2014年5月31日土曜日

肥満・過体重経歴は心血管系発現型へ累積的悪影響をもたらす。ただ、減量維持経歴で軽減。

 The National Survey of Health and Development Study

36歳、 45歳、53歳、60-64歳時で正常体重・過体重・肥満に分類
多変量解析にて、横断的な関連性をcIMTと共役要素を検討


示唆的内容である。肥満経歴はその後の 動脈硬化・代謝系への悪影響見られる。ただ、減量が維持できなくても、一度減量成功するとその動脈硬化性変化や代謝系へ効果持続が見られる。




Lifelong patterns of BMI and cardiovascular phenotype in individuals aged 60—64 years in the 1946 British birth cohort study: an epidemiological study
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 21 May 2014

1273名/2856名(45%)   2006—10年 (年齢: 60—64 歳)

正常体重に比較して、過体重、肥満は、cIMT(0.029 mm, 95% CI 0.014 - 0.043)、収縮期血圧(7.95 mm Hg , 5.86 - 10.0))の増加と関連。


cIMT増加、収縮期血圧増加、レプチン増加、糖尿病発症率増加、アディポネクチン低値が、成人肥満暴露季刊と関連性をもつ ( p < 0.0001)


小児期の過体重は、追加的影響を認めず。

成人期のBMIカテゴリー低下により、 cIMT (- 0.034 mm, -0.056 to -0.013)低下、レプチン濃度 (-0.4 ng/mL, -0.47 to -0.32)と低下、この変化が維持できてなくても、減量経歴がない場合に比べ減少した。

米国FDA診断検査承認:原発性膜性糸球体腎炎(pMGN)診断における、抗PLA2R抗体

原発性膜性糸球体腎炎(pMGN)診断のための、Euroimmun Anti-PLA2R IFA blood testFDA承認


腎生検でなければ診断できなかった。ただ、この存在のみで診断するべきではなく、症状と検査データと合わせ診断確認のため行うべき

サンプル560名にて、症例中陽性確率77%、 偽陽性 1%未満

 http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/GeneralEndocrinology/46072



日本人膜性腎症患者の抗PLA2R抗体保有率は諸外国のデータと比較して低い https://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/M2-1/summary_viewer.php?trgid=25763

2014年5月30日金曜日

ガイドライン推奨維持確率8割;2割は推奨内容変更となる

臨床医学というのは、常に勉強してないと、知見は悉く変化する。故に、勉強しない医師は去るべきなのだと思う。最新のガイドラインを読み込まない医師は、言わずもがな。そのガイドラインも数年で役立たなくなる。


ガイドラインの寿命:システマティックレビュー、ガイドラインも2年で2割、5年で8割あてにならない 2007年 09月 05日


似たような報告。



Durability of Class I American College of Cardiology/American Heart Association Clinical Practice Guideline Recommendations
Mark D. Neuman, et. al.
JAMA. 2014;311(20):2092-2100. doi:10.1001/jama.2014.4949. 


619の指標推奨のうち、その後のガイドライン版で維持された比率は、495(80.0%; 95%CI, 76.6% - 83.1%)、57 (9.2%, 95% CI, 7.0% - 11.8%)はダウングレードもしくは逆転、 67(10.8%, 95% CI , 8.4% - 13.3%)は除外された。


維持された推奨の比率は、ガイドラインごとにばらつき(   15.4% (95% CI, 1.9%-45.4%) to 94.1% (95% CI, 80.3%-99.3%; P  < 0.001)



エビデンスレベルの入手可能情報のある推奨のうち、多数のランダム化研究一致によるサポート推奨である比率は 90.5% (95% CI, 83.2%-95.3%)
vs
1つのランダム化トライアルあるいは観察データによるサポート推奨比率は  81.0% (95% CI, 74.8%-86.3%)
vs
オピニオンによるサポート推奨の比率は、 73.7% (95% CI, 65.8%-80.5%) (P = .001)



 ガイドラインレベル要素斟酌後、ダウングレード、逆転、除外確率は、オピニオンベースの推奨での比率が高い  (odds ratio, 3.14; 95% CI, 1.69-5.85; P<0 .001)、そして、1トライアルや観察データによる場合も高い  (odds ratio, 3.49; 95% CI, 1.45-8.41; P = .005) vs 多トライアルに基づく推奨


2014年5月29日木曜日

5月31日:World No Tobacco Day 2014

 WHO とそのパートナーは、毎年5月31日を、「 World No Tobacco Day」として、
たばこ使用関連健康リスクに重点をおき、たばこ使用を控える効果的な施策をアドボケート

600万名の喫煙者死亡、 受動喫煙でも60万名を超える非喫煙者死亡も生じている

直接的には、タバコ関連税引き上げの呼びかけである
「Raise taxes on tobacco」

http://www.who.int/tobacco/wntd/en/ 




厚生労働省:2014年世界禁煙デーについて
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kin-en/14.html

シニカルは、認知症リスク要素

常日頃、皮肉、つむじまがりを持って世の中を見ている私には耳が痛い。



cynical distrust すねた不信感
http://www.newsweek.com/cynicism-linked-dementia-study-finds-252593

この性癖の計測は、hostilityスケールのサブグループ評価の1つで、 Cook-Medley Scale で行い、3分位とする。



Cardiovascular Risk Factors, Aging and Dementia Study、平均フォローアップ期間:認知症 8.4年、死亡率 10.4年間の研究




Late-life cynical distrust, risk of incident dementia, and mortality in a population-based cohort
 Elisa Neuvonen, et. al.
Neurology Published online before print May 28, 2014, 
doi: 10.1212/WNL.0000000000000528


すねた不信感は、粗解析では認知症と相関せず。しかし、寄与要素補正後認知症の強いリスク要素となった(相対リスク 3.13; 95%信頼区間 1.15〜8.55)

さらに強いこのすねた不信感jは、粗死亡率高値 と関連(ハザード比 1.40; 95% CI 1.05 - 1.87)するが、寄与要素補正にて説明可能となった( 補正ハザード比 1.19 ; 95% CI 0.86 - .61)

心拍変動性は、総娯楽時間、ウォーキングレベル・速度と関連

よくわからない指標がならぶが、総娯楽時間やウォーキング程度、ウォーキング速度は、心拍変動による健康状況の良さと関連するらしい
http://www.atcormedical.com/pdf/TN13%20-%20HRV%20Performing%20and%20Understanding%20HRV%20Measurements.pdf



Epidemiology and Prevention
Physical Activity and Heart Rate Variability in Older Adults
The Cardiovascular Health Study Luisa Soares-Miranda,
Circulation. 2014; 129: 2100-2110 Published online before print May 5, 2014, doi: 10.1161/​CIRCULATIONAHA.113.005361

心臓死亡率と、電気生理学的機能障害ともに、加齢と共に増加。心拍変動性(HRV)は、自律神経機能の指標で有り、心臓リスクと関連する指標でもある。


仮説として、レジャー時間活動性・ウォーキングのレベルが増加するほどより時間ドメイン、回数ドメイン、非線形HRV測定値との関連性を調査。

米国高齢者985名(community-based Cardiovascular Health Study)、5年間の身体活動と24時間ホルターHRVの連続長軸的研究

多変量解析後、レジャータイム活動性総計、ウォーキング距離、ウォーキングペースがそれぞれ前向きに特異的にアHRV指数の良好な指標(normal-to-normal intervalの24時間標準偏差、超低周期パワー)と相関。


ウォーキングペースもまた、短期区分スケーリング対数高値 、Pointcare ratio ( P trend = 0.02)、less erratic sinus patternのマーカーと相関 (Ptrend=0.003 、0.02)



血管運動神経障害(ホットフラッシュなど):エストロゲン治療とSNRI治療比較

ホットフラッシュ/夜間汗など自律神経(血管運動神経)障害への治療としてゴールドスタンダードだが、関連リスク故、使用困難ぎみである。SNRIである、ヴェンラファキシン(エフェクサー)は、非ホルモン治療として広く用いられている。臨床的印象からはエストロゲンより効果は落ちる。同時に評価されたデータは無かった。



Low-Dose Estradiol and the Serotonin-Norepinephrine Reuptake Inhibitor Venlafaxine for Vasomotor SymptomsA Randomized Clinical Trial
Hadine Joffe, et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 26, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.1891

目的:低用量経口17βエストラジオール/低用量ウェンラファキシン徐放剤をVMS症状軽減の有効性・耐用性の検証

研究デザイン・セッティング・被験者:住民から339名の閉経前・閉経後女性( 1日2回以上のVMSを有する(平均、8.1/日): MsFLASH (Menopause Strategies: Finding Lasting Answers for Symptoms and Health) clinical network サイトにて募集

ランダム化二重盲験
・ low-dose oral 17β-estradiol (0.5 mg/d) (n = 97), low-dose venlafaxine hydrochloride extended release (75 mg/d) (n = 96)
・  placebo (n = 146)
×8週間


主要アウトカム・測定
プライマリアウトカム:治療8週後のVMS日内回数平均
セカンダリアウトカム:VMS重症度、不快さ、日常生活への影響。
ITT解析にて、VMS回数の変化を比較



 ベースラインと比較して、8週目の平均VMS回収は、
エストラジオール群 3.9 (95% CI, 2.9-4.9) VMS per day (52.9% reduction)
ヴェンラファキシン徐放 4.4 (95% CI, 3.5-5.3) VMS per day (47.6% reduction)
プラシーボ群 5.5 (95% CI, 4.7-6.3) VMS per day (28.6% reduction)


エストラジオールでは、プラシーボ比較で、2.3回/日減少(p < 0.001)
ヴェンラキシン群では、同様1.8回/日減少 (p = 0.005)


VMS重症度、日常生活への不快さ、影響へも一致した効果。

 低用量エストラジオールは、ヴェンラファシンに比べ0.6回症状回数を減少( p = 0.09)

 治療満足度は、対プラシーボで、エストラジオールが最大(70.3%) ( p < 0.001)
プラシーボが最小(38.4%) 、ヴェンラファキシンは中間(51.1%) (p = 0.06)


両介入とも耐用性良好




2014年5月28日水曜日

低炭水化物・ベジタリアン vs 高炭水化物lacto-ovoベジタリアン:やはり低炭水化物の方が減量効果・脂質特性とも良好

低炭水化物食は減量効果がある。植物蛋白・植物オイル比重の高い食事は冠動脈性心疾患リスクを現法させる。

低炭水化物・植物中心の減量及びLDLコレステロールの長期的効果に関する報告

高炭水化物・lacto-ovoベジタリアン(動物肉・魚肉回避)と比較した、完全なベジタリアンであるveganとの比較なのだが、やはりveganのほうが、体重減少に関しても、脂質特性に関しても良好だった

10%ほど心臓疾患リスクを減少させるというコメント


Nutrition and metabolism Effect of a 6-month vegan low-carbohydrate (‘Eco-Atkins’) diet on cardiovascular risk factors and body weight in hyperlipidaemic adults: a randomised controlled trial
BMJ Open 2014;4:e003505 doi:10.1136/bmjopen-2013-003505 

39名の過体重脂質異常のある、男性と閉経後女性

1ヶ月間メタボリック・バージョンの食事提供低後、6ヶ月間炭水化物vegan食 vs高炭水化物 lacto-ovo vegetarian食




6ヶ月 ad libium研究完遂率は 検証群 50%、 対照群 68%

メタボリック研究にて約4kg減量し、低炭水化物食 6.9kg 、 高炭水化物6ヶ月間ad libitum治療にて5.8kg減量(治療差 [95% CI] - 1.1 kg ( -2.1 〜 0.0) p = 0.047)



LDL-C 、トリグリセライド減少は、ともに大きい( - 0.49 mmol/L ( - 0.70 to 0.28), p < 0.001、 - 0.34 mmol/L (- 0.57 to - 0.11, p = 0.005)
総コレステロール:HDL-C比、アポリポ蛋白 B:A1比も同様 (   - 0.57 ( - 0.83,  to - 0.32), p < 0.001 、  - 0.05 ( - 0.09, to - 0.02), p=0.003)


LIFE研究:中等度運動強化プログラムにて、高齢者主要運動機能障害イベント減少 しかし、同程度の副事象イベントは?

整形外科系の先生達と久光製薬は国際的に通用しない、高齢化に伴う運動機能障害の特有名称をいつまで続けるつもりなのだろう・・・ 和製英語で日本語環境を汚すだけなのに・・・


高齢者への中等度身体活動性活性化プログラムで、単なる健康教育プログラムより重篤な運動機能障害発生を減少しうるという、以下のJAMA誌の報告。


だが、包括的には有意差はないものの、この報告だと、44名の効果を生み出すため、
死亡・生命危機関連・障害持続・入院といった重篤副事象が31名に生じている!


このことを軽視して良いのだろうか?

Effect of Structured Physical Activity on Prevention of Major Mobility Disability in Older Adults
The LIFE Study Randomized Clinical Trial
 Marco Pahor,  et. al. ; for the LIFE study investigators
JAMA. Published online May 27, 2014. doi:10.1001/jama.2014.5616

 多施設ランダム化トライアル(2010年12月終了、平均フォローアップ期間2.6年:2010年2月から2011年12月)。アウトカム評価者は介入割り付けブラインド化。

1635名の運動不足の身体制限ある男女(70−89歳)。身体制限定義は、 400m歩行可能ではあるが、 Short Physical Performance Battery9点以下。
http://geriatrictoolkit.missouri.edu/ShortPhysicalPerformanceBattery.pdf


介入:構造化、中強度身体活動プログラム;週2回センター施行、居宅週3−4回(エアロビック、レジスタンス、柔軟性トレーニング)(n=818)
対照:健康教育プログラム(n=817) ;高齢者特有なトピックスへのワークショップと上司ストレッチング運動

主要アウトカム:歩行400m不能という定義の、重篤運動機能障害


結果:  
主要アウトカムである、400m歩行不能インシデントは
介入群である身体活動活性化群では、 30.1% (246 名)  vs 対照群である健康教育群 35.5% (290 名)   (hハザード比 [HR], 0.82 [95% CI, 0.69 - 0.98],  P =  . 03)


持続的運動機能障害発生では  介入群である身体活動活性化群 120 名 (14.7%) vs 対照群である健康教育群 162 名(19.8%)  (HR, 0.72 [95% CI, 0.57 - 0.91]; P  =  . 006)



重大副事象は介入群である身体活動性活性化群で 404 名 (49.4%)  vs 対照群である健康教育群  373 名 (45.7%)  (リスク比 , 1.08 [95% CI, 0.98 - 1.20])



運動することは 多くのベネフィットをもたらす。ただ、

2014年5月27日火曜日

変形性股関節症 運動療法効果認めず ・・・ 変形性膝関節症も・・・

変形性関節症に対する理学療法の効果について、エビデンス確立してるかのような誤解があるが、実はその意義は乏しい



Effect of Physical Therapy on Pain and Function in Patients With Hip Osteoarthritis
A Randomized Clinical Trial
Kim L. Bennell,  et. al.
JAMA. 2014;311(19):1987-1997. doi:10.1001/jama.2014.4591
ランダム化プラシーボ対照化、被験者−、評価者−盲験化、トライアル


102名の住民ボランティア(hip pain VAS 40以上)のレントゲン確認・変形性股関節症
active 群(10回治療セッション、12週間:教育、助言、マニュアル治療、自宅運小津、適切なら歩行補助): 49名
sham 群(働いてない超音波、inert gelを含む):53名

12週介入、24週フォローアップ


結局、群間差認めず



変形性膝関節症への理学療法介入エビデンス乏しい

Physical Therapy Interventions for Knee Pain Secondary to Osteoarthritis: A Systematic Review
Yi Wang, et. al.
Ann Intern Med. 2012;157(9):632-644. doi:10.7326/0003-4819-157-9-201211060-00007 







変形性関節症に対する外来リハビリテーションは見直されるべきでは・・・

レビュー:関節理リウマチ成人患者:生物学的製剤(バイオロジックス)に関わるワクチン

生物学的製剤


Review
Vaccines and biologics
Isabel Ferreira, David Isenberg
Ann Rheum Dis doi:10.1136/annrheumdis-2014-205246

自己免疫性リウマチ疾患患者は、疾患経過中感染性合併症を生じやすい。biologicsの導入は治療上重要目標に到達したが、感染性リスクの増加ももたらしている。
ワクチン回避可能な疾患もあるが、コレラの患者にワクチンはsensibleでpracticalかどうか考慮すれば明らかに価値がある。biologicsの患者への特異的フォーマルな推奨は現時点まで見られない。このレビューは、ワクチンとbiologicsについてのデータのシステマティック・レビューであり、biologics治療事故眼値規制リウマチ疾患成人患者へのワクチン推奨を考察したもの


具体的推奨は以下
  • biologics治療開始前に可能なら、ワクチン状況の包括的評価すべき。
  • ワクチンは、抗TNF治療期間中にすべきだが、B細胞ターゲット治療ではその前に行うべきで有り、疾患が安定しているときに行うべき
  •  生ワクチンは投与すべきでない、重大な合併症・重篤な反応を示す可能性があるため。
  • 不活化肺炎球菌・インフルエンザワクチンを「強く推奨」する
  • 破傷風トキソイドワクチンは健康状態では投与すべき

2014年5月26日月曜日

ECLIPSE研究コホート:食事内容変容(魚、果物、チーズ)にて、肺機能・肺実質破壊所見、運動耐用能、呼吸困難度、炎症性マーカーに効果

GSKの非介入的、観察、多施設、3年間研究:OPD(慢性閉塞性肺疾患)の根底にあるメカニズムに関する知見を深め、COPDの進行の指標となるものを明らかにすることを目的とした試験



製薬会社支援だが、薬剤評価ではない、珍しい、純粋な研究。


Dietary Intake Is Associated With Lung Function In The Eclipse Cohort
Type: Scientific Abstract
Category: 09.09 - COPD: Outcomes (CP)
Authors: C. Hanson , et. al.
http://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/ajrccm-conference.2014.189.1_MeetingAbstracts.A5949

目的: 食事は、多くの疾患発症・進行に関する修正可能リスク要素である。COPDの発症・臨床所見へも役割のエビデンスがある。
この研究の目的は、食事摂取とCOPD臨床所見をCOPD大規模・特性明確対象・対照・長軸的評価populationである、ECLIPSE研究で評価。


方法:  3年間の8つの経過ポイントで、食事摂取情報が得られている2167名を評価。 


結果:  食事摂取とアウトカム指標関連性
魚、グレープフルーツ、バナナ、チーズで肺機能改善と関連し、肺気腫少なく、6MWD、SGRQスコアアイゼン、特定の炎症性マーカー、CRP減少と関連。


COPDに於ける修正可能なリスク要素としての、食事内容修正の役割はありそうだ。


QUANTIFY トライアル:ウルティブロ・ブリーズヘラー vs チオトロピウム/ホルメテロール併用 比較:HRQoL改善(主要)、肺機能改善(二次)

QUANTIFY trial : Ultibro Breezhaler (indacaterol/glycopyrronium) vs combination therapy with tiotropium and formoterol.

 http://www.novartis.com/newsroom/media-releases/en/2014/1787222.shtml
 http://multimediacapsule.thomsonone.com/novartis/ultibro-ats-data





アウトカム:26週め HRQoL

900名を超えるCOPD患者対照

ウルティブロ・ブリーズヘラー(インダカテロール/グリコプロニウム 110/50 mcg:対照薬(チオトロピウム 18 mcg +ホルメテロール 12 mcg併用)と比較

中等症・重症COPDにおいて、
ウルティブロ・ブリーズヘラーは、対照薬に対し、トラフFEV1の改善効果、息切れ・HRQoL(per-protocol解析)MCID超の効果が示された。

・ウルティブロ・ブリーズヘラーは、対チオトロピウム+ホルメテロール併用比較で、プライマリエンドポイントとしての、HRQOLアウトカム非劣性
・ウルティブロ・ブリーズヘラーは、対チオトロピウム+ホルメテロール併用比較で、セカンダリエンドポイントとしての、肺機能改善
・ウルティブロ・ブリーズヘラーは1日1回で、固定併用薬剤治療として簡便。
ATS2014国際カンファレンスで16の要約発表された

 
当面、COPD中等症・重症治療はウルティブロ・ブリーズヘラー基軸になるのだろう。本格的には、長期処方待ちだが・・・

英国:メンタル疾患のよる短命化は、重度喫煙(20本/日)の8−10年間寿命短縮と同等以上

Oxford大学の精神科学者によれば、食指不振症・再発性うつなどメンタルヘルスによる予測寿命から10−20年も短く、 重度喫煙者の寿命短縮年数 8−10年間より、インパクトが大きい。いわば、重度喫煙と同様、あるいは祖霊以上の社会的な公衆衛生上の問題であるという。

20研究、270万名、うち死亡25万のデータ解析

メンタルヘルス問題を有する人々は、1930年代ブリテイン英国人、北朝鮮・バングラデシュの一般住民と同様の余命確率で、メンタルヘルス問題を有する患者への身体健康モニターは重要。研究チームは、喫煙 20本/日で、8−10年の余命減少と計算し、双曲性障害では、9−20年、統合失調症で10−20年、薬物・アルコール依存で9−24年、繰り返しうつは7−11年間余命減少。


そして、それは、ドラッグ、アルコール乱用、自殺が要因として考えられる。





メディア記事:http://www.telegraph.co.uk/health/healthnews/10848853/Anorexia-and-recurrent-depression-as-deadly-as-smoking-study.html

journal World Psychiatry. Published: Sunday, May 25, 2014, 12:25

2014年5月23日金曜日

RN4CAST study : 大卒・看護師比率が増えるほど、担当患者数減るほど、死亡率低下

大卒・看護師比率が増えるほど、担当患者数減るほど、死亡率低下


Nurse staffing and education and hospital mortality in nine European countries: a retrospective observational study
The Lancet, Volume 383, Issue 9931, Pages 1824 - 1830, 24 May 2014 
患者1名あたりの看護師仕事量は30日内死亡患者では7%(オッズ比 1.068、 95%信頼区間; CI, 1.301-1.106)尤度増加。

学士レベル看護師比率が10%増加する毎に、この尤度、7%減少 (0.929、 0.886 - 0.973)

学士レベル看護師比率が60% & 6名平均ケアの病院では、学士レベル看護師30%比率病院 & ケア患数8名の病院に比べ、死亡率30%ほど減少。




COPD:チオトロピウム・オロダテロール合剤 第3相治験

Phase III study VIVACITO™は、ATS2014 国際会議で、結果報告 チオトロピウム 5mcg+オロダテロール 5mcg FDC(レスピマット:ソフトミスト ・インヘラー)は有意に24時間肺機能改善 対照は、それぞれの単剤、プラシーボとの比較。


 May 21, 2014 Boehringer Ingelheim Presents First Phase 3 Data on Fixed-Dose Combination of Tiotropium Plus Olodaterol in COPD
http://us.boehringer-ingelheim.com/news_events/press_releases/press_release_archive/2014/05-21-14-boehringer-ingelheim-presents-first-phase-3-data-fixed-dose-combination-tiotropium-plus-olodaterol-copd.html

仕事場の方が、自宅よりストレス少ない?

やることが多すぎて時間が無い、そして上司からの要求や困った同僚などの存在で、さぞや仕事場のストレスが多いと思いきや、客観的見たら、仕事場の方が自宅よりはたしてしんどいと言えるのか?


ペンシルバニア州大学のDamaske教授は、唾液腺コーチゾル値の検査1日6回、3日間に駆けて122名に行い、最もリラックスできる時間は、仕事場に居るときというおどろくべき知見を見いだした。




http://ktar.com/95/1734704/Study-Work-stress-exacerbates-at-home

http://wesa.fm/post/think-work-stressful-many-its-more-relaxing-home


唾液腺コーチゾルって、そんなに信頼性が高いのだろうか?

唾液腺コーチゾル値と、血中コルチゾールのtime lagは無いそうだが、個体差が激しいとのこと。故に、まともな研究では数百単位から数千単位の被験者が必要。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19647372


そもそも、労働日と休日で寝起きの時間が変わる、サーカディアンリズムの関連とか、文字通りに解釈できない気がする。




唾液中コルチゾールによるストレス評価と唾液採取手順
http://www.jniosh.go.jp/oldsite/publication/JOSH/pdf/vol3no2/Vol03No2-03a.pdf

COPD患者:2型糖尿病があると、肺がんになりにくい?

台湾からの報告で、14年間フォローアップのコホートの知見

COPD、糖尿病、肺がんという、3つの病気の相互関連性


禁煙・喫煙が共役要素としてどう働いているかが問題。また、ひょっとして抗糖尿病薬や合併症治療薬の作用も?


Does Chronic Obstructive Pulmonary Disease with or without Type 2 Diabetes Mellitus Influence the Risk of Lung Cancer?
Result from a Population-Based Cohort Study
Te-Chun Shen, et. al.
PLOSone Published: May 22, 2014DOI: 10.1371/journal.pone.0098290

COPDは肺がんの独立したリスク要素であり、
以下の住民ベースのコホート研究では、補正ハザード比 5.02 [95% confidence interval (CI) = 4.23–5.94]

2型糖尿病(T2DM)なしコホートでは、 5.38 (95% CI = 4.52–6.40)
2型糖尿病有りコホートでは、 4.05 (95% CI = 3.26–5.03)


COPD患者では、T2DM有りの方が、T2DM無しより、肺がん発症防御的
(補正ハザード比 0.75、 95% CI = 0.53 - 0.90 )


2014年5月22日木曜日

スーグラの副作用:薬疹・便秘

口渇、多尿、膀胱炎の副作用は予想されたが、 
薬疹が多いのは初耳
便秘も・・・
 →患者向け説明にも記載無し
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/800126_3969018F1022_1_01G.pdf



当院では、若年、肥満型、14日処方で来院可能な患者さんが、まず、いない


SGLT-2乱発されるので、先行している、スーグラの副作用報告

pII RCT:全身型若年性特発性関節炎 :sJIA IL-1阻害剤 2重盲験

全身型若年性特発性関節炎 は、スチル病



 IL-1阻害剤である、rilonacept (IL-1 trap)の全身型若年性特発性関節炎’(sJIA)へのランダム化二重盲験プラシーボ対照化治験


JIA-ACR30評価にて、同薬剤改善効果確認


The randomized placebo phase study of rilonacept in the treatment of systemic juvenile idiopathic arthritis (RAPPORT)
Norman T. Ilowite, et. al.
Arthritis Rheum 2014; DOI: 10.1002/art.38699.

4週間二重盲験24週多施設→オープンラベルへ

活動性病変関節2ヶ所以上の、71名の子供を1:2割り付け
治療群は、day 0から 4.4 mg/kg loading doseそして、2.2mg/kg/週にて継続

プライマリエンドポイントは、JIA ACR30のクライテリア(発熱無し、ステロイドの減量:事前設定クライテリアに基づく)までの期間

反応期間は、治療群ではプラシーボ群より短く

同一治療クライテリアに基づくセカンダリ解析では、4週時点での治療反応は、治療群で 20/35 vs プラシーボ 9/33 p=0.016

sJIA急性増悪が最も多いSAE



治療群は、肝transaminase増加多く、上限の3倍を含む。







USPSTF:青少年での自殺リスク・スクリーニング推奨せず

だめな部分が目立つアメリカだが、この実証・検証第一主義の方針明確化ってのは、正直うらやましい。
検診や予防全て性善という誤った考え、情緒的・直感的立法・行政が氾濫する日本と違いを感じる。


Update of the 2004 U.S. Preventive Services Task Force (USPSTF) recommendation にて、青少年向け自殺リスク検診のベネフィット・有害性バランス評価不十分で推奨せず

2004年推奨のアップデートだが、やはり自殺リスクスクリーニングの有益性みとめず

Screening for Suicide Risk in Adolescents, Adults, and Older Adults in Primary Care: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
 Michael L. LeFevre, MD, MSPH, on behalf of the U.S. Preventive Services Task
Screening for and Treatment of Suicide Risk Relevant to Primary Care:
A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Ann Intern Med. 2014;160(10):719-726. doi:10.7326/M14-0589 






候補リスク
  • The presence of a mental health disorder
  • Serious adverse events in childhood
  • A family history of suicide
  • Experiencing discrimination based on sexual orientation
  • Access to dangerous, lethal means to commit suicide
  • History of being bullied
  • Trouble sleeping
  • Chronic medical conditions

2014年5月21日水曜日

ショック非適応波形症例での早期アドレナリン投与:自然循環改善、生存率・神経学的機能温存生存率改善

non-shockable rhythm:ショック非適応波形、すなわち、無脈性電気活動(PEA)と心静止(asystole)となると思うが、早期にアドレナリン(エピネフリン)投与することで、自発循環回復、入院生存率、神経学的機能温存生存確率を高める


 

Time to administration of epinephrine and outcome after in-hospital cardiac arrest with non-shockable rhythms: retrospective analysis of large in-hospital data registry
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g3028
 (Published 20 May 2014) Cite this as: BMJ 2014;348:g3028

 初期投与時間の中央値3分(IQR 1−5分)

エピネフリン投与までの時間長くなると、ステップワイズに生存率減少
(3分までの解析、1−3分をオッズ1として、4−6分で0.91(95%信頼区間、 0.82 to 1.00 ; p = 0.055)、 7−9分で0.74(0.63 to 0.88 ; p < 0.001) 、 9分を超えた場合 0.63 ( 0.52 to 0.76 ; p < 0.001)


全てのアウトカム指標もステップワイズな影響。



健康無徴候者へのHピロリ菌除菌治療のシステマティック・レビュー&メタアナリシス: アジア人種限定、しかもエビデンスとして少ない

H.ピロリ除菌はアジア人には、胃がん予防として有効なのだろう。
中国人男性ではNNT15だし、そもそもコストさほど高くないから・・・。ただ、日本のように画像診断を前提とすればコストかさ上げしているため、コスト高となる。

胃がん死亡率への効果はやや微妙、全原因死亡率への効果はないことも注意すべき。


その上に、ピロリ菌除菌による他のベネフィット、上部消化管症状や 血液系へのベネフィット、そして、C.difficile感染などの有害性も検討されるべき


Helicobacter pylori eradication therapy to prevent gastric cancer in healthy asymptomatic infected individuals: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g3174 (Published 20 May 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:g3174

1560資料検討し、6つのRCTを検討

胃がん発生率: 除菌療法 1.6%(51名)/3294 vs 対照 2.4%(76名)/3203 
相対リスク 0.66、95%信頼区間, CI, 0.45 - 0.95 研究間heterogeneity I2 = 0%で問題なし

除菌治療のベネフィットが生涯続くなら、NNTとしては中国人男性で 15、US女性で 245となる。
【胃がん患者の再発予防効果】



 Forest plot of randomised controlled trials of H pylori eradication therapy: effect on subsequent occurrence of gastric cancer





 【ベースライン前がん状態有無を問わない場合】


Forest plot of randomised controlled trials of H pylori eradication therapy: effect on subsequent occurrence of gastric cancer according to presence or absence of pre-neoplastic lesions at baseline. (You 200632 and Ma 201226 study had missing data concerning presence or absence of pre-neoplastic lesions at baseline for 16 individuals, leading to the loss of one gastric cancer from the analysis)



 【抗酸化物質あるいはビタミン使用】


Forest plot of randomised controlled trials of H pylori eradication therapy: effect on subsequent occurrence of gastric cancer according to anti-oxidant or vitamin use




【胃がん死亡率への影響】


Forest plot of randomised controlled trials of H pylori eradication therapy: effect on subsequent mortality from gastric cancer



【全原因死亡率への影響】


Forest plot of randomised controlled trials of H pylori eradication therapy: effect on subsequent all cause mortality

禁煙:電子タバコがOTCニコチン置換より有効という報告 ・・・ 結論への議論・疑念

この報告が世間を騒がしている。
解析では、 1年間禁煙試行し、電子タバコ使用にて、OTCニコチン置換療法使用より63%多く禁煙。禁煙補助手段使用しない場合より61%多く禁煙。
Brown J, et al "Real-world effectiveness of e-cigarettes when used to aid smoking cessation: a cross-sectional population study" Addiction 2014.
http://onlinelibrary.wiley.com/resolve/doi?DOI=10.1111/add.12623

問題としては、
・後顧的研究
・禁煙治療として、電子タバコは有効な禁煙手段で、OTCニコチンより有効である。ただ、この研究デザインは結論結論において疑念がもたれた。
・自己報告にたよる禁煙評価で、研究対象が1年間禁煙試行したもので、禁煙継続性に関し検討されてない。


Electronic cigarettes: time for an accurate and evidence-based debate
Addiction Editorial 
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/add.12550/pdf
 電子タバコに関する公衆衛生上のインパクトの議論するためのエビデンスが必要で、国家・国際的法制化が進められるべき。現在の研究・コメントはその質、正確性、客観性にばらつきがある。特定の研究分野だけの問題で無く、広くスカラーシップを持って議論されるべき


より具体的疑念が記載されている
1.NRTは、生活行動指導・指示なしに禁煙目的OTC販売されることがライセンス化されてたっけ?
2. 喫煙夕再生減少NICEガイダンスを以下に修正すべきか、推奨製品としては機能しないし、むしろ推奨メカニズムに反している(NRT・行動療法の基本概念の事だと思う)
3.有効性評価が公式のもの(MHRA準拠など)ではない。
4.電子タバコは、現実から離れた、out in the wildでの話で、健康状態から対極のもの。
5.現在電子タバコは法制化準備中のもの
6.研究上の信頼性を増すため、調査数を多く、リアルワールド住民データを多くとるべきで、全方位的ゴールドスタンダードとしてのRCT中断データなんて使うべきではない。
7.喫煙者に禁煙目的と問うたのか?電子タバコを吸うための利用を禁煙目的で行っているとは限らない。現実的に電子タバコが機能しているか、より科学的にCochrane Reviewのように適切なアプローチを行うべき
8.・・・ など
・・・




電子タバコは有害物質だらけ・・・

そもそも

電子タバコ:通常喫煙減少目的が、電子タバコ定期使用へ変化しただけ  http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/07/blog-post_2541.html


FDA承認:武田のインテグリン結合モノクローナル抗体 潰瘍性大腸炎・クローン病

中等症〜重症潰瘍性大腸炎・クローン病治療として、モノクローナル抗体(インテグリン−4−β−7結合)、腸管への選択的抗炎症作用を示す、vedolizumab (Entyvio)

潰瘍性大腸炎は、900名の2つのランダム化臨床トライアルにより有効性確認

クローン病は治療不応性1500名を含む3つのトライアルで確認

FDAニュース
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm398065.htm





薬剤溶出ステントガチンコ比較メタアナリシス: SES vs PES

シロリムス溶出ステント(SES,Cyper) vs パクリタキセル溶出ステント(PES,Taxus)

Head-to-Head Comparison of Sirolimus-Eluting Stents versus Paclitaxel-Eluting Stents in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention: A Meta-Analysis of 76 Studies
 Xinlin Zhang, J, et. al.
 PLOSone Published: May 20, 2014 DOI: 10.1371/journal.pone.0097934


SESは、PESに比較し、短期、長期、全包括期間リスクとして、TLR(target lesion revascularization)/TVR(target vessel revascularization)、MACE(重大心血管副事象イベント)の減少を示した。



 


エベロリムス溶出ステント(EES)、ゾタロリムス溶出ステント(ZES)を含め、る各種DESの内膜増殖抑制効果はEES≒SES>PES>ZES、動物実験では,早期内皮化率は EES>ZES>PES>SES・・・と書かれている(2011,http://circ.ebm-library.jp/metaanalysis/04-09.html)


2014年5月20日火曜日

ACROSS研究:アセトアミノフェンの敗血症症例への腎保護作用トライアル

アセトアミノフェンを重症敗血症に3日間投与にて、sCr低下する。

投与終了3日目、投与後の第4病日、退院・死亡時でも有意に減少

ただ、プライマリアウトカムの第3日目の酸化障害(F2-isoprostane測定値指標)では差を見いだせなかった。ただ、第2日目のF2-isoprostaneは減少した。

酸化ヘモグロビン成分(無細胞ヘモグロビン、オキシダント性)は、敗血症成人のアウトカム不良と関連しているという報告が有る。

Primary source: American Thoracic Society
Source reference: Janz DR, et al "Randomized trial of Acetaminophen for the Reduction of Oxidative Injury in Patients with Severe Sepsis (ACROSS)" ATS 2014.



http://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/ajrccm-conference.2014.189.1_MeetingAbstracts.A6568

川崎病:中国北東部穀物耕作地から風に乗ってきた抗原・毒性暴露が原因:カンジダ類が主成分

6時間から2日間の潜伏期間


日本の川崎病、中国からの風が原因か
2014年05月20日 09:38
http://www.afpbb.com/articles/-/3015338

最も有力な川崎病の原因は、中国北東部を起源とし、カンジダと関連する可能性がある「前もって形成された毒素または環境分子」


論文:
Tropospheric winds from northeastern China carry the etiologic agent of Kawasaki disease from its source to Japan
Xavier Rodóa, et. al.
PNAS http://www.pnas.org/content/early/2014/05/14/1400380111.abstract

糖尿病による死亡率寄与:むしろ糖尿病の方が低い

糖尿病vs非糖尿病の死亡率トレンド をみると、その差が無くなってきたという報告


糖尿病罹病者数は急増しているが、そのインパクトは減少してきている。糖尿病管理、血圧・脂質管理の厳格化による(と、レターのためだと思うが、好きなように筆者が書いている)

糖尿病有無でその補正オッズ比をみると、2000年 1.20 → 2010年 0.78まで減少している。




Decade-Long Trends in Mortality Among Patients With and Without Diabetes Mellitus at a Major Academic Medical Center
Neel M. Butala, AB, Benjamin K. Johnson, MA, James D. Dziura, PhD, et al.
JAMA Intern Med. Published online May 19, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.1803

独立変数 オッズ比
糖尿病 1.21(1.08〜1.36)
Time, y
 糖尿病無し 0.96  (0.95〜0.96)
 糖尿病有り 0.91  (0.90〜0.93)



この状況下では、糖尿病に関する生存率向上は、これ以上コストをかけても意味が無いということではないか? もちろん、透析などの合併症に基づく社会的コスト、微小血管・大血管合併症、QOLに関する効果は別に検討する必要はあると思うが・・・

妊娠糖尿病:前向きコホート(NHS II) 運動量増加ほど、糖尿病発症リスク減少、テレビ視聴も悪影響

NHSII研究、4554名の前向きコホート


Physical Activity and Sedentary Behaviors Associated With Risk of Progression From Gestational Diabetes Mellitus to Type 2 Diabetes Mellitus
A Prospective Cohort Study
Wei Bao, et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 19, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.1795 

  記載としては、635の2型糖尿病(T2DM)発症数/59,287人年フォローアップあたり


総身体活動時間 5MET -h /wk増加毎、すなわち、中等度運動100分増加毎、T2DM発症リスク 9%低下 (補正相対リスク [RR], 0.91; 95% CI, 0.88 - 0.94);  BMI補正後有意差維持。

身体活動時間増加毎、T2DM発症リスク低下と相関



 7.5 MET - h/wk以上の運動(週150分以上の中等度強度以上に相当)では、総身体活動性維持群にくらべ、T2DMリスク47%低下(RR, 0.53; 95% CI, 0.38 - 0.75)、BMI補正後もその相関性維持。


テレビ視聴時間(1週間辺り、0から5.6時間、6から10時間、11から20時間、20時間以上) 多変量補正RRs(95% CIs) 1 (reference)、 1.28 (1 0.04 - 1.59)、 1.41 (1.11 - 1.79)、 1.77 (1.28 - 2.45 (P value for trend < 0.001);BMI補正後相関減衰


閉塞型無呼吸の重症度と、2型糖尿病発症尤度・糖コントロール不良さは関連する

閉塞型無呼吸症候群(OSA)は、心血管合併症リスク増加と関連するが、その働きは、メタボリック機能障害であり、糖尿病で特に悪影響をもたらす。OSAと2型糖尿病(T2DM)の関連性研究では、無診断T2DMが除外され、その関連性は住民ベースで十分評価されているとは言えない。




European Sleep Apnea Cohort (ESADA) study 6616名 の横断研究、多変量解析にて、OSA重症度をoxyhemoglobin desaturation indexで測定、糖尿病は病歴・薬物歴、未診断ではHbA1c測定検診


OSA重症度と2型糖尿病発症尤度、糖尿病コントロールの線形な関連性が明らかになった

Diabetes Mellitus prevalence and control in Sleep Disordered Breathing: the European Sleep Apnea Cohort (ESADA) study
Brian D. Kent, et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2403 

 T2DM 頻度は、OSA重症度増加と共に増加 (OSA無し  6.6%〜 重症OSA  28.9%)

肥満や他の寄与要素補正にかかわらず、OSA無しに比べ、軽症、中等度、重症での、T2DMオッズ比  OR(95% CI) 、1.33 ( 1.04 - 1.72)、 1.73 ( 1.33 - 2.25) 、1.87 (  1.45 - 2.42) ( p < 0.001 ) 

OSA重症ほど糖尿病は、血糖コントロール悪化し、SDBなしにくらべ、重症OSAでは0.72%ほど、補正平均HbA1cは増加 ( ANCOVA p <  0.001 )


Fibulin-1:特発性肺線維症の予後バイオマーカーであり、治療ターゲットの可能性も

フィブリン−1:fibulin-1 (FBL1)は、フィブリンとは別の細胞外マトリックス分子で、フィブロネクチン含有線維、エラスチン含有線維、基底膜を含む、細胞外マトリックス構造と結合。また、フィブリノーゲンと結合可能。




Fibulin-1 predicts disease progression in patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Jade Jaffar, et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2688

特発性肺線維症(IPF)のメカニズムは不明。糖タンパクである、fibulin-1は、増殖促進性で、間葉系細胞の創傷修復に関与し、IPFの肺線維化に関与する。


4ヶ所の施設で、プライマリーな肺実質線維が細胞を培養し、血中・線維芽細胞の分泌あるいは沈着成分を測定(western blot、免疫組織測定)


血中 fibulin-1 値は、肺疾患なしに比べ、増加 (p=0.006)
さらに、組織中 fibulin-1濃度はIPFで増加  (p=0.02) 、 肺機能と逆相関  (r=-0.9, p < 0.05)


プライマリーな肺実質線維芽細胞は、IPFにおいてI増加( p < 0.05 )


1年内のIPFの疾患進行予測と関連。(AUC 0.71, 95%CI,  - 0.57 〜 - 0.86 , p = 0.012)

2014年5月19日月曜日

アメリカの学会:AACE/ACEは新しい肥満適症定義・フレームワークを検討

American Association of Clinical Endocrinologists (AACE) 、 American College of Endocrinology (ACE)にて、肥満の定義をBMI中心から見直す動き

5つのカテゴリー提案とのこと


"2014 Advanced framework for a new diagnosis of obesity as a chronic disease"
Garvey WT, et al 
AACE 2014.



http://www.medscape.com/viewarticle/825322


  1. Normal weight (BMI  <  25):正常体重(BMI < 25)
  2. Overweight (BMI 25 – 29.9, no obesity-related complications):過体重(25 − 29.9、肥満関連合併症無し
  3. Obesity stage 0 (BMI 30 or greater and no obesity-related complications):肥満 stage 0 (BMI 30 以上、肥満合併症無し)
  4. Obesity stage 1 (BMI 25 or greater* and the presence of 1 or more mild to moderate obesity-related complications):肥満 stage 1 (BMI 25以上、肥満関連軽症から中等度合併症1つ以上あり)
  5. Obesity stage 2 (BMI 25 or greater* and the presence of 1 or more severe obesity-related complications):肥満 stage 2 (BMI 25以上、肥満関連重度合併症1つ以上あり)
* :BMI23-25は特定の民族ではウェスト径を考慮


この新しいフレームワークは、線形評価モデルでは無く、"affirmed and emergent concept"形成に方向付けをしめすものだろう。

チロシンキナーゼ阻害剤:Nintedanib は、 特発性肺線維症肺機能減少軽減効果、急性増悪期間への効果無し

Nintedanibって、任天堂に似た名前

特発性肺線維症は、線維組織増殖と肺構造リモデリングによる肺機能障害と、肺胞上皮細胞・間質線維芽細胞のシグナル異常を伴うとされ、VEGF、FGF、PDGFといったtyrosin kinaseの細胞シグナル化経路の活性化がこの病態に関与している可能性がある。

Nintedanibは、多数のtyrosine kisase阻害作用をターゲットする細胞内阻害剤である。



Nintedanib (formerly known as BIBF 1120) 
Efficacy and Safety of Nintedanib in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Luca Richeldi,et. al.
for the INPULSIS Trial Investigators
N. Engl. J. Med. May 18, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1402584

52週間、ランダム化、二重盲験第三相(INPULSIS-1 と INPULSIS-2)

nintedanib 150mg ×2の有効性、安全性研究

1066名を3:2比で比較

FVC年毎減少率:
INPULSIS-1
・nintedanib -114.7 ml vs プラシーボ -239.9ml  (difference, 125.3 ml; 95% confidence interval [CI], 77.7 to 172.8; P<0 .001="" p="">
INPULSIS-2
・ nintedanib −113.6 ml vs  プラシーボ −207.3 ml   (difference, 93.7 ml per year; 95% CI, 44.8 to 142.7; P<0 .001="" nbsp="" p="">

初回急性増悪までの差認めず( hazard ratio with nintedanib, 1.15; 95% CI, 0.54 to 2.42; P=0.67)、INPULSIS-2,にて有意差認めず (hazard ratio, 0.38; 95% CI, 0.19 to 0.77; P=0.005)


最頻回副事象イベントは下痢、  61.5% vs 18.6%  (INPULSIS-1)、 63.2% vs 18.3% (NPULSIS-2)

PANTHER-IPF:特発性肺線維症のN-アセチルシステイン治療 肺機能減少防止効果認めず

抗酸化作用薬剤として、アセチルシステイン(NAC)治療は、プラシーボ比較にて、FVC減少差みとめず


Randomized Trial of Acetylcysteine in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
The Idiopathic Pulmonary Fibrosis Clinical Research Network
N. ENgl. J. Med. May 18, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1401739 


IFIGENIA study (Idiopathic Pulmonary Fibrosis International Group Exploring N-Acetylcysteine I Annual):アザチオプリン+プレドニゾロンを含む2剤レジメンより、3剤レジメン(プレドニゾロン、アザチオプリン、アセチルシステイン)にて、肺機能温存効果が示された。

PANTHER-IPF (Prednisone, Azathioprine, and N-Acetylcysteine: A Study That Evaluates Response in Idiopathic Pulmonary Fibrosis) (軽度・中等症)アセチルシステイン単独(+マッチ化 プレドニゾロン・アザチオプリン)とactive therapy各々のプラシーボ比較にて、3坐一両レジメンはNHLBIにて2011年10月14日中止された。中止後の、アセチルシステイン再登録群vsプラシーボ群比較


アセチルシステイン 600mg vs プラシーボ ×3回/日 60週間フォローアップ

プライマリアウトカム:60週後FVC変化
−0.18L vs −0.19L (p=0.77)

同様に感度解析にて、FVC予測値の差を認めず

ピレスパ:プラシーボ対照第3相試験 肺機能、運動耐用、疾患無進行生存率改善

IPF患者でのピルフェニドン(ピレスパ) の第三相試験


A Phase 3 Trial of Pirfenidone in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Talmadge E. King,  et. al.
for the ASCEND Study Group
N. Engl. J. Med.  May 18, 2014
DOI: 10.1056/NEJMoa1402582

52週間
A:FVC予測減少(ベースラインから10%減少)もしくは死亡比率
B:FVCベースラインからの%比率
C:歩行距離減少(ベースラインから6MWD50mの減少)
D:無進行生存率確率Kaplan-Meyer曲線






肺塞栓CTPA検査回避:年齢補正d-dimerとリスク予測


肺塞栓効率的除外のため、年齢補正D-ダイマーカットオフ値利用を!  H26/03/19 



以下は、年齢補正d−ダイマー(50歳超、RGS10以下)は画像診断必要数を減少させるって話は、JAMA internal medicine誌で報告されていたので、続報的なのだが、50歳超での使用意義にフォーカスがあてられた報告となる



Assessment of the safety and efficiency of using an age-adjusted d-dimer threshold to exclude suspected pulmonary embolism
Scott C. Woller, et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2386 



50歳超では、d-dimer陰性・RGS 10以下では、90日間内の肺塞栓否定
(n=104, 偽陰性率 0%、95% CI, 0% - 2.8%)
年齢補正なしのd-dimer陰性・RGS10以下では、偽陰性率 1.5%(95% CI, 0.4-3.7%)

通常のd-dimer閾値に比較して年齢補正d-dimer閾値使用の場合、50歳超の場合、18.3%ほどCTPA(CT肺動脈造影)メリットと考える患者対象数を減らすことができる。


Revised Genevaスコア
http://en.wikipedia.org/wiki/Geneva_score

コスト比較:悪性胸水症例における、IPC(Indwelling pleural catheter):留置胸腔内カテーテル vs タルク癒着

悪性胸水症例における、IPC(Indwelling pleural catheter):留置胸腔内カテーテル vs タルク癒着

生存期間が限られている患者に負って、IPCの方がよりコストが少ない。

Comparing Cost of Indwelling Pleural Catheter vs. Talc Pleurodesis for Malignant Pleural Effusion
Erika D. Penz, et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2481 

平均コスト(SD:IPC 4993(5529)$ vs タルク癒着 4581(4359)$

累積コスト平均差は、401$、95%信頼区間(−1387〜2261)

コストとして、ドレナージボトル、ドレッシング交換の費用、カテーテル除去費用を含む。

何れの14週未満の生存率で、IPCの方が有意にコストが少ない。

2014年5月17日土曜日

過食のみが肥満の原因? ・・・ No! 食事内容など環境要素・遺伝的要素がまず最初ってのもありえる

たしかに、肥満となると、「摂取カロリー(エネルギー)」 − 「消費カロリー(エネルギー)」の差と簡単に考えるが、それでは説明できない状況も多い。説明される状況はPrevailingモデルと呼ぶ。説明できない状況の場合は、食事内容(質)、特に、グリセミック指数:Glycemic指数高値 の内容と遺伝的要素ライフスタイル要素が、まずプライマリーで脂肪蓄積を生じさせ、代謝特性変化し、エネルギー蓄積性に働く、いわゆる、alternativeモデル。


肥満は満足できない食事記録が原因であるという、「肥満女性は自らの手にその血ロー右方がある、もしくは、歯の間に」という肥満治療主流アプローチに、JAMA誌では、90年前のエディトリアルで、疑問が呈されている。



Increasing AdiposityConsequence or Cause of Overeating?
David S. Ludwig, et. al.
JAMA. Published online May 16, 2014. doi:10.1001/jama.2014.4133 




 カロリー摂取随意的変化が短期体重変化を推定できるということから、長期においては、意識化の体重コントロールの可能性が想定だれる。しかし、食事研究では、エネルギーバランスは、生物学的順応であり、体重増加・減少に拮抗する方向に向かうことが分かっている。例えば、41名のやせ・肥満の被験者で、10%から20%の体重変化が示された研究では、食事量減少すればエネルギー消費量は減少し、食事量増加すれば消費量は増加する。これらの代謝的変動・レシプロカルな変化は体重維持方向へ進む。米国内の肥満・過体重の人で1年内に10%もの体重減少するひとは 非常に少ない。

体は持続的にエネルギーが昼用である、主要な代謝燃料は、ブドウ糖、非エステル化脂肪酸、ケトンであり、これらは、タイトに濃度コントロールされている。8名の若年成人研究では4から6kcal/Lの範囲でトータルで調整されている。これらの燃料の循環中濃度・酸化が急激に減少すると、強度の空腹、摂食を促す。反対に、薬物学的に代謝的燃料供給増加すれば、食事摂取減少することとなる、例えば、脂肪酸合成酵素阻害薬剤やβ3アゴニスト投与など。インスリンは体重調整上代謝的燃料濃度にかなり影響を与える、インスリン作用亢進は、糖尿病・インスリノーマなどでは体重増加となり、1型糖尿病のインスリン不足などのようにインスリン減少では体重減少となる。

【肥満では、代謝障害が過食に先行する?】
筋肉特異的インスリン受容体のablation、11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 1 のadipose-specific overexpression(糖質コルチコイド代謝関連酵素)と liver-specific overexpression of sterol regulatory element-binding protein-1c ( transcription factor regulating de novo lipogenesis).実験モデルでは、肥満はエネルギーホメオスタシス経路の遺伝的操作にて生じるが、食事摂取には影響を与えない。
食事構成成分にて、遺伝的正常動物でも肥満を生じることは重要で、カロリー摂取とは独立した肥満要素である。ラットでは、GI値高vs低食事にて、高インスリン状態、脂肪組織での脂肪酸合成酵素の発現亢進、糖から脂肪への転換促進となり、脂肪蓄積過度となる代謝異常をもたらす。高GI動物を体重増加しないよう制限しても、低GI食に比べ、脂肪比率増加(70%)となる。おそらく、心血管疾患リスクとなるだろう。

エネルギー摂取減少しても生じる、脂肪組織沈着増加は、カロリー中心的とらえ方では説明困難。この場合は、上記図の、alternative modelで説明可能である。


遺伝的要素、食事の質を含む環境的要素歯、摂取カロリーの酸化消費より蓄積方向へ進む、いわゆるアナボリック過剰状態を誘導する状況がある。



グリセミック指数はカロリー計算と違い合算ってわけにいかず、GI値の高い食品をさけてとしか言いようがない。



2014年5月16日金曜日

心房細動の抗凝固治療しっかりしないと、認知症リスクが高まることになる

多因子的現象だろうが、1つの可能性として、凝固コントロール不良なら微小血栓が、過剰抗凝固なら微小出血が生じる可能性がある。


Bunch T, et al "Time outside of therapeutic range in atrial fibrillation patients is associated with long-term risk of dementia" HRS 2014; Abstract PO05-169.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/HRS/45796


心房細動(ワーファリン治療) 2683名の検討

患者平均74歳、フォローアップは5年間以上


INR 2-3の範囲の認知症発症リスクは、治療レンジが75%超の場合に比べ、75%以下では有意に認知症発症リスク増加する

・25%未満 ハザード比 4.0程度
・25%から50% ハザード比 3.5程度
・51%から75% ハザード比 2.0程度

INR 2.0未満、3.0超は認知症リスク増加








循環器からアスピリン+プラビックス、脳外科(神経内科)や整形外科からプレタール、そして心房細動をみている医療機関らNOACという笑えない処方を見ることがある。

・・・真剣に、どうにかしてほしいのだが・・・ 各医学のおえらいさんたち

また、プレタール+頻拍放置例をみるにつけ、暗澹たる気持ちになる

喘息急性増悪:治療戦略比較:ICS/LABAの有効性認める。SMARTは優れているのだろうが、固定量ICS/LABAと差のエビデンス無し 

 中等症喘息に関して、SMART療法は優れた治療戦略だと思うが、(アストラゼネカやアステラス宣伝の問題か、臨床の場にアホが多いせいかわからないが)固定量部分が軽視あるいはお混和レズ、リリーバ部分だけが行われる、“いんちきSMART”が行われ、患者さんたちが発作の時だけシムビコートを数という事態が多発している。

  SMARTというより、ICS/LABA配合剤同一製剤によるメンテナンス/リリーバ(COMBI MAR)が最良の治療であることが示された。ただ、ICS/LAMA fixとの有意差は示されてないと思う。





Comparative effectiveness of long term drug treatment strategies to prevent asthma exacerbations: network meta-analysis
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g3009 
(Published 13 May 2014) Cite this as: BMJ 2014;348:g3009


64トライアル、59,622名人年(フォローアップ)、15治療戦略とプラシーボ比較

重症急性増悪予防に対し、ICS/LABA維持療法及びリリーバ治療と、ICS/LABA(固定量)ではパフォーマンス同等で、有効性はfirst rank.


低用量ICSとの比較(急性増悪)発生比率比較rate ratioは、それぞれ、0.44(95%CI, 0.29 to 0.66)、0.51(0.35 to 0.77)


他の併用療法は、ICSとの比較で優越性認めず、
全ての単剤治療は、ICS低用量に劣る


安全性は、通常のbest(ガイドラインに基づく)診療方法及びメンテナンス・リリーバ治療併用が最良。 





COMBI=combined inhaled corticosteroid (ICS) and long acting β agonist (LABA) in single inhaler;
COMBI MAR=COMBI as maintenance and reliever treatment;
COMBI FIX=COMBI in fixed daily dose
COMBI AMD=COMBI in adjustable maintenance dose
H=high dose
LABA=long acting β agonists, regular use;
LTRA=leukotriene receptor antagonist
SABA=short acting β agonists, regular use






Forest plot showing asthma exacerbation rate ratios and median ranks with corresponding 95% credible intervals for each strategy compared with low dose inhaled corticosteroids (ICS).
COMBI=combined ICS and long acting β agonist (LABA) in single inhaler
COMBI MAR=COMBI as maintenance and reliever treatment
COMBI FIX=COMBI in fixed daily dose;
COMBI AMD=COMBI in adjustable maintenance dose; H=high dose;

肥満成人減量維持:システマティックレビュー・・・食事/運動介入は効果軽度だが有意な差を認める

肥満成人の減量維持のための適応可能アプローチのシステマチックなレビューと記載


12ヶ月以上5%以上の体重減少後の18歳以上肥満成人への減量維持プログラム介入効果についての記載


Long term maintenance of weight loss with non-surgical interventions in obese adults: systematic review and meta-analyses of randomised controlled trials
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g2646 (Published 14 May 2014)


7788名を含む、45トライアル

行動的介入(食事摂取、運動を含む):平均差は、12ヶ月時点で、対照比較で −1.56kg(95%信頼区間、 −2.27〜−0.86kg)  25 比較数, 2949被験者
 

Orlistat+行動介入では、  −1.80 kg (−2.54 〜 −1.06; 8比較数 1738 被験者)


Orlistat前研究では、プラシーボ対照に比べ、実験群で、イベント回数多い。
 

Orlistat治療には量反応関係が見られ、120mg×3回/日にて、減量維持最大   (−2.34 kg, −3.03 to −1.65) 、vs 60 mg 、30 mg ×3回/日(−0.70 kg, 95% 信頼区間 −1.92 to 0.52), P=0.02.

2014年5月15日木曜日

DYRK1B:冠動脈疾患若年発症・内臓肥満・高血圧・2型糖尿病関連家系から原因遺伝子変異発見

臨床的定義が曖昧なメタボリックシンドロームといっていいのか分からないけど、冠動脈疾患若年発症・内臓肥満・高血圧・2型糖尿病に関わる遺伝子変異発見

筆者等は、今までも心血管リスクを個別に高める原因遺伝子発見はあったが、メタボリックシンドロームのような心血管疾患リスクのクラスターに関わる感受性遺伝子の発見は初めてだと主張している。


A Form of the Metabolic Syndrome Associated with Mutations in DYRK1B
Ali R. Keramati, et. al.
N Engl J Med 2014; 370:1909-1919May 15, 2014DOI: 10.1056/NEJMoa1301824


冠動脈疾患若年発症・中心性肥満・高血圧・糖尿病遺伝性3家系

linkage analysisとwhole-exome sequencingにて、病因遺伝子解析

kinase-like domainに存在するDYRK1B  の比較的多い領域であるposition 102のcysteine→arginineへの置換変異


関連家族メンバー全員に、遺伝子変異は、臨床的症候群 に、共分離(2つの遺伝子・マーカーが同時に遺伝、分離し配偶子に振り分けられ)、変異関連しない家族、無関連対照では認めない。

疾患遺伝子の機能特性は、DYRK1B によるエンコードされた非変異蛋白 は、 SHH (sonic hedgehog) とd Wnt signaling pathwayを抑制し、adipogenesisを促進する。


さらに、DYRK1Bは、 糖新生の鍵である、 glucose-6-phosphatase発現を促進する。

R102C allele  は、これらの作用を促進するgain-of-function activityを有する。


2つめの変異(histidine 90の proline置換)は、民族的に異なる、同様な臨床症候群の共分離を示した。


2つのスタチン副作用関連論文撤回へ・・・BMJ

洋の東西を問わず、論文の質の問題が発生というか、常態してるわけで、まぁ論文というのは嘘と思ってみなきゃならない。それは、複数権威者のステートメントも含め・・・



Adverse effects of statins

BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g3306 (Published 15 May 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:g3306

BMJの2つの記事の著者等が、スタチン副作用についてのステートメントを撤回
先行出版内容の不正確な引用、それによるスタチン副作用発生率過剰記載のための撤回


この話題で興味深いのは、薬効でなく、副作用の側面の研究。
薬剤副作用の報告も、そのマーケットは大きいほど、メジャージャーナルに取り上げられやすくなるので、overstatement傾向も・・・
(薬害なんたら たちが、昔からやってる手法。それに反ワクチン運動家も・・・)

スタチン周辺は、カルキュレーターゲート・ラゲート問題など 特に、騒がしい。


報道:
http://www.forbes.com/sites/larryhusten/2014/05/14/bmj-articles-critical-of-statins-provoke-kerfuffle/


John Abramson(Harvard Medical School)による論文では、スタチンベネフィットは、従来記載より少なく、リスクが大きいとのべており、副作用リスクを約18%、20%とした。
Should people at low risk of cardiovascular disease take a statin? BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f6123 (Published 22 October 2013) Cite this as: BMJ 2013;347:f6123

2つめの論文は、同じ週で、Asee Malhotra(Croydon University Hospital in London ) の報告で、飽和脂肪酸の心血管疾患への役割で、スタチン服用の20%で、持続不能の副作用ありという報告。

Saturated fat is not the major issue BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f6340 (Published 22 October 2013) Cite this as: BMJ 2013;347:f6340


Godlee F "Adverse effects of statins: the BMJ and authors withdraw statements that adverse events occur in 18-20% of patients" BMJ 2014; 348: 11.



肺がん低放射線量CT検診(高リスク群だけの検診)をメディケア負担とすれば1人あたり3ドルの負担増となる

当たり前だが・・・・・新しい肺がん検診ガイドラインは数万名の生命を救うが、かなりコストがかかる、このことが、6月のASCOで報告される。


現行喫煙・喫煙既往者たちへのベネフィットのため、非喫煙者メディケアメンバーの負担増を容認できるか・・・それがテーマとなる議論が巻き起こることだろう。


American Society of Clinical Oncology annual meeting, June 2, 2014, Chicago
http://www.philly.com/philly/health/topics/HealthDay687869_20140514_Stepped-Up_Screening_Would_Uncover_More_Lung_Cancers__Study_Says.html#YswKlItAv4Q3i47F.99


5年間に5万5千名の肺がんを検知し、特に、治癒可能性の高い早期病期肺がん発見に関わる。しかし、Medicareのコストは、93億ドル(5年間)で、メディケアメンバーあたり月3ドルに相当する。






2014年5月14日水曜日

飲酒問題行動薬剤:1割未満しか効果無いという無駄な現状

 2つの薬剤、ナルトレキソンとアカンプロセートがアルコール依存疾患に効果有るも、その絶対的効果は微妙で、NNT 12という状況。


Pharmacotherapy for Adults With Alcohol Use Disorders in Outpatient Settings
A Systematic Review and Meta-analysis
Daniel E. Jonas, et. al.
JAMA. 2014;311(18):1889-1900. doi:10.1001/jama.2014.3628.

122 RCTs と 1 cohort study (total 22 803被験者)

多くで、アカンプロセート  (27 studies, n = 7519),とナルトレキソン(53 studies, n = 9140)、その両者評価。

だが、1名の飲酒防止NNTについて、
・ アカンプロセート 12 (95% CI, 8 to 26; risk difference [RD], −0.09; 95% CI, −0.14 to −0.04)
・ 経口ナルトレキソン(50 mg/d).  20 (95% CI, 11 to 500; RD, −0.05; 95% CI, −0.10 to −0.002)

重度飲酒防止NNT
・ 経口ナルトレキソン (50 mg/d) 12 (95% CI, 8 to 26; RD −0.09; 95% CI, −0.13 to −0.04)


アカンプロセートとナルトレキソン比較トライアルメタアナリシスでは、飲酒全部、重度飲酒予防への統計学的差がない   (RD, 0.02; 95% CI, −0.03 to 0.08、0.01; 95% CI, −0.05 to 0.06)


ナルトレキソン注について、メタアナリシスにて、飲酒全て、重度飲酒予防への関連性認めず  (RD, −0.04; 95% CI, −0.10 to 0.03、 −0.01; 95% CI, −0.14 to 0.13)。しかし、重度飲酒日数減少の関連性は認めた  (weighted mean difference [WMD], −4.6%; 95% CI, −8.5% to −0.56%


帯状疱疹リスク定量的検討:関節リウマチ、炎症性腸疾患、COPD、喘息、CKD、うつ、1型糖尿病

帯状疱疹診断成人144,959(2000 - 2011)の性・年齢・診療マッチ化対照比較


"Quantification of risk factors for herpes zoster: population based case-control study"
Forbes H, et al
BMJ 2014; DOI: 10.1136/bmj.g2911.


症例、対照とも年齢中央値は62歳


帯状疱疹リスク増加要素は、
関節リウマチ  (3111 (2.1%) v 8029 (1.5%); adjusted odds ratio 1.46, 99% confidence interval 1.38 to 1.55)
炎症性腸疾患 (1851 (1.3%) v 5118 (0.9%); 1.36, 1.26 to 1.46)
COPD (6815 (4.7%) v 20 201 (3.7%); 1.32, 1.27 to 1.37)
喘息 (10 243 (7.1%) v 31 865 (5.8%); 1.21, 1.17 to 1.25)
chronic kidney disease (8724 (6.0%) v 29 437 (5.4%); 1.14, 1.09 to 1.18)
うつ (6830 (4.7%) v 22 052 (4.0%); 1.15, 1.10 to 1.20).


Type 1, but not type 2, diabetes  (adjusted odds ratio 1.27, 1.07 to 1.50)


多くのリスク要素の相対的影響は若年ほど大きい

帯状疱疹ワクチン接種してない場合、重度免疫抑制状態では帯状疱疹リスク高い  —for example, リンパ腫患者(adjusted odds ratio 3.90, 3.21 to 4.74) 、骨髄腫 (2.16, 1.84 to 2.53)

 
固形癌評価されてない。


 帯状疱疹後の疾患リスクとはべつなのだろう・・・
 帯状疱疹後卒中リスク 6ヶ月は増加、帯状疱疹ワクチン・抗ウィルス薬による減少効果可能性

DIGAMI 1トライアル:急性心筋梗塞後の厳しい血糖コトンロールにて長期予後改善効果認める(糖尿病・高血糖患者)

重大手術後や重症患者やICUでの血糖コントロールに関して、厳しい血糖コントロールによる予後改善効果疑念が相次いでいるが、心筋梗塞後の血糖コントロールに関しては流れに反する報告が出現した。

DIGAMI 1 トライアル :スウェーデンの19の病院でのPROBE研究(う〜〜ん)


 620名のランダム化(強化インスリンベース血糖コントロール:306 vs 対照 314)

受診時高血糖・糖尿病患者の急性心筋梗塞後、インスリンベースの強化血糖コントロールにて、生存率改善長期効果を認めた。

血糖降下の作用が明らかで無くても、脂質低下・降圧剤効果高まり、血糖コントロール化以前はやはり急性心筋梗塞後の予後改善に重要

 

Intensified insulin-based glycaemic control after myocardial infarction: mortality during 20 year follow-up of the randomised Diabetes Mellitus Insulin Glucose Infusion in Acute Myocardial Infarction (DIGAMI 1) trial
Viveca Ritsinger ,et. al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 13 May 2014


生存期間中央値は、強化血糖コントロール群 7年間(IQR 1.8-12.4年間) vs 標準群 4.7年間(IQR 1.0 - 11.4)  (ハザード比 0·83, 95% CI 0·70—0·98; p=0·027)


強化血糖コントロール群の作用は、ランダム化後8年間継続し、2.3年間の寿命増加となる


乳児:抗生剤使用回数多いほど喘息発症増加

乳児には衛生仮説がなりたつのかもしれない


1歳未満での抗生剤使用は、3歳未満の早期小児喘息リスクと関連する

Consequences of antibiotics and infections in infancy: bugs, drugs, and wheezing
Mei-Sing Ong, et. al.
Annals of Allergy, Asthma & Immunology Volume 112, Issue 5, Pages 441–445.e1, May 2014I: http://dx.doi.org/10.1016/j.anai.2014.01.022

後顧的住民ベース研究(n=52,576)

1歳までの抗生剤使用
・一過性喘鳴発症オッズ比 2.0; 95% 信頼区間 1.9 - 2.2 p< 0.001
・持続性喘息発症オッズ比 1.6; 95% 信頼区間 1.5 - 1.7  p< 0.001

量反応関連あり

5回以上の抗生剤コースにて、持続性喘息オッズ倍に(1.9 ; 95% 信頼区間 1.5 - 2.6; p< 0.001)

後期発症喘息との関連性認めず

2014年5月13日火曜日

USPSTF推奨:リスクを有する肥満・過体重者への行動療法的強化カウンセリングすべきと推奨予定

USPSTFは、肥満外の少なくとも1つの心血管リスクを有する肥満・過体重例では強化行動療法的カウンセリングを受けるべき、内容は、健康食促進・身体活動性増加を心疾患予防のため行うことを推奨する予定で、パブリックコメントを求める原案提示

インストラクション介入、個別化アクションプラン、問題解決・フィードバックを含み、対面面接・電話・電子的接触も含む

エビデンスとしては、総コレステロール3−6mg/dL、LDL 1.5-5mg/dL減少、収縮期・拡張期血圧 1-3/1-2mmHg低下、空腹時血糖1-3 mg/dL減少、糖尿病発症を3年後42%減少、体重を標準偏差 0.26、体重として3kg平均、 BMI 0.5 to 1.5 kg/m2減少。
身体活動性は、10%から2%増加。


"Behavioral counseling to promote a healthy lifestyle for cardiovascular disease prevention in persons with cardiovascular risk factors: a systematic evidence review for the U.S. Preventative Services Task Force"
Lin JS, et al 
http://www.uspreventiveservicestaskforce.org/tfcomment.htm

原案:

二硫酸化イズロン酸: 新しい喘息治療法



Tumor Microenvironment and Metastasis Program ( Sanford-Burnham )


Novel di-sulfated iduronic acid attenuates asthmatic response by blocking chemokine–heparan sulfate-mediated T-cell recruitment
 http://www.pnas.org/lookup/doi/10.1073/pnas.1319870111



合成硫酸化モノサッカライドで、ケモカインであるCCL20(T細胞シグナル蛋白)と硫酸ヘパリン(CCL20防御・不動化)の肺上皮細胞の相互作用阻害。この相互作用を阻害することで、T細胞の参入を防御し、炎症惹起を防止することとなる。


静注、吸入共に有効らしい


Minoru Fukudaといから、日本人的名前


http://www.upi.com/Health_News/2014/05/12/Synthetic-molecule-thwarts-asthma-symptoms/1391399930892/?spt=sec&or=hn





CCL20 CCL20(MIP-3a、LARK:Liver and activation regulated chemokine) CCL20はリンパ節や肝臓、盲腸などの組織に発現しており、上皮細胞や活性化した単球から産生される。 CCL20受容体はCCR6である。 未熟樹状細胞やメモリーT細胞、B細胞を誘引する。 http://www.geocities.jp/norihisamikami/chemokine.html

ジエチレングリコール中毒:遅発神経・腎障害は認めず、急性期毒性のみ

ジエチレングリコール(DEG)中毒と言えば、中国での製品混入による事件が多く報道されている。

13名のDEG中毒のその後の長期観察報告


Long-term Renal and Neurologic Outcomes Among Survivors of Diethylene Glycol Poisoning
Laura Conklin, et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 12, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.344

テロメア長への社会的量悪環境影響に、セロトニン・ドパミン経路が関係する

テロメア長というと、生物の寿命と関連するわけだが、一方、生存上社会的に不利な環境というのも健康アウトカムに関連する。慢性ストレスが一部に寄与するわけだが、テロメア長は、社会的状況やうつ状態を含む要素により短縮する。

セロトニン感受性に関わるホモ接合genotypeと、ドパミン感受性に関わるホモ接合serotype数と、社会的不利環境と有利環境のテロメア長(TL)への影響研究

ホモ接合的genotypeの判定は、0−4で行い、最小数ほどから2+のコードで評価。

セロトニン作動遺伝子型では、2+以上の状況で、有利な社会的環境でテロメア長増加と関連(p=0.02)
一方、ドパミン作動遺伝型では、中等+の状況で、 有利な社会的環境でテロメア長増加と関連(p=0.05)

ドパミン作動系ではやや奇異性


Social disadvantage, genetic sensitivity, and children’s telomere length
Colter Mitchella, et. al.
PNAS April 22, 2014 vol. 111 no. 16
http://www.pnas.org/content/111/16/5944


ここで示されたのは9歳までのTL減少と、社会的不利状況の関連性であり、低収入、母の教育状況、不安定な家族状況、粗い親子関係と関連性が示された。

セロトニン作動、ドパミン作動経路によりこの影響は影響される。


種々感受性仮説の存在、遺伝的感受性スコアの高いヒトでは、社会的環境不利な状況暴露では短く、有利環境では長くなる。




住民レベルコホート研究:高齢者において、尿中レスベラトロールと炎症・心血管イベント・がん発生・有病率の関連性認めず

 グレープ、赤ワイン、チョコレート、特定のベリー類に含まれるポリフェノールである、レスベラトロールは、ヒトで抗酸化、抗炎症、抗がん作用を示すことが知られ、特定の下等生物での寿命促進効果が示されている(猿のインチキ報告・スキャンダルも ← 某フォトショップ詐欺:Dr Dipak Das (University of Connecticut) は、例のフォト編集詐欺(http://www.theheart.org/article/1339923.do)のごとく、赤ワイン単独の効果をフラボノイド全般の心血管健康改善効果に誘導する詐欺が行われていた)。


皆様の受信料でペテン放送をおこなったNHKスペシャル、レスベラトロールなどを題材にして過大報道していたネタでもある。

サーチュインが長寿に果たす役割ははっきりしない ・・・ あなたが太ったネズミなら別かも・・・ 2011年 11月 09日 

 

 ヒトで検証されてない仮説を大々的に放送する、NHK。その資金は私たちの受信料。



レスベラトロールの実地的検証は未だ見いだされてない。
下記ごとく、尿中代謝産物濃度と健康アウトカムの関連性検証にも失敗している。
Red Wine Antioxidant Fails to Lengthen Lives in Study
 http://www.bloomberg.com/news/2014-05-13/red-wine-antioxidant-fails-to-lengthen-lives-in-study.html

→ Johns Hopkins大学のStatement 
  • Diets rich in the antioxidant resveratrol don’t reduce deaths, cardiovascular disease or cancer, a new study finds.
  • Resveratrol is found in red wine, dark chocolate and berries and was believed to confer health benefits.
  • Excitement over resveratrol followed studies documenting anti-inflammatory effects in lower organisms and increased lifespan in mice fed a high-calorie diet rich in the compound.
  • These foods may still be good for you, but resveratrol is not the reason.
  • Researchers tested urine samples from 783 people Italians over the age of 65 for resveratrol levels.




 前向きコホート研究:Invecchiare in Chianti (InCHIANTI) Study (“Aging in the Chianti Region”), 1998 〜 2009 、エリアの2村、783名の地域住民男女65歳以上のサンプル
暴露要素は、24時間尿中レスベラトロール代謝物
プライマリアウトカムは、全原因死亡率、セカンダリはCRP、IL-6、IL-1β、TNF測定値と、癌・心血管疾患発生率・有病率


結論から言えば、高齢者住民レベルの調査では、尿中レスベラトロール濃度と、血中炎症マーカー、死亡率、がん・心血管疾患有病率・発生率の関連性は認めなかった


Resveratrol Levels and All-Cause Mortality in Older Community-Dwelling Adults
Richard D. Semba,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 12, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.1582


レスベラトロール代謝物尿中代謝濃度総数対数平均(95%信頼区間:CI)は、  7.08 (6.69-7.48) nmol/クレアチニンg

フォローアップ9年間で、268(34.3%)被験者死亡。

尿中総数総代謝物濃度4分位最小から最大区分に於ける被験者死亡率比率は   34.4%, 31.6%, 33.5%, and 37.4%, (P = .67).


尿中レスベラトロール最大vs最小4分位区分死亡率比較で、寄与要素補正後多変量Cox比例ハザードモデルにおけるハザード比は、 0.80 (95% CI, 0.54-1.17) 

尿中レスベラトロールと血中CRP、IL-6、IL-1β、TNF、心血管疾患、がん罹病率・発生率との予防的関連性みとめず 

2014年5月12日月曜日

糖尿病・心血管重大イベント:ACE阻害剤では効果有るも、ARBは効果認めず

そもそも、ARBって、ACE阻害剤を凌駕する薬剤ではないわけでぇ・・・

ACE阻害剤不耐性の症例で初めてARB処方するという国家的スタンスをそろそろカナダに見習い行うべき

政治家や官僚はアホだから、医療費・節約というと、後発品というアホの1つ覚え・・・実際に重要なのは功利性なのに、膨大な無駄垂れ流しを放置


ランダム化臨床トライアル:ACEIとARBレジメン(糖尿病、全原因死亡率、CV死亡、重大CVイベント、12ヶ月最小期間)

糖尿病患者において、ARBでは、全原因死亡率、CV死亡率、重大CVイベント減少効果みとめず


Effect of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers on All-Cause Mortality, Cardiovascular Deaths, and Cardiovascular Events in Patients With Diabetes MellitusA Meta-analysis
Jun Cheng, et. al.
JAMA Intern Med. 2014;174(5):773-785. doi:10.1001/jamainternmed.2014.348


調査35トライアル中、ACEI vs placeboあるいはactive drug比較35中23トライアル(32,827名)、無治療との比較13トライアル(23,567)


プラシーボ/active 治療を対象とする場合、ACE阻害剤は、全原因死亡リスクを13%(RR , 0.87 ; 95% CI, 0.78-0.98)、心血管死亡 17% (RR 0.83; 0.70 - 0.99)、 主要CV イベント 14% (0.86; 0.77-0.95)、その中には心筋梗塞 21% (0.79; 0.65-0.95) 、心不全 19% (0.81; 0.71-0.93)イベントを含む。


 ARB治療では全原因死亡率に影響を与えず (RR, 0.94; 95% CI, 0.82-1.08), CV death rate (1.21; 0.81-1.80)、主要CV イベント (0.94; 0.85-1.01) にも影響なし。


ACEIやARBともに糖尿病患者の卒中リスク減少と相関しない。 


メタ回帰分析にて、ACEI治療は、全原因死亡率、CV死亡への影響は、治療開始ベースライン血圧、蛋白尿とは、有意に、ばらつき認めず、一定で、ACEI種類や糖尿病にも影響なし。

重症喘息:発現型

「重症喘息は多次元的疾患」である認識が広がっている。1つの試みとしての2008年のクラスター解析報告が最近とりあげられることが多いので、一応取り上げてみる。


重症喘息クラスター
Y軸:症状
X軸:好酸球性気道炎症


Haldar P, Pavord ID, Shaw DE, et al. Cluster analysis and clinical asthma phenotypes. Am J Respir Crit Care Med 2008;178(3):218–224

http://www.studereninleiden.nl/images/uploads/Biomedisch/Martinez_-_Asthma_-_review_-_Lancet_2013.pdf
(オレンジ暖系色:プライマリ・ケア、青色:二次医療機関)


・症状コントロール
・喀痰中好酸球比率判定による好酸球性炎症
という要素により
Concordant disease:症状ベース治療補正アプローチ対応可能型
Benign asthma(中年コホート、良好コントロール症状・炎症・良好な予後群)
Early-onset atopic asthma(症状・炎症・気道閉塞の程度
Discordant disease:対応不能型
Discordant symptoms:炎症モニタリングにてステロイドdowntitrationとなる群
(1) Early-symptome predominant : 早期発症、アトピー性、BMI正常、自覚症状発現高度
(2) Obese non-eosinophilic asthma :後期発症、女性優位、症状発現高度

Discordant inflammation:炎症モニタリングにて急性増悪回数軽減のための目標ステロイド治療となる群 : 後期発症、男性優位、症状日数は少ないが、好酸球性炎症高度



 【Th2高度phenotypeとTh2低度phenotype】





著者等解説
 http://www.medscape.com/viewarticle/774254_5





夢の中身を操作する・・・脳電気刺激電流にて、自省的明晰夢をもたらす

REM睡眠中の低γ帯の電流刺激で、脳の活動性、そして、夢の中での自己反省(self-reflexion)自覚をもたらす。他の周波数ではその効果は無く、どうも、25−40Hzの同期性oscillationと関連するものと考えられる。


lucid dreaming(明晰夢)とは、自分で夢と分かって自覚しながら見る夢

上記のような電気刺激で、明晰夢を誘発する

解説一般記事:http://www.vox.com/2014/5/11/5707204/scientists-switch-on-lucid-dreaming

臨床応用として、PTSD、夜驚症などへの臨床応用が考えられるとのこと。

24名のボランティアにて、明晰夢歴調査
40Hzの電気刺激で、77%に明晰夢を誘導成功




Induction of self awareness in dreams through frontal low current stimulation of gamma activity
Ursula Voss, et. al.
Nature Neuroscience (2014) doi:10.1038/nn.3719

同時に脳の活動性の客観的評価も行い、誘発シグナルの確認も行った。

寿命促進遺伝子変異:KLOTHO・VS変異は、IQと関連 、加齢とともにその影響低下

KL遺伝子VS変異だが、これは寿命促進的働きをしめす。またこれは、IQ-boosting gene:知能向上遺伝子としての側面もある。


参考→http://genetics.fc2web.com/file/klotho.html 
近年の研究で、「klotho遺伝子」という遺伝子がみつかり、この遺伝子が活性型ビタミンDの合成を負に制御する回路を構成しており、klotho遺伝子が欠失してしまうと、生体の恒常性維持を担うカルシウムホメオスタシスが破綻し、多彩な老化症状をもたらす、ということが明らかになった。klotho遺伝子は動物個体の発生・成熟・機能維持にかかわる遺伝子群の一つであるが故に、同時に老化を制御する遺伝子プログラムの構成要素となりうる。



加齢時期においては、この遺伝子の認知機能障害への影響すくなく、この働きを促進させることで、認知症治療に使えないかと筆者等は考えているらしい。
http://dailydigestnews.com/2014/05/scientists-discover-iq-boosting-gene/

(やぶにらみで見れば、加齢関連認知機能障害には影響与えてないという見方もできるとおもうけど・・・。 創薬に関係するという結論の方が、一般受けするからそういうきさいになってるのでは?)


Life Extension Factor Klotho Enhances Cognition
Dena B. Dubale et, al,
Cell Reports
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2014.03.076





加齢は、認知機能衰弱主要リスク要素で、高齢化する全世界にとって大きな問題。kothoなどのような抗加齢要素が認知機能衰弱へ影響を与えるかの検討。
KLOTHO遺伝子長寿化変異、KL-VSは、heterozygous carrierでの認知機能向上と関連し、トランスジェニック/マウスでklothoのシステマティックな過剰発現についての検討。

学習・記憶の多検査において、パフォーマンスは、変異にて良好で、synaptic plasticity(神経可塑性)の一形態である、long-term potentiationを示し、シナプス GluN2B、n-メチル−D-アスパラギン酸受容体 (NMDAR)サブユニットといった、学習・記憶に関わるキーファンクションを促進する。

GluN28遮断にて、klotho-介在作用が消失する。klotho作用は、若年マウスで明確で、ヒトにおいては加齢と共に相関性をしめさず、加齢プロセスとは独立していると判断。

klothoの機能、その効果は、認知機能促進的に働き、年齢時期においてその認知機能低下に関わる影響が異なる。

2014年5月10日土曜日

インスリンアナログ製剤の方がヒト型インスリンより重度低血糖少ない

重度低血糖2回以上経験の5年超診断後経過・1型糖尿病における、インスリンアナログと、ヒト・インスリンの重度低血糖リスク比較






Effect of insulin analogues on risk of severe hypoglycaemia in patients with type 1 diabetes prone to recurrent severe hypoglycaemia (HypoAna trial): a prospective, randomised, open-label, blinded-endpoint crossover trial
Dr Ulrik Pedersen-Bjergaard et. al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 2 May 2014



・ analogue insulin (detemir and aspart) :レベミル
・ human insulin (human neutral protamine Hagedorn and human regular) :



FDA承認人工腕 DEKA arm system

なかなか、説得性のある写真



http://www.dekaresearch.com/deka_arm.shtml


在郷軍人の労務災害に関わる装具腕というのは需要があるそうだ


日本は“先端のロボット技術どうのこうのぬかしてるが ・・・ほんとに先端いってるのだろうか?

2014年5月9日金曜日

低放射線量CT肺がん検診は、結果的に、核プラント従事者や核爆弾被爆者の放射線量を凌駕してしまう

こう書かれるとすごい放射線量となる・・・


低放射線量CT(LDCT)の検診上の肺がん減少効果20%、総死亡率減少効果7%を考慮に入れても、2mSv投与量となるLDCTだが、その後フォローアップ必要となる結節陰影フォローアップでは8mSvの放射線量が生じる。
Gleishnerガイドラインに従う、20−30年間の累積放射線量となるとどうなるか?

55歳で20年間で280mSv、30年で420mSvとなり、核施設従事者や核爆弾被爆者の暴露量を超えてしまう。


Radiation Risks in Lung Cancer Screening Programs: A Comparison With Nuclear Industry Workers and Atomic Bomb Survivors
Robert J. McCunney, MD, MPH; Jessica Li, BS
Chest. 2014;145(3):618-624. doi:10.1378/chest.13-1420 

神経障害性疼痛:AT2R type 2受容体拮抗剤 p2二重盲験トライアルで有効性・安全性確認

ARBといえば、angiotensin II type 1 受容体拮抗剤で、主に降圧剤として使用されているのがご承知の通り。では、type 2受容体拮抗剤は・・・


アンジオテンシンII type2 遮断剤・アゴニストは果たしてどう働くか?
http://kaigyoi.blogspot.jp/2014/03/iitype2.html


EMA401は、抗選択制のAT2Rアンタゴニスト

ヘルペス感染後疼痛や、神経障害性疼痛の現行治療あるも、有効性がいいかげんなわりに、副作用が多いことが問題(特に、武田鉄矢のDTCは、期待させすぎでひどすぎる。リリカによる転倒事故や交通事故などの可能性あり、あまねく使用するには危険性を危惧する医者は多い。薬害オンブスなんたらは、なぜだまってるのだろうか?チャンピックスの方が危険性は少ない印象をもつのに・・・ 国産メーカーに甘いという印象をうけるのだが・・・)

新しい治療ターゲット新薬が欲しいところ


多施設プラシーボ対照化二重盲験ランダム化p2臨床トライアルにて、プラシーボよりヘルペス感染後疼痛に関して有効性が示された。



EMA401, an orally administered highly selective angiotensin II type 2 receptor antagonist, as a novel treatment for postherpetic neuralgia: a randomised, double-blind, placebo-controlled phase 2 clinical trial
Andrew S C Rice , et. al.
for the EMA401-003 study group
The Lancet, Volume 383, Issue 9929, Pages 1637 - 1647, 10 May 2014

EMA401 92名 vs プラシーボ 91名

プラシーボ比較し、治療群は疼痛程度減少有意(平均疼痛スコア −2.29 [SD 1.75] vs -1.69 [1.55] ; 最小自乗補正差 - 0.69 [SE 9.25] ; 95% CI, - 1.19 to - 0.20 ; p = 0.0066)

重度副作用発生はなし


全体的に、32名に56の治療関連副作用あり、対照群では45。

肥満手術前 VLCD(超低カロリー食)は必須

減肥手術前のVLCDで、肝臓体積減少し、手術アクセス容易になり、減量手術後の術前workupとしてルーチン上必要であるということが、ランダム化単盲験トライアルで明らかになった。

"A Randomized, single-blinded trial assessing the effect of a two week preoperative very low calorie diet on laparoscopic cholecystectomy procedure in obese patients"
Nicholas Burr et. al.
DDW 2014; Abstract 626.


25例中21例を登録。1例(対照割り付け)断念。ITTベース介入

VLCD平均体重減少2.5 (95%CI, 1.4-3.6)Kg

VLCD群では、対照群に比べ手術時間中央値6分短縮(  25(18-40.5)分 vs 31(20-170)分)

喘息:自殺リスク増加


"Asthma, depression, and suicidality: Results from the 2007, 2009, and 2011 Youth Risk Behavior Survey"  
Steinberg L, et al 
APA 2014; Abstract NR7-75.
http://www.apa.org/convention/


今までの研究と異なり、 the Youth Risk Behavior Survey (YRBS) in 2007-2011のデータにより、喘息と自殺の関連性が観察された。
50%ほどの自殺リスク増加;odds ratio 1.5, 95% CI 1.3-1.8)

年齢、性別、人種、アルコール、タバコ、悲嘆性補正後は軽度の相関に減少するが、やはり、有意差は存在し、2割ほど増加する (OR 1.2, 95% CI 1.0-1.6)
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/APA/45670



喘息の治療目標の1つにメンタル要素の維持・改善が必要

2014年5月8日木曜日

地球二酸化炭素濃度増加は、食用植物の影響成分に悪影響を与える

気候変動に伴い、二酸化炭素濃度が増加すると、いくつかの基本食用植物の鉄、亜鉛濃度低下をもたらし、健康上の問題を引き起こすかもしれないという報告。

今後40−60年間に、二酸化炭素濃度が550 pmに到達することが予想される。


Increasing CO2 threatens human nutrition
Samuel S. Myers, et. al.
Nature (2014) doi:10.1038/nature13179 



小麦で、亜鉛 9.3%、 鉄 5.1%低下。
小麦の蛋白含量 6.3%、米の蛋白含量 7.8%減少
とうもろこし類は変化無く、エンドウの蛋白変化は小程度

向精神薬・気分安定剤:暴力犯罪減少効果

精神疾患治療として、抗精神薬使用、例えば、クロザピン(クロザリル)やリスペリドン(リスパダール)などを使用すると、暴力犯罪にコミットする可能性を半減できるという報告


Antipsychotics, mood stabilisers, and risk of violent crime
Seena Fazel et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 8 May 2014


 スウェーデン国内登録研究(82547名の向精神薬、気分安定薬剤処方患者)

プライマリアウトカムは、暴力犯罪発生


2006—09,年、スウェーデン 向精神薬、気分安定剤処方40 937 名男性
うち、2657 (6·5%)は暴力犯罪有罪とされた。
同時期、女性では41,710が処方され、暴力犯罪有罪は604名(1.4%)


薬物なしの被験者期間に比べ、抗精神薬風用患者では、暴力犯罪は 45%減少  (hazard ratio [HR] 0·55, 95% CI 0·47—0·64) 、気分調整系薬剤では 24% 減少(0·76, 0·62—0·93)


しかし、診断により潜在的に重要な差を認め、気分調整剤は、双極性障害患者では、暴力犯罪率減少と関連した。
様々なアウトカム(犯罪種類、薬剤関連犯罪、重要性軽度な犯罪、暴力逮捕)設定での感度分析にて22%〜29%の 向精神薬暴力犯罪率減少を確認。そして、薬剤投与量多いほどその減少効果ありも感度分析で確認。

暴力犯罪著明減少がdepot medication記録された場合に見られる   (HR adjusted for concomitant oral medications 0·60, 95% CI 0·39—0·92)


CODEX指数:COPD急性増悪退院後3ヶ月、1年後指標として最優秀




Short- and Medium-term Prognosis in Patients Hospitalized for COPD Exacerbation: The CODEX Index Pedro Almagro, et. al.; the Working Group on COPD, Spanish Society of Internal Medicine Chest. 2014;145(5):972-980. doi:10.1378/chest.13-1328

背景: COPD患者の退院後短期、中期予後評価に関する確実なツールは存在しない。仮説として、CODEX (comorbidity, obstruction, dyspnea, and previous severe exacerbations)に基づく新しい指標にて、正確に、COPD退院後3ヶ月から1年の間の、死亡率、再入院、この組み合わせ指標となるかを検討。

方法: COPD急性増悪のための入院患者多施設研究は、CODEX指数開発のため使用死、異なる患者コホートをその信頼性評価のため使用。
Comorbidity を年齢補正Charlson指数を用い評価、一方、呼吸困難、閉塞状況、重症急性増悪をBODEX(BMI, airflow obstruction, dyspnea, and previous severe exacerbations)閾値により評価。死亡率、COPDあるいは他原因による再入院に関する情報を、退院後3ヶ月、12ヶ月後評価。

結果: 606と377患者の2セットをツール開発と評価コホートとする。
CODEX指数は、3ヶ月後死亡率と相関 (P < 0.0001; hazard ratio [HR], 1.5; 95% CI, 1.2-1.8) 、1年後死亡率とも相関 (P < 0.0001; HR, 1.3; 95% CI, 1.2-1.5)、さらに同時期の再入院、及びこれら組み合わせアウトカムと相関  (all P < 0 .0001)

CODEX C統計は、全て、BODEX、 DOSE (dyspnea, airflow obstruction, smoking status, and exacerbation frequency)、updated ADO (age, dyspnea, and airflow obstruction)指数より優越性あり。

結論:  CODEX index は、COPD急性増悪入院後退院時指標として、その後3ヶ月後、1年後の生存・再入院予後として優れた指標。今まで報告された、どの予後指標よりすぐれている。


MERS感染

累積で「MERSの感染者約500名、うち1/4が死亡」、米国内初MERS感染とか・・・MERSに関して騒がしい。

特に、米国の患者は、すでに症状有ったのに飛行機に搭乗してるそうだ
http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2014/05/official-us-mers-patients-first-symptoms-preceded-travel

当事者と当局の危機意識無かったのだろう・・・日本ではあまり報道されてないが、大丈夫か?


今回のMERS感染流行は、プライマリケースでの感染コントロールprecautionの失敗によると、WHO専門チーム。Jeddahが最も打撃の多いところだが、そこの訪問5日後、ウィルスそのものの感染パターンに変化は無く、要するに、人的原因による感染拡大の模様とのこと。
http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/GeneralInfectiousDisease/45648


治療薬剤開発はいまだ目鼻が・・・
http://www.voanews.com/content/could-existing-drugs-be-used-to-treat-deadly-mers-virus-/1909802.html


the University of Maryland ( Baltimore )のウィルス学者 Matt Frieman は、試験管内では機能するが、生体内細胞で機能しない候補について言及、動物モデルでの失敗について述べている。



H26.5.13追記

米国内2例目かぁアラビア半島からの帰国者
http://www.forbes.com/sites/robertglatter/2014/05/13/second-us-case-of-mers-confirmed-what-you-need-to-know/

アジア・日本も時間の問題だと思うのだが・・・


NIID 更新せず・・・ 税金泥棒
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/mers.html

2014年5月7日水曜日

セロクエル徐放剤:境界性パーソナリティ障害に効果

メジャー・トランキライザーだる、クエチアピン(セロクエル)XR徐放製剤が、境界性パーソナリティ障害に有効。


Source reference:
"A randomized controlled trial of extended-release quetiapine in the treatment of borderline personality disorder"
Black D, et al 
APA 2014; Abstract SCR08-2.

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/APA/45614

95名のランダム化トライアル初期投与量50mg→150mg→300mg(4週後)
DSM-IVクライテリア一致、18−45歳被験者

Zanariniスコア減少 
プラシーボ -6.3
150mg -10.6 (p=0.03 vs placebo)
300mg -9.7 (p=0.27 vs placebo)


量依存反応ではない、1/3の中断率の影響があったようだ

2014年5月2日金曜日

骨髄幹細胞治療トライアル報告は不備が多すぎる ・・・ 過剰期待を煽る報告が多い

 Discrepancy
  • デザインのdiscrepancy:例としては、研究ランダムかどうかconflicting statementがなされてるか 
  • 研究手法、ベースライン特性のdiscrepancy:例としては、サンプル、サブグループサイズが患者実態数でない
  • 結果のdiscrepancy:例としては、票と図のconflict、不完全数




Discrepancies in autologous bone marrow stem cell trials and enhancement of ejection fraction (DAMASCENE): weighted regression and meta-analysis
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g2688 (Published 29 April 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:g2688


骨髄幹細胞の心疾患患者適応トライアル

 左室駆出率への効果サンプルサイズ加重回帰分析



駆出率 effect sizeとサンプルサイズ




トライアル報告の食い違い平均駆出率effect size


53歳時運動能力とその後13年の死亡率と関連

イギリス、スコットランド、ウェールズのMRC National Survey of Health and Development

身体能力についての3つの客観指標(握力、いす立ち上がり速度、起立バランス時間)と全原因死亡率の関連性
 


Physical capability in mid-life and survival over 13 years of follow-up: British birth cohort study
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g2219 (Published 29 April 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:g2219


3つの測定値モデルで、予測能力高い (Harrell’s C index 0.71, 95% confidence interval 0.65 to 0.77)

特に、起立バランス時間が最も強く死亡率と関連






握力:電子式握力dynamometer
起立時間:座位から背部まっすぐになり立つまでの時間とそれから座位を繰り返す10回をストップウォッチ測定。
起立バランス時間は、閉眼片足立ち、起立時間30秒まで最長時間をストップウォッチで測定。



マスメディア報道が、自殺連鎖を誘発する

いわゆる自殺の流行、自殺クラスター・イベントについて関心が持たれていたg、システマティックな検討はなされてなかった。



1988年から1996年までの、13-20歳の若年者自殺クラスター 後顧的住民ベース、症例対照研究。

53の自殺クラスター、うち、48でメディア・レビューあり
1つのクラスターに対して、1つの至適対照とし、96のマッチ化対照比較


インデックスとなった自殺自殺後出版自殺者個人のニュースストーリー平均数
は、非クラスター自殺後の自殺ストーリー数より多い( 7.42 [SD 10.02] vs 5.14 [SD 6.0] p<0 .001="" p="">

いくつかのストーリー特性、一面記事を含む、ヘッドライン(自殺という言葉、使用方法記載、自殺個人の詳細・行動詳細により、非クラスター 後より、インデックスクラスター自殺で多い。


Newspaper coverage of suicide and initiation of suicide clusters in teenagers in the USA, 1988—96: a retrospective, population-based, case-control study
Dr Madelyn S Gould et. al.
The Lancet Psychiatry, Early Online Publication, 2 May 2014



Table 1


Table 2


 

MicroRNA-10a:喘息治療や癌治療の新しいターゲット?


喘息の気管支平滑筋肥厚、癌の腫瘍増殖と関連する、microRNA-10aという分子、あらたな治療ターゲットとなるのかもしれない。

R. Hu, W. Pan, A. V. Fedulov, W. Jester, M. R. Jones, S. T. Weiss, R. A. Panettieri, K. Tantisira, Q. Lu. MicroRNA-10a controls airway smooth muscle cell proliferation via direct targeting of the PI3 kinase pathway. The FASEB Journal, 2014; 28 (5): 2347 DOI: 10.1096/fj.13-247247

 microRNA-10aの state of the artsequencingによる同定にて、ヒト気道平滑筋に豊富なmicroRNA分子の存在を研究し、細胞増殖調整メカニズムを確認。

喘息治療の新しい治療標的、そして癌への新しい治療標的になる可能性がしめされた。

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140501111726.htm

閉塞型無呼吸症候群(OSA):上気道刺激デバイス米国FDA承認

この論文のデバイス
Inspire (TM) UAS治療:閉塞型無呼吸症候群への上気道刺激デバイス http://kaigyoi.blogspot.jp/2014/01/inspire-tm-uas.html


米国FDA承認(なぜか、オーストラリア:長距離トラック輸送が多く、米国と並んでOSA治療先進国だからか?)
http://www.sbs.com.au/news/article/2014/05/02/us-approves-sleep-apnoea-implant

ただし、“The US Food and Drug Administration (FDA) has approved the first fully implantable neurostimulator to treat obstructive sleep apnea (OSA), but only as a second-line therapy”と第1選択ではない。

  Inspire therapyは生理学的タイミングで軽度の刺激で舌下神経を刺激し、気道閉塞を予防するデバイス
Inspire® Upper Airway Stimulation (UAS) therapy
http://www.inspiresleep.com/inspire-system.php


ネイルサロンの紫外線照射で皮膚癌リスク増加

ネイルサロンって、どういうことされるのか知らないが、なんでUV?

Chris Adigun, M.D., assistant professor, dermatology, Ronald O. Perelman Department of dermatology, NYU Langone Medical Center, New York City;
JAMA Dermatology, April 30, 2014, online

http://archderm.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1862050

16のサロンからの17異なる光源種
高ワット光源ほどUV-A照射高く相関する
UV-A量中央値ベースの光源あたりのエネルギー量を計算したところ、600 kJ/m2と比較し、エネルギー量は、UV-A照射keratynocyteのDNA障害を掃除、皮膚癌可能性を示唆した。






ストアなどの野菜売り場の紫外線照射も問題にされてる。

Measuring Sun Damage at the Grocery StoreMychelle Dermaceuticals and Whole Foods Market Bring UV Photography to Aisle #7
http://archderm.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1861491

2014年5月1日木曜日

ピッツバーグ大学:筋喪失部分再生へ Xenogeneic ECM scaffold


An Acellular Biologic Scaffold Promotes Skeletal Muscle Formation in Mice and Humans with Volumetric Muscle Loss
Sci Transl Med 30 April 2014: Vol. 6, Issue 234, p. 234ra58
Sci. Transl. Med. DOI: 10.1126/scitranslmed.3008085 

解説記事:http://www.the-scientist.com/?articles.view/articleNo/39859/title/Rebuilding-Missing-Muscle/

http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-04/uops-rma043014.php


具体的には、化学処理した豚の膀胱組織らしい。
筋肉修復で、5名中3名で、力 20%、機能25%改善



細胞外マトリックス(ECM)に自然と生じる、生物学的足場(scaffold)にて、微小環境ニッシェを提供し、本来の修復機転をより、構成的・機能的アウトカムへ進展することができる。
Xenogeneic ECM  scaffoldのリモデリング特性と類似し、臨床前齧歯類での実験、そしてヒトの5名筋喪失患者に適応。

齧歯類の骨格筋にて、刺激反応と関連するECM介在修復リモデリングがしめされ、
臨床的には5名中3名で機能改善が見られた。

スタチン使用者は、カロリー摂取・脂肪摂取増加し、BMIも増加する

米国National Health and Nutrition Examination Survey(1999年から2010年)の20歳以上の繰り返し横断調査
カロリーと脂肪摂取を24時間食事回想記録。一般化線型モデルにて、食事摂取とスタチン使用有無のタイムトレンドを、寄与要素補正後検討


Different Time Trends of Caloric and Fat Intake Between Statin Users and Nonusers Among US AdultsGluttony in the Time of Statins?
Takehiro Sugiyama, et.al.
JAMA Intern Med. Published online April 24, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.1927 

1999−2000年の間に、カロリー摂取は、スタチン使用者では、非使用者に比較して有意に減少  (2000 vs 2179 kcal/d; P =  .007)

群間差は、期間推移と共に減少し、2005−2010年の期間では統計学的差が無くなる。
スタチン使用者では、カロリー摂取は2009年から2010年の期間では、1999−2000年の期間に比べ9.6%増加 (95% CI, 1.8-18.1; P = .02) 

一方、同期間の非使用者の検討では、統計学的差は認めない。


スタチン使用者は又、1999−2000年の間は、脂肪摂取有意に減少 (71.7 vs 81.2 g/d; P = .003)
非スタチン使用者では有意な差はなかったが、スタチン使用者では脂肪摂取量14.4%増加   (95% CI, 3.8-26.1; P  = .007) 

一方、BMIは、補正モデル比較にて、スタチン使用者 (+1.3)では、非使用者 (+0.4) に比べ増加  (P = .02)

結論としては、カロリー・脂肪摂取はスタチンユーザーにて経年的に増加し、スタチン非使用者ではその傾向が見られない。
BMIの増加速度は、スタチンユーザーで急速で、食事コントロール目標として、現時点で甘くなってるのでは?食事構成成分の再強調がスタチンユーザーには必要。




スタチンユーザーのこの食傾向の変化は、考察として、非ユーザーのデータが食事回想インタビュー中に行われたことで、使用者に比べsocial desirability bias(調査に関して理想的回答してしまうバイアス)の可能性がある。2番目としては、繰り返し同一被検者ではないため、同一個人内比較ではない。

ただ、スタチンユーザーが大食らい傾向にある可能性もある。この説明はなされてない。


スタチンの副作用として、糖尿病発症リスク増加が示されてるが・・・

スタチンの種類と、糖尿病新規発症リスク ・・・ポテンシャルの高いスタチンほど糖尿病発症リスク高い
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/05/blog-post_24.html


高用量抗うつ薬:若年成人から子供は自傷行為2倍増加と関連

住民ベース医療リソース利用データ(16万名超、米国民、うつ10−64歳)の propensity score–matched cohort study


Antidepressant Dose, Age, and the Risk of Deliberate Self-harm
Matthew Miller, et. al.
JAMA Intern Med. Published online April 28, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.1053


小児と4歳以下成人での意図的自傷率は、高用量治療開始で、中等量開始マッチ化対象に比べ、2倍 (hazard ratio [HR], 2.2 [95% CI, 1.6-3.0])、これは、150名の高用量治療開始につき約1例の付加的状況となる。


25−64歳成人では、自殺行為の絶対リスクはかなり低く、影響リスク差はnullである  (HR, 1.2 [95% CI, 0.8-1.9]).

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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note