2013年7月31日水曜日

抗糖尿病薬メトホルミンはマウスの健康寿命・全寿命増加に働く

Metformin improves healthspan and lifespan in mice
Nature Communications
4Article number:2192 
 doi:10.1038/ncomms3192


メトホルミンは2型糖尿病でよく使われる薬剤。
メトホルミン 0.1% w/w食事に混ぜて投与開始し、さらに1% w/wほどの中毒量まで投与。

カロリー制限のベネフィットに類し、身体的パフォーマンス、インスリン感受性、LDL低下、コレステロール低下をカロリー制限せずに示す

分子レベルでは、AMP-活性化protein kinase活性亢進し、抗酸化作用を示し、結果、酸化ストレスダメージ蓄積や慢性炎症軽減効果をもたらす。

結果、これらの作用で、健康寿命、寿命増加に対しベネフィットを示す。

これらの知見は、健康加齢への、メトホルミンベースの介入の可能性が示唆される。


解説
Diabetes Drug Spurs Long Life -- in Mice
Published: Jul 30, 2013


日本の糖尿病診療の問題点・・・・UKPDS無視しつづけた医師たちの存在

他の知見と異なる、Kumamoto研究は、再調査が必要と思う

雑感:マスコミっていうのは・・・

公益性より、たたきやすいところををたたく・・・マスコミ(ゴミ)の振る舞い

皮膚の広範囲がただれるなどの重い症状が出たとの報告がわずかながらある」ということで新聞報道
http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013072901001229.html


プリンペランの副作用の問題を報道したほうがよほど、臨床上インパクト及び公益性高いのに・・・

JIKEI studyとかNAGOYとか、KYOTOとかって、所詮目隠し不十分なインチキプロトコール研究 ・・・ この段階で、指摘すりゃ、まともなマスメディアって思うけど・・・ それに、ノバルティスというより、研究の主体は、各大学の医師たちだったわけで、たたくべきはこれら研究者たちのはず・・・



でも、しかたないので、疑似Webber効果など考えられるので、情報収集しなきゃ・・・「バルサルタンと皮膚病変」あるいは「ARBと皮膚病変」


光線過敏症、中毒性表皮壊死症、皮膚粘膜眼症候群、類天疱瘡など・・・

オルメテックも中毒性表皮、皮膚粘膜眼症候群の報告有り
ニューロタンには中毒性皮疹の報告

ACE阻害剤なども固定疹原因としては、アロプリノール、抗菌薬などとともにトップの薬剤
http://www.pharmpress.com/files/docs/ADRe2Ch05.pdf


薬疹としては、(種類を問わない)ARB+HTCZ配合薬の光線過敏症が話題となっているようだ。

日本医師会雑誌にARB合剤と光線過敏症の報告
日医雑誌 第142巻・第3号/平成25(2013)年6月)

昨年(2012 年)の 1 年間で当院に薬疹で来 られた患者さんで,ある程度原因がはっきり している 40 名中,光線過敏型薬疹の患者さ んが 5 名いました.その原因薬剤はプレミネ ントR,エカードR,ミコンビR,コディオR4 種類の ARB(angiotensin II receptor blocker;アンジオテンシン II 受容体拮抗薬)と サイアザイド系利尿薬の配合薬でした.・・・最近では、ヒドリクロロチアジドで、ARBとサイアザイド系利尿薬の配合薬による光線過敏症型薬疹をしばしば診ます。


重篤副作用疾患別対応マニュアル・薬剤性過敏症症候群
http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm0706001.pdf
重篤副作用疾患別対応マニュアル・スティーブンジョンソン・症候群(皮膚粘膜眼症候群)
http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm0611005_01.pdf
薬副作用の皮膚障害、2年半で131人死亡 厚労省まとめ   2012/5/29 (日経)発症の原因と疑われる薬は抗てんかん薬と解熱鎮痛消炎薬、抗生物質がそれぞれ200例を超えた。薬局などで処方箋なしに買える一般用医薬品の風邪薬も54例あった。




マスコミは、今、「国の借金が膨らみ・・・医療費を下げなければ・・・」キャンペーンに懸命となる頃、これは担当新聞社が決まっており、今年は・・・


という中、これが気になる
 ↓
三橋氏のブログ:「実質的な国の借金」が減っているという驚愕の事実
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11582173317.html



朝日新聞ではなぜか 「検診の話ではなく診療の話へ」すり替え


無害腫瘍「がんと呼ばないで」 過剰診療防止へ米研究所
http://apital.asahi.com/article/news/2013073000026.html

大手マスコミは、検診の悪口は書かないという法則

「早期発見」=「絶対的善」という誤解をつくりあげ、固執するマスゴミ




マスコミ(ゴミ)とは、
・情報供給源の「お国」・「与党」の方針に従順な報道し
・「国民の仮想敵」を創出し、よってたかって叩きのめし
・国が直面する、真の問題を隠蔽する
ところである。

膝関節痛・起立性低血圧への効果:下肢にゴムバンドを巻いて下肢屈伸運動繰り返す

これは、いいのかも・・・ 膝が悪くて運動不足の上、起立性ふらつきある患者は多い。

運動不足とふらつきと膝関節疾患の相互悪化作用を打破するためにも、下肢血流を最小限にする、Thera bandやleg band 、すなわちレジスタンス・バンド(ゴム・チューブ)を巻きつけて指導し、ふらつき転倒に注意しながらという条件付きだろうが、かなり効果があるらしい。

Counteracting Effect of Supine Leg Resistance Exercise on Systolic Orthostatic Hypotension in Older Adults

Journal of the American Geriatrics Society Volume 61, Issue 7, pages 1152–1157, July 2013

Supine Exercises for Orthostatic Hypotension in Older Adults
http://www.jwatch.org/na31810/2013/07/30/supine-exercises-orthostatic-hypotension-older-adults

平均年齢77歳、42名のイタリア人・変形性関節症・原因不問起立性低血圧患者を運動群と対照群に分ける
・運動群:起立30秒前施行の、股関節・膝関節・足関節屈伸の10回繰り返し(足に巻いたレジスタンス・バンド補助)
・対照群:単純に起立前臥位


対照群:平均収縮期血圧(BP)は起立時、27 mmHg低下即時
運動群:BP低下は10 mm Hg

有意差認めた


起立後5分、運動群より対照群でベースライン血圧への復帰遅い

2型糖尿病:重度低血糖(外部補助必要・医療処置必要)は独立心血管疾患リスクの可能性

筆頭者は、独立行政法人国立国際医療研究センター所属名

外部の手助けや医療処置が必要な低血糖では、心血管疾患リスク2.05倍(95% CI 1.74-2.42)というメタアナリシス。寄与要素感度分析にて、低血糖の心血管疾患リスクとしての重要性は現実的に独立した要素であると主張。


"Severe hypoglycaemia and cardiovascular disease: systematic review and meta-analysis with bias analysis"
Goto Atsushi, et al
BMJ 2013; 347: f4533.


【目的】2型糖尿病患者に於ける重度低血糖と心血管疾患リスクとの相関性に関するシステマティック及び定量的要約のため、未測定合併重症疾患による非対照化寄与要素可能性関連性の感度検査をバイアス分析を用い行う

【デザイン】 観察研究メタアナリシス

【データ源】 Medline、 Embase、 Cochrane Library、 Web of Science データベース
(2013年2月まで、言語制限せず)

【検討対象クライテリア】 2名の独立したレビューアーが、2型糖尿病患者に於ける重度低血糖と心血管イベントの相関性を評価したコホート研究を選別。急性病院設定研究を除外、記述的・定量的データを抽出。

【結果】 3443 引用選別、6つの検討研究、903,510名被験者分を同定。

通常のrandom effects meta-analysisで、重度低血糖は、心血管疾患高リスクと強い相関性  (相対リスク 2.05, 95% 信頼区間 1.74 〜 2.42; P < 0.001)



重度低血糖関与の心血管疾患発症超過分(population attributable fraction) は1.56%  (95% 信頼区間 1.32% 〜 1.81%; P < 0.001)

研究横断的なheterogeneity中等度みられる  (I2=73.1%; P=0.002 for heterogeneity)が、多くのサブグループは、層別解析で同様結果が見られた。



バイアス分析にて、合併重症疾患単独では、低血糖と心血管疾患の相関性は説明できず。
この関連性説明のためには、合併重症疾患と心血管疾患での極端に強い相関の存在が必要(解説だと、10倍以上もの相対リスクが必要で、現実的にはありえない・・・という意味らしい・・・故に、重度低血糖が単独の悪化要素としてかなり重要という主張)

【結論】 上記知見にて、2型糖尿病患者では、重度低血糖は心血管疾患と強い相関性が有り、重度低血糖回避は、心血管疾患予防に役立つ可能性有り。

慢性腎臓病:CKDに関する過剰診断の問題

CKDに関しても、存在そのものに、ネガティブな意見もある

 慢性腎臓病(CKD) 検診・治療は エビデンスに乏しい メタボ+CKD検診なんて詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ 2012/04/19 

世の中の流れが一方向になることに危険性は、どの分野でもあると思うのだが、懐疑的意見にも耳を傾けることが大事。

本来の意味合いから言えば、慢性腎臓疾患にて有症状あるいは合併症存在蓋然性が高い場合を、この病名で呼ぶべきなのだが、診断基準だけが先走りして、病名が一人歩きしている現状を懸念する声が日本外では大きくなっている。 


"Chronic kidney disease controversy: how expanding definitions are unnecessarily labelling many people as diseased"
Moynihan R, et al
BMJ 2013; 347: f4298

解説記事:http://www.medpagetoday.com/Nephrology/ESRD/40754

 2002年のクライテリア(pdf)以降、アメリカ人では8名に1名以上、14%程度がこのCKDクライテリアに合致し、CKDという病名にラベリングされている。


より確固たる定義形成上の根拠は、早期に症例を見いだすことで進行期疾患への進展緩徐化もしくは停止を可能とすることである。早期疾患発見成功してもあまりに対象者が多すぎ、すなわち、過剰診断が多すぎるとMoyihanのグループが示唆している。

ノルウェーの住民ベース研究の一つ、Stage 3Aクライテリア合致したヒトの1%未満しか、8年間フォローアップ後、終末期腎疾患発症しない。

NNTから考えれば、1千名予防して1例予防可能という、あまりにコストの見合わない確率のお話。
とりわけ、Stage 3Aの年齢では正常範囲内eGFR低下/腎臓障害ダメージ尿マーカー異常なしのクライテリアが多く含まれる。

高齢者では特にこの過剰診断が多く、stage 3疾患では30%ほどが誤診されている、特に、stage 3Aのアルブミン尿無し例

臨床家は、高齢者で、CKD定義内へのeGFR低下のみの例では安易にこの疾患ラベリングをしないことが重要で、このグループは臨床的問題となる確率は低いと筆者らのグループ。




南カリフォルニアのKaiser Permanete のクライテリアでは、CKDの診断は約3%程度に低下する。さらに、eGFRの足跡、尿アルブミン検査の足跡も参考にして、単なる1回の腎機能結果でのみ診断するのは避けるべきで、他にリスク要素がない患者に対しては、軽度腎機能低下に対して、治療すべきかどうか不確かであることも説明すべき。


過剰診断の有害性は不要な治療と不要な介入であり、厳格な血圧コントロールからくる副作用、患者への不安提供である。

本来、皆が、腎疾患予防に対する最善の方法を見つけ、過剰診断リスクやコスト軽減をはかるべきと結論づけ


 Moynihanらは、予防上の過剰診断に関するカンファレンスを含む、 NHMRC STEP grantと内容を支持し、 BMJ Too Much Medicineで連続記事助言を行う

日本では、診察・診療に関しては過剰に検査・投薬制限するくせに、検診・予防に関する過剰診断・過剰検査はなぜか問題にしない。非対称性が目立つ。そし て、CKDの疾患概念に関して批判を見聞きすること少ない。 メタボに関する批判が比較的広がったのと対照的。CKDを生活習慣病として病名と認定してないから、保険給付から影響されないと、現場を知らないアホ役人 たちはみなしてるからだろうか?

2013年7月30日火曜日

米国:遵守されてない腰痛ガイドライン

腰痛管理マネージメント戦略は米国内ではガイドラインに不一致状況となってきている。
オピオイド使用が増加し、ガイドライン遵守しない治療率が増加している。

日本でも、オピオイド系薬剤使用が認可されたため、同様のことが起きるだろう。
CT、MRI使用、医師受診数増加し、慢性腰痛でも急性腰痛でも増加。

 (非特異的)腰痛 2012/02/03
腰痛治療APSガイドライン 2009/05/14



Worsening Trends in the Management and Treatment of Back Pain
John N. Mafi, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():-. 
doi:10.1001/jamainternmed.2013.8992.

National Ambulatory Medical Care Survey とNational Hospital Ambulatory Medical Care Surveyの国内代表データ

脊柱に問題があるとして受診した 23,918名、推定、4億4千万回受診

約58%は女性、平均年齢は49-53歳と研究期間中増加 p<0 .001="" p="">
NSAIDsやアセトアミノフェン受診後と使用は減少し、1999年-2000年で36.9%から、2009-2010年 24.5%(非補正 p< 0.001)

逆に、narcotic使用増加(19.3% → 29.1%) p<0 .001="" p="">
理学療法は以前変化無く約20%、医師受診は6.8%から14.0%と増加 p<0 .001="" br="">

レントゲン数は約17%で維持。一方、CT、MRI数は増加し7.2%→11.3%と増加 p<0 .001="" p="">

これらの傾向は、短期 vs 長期プレゼンテーション、PCP受診 vs 非PCP受診層別化、年齢、性別、人種・民族、PCP status、症状期間、地域、都市部地域補正後も同様

がん検診:理想的ながんと、理想的でないがん ・・・ 無害ながんと攻撃的がんの区別が課題

Overdiagnosis and Overtreatment in Cancer
An Opportunity for Improvement
 Laura J. Esserman,  et. al.
JAMA. 2013;():-. doi:10.1001/jama.2013.108415


がんの早期発見へ啓発と検診が重点項目となって30年間。この努力は、本来、進行がんへの抑制とがん死亡率減少が目的。しかし、臨床トライアルの流れから見るとこの目的にかなったものではない。早期疾患数は増加するも、進行がんは比例的に減少していない。
がんもheterogenousであり、転移も死にもつながらない病害も含まれ、患者の生涯へ有害性を示すものではないものもある。この複雑性により早期診断のゴールに問題を生じるが、この認識をもつと、合併症・死亡率と大きく関連性をもつ病態を同定し、治療することに焦点を置き、がん検診を最適化するチャンスとなる。

表に書かれているのは、検診開始後の、がんの発生数と死亡率の変化。
乳がん・前立腺がん検診は、臨床的意味の無いものを含む可能性が示唆される。
肺がんは、高リスク検診採用した場合に同様の傾向がある。
Barrett食道と乳腺がんは、前がんと考えられる病変の検出と除去が侵襲型がんの発生減少に寄与していない例と考えられる。対照的に、大腸がんや子宮頸部がんは検診プログラムとしては成功例で、前がん状態早期発見・除去が、発生率及び進行期疾患を減少させている。 甲状腺がんや黒色腫は、検診が広がりつつ有り、それに従い、発生率増加が見られる疾患例であろう。




最適な検診頻度設定には、がんの成長率が関連し、もし新興早ければ、検診そのものが無効。進行がが緩徐すぎれば、長期潜在期間・前がん病態の存在など、例えば、大腸ポリープや子宮上皮内新生物などを伴い、検診は理想的で、頻回の検診でなくても効果的。例えば、コロノスコピー10年間など。indolentな腫瘍の場合、発見そのものが有害である、過剰治療の可能性がある。 これらの観察結果にもとづき、疾患合併症・死亡率減少に関し再度焦点が検診に向けられている。 
2012年3月NCIは、「overdiagnosis」 に関わる問題評価の会合を開いた。
「もし、そのまま放置されても、臨床的に明らかでない、あるいは、死にもいたらない場合の腫瘍発見」を過剰診断として要約。過剰診断は一般的に過剰治療となり、ワーキンググループからの推奨を要約し、がん検診・予防への現行アプローチ改善戦略作成。
 定期的検診プログラムは、indolent tumorのリザーバを同定するだけかもしれない。しかし、治療せずに残されると、致死的後遺症を有するものと診断され続ける可能性もある。

理想的検診介入とは、ほっとけば有害となる疾患の検出に焦点をあてたもので、早期に発見すれば治癒し、そして、治癒的治療が早期ではより有効であるもの。indolentなものかaggressiveなものか疾患の生物学と疾患の動的状況(時間経過に関与したふるまい)、分子学的診断などでより良くなる可能性を今後に期待。



朝日新聞ではなぜか 「検診の話ではなく診療の話へ」すり替え


無害腫瘍「がんと呼ばないで」 過剰診療防止へ米研究所
http://apital.asahi.com/article/news/2013073000026.html

カフェインは、心筋血流を減少させる ・・・ 虚血促進的働き

Caffeine Reduces Myocardial Blood Flow During Exercise
John P. Higgins, et. al.
The American Journal of MedicineVolume 126, Issue 8 , Pages 730.e1-730.e8, August 2013

カフェイン摂取は、医療メディア・一般紙から興味をもって受け取られる対象で、エナージー製品が増えてきたため、注目されている。

カフェインの急性摂取は、心臓仕事量を通常増加する。
そして、カフェインは、心筋運動量増加に見合った心筋血流の比例的な増加も求められるがそれを阻害している。特に運動時著しい。
これは主に正常対象に於ける冠動脈内のアデノシン誘発血管拡張を阻害するカフェインの影響によるものと考えられる。

純粋のカフェイン錠服用と運動性冠動脈血流に関連する医学文献を要約し、以上のメカニズムの可能性が示唆された。
他のカフェイン摂取方法での影響、例えば、コーヒー、エナージー飲料、エナージーゲルなど、運動パフォーマンス改善に、10代や若年アスリートが使用することの多い製品に関して将来的に調査する必要がある。


日本でもエナージードリンクの宣伝がうるさくなってきた。


カフェイン毒性: エナジードリンク問題 ・・・ 外国だけの話なのだろうか? 2012/12/20

アクトス:心血管系リスク軽減の可能性?

Use of pioglitazone in the treatment of diabetes: effect on cardiovascular risk
Authors: Zou C, et. al.
Published Date July 2013 Volume 2013:9 Pages 429 - 433
DOI: http://dx.doi.org/10.2147/VHRM.S34421


Pioglitazone などthiazolidinediones類(TZDs)は、ユニークな受容体を介して抗糖尿病作用を有するが、重大な副作用、特に、心血管系への影響を有するホストには利用制限されている薬剤である。
2型糖尿病治療で、pioglitazoneの果たすべき役割とこの主の薬剤はどの方向へ向いているかを現時点でリスクベネフィット解析すべきは今でしょ。
この観点から文献の包括的俯瞰をおこなったもの
現行の臨床データからは、2型糖尿病において、ピオグリタゾンは有効で、耐用性のよいオプション。 ピオグリタゾンはまた、心血管リスク軽減の可能性がある。



一時期、アクトス:pioglitazoneを毛嫌いしてたので、 TZDsとDPP4阻害剤との併用となると、DPP-4阻害剤にアクトスを加えることが多いが、ごく少量で効果示す印象が有り、個人的に再評価しているところ。

DPP-4阻害剤とピオグリタゾンは、共に、β細胞機能(食後 Φs ,基礎的ブドウ糖濃度上回った時の動的β細胞の反応性)を促進し、DP-4阻害剤はα細胞(食後グルカゴン低下)をもたらす。補完的作用によりより優れた食後血糖コントロールの可能性

Sitagliptin and pioglitazone provide complementary effects on postprandial glucose and pancreatic islet cell function.
Diabetes Obes Metab. 2013 Jun 19. doi: 10.1111/dom.12145.

Advantages and limitations of the DPP-4 inhibitor/ pioglitazone combination
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2663457/table/t2-vhrm-4-1221/
(Vasc Health Risk Manag. 2008 December; 4(6): 1221–1227. )

血管内皮機能障害を有する前高血圧症:乳製品血管内皮機能改善の可能性 ・・・ というのだが・・・

サブグループ解析に、検査値変動に関して意味があるというのだろうか?

Reactive Hyperemia Index(反応性充血指数)
http://endo-pat.com/endothelium/




5週間介入試験


低脂肪乳製品(1サービングの1%液状ミルク、低脂肪ヨーグルト)と非乳製品(1サービングのアップルジュース、pretzel、シリアルバー)非比較

収縮期血圧・拡張期血圧、血管機能(RHI: reactive hyperemia index、augmentation index)、血中脂質比較

降圧剤服用してない、前高血圧症、stage 1高血圧(平均安静時 129.8/80.8 mmHg )平均年齢54.5歳、BMI 29.2、62名の男女 

朝食標準として、研究製品2サービングを含む、食事チャレンジで、各治療期間終了時に与える。

乳製品・非乳製品治療にて収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧の有意差認めず
安静時食後、食前から食後3.5時間まで (SBP, 126.3 mmHg versus 124.9 mmHg; DBP, 76.5 mmHg versus 75.7 mmHg)
RHIに関して、食前 (2.35 versus 2.20) 、食後2時間(2.33 versus 2.30)
augmentation indexに関して、食前  (22.5 versus 23.8) 、食後2時間(12.4 versus 13.2)

対照治療中、血管内皮障害ありの被験者のうち(RHI 1.67以下; n=14)、食前RHIは、乳製品使用状況 vs 非乳製品使用下状況で、有意差認める 2.32 vs 1.50 p=0.002

空腹時リポ蛋白脂質値も有意差を認める  (2.32 versus 1.50, P = 0.002)

空腹時リポ蛋白脂質値は、治療全体群全体と各サブグループで、有意差認めず 
 


低脂肪乳製品摂取は、血圧、血管機能、脂質特性に関して、全体から見れば効果認めない
 しかし、血管内皮機能障害のある症例では、乳製品でRHI改善の可能性ある。



米国小児誤嚥事故・・・最も多いのはハード・キャンディー、次は肉、骨・・・

米国内で、食品による窒息で救急室治療受けている子供は、毎日 34名
最も多いのはキャンディー

Nonfatal Choking on Food Among Children 14 Years or Younger in the United States, 2001–2009
Pediatrics Published online July 29, 2013(doi: 10.1542/peds.2013-0260) 

2001年から2009年において、非致死的食品関連窒息にて米国病院で救急室治療を受けた、0-14歳の子供は、推定 111,914(95%信頼区間: 83,975-139,854)
年間平均12,435名、人工10万対受診 20.4 (95% 信頼区間: 15.4-25.3)

非致死的食品関連窒息治療の平均年齢は4.5歳

1歳以下の子供で、37.8%を占め、男児が半数よりやや多い(55.4%)

食物の種類全般のうち、hard candyが最も多く (15.5% [16,168例])、hard candy以外のキャンディー 12.2%、肉(12.2% [12,672])骨(12.0% [12,496])と続く

フルーツ・野菜 9.7%、フォーミュラ・ミルク・母乳 6.7%、種子類・ナッツ・シェル 6.5%、チップス・pretzel・ポップコーン 4.6%、ビスケット・クッキー・クラッカー 3.1%、ホットドッグ 2.6%

多くは(87.3% [97,509])た治療を受け、除去
しかし、10.0%(11,218)は入院、2.6%(2911)は医療助言に関わらず残存のまま





ある種の食品誤嚥に関して、Webber効果もどきによると思うが、メディアに話題にされ、取りざたされる場合がある。行政トップの政治家が軽挙妄動が事態をあらぬ方向へ導くこともあったと記憶している。

メディケア:CT肺がん検診対象者クライテリア:55−79歳、喫煙歴 30 pack-year、禁煙継続15年内

日本の検診の問題点は、リスク層別化議論置き去りで、低リスクまでいつのまにかなされる有害性>有益性検診

CT肺がん検診に関して、国際的には、さすがにリスク層別化されているが、そのクライテリアに関して境界が判然としないまま行われている。

具体的には
ACS/ACCPガイドラインでは、55-74歳、喫煙歴 30 pack-year、禁煙15年内としている。NCCNガイドラインでは、50歳まで、喫煙歴を20 pack-year、アスベストなどの発がん物質職業暴露まで含め対象を広げている。

 今回、メディケア弁済対象として、一つの議論が集約しつつある

Medicare and private insurance償還対象推奨原案として、グレードBとして意見集約
 http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/LungCancer/40733

「USPSTFの55歳-79歳までの成人で、喫煙歴30pack-year、禁煙15年(以下or未満?)」



鍵となるデータ誤報たばこ産業ファンドやロイヤリティーdisclosureできないことで異論のあった、International Early Lung Cancer Action Project (I-ELCAP)

・この推奨の大元となったAnn. Int. Med.のシステマティック・レビュー
Screening Tests for Gestational Diabetes: A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Ann Intern Med. 2013;159(2):115-122. doi:10.7326/0003-4819-159-2-201307160-00657

medpageにて議論が展開されている。

2013年7月29日月曜日

EMA委員会・CHMP:メトクロプラミドの小児使用制限

European Medicines Agency recommends changes to the use of metoclopramide

http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2013/07/news_detail_001854.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1


European Medicines Agency's Committee の Medicinal Products for Human Use (CHMP) は、制吐剤であるメトクロプラミドの小児への使用許可を、短期・長期神経学的影響のため最終手段としてのみ推奨
また、成人の最大量を30mg/日とすべきと委員会は述べている

メトクロプラミドは、経口、注射、座薬使用可能で、吐気・嘔吐予防としての適応有り、がん治療、手術、めまいの時予防的適応がある


錐体外路症状 、遅発性ジスキネジアを生じることで知られている。FDAは、2009年、このリスクに関し boxed warningを要求、CAMPは、リスクを小児でのメトクロプラミド使用に関しリスクをベネフィットより重要視。できれば他の制吐剤への変更を決定。

1歳未満の小児に関して処方すべきでない、より年長であっても、多薬剤使用できないときのみ使用を限定。

 さらに、30mgを超える含有剤型を市場から排除。


「メトクロプラミドは、薬効分類的には「消化管運動促進薬」または「消化管運動賦活薬」あるいは「胃腸機能調整薬」「胃腸機能改善薬」などに分類され」、日本では、日常診療上安直に使用されている。小児のプリンペランシロップなどが代表的乱用例であろう。

FDA認可:喀痰中ヒト結核菌検出・リファンピシン抵抗性同時検出迅速検査:Cepheid(Xpert MTB/RIF)

 米国FDAが、結核診断と薬剤抵抗性検査の組み合わせ Cepheid(Xpert MTB/RIF)を認可


ヒト肺結核菌とリファンピシン抵抗性遺伝子マーカー同時検出検査
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm362602.htm

2時間の検査で、喀痰中のヒト肺結核菌の存在とリファンピシン抵抗性判明する検査
FDA de novo 510(k) processで認可された検査

http://www.prnewswire.com/news-releases/cepheid-receives-fda-market-authorization-for-xpert-mtbrif-216996721.html

 【論文】
 Boehme, C. C., et al. (2011). "Feasibility, diagnostic accuracy, and effectiveness of decentralised use of the Xpert MTB/RIF test for diagnosis of tuberculosis and multidrug resistance: a multicentre implementation study." Lancet 377(97 76): 1495-1505

 http://www.cepheidinternational.com/tests-and-reagents/ce-ivd-test/xpert-mtbrif


検査トレーニングビデオ

2013年7月27日土曜日

ヨード不足懸念少ない国でも、妊娠中ヨード不足は、胎児脳発達に影響与え、9歳児の知能に重大な影響を与える ;日本は過剰摂取啓発に偏りすぎじゃないのか?


Effect of inadequate iodine status in UK pregnant women on cognitive outcomes in their children: results from the Avon Longitudinal Study of Parents and Children (ALSPAC)
Sarah C Bath , et. al.
The Lancet, Volume 382, Issue 9889, Pages 331 - 337, 27 July 2013 

【序文】甲状腺ホルモンの要素として、ヨードは胎児期脳の発達に必須。英国はヨード十分だと考えられてきたが、軽度不足なのではないかという報告増加。妊娠初期軽度ヨード不足が小児の知能発達への悪影響となるか関連するか評価。


【研究方法】 Avon Longitudinal Study of Parents and Children (ALSPAC) cohort母・子ペアで、尿中ヨード濃度(尿量Cr補正)蓄積サンプル、1040の第1トリメスター妊娠女性
単胎妊娠ベース・第1トリメスター尿中サンプル利用可能 (定義:妊娠週13ヶ週以下; 中央値 10週 [IQR 9—12]) 女性を選別、、子供の8歳時点IQ測定

ヨード/Crを、2分(150μg/g以上と未満:WHO妊娠中ヨード不足クライテリア)

母体ヨード状態と、小児9歳時点IQ及び9歳時点読字能力の相関

21の社会経済的、両親、小児要素を共役要素として含める


【結果】
グループを、尿中ヨード濃度を中央値をベースに、軽度・中等度ヨード不足として分類 91·1 μg/L (IQR 53·8—143; ヨード/Cr比 110 μg/g, IQR 74—170)


寄与要素補正後、ヨード/Cr 150μg/g未満の子供は、言語IQ、読字正確性、読解力の最小4分位となる確率高い(それぞれのオッズ比 1.58, 95% CI 1.09-2.30; p=0.02、 1.69,1.15-2.49; p=0.07、 1.54, 1.06-2.23; p=0.02)。


150μg/g未満群をさらに分け、50-150μg/g、50μg/g未満と比較すると、スコアはさらに悪化。


【結論】
早期妊娠中適切なヨード状態にすることの重要性が示され、ヨード不足リスクが胎児発達に与える影響について強調すべき結果であった。

ヨード不足が少ない国でさえ、妊娠中ヨード欠乏治療考慮は、注意が払われるべき重大な公衆衛生上の問題である。



日本ではヨード過剰摂取状態の妊婦の可能性もあり、やはり測定し、それぞれの状態を評価することが重要だろう。

日本では過剰摂取のみを啓発する記載が多すぎる、医療機関でさえ・・・

妊婦さん昆布の取り過ぎ注意!
http://www.kuh.kumamoto-u.ac.jp/health/no1.html

新生児:吸引の代わりにワイプでも同等効果?

 胎生35週経過後・新生児管理において、口腔咽頭吸引の代わりに、口・鼻をワイプすることは、生家時24時間後の呼吸数をプライマリアウトカムとした場合同等の有効性


Oronasopharyngeal suction versus wiping of the mouth and nose at birth: a randomised equivalency trial
John Kelleher, et. al.
The Lancet, Volume 382, Issue 9889, Pages 326 - 330, 27 July 2013




末梢静脈挿入中心静脈カテーテルは、中枢側穿刺カテーテルに比べ、深部静脈血栓リスク高い


PICCは、CVCに比べ、重症患者・悪性疾患患者では深部静脈血栓リスク高度のようだ。



末梢挿入中心カテーテル(PICC: peripherally inserted central catheter)は静脈血栓塞栓と関連。しかし、他の中心静脈カテーテルとの関連したリスクは不明。故に、システミックレビュー・メタアナリシス行ったとのこと。

引用にて533同定し、うち、64研究、29503名を対象。

PICCはCVCsに比べ、やはり深部静脈血栓リスク高く、特に、重症・悪性疾患患者に多い。

Risk of venous thromboembolism associated with peripherally inserted central catheters: a systematic review and meta-analysis
Vineet Chopra, et. al.
The Lancet, Volume 382, Issue 9889, Pages 311 - 325, 27 July 2013



私などは随分古いのか、やはり、PICCに関しやはり心理的抵抗感があり、主に中心静脈穿刺である内頸静脈か鎖骨下静脈穿刺を行っている。

2013年7月26日金曜日

女性:高身長は、各種がん・がん全体リスク増加と相関

西洋人でも、アジア人種でも、身長が様々ながんのリスク要素であるという前向き研究結果があるとのこと、しかし、寄与要素に関する報告は十分でなかったということで、この報告という建前。

女性にしか検討されてないので、女性にのみ限定した話・・・
身長10cmほど増加すると、全てのがんで、13%ほど相対リスクが増加するという報告。

"Adult stature and risk of cancer at different anatomic sites in a cohort of postmenopausal women"
Kabat GC, et al
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2013; 22(8): 1353-63. 

検討されたのはWHI登録者14万4701名の女性

身長は、全てのがんリスクに関して正の相関 (HR = 1.13; 95% CI, 1.11–1.16)
同様に、甲状腺、腎臓、子宮内膜、直腸結腸、大腸、卵巣、乳がん、多発骨髄症、メラノーマ(HRレンジ: 乳がん 1.13 から 多発性骨髄腫・甲状腺がん 1.29まで)

これらの相関は一般的に共役要素補正に感度無し、effect modificationのエビデンス少ない


説明としては、成長期である思春期に栄養学的・内分泌的影響を受けるのではないかというもの、ただ実際には、高身長は臨床上はさほど重要なものではなく、検診などで高リスクなどと判断してはいけない。


マウス:長寿薬は機能的若返りには役立ってない

ラパマイシンは、マウスで寿命延長効果があるわけだが、加齢現象にともなう身体的特性や行動機能へ改善はみられないようだ。


ラパマイシンは、FDA承認ほ乳類TOR(mTOR)阻害剤
e.g.)http://www.tmig.or.jp/J_TMIG/genome300/TOR.html
mTORはラプターなどとともにTORC1、TORC2と呼ばれるタンパク質複合体を形成し、細胞増殖因子、アミノ酸、細胞内ストレス、エネルギー状態な どのシグナルによって制御されている。mTORC1は下流にあるS6K、4E-BP1などをリン酸化することにより、mRNAの翻訳やタンパク質合成の制 御などを行っている。mTORC2はAktをリン酸化することにより細胞周期の調節などを行っている


Rapamycin extends murine lifespan but has limited effects on aging
Frauke Neff ,et. al.,
J Clin Invest. doi:10.1172/JCI67674.  

加齢は大多数の疾患・機能障害への大きなリスク、加齢プロセスへの治療ターゲット化が、新たな広汎に有効な加齢関連疾患に対する有効治療に関する革新的戦略となるのかもしれない。 FDA承認mTOR抑制剤 rapamycin治療マウスの寿命延長報告は、ほ乳類の中で最大寿命延長が薬剤範疇で示された最初の薬剤。
Rapamycin の寿命延長効果は、特異的な原因、例えばがんなどへの効果かもしれないが、この成分が実際にほ乳類で加齢進行速度を減少させているかは不明。構造的、機能的加齢phenotypeの包括的大スケール評価の結果、rapamycinが、C57BL/6J雄マウスの加齢速度を減少させてるか検討した。

加齢特性サブセットでは、rapamycinにより回復しているようにおもえる。Rapamycinは若年動物でのこれら特性に多く効果を示すが、これらの作用は、加齢へのmodulationではなく、加齢と無縁の薬物の効果の作用のようだ。 
故に、これらのデータからは、rapamycinの寿命延長効果と加齢そのものへの影響とは乖離した現象と説明。 

ラパマイシンの寿命延長効果


加齢関連神経行動phenotype


学習・記憶関連(escape latency実験など)






単純に寿命延長、すなわち、長寿効果とは言えない 「Extension of lifespan does not necessarily indicate effects on aging.」・・・っての序文は象徴的。

神経機能、身体機能改善も伴わなければ、長寿効果として意味が無い。

月の満ち欠けに「ヒトの睡眠」は影響される

高信頼レベル対照研究による33名のボランティア研究から「月からの影響」のエビデンス確認されたということで、欧米マスコミがいろいろ枝葉をつけて報道中。

"lunatic asylum"ってくらいで、欧米人は精神疾患との関連付け傾向が強い

Evidence that the Lunar Cycle Influences Human Sleep

Christian Cajochen, et.al.
Current Biology, 25 July 2013


月周期(29.5日程度)の内因性リズムと、その分子・遺伝子的基礎事項が海中生物で見られる。一方、民間伝承無数にあるが、人の生理・行動への月周期との関連性について一貫したものはない。
月齢(lunar phase)による、主観的・客観的睡眠測定項目と、月周期性がヒトへ影響するか検討。

夜間のライト増加、睡眠への月の影響による認識という内在性バイアス除外のため、後顧的に睡眠構成を解析、NREM睡眠脳波、ホルモンであるメラトニン・コルチゾール分泌を横断的状況下での厳重対照化検査施行。

研究中・研究後のどのポイントでも、ボランティア・研究者で月例に関わるposteriori analysisに気づいていない。

満月中、NREM睡眠中脳波デルタ波活動性、すなわち、深い睡眠を意味する状況が30%減少し、5分ほど就寝までの時間が延長され、脳波評価睡眠時間が20分減少した。

これらの変化は、主観的睡眠の質の減少と関連し、内在性メラトニンレベル減少と関連した。

月齢がヒトの睡眠内容に影響を与えるという、時間補正無し、高度対照状況下概日研究プロトコールによる、信頼できる最初のエビデンスである





Bad sleep? Blame the moon
By Charles Choi Published July 25, 2013 LiveScience
Read more: http://www.foxnews.com/health/2013/07/25/bad-sleep-blame-moon/#ixzz2a79A3M7c


Sunday's Supermoon Won't Drive You Mad
Stephanie Pappas, LiveScience Senior Writer   |   June 20, 2013 02:53pm ET
http://www.livescience.com/37610-june-supermoon-full.html

米国CDC:副作用報告減少しているのに、HPVワクチン摂取率伸びず、3回完遂率低下

Human Papillomavirus Vaccination Coverage Among Adolescent Girls, 2007–2012, and Postlicensure Vaccine Safety Monitoring, 2006–2013 — United States
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6229a4.htm?s_cid=mm6229a4_w

13-17歳のHPVワクチン接種率増加せず、3回投与全て完遂率も減少

次世代の健康へリスクをもたらす現象であると、CDC所長がプレスリリースにて報告
"Progress increasing HPV vaccination has stalled, risking the health of the next generation," said CDC Director Dr. Tom Frieden said in a press release. "Doctors need to step up their efforts by talking to parents about the importance of HPV vaccine just as they do other vaccines and ensure its given at every opportunity."
 Estimated human papillomavirus (HPV) vaccine coverage among adolescent girls aged 13–17 years, by number of doses — National Immunization Survey–Teen, United States, 2007–2012
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6229a4.htm?s_cid=mm6229a4_w#tab1

副作用報告数



各メディア伝えている
CDC saysCDC sounds the alarm on HPV vaccine
http://www.latimes.com/news/science/sciencenow/la-sci-sn-hpv-vaccination-rate--20130725,0,6804153.story


CDC sounds the alarm on HPV vaccine
http://www.nbcnews.com/video/nightly-news/52581816/#52581816
July 25, 2013


日本では、副作用ばかりに目をとらわれすぎ、米国でもこの報告をみると初期2-3年間は、Webber効果・現象やSecular effectとやらで・・・ゴタゴタが続くのは新薬・新しいワクチンの通例だが、通過儀礼を利用して政治的・イデオロギーごり押し運動する連中が出てくる気色悪さ

Webber effectとは、新薬販売開始出現2年間にその報告事例が増大すること。
Secular Effectとは、メディア露出過多となり、報告事例が増大すること。


腰を落ち着けて検討すべきなのに、みんなが右往左往する日本のワクチン

筋肉内注射ワクチン経験数の少ない臨床家も右往左往・・・

NIPPON DATA90: HbA1c値 と 全原因及び心血管疾患死亡率の相関 日本人でも明らかに・・・

HbA1c and the Risks for All-Cause and Cardiovascular Mortality in the General Japanese Population
NIPPON DATA90
Published online before print July 22, 2013, doi: 10.2337/dc12-2412 
Diabetes Care July 22, 2013


目的 HbA1cと心血管疾患(CVD)の相関が西側諸国で主に報告されている。東アジア諸国では、CVD死亡リスク評価に関してHbA1c値が有効かどうかは不明。 
研究デザインとメソッド 心血管死亡リスクを大規模コホートである、日本人ほぼ全員からのランダム選択被験者で評価。7120名の被験者(男性2962、女性4158名、平均年齢 52.3歳)
糖尿病治療無し被験者に於ける、HbA1cカテゴリー毎(<5 .0="" 5.0-5.4="" 5.5-5.9="" 6.0-6.4="" 6.5="" blockquote="" nbsp="" ox="">
結果 研究期間中、死亡 1,104名、CVD死 304、冠動脈疾患 61、卒中 127(脳梗塞 78、脳出血 25、分類不能卒中 24)
HbA1cと、全原因死亡率とCVDとの相関性は段階的で、連続性有り
多変量補正CVD死亡ハザード比は、HbA1c値段階 6.0-6.4%、6.5%以上で、HbA1c5.0%未満と比べ それぞれ、 2.18 (95% CI 1.22–3.87) 、2.75 (1.43–5.28)
HbA1cと、冠動脈死・脳梗塞死との類似の相関性認める 
結論 HbA1c高値 は、全原因死亡率、CVD・冠動脈性心疾患・脳梗塞死亡率と関連性が、西側諸国民と同様、東アジアでも見られた。

日本を東アジア人全部の代表としてみて良いのか?

英国:糖尿病コントロール不良でも、強化治療介入まで内服でも2年間放置

イギリスの医療事情もあるのだろうが、糖尿病コントロール不良と判断しても、治療強化まで2年程度放置、インスリン追加に至っては7年間って・・・ 

日常診療において、欧米のやり方が全て正しいわけじゃないって・・・




Clinical Inertia in People With Type 2 Diabetes
A retrospective cohort study of more than 80,000 people
Published online before print July 22, 2013, doi: 10.23
37/dc13-0331 
Diabetes Care July 22, 2013 



【目的】 2型糖尿病患者に於ける1剤、2剤、3剤経口血糖降下薬(OADs)治療強化までの期間と血糖コントロールレベルの相関

【研究デザイン・メソッド】 これは後顧的コホート研究で、 U.K. Clinical Practice Research Datalink(2004年1月から2006年12月、フォローアップ2011年4月まで)の2型糖尿病患者  81,573 名ベース。

【結果】 HbA1cカットオフを超えてからOAD追加治療強化までの期間平均は、HbA1c ≥7.0、 ≥7.5、 ≥8.0% (≥53, ≥58, or ≥64 mmol/mol)で、それぞれ2.9年、1.9年、1.6年で、OAD2剤服用では、7.2年間、7.2年間、6.9年間
インスリン強化までの期間中央値は、OAD1剤、2剤、3剤でそれぞれ、 7.1 年、6.1年、6.0年 
OAD1剤もしくはインスリンによる強化したときの平均HbA1cは、OADs1剤、2剤、3剤でそれぞれ8.7、9.1、9.7%
OADs1剤、2剤、3剤服用中患者で、OAD1剤あるいはインスリン治療による治療強化からの期間中央値は、7.2年間のフォローアップ期間を上回る。
OAD1剤、2剤、3剤で血糖コントロール不良患者確率は、OAD1剤強化フォローアップ終了後強化にて、21.1-43.6%であり、インスリンによる強化では5.1-12.0%である。
 

【結論】 血糖コントロール未到達2型糖尿病患者の治療強化の遅れが存在する。
OADsやインスリンによる強化まで数年の血糖コントロール不要期間である比率かなり高い。


2013年7月25日木曜日

肥満差別:非肥満・肥満者にもその後の肥満リスク増加をもたらす



weight discriminationをどう訳すか・・・「肥満差別」と訳した方が良さそうな気もしたが、直語的訳として「体重差別」(weight discrimination)を採用した。


肥満者は、怠惰で、成功者とは見えず、意志が弱いものとしばしば認識され、この思考はしばしばネガティブに、そして、差別的、言語身体的暴力となることもある。
重度な心理的後遺症、うつや自尊心、自己受容性、人生満足度に影響を与え、体重バイアスは、審理的機能への影響に限局せず、あらゆる個人の人生に影響を与える。雇用、給与差、人間関係、医療供給システム、さらに、多種差別、肥満差別は身体的健康へも影響を与えるのかもしれない。



Perceived Weight Discrimination and Obesity.
Sutin AR, Terracciano A (2013)
PLoS ONE 8(7): e70048. doi:10.1371/journal.pone.0070048

1) 体重差別(weight discrimination)が、ベースラインで肥満でない人が、肥満となるリスクと相関するか?
2) 体重差別(weight discrimination)は、ベースラインで肥満の人たちが、フォローアップ中肥満のままであることと相関するか?


米国内地域住民居住者の代表的長軸研究 Health and Retirement Study

5157被験者(女性 58.6%)で、体重差別(weight discrimination)測定を行い、体重・身長を測定

体重差別(weight discrimination)経験被験者は、フォローアップ中2.5倍肥満となりやすい (OR = 2.54, 95% CI = 1.58–4.08)
体重差別(weight discrimination)経験者は、ベースラインで肥満であった被験者は、そういう経験のない場合に比べ、3倍肥満であり続ける尤度OR = 3.20, 95% CI = 2.06–4.97) 
この影響は、住民統計指標(年齢、性別、民族、教育)補正、ベースラインBMIを共役要素としたときも影響持続。

この影響は、また、体重差別(weight discrimination)に特異的で有り、他の差別(e.g. 性別・人種など)ではフォローアップ中肥満リスクと関連認めず。

【結論】この研究では、不良なメンタル医療アウトカムに加え、体重差別(weight discrimination)は、肥満を引き起こす元であるということが示された。減量へのモチベーションづけというより、肥満リスク増加そのものとして働く。



体重偏見と、食問題行動や運動回避などを含む一定数の対処行動の文献は増加し、高校などで体重による虐待を受けると、運動を避け、体育などを嫌う。そして、食事の量増加する報告もある。この影響は高校に限らず、社会でも肥満に対するステレオタイプなネガティブな対処行動のメカニズムとして体重差別経験がある。

問題行動のメカニズムは、食事や運動回避への偏見とともに心理学的メカニズムが多分にある。心理学的ストレスはHPA系に影響を与え、コルチゾール遊離のトリガーとなる。糖質コルチコステロイドで食欲亢進するよう、食事摂取量増加へ傾くのだろう。

妊娠中母体喫煙は子供の行為障害へ影響を与える:遺伝的要素独立コホート研究で証明

遺伝的感度研究デザイン成分のある3つのコホートを用いて、妊娠中喫煙歴という環境用品が、遺伝的要因と独立して、子供の後遺障害に影響を与えているときれいに示した報告。母胎環境が子供の行為障害へ直接影響をあたえたことを証明した報告。

Maternal Smoking During Pregnancy and Offspring Conduct Problems
Evidence From 3 Independent Genetically Sensitive Research Designs ONLINE FIRST
Darya Gaysina,  et. al.
JAMA Psychiatry. 2013;():-. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.127.

妊娠中母体喫煙と、子供の行為障害(conduct disorder)の関連性に関して今までも報告があるが、ばらばらな出産前環境状況において遺伝的・生後環境の影響のエビデンス困難であった。
以下の3つのコホートで検討 
・生物学的子供・養子を含む長軸コホート:Christchurch Health and Development
・誕生時養子長軸コホート:Early Growth and Development Study
・遺伝的関連家族と遺伝的無関連家族の受胎時養子研究:Cardiff IVF (In Vitro Fertilization) Study
妊娠中母体喫煙は1日あたりの喫煙数平均(0、1-9、10以上)を測定値とする

status. 妊娠中母体喫煙と子供の後遺障害の有意相関性が、遺伝関連母・遺伝無関連母背景ともに、観察される。
メタアナリシス結果でも、pooled study sample横断的にこの関連性確認

ランダム化トライアル:可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬:慢性血栓塞栓性肺高血圧・肺動脈高血圧 運動耐用性改善、肺血管抵抗改善

2つのランダム化トライアルで、慢性血栓塞栓性肺高血圧、肺動脈高血圧症患者をプラシーボと、新規可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC: soluble guanylate cyclase)刺激薬
(参照:http://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail.php?file_path=2010%2Fnews2010-06-11.html

2つのトライアルとも、有意に、6分間歩行距離試験、肺血管抵抗値改善が示された。



Riociguat for Chronic Pulmonary Hypertension
Hossein-Ardeschir Ghofrani,  et. al.
for the CHEST-1 Study Group
N Engl J Med 2013; 369:319-329July 25, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1209657

Riciguat、可溶性guanylate cyclase stimulatorである新しい合成物は、今までの臨床研究から慢性血栓塞栓性肺高血圧への有用性が示されている。
p3多施設ランダム化二重盲験プラシーボ対照化研究、慢性血栓塞栓性肺高血圧症 261名

プライマリエンドポイントである16週後の6分間歩行距離で有意改善示され、
セカンダリエンドポイントであるうちの、肺血管抵抗改善


Riociguat for Pulmonary Arterial Hypertension
Hossein-Ardeschir Ghofrani,  et. al.
for the PATENT-1 Study Group

Ricoguat、可溶性guanylate cyclase stimulatorによる肺動脈高血圧症治療ベネフィット検討 pIIトライアル
プライマリエンドポイントである12週時点での6分間歩行距離のベースラインから改善は有意で、二次有効性エンドポイント(肺血管抵抗、NT-proBNP値、WHO機能分類、臨床的悪化までの期間、Borg呼吸困難スケール)で改善も見られた。
他の、QOL指標、安全性に関しては要約内記載無し
プラシーボ群でも、2.5mg最大群でも失神が最大で、4%、1%







http://www.nejm.org/action/clickThrough?id=5335&url=%2Fdoi%2Ffull%2F10.1056%2FNEJMoa1209657%3Fquery%3Dfeatured_home&loc=%2F


肺高血圧症に関わる新しいカリウムチャンネル異常

新しいカリウムチャンネル遺伝子変異で、肺高血圧症の一原因となることが示された。

potassium channel subfamily K member 3 (KCNK3)

非家族性の1.3%、特発例の3.2%で独立して検出

新しいphospholipase inhibitorによるin vitro実験で、特定の変異のため、カリウムチャンネル電流のrestoreが生じることが示された。


"A novel channelopathy in pulmonary arterial hypertension"
Ma L, et al
N Engl J Med 2013; 369: 351-361.

2013年7月24日水曜日

米国北西部:サイクロスポラ感染流行

サイクロスポラ(Cyclosporiasis)

http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/cyclospora1.html


米国中西部(アイオワ、ネブラスカ、テキサス、ウィスコンシン、イリノイ州)で、200名超サイクロスポラ感染


2013 Outbreak
http://www.cdc.gov/parasites/cyclosporiasis/outbreaks/investigation-2013.html
http://www.cdc.gov/parasites/cyclosporiasis/

FDA Investigates Multistate Outbreak of Cyclosporiasis
Posted July 23, 2013
http://www.fda.gov/Food/RecallsOutbreaksEmergencies/Outbreaks/ucm361637.htm


July 24, 2013
CDC: More than 275 have unidentified stomach bug
http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/07/24/cdc-stomach-bug/2584273/

女性:腎結石は冠動脈精神疾患のリスク要素

2つの女性コホートで、腎結石既往は、軽度だが、CHDリスク増加と有意相関。男性では相関認められず。


History of Kidney Stones and the Risk of Coronary Heart Disease
Pietro Manuel Ferraro,  et. al.
JAMA. 2013;310(4):408-415. doi:10.1001/jama.2013.8780

Health Professionals Follow-up Study (HPFS) (男性 45 748 、40-75 歳; フォローアップ:1986-2010年)、 Nurses’ Health Study I (NHS I) (女性 90 235 ,  30-55 歳)の男性 45,748名、女性 196,347名での前向き研究
主要アウトカム・測定項目は、致死的・非致死的心筋梗塞・冠動脈再建を含む冠動脈疾患、隔年アンケートとカルテ確認

総計 242,105名のうち、腎結石既往 19,678
フォローアップは男性で24年間、女性で18年間
CHD発症 16,838

寄与要素補正後、女性において、腎結石既往女性は、既往無しに比べCHDリスク増加  in NHS I (発症率 [IR], 754 vs 514 per 10万人年; 多変量ハザード比[HR], 1.18 [95% CI, 1.08-1.28]) 、 NHS II (IR, 144 vs 55 per 1 per 10万人年; 多変量ハザード比[HR], 1.48 [95% CI, 1.23-1.78])

男性では有意相関無し (IR, 1355 vs 1022 per 1 per 10万人年; 多変量ハザード比[HR],  1.06 [95% CI, 0.99-1.13])

個別エンドポイント解析時でも、同様結果がみられた(致死性、非致死性心筋梗塞、血管再建)



寄与要素補正項目:
年齢、居住場所、心疾患家族歴・糖尿病・高血圧・高コレステロール、アスピリン、サイアザイド系利尿剤、ループ系利尿剤、経口ステロイド、脂質効果薬剤、CCB、β遮断剤、ACE阻害剤、他の降圧剤、閉経状態・閉経後ホルモン使用、職業、喫煙、BMI、身体活動性、カルシウム、カリウム、マグネシウム摂取、動物性蛋白、総脂肪・ビタミンD、アルコール、カフェイン、DASH食

塩分摂取量とか、耐糖能異常とか、PTHの状況とか、腎機能とかは?

「エストロゲン未使用による超過死亡増加説」への反論

事前設定プライマリエンドポイントの議論でなく、サブグループ解析をして勝手な結論づけをするやり方。これって、反ワクチンや特定薬剤非難のための主張根拠にありがち。

同様なやり方を、以下の論文で行われているという批判
WHI新規解析:子宮摘出後50-59才:エストロゲン治療行わないことで死亡率増加 ・・・ 全米で年間数千名というインパクトと・・・ 2013/7/19
大元はこれだが、

特に、サブグループ解析で臨床上の推奨を行うとは・・・地に落ちた主張もんだと・・・

「我々は、乳がんアジュバント、疾患回避トライアルでのサブグループ解析に基づいての考察に基づく臨床推奨を行うことはない」

Estrogen Debate Continues: The WHI Side
Published: Jul 22, 2013
http://www.medpagetoday.com/TheGuptaGuide/OB/GYN/40624

最初の質問は、ホルモン治療使用減少著明な地域で50-59歳で死亡率増加したというところの、リアルなエビデンスは何処にあるのか?

研究中心の変化は、50-59歳で、9万1千名に上るエストロゲン治療回避による死亡のことで、10年間に1万8千名死亡すると推定している。方法論として、これらの所見は信頼不能のプロジェクションで、仮説合成し、臨床上の情報が示されなければならないと WHI 研究者 Rowan Chlebowski, MD (University of California Los Angeles)が電子メールで述べている。

「我々は、乳がんアジュバント、疾患回避トライアルでのサブグループ解析に基づいての考察に基づく臨床推奨を行うことはない」


日本では良く見聞きしますけどね、事前設定されてないアウトカムで、後顧的解析をして、結論づけされることって・・・

FDA:糖尿病治療と称した非合法販売警告

FDA alerts companies to stop illegal sale of treatments for diabetes
Includes certain products containing undeclared active pharmaceutical ingredients
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm362012.htm

FDAは2013年7月、連邦法違反したとして、糖尿病薬代替商品販売した15の会社に警告文書を交付
アーユルベーダ商品やOTC、ホメオパチー商品などで、非合法的に、「血糖を自然に下げる」、「A1c値を有意に下げる」「眼・腎臓・神経障害・心疾患の危険を防止」「治療薬の代わりに」「糖尿病性下肢痛軽減に」と表示記載

一覧表示
http://www.fda.gov/ForConsumers/ProtectYourself/HealthFraud/ucm352276.htm


自然に 血糖降下」 ・・・ 日本では野放し・・・


米国は欧州よりサプリメントの効能表示は自由だが、やや欧州よりに表示厳格化となる兆しか?日本は、サプリメントの表示自由化するとか・・・
アベノミクスで健康食品表示が「企業任せ」へ 日米表示一覧から見える“怪しいサプリ”氾濫の未来 http://www.mynewsjapan.com/reports/1845

効能に疑念ある、コストパフォーマンスの悪いサプリメントの 宣伝が増える、悲しい日本の実態・・

日経記事の誤記載? 「メンソールタバコはニコチンに対する中毒症状度合いが高い」

メンソール入りタバコが若年喫煙促進してることは確かで、メンソール入りタバコ制限は賛成だが・・・

日本経済新聞社の記者の「中毒症状」ってなんだ?



メントールたばこ、中毒性高い可能性 米FDA評価
2013/7/24 10:45
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2400T_U3A720C1CR0000/
FDAの専門家チームは、メントールたばこと通常のたばこに関するさまざまな研究結果を分析。肺がんや呼吸器疾患など健康への直接の害では差が見られなかったが、メントールたばこは若年層がたばこを吸い始めるきっかけになることが多い上、ニコチンに対する中毒症状を示す度合いが高く、禁煙も成功しにくい傾向があるとした。
FDAは味覚の爽快さに加えて粘膜をまひさせる効果があり、煙を吸う抵抗感が少なくなって依存性が高まる可能性を指摘している

Toxicという単語無し
     ↓
F.D.A. Closer to Decision About Menthol Cigarettes
By SABRINA TAVERNISEPublished: July 23, 2013



FDA Cites Likely Risks of Menthol Cigarettes

Agency Says Greater Addiction Is Possible
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324783204578623731340812650.html

In a preliminary assessment of the possible health effects of menthol cigarettes, the federal agency said current data don't show such cigarettes are more toxic or increase the risk of smoking-related diseases compared with regular cigarettes.
But the FDA found that menthol in cigarettes likely increases smokers' addiction, and that menthol smokers "are less likely to successfully quit smoking."

この記事だと、現行データでは、メンソール入りタバコが通常のタバコより毒性高いといえるデータは存在しない ・・・ とある。

日経記事にある「ニコチンに対する中毒症状」とは「中毒」のことではなく、「ニコチンに対する依存症状」の間違いなのではと思いたくなる。いずれにせよ、「中毒症状を示す度合いが高い」とは誤りとみるべきだろう。

ニコチン中毒症状とは、「ニコチンによる正常機能阻害状態・病的状態」のことであり、ニコチンから離脱できない「依存症」とは異なるわけだが、この記事記載者混同してるのだろう。

新聞記者の基本的知識のなさがたびたび話題になるが・・・この日経の記事もそれを露呈したのかもしれない。




愛する人との別れ:”複雑性悲嘆”治療

複雑性悲嘆(complicated grief)ってことになってるけど、なんだかしっくりこない訳と感じてる。 PTSDもそうだが、日本語訳のため、無駄な議論が日本だけ続いた気がする。
この場合の"complicated"とは、”合併症”存在の意味だと思う。故に、brief reaction(悲嘆反応)に終わらない、心的病理的部分を含む心身合併症とともにある状況を指すと思う・・故に、「複雑性」という表現は・・・

精神・心理範疇では昔から誤訳がめだつ。「place phobia」などは「広場恐怖」じゃなく、本来は「場所恐怖」だし・・・

死別した家族への配慮というのが医療関係者に求められる傾向もある。いかなるアプローチが正しいか、一つの課題だろう。

Treating Complicated Grief
Naomi M. Simon, et.al.
JAMA. 2013;310(4):416-423. doi:10.1001/jama.2013.8614.
研究重要性  愛する人の死というのは人生最大、不変のストレッサーで、臨床的介入無く遺族の大部分は適応に成功する。遺族の一部に、死別悲嘆に他の問題が重なり、治癒困難となる。この複雑性悲嘆(complicated grief)にともなう症候群により、重要なdistressや機能障害が死別数年間でも継続する場合があるが、それへの介入時期・方法に関しては未だに解決してない。


研究目的 様々な診断、リスク要素、complicated griefの管理について、利用可能エビデンス及び臨床観察結果に基づき議論


Evidence Review  MEDLINE を1990年1月から2012年10月まで検索。選別研究リファレンス・レビュー記事から追加引用。complicated griefに対する有益治療研究を含む。



結果  強力な文献検索で、DSM-5によるcomplicated griefを参照
( 意味合いは、特異な外傷・ストレッサー関連疾患のサブタイプとして持続的複雑性死別疾患)するも、今後より多くの研究がフォーマルに要求される状況であり、適切な命名、診断クライテリアについて未だ議論進行中の病状である。

信頼性のあるスクリーニング法は利用可能で、推定発生率は死別の7%

ランダム化対照データにより、ターゲット化心理療法の有効性が支持され、それはcomplicating problemの改善を促進し、自然治癒プロセスを育てるエレメントを含む。

予備研究にて、うつ治療薬物も有用な可能性


結論・意義  健康アウトカムに多大な悪影響を有する複雑性悲嘆者を診断し、自殺リスクを評価し、他の病的状況合併状況、うつ、PTSDなどを評価し、治療を考慮すべきである。

原発開放隅角緑内障のルーチン検査所見 ・・・ 眼科専門医でないとだめ

 北米に於ける原発開放隅角緑内障:primary open-angle glaucoma (POAG)同定上の検査所見・関連リスク要素定量


Do Findings on Routine Examination Identify Patients at Risk for Primary Open-Angle Glaucoma?
The Rational Clinical Examination Systematic Review
Hussein Hollands, et. al.
JAMA. 2013;309(19):2035-2042. doi:10.1001/jama.2013.5099.


構造化Medline検索と手作業検索データベース

高品質研究緑内障要約罹患率 2.6%(95% CI, 2.1-3.1%)

評価リスク要素のうち、最も強い相関は
・高度近視 (球面度数 ≥6; オッズ比 [OR], 5.7; 95% CI, 3.1-11)
・家族歴 (OR, 3.3; 95% CI, 2.0-5.6)


・黒人  (OR, 2.9; 95% CI, 1.4-5.9)
・加齢  (especially age >80 years; OR, 2.9; 95% CI, 1.9-4.3)


 Cup-to-disc ratio (CDR:陥凹乳頭径比)増加ほど、POAG尤度は増加(CDR 0.7以上での尤度  14 (95% CI, 5.3-39))

 CDR asymmetry増加ほど、POAG尤度増加  (CDR asymmetry ≥0.3; LR, 7.3; 95% CI, 3.3-16)

CDRやasymmetryの単独閾値では緑内障除外できず

disc出血頻度は緑内障を強く示唆  (LR, 12; 95% CI, 2.9-48)
しかし、出血がないという所見は診断的意味なし   (LR, 0.94; 95% CI, 0.83-0.98)


IOP(22以上)という通常用いられるカットオフ値では、LRは  13 (95% CI, 8.2-17)
IOP少ないほど尤度低い  LR, 0.65; 95% CI, 0.55-0.76)

ルーチンセッティングでのGP施行に関するスクリーニング検査の研究認めず


結論としては、CDR高値 、CDR非対称性、disk出血、IOP増加といった所見に、家族歴、黒人、加齢がPOAGリスク増加と相関。ただ、これらの存在がないからといって、POAGリスク増加と相関。除外はできない。 現時点利用可能データによれば、緑内障同定の最も正確な診断法はやはり眼科医による検査


視神経乳頭陥凹(CDR):検眼鏡、細隙灯顕微鏡、眼底写真撮影法、無赤色眼底観察法で、視神経乳頭変化を観察

緑内障性視神経乳頭・網膜神経線維層変化判定ガイドライン
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/glaucoma2-8.pdf

2013年7月23日火曜日

米国:2005年から2011年 加工食品・料理店食品 減塩方向性不確実

米国内でも、減塩運動にかかわらず、加工食品やレストラン食品中のナトリウム量減少傾向は一定でなく、遅い。他のデータでは、加工食品・レストラン食品中ナトリウムレベル自発的減少ペースが遅くなっていることが示唆され、より強いアクションが望まれる。


Changes in Sodium Levels in Processed and Restaurant Foods, 2005 to 2011
Michael F. Jacobson et. al.
JAMA Intern Med. 2013;173(14):1285-1291. doi:10.1001/jamainternmed.2013.6154
ナトリウムの過剰摂取は高血圧の主因で、心疾患・卒中の重要な要素
消費量が増えれば、高血圧発症個人尤度増加する。多くの権威団体がナトリウム摂取減少を米国内で推奨している。ナトリウム摂取の80%が食品製造業者・レストランにより加えられている。

2005年、2008年、2011年評価製品ナトリウムの平均(SD)レベル:特定の食品のナトリウム含量

2005年から2001年にかけ、402の加工食品ナトリウム含量は、約3.5%減少
しかし、78のファストフードレストラン製品ナトリウム含量は、約2.6%増加

特性の製品は最低30%も減少するも、多くの製品では最低30%増加。
主な知見としては、この6年間にナトリウム含有量に関し、正確な、統計学的に有意な減少が見られなかったこと


.

心エコー検診 ベネフィット認めず

無症状者への構造的心疾患同定は早期疾患介入治療につながるかもしれないということで検討したが、直接のベネフィットは認めなかった。


Echocardiographic Screening of the General Population and Long-term Survival
A Randomized Clinical Study
Haakon Lindekleiv,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():-. doi:10.1001/jamainternmed.2013.8412. 
Published online July 22, 2013
ノルウェーの住民ベース研究Tromsø Study
心エコー検診群 n=3272、 対照群 n=3589
治療アプローチとして、データを死亡率・致死的・非致死的心筋梗塞・卒中に関して解析

15年間フォローアップ中、
死亡 検診群 880名(26.9%)、 対照群 989(27.6%)
 (ハザード比, 0.97; 95% CI, 0.89-1.06)
セカンダリアウトカム測定項目(突然死、型不問心疾患死オブ率、致死的・非致死的心筋梗塞、卒中)に関して、群間有意差みとめず 
エコーによる構造・弁疾患検診は、死亡率や心筋梗塞・卒中リスクへベネフィットもたらさない。




心エコー適正使用に関する報告
 Appropriate Use and Clinical Impact of Transthoracic Echocardiography
Susan A. et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():-. doi:10.1001/jamainternmed.2013.8972.
Published online July 22, 2013

緑茶・紅茶の心血管疾患への一次予防直接エビデンス ・・・ 存在しないに等しい

飲用物の健康への効果研究いずれもがエビデンス品質レベルが低く、断定するにはほど遠い。だが、マスメディアや軽口評論家により、断定的な話にすり替わり、市井に流布していく・・・そして、業界がそれを利用し、宣伝に使う・・・そういう悪循環。


以下のCochraneレビューの結果だと、心血管疾患一次予防効果としての緑茶・紅茶の検討研究、特に、長期研究は、かなり稀。故に、心血管疾患予防効果としてのエビデンスは限定的。CVDリスク要素への改善効果を示唆する限定的いエビデンスは存在する。
だが、それぞれの解析に値する検討数が少なすぎるため、取り扱いには注意が必要で、長期フォローアップを有する質の高い研究が必要。

これがホントなら、LDL値の変化、血圧の変化を見れば、心血管疾患アウトカムへ影響与えるほどのインパクトだと思う。COI配慮された第三者機関が高品質なトライアルすれば良いのだが・・・


Green and black tea for the primary prevention of cardiovascular disease
Louise Hartley, et. al.
Editorial Group: Cochrane Heart Group
Published Online: 18 JUN 2013
Assessed as up-to-date: 12 OCT 2012
DOI: 10.1002/14651858.CD009934.pub2

緑茶・紅茶に関するRCTは11で、対象被験者は 総計 821名
緑茶は7つ、紅茶は4つ
アウトカムとして心血管イベントを採用したのは無し
紅茶では、LDL、コレステロール血圧(収縮期、拡張期血圧)で減少効果
血圧(収縮期 : MD -1.85 mmHg, 95% CI -3.21 〜 -0.48、 拡張期 (DBP): MD -1.27 mmHg, 95% CI -3.06 〜 0.53);何れも6ヶ月間
感度分析安定だが、トライアル数がかなり少なく解析に適せず、バイアス・リスク存在


緑茶も統計学的に有意減少効果:総コレステロール、血圧
血圧(収縮期血圧 (SBP): MD -1.85 mmHg, 95% CI -3.21 〜 -0.48、 拡張期血圧 (DBP): MD -1.27 mmHg, 95% CI -3.06 〜 0.53);何れも6ヶ月間
これも、検討数が少なく解析に適せず、さらには感度分析不安定
副作用イベントは5研究で行われ、前立腺がん、インフルエンザ入院、虫垂炎、網膜剥離などだが、ダイレクトな介入寄与可能性は少ない。
LDL(差平均(MD) -0.43 mmol/L, 95% 信頼区間 (CI) -0.56 〜 -0.31)
LDL(差平均 -0.48 mmol/L(-18.6 mg/dL), 95% 信頼区間 (CI) -0.77(29.8) 〜 -0.46(17.8))



習慣性コーヒー摂取と心代謝疾患、心血管健康、全原因死亡率

観察研究がほとんどで、高品質前向き対照などされてない研究が実態のコーヒー摂取と健康アウトカムの関連性研究。そういう限界の中、全体から見れば、中立的からやや健康に良いのかもしれない。




Effects of Habitual Coffee Consumption on Cardiometabolic Disease, Cardiovascular Health, and All-cause Mortality
James H. O’Keefe,  et.al.
J Am Coll Cardiol. 2013;():. doi:10.1016/j.jacc.2013.06.035

コーヒーは米国内で、水の次に最も頻用されいる飲用品で、成人ではカフェイン摂取の主な供給源。コーヒーの生物学的影響が存在するが、カフェインの作用も限定的でない。
コーヒーは数百の生物学的活性成分を含む複雑な飲用品で、慢性的コーヒー飲用の健康への影響は幅広い。


心血管という立ち位置からみると、コーヒー摂取は2型糖尿病、高血圧、肥満やうつといった他のCV関連疾患リスク減少に働く可能性がある。しかし、脂質特性に関して含有物次第では悪化的に働く可能性がある。


関わらず、増加するデータ本体により、習慣性コーヒー摂取は、冠動脈性心疾患、うっ血性心不全、不整脈、卒中を含む様々なCV副事象アウトカムに対するリスクに関して中立的からベネフィットを有するという報告となっている。
さらに、大規模疫学研究により、コーヒー定期飲用は死亡率リスク、心血管疾患・全原因死亡を減少することが示唆される。


可能性のあるベネフィットとしては、神経変性疾患への防御作用が含まれ、喘息コントロール、特定の胃腸疾患リスク減少も含まれる。

コーヒー2−3カップ連日飲用は安全であるようで、研究された健康アウトカムのほとんどで中立〜利益的である。


しかし、コーヒーの健康への影響の大部分は観察研究で有り、ランダム化対照研究はかなり少なく、その関連性は原因的に示されてない。さらに、定期コーヒー摂取利益性可能性は、(カフェイン含量の多いことに起因することがほとんどだが、その)内在リスクに対する重み付けがなされるべき。すなわち、不安、不眠、震せん、動悸、骨減少、骨折のリスク増加。

制酸剤であるPPI服用者は、低マグネシウム血症フォローアップ必要 特に心血管イベント関連症例や不整脈例では重要


Effects of proton pump inhibitors and electrolyte disturbances on arrhythmias
El-Charabaty E,  et. al.
Published Date June 2013 Volume 2013:6 Pages 515 - 518
DOI: http://dx.doi.org/10.2147/IJGM.S46932
International Journal of General Medicine

PPI使用と、低マグネシウム血症との関連性について7症例報告がなされた。

不安定狭心症・非ST上昇型MI、ST上昇型心筋梗塞によるCCU入院 421名
PPIと、低マグネシウム血症発症についての相関性検討

PPI服用 184名(43.8%) 、非服用 237名(51.16%)のうち

低マグネシウム値(< 1.8 mg/dL) 95名(22.5%)
不整脈発症 167(39.6%)

PPI使用とマグネシウム値の相関係数P値は、それぞれ 1.31e-29、 8 e-102


P値は、統計学的にPPI使用とマグネシウム値、心血管イベントの間での有意相関性の存在を示唆し、強い相関係数で0.817であった。

PPI服用患者はマグネシウム欠乏を綿密にフォローすること、特に、急性心血管イベントが有る場合には重要で、不整脈悪化やその後の合併症と関連する可能性がある



朝食抜きは冠動脈性心疾患増加へ働く ・・・ 肥満・高血圧・脂質異常を介して

ダイエット法として朝食抜きを勧めるテレビ放映を見ることがある。

食事のタイミングと概日リズム・健康代謝への影響が齧歯類で報告されている。朝食なしでは肥満・脂質蓄積性に働くこととなる(Fuse et al. Journal of Circadian Rhythms 2012, 10:4)。また、高血圧、特に夜間高血圧・早朝高血圧と塩分排泄・塩分感受性との関連性の問題も話題。

以下の論文は、ヒトの前向き観察研究で、朝食と冠動脈疾患発症との関連性を検討

Prospective Study of Breakfast Eating and Incident Coronary Heart Disease in a Cohort of Male US Health Professionals
Leah E. Cahill,  et. al.
Circulation. 2013; 128: 337-343
doi: 10.1161/​CIRCULATIONAHA.113.001474

背景—成人において、食事を抜くことは体重超過、高血圧、インスリン抵抗性、空腹時脂質濃度増加と関連する。しかし、食事構成にかかわらず特異的な食事習慣が冠動脈疾患(CHD)リスクに影響を与えるかはまだ不明。この研究の目的は、前向きに食事習慣とCHDリスクを検討すること

研究方法と研究結果—朝食を含む、食習慣を1992年に、Health Professionals Follow-up Study の心血管疾患・がんのない、45-82歳アメリカ人26,902名

16年間フォローアップ期間風、1527のincident CHD症例診断
Cox比例ハザードモデルを用い、相対リスクと95%信頼区間を推定し、住民統計・食事・ライフスタイル・他のCHDリスク要素補正。
朝食抜き男性は、朝食を抜かない男性に比べ、CHDリスク27%高い(相対リスク, 1.27: 95% 信頼区間、 1.06-1.53)

夕食遅くない場合に比べ、夕食が遅い場合は、CHDリスク55%高い (相対リスク, 1.55; 95% 信頼区間 1.05-2.29)

これらの相関は、BMI、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病によるもの
食事回数(1日あたりの回数)と、CHDリスクに相関認めず

結論—朝食の存在は、この男性医療従事者コホートにおいて、CHDリスク減少と関連した。

小児家庭内事故事故:テレビ落下・転倒外傷増加 ・・・ 液晶テレビ普及のため

ブラウン管と違って、テレビ倒れやすくなり、小さい子供のけがが多くなったという報告

Television-Related Injuries to Children in the United States, 1990–2011Falling Televisions Injure Thousands of Children, Study Finds
Pediatrics Published online July 22, 2013 (doi: 10.1542/peds.2013-1086)

1990年から2011年の米国内救急部門データ
推定38万885名の18歳未満の子供がEDで治療を受けた。
これは平均すれば、年間17313名の子供に相当
年齢中央値は3歳、5歳未満で64.3%を占める 
1千あたりの外傷年間頻度は
18歳未満で2.43(95%信頼区間[CI]: 2.07-2.80)、レンジは2.15(95% CI: 1.64-2.66) 〜 2.90(95% CI: 2.31-3.49) 
包括外傷発生率は安定しているが、この研究期間中(1990-2011年)に、テレビ落下外傷数・発生数は、それぞれ125.5%、95.3%有意増加。 
ドレッサー・家具・引き出し付き整理ダンス・衣装ダンス(amoire)からのテレビ落下数は有意に344.1%増加。

For Release:  July 22, 2013 - See more at: http://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/Pages/Falling-Televisions-Injures-Thousands-of-Children-.aspx#sthash.bNssfHVs.dpuf


テレビってのは、番組内容もさることながら、光・音により睡眠障害を引き起こし、物理的にも子供たちに害を与える有害器具。

2013年7月22日月曜日

臨床研究不正:研究者の知識低すぎるという主張

臨床研究不正でNPOが非難 研究者の知識低すぎる
http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013072001001494.html

ノバルティスファーマの降圧薬ディオバンを使い京都府立医大で行われた臨床研究がデータ操作された問題で、医師らでつくるNPO法人臨床研究適正評価教育機構(桑島巌理事長)は20日に記者会見し、臨床研究に関わった医師の知識や技術が低すぎると非難した。

この桑島理事長って、「職場高血圧」(workplace hypertension)というテーマで製薬メーカーによる講演会かなり行ってた。

「職場高血圧」・「仮面高血圧」という造語にご用心 2005年 07月 21日

ちなみに「office」とは、通常、「clinical office」のことであり、日本の「診察室」相当であり、白衣高血圧のこと。  


ちなみに、pubmed上で、「'work' AND 'hypertension'」や「'occupation' AND 'hypertension'」 に 'Kuwajima'をAND検索に加えると、

Workplace hypertension is associated with obesity and family history of hypertension.
Hypertens Res. 2006 Dec;29(12):969-76.

という論文が検索される。中身をみると、通常血圧正常でも、「job strain」(職業上の緊張)による高血圧ということで、ABPMによる測定値を持って、「職場高血圧」と命名している。「Workplace hypertension」という病態に関してはその意義は否定しないが、「職場高血圧」という命名は軽々しいのではないか、そういう思いを持つ。

最近のメタアナリシス・システマティックレビューでも「job strain」という言葉はあっても、「workplace hypertension」は使われてないようだ。
Job Strain and Ambulatory Blood Pressure: A Meta-Analysis and Systematic Review
Read More: http://ajph.aphapublications.org/doi/abs/10.2105/AJPH.2012.301153?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

そういう御仁が、「臨床研究に関わった医師の知識や技術が低すぎると非難」という・・・



米国と比較すれば分かるが、「日本の臨床研究のレベルは低い」というより、国が金出さないため、研究に必要な「資金や資材・人材提供」を紐付き資金に求めざる得ないという状況が問題と思う。

NPO法人臨床研究適正評価教育機構は、批判すべき方向性が違う

レビュー : ガーリックの心血管疾患予防作用 ・・・ アジュバントとしては効果有り

ガーリックの使用は脂質低下治療のアジュバントとしては使用可能。だが、治療主体としては推奨されない。さらに標準化物使用や方法論的問題の無い方法でのメタアナリシスが必要。

Review Article
Role of Garlic Usage in Cardiovascular Disease Prevention: An Evidence-Based Approach
Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine
Volume 2013 (2013), Article ID 125649, 9 pages
http://dx.doi.org/10.1155/2013/125649


ガーリックの心血管疾患へのインパクト特に、血中脂質へのインパクトが示された。しかし、一部に逆の結果も報告されている。
(機序の説明としては、HMG-CoA ruductaseなど関連酵素阻害作用が示唆
http://www.hindawi.com/journals/ecam/2013/125649/tab1/

同様に、高血圧コントロールへの効果
http://www.hindawi.com/journals/ecam/2013/125649/tab2/


血小板への効果もデータ不足気味、小規模ながら認められる。
;血小板接着・凝集へのベネフィット効果で心血管系への効果の可能性、血小板カルシウム流入、COX、cAMP、cGMPへ影響を与える、血小板NO産生促進

不一致性の可能性が有り、構成要素ばらつきの問題、食品・成分内のsulphur成分のばらつきの問題、被験者方法論的ばらつき、食事対照などのばらつきなどの結果と思われる。


副作用
生ガーリック使用者でのアレルギー性皮膚炎、 経口抗凝固薬との相互作用の可能性


電子タバコ:通常喫煙減少目的が、電子タバコ定期使用へ変化しただけ

米国FDA : 電子タバコ法的規制へのチャレンジ 2013/7/17



電子タバコ(Electronic cigarettes):ECが一般化しつつある。
もし通常喫煙代替可能なら、公衆衛生上インパクトを与える代物

The Emerging Phenomenon of Electronic Cigarettes
Pasquale Caponnetto, Davide Campagna, Gabriella Papale, Cristina Russo, Riccardo Polosa
Disclosures
Expert Rev Resp Med. 2012;6(1):63-74.
http://www.medscape.com/viewarticle/758218_5

ケベック州の2012名の喫煙・たばこ購入者 2012名に関してアンケート調査

1738(86%)名の喫煙者参加。半数は一度はEC使用を試みたとの報告。
ECトライしたうち、18.3%(95% CI, 15.7-20.9%)で定期使用、14%(95% CI, 1.6%-16.2%)が連日使用と回答
連日定期使用は7.1ヶ月平均
EC使用の主な理由は、通常喫煙量減少のためで、定期EC使用者の60%が、ECは通常喫煙減少目的にかなってると回答
高齢ほど、ECへの初期期待大きいほど、定期的EC使用出現と相関
結論としては、一度でも電子タバコをためした1/5ほどが 的使用となり、通常喫煙代替としての代用となっている。電子タバコを法制化準備中の政府、通常喫煙へのマーケット単一施策づくりという訳にはいかない。


Do e-cigarettes have the potential to compete with conventional cigarettes? A survey of conventional cigarette smokers’ experiences with e-cigarettes
Eva Kralikova, et. al.
Chest. Published online July 18, 2013. 10.1378/chest.12-2842

てんかん:早死率高い、併存精神疾患、特に、うつ合併に注意

てんかん患者は早死にリスク高く、特に外因性死因が多いという大規模研究結果

筆者等によれば、てんかん患者で早死率高いことが示唆され、特に併存・精神疾患n関与が示唆されるという結論。


"Premature mortality in epilepsy and the role of psychiatric comorbidity: a total population study"
Fazel S, et al
Lancet 2013; DOI: 10.1016/S0140-6736(13)60899-5.

スウェーデン1954-2009年生まれ、てんかん入院・外来診断(n-69,995)例での検討

住民対照(年齢マッチ化・性別マッチ化, n=660,869)、非発症同胞(n=81,396)との比較


フォローアップ中死亡 6155 (8.8%)名、年齢中央値  34·5 (IQR 21·0—44·0)歳
早死オッズ高い(住民対照との比較補正オッズ比 [aOR] of 11·1 [95% CI 10·6—11·6] 、 非発症同胞との比較 11·4 [10·4—12·5])

死因のうち、外因死 15·8% (n=972)
非自動車事故オッズ比高い(aOR 5·5, 95 % CI 4·7—6·5) 、自殺オッズ比高い(3·7, 3·3—4·2)

これら外因死のうち、非てんかん・非精神疾患患者との比較で、精神疾患合併は75.2%で、併発うつの場合特に相関性が高い(13·0, 10·3—16·6)、同様に、薬物不正使用 で相関性高い(22·4, 18·3—27·3)

慢性腎臓病:高リン酸血症へのリン吸着剤 非カルシウムベース薬剤はカルシウムベースに比べ死亡率減少

慢性腎臓病(CKD)における高リン酸血症予防、血中リン酸減少のため、リン吸着薬(又はリン酸塩吸着薬、phosphate binder)には、カルシウムベースと無カルシウムベースがある。具体的な慢性腎不全患者における高リン血症治療としては、沈降炭酸カルシウム(商品名カルタンほか)、炭酸ランタン水和物(商品名ホスレノールほか)、セベラマー塩酸塩(商品名レナジェル、フォスブロックほか)。
 
一方、「カルシウム含有リン吸着剤のカルシ ウム投与量を 1500mg/ 日以下にする目標が設定 された.高カルシウム血症やカルシウムの過剰付 加が血管石灰化の原因となりうること,高カルシ ウム血症に高リン血症が加わると心血管系リスク や死亡リスクがさらに悪化することが報告された ことを受け,高カルシウム血症やカルシウム過剰 負荷回避を目的したものであった」(http://l-pod.com/modules/shop/pdf/jin/2011/AR11_jin_3E09.pdf)




Effect of calcium-based versus non-calcium-based phosphate binders on mortality in patients with chronic kidney disease: an updated systematic review and meta-analysis
The Lancet, Early Online Publication, 19 July 2013

CKD患者において、非カルシウムベースのリン酸塩吸着薬は、カルシウムベース薬剤に比べ、全原因死亡減少と関連する。

847の記録同定、8つの新しい研究(5つのランダム化トライアル)が今回参照クライテリアと一致し、さらに、以前の筆者等のメタアナリシス検討10研究(9つのランダム化トライアル)を加えた。

4622名の11のランダム化研究:非カルシウムベースリン酸吸着剤では、カルシウムベースリン酸吸着剤に比べ全原因死亡率22%減少  (リスク比 0·78, 95% CI 0·61—0·98)


腎不全保存期も含む、CKDに伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)という概念

慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン
透析会誌45(4):301-356,2012
http://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/779/慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン.pdf





※ 以下を見ると、保存期でも、CKD-MBDモニタリング推奨されている。ただ、リン酸吸着剤としてはカルシウム含有薬剤のみ保険適応の現状。

保存期CKD-MBD

 ステートメント
I. 測定すべき項目とその頻度
1)血清 P,Ca,PTH,ALP 値の測定は,CKD 3 から開始することを推奨する(1C).2) 血清 P,Ca,ALP 値の測定は,CKD 3 では 6∼12 か月ごと,CKD 4 では 3∼6 か月ごと,CKD 5 で
は 1∼3 か月ごとに行うのが妥当である*1(グレードなし).3) PTH 値は CKD 3 でベースライン値を測定し,以降,CKD 4 では 6∼12 か月ごと,CKD 5 では 3∼6 か月ごとに行うのが妥当である*1(グレードなし).4) 骨密度検査の実施は,CKD 1∼2 の患者,および生化学異常を有さない CKD 3 の患者では,一般人
口と同様にその適応を考慮することが望ましい*2(2B).5) 骨代謝マーカーの測定は,CKD 1∼2 の患者,および生化学異常を有さない CKD 3 の患者では,一
般人口と同様にその適応を考慮することが望ましい*2*3(2C).6) 保存期 CKD 患者における骨生検の適応は,透析患者での適応に準ずる(グレードなし).
 II.各測定項目の管理目標と治療法
1. 血清 P,Ca 値の管理
1) 血清 P,Ca 値は,各施設の基準値内に維持することが望ましい(2C).2) 血清 P 値の管理は,食事の P 制限や P 吸着薬*4による治療によって行うのが妥当である(グレード
なし).3) 血清 Ca 値の管理は,Ca 含有 P 吸着薬や経口活性型ビタミン D 製剤*5の投与,およびその投与量 の調節によって行うのが妥当である(グレードなし).
2.PTH 値の管理

1). PTH 値が基準値上限を超える場合,この是正を考慮することは妥当である(グレードなし).2) PTH 値の管理は,食事での P 制限,P 吸着薬の投与,または経口活性型ビタミン D 製剤の投与に
よって行うのが妥当である(グレードなし).3) PTH 値の管理の結果,血清 P,Ca 値の異常および腎機能の悪化をきたさないようにすることを推 奨する*6(1C).
3.脆弱性骨折予防のための薬物開始基準*2を満たす場合,CKD 1∼2 の患者では,一般人口と同様の骨
粗鬆症治療を推奨する(1A).生化学異常を有さない CKD 3 の患者でも,一般人口と同様の治療方針 が望ましい*7(2B). 


補足
*1 異常値を認める場合や治療を変更した場合,CKD が急速に進行する場合等では,より頻回の測定を考慮する. 
*2「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2011 年版)」に準ずる.
*3  骨型 ALP,TRACP-5b は腎機能の影響を受けにくいが,CKD 患者の骨病変の予測能は高くなく,骨折リス ク評価に関するエビデンスも乏しい.
*4  本邦で保存期 CKD に使用可能な P 吸着薬は,沈降炭酸 Ca のみである.
*5  本邦で保存期 CKD に使用可能な経口活性型ビタミン D 製剤は,アルファカルシドールとカルシトリオールのみである.
*6  沈降炭酸 Ca や経口活性型ビタミン D 製剤の投与量が過剰となり,高 Ca 血症や腎機能悪化をひき起こさないよう注意が必要である.アルファカルシドール 0.5 mg/日,カルシトリオール 0.25 mg/日までは腎機能に対する悪影響は少ないと報告されている.
*7  生化学異常を伴う CKD 3 の患者,および CKD 4∼5 の患者での骨量減少に対する治療法は確立していない. 

百日咳成分ワクチン:Tdap:菌体PCRでの有効性判断 ・・・ moderate

日常診療で気づくことなのだが、百日咳やマイコプラズマ、咳喘息と言いながら、診断根拠がない直感的診療があちことで行われている。百日咳は特に科学的根拠の乏しい抗体1回法での診断を、某団体がメディアにて広めたため誤用加速している現状
成人持続咳嗽(2週間以上)患者におけるLAMP法による百日咳菌抗原遺伝子陽性率と臨床像 (Vol. 29 p. 75-77: 2008年3月号) http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/337/dj3377.html
whoopingや家庭内感染などの臨床情報が重要で、LAMP法などの直接百日咳菌体確認法が必要だし、抗体法で判断するにしてもペア抗体でなければならないはずなのに・・


マスメディアに露出する医師たちはセンセーショナリズムなこと、極端なことが好きなようで、「百日咳は流行し、その原因はワクチン接種低率のため」と従ってる人たちが多い。

果たして、百日咳ワクチンとはそれほど有効性の高いものなのだろうか?

百日咳に対するワクチンには、「不活化ワクチン (wP, whole cell pertussis 全細胞性と、成分ワクチン(aP, acellular pertussis 非細胞性百日咳)」がある。日本では、後者成分ワクチンが主になされている。

以下の報告も、acellular pertussis(Tdap)である成分ワクチンの有効性報告

PCRレベルでの有効性判断としてみると、Tdapワクチンは青年期・成人期での有効性はmoderateという結論。でも、wPよりはましらしい



破傷風・ジフテリア(・百日咳)ワクチン Tdap(Tetanus, Diphteria, acellular Pertussis) と、Tdワクチンの違いは百日咳ウィルス対応の有無

 
北カリフォルニアでの症例対照検討
Tdapの有効性を、11歳以上でPCR確認百日咳


民間非営利保険組織である、Kaiser Permanente Northern California の21,599名
PCR陽性症例 668名、PCR陰性症例 10098名
Tdapワクチン率は、PCR陽性症例 24.0%、PCR陰性対照で31.9%(P<0 .001="" p="">Tdap補正推定有効率は、PCR対照比較で、53.0%(95% 信頼区間 41.9% - 62.0%)
Kaisr Permanente Northern California対照では64.0%(55.5%-70.9%)

Effectiveness of pertussis vaccines for adolescents and adults: case-control study
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4249 (Published 17 July 2013)



百日咳は、5歳未満の小児で、いわゆるwPワクチンは1948年導入され、その後百日咳症例は6ヶ月未満でも性熱気でも減少。死亡率に関わる問題としては、乳児期が大部分だが、ウィルスのリザーバとしてはそれ以上の年齢層も問題。乳児・小児のワクチンカバー率かなり高いにもかかわらず、1980年代以降周期的に百日咳流行が繰り返されている。
Tdapワクチンが抗体効果改善に対し行われ、2005年2つのTdapワクチンが米国でライセンス獲得。今回の検討は有効性確認のための研究。


現時点では、ワクチンに全てを期待する方が間違い

2013年7月20日土曜日

体重増加に関わる遺伝子: Mrap2、FTO

特定の人たちでの体重増加に関する新しい遺伝子要素の報告 2つ
http://news.yahoo.com/news-genes-idd-obesity-much-weight-genetic-094549684.html


ボストン小児病院研究マウスにおける脂肪カロリー消費防止する遺伝子は、肥満物のグループ変異と同じ遺伝子であった。

Mrap2 遺伝子は、動物で食事量減少するが、通常のマウスの2倍の体重を維持する。
食欲回復するとさらに体重増加し、対照マウスとカロリー同等でも体重増加し続ける。


Science、JNCの2つの報告

Loss of Function of the Melanocortin 2 Receptor Accessory Protein 2 Is Associated with Mammalian Obesity
Masato Asai , et. al.
Science 19 July 2013:Vol. 341 no. 6143 pp. 275-278
DOI: 10.1126/science.1233000


Melanocortin receptor accessory proteins (MRAPs) は、in vitroで、melanocortin受容体のシグナルをmodulateする。 脳発現 melanocortin 2 receptor accessory protein 2 (MRAP2)の生理学的役割研究のため、マウス全身・脳標的下Mrap2欠損マウスの特性研究。
Mrap2 は、直接melanocortin 4 receptor (Mc4r)と相互作用し、aprotein は、ほ乳類肥満での関与が示唆され、セカンドメッセンジャーcAMPのMc4r-介在産生を促進・・・このことは、Mc4r signalingの変化が、Mrap2 disruptionと肥満の相互作用に関してメカニズムの一つということを示唆する。重度肥満若年発症ヒト研究で、稀だが、MRAP2の病的遺伝子変異を見いだした。このことは、ヒトでもこの遺伝子が体重調整に役割を果たしていることが示唆される。

英国の研究では、正常健常対象に、FTO遺伝子が食欲増加・カロリー摂取量と相関を持ち、FTO変異によっては、グレリンが食前後変化見られないことなで、常に満足している状態になる低リスクFTO遺伝子型も見いだした。


A link between FTO, ghrelin, and impaired brain food-cue responsivity
Efthimia Karra, et. al.
J Clin Invest. doi:10.1172/JCI44403.  

fat mass and obesity-associated gene (FTO) 多様性は、ヒト肥満・肥満傾向行動と関連する。その行動とは、食事摂取量増加、エネルギー密度の濃い食品を好む行動である。
FTO はN6-methyladenosineをdemethylateし、potential regulatory RNA modificationであるが、FTOがヒト肥満で影響するかは不明であった。
adiposityマッチ化、正常体重ヒトにおいて、FTO 肥満リスク ホモ接合体rs9939609 A allele対象者にて、血中orexigenic hormone acyl-ghrelinのregulation不能化、食後食欲減少減衰作用が示された。
正常体重AA、TTヒトのfMRIにおいて、GTO genotypeがホメオスターシス及び脳報酬系領域で食物イメージへのニューラルな反応を調整することが判明した。
さらに、AA、TT被験者では、食欲調整、報酬プロセス、インセンティブモチベーションに関する脳梁域内の循環中acyl-ghrelinの分散的ニューラルな反応が示された。
細胞モデルでは、FTO過剰発現にて、ghrelin mRNA N6-methyladenosine methylation減少的に働き、同時に、ghrelin mRNA、ペプチドレベル増加をもたらす。
さらに、AAヒトでの末梢血中細胞は、TTヒトでのそれと比べ、FTO mRNA増加を示し、ghrelin mRNA N6-methladenosine methylationを減少、ghrelin mRNA abundance増加する。
FTOは、食行動キーメディエーターであるghrelinを調整し、FTO肥満リスクalleleがいかに、エネルギー摂取・肥満増加にヒトで働くかの研究に示唆を与える。



マクドナルド・レストランでの、カロリー情報・推奨カロリー表示 効果無し ・・・ 逆に、高カロリー食品購入促進?

ニューヨークにいる人たちが馬鹿なんだろうか?それとも一般的な減少なのだろうか?
それとも、表示法に問題有るから、誤解を生んで、かえってお得な?高カロリー食品を購入してしまうのか?

いずれにせよ、肥満対策行政手段としてのメニュー表示のエビデンスに疑問が呈されてしまった。

Supplementing Menu Labeling With Calorie Recommendations to Test for Facilitation Effects
Julie S. Downs, et. al.  (2013).
American Journal of Public Health. 
e-View Ahead of Print.doi: 10.2105/AJPH.2013.301218


目的. チェーンレストランメニューにカロリー情報を命じることに加え、毎日・毎食の推奨カロリー摂取量を加えることでの食品購入へ影響あるか?


方法. 2008年のニューヨーク市のチェーンレストランメニューカロリー掲載前後、日毎、食事毎、無カロリー推奨を、マンハッタン・ブルックリンにある2つのマクドナルド・レストランの成人ランチタイム顧客(n=1121)にランダム・サブユニットに割り付け、退店時、レシピ・調査回答を回収。
線形・ロジスティック回帰、性別・人種・年齢・日にち補正後、変数毎のカロリー消費・その関連性を検討

結果. カロリーベンチマーク表示で、直接のインパクトなし、商品購入へのカロリーラベルのインパクトは中等程度の影響もなかった。この表示推奨は、カロリー摂取を軽度促進し、より高カロリーアントレ(フランス語で主食)購入増加に寄与してしまっている。

結論. これらの結果は、表示カロリー情報のインパクト促進手段として、肥満蔓延へレストランダイニングの寄与減少としての手段として、推奨カロリー導入方法は支持されない結果となった . (Am J Public Health. Published online ahead of print July 18, 2013: e1-e6. doi:10.2105/AJPH.2013.301218)



2013年7月19日金曜日

WHI新規解析:子宮摘出後50-59才:エストロゲン治療行わないことで死亡率増加 ・・・ 全米で年間数千名というインパクトと・・・

子宮摘出女性(50-59歳)では、エストロゲン治療で死亡率回避効果があり、これがなされないため、米国内で数千名もの死亡犠牲者がでているという報告。

landmark studyになったというWHIの新規解析(http://www.medpagetoday.com/OBGYN/HRT/40567)

超過死亡で表現し、ドラマティックで興味を引く内容となっている。1990年代は、子宮摘出後50代女性の90%はエストロゲン服用し、平均4・5年間継続していた。多くの研究でエストロゲンにより子宮摘出後の骨・心疾患リスク減少が示された。2002年のエストロゲン使用による超過イベントによるWHI研究途中中断より急激に閉経後女性へのエストロゲン使用激減した。2004年の子宮摘出後女性・エストロゲン単独投与群のWHIサブグループ解析で死亡リスク減少が示されたと主張。フォローアップ2011年までに子宮摘出後女性での年間死亡リスク1万対13の減少効果とのこと。


The Mortality Toll of Estrogen Avoidance: An Analysis of Excess Deaths Among Hysterectomized Women Aged 50 to 59 Years.
Philip M. Sarrel, ,et.al.
American Journal of Public Health. e-View Ahead of Print.
doi: 10.2105/AJPH.2013.301295

米国内での一般住民と、WHIのRCT被験者で、子宮摘出女性に関する超過死亡を比較したもの

2002年開始10年スパンで、エストロゲン治療回避されたため、最小 18601名、最大 91610名の早期死亡と推定

結論:若年閉経女性エストロゲン治療は、全原因死亡率決定的な減少と関連するが、この住民でのエストロゲン使用は低率で、さらに減少傾向である。
このデータでは、50-59歳女性での数千名ほどの年間死亡犠牲という示唆。
子宮摘出後女性と医療機関側でインフォームドディスカッションが危急の問題  (Am J Public Health. Published online ahead of print July 18, 2013: e1-e6. doi:10.2105/AJPH.2013.301295)


エストロゲン単独という揺れ戻しが次第に目立ってきている。
上記報告を全面的に信用するとしても、”50代女性で子宮摘出後に限定”されたベネフィットとして判断すべきだろう。

メンデルランダム化解析:血中尿酸値・高尿酸血症は、虚血性心疾患・高血圧と原因的関連性認めず、BMIが共役的役割を果たし観察研究結果に影響

高尿酸血症や尿酸値高値 が、心血管疾患の独立した寄与因子という表現をみるたび、なんだかなぁ・・・と思っている。単純に物事を断言する馬鹿の多いこと・・・


メンデルランダム化解析 mendelian randomisation analysisとは、対立形質が無作為に遺伝する仮定に基づく分子疫学的解析法で、当ブログでも何度も出現
この分析がありがたいのは、原因相関が明らかになることである。

解説
‘Mendelian randomization’: can genetic epidemiology contribute to understanding environmental determinants of disease
International Journal of Epidemiology 2003;32:1-22




特異的な遺伝子である、SLC2A9 (rs7442295)を尿酸評価インスツルメントとして、FTO (rs9939609), MC4R (rs17782313)、 TMEM18 (rs6548238)をBMIのインストルメントとして施行。

血中尿酸値と高尿酸血症ともに、虚血性心疾患、血圧との関連、BMIの内在的寄与関与検討。




Association of plasma uric acid with ischaemic heart disease and blood pressure: mendelian randomisation analysis of two large cohorts
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4262 (Published 18 July 2013)


【セッティング】 デンマークの2つの大規模前向きコホート

【被験者】尿酸値と、関連する共役変数を、58 072 名(Copenhagen General Population Study)と 10 602名(Copenhagen City Heart Study)
それぞれ、虚血性心疾患の4890、2282例含む

【主要アウトカム】血圧と虚血性心疾患評価

【結果】推計にて、既知事項である、血中尿酸値、高尿酸血症と、虚血性心疾患・拡張期血圧及び収縮期高血圧のリスクとの相関を確認。
しかし、尿酸・高尿酸血症genotype instrument使用時、尿酸と、虚血性心疾患、高血圧とのcausal associationを認めなかった。
BMIを観察的関連性内在寄与要素としての検討を遺伝的インスツルメンツ使用したところ、尿酸値とのcausal effect観察された。
BMI4単位増加毎、尿酸値 0.03 mmol/L(95% 信頼区間 0.02-0.04)増加し、高尿酸血症リスク7.5%(3.9%-11.1%)増加する

【結論】観察研究知見と反して、尿酸と虚血性心疾患あるいは高血圧との関連性に原因的関連性認めず。しかし、BMIと尿酸値、高尿酸血症リスクに関して原因相関性を認める。
この知見により、BMIと高尿酸血症が観察的相関において共役要素として働いていたことが強く示唆される。BMI増加・肥満が尿酸関連状態発症において役割を果たすことが示された。


米国・労働省職業安全衛生局にみる熱中症予防キャンペーン 「熱順応」重視、教育・相互監視重視 ・・・ 日本では軽視されてるのでは?

厚生労働省・熱中症

~皆さまに取り組んでいただきたいこと~
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000335ag.html

おそらくこれが源だろう、「水分補給」と「暑さを避けること」ばかり述べている。そして、マスメディア発の情報では、バランスを超えた水分摂取や塩分摂取主張が気になる。


だれが大元作ったのか知らないが、日本で一番指導的役割を果たさなければならない行政機関なのに、知識アップデートなしのいい加減な啓発キャンペーンだと思う。「相互監視」に関しては書かれているが・・・

OSHAが戸外労働者への熱中症予防キャンペーンを行った。そして、アスリート向けのガイドラインも参考にすると、「熱順応」「体重などをモニターとする適切な水分摂取」がめについた。戸外労働者に関しては、ポイントを踏まえた「教育」「相互監視」で、戸外労働者など熱関連労働に関しては、雇用者責任を具体的に指導すべきだろう。


米国・労働省職業安全衛生局:OSHA

戸外労働者熱中症予防キャンペーン


How can heat illness be prevented?


雇用者は、職場で、猛暑から安全性を守るよう配慮する。
雇用者は労働者に対して、水、安静、日陰を供給しなければならない。
労働負荷は徐々に増加し、新規労働者や熱い環境での労働耐性(順応)を1週間以上有さない労働者では、より頻回に休憩を与えるべき。
熱中症症状・予防について教育すべき。
雇用者は、また、職場トレーニングに熱中症予防のステップを加え、プランと緊急時何をすべきかのステップを加えるべき。

迅速な行動で生命を守ることができる。


OSHAから労働者への助言のキーピースは以下のごとく
のどが渇いて無くても15分ごとに飲水を
クールダウンのため、日陰で休む
防止をかぶり、薄い色の着衣を
熱中症の徴候を学び、緊急時何をすべきかを学べ
労働者仲間を常に監視


National Athletic Trainer's Association 熱中症


プレシーズン熱順応

コンセンサスステートメント
・外的要因
・一般的リスク軽減
・水分摂取
喪失した水分量を補充しなけりゃ、脱水になる。軽度脱水(体重減少:BWL 2%未満)は不可避で、アスリートは常に水分補給し続けることできないためである。体重減少 BWL 2%から、パフォーマンス・体温調節機能が始まる。適切な水分摂取は水分と電解質の補充だが、個別ニーズによる。水分摂取は水分喪失とほぼ同等にすべき。アスリートは、水分要求量を個別的に確立・モニターし、適切な水分状態にするよう行動を修正する。長時間必要量を超える水分摂取は危険である→運動誘発性低ナトリウム血症 
・認識・発見
口腔感想、口渇、いらいら、不快感・頭痛・無力感・めまい・筋痙攣・悪寒・嘔吐・吐き気・頭頸部熱感・過剰疲労・パフォーマンス低下
・治療
・プレー続行判断
・労作性熱射病:exertional heat stroke
・熱疲労:heat exhaution
・熱痙攣:heat cramp
・運動性低ナトリウム血症:exertional hyponatremia


発汗速度とナトリウム喪失

Sweat rate and sodium loss during work in the heat
Journal of Occupational Medicine and Toxicology 2008, 3:4 
高温下労働でのナトリウム喪失研究で、夏(順応環境下)と冬(非順応環境下)の比較
発汗速度は夏場の方が高く、ナトリウム濃度は低い
夏場は2日目はナトリウム濃度低下するが、冬場は低下しない。
2日目のナトリウム濃度低下は順応性を示す。

逆に言えば、順応性できてるひとも、順応性のない人も同様に塩をとれば、それぞれ弊害を生じる可能性がある。


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note