て取れる


それにしても、アクトスで体重増やして、オブリーン処方させるとは・・・ 武田おぬし悪よのぉ ・・・ 相変わらず、いんちき製品が多い国内製薬メーカーのドン



他注目したのは・・・

ソリリス点滴静注300mg(エクリズマブ遺伝子組換え、アレクシオンファーマ):「非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制」を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は5年10カ月。この適応症では32カ国で承認済み。

溶血性尿毒症症候群は、溶血性貧血、血小板減少、腎障害を3徴候とする。5歳未満の小児に多く見られ、溶血性尿毒症症候群の10%程度が下痢を伴わない非典型とされる。この型は致死率が25%と予後不良で、欧州の報告では100万人に2人/年、小児では100万人に7人/年の発症率とある。ソリリスはヒト化モノクローナル抗体で、既存の適応症は発作性夜間ヘモグロビン尿症による溶血抑制。

→ Eculizumab(C5補体へのモノクローナル抗体):大腸菌関連溶血性尿毒症症候群治療2011年 12月 20日
→ ヨーロッパ:腸管出血性大腸菌感染HUS治療戦略 2012/7/20

<相変わらず、厚労省って遅い対応・・・>


▽ダットスキャン静注(イオフルパン ヨウ素123、日本メジフィジックス):「パーキンソン症候群、レビー小体型認知症の診断におけるドパミントランスポーターシンチグラフィ」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。欧米など33カ国で承認済み。

SPECT装置による線条体のドパミントランスポーターを可視化を可能とする放射性医薬品。「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発の必要性が指摘され、厚労省が開発要請を行っていた。

ビンダケルカプセル20mg(タファミジスメグルミン、ファイザー):「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの末梢神経障害の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。希少疾病用医薬品。欧州で承認済み。1日1回経口投与する。

家族性アミロイドポリニューロパチーは、成人期に末梢神経、自律神経系、心、腎、消化管、眼などにアミロイド沈着を来たし臓器障害を起こす予後不良のアミロイド症。これまでの推奨治療は肝移植のみだった。国内の推定患者数は130人程度で、国の特定疾患の指定を受けている。

サムスカ錠7.5mg(トルバプタン、大塚製薬):「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留」を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(平成30年10月26日まで)。1日1回7.5mg経口投与する。既存の適応症はループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留。

【FDA:治験情報基づく】非定型精神薬・SSRI・SNRIといった新規向精神病薬で死亡率増加認めず

向精神薬の心理薬剤トライアルに於ける精神疾患患者において、住民研究死亡率増加が示唆される。非定型精神薬、SSRI、SNRIといった新規向精神薬投与3−4ヶ月後、この死亡リスク増加することはない。

ただ、FDAのSBAベースなので結論づけには、さらなる確認が必要

"Comparative mortality risk in adult patients with schizophrenia, depression, bipolar disorder, anxiety disorders, and attention-deficit/hyperactivity disorder participating in psychopharmacology clinical trials"
Khan A, et al
JAMA Psychiatry 2013; DOI: 10.1001/jamapsychiatry.2013.149.

FDA Summary Basis of Approval (SBA);FDA承認申請文書要約は、新規薬剤適応・付加的適応のため行われるが、28種の精神疾患薬剤承認が1990年から2011年までなされている。プラシーボ対照かトライアルと安全性研究からのFDAのSBAデータ、92,542名、統合失調・うつ・bipolar disease・不安障害・注意欠陥・過敏疾患に関わる47の成人薬剤承認プログラムからの報告、bipolar disease治療併用・維持に関する報告

全体としてみれば、死亡リスクは、精神疾患診断と、有意且つ大きく相関  (χ24 = 1760; P < .001).

一般成人住民比較で、統合失調症患者で最も死亡リスク高く  (3.8-倍増加)、以下、うつ患者  (3.15-倍) 、bipolar disorder (3.0-倍)と続く。

死亡リスクは、四環系抗うつ薬を除くとプラシーボより向精神薬割りつけ群で増加は認めない。

全死亡に対する自殺は、109/265 (41.1%)



【スタチン予防】心血管疾患既往無し高齢者でも、心筋梗塞・卒中減少あきらか 但し死亡率の差は認めない

日常生活に関わるdisabilityも検討すれば良かったのに・・・
そうすれば、高齢者へのユニバーサルなスタチン一次予防正当化さらに強化できたはず。


"Benefits of statins in elderly subjects without established cardiovascular disease. A meta-analysis" 
Perrone-Filardi P et al
J Am Coll Cardiol. 2013 Aug 14. pii: S0735-1097(13)03880-1. doi: 10.1016/j.jacc.2013.07.069. [Epub ahead of print]

【目的】心血管疾患認めない高齢者に対し、スタチンで、全原因死亡率・心血管疾患イベント減少しめすか?
【背景】高齢化着実に進み、高齢者心血管疾患予防顕在的問題に、心血管疾患イベントある高齢者に対し、ガイドラインでスタチン使用推奨されているが、心血管疾患イベント既往内高齢者でのこれら薬剤のベネフィットは未だ議論されてない。
【方法】スタチン vs プラシーボのランダム化トライアルで、確立した心血管疾患なしの65歳を超えた高齢者での、全原因死亡率、心筋梗塞、卒中、新規がん発症

【結果】 8トライアル、24,674名(女性 42.7%、 年齢平均 73.0± 2.9歳、 フォローアップ平均  3.5 ± 1.5歳)

スタチンは、プラシーボに比較して、有意に、以下の減少
・ 心筋梗塞  39.4% (relative risk [RR]: 0.606 [95% 信頼区間 (CI): 0.434 to 0.847]; p=0.003)
・ 卒中  23.8% (RR: 0.762 [CI: 0.626 to 0.926]; p=0.006)

一方、全原因死亡率、心血管死亡ではリスク減少有意性なし (RR: 0.941 [CI: 0.856 to 1.035]; p=0.210、 RR: 0.907 [CI: 0.686 to 1.199]; p=0.493)

新規がん発症に関してスタチンとプラシーボ治療患者では差を認めず (RR: 0.989 [CI: 0.851 to 1.151]; p=0.890).

【結論】 心血管疾患既往無しの、心血管リスク高い高齢者でも、心筋梗塞・卒中発症を減少させるが、短期間Dねお生存率に関して有意な差を認めない。

2013年8月28日水曜日

冠動脈性心疾患:健常者で関連せず2型糖尿病でのみ関連するグルタミン酸代謝関連SNP

冠動脈性心疾患との関連性が糖尿病患者では見られるが、正常者ではみられない、SNP(rs10911021)、これは、グルタミン酸代謝と関連する部位で、メカニズム的なリンクを示唆する。



Association Between a Genetic Variant Related to Glutamic Acid Metabolism and Coronary Heart Disease in Individuals With Type 2 Diabetes
Lu Qi, et. al.
JAMA. 2013;310(8):821-828. doi:10.1001/jama.2013.276305.

Nurses’ Health Study、Health Professionals Follow-up Study、Joslin Heart Study 、Gargano Heart Study、Catanzaro Study 被験者を検討

全員2型糖尿病で、CHD症例 1517名、CHD-negative症例 2611名
糖尿病患者の結果を、非糖尿病CHD症例 737名と、非糖尿病非CHD 1637名で比較

冠動脈性心疾患を定義として、致死性・非致死性心筋梗塞、CABG、PCI、冠動脈病変の有意狭窄血管性エビデンス

染色体異常1q25 (rs10911021)は、一貫して、糖尿病登録者のCHDリスクと相関し、
リスクallele頻度は 症例 0.733 、対照 0.679
(オッズ比 1.36 [95% CI, 1.22-1.51]; P = 2 × 10−8)
非糖尿病患者では、変異とCHDの相関認めず、リスク allele 頻度 症例 0.697、対照   0.696 (odds ratio, 0.99 [95% CI, 0.87-1.13]; P = .89)
CHDリスクにおいて、遺伝子x糖尿病関連性が一貫して有意にみられる  (P = 2 × 10−4)

防御的allele homozygote比較で、rs10911021 risk allel homozygoteは、近傍のヒト血管内皮細胞グルタミン酸−アンモニア リガーゼ(GLUL)遺伝子 の発現を32%減少 (p = .0048)
ピログルタミン酸とグルタミン酸との血中γ-glutamyl cycleの血中濃度比率減少が、risk allele homozygotesで認められた (P = .029)



今後、この関連性研究がいかに展開されるか ・・・ 

GLUL
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/2752
グルタル酸・アンモニアからグルタミンを合成する酵素で、グルタミン酸により細胞増殖、アポトーシス、細胞シグナル化と関連。



【健康的肥満?】代謝的に健康な肥満者:それは炎症レベルに左右される 

肥満患者の代謝的健康は、炎症のレベルにより左右される?


"metabolically healthy obese" と言う言葉最近よく見聞きする。
健康的肥満という言葉さえ医学上も存在するようになった。
日本ではそういうものが存在するのかさえ議論されてないと思う・・・

Does Inflammation Determine Metabolic Health Status in Obese and Nonobese Adults?
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism August 26, 2013 jc.2013-2038


症例対照研究で、肥満だが、代謝的に健康な場合、CRP、TNF-α、IL-6といった炎症性マーカーが低い、BMI数値に無縁に、炎症性特性良好な場合、健康な代謝特性である

2047名のアイルランド人男女(45-74歳、肥満・非肥満(カットオフ値 BMI 30))の横断研究

全体的にみれば、代謝的健康な肥満・非肥満では、病的なそれより、補体C3、CRP、TNF-α、IL-6、PAI-1濃度が低く、adiponectin量は高く、白血球数は少ない。



ロジスティック回帰分析にて、代謝的健康肥満者の尤度は、いくつかの炎症性マーカーの低レベル患者でその尤度が高い。特異的には、C3濃度より低いほど2−3.5倍代謝的に健康であるが、その定義にもよる。

CRPレベルは、下50パーセンタイルで、代謝的健康の多くで正相関で、1.10-1.76倍リスク増加し、adiponectin増加は肥満かつ代謝的健康例で2.6〜4倍の尤度

代謝的健康・肥満オッズは、IL-6濃度低下、TNF-α低値、PAI-1低値の場合に多い。



非肥満者において、代謝的健康オッズは、C3値低値でより高く (オッズ比レンジ 1.39 〜 3.62)、PAI-1低値 (OR range 1.11〜 2.93)、 adiponectin濃度高値 で高い(OR range 1.04 〜 2.46)

CRPレベルのボトム50パーセンタイルと、低IL-6濃度が、代謝的健康と相関(OR ranges 1.19 〜 1.78 、 OR 0.98 〜 1.57)し、TNF-αボトム50パーセンタイルとも相関する(OR range 0.96 〜 2.18)





混合診療拡大なら、この種の炎症性マーカー、随分検査されるようになるかも・・・

type 1 HCV肝炎 ・・・インターフェロンさよなら?: Sofosbuvir+リバビリン(体重ベース vs 低用量)治療ベネフィットみとめる 




"Sofosbuvir ribavirin for hepatitis C genotype 1 in patients with unfavorable treatment characteristics"
Anuoluwapo Osinusi, , et al
JAMA 2013; 310(8): 804-811; DOI: 10.1001/jama.2013.109309.

単一施設ランダム化2部分オープンラベル第2相試験
HCV genotyp 160名の治療naiveのC型肝炎患者登録

介入
part 1 : 中等度肝線維症10名を sofsbuvir 400 mg/d + ribavirin 体重ベース投与量 ×24週間

part 2 : 肝線維症全ステージ患者50名を 1:1配分
・sofosbuvir + ribavirin 体重ベース投与量 もしくは ribavirin 600 mg/dの低用量


主要アウトカムと測定:プライマリ研究エンドポイントは、治療完遂24週後のHCVウィルスload検出不能患者比率(SVR24)


part 1研究、9名 SVR24 (90%, 95% CI 55%-100%)
part 2研究、体重ベース投与量群 7名(28%) 、低用量群 10(40%)で、治療完遂後再発。 SVR24率はそれぞれ68% (95% CI, 46%-85%)、48% (95% CI, 28%-69%; P = .20) 。


20名のpharmakokinetic-viral kinetic substudy において、SVR群より再発群では、感染ウィルス消失率緩徐(clearance, 3.57/d vs 5.60/d; P = .009)


最頻度副事象は、頭痛、貧血、疲労、吐き気

grade 3イベント (貧血、好中球減少、吐気、低リン血症、胆石、膵炎) 7例
副作用による中止なし

【結論】今までの治療反応予測要素で不良と想定される患者群で、このsofosbuvir+体重ベース・低用量ribavirinのSVR24はそれぞれ68%、48%

2013年8月27日火曜日

禁煙治療後体重増加に関わる最も強力な要素は、たばこ依存度

たばこ依存度の高い人は、禁煙治療後体重増加のリスク要素でもある
故に、禁煙治療には、体重コントロール介入が必要。





Analysis of Factors That Determine Weight Gain during Smoking Cessation Therapy 
Komiyama M, et. al.Therapy. 
PLoS ONE 8(8): e72010. doi:10.1371/journal.pone.0072010

禁煙外来クリニック86名、男性132名、女性 54名、禁煙成功者

禁煙治療後 平均BMI 23.5 ± 3.5→ 23.9 ± 3.8

NRTとチャンピックスに体重増加の差認めず

3ヶ月後BMI増加と関連するのは、TG、HDL、日々の喫煙量、FTND依存指標

多変量解析では、FTNDスコアが最も強力な寄与要素で、禁煙治療中最も体重増加と関連

故に、禁煙クリニックでは、ニコチン依存対策と共に、体重増加に関わる介入が必要。

診断への自信過剰は、診断正確性と一致せず、追加検討も行われない

医師の診断正確性と自信満々さ、すなわち、confidenceとの関連性

その2つはかならずしもマッチしておらず、診断が外れても、毅然と診断に自信をもち、追加的検討がなされないことがある。過剰な自信は、誤った理由付けの認識がなされてないわけである


Physicians’ Diagnostic Accuracy, Confidence, and Resource Requests
A Vignette Study
Ashley N. D. Meyer, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():-. doi:10.1001/jamainternmed.2013.10081.

【目的】   医師の診断キャリブレーションで、定義として診断正確性と、その正確性へのconfidence、そして、診断プロセスの作成変化と、臨床症例像の診断困難性増加変化

【デザイン・セッティング・被験者】
オンラインの医師コミュニティーからの一般内科医を登録し、4つの以前確認された診断困難臨床症例像の診断を問う( 2つは容易、2つは困難)

症例をウェブベースフォーマット提示、4連続相疑似診断解決:病歴、身体所見、一般的検査データ、確定診断検査
いずれの相でも、医師は1−3の鑑別診断を残し、confidence判断を記録する。
確定診断検査データ提示前、医師は、どの症例の診断でも必要とする追加リソース同定を問われる (ie, 追加検査、セカンドオピニオン、その辺の人に聞くこと、リファレンス、, 照会、リファレンス・マテリアル)

【主要アウトカム】
診断正確性(スコア 0 or 1)、診断正確性 (0 - 10)、 診断のキャリブレーション、追加リソース要求の有無

【結果】
米国内の地域的に広範囲の118名の医師
正確な診断は 容易症例 53.3%、 困難症例 5.8% (p < 0.001)


容易例と困難例間で。診断正確性の大きな差があるが、confidence上の違いは比較的少ない  (7.2 vs 6.4 out of 10, for easier and more difficult cases, respectively) (P < .001) 、そして臨床的に有意でない程度。


全体からみると、診断キャリブレーションは、より診断困難例で悪く  (P < .001) 、 そして、診断は正確だと過剰な自信にもとづくと特性化さ

confidenceが高いほど、追加診断検査要求が少ない (P = .01);より難問題症例では、追加reference material要求が多くなる (P = .01)


【結論】
この研究結果では、医師の診断への自信レベルは、その診断正確性・症例困難さとも比較的insensitiveである。 
このミスマッチの認識こそが、診断間違いをしている困難症例での再検討されない理由となる。



住民調査:甲状腺超音波画像特性に基づく甲状腺がんリスク

放射線被曝の関連で、甲状腺結節の超音波検査クローズアップされている。

超音波検査による甲状腺結節性病変管理は、担当者の大きな関心事だろう

特に、甲状腺異常に対する生検適応に関して、一定のルールが必要だがばらつきがあるとのこと。

福島県県民健康管理調査 甲状腺検査マニュアルなどhttp://clearinghouse.main.jp/wp/?p=726
上記で用いられている指標;http://clearinghouse.main.jp/web/fukushima_m027.pdf
 ↑
形状、境界の明瞭性・性状、内部エコーのエコーレベル・均質性など主観的なものが多い


対して,下記報告は、比較的明瞭である。

Risk of Thyroid Cancer Based on Thyroid Ultrasound Imaging Characteristics
Results of a Population-Based Study
Rebecca Smith-Bindman,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():-. doi:10.1001/jamainternmed.2013.9245. 

超音波検査による甲状腺結節性病変管理にはばらつきがある 
超音波画像特性に基づく、甲状腺結節性病変の甲状腺がんリスク定量化の試み

後顧的症例対照研究

研究期間中 11,618の甲状腺検査、8806名、105名の甲状腺がん診断。
甲状腺結節病変は、甲状腺がん診断患者に多く、96.9%
甲状腺がんの診断されてない患者では、56.5% 
超音波による結節の3つの特性のみが甲状腺がんリスクに関わる所見である
・ 微小石灰化:microcalcifications (odds ratio [OR], 8.1; 95% CI, 3.8-17.3)
・ 2cmを超えるサイズ OR, 3.6; 95% CI, 1.7-7.6)
・ 完全なsolid composition (OR, 4.0; 95% CI, 1.7-9.2)

もし、これらのうち特性1つを、生検適応として用いるなら、甲状腺がんの多くを検出可能 (sensitivity, 0.88; 95% CI, 0.80-0.94)
ただ、偽陽性率高く(0.44; 95% CI, 0.43-0.45)、陽性尤度低い (2.0; 95% CI, 1.8-2.2)
がん診断1例あたり56生検が必要。 
もし、2つ用いるなら、感度・偽陽性率はより低くなる  (sensitivity, 0.52; 95% CI, 0.42-0.62; false-positive rate, 0.07; 95% CI, 0.07-0.08)、陽性尤度比は高い (7.1; 95% CI, 6.2-8.2)、そして、がん診断1例あたりの生検数は16となる。 
甲状腺結節 5mm超の全部生検するのに比べ、結節特性異常を2つとする、より厳格なルールで適切な生検がなされ、90%まで不要な生検数を減らすことができ、がんリスクは低いまま(未生検1000名あたり5名)


甲状腺結節取り扱い診療ガイドライン 2013
ダイジェスト版だけでも公開してくれれば・・・

乳頭がんが多く、濾胞がんが少ない、穿刺吸引細胞診が保険診療下で広まっていること、アイソトープ治療の未普及など我が国の独自性を強調されているとのこと。であれば、甲状腺診療のガイドラインくらいは、無料公開するのが本筋では?

一般的に減量効果困難な黒人女性に対する“maintain, don’t gain” アプローチ

黒人女性に対し減量促進はやっかいな臨床的課題。多数の研究により、黒人女性では、白人女性及び、白人・黒人男性より減量効果乏しいという現実がある。

では、現実的対処として、せめて体重増やさないことを目標とすると・・・




Behavioral Treatment for Weight Gain Prevention Among Black Women in Primary Care Practice
A Randomized Clinical Trial
Gary G. Bennett,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():-. doi:10.1001/jamainternmed.2013.9263

【序文】
黒人女性において、特に、プライマリケア現場で、臨床的意義を有する減量アウトカムとなる減量治療は少ない。新しい体重管理戦略がこの住民にとって必要とされる。
体重増加予防は、有効な治療オプションとなるかもしれない、特に過体重や1度肥満黒人女性にとって。

【目的】
12ヶ月間の、体重変化と、心代謝リスクの比較で、プライマリケアベースの行動的減量予防介入と通常ケアとのランダム比較

【デザイン・セッティング・被験者】
2つのアーム・ランダム化臨床トライアル(Shape Program)。6ヶ所の公共医療センターシステムから患者登録。194名の過体重・1度肥満(BMI 25-34.9)、閉経前女性 25−44歳。登録は2009年12月7日開始し、1

【介入】
中等度介入には、テーラー化された行動変化目標、週毎のインタラクティブ音声対応を介して自己モニタリング、月毎の電話カウンセリング、テーラー化されたスキルトレーニング・マテリアル、ジム・メンバー

【主要アウトカム測定】
12ヶ月間の体重・BMI、18ヶ月時点でのそれらの維持

【結果】
ベースラインでは、平均35.4歳、平均体重 81.1kg、平均 BMI 30.2
多くは社会経済的問題を有する (教育レベル カレッジ未満 79.7% 。年間収入 3万ドル未満 )

12ヶ月体重変化は介入群で大きく (mean [SD], −1.0 [0.5] kg),  通常ケアとの比較  (0.5 [0.5] kg; 差平均 −1.4 kg [95% CI, −2.8 to −0.1 kg]; P = .04)

12ヶ月時点でのベースライン以下の体重は介入群で62%、 通常ケア群で45%(p = .03)

18ヶ月までで、体重に有意な変化維持あり(差平均、-1.7 kg; 95% CI, -3.3 〜 -0.2 kg)

【結論】
社会経済的に問題のある黒人女性において、中等度プライマリケアベースの行動介入にて、体重増加予防効果が示された。"維持、体重増加防止"アプローチは、閉経前女性の肥満関連疾患リスク減少治療の代替的方法。





2013年8月26日月曜日

腎炎となるループスのTNIP1 gene変異

ABIN1 (ABIN1[D485N]) の不活性状態にあるknockin mouseでループス様事故眼値期疾患発症報告あり、NF-κBやmitogen活性化蛋白キナーゼの活性化が、toll-like receptor 刺激後見られることが知られているなど、全身性エリテマトーデスに関わるループス腎炎の病因遺伝子要因が関連するが、動物実験でNF-κBの関与が示唆されていた。

ヒトのABIN 1遺伝子をencodeするTNIP1遺伝子の5つのDNA配列はループスと関連性示されていた。

TNIP 1遺伝子変異は、ループス腎炎のリスクと関連し、メカニズム的にNF-κBとmitogen活性化蛋白キナーゼ活性調整不能状態と関連することが示唆された。


ABIN1 Dysfunction as a Genetic Basis for Lupus Nephritis
Published online before print August 22, 2013, doi: 10.1681/ASN.2013020148
JASN August 22, 2013 ASN.2013020148
http://jasn.asnjournals.org/content/early/2013/08/20/ASN.2013020148.abstract

ABIN1、TNIP1エンコードする、5つのSNPsをヨーロッパ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、アジア人、ガラ人、ヒスパニック系の Large Lupus Association Study 2 の被験者を検討

腎炎を伴うSLEと、伴わないSLEを比較し、結果、ループス腎症と強い相関は、 ヨーロッパ系で rs7708392(オッズ比 1.22;p < 0.01)、 アフリカ系で rs4958881の変異 ( OR 1.22)であった。




SGLT-2阻害剤Rmpagliflozin アドオン治療(メトホルミン+SU剤) HbA1c、体重共に減少


ナトリウム依存性グルコース共輸送担体-2(SGLT-2)阻害薬 Rmpagliflozin

血糖と、体重ともに減少下という報告

6ヶ月後、 プラシーボ では 糖化HbA1c 0.17%減少に対し、 empagliflozin 10mg 、25mg/日を、メトホルミン・スルフォニル尿素に追加した場合 0.82%、0.77%減少 (p < 0.001)。

加え、体重 2.16 kg、2.29kgそれぞれ減少 (プラシーボ 0.39g) (p < 0.001)

Empagliflozin As Add-on to Metformin Plus Sulfonylurea in Patients With Type 2 Diabetes
A 24-week, randomized, double-blind, placebo-controlled trial
Published online before print August 20, 2013, doi: 10.2337/dc12-2673
Diabetes Care August 20, 2013
http://care.diabetesjournals.org/content/early/2013/08/19/dc12-2673.abstract




国内申請SGLT-2

ダパグリフロジン(ブリストルマイヤーズ/アストラゼネカ)
トホグリフロジン(中外製薬/興和/サノフィ)
empagliflozin(NBI/イーライリリー)


新規糖尿病薬SGLT-2 カナグリフロジン FDA承認 2013/03/30
田辺三菱創薬のSGLT阻害剤カナグリフロジン 同系統薬として初めて承認 2013/01/11

米国:珪石(結晶シリカ; 結晶性シリカ)制限法・提案

オバマ政府は、新しい珪肺などに関連する珪石(結晶シリカ; 結晶性シリカ)制限提案


一般の工場・船員に対して、提案された許容被爆レベルは、空気50μg/mm3までにカットすること

建設業界暴露レベルでは、250μg/mm3から50μg/mm3で、80%減少することが要求される。


to protect workers exposed to crystalline silica
https://www.osha.gov/pls/oshaweb/owadisp.show_document?p_table=NEWS_RELEASES&p_id=24621


公聴会案内
https://www.osha.gov/silica/index.html





日本の環境基準
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000w7bi-att/2r9852000000w7nq.pdf

管理濃度 E(mg/m3-3.0/)1.19Q+1) 
日本産業衛生学会・許容基準
I. 吸入性結晶質シリカ 0.03mg/m3

産業医学レベルの基準としてはむしろ厳しいくらいだが、法律上どのように制限されているかは不明。
TPPにより、建設業界への米国企業参入となれば、日本にも影響が大・・・

BMIは生命予後・障害リスク推定のための個人指標としては曖昧 ・・・ より良い指標の開発が緊急課題

BMI定義による肥満というのは、住民ベース・集団ベースでは信頼できる指標なのかもしれないが、個人という単位では、その予後を正確に反映するか不明。

にもかかわらず、日本では、より不正確にメタボという机上概念とともに、BMIに基づく健康指導が行われ続けている。


個人指標としてのBMIに対して疑問視されつつ、その上で、なぜか、”肥満は疾患か?”という問題を"AMAは支持と反対の意見を押し切り、「肥満を病気」として宣言"してしまった。

洋の東西問わず、肥満・糖尿病関連にはペテンが多い。マーケットが巨大だからか・・・

肥満は依存症という病気? 2013/07/17
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/07/blog-post_17.html

ペンシルバニア大学の2名の肥満研究者たちは、個人の健康指標としてのBMIに対し信頼性疑問を呈する前向き研究結果にもとづくperspective記事要約。

肥満は、糖尿病、心血管疾患、がん、睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪肝疾患、変形性関節症、他の異常と関連し、障害、死亡率、経済的コスト増大をもたらす事実。相反して、肥満の定義であるBMIに関して疑念を呈する報告

脂肪・骨格筋量を正確に測定し、実践的で、お高くないツール、疾患・死亡リスク予測バイオマーカーが、危急的に必要

逆に言えば、現状では、個人のリスクに関して、確定的なツールは存在してないということ


The Health Risk of Obesity—Better Metrics Imperative
Rexford S. Ahima, Mitchell A. Lazar
Science 23 August 2013:  Vol. 341 no. 6148 pp. 856-858 
DOI: 10.1126/science.1241244






肥満差別:非肥満・肥満者にもその後の肥満リスク増加をもたらす 2013/07/25
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/07/blog-post_6766.html


コカイン:前頭皮質の持続性樹状突起新生という構造異常をもたらし、持続性の欲求行動学習の原因となる ・・・ ドラッグの難可逆性メカニズム

動物モデルで、コカイン服用により脳内の学習・記憶に関わる領域の構造変化報告。


Cocaine-induced structural plasticity in frontal cortex correlates with conditioned place preference
Nature Neuroscience (2013) doi:10.1038/nn.3498
Received 16 May 2013 Accepted 15 July 2013 Published online 25 August 2013


ドラッグ歴に関連する一連の流れは、ドラッグ欲求・要求を生じ、ドラッグ治療克服に大きな障害となる。マウスin vivo実験で、コカイン投与により、樹状突起新規形成とその累積が見られ、新しい持続性の樹状突起新生(spine gain)がコカインで条件付けされた場所を好む行動と関連することが示された。

このコカイン使用と関連する前頭皮質の樹状突起新生は、欲求行動を駆動する刺激学習関連構造変化をもたらす


喫煙習慣を含め、生涯において禍根を残すような習慣を是認するロジックを駆使する集団・個人は多いが、少なくとも、個人の価値観が固まらない若年においての暴露を容易にする環境だけは絶対悪だろう。

2013年8月24日土曜日

アルツハイマー病:海馬フェリチン鉄増加認める →鉄のダークな側面

高身長遺伝子変異:鉄吸収増加 ・・・ 低身長は鉄供給により是正の可能性?  2013/08/22


って、鉄のホワイトな面を紹介したが、今度はブラックな面・・・



Increased Iron Levels and Decreased Tissue Integrity in Hippocampus of Alzheimer's Disease Detected in vivo with Magnetic Resonance Imaging.
J Alzheimers Dis. 2013 Jun 21. [Epub ahead of print]


鉄は、フリーラジカル反応を触媒するわけで、加齢と共に脳灰白質へ蓄積され、加齢関連疾患、例えばアルツハイマー病の発症リスクと関連する可能性がある。



今までのMRI研究で、基底核領域の鉄蓄積が示されていたが、アルツハイマー病の最重要領域である海馬は、アルツハイマー病抵抗性の他の領域、例えば、視床下部に比べ、検討されていなかった。
そこで、アルツハイマー病 31名、68名の健康対照比較。

高-、低-フィールド強度MRI装置にて定量的にフェリチン分子含有鉄量を field dependent relaxation rate increase (FDRI) method定量化

transverse relaxation rate (R2) 減少を組織損傷の指標とする


健康対照者にくらべ、アルツハイマー病患者は、海馬のフェリチン鉄増加(p = 0.019)だが、視床下部では認めない (p = 0.637),
そして、海馬ではR2減少あるも、視床下部では認めない (p < 0.001 、p = 0.37)

サンプル全体で、FDARIと  R2 は負の相関。

アルツハイマー病では、海馬障害がフェリチン鉄蓄積と共に観察される。


前向き研究が必要。




南アフリカ:colored民族での対非喫煙者比較での、喫煙寄与死亡率5割増し

このcolouredって意味合いは、有色人種という意味合いではないらしい、アフリカ系黒人と欧州系白人の混血という意味合いのようだ。




Differences among the coloured, white, black, and other South African populations in smoking-attributed mortality at ages 35—74 years: a case-control study of 481 640 deaths
The Lancet, Volume 382, Issue 9893, Pages 685 - 693, 24 August 2013



【背景】現行喫煙パターンの結果的影響はアフリカではまだ観察されてない。しかし、南アフリカでは、coloured男女(黒人・白人混血)ともここ数十年喫煙が進んでいる。coloured、白人、黒人(アフリカ系)での死亡率評価

【研究方法】 症例対照研究、南アフリカ死亡統計 481,640(35−74歳、1999-2007年)、年齢、性別、住民グループ、教育、喫煙5年前まで(yes/no回答)、基礎疾患情報を含む
症例は喫煙関連とされる疾患原因死亡
対照は選別された他疾患(除外としてはHIV、肝硬変、未知疾患、外因死、精神疾患)

疾患特異的症例対照比較は喫煙関連相対リスクを計算 (RRs; 喫煙既往・非喫煙者混合のため影響希釈)

これらRRsは、国内死亡率と組み合わせ、喫煙寄与死亡率を求める
合計にて、総死亡率における相対リスクと喫煙寄与数を求める
These RRs, when combined with national mortality rates, yielded

【結果】 colored populationにて、喫煙頻度は男女とも高く、喫煙既往・非喫煙者より喫煙者で総死亡率約50%高い (男性, RR 1·55, 95% CI 1·43—1·67; 女性, 1·49, 1·38—1·60)


RRsは、白人では同様(男性, 1·37, 1·29—1·46; 女性, 1·51, 1·40—1·62)だが、アフリカ系では少ない  (男性, 1·17, 1·15—1·19; 女性, 1·16, 1·13—1·20)

これらの相関がほぼ原因的であると仮定するなら、死亡全ての喫煙寄与比率は、
男性 35−74歳 colored 27% (5608/20 767) 、白人 14% (3913/28 951) 、 アフリカ系 8% (20 398/264 011)

女性に関しては、coloured  17% (2728/15 593) 、 白人 12% (2084/17 899)、 アフリカ系 2% (4038/205 623)


国内死亡率でも、colouredは白人より死亡率高く、colouredの喫煙ハザードは白人の2倍を超える


【結論】
肌の色のちがいでみる喫煙寄与死亡率最高はcolouredで、アフリカ系が最も少ない。

治療不応性てんかん半球切除・・・機能的予後良好とは言えない

Long-term functional outcomes and their predictors after hemispherectomy in 115 children
Epilepsia Article first published online: 23 AUG 2013
DOI: 10.1111/epi.12342


治療不応性てんかんに対する、大脳半球切除:hemispherectomy115名の子供を平均6.05年間の長期フォローアップ
多くである、70名/115名は痙攣発作無し、96名/115名は自立歩行可能となった。

しかし、多くの領域で日常機能障害が多く存在することが報告された。
6歳以上で、3分の2で軽度言語障害、85%ではメインの通学で補助必要か、特殊学校への通学となっている。年齢相応の読書能力なのはわずか18%のみ。

てんかん再発症例で、歩行、言語、読書、行為能力に関するアウトカム不良が多い。

以前の報告では、大脳半球切除により52%−80%の無てんかんというもので、先天的・後天的半球性てんかん・薬物治療不応例での有効な治療法とされてきた



半球切除および半球離断
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/neurosurg/rinsho/tenkan2.htm

2013年8月23日金曜日

プロバイオティクス:アトピー関連検査に効果あるも、喘息・喘鳴に効果無し ・・・ 悪化菌種も存在

"乳酸菌 L. acidophilusで、アトピー感作リスク増加"という部分が気になる。

菌種により効果が様々ということは重要で、リスク増加の可能性さえある菌種がある。
アトピー感作に関する検査値異常、すなわち、皮膚プリック試験やIgE特異抗体に関して効果的だが、喘息や喘鳴などの臨床的なアウトカムに関しては確定的なものは存在しない



臨床的には懐疑的な結論となっている。

nistration in Early Life, Atopy, and Asthma: A Meta-analysis of Clinical Trials
Nancy Elazab, et. al.
Pediatrics DOI: 10.1542/peds.2013-0246
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2013/08/13/peds.2013-0246.full.pdf


【背景と目的】 probioticsは小児のアトピーと喘息のリスクを減少させる可能性があるが、臨床トライアルからの結論は様々で、検出パワー不足研究もある。ランダム化プラシーボ対照化トライアルのメタアナリシスにて、probioticsサプリメント投与にて、アトピー感作と喘息/喘鳴予防効果評価

【方法】 Random-effects modelを用い、pooledリスク推定計算。メタ回帰にてprobiotics有効性に関わる寄与要素の影響調査。

【結果】 Probioticsは、総免疫グロブリンE(IgE)減少に効果的  (mean reduction: –7.59 U/mL [95% 信頼区間(CI): –14.96 to –0.22]; P = .044).

メタ回帰で、IgE減少はより長期フォローアップでも深まることが示された。

Probioticsは、胎児期に投与されたときアトピー感作リスクを有意に減少する  (皮膚プリックテスト and/or 通常アレルゲンへの特異的IgE増加の相対リスク: 0.88 [95% CI: 0.78 to 0.99]; P = .035。そして、出生後も減少  (皮膚プリック陽性に於ける相対リスク: 0.86 [95% CI: 0.75 to 0.98]; P = .027)



Lactobacillus acidophilus投与は、他の種類と比べ、アトピー感作リスク増加と関連する (P = .002)
Probioticsは有意に喘息/喘鳴を減少せず (相対リスク: 0.96 [95% CI: 0.85 to 1.07])





【結論】
出生前 and/or 出生後間もないころからのprobiotics投与はアトピー感作リスク減少し、総IgE レベル減少するが、喘息/喘鳴リスク減少せず
フォローアップ期間・菌種によりこの効果は有意に異なる可能性がある
喘息予防のさらなるトライアルにおいてはprobiotics菌種選択に関して注意が必要だし、より長期のフォローアップが必要






対メトホルミン比較、シタグリプチン使用にて超過死亡増加

日本の糖尿病診療は、国際的に見て狂ってる異なってる。特に、メトホルミン使用に関して・・・ 

以下の論文では、日本の診療上直接応用はできないし、そもそも、文献自体が後顧的検討で、かつ寄与要素補正が不十分。

でも、単純に見ると、シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)単剤は、メトホルミン使用者に比べ死亡率超過あり

筆者等は、シタグリプチン使用だと薬剤変更に苦労した症例だから予後悪いんだと説明しているが・・・

All-cause mortality and cardiovascular effects associated with the DPPIV-inhibitor sitagliptin compared with metformin, a retrospective cohort study on the Danish population
Diabetes, Obesity and Metabolism, 08/22/2013

あくまで、後顧的コホート解析

sitagliptin治療でのメトホルミン単剤治療と比較;死亡率・心血管疾患の臨床的アウトカム


検討:84,715名


シタグリプチン単剤 1,228(1.4%)
メトホルミン単剤 83,487(98.6%)


メトホルミン使用患者は、より若年 (59.0 ± 15.2 vs. 62.5 ± 13.0)、男性でやや少ない  (51.6 vs. 54.2%)、単剤使用期間が長い (1.8 ± 1.3 vs. 0.9 ± 1.1 years)


メトホルミン服用者と比べ、シタグリプチン使用患者は統計学的に有意でない全原因死亡超過リスクがある (ハザード比, 1.27; 95% 信頼区間 (CI), 0.93 to 1.73; P = 0.139 or 複合エンドポイント (hazard ratio, 1.25; 95% CI, 0.94 to 1.67; P = 0.128)



しかし、シタグリプチン単剤使用は、治療変更尤度多いことが関連  (ハザード比, 4.88; 95% CI, 4.46 to 5.35; P < 0.001).

卒中血栓溶解治療;超早期治療(90分以内)ほどよい

90分内の血栓溶解治療が、それ以降の治療より、より有効

死亡率の差は認めないが、アウトカム良好性と関連

"Ultra-early intravenous stroke thrombolysis: do all patients benefit similarly?"
Strbian D, et al
Stroke 2013; DOI: 10.1161/STROKEAHA.111.000819.

連続症例前向き集積データ(10の欧州卒中センター)


全コホート (n=6856)、発症から治療開始までの時間の短さを連続変数として評価すると、有意に、アウトカム良好性と相関  (P<0 .001="" p="">

5名に1人ほど、90分以下の発症から治療開始までの時間で。これらの患者は頭蓋内出血の頻度少ない。

年齢、性別、受診時血糖値、治療年数補正後、発症から治療開始までの時間は、そのアウトカムの良さと相関
National Institutes of Health Stroke Scale 7 〜 12 (オッズ比, 1.37; 95% 信頼区間, 1.11–1.70; P=0.004)

しかし、ベースラインのNational Institutes of Health Stroke Scale>12 の患者でベースラインでのではそれは認めない  (オッズ比, 1.00; 95% 信頼区間, 0.76–1.32; P=0.99) 、また、ベースラインでの National Institutes of Health Stroke Scale 0 〜 6 (オッズ比, 1.04; 95% 信頼区間  0.78–1.39; P=0.80)の患者でも認めない


アウトカムとして、修正Rankin scale 0を考慮した場合には、独立した相関が認められた  (odds ratio, 1.51; 95% 信頼区間  1.14–2.01; P<0 .01="" nbsp="" p="">(要するに、軽症症状患者による本来良好予後による、天井上乗せ効果を除外するための検討)


超早期治療は死亡率と相関せず



医療整備されてない地域では、恩恵が得られないという・・・

喫煙と卒中リスク ほぼ性別差認めず

喫煙の害そのものを認めない人間がいる、それも、○○大学教授や元教授とかいう肩書きや○○賞受賞という栄光の肩書きを持つ人間にも・・・

後述するが、かれらの主張は比較的ステレオタイプ。

たばこの害に関する性別影響は、妊娠出産など継代的影響は特別
妊娠中母体喫煙は子供の行為障害へ影響を与える:遺伝的要素独立コホート研究で証明 2013/07/25
では、卒中などの世代限りの影響はどうか?

Smoking as a Risk Factor for Stroke in Women Compared With Men
A Systematic Review and Meta-Analysis of 81 Cohorts, Including 3 980 359 Individuals and 42 401 Strokes
Published online before print August 22, 2013,
doi: 10.1161/ STROKEAHA.113.002342

PubMed Medlineを用い、前向き住民ベースコホート研究を検索し、19966年1月1日から2013年1月26日まで検索された文献で、卒中に対する、喫煙・非喫煙比較の変数に関し性別特異的な相対リスク推定因子


81の前向きコホート研究データ、中身、3,980,359名、卒中42,401

喫煙は両性とも卒中の独立したリスク要素


全体分析だと、pooled多因子補正相対的リスク比(RRR)は、女性は、男性と同じリスク  (RRR, 1.06 [95% 信頼区間, 0.99–1.13])


地域解析によると、西洋では、女性では男性に比べより有害性認める (RRR, 1.10 [1.02–1.18)] が、アジアでは性差認めず (RRR, 0.97 [0.87–1.09]) 


never-smokerと比べると、喫煙既往者での禁煙の有用性効果は、両性とも同様 (RRR, 1.10 [0.99–1.22]).


禁煙ファシズム
他団体を批判するとき一番意味の無い言葉・・・ファシスト・ファシズム
本来のファシストに対してちょっとでも賛同する意見を示すことさえ否定されてしまうことが麻生副総理発言曲解報道でも明らかになった。これは、相手に絶対悪だとラベルする言葉であり、議論継続拒否を表明する言葉である。


この言葉をやたらと聞く昨今


わたしは、禁煙学会という名称に関して疑問を持っているが、かれらをファシズムと呼ぼうとは思わない。中立的立場を担保する学問集団ではないということも批評に加えておこう。

欧州各国調査:たばこを吸ってるシーンを見せられると青少年喫煙比率は増加する2011年 09月 24日メディアと青少年喫煙問題 2005/12/09【規制必要】プロダクト・プレスメント 映画内ブランド露出広告 2013/05/28 

喫煙習慣につながりやすいシネマ上、テレビ上での喫煙シーンに関する影響に関して疫学的一定のエビデンスが有り、それに対して苦言を呈したことには賛同したい


一方、疫学という学問の存在を否定する【学者さんたち】も存在する。そして、司法の場で、それがまかり通っているという日本の現実。横浜たばこ病裁判に於ける「“原因”は病理によってのみ確定されるのであり、“疫学”によっては確定されないのである」” という証言 が象徴的。

喫煙と肺がんに関するエビデンスと議論 ”実験的結果の欠如” ”疫学的証拠軽視主義” ・・・などが存在 2012/01/23

テレビでよく見聞きする中京大学の先生も、ほぼ”“疫学”によっては確定されない”ということと、バイアスデータによる批評に基づくもののようだ。


ランダム化二重盲験プラシーボ対照研究:急性頸部痛に対するボルタレンゲルの有効性安全性

ジクロフェナク・ゲルは、日本では、ボルタレンゲル1%として"変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎 (テニス肘等)、筋肉痛 (筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛"の保険適応で、OTCとして外用鎮痛・消炎剤「ボルタレン®AC」が発売されているらしい。

値段
ボルタレンACゲル 50g:1980円
ボルタレンACゲル 25g:1280円
もうちょっと安くできないものか?
医療施策として考えるなら、医療リソース対比できないくらい安価な状況を作る必要があるとおもうのだけど・・・

Efficacy and safety of diclofenac diethylamine 1.16% gel in acute neck pain: a randomized, double-blind, placebo-controlled study
Hans-Georg Predel, et. al.
BMC Musculoskeletal Disorders 2013, 14:250 doi:10.1186/1471-2474-14-250
 Published: 21 August 2013

【序文】
頸部痛(NP)はプライマリケアで多い筋骨格筋疾患で、不快な症状の原因となることが多い。NSAIDSは頸部痛軽減し、炎症軽減効果が期待され、早期治癒の可能性も期待されている。局所投与として、Topical diclofenac diethylamine (DDEA) 1.16% ゲルが、急性慢性筋骨格筋疾患に対し有効で耐用されると判明しているが、急性頸部痛、NPに関する治療に関しては現在まで臨床的データは存在しない。この研究の目的はDDEA 1.16%ゲルの有効性安全性をプラシーボ比較で評価すること


【研究方法】
ランダム化、二重盲験、プラシーボ対照化研究において、急性頸部痛(n=72)
DDEA 1.16% ゲル(2g, 4×/day, 5日間) vs プラシーボ

有効性評価は、 pain-on-movement (POM)、 pain-at-rest (PAR)、 functional neck disability index (NDI) と response to treatment (decrease in POM by 50% after 48 h)

副事象;Adverse events (AEs) は全研究期間対象


【結果】
プライマリアウトカムである、48時間時点でのPOMは統計学的に有意に減少
DDEA gel (19.5 mm) vs. placebo (56.9 mm) (p < 0.0001)

これは、ベースラインからの減少として臨床的有意なものである (それぞれ、75% vs. 23% )


すべてのPOMスコアは。プラシーボ比較で、DDEAゲルで、1時間で有意に減少
PARやNDIスコアは、初期評価(24時間)から以降も減少  (all p < 0.0001)


治療反応性は、プラシーボ比較した場合DDEAゲル群で有意に良好 (94.4% vs.  8.3%) (p < 0.0001)

DDEAゲルの副作用なし


【結論】
DDEA 1.16% ゲルは、OTCとして入手可能、急性頸部痛に対し有効で、耐用性あり

有効性評価ツールにより、迅速に頸部痛改善し、頸部機能改善を示す。

しかし、これらのツールがほんとに比較可能性判断に有効で、信頼できるものか不明。

さらなる研究により、このDDEA 1.16%ゲルがこのありふれた機能低下状況に対する代替的治療オプションとなるか確認が必要であろう。

AACE:米国内分泌学会 インクレチン糖尿病薬とがんリスクとの関連性のエビデンス不十分との見解


American Association of Clinical Endocrinologistsのコンセンサスステートメント


インクレチン糖尿病薬とがんリスク増加の関連性に関し、確実なエビデンスとしては不十分

リスクにかする懸念は持つべきで、患者モニターはしっかりすべきだが、現行エビデンスとしてはトータルには変更の必要は無いというステートメント


Source reference: Handelsman Y, et al "Diabetes and cancer -- an AACE/ACE consensus statement" Endo Pract 2013; DOI : 10.4158/ep13248.cs.
https://www.aace.com/files/position-statements/diabetes-and-cancer-consensus-statement.pdf


推奨事項
・ライフスタイルと肥満のルーチンカウンセリングが糖尿病ケアの基本
・肥満関連悪性疾患に関し、糖尿病を含む代謝的問題を検査しておくこと
・臨床医は糖尿病患者ではより若年からがん検診を推奨を考慮
・現時点での明快な臨床的判断には、抗糖尿病薬のリスクベネフィット比に基づく必要性と、適切でない糖尿病コントロールと糖尿病合併症に対する、すぐではないが内在可能性のある、がんリスクの比重を考慮する必要性がある。


2013年8月22日木曜日

妊娠糖尿病と閉塞型無呼吸症候群との関連 

閉塞型無呼吸症状の妊娠糖尿病リスクのアンケート研究はあるが、閉塞型無呼吸のPSGによる客観的検討相関は知られてないとのこと。

非妊娠・非糖尿病女性(NP-NGT)、正常耐糖能妊娠(P-NGT)、妊娠糖尿病(P-GDM)それぞれ15名の観察症例対照研究

妊娠は睡眠障害と関連し、耐糖能正常妊娠者に比べ、妊娠糖尿病患者では、より睡眠障害が見られる。妊娠糖尿病と閉塞型無呼吸症候群との関連性

Interactions Between Pregnancy, Obstructive Sleep Apnea, and Gestational Diabetes Mellitus
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism August 21, 2013 jc.2013-2348


NP-NGTと比較し、P-NGT女性でAHI高値  (median 2.0 vs 0.5, P = .03)、さらに睡眠開始続く覚醒時間に反映されている睡眠障害が見られ (median 66 vs 21 min, P < .01) 、高microarousal index (median 16.4 vs 10.6, P = .01)も見られる。

妊娠女性間では、P-GDMでは、P-NGT女性に比べ、極度に総睡眠時間数極端に少なく (median 397 vs 464 min, P = .02) 、  AHI高値  (median 8.2 vs 2.0, P = .05)


OSAはP-NGT女性よりP-GDPで多い  (73% vs 27%, P = .01)

妊娠後BMI補正後、GDMの診断はOSA診断と相関する [オッズ比 6.60 (95% 信頼区間 1.15–37.96)].

妊娠において、妊娠BMI補正後、microarousal inexは有意に糖化ヘモグロビン高値 と空腹時血糖高値 と関連する

酸素飽和度低下程度は、空腹時血糖高値 と相関する。

小児・若年期:抗精神薬は2型糖尿病発症リスク量依存的に増加させる

小児・若年期における抗精神病薬処方量増加と2型糖尿病の後顧的コホート研究



Antipsychotics and the Risk of Type 2 Diabetes Mellitus in Children and Youth
 William V. Bobo, et. al.
JAMA Psychiatry. 2013;():-. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.2053.

抗精神病薬使用は、2型糖尿病リスク3倍増加  (HR = 3.03 [95% CI = 1.73-5.32])
それは当初1年間フォローアップ内で特に明らか (HR = 2.49 [95% CI = 1.27-4.88])



累積投与量に比例してリスク増加し、それ未満と比較し、5g超、5-99g、100g以上でそれぞれハザード比は 2.13 (95% CI = 1.06-4.27)、3.42 (95% CI = 1.88-6.24)、 5.43 (95% CI = 2.34-12.61) (クロルプロマジンで換算g)(P < .04)


向精神薬中止後1年フォローアップでもリスクは残存  (HR = 2.57 [95% CI = 1.34-4.91])


コホートを6-17歳までで限定するとお、抗精神薬使用者は、2型糖尿病リスク 3倍超 (HR = 3.14 [95% CI = 1.50-6.56])で、累積投与量に応じてリスク増加  (P < .03)


リスクは、非定型向精神薬リスペリドンに限定した場合でも増加  (HR = 2.89 [95% CI = 1.64-5.10])、HR = 2.20 [95% CI = 1.14-4.26])







高身長遺伝子変異:鉄吸収増加 ・・・ 低身長は鉄供給により是正の可能性?

遺伝的鉄過剰疾患であるHFEヘモクロマトーシス(ホモ接合体 C282Y遺伝子変異 93%、 compound H63D-C282Y遺伝子変異 7%)は、一般より有意に背が高い(男性で 4.3cm、女性で3.3cm)
この遺伝子異常は比較的両性の疾患で、鉄過剰状態がごく軽度鉄腸内吸収増加させる異常で、、フェリチンが1,000 mcg/Lを超えることがないのが幸いしている状況。

HFE変異は北欧に多く、ケルト民族6千年ほどにさかのぼれ、アイルランド系に比べ、高身長。

成長遅延が鉄不足で生じることが多ことと、鉄慢性的十分状態の時、低身長は少ない。
身長正常な子供でも、身長増加に関して、鉄必要量と供給量が影響を与えるのかもしれない。


Increased Height in HFE Hemochromatosis
N Engl J Med 2013; 369:785-786August 22, 2013DOI: 10.1056/NEJMc1303066

・・・・・・・・・・

単なる仮説ですが、40年前に知っておけば・・・ 



ただ、炎症性疾患に関して言えば、鉄は毒! ・・・ これだけは知っておくべき
そして、鉄過剰状態が問題となることも多い。

血管疾患臨床症状群:血中HDL低値は強化治療群では意味を持たない 抗脂質無治療・通常治療では従来通りの解釈が通じる

COURAGE試験の事後分析


いわゆる悪玉コレステロールに対してスタチン治療コントロールされている患者でも、果たして、善玉コレステロールはその意味合いをもつのか?

・・・答えはNo!


善玉は常に善玉ではない・・・・ 【元々、善玉・悪玉と命名する方がおかしい】


Low HDL-cholesterol is not a risk factor for recurrent vascular events in patients with vascular disease on intensive lipid-lowering medication
Anton P. van de Woestijne, et.al
J Am Coll Cardiol. 2013;():. doi:10.1016/j.jacc.2013.04.101


低HDLの血管系リスクについて、臨床的な血管疾患を有する患者の脂質効果治療や強度関連付け評価

低HDLは血管疾患のリスク増加と関連し、他のリスク要素治療済みの患者の潜在血管リスクに多く寄与する。しかし、スタチントライアルからの事後分析では、低HDLコレステロールと関連する血管リスクが強化スタチン治療患者ではないか、少ない。

6111名の血管疾患を示す患者の前向きコホート研究
Cox比例ハザードモデルで、HDL-コレステロールの血管イベント評価(脂質降下治療:無し、通常量、強化治療患者での評価)

フォローアップ中央値5.4年間(IQR 2.9-8.6年間)において、心筋梗塞、卒中、血管死の新しい血管イベント発生は、874名

ベースライン無治療患者(n=2153)では、HDL-コレステロール 0.1 mmol/L増加毎5%の全血管イベント減少(HR 0.95, 95% CI, 0.92-0.99)


通常量治療患者(n=1910)では、6%減少(HR 0.94, 95% CI, 0.90-0.98)

しかし、強化脂質降下治療(n=2046)では、再発血管イベント増減と関連せず(HR 1.02; 95%CI , 0.98-1.07)、これはLDL-コレステロール状況と対応せず


結論:臨床的所見ある血管疾患患者では、脂質治療無治療あるいは通常治療群では、血中HDL低値は、血管リスク増加と関連。
一方、強化脂質治療患者では、HDL-コレステロール低値は血管リスクに対して効果認めない。




ALADINトライアル:常染色体優性多発性腎嚢胞へのソマトスタチンアナログであるオクトレオチド徐放剤型の効果

常染色体優性多発性嚢胞腎(Autosomal dominant polycystic kidney disease, ADPKD)は終末期腎疾患へ緩徐進行する疾患で、有効な治療法はない。

ソマトスタチン・アナログである、オクトレチド:octreotide 長時間持続徐放(long acting release)は腎保護的に働く


Effect of longacting somatostatin analogue on kidney and cyst growth in autosomal dominant polycystic kidney disease (ALADIN): a randomised, placebo-controlled, multicentre trial
Anna Caroli ,et. al.
 The Lancet Early Online Publication, 21 August 2013
doi:10.1016/S0140-6736(13)61407-5


イタリアでの学術的多施設ランダム化単盲験プラシーボ対照化平行群トライアル
18歳超eGFR 40 ml/min/体表面積1.73 m2を1:1割り付け
プライマリエンドポイントは、1年後、3年後MRI測定総腎容積(TKV)

2006年4月27日から2008年5月12日まで
1年時点、この時点での評価可能MRIスキャンは、octreotide-LAR群 38名、 プラシーボ群 37名

平均TKVは、プラシーボ群に比べ、octreotide-LAR群で増加量減少( 介入群 46.2 mL, SE 18.2 vs プラシーボ群 143.7 mL, 26.0;  p = 0.032)

両群35名ずつで3年フォローアップ時評価可能MRIスキャン行い、平均TKV増加は数量的に少ない(介入群 220.1 mL, 49.1 vs プラシーボ群 454.3 mL, 80.8)
しかしその差は有意で無い (p =0.25)

octreotide-LAR群 37(92.5%)、プラシーボ群 32(82.1%)で、最低1回の副事象(p=0.16)

重度副作用は2治療群同等

胆石症、急性胆嚢炎4例がoctreotide-LAR群でみられ、おそらく治療関連事象と考える





2013年8月21日水曜日

閉塞型睡眠時無呼吸症候群:「夜間うめき、窒息」

文献検索による閉塞型無呼吸臨床兆候検討


検診レベルと受診レベル、両方での検討


この疾患では、「夜間のあえぎ(gasping)、窒息」が最も信頼性ある兆候


Does This Patient Have Obstructive Sleep Apnea?
The Rational Clinical Examination Systematic Review
Kathryn A. Myers,  et. al.
JAMA. 2013;310(7):731-741. doi:10.1001/jama.2013.276185.

地域検診患者での睡眠時無呼吸の頻度は2%-4%(サンプルサイズ 350-1741)で、睡眠評価受診患者では21%-90%(サンプルサイズ 42-2677)
 
AHI閾値ベース有病率変数は、
AHI 5以上 14%
AHI 15以上 6%
 
疾患定義上AHI 5以上、且つ、有症状という定義では、2%-4%


睡眠評価受診という立場では、睡眠時無呼吸例では、そうでない例より体重増加
 (summary BMI, 31.4; 95% CI, 30.5-32.2 vs 28.3; 95% CI, 27.6-29.0; P < .001 for the comparison)


閉塞型無呼吸患者同定のためのもっとも有効な観察指標は、夜間窒息、あえぎ(AHI 10以上検出 要約尤度比 [LR], 1.1; 95% CI, 1.0-1.1)

いびきは睡眠時無呼吸で最も多い症状だが、診断確立には役立たない(summary LR, 1.1; 95% CI, 1.0-1.1)

BMI 26未満の軽度いびき患者は、中等度・重度無呼吸症候群の確率低い

集約医療システム内多枝高血圧プログラムにより血圧コントロール症例倍増 心血管予後改善

multipronged program:多枝プログラムという訳にしたが、その集約医療システム内多枝高血圧プログラムを地域規模で大規模に行ったところ、血圧コントロール改善に寄与し、アウトカム無改善ももたらされているという結論

日本の厚労省は、メタボ以降、心血管疾患予防方針間違えてるのではないかと思う。
肥満糖尿病対策ももちろん大事だが、高血圧治療の徹底の方が包括的に考えれば障害や死亡率への予防インパクトは大きいはず。メタボ検診を強引に進め、いま、意味不明な状況になっていると私は感じる。


エビデンスに基づくガイドラインやパフォーマンス測定の開発・シェアリングを含む大規模高血圧プログラムで、2001年から2009年間での間に、高血圧コントロールほぼ2倍となった。

決して、セクシーな(紹介記事にそう書いてある)報告ではないが、現実的なお話という評価

Kaiser Permanente Northern California (KPNC) hypertension program
http://www.nationalforum.org/sites/default/files/10th%20NF%20Plenary%204%20Jaffe.pptx

まとめ(KPNC 2001年−2009年)
      • HTN コントロール率 44%→80%と倍
      • HTN 登録 167%増加
      • コントロールされた高血圧 17万1千 → 53万1千
      • KPNCによる心発作減少効果
    • 6つのケアプロセスを組み入れ
      • エビデンスベースガイドライン開発
      • HTN登録作成
      • パフォーマンス測定分布
      • 臨床実践の成功的伝播
      • 単一製剤併用療法治療促進
      • 非医師血圧受診方法形成





高血圧ガイドラインの変遷















心臓イベントへの効果


















Improved Blood Pressure Control Associated With a Large-Scale Hypertension Program Marc G. Jaffe, et. al. JAMA. 2013;310(7):699-705. doi:10.1001/jama.2013.108769.

内側変形性膝関節症:メタ・アナリシスにて足底板使用支持するエビデンス無し

Lateral wedge shoe insoleとは、足底板

宣伝サイト e.g. http://www.drlannysinsoles.com



日本では、論文要約として有用という話もあるようだ;http://www.eisai.jp/medical/clinician/vol58/no603/pdf/sp13_603.pdf

上記日本での要約結論ではメタアナリシス手法使われておらず、その存在意味さえ疑問


で、メタアナリシス手法によると、研究方法の問題点が浮かび上がり、20項目WOMAC疼痛スケール 2.12点減少が示されるが、プラシーボに比べ明確な違いは証明できていない。
対照無しの通常の靴との比較というバイアスの存在が分析で指摘され、ブライド化されたneutralあるいはflatな足底板との比較では、その差が示されてない。


Lateral Wedge Insoles as a Conservative Treatment for Pain in Patients With Medial Knee Osteoarthritis
A Meta-analysis
Matthew J. Parkes, et. al.
JAMA. 2013;310(7):722-730. doi:10.1001/jama.2013.243229.


結論は、全研究メタ・アナリシス的プーリングにて、lateral wedgeと内側変形性膝関節症疼痛軽減に関し、統計学的に有意な関連性をみとめるが、比較要素として、neural insole使用研究が少なく、有意で、臨床的意義ある相関とは思えない。

故に、現状では、このlateral wedge shoe insole使用は支持できない。

アルツハイマー:銅は低濃度でも脳内アミロイドβ蓄積性に働く

銅などミネラルは、神経伝導、ホルモン分泌、骨や結合組織増殖に重要な役割をはたすが、ダークサイドな部分が存在することが明確になった。テレビやラジオ・新聞・週刊誌チラシなどでは、食品関連広告でミネラルたっぷりということを、プラスの効果のみ強調する。

だが、銅に関しては、たとえ許容範囲とされるレベルでも、脳内にて毒性作用を生じ脳内のバリアを障害する。βアミロイド産生増かの燃料となり、脳内の正常化しようとするメカニズムを障害する働きをもつ。銅はひろく食物、例えばレッドミート、貝類、ナッツ、果物野菜に含まれ、ビタミンサプリメントに使用される。

一方、創薬として、銅分子結合のp2治験が行われている状況にある。サプリメント内銅濃度、水フィルターによる銅除去などが有効かの検討も・・・

銅の悪影響開始あるいは働く、血液脳関門形成に関するキーポイント研究はスタートしたばかり


Low levels of copper disrupt brain amyloid-β homeostasis by altering its production and clearance
Itender Singha, et. al.
Published online before print August 19, 2013, doi: 10.1073/pnas.1302212110 PNAS August 19, 2013


銅の低レベル投与状態で正常動物脳内アミロイドβ蓄積するが、銅はクリアランス・その産生に関係することでアミロイドβ蓄積と関連。アミロイドβ前駆蛋白(APP)過剰発現トランスジェニックマウスで銅ホメオスタシス変化するので、正常マウスでの銅-誘導性アミロイドβ蓄積のメカニズム、アルツハイマーマウスモデルでの銅の役割を明確にする目的。

加齢マウスで、脳毛細血管内銅蓄積は、LDL受容体関連蛋白(LRP1)、アミロイドβ transporterの減少、脳内アミロイドβ増加と関連

ヒト脳毛細血管では、正常標識レベルにおいて、nitrotyrosination誘導によるLRP1特異的なdown-regulationの原因となり、銅/細胞内プリオン蛋白/LRP1の一部相互作用によるproteosomal-dependent degradationを引き起こす。

APPsw/0マウスでは、対照マウスに比べ、銅は、脳内のLRP1のdown-regulationするだけでなく、脳毛細血管内銅蓄積により、脳実質内のアミロイドβ産生と神経炎症増加する。

以上のように、脳内アミロイドβホメオスタシスの銅の影響として毛細血管内あるいは脳実質内蓄積することが確認された。

2013年8月20日火曜日

高高度パイロット脳障害



白質病変:white matter hyperintensities (WMH) 
大脳白質病変は主に虚血性変化であり、特に高度な脳室周囲高信号域(PVH)を 有する例は脳卒中および認知機能障害発症の高リスク群であり、治療可能な危 険因子、特に高血圧症の積極的治療を考慮する 
参照:http://www.jsts.gr.jp/guideline/220_222.pdf
ロッキード U-2(Lockheed U-2)はロッキード社がF-104をベースに開発したスパイ用の高高度偵察機。


White matter hyperintensities on MRI in high-altitude U-2 pilots
Stephen McGuire, et. al.
Neurology August 20, 2013 vol. 81 no. 8 729-735


102名のU-2パイロットと、91名の(年齢、健康、教育レベル)マッチ化対照

U-2パイロットはWMHの容積(394%; p = 0.004) 、数(295%; p < 0.001) とも有意に増加する。

区域分布解析では、対照分布に比べ、U-2パイロットの分布は、WMHは、より不均一。



仮説として、繰り返す高高度による気圧低下が微小血栓の影響を与え、結果、パイロットの脳内に白質病変の数、容積、分布に異常をもたらす

医師生涯学習:利益相反とバイアス

日本医師会の生涯学習企画のうち、都道府県医師会および市区町村医師会の生涯学習なんて製薬会社が段取りつけて、名前を貸してるだけって企画だらけ。
私の周りで見聞きする生涯学習教育の、ほぼすべてが商用関係者からのサポートだろう。
地方の医師会の生涯学習担当だったとき、若干ながら、地元医師会からのみの企画を行ったことがあった。後援者の交通費・交通行程・宿泊施設、企画案の理事会への諮問、広報、駐車場確保を含めた会場運営などへの気配り・目配りが大変で、やるからには相当の努力が必要なのは事実。

製薬企業・医療機器メーカー向け
http://www.med.or.jp/cme/about/jissi/seiyaku.html

これらの企業向け基準は果たして利益相反、バイアスに関して有効なのか?
議論すべきことだろう。


生涯学習企画が、専門医制度の更新制度に関わるのなら、ますます、利益相反開示、バイアスへの評価が必要となるだろう




 What Is the Enemy in CME, Conflicts of Interest or Bias?
JAMA. 2013;():-. doi:10.1001/jama.2013.221227. 

米国でも、2011年において、正式許可・医師生涯学習(CME)の75%は、商用関係者からのサポートを受けている。商用サポートを受けることは、利益相反とバイアスの問題が生じる。利益相反は打ち消し不能な影響やバイアスをもたらす許容不能のリスクをもたらす状況である。

利益相反の公開と管理、特に企業(製薬会社など)とCMEスポンサー・医師との経済的関連性を看過するCMEは、CMEプレゼンテーションのバイアスを軽視している状況にある。

CMEのバイアスは利益相反より問題があり、バイアスの非認容レベルも存在する。CMEプログラムはバイアスを同定し、減少することに関心を持ち、さらに、利益相反ポリシーを組み込む努力が行うべきである。


利益相反とバイアスの区別は、CMEだけではなく、医学研究、臨床的ケア、臨床ガイドライン開発、政府政策意思決定など患者ケアに影響を与えるものである。


利益相反とバイアスの区別と不可逆的影響
利益相反は、不可逆的影響の関連概念とバイアスと区別する必要がある。CMEコースやプレゼンテーションが経済的あるいは個人的考えで不適切に影響を受けるときに、不可逆的影響が生じる。例えば、製薬会社は後援者を提案し、選択するとき、彼らの製品に有利にするよう働く。スピーカーがバイアスを含むプレゼンテーションをせずとも、薬剤選択への不可逆的影響が、医学教育の独立性や教育プロセスへの社会的信用性を蝕むこととなる。バイアスは、科学的信頼性に基づかない、そして、強力なエビデンス比重に下支えされてない情報、結論づけ、推奨作成で生じる。しかし、多くの利益相反はバイアスを生じない。バイアスは企業との経済的関連性より他の要素で生じうるもので、例えば、治療アプローチ、トピックの助言乏しいところ、手法の限定されるところ、判断困難部分への知的協力を含めた要素からも生じる。利益相反は、感度・特異度の不完全なバイアスに満ちた検査に類似する。


生涯学習における利益相反への現行アプローチ
利益相反の開示は本質的第一段階で、開示無しにはスピーカーが非容認的不可逆的影響やバイアスをもたらすかアクセスすることさえできない。しかしながら、利益相反の火事時は副産物として、スピーカーはバイアスを有する臨床的助言を開示後に増やすこととなり、リスナーは防御されていることを知り、助言の価値を低めることもある。さらに、良質デザイン研究、製薬メーカーのスポンサーの利益相反情報開示によりその真の価値を過小評価するともある。医師たちは研究中のバイアスに比べて経済的利益相反を不当に重くとらえぎみである、そういう副作用ももたらす

生涯学習におけるバイアスへの現行アプローチ
バイアスは生涯学習コース責任者・スタッフをスライドをプレビューすることで確認し、次に、プレゼンテーション施行後の学習者のアンケートで確認。
学習者は商用的影響やバイアスに対して報告することは少ない。しかし、彼らの認識はバイアスを過小評価する方向にある。

1.  学習者はプレゼンテーションがバイアス化されているかは一般的に十分な知識を持たない
2. 学習者は詳細な、思慮深いコメントしようとするインセンティブ少ない
3. 生涯学習のバイアス検知アンケートは、バイアスに関する一般的質問一つだけのことが多く、大雑把で、直感的な判断のみ求め、運用上のキータームの定義すらされてない。
4.バイアスの特異的表現について質問者が訪ねなくても、バイアスの最も簡単な携帯である企業ロゴがスライド状あったり、トレードネームに言及したかのような形の質問に着眼する


・・・・・・・・・・・・

特異的チェック項目


Specific and verifiable questions might include:

  1. プレゼンテーションが病状管理のオプションとして、ジェネリック薬品、ライフスタイル変容を含むか? 利益・不利益比較はされてるか?

  2. プレゼンテーションにおいて、エビデンスのクリティカルな文献レビューやメタアナリシスが使用されているか?

  3. 議論の俎上にあがっている新しい治療法のデータに不足はないか?

  4. プレゼンテーションあるいは経過において見逃されている重大な付随トピックスは存在しないか?


2013年8月19日月曜日

多施設RCT:ヨガは、がん生存者の睡眠の質改善し、睡眠薬依存軽減

Mustainらのグループは、ASCO2010年に早期報告をしている。
URMC(University of Rochester Medical Center)で開発された方法でヨーガ:Hatha yogaと、restorative yoga、stressing mindful breathing、瞑想、gentle stretchingを要素とする。


睡眠障害を合併するがん生存者でヨガ・プログラムで、睡眠の質改善し、睡眠薬依存を減少させる

75分、低強度ヨガセッション週2回参加者では1ヶ月で、標準治療群に比べ睡眠薬使用21%減少する。対照では、週ごと5%ずつ薬物使用増加するのと対照的。
両群とも、包括的睡眠の質は改善するが、ヨガ群では、入眠の遅れ、睡眠時間、睡眠効率、睡眠障害、主観的睡眠の質、日中機能障害を改善する

"Multicenter, randomized controlled trial of yoga for sleep quality among cancer survivors"
Mustain KM, et al
J Clin Oncol 2013; DOI: 10.1200/JCO.2012.43.7707

がん生存者30%〜90%で治療後”睡眠の質”の障害し、合併症死亡率増加に関わるほど重度である。運動などのライフスタイル介入が、薬物・認知行動療法とともに推奨されている。ヨガ 、すなわち心身的実践と運動形式は、がん生存者の睡眠を改善するという予備的研究結果がある。それで、410名の中等度以上の睡眠障害例、手術・化学療法・放射線治療の治療後2−24ヶ月間例
Yoga for Cancer Survivors (YOCAS) プログラム(pranayama (breathing exercises)、 16 Gentle Hatha and Restorative yoga asanas (postures)、瞑想 ) 
95%女性、平均年齢 54歳、乳がん 75%のがん生存者で、ヨガ実践で、全般的睡眠の質改善、セカンダリ的には、主観的睡眠の質 (P<0 .01="" i="" nbsp="">P
<0 .01="" p="">
  • 入眠遅延 (P<0 .01="" li="">
  • 睡眠時間 (P<0 .05="" li="">
  • 睡眠効率 (P<0 .01="" li="">
  • 睡眠障害 (P<0 .05="" li="">



【誤報?世論誘導記事?】【でっちあげ病名】毎日新聞によると、「ネット依存症=病気」だそうです。






毎日新聞 2013年08月19日 02時32分
http://mainichi.jp/opinion/news/20130819k0000m070117000c.html
 2年前からネット依存の専門外来を設けている国立病院機構「久里浜医療センター」(神奈川県横須賀市)では、これまでに約150人が受診し、今年11月まで初診の予約が埋まっている。
 今回の研究班メンバーでもある樋口進院長によると、患者の50%弱は中高生で、当初はオンラインゲームにのめり込む男子が多かったが、最近はスマートフォンでの友人との言葉のやりとりがやめられない女子が増えてきた。依存のために心に深いダメージを受けた子もいるという。
 ネットは情報収集にも、コミュニケーションにも、便利な道具だ。ネットから離れた生活は今や考えにくいだろう。だからこそ、多方面から、この問題を考える必要がある。
 家庭で話し合って、深夜の使用を禁止したり、ネット使用の制限時間を決めたりするなど、ルールをつくることは有効だ。子供の変化に気づいたら、早めに専門医の治療を受けることが望ましい。

米国:肥満の死亡率寄与度過小評価され、従来よりさらにその重要性増加

米国において、肥満の死亡率寄与はよりその重要性が増している。

1980年代全年齢層に始まった肥満疫学調査で、肥満関連早期超過死亡の継続的増加が確認され、飲料サイズは大きくなり、着衣サイズはでかくなり、子供の友達の肥満数増加する現状。一度肥満になると、それを打ち消すのは大変難しい。子供世代が高齢となるまで、疫学的には最悪とならないのかもしれない。
白人男性米国高齢者では、肥満増加は既に明らかで、 BMI30〜35比率は、1915−1919年生まれで3.5%。10年下の世代で肥満原因死亡率 5%。それ以下の世代では7%となる。
米国南部・中西部住居アメリカ人は他の州より肥満が多く、電話調査では13州において30%超が肥満となっている。アラバマ、アーカンソー、インディアナ、アイオワ、ケッタッキー、ルイジアナ、ミシガン、ミシシッピー、オハイオ、オクラホマ、南カリフォルニア、テネシー、西バージニア州


米国の以前の調査では、肥満の米国内死亡率に関するインパクト過小評価されていた可能性が示唆された。

The Impact of Obesity on US Mortality Levels: The Importance of Age and Cohort Factors in Population Estimates.
Ryan K. Masters, et. al. (2013).
American Journal of Public Health. e-View Ahead of Print.
doi: 10.2105/AJPH.2013.301379

1986年から2006年の過体重、肥満による成人死亡推定比率は、
黒人・白人男性 5.6%、15.6%、黒人白人女性 26.8%、21.7%

加齢とともに肥満と死亡率の関連性は強くなり、誕生コホート横断的にみれば肥満寄与死亡率は以前増加している

2013年8月17日土曜日

糖尿病患者:キノロン使用時血糖異常

台湾での住民ベース発端者コホート(2006年1月から2007年11月)

レボフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン(アベロックス)、セファロスポリン、マクロライド経口薬剤新規使用者


ほかのレスピラトリー・キノロン全般に注意が必要だが、特に、アベロックスに注意が必要で、インスリン併用時特に注意必要。


Risk of Severe Dysglycemia Among Diabetic Patients Receiving Levofloxacin, Ciprofloxacin, or Moxifloxacin in Taiwan
Clin Infect Dis. (2013) doi: 10.1093/cid/cit439 First published online: August 14, 2013

78,433名抗生剤服用糖尿病患者

1000人あたりの高血糖絶対リスク
・モキシフロキサシン 6.9
・マクロライド 1.6


1000人あたりの低血糖リスク
・モキシフロキサシン 10
・マクロライド 3.7


マクロライドと比較した補正オッズ比(AORs)と95%信頼区間(CIs)
高血糖に関して
レボフロキサシン 1.75 (1.12–2.73)
シプロキサシン 1.87 (1.20–2.93)
モキシフロキサシン 2.48 (1.50–4.12)
低血糖に関して
レボフロキサシン 1.79 (1.33–2.42)
シプロキサシン 1.46 (1.07–2.00)
モキシフロキサシン 2.13 (1.44–3.14)


モキシフロキサシン服用患者が、シプロフロキサシン服用者より、リスク優位に高い。


低血糖リスクの有意増加は、モキシフロキサシンとインスリン併用でみられる (AOR, 2.28; 95% CI, 1.22–4.24)




Mediterranean DietとGlycaemic Index考慮食事は糖尿病発症を予防させる

単にカロリーだけでなく、食事内容を問題とする「Mediterranean dietとグリセミック指数 Glycemic Index ( GI )(参考) 」。これらが糖尿病発症予防にどれほどのインパクトを持つか・・・コホートを利用した研究。



"Mediterranean diet and glycaemic load in relation to incidence of type 2 diabetes: results from the Greek cohort of the population-based European prospective investigation into cancer and nutrition (EPIC)
Rossi M, et al
Diabetologia 2013; DOI: 10.1007/s00125-013-3013-y.(pdf)

実は、糖尿病予防のための食事の役割はわかっていない。この研究は、2つの食事内容、Mediterranean dietとGlycaemic load(GL)アドヒアランスと糖尿病発症との関連性研究

ギリシャのコホート(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition :EPC)、22,295名(アクティブ・フォローアップ 中央値 11.34年間、 2型糖尿病発症 2,330例)


10ポイントMediterranean Dietスコア(MDS)高値は、糖尿病リスクと逆相関
(MDS6点以上 vs MDS6点以下比較 ハザード比 0.88 [95% CI, 0.78-0.99] )

Glycaemic Load(GL)は糖尿病発症と正相関(HR 1.21 [95% CI, 1.04-1.40])



有意な糖尿病発症抑制に関し、20%ほど高Mediterranean Dietスコアと低Glycaemic Loadが役割を果たす。 





糖を多く摂取すると競争力低下・・・領地・子孫など獲得不能

 ヒトでも通常考えられるレベルの糖成分の多い食事・水分摂取での検討なので動物実験だが説得力がある。糖を多くとると、競争力低下し、テリトリーも子孫獲得にも悪影響がでる。

ヒトでは、毎日3回ソーダを飲むことに匹敵する状況の全部の25%まで高フルクトース・コーンシロップに糖類を混合した糖食をマウスにあたえ、対照は健康食と考える餌・全粒麦ベース餌投与の比較。
高フルクトース・ブドウ糖混合物投与マウスではテリトリー・リソース・仲間のためたたかなければならない半自然な囲い込みを入手する。一方、メスでは、高糖含有食マウスでは、死亡率2倍、子孫形成減少を示す。
一方、高糖含有食オスでは、健康食オスに比べ、テリトリーを保持できず、囲い込み領域を保持できず、1・4しか子孫を残せない。いとこレベル交配でも同様インパクト。


Human-relevant levels of added sugar consump tion increase female mortality and lower male fitness in mice
James S. Ruff,  et. al.
Nature Communications 4, Article number: 2245 doi:10.1038/ncomms3245Received 23 December 2012 Accepted 05 July 2013 Published 13 August 2013

糖を加えた食事はここ数十年増加し、この状況は、無数の疾患と関連している。 げっ歯類モデルで典型的ヒト通常量を超えた場合の毒性メカニズムが明らかになっている。
比較的少ないレベルでも、糖を加えることは、マウスの生存、競争能力、生殖へ確実なnegative effectがある。 
 Organismal Performance Assay、すなわち、ヒト投与に相当する量の糖添加(フルクトース・ブドウ糖混合物を25% kcal、フルクトースコーンシロップ高用量モデル)投与マウス vs 対照マウスで、半自然なテリトリー・リソース・仲間の囲い込みで、フルクトース・ブドウ糖餌のメス・マウスは2倍の死亡率増加。そして、フルクトース・ブドウ糖餌のオス・マウス対照に比べ、テリトリー26%少なく、子孫25%減少となる。

これらの所見から、糖をあまりすくなくすると、ほ乳類の健康へ悪影響を与えることとなると考えられる。フルクトース・ブドウ糖餌マウスの臨床的障害はブドウ糖クリアランスの低下、空腹時コレステロールの増加である。臨床的異常はマイナーだが、生理学的副事象が示唆される。


Organismal Performance Assayは有望なテクニックで、toxicantのネガティブな影響をunmaskする方法である。

2013年8月16日金曜日

コーヒー摂取量多いと、死亡率増加 ・・・ 特に55歳未満

大規模コホートにおいて、コーヒー摂取と全原因死亡率の正相関関係は、男性、55歳未満男女で認める。若年者は1日4カップ平均を超えるようなコーヒー過剰摂取が控えた方がよいと示唆

Association of Coffee Consumption With
All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality
Mayo Clin Proc. n XXX 2013;nn(n):1-9 n http://dx.doi.org/10.1016/j.mayocp.2013.06.020 (pdf)


43,727名、 699,632人年フォローアップ
17年間フォローアップ中央期間にて、心血管脂肪512名
多変量解析にて、男性において、コーヒー摂取増加するほど全原因死亡率増加

28カップ/週を超える男性では、全原因死亡率増加(ハザード比 [HR], 1.21; 95% CI, 1.04-1.40) 
しかし、年齢毎層別化後、若年(55歳未満)男女で、コーヒー摂取(28カップ/週)を超える場合と、全原因死亡率は、寄与要素・フィットネスレベル補正後、有意な相関を認めた(HR, 男性 1.56; 95% CI, 1.30-1.87、女性 2.13;95% CI, 1.26-3.59)。

ICU後身体機能低下:効果的介入は、今のところ、運動・理学療法に勝るもの無し

ICU入室というイベントは、重症疾患に関わる訳だが、その後、身体機能障害が5年間も続く。これに対抗するための身体機能ターゲット介入の有効性を評価。



Interventions to Improve the Physical Function of ICU Survivors – A Systematic Review
Enrique Calvo-Ayala, et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0779

システマティックレビューにて、14研究がクライテリア一致。

介入は、運動/理学療法(PT)、非経口栄養、看護師指導フォローアップ、自発的啓発トライアル、人工呼吸中セデーション無し、早期気管切開
10の研究でICU生存者の身体機能改善認めず 
しかし、身体運動・理学療法早期介入ベースが、長期身体機能改善の予測要素であった。


以下をみると、ICU後の身体機能への効果的介入は、運動/理学療法介入次第というのがよくわかる


FDA安全性情報:フルオロキノロンの恒久的神経障害

http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm365050.htm

http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM365078.pdf

Generic name
Contained in Brand name
levofloxacin
Levaquin
ciprofloxacin
Cipro
moxifloxacin
Avelox
norfloxacin
Noroxin
ofloxacin
Floxin
gemifloxacin
Factive



AERSレビューによると、フルオロキノロン関連末梢性神経障害症例で、障害生じたケース
発症は投与後急激で、数日以内に発症。投与中死後も1年間超過症例も存在。
神経障害症状後も継続例も存在する。


DA はフルオロキノロン薬剤メーカーに対し、薬剤ラベル(Warnings/Precautions and Warnings and Precautions sections) とMedication Guidesの改訂を要求


肺野小結節:悪性度予測式有用性分析

いくつも予測モデルが発表されているが、Swensenモデルが一般的
Swensen SJ, Silverstein MD, Ilstrup DM, Schleck CD, Edell ES. The probability of malignancy in solitary pulmonary nodules. Application to small radiologically indeterminate nodules Arch Intern Med. 1997 Apr 28;157(8):849-55.

この既存悪性予測モデルに結節陰影容積を加えることで、悪性度予測改善認める



THE UTILITY OF NODULE VOLUME IN THE CONTEXT OF MALIGNANCY PREDICTION FOR SMALL PULMONARY NODULES
Hiren J. Mehta, et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0708

Medical University of South Carolina の221名のサンプル(2006−2010年)

Swensenの 1997 prediction model をCT発見結節の悪性度確率推定のために用いた。

個別結節ごと悪性度の予備的確率をすべての結節に適応するもの

以下はそれぞれ以下の項目追加
・Model 1: 結節容積
・Model 2:容積/直径比 
・Model 3:sphericity index 
sphericity index定義:結節直径に等しい球体容積分割自動計測 
限定立方体スプラインのGeneralized linear mixed models (GLMMs)を新しい予測モデル構成・評価のため用いた。



予測確率カットオフ値 0.5とした場合、Swensen modelは結節の67%を正確に分類可能

3つの新しいモデルでは、悪性予測正確性能力向上し、 悪性と良性判別x再分類有意なネット的改善がみられた:83%、88%、 88%  (p<0 .0001="" br="">

3つのモデル全部は、また、NagelkerkeのR自乗、判別スロープ、AUROC、Hosmer-Lemeshow更正について、パフォーマンス良好。




CT小葉中心性陰影(Tree-in-Bud 陰影)の画像パターンと疾患

小葉中心性陰影である、tree-in-bud opacity:樹花状(TIB)陰影


参照;http://www.radrounds.com/photo/treeinbud-sign

TIB陰影の疫学相対頻度と結核関連疾患発見に関する検討

Causes and Imaging Patterns of Tree-in-Bud Opacities
Wallace T. Miller, Jr.,  et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-1270


Radiology Information SystemとCT検査における、2010年レントゲン報告におけるTIB症例をレビュー、結核関連疾患を評価

【結果】
TIB症例を166/406(40.9%)で確認


呼吸器系感染 119/166(72%)、mycobactria 65/166(39%)、細菌性 44/168(27%)、ウィルス性 41/166(3%)、複数病原 6/166が多い

誤嚥は 52/166(25%)


small airway disease(小気道疾患)領域正常肺構造の部分的変化(TIB、気管支拡張)(random small airways pattern)は、MAC(mycobacteria avium complex)特異的(0.92)である。


気管支拡張のほぼ均一な広がり(widespread bronchiectasis pattern)は、嚢胞性肺線維症、primary ciliary dyskinesia、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、免疫不全状態などの“Diseases Predisposing to Airway Infection” に特異的(0.92)


コンソリデーションとTIB(気管支肺炎パターンは、細菌性感染・誤嚥によることが多い。


(重力)依存領域分布と食道の異常を伴う場合は誤嚥の可能性が多い(0.79、 0.86)



所見の慢性性はマイコバクテリア感染と関連(p< 0.001, 感度 0.96)

所見の急性性は細菌感染と関連(p< .001、特異度 0.87)



厳格な定量的判断基準がないようだが、以下具体的CT所見

【random small airways pattern】



widespread bronchiectasia pattern


2013年8月15日木曜日

臨床ガイドライン:疾患概念拡大に突っ走り、そのリスク評価なし ・・・ 背後に製薬会社との経済的つながり示唆

日本の臨床ガイドラインは、その上に、欧米のガイドライン丸写しってのが多数存在し、日本人への科学的根拠乏しいものもおおいってのも問題。
 e.g. http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/05/blog-post_21.html

製薬会社にその会社にガイドラインを大量一括購入させている多くのガイドラインの現状・・・口では利益相反といいながら、馬鹿なことを容認する、厚労省・各学会・製薬会社・・・三者癒着は、患者のためにならない。

マスコミさんたちも、ノバルティス絡みで、大学医学部・医大のいんちき研究にきづいたわけだから、今度は、ガイドライン作成上のいんちきを暴いていただきたいものだと、田舎の開業医は思うのである。


諸外国でも臨床ガイドラインの質が問われている。
喘息臨床ガイドラインの質評価は惨憺たる結果 ・・・ 推奨容認できるガイドライン存在せず 2013/08/07

製薬会社にとっては、疾患対象者が拡大すれば、製薬販売上とても都合が良い。

前○○状態」というpre-disease状況を治療可能とし、「診断基準の基準値を広げる(診断しきい値の低下)」・「早期診断」というもっともらしい表現で、被診断者数増加させ、「新しい診断法や診断機器」導入で新しい病名や診断範疇拡大する。

いづれも「病気をもつ人々を増やす」、すなわち、製薬会社売り上げ増加に多大な好影響をもたらす

だが、それは真に「創出された新規患者」のためになるのか?不要な薬剤や検査介入をもたらし医療コスト・医療費増大をもたらし、薬物副作用など副次的悪影響をもたらす可能性がある。そのことを検討したガイドライン皆無ってのは由々しきことである。



ガイドライン委員会の4分の3は、製薬会社と関連性をもつ。彼らは、コンサルタント、助言、スピーカーとして、中央値表現で7つの会社とつながりを持つ。

Expanding Disease Definitions in Guidelines and Expert Panel Ties to Industry: A Cross-sectional Study of Common Conditions in the United States
Raymond N. Moynihan, et. al.



2000年から2013年のコモンな疾患に関する定義・診断くらいテリアに関する意思決定に関する直近出版米国国内・国際的ガイドラインの横断検討
コモンな病態 14に関する16出版物のうち、10では疾患定義拡大を提案、一つのみ疾患定義縮小を提案。5つではインパクト不明。

疾患定義拡大は3つのカテゴリーに分類
1)pre-disease
2)診断しきい値低下
3)早期化・診断法種類増加

根本理念は、診断クライテリア標準か、疾患保有とされてなかったリスク状態への新規エビデンスを含むもの
ガイドライン変化提案の内在性有害要素評価に関する記載は全く存在しない。

情報公開14の委員会について、製造メーカーとのつながりのあるメンバー平均比率は75%、関連製薬会社との関連ある会社数中央値は7。

委員と高比率なつながりを持つ製薬会社は、治療領域についてactiveである。

つながり情報公開への信頼性の限界があり、疾患が拡大広範すぎて、単一委員会の出版物解析では解析不能という状況も存在する。

結論:コモンな病態研究のなかで、疾患定義の変化提案の大部分は、疾患保有者増大にむかうものが大部分で、その疾患概念拡大に関して有害性を評価するレポートは皆無。
そして、検討委員の大部分が製薬会社との経済的つながり公表している。


皮膚軟部組織感染(SSTI)・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染:感受性株への変化 多く存在

MRSA・SSTI感染の3割近くは、メチシリン感受性に変貌する可能性がある


Reversion of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Skin Infections to Methicillin-Susceptible Isolates 
Anisha B. Patel,  et. al.
JAMA Dermatol. 2013;():-. doi:10.1001/jamadermatol.2013.4909.
外来MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染増加は、MRSAエンピリカル抗生剤使用増加傾向をもたらす。経口抗生剤限定的使用と抗生剤抵抗性に関する状況は今のところ議論状況である。

MRSA皮膚・軟部組織感染(SSTIs: skin and soft-tissue infection)からMSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)への移行率を検討

2000年1月1日から2010年12月31日までの後顧的医療記録レビュー

被験者:MRSA陽性SSTIと、その後1ヶ月以降に培養陽性黄色ブドウ球菌SSTI例

主要アウトカム:SSTIのMRSA感染続くか、MSSAにrevertするか?

結果:215名の患者のうち、最低1回でもMSSA reversionしたのは64(29.8%)で、以降検査でMSSA reversionは55(25.6%)
reversion尤度増加減少要素を評価し、侵襲性デバイスの存在は有意に統計学的リスクで、MRSA陽性継続(相対リスク; 95% CI, 1.02-1.41; p=0.03)

結論:MRSA−SSTI患者はMSSA-SSTIへrevertする可能性がある。
MRSAリスク要素の今後の検討・後続感染への影響に関する今後の検討で、エンピリカル治療のガイダンス変更も出てくるだろう。
MRSA陽性患者の新規感染の再培養検査は、必要なマネージメント戦略であり、黄色ブドウ球菌の耐性変化を認識することができる。

一度、MRSA出現すると、二度と感受性株へもどらないと考える医療人がおおい。ひどいのになると、「MRSA」感染の有無を老人施設入所基準にしているアホなところもまだ存在する。
老人施設入所診断書でわかる 地方自治役人のアホさ 2013/01/07
 老人施設入所時感染症検査強要する施設の存在2011年 02月 04日

パイロット研究:本態性振せんへのMRガイド下超音波視床焼灼

本態性振戦へのMRガイド下超音波片側視床(視床中間腹側核:unilateral ventral intermediate nucleus)焼灼

重症薬物抵抗性15名

プライマリエンドポイント:1年後、CRST指標にてベースライン 20.4 (SD 5.2)から 5.2(SD 4.8)へ低下
セカンダリエンドポイント:CRSTスコア・障害指数・クォL指数を含む改善がみられた


Source reference: Elias W, et al "A pilot study of focused ultrasound thalamotomy for essential tremor" New Engl J Med 2013; 369: 640-648.

ACCORD-MIND:2型糖尿病患者:うつと、認知機能低下の関連性

糖尿病とうつの関連性は多く要素が絡み過ぎで、後顧的解析では推定寄与要素も多く関与しすぎて、原因要素解析なかなか困難。

糖尿病におけるうつが、認知機能低下に影響を与えるらしいが、既存心血管疾患、ベースラインの年齢、認知機能、強化治療、血圧・脂質治療など関与しない相関性がうつと認知機能衰弱にみられる。


Association of Depression With Accelerated Cognitive Decline Among Patients With Type 2 Diabetes in the ACCORD-MIND Trial
Mark D. Sullivan, et. al.
JAMA Psychiatry. 2013;():-. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.1965.
心血管イベントリスクの高い2型糖尿病 2977名

認知機能評価:Digit Symbol Substitution Test、 Rey Auditory Verbal Learning Test、 modified Stroop test 
うつ判定:9項目 Patient Health Questionnaire 
Mixed-effects 統計モデル (参照:http://d.hatena.ne.jp/isseing333/20110413/1302695785)で認知機能アウトカムを時間依存共役係数としてうつを組み込み検討


うつを示唆するスコアを有する被験者 (9-item Patient Health Questionnaire, ≥10) では、40ヶ月フォローアップ期間中認知機能低下大きく、推定最小自乗平均の差を認めた: Digit Symbol Substitution Test  0.72 (95% CI, 0.25 to 1.19; P = .003)、 Rey Auditory Verbal Learning Test 0.18 (95% CI, 0.07 to 0.29; P = .001)、 Stroop interference, −1.06 (95% CI, −1.93 to −0.18; P = .02)


以上の認知機能低下リスクに関わるうつの影響は、 心血管疾患既往、ベースラインの認知・年齢により影響を受けず、強化 vs 血糖降下、血圧治療、脂質治療、インスリン治療に影響を受けない


住民統計・臨床共役変数を加えても、うつによる認知機能低下に影響を与えず



2型糖尿病患者におけるうつ治療の認知機能衰弱への効果の前向き検討が必要

2型糖尿病高齢者において、心機能が認知機能とうつに一部関連するらしい
Association of N-terminal pro-brain natriuretic peptide with cognitive function and depression in elderly people with type 2 diabetes.

PLoS One. 2012;7(9):e44569. Epub 2012 Sep 4.

2013年8月14日水曜日

ジェネリック薬品が主流になった現在、だれが副作用に責任を持つの?

そろそろ、厚労省さん、答えを出してほしい・・・

先発薬品メーカーの撤退を絶対に許さない形にして、パテント切れの商品製品維持を強要するのか?それとも、コスト削減効果をいいことに高止まりしている後発品メーカーに副作用報告を義務づけることで薬品使用者の安全を考えるか?
FDA 方針転換 :ジェネリックメーカーが自主的に安全性表示可能へ &ジェネリック医薬品も訴追可能  2013/07/07

上記に関連した、JAMAフリー記事

Who Is Now Responsible for Discovering and Warning About Adverse Effects of Generic Drugs?
Aaron S. Kesselheim, et. al.
JAMA. 2013;():-. doi:10.1001/jama.2013.228349.

ジェネリック薬品とブランド薬品で、同じ副作用出現しても、同等でないrecourseのパラドクスが存在するという米国・最高裁の決定

米国でのジェネリック薬品が医療用薬品全体の8割を占めるが、薬剤コストは2割という経済的効果は大きい。
(日本ではジェネリック薬品を国策的に高止まりさせているが、あれは、何の意味があるのだろう?・・・天下りパラドクス?)

 Wyethの制吐剤 Phenergan (promethazine)動注による前腕壊死発症への損害賠償で問題表面化。
 どういうことかというと、現行ではブランド薬品と生物学的に同等という建前のため、ブランドメーカーに安全性情報を警告を義務づけさせているが、市販前調査で十分な範囲での安全性判明できず、市販後サーベイランスが不十分で、製造メーカー側の製品安全性インセンティブ欠如している。

 胃腸運動改善薬 metoclopromide (Reglan)のILIVAジェネリック薬後遅発性ジスキネジア発症例、この潜在的副作用に関して十分な警告がなかったと主張するも、最高裁で主張却下。ジェネリック薬品メーカーは医薬品情報警告変更不能という矛盾が浮き彫りとなった。

 肩痛のため、NSAID Clinoril処方されるも、処方調剤薬局で、Mutual Pharmaceutical Companyジェネリックを調剤され、Stevens-Johnson症候群発症、弁護士主張として、PLIVA v Mensingに対し、非合理的危険性をもたらすデザイン上の欠陥と主張。エアバッグ無しやフレームの弱い車を作っているのと同じだということらしい。長年、法律関連学者たちは、同じ成分の薬品であらば副作用も同じとと信じていたが、薬剤再設計が完全に安全な方法とは言えないという認識が広がってきている。


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note